JP2007167858A - 出鋼温度予測方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、溶鋼温度及びスラグ温度と、取鍋耐火物の温度としての初期耐火物温度と、溶鋼処理及び鋳造処理の操業スケジュールと、に基づいて取鍋からの出鋼温度の時間変化を、非定常伝熱計算により予測する出鋼温度予測方法において、前記初期耐火物温度は、標準値及び上限値、下限値のうち少なくとも2つの値を含むものとし、前記耐火物温度夫々の場合において前記非定常伝熱計算を実行する。
【選択図】図6
Description
いずれの鋳造方法においても、鋳片の品質上及び操業上の側面から、鋳型へ注湯されるときの溶鋼の温度が、所定の温度範囲を伴って厳しく管理されている。
即ち、取鍋内の溶鋼温度やスラグ温度、取鍋の耐火物温度、操業スケジュールなどを入力データとし、これらの入力データに基づいて、溶鋼処理終了時点から取鍋からの出鋼終了時点までにおける取鍋内溶鋼の伝熱計算を行い、これにより出鋼開始時点から出鋼終了時点までの出鋼温度の温度変化を求めようとするものである。
・取鍋の溶鋼処理が終了する時刻(=取鍋が溶鋼処理設備から搬出される時刻)
・取鍋が連続鋳造設備へ到着する時刻
・取鍋から溶鋼が出鋼し始める時刻(出鋼開始時刻)
・単位時間当たりの出鋼量及び総出鋼量
また、入力データの不確かさとは消極的に発生してしまうものであるのに対し、前述したバラツキ量とは積極的に求めようとするものであることから、両者は異なる思想・概念である(第2の要点)。
また、暗算思考で耐火物温度を決めているわけだから、過去の操業データが客観的に良好に反映されているかは確かではない(第3の要点)。
加えて、一回の伝熱計算におよそ5〜6時間を要する以上、所謂リアルタイムで出鋼温度を予測することは難しい(第4の要点)。(計算条件として、要素分割数は2万とし、計算ステップ数は3600回とし、1ステップは1秒とし、取鍋内の溶鋼流動を考慮し、そして、動作周波数3GHzの演算処理器(所謂CPU)を搭載した計算機を用いた。)
この手法は、出鋼温度のバラツキ量をある程度は見積もることができる点で優れている。
しかし、統計処理に依存している以上、前記出鋼温度の時間変化を、連続的には、予測することができない。
さらには、統計処理に依存している以上、当該統計処理上に現れていない、過去に一度もなかった操業条件の場合には、出鋼温度を予測することはできない。
この手法は、上記確率論的手法と比較すると、過去に一度もない操業条件にも対応可能である点と、時間軸上連続的な予測結果が得られる点と、において優れいているといえる。
しかし、上述したように当該伝熱計算は、前述した、重要とされ/好ましいされる事項を具備するものではない。
同様に、第2についていえば、バラツキ量を併せて予測するために、前記非定常伝熱計算の計算条件として3つの条件(標準値及び上限値、下限値)を用意しておく点である。そして、前述の通り、特に取鍋の耐火物温度の測定/把握が困難とされているので、当該耐火物温度に影響を及ぼす種々の因子に基づいて、当該耐火物温度の標準値及び上限値、下限値を求めるのが合理的であるといえる。
また、第3についていえば、上記の種々の因子に過去の操業を何らかのかたちで反映させることは問題なさそうである。
また、第5についていえば、取鍋内の溶鋼の温度分布の特性に配慮しつつ、当該溶鋼を前記ブロック群に区分けする点である。なお、出鋼時における取鍋内の溶鋼の流れには特異な澱みがみられ、また、従来の伝熱計算によれば、当該澱みは当該溶鋼の温度分布に大きな影響を与えていることが明らかとなっている(図1参照)。
前記初期耐火物温度は、現在の及び過去の操業に基づいて求められる初期耐火物温度の標準値と、現在の及び過去の操業に基づいて求められる初期耐火物温度の上限値と、現在の及び過去の操業に基づいて求められる初期耐火物温度の下限値と、のうち少なくとも2つの値を含むものとする。
前記初期耐火物温度の夫々の場合において前記非定常伝熱計算を実行する。
また、上記の如く、前記初期耐火物温度を、その標準値及び上限値、下限値のうち少なくとも2つの値を含むものとし、夫々において非定常伝熱計算を実行することで、出鋼温度の温度変化の標準値又は上限値、下限値のうち少なくとも2つの値を予測できる。換言すれば、出鋼温度の温度変化を、そのバラツキ量を含めたかたちで、総合的に且つ包括的に評価・判断できるのである。
また、上記の如く、前記初期耐火物温度に過去の操業をフィードバックさせることで、当該非定常伝熱計算から意識的に又は無意識的に除外/省略された因子群による影響も予測結果に反映され易くなる。
前記初期耐火物温度の標準値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記溶鋼温度として前記標準値を用いる。
前記初期耐火物温度の上限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記溶鋼温度として前記上限値を用いる。
前記初期耐火物温度の下限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記溶鋼温度として前記下限値を用いる。
前記初期耐火物温度の標準値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記スラグ温度として前記標準値を用いる。
前記初期耐火物温度の上限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記スラグ温度として前記上限値を用いる。
前記初期耐火物温度の下限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記スラグ温度として前記下限値を用いる。
前記初期耐火物温度の標準値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記操業スケジュールとして前記標準スケジュールを用いる。
前記初期耐火物温度の上限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記操業スケジュールとして前記最短スケジュールを用いる。
前記初期耐火物温度の下限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記操業スケジュールとして前記最長スケジュールを用いる。
前記ブロック群のうち、鉛直方向最も下方に位置するブロックとしての下部ブロックを水平方向に、前記出鋼孔側の下部孔ブロックと他方側の下部滞留ブロックとに分割する。
各ブロック間においては、熱対流及び/又は溶鋼流動に伴って熱移動するものとする。
前記下部滞留ブロック内の溶鋼は、前記取鍋内の溶鋼の総量が、前記下部ブロックに相当する溶鋼量を下回ったときに限り、隣接する他のブロックとの境界を越えて溶鋼流動するものとする。
そこで、前記下部ブロックを水平方向に上記の如く分割し、前記下部滞留ブロックとその隣接するブロックとの間の溶鋼流動を上記の如く制限することにより、溶鋼の前記滞留現象が溶鋼の温度分布(及び出鋼温度)に与える影響を良好に再現できるのである。
また、溶鋼の温度分布が良好に再現されるので、前記取鍋内の溶鋼の上層の温度を測定するだけで出鋼温度を把握できるから、出鋼温度の測温を簡便とできる。
従って、前記の操業管理装置は、例えば、前記溶鋼処理装置が備える熱電対(センサ機器)などを介して溶鋼処理終了時点における取鍋内の溶鋼温度を測定/把握することができる。なお、溶鋼処理終了時点において前記溶鋼温度は、取鍋内において略均一であるとされる。
同様に、前記の操業管理装置は、取鍋内のスラグ温度も測定/把握することができる。
この出鋼温度予測装置には、適宜のデータなどを当該出鋼温度予測装置に入力可能な入力手段や、演算結果などを数値やグラフなどで表示可能な表示手段を備えていることが好ましい。なお、前記入力手段とは例えば出鋼温度予測装置に電気的に接続可能な適宜のキーボードやマウスなどのことであり、前記表示手段も同様に出鋼温度予測装置に電気的に接続可能な適宜のディスプレイやプリンタなどのことである。
なお、溶鋼処理や鋳造処理の操業スケジュールとは、具体的には、溶鋼処理の終了時刻や、連続鋳造設備が備える連続鋳造機への出鋼開始時刻及び出鋼終了時刻などである。
本実施形態において前記非定常伝熱計算は、図2に示す如く、前記取鍋(取鍋蓋を含む。)の耐火物を以下のように要素(又はブロック)分割して実行される。
・前記取鍋の蓋は、鉛直方向に沿って4つに要素分割される。
・前記取鍋の側壁は、半径方向に沿って7つに要素分割され、かつ、鉛直方向に沿って3つにブロック分割される。
・前記取鍋の底盤は、鉛直方向に沿って8つに要素分割される。
そして、前述した初期耐火物温度の標準値及び上限値、下限値は、上記各要素ごとに個別に算出され、設定されるものとする(後記の図6参照)。
なお、前記取鍋の初期耐火物温度は、現在の操業(種々の操業パラメタ:後記の表1参照)の如何により影響を受けやすいとされる(後記の図4及び図5)。
従って、本実施形態において前記取鍋の側壁及び底盤の初期耐火物温度は、適宜の基準初期耐火物温度(表2参照:後記の図3参照)を、現在の及び過去の操業に基づいて適宜に補正する(端的に言えば、図6=図3+図4+図5)ことにより求めるものとする。
表2には、溶鋼処理の処理方法ごとに、かつ、前記の取鍋蓋・側壁・底盤の各要素ごとに予め用意されている前記基準初期耐火物温度テーブルが示されている。当該表2も、前記出鋼温度予測装置の記憶部に予め入力/記憶されている。なお、取鍋の側壁に関する当該基準初期耐火物温度は、例えば図3の如くである。
まず、本サブルーチンで使用される各定数を設定する。
・「雰囲気温度」とは、外気温のことである。
・「内面仮想厚み」とは、下記式で定義されるものである。
(内面仮想厚み)=(耐火物の熱伝導率)/(付着物の熱伝導率)×(付着物の厚み)
即ち、耐火物の内側と溶鋼との間には、残存スラグ・地金・変質した耐火物などの付着物が存在するため熱伝導が低下する。そこで、上記内面仮想厚みとは、これら残存スラグなどの付着物による影響を、耐火物の厚みが内面側へ増加したものとして置き換えることにより、考慮しようとするものである。
・「外面仮想厚み」とは、下記式で定義されるものである。
(外側仮想厚み)=(耐火物の熱伝導率)/(鉄皮などの熱伝導率)×(鉄皮などの厚み)
即ち、耐火物の外側と大気との間には、鉄皮や種々の付着物が存在するため熱伝導が低下する。そこで、上記外面仮想厚みとは、これら鉄皮などによる影響を、耐火物の厚みが外面側へ増加したものとして置き換えることにより、考慮しようとするものである。
本実施形態において前記取鍋蓋の各要素の初期耐火物温度は、上記表2の如く予め用意されている前記の基準初期耐火物温度を読み込んでそのまま使用するものとする。なお、当該取鍋蓋の初期耐火物温度の標準値及び上限値、下限値は、計算開始時点に限って言えば、いずれも同一の値を使用するものとする。
次に、前記操業管理装置から、現在の操業(種々の操業パラメタ)を取得/受信する。
なお、当該操業管理装置から直接的に取得できない操業パラメタは、取得できる操業パラメタに基づいて出鋼温度予測装置内で適宜に算出することとする。例えば、本図パラメタ(7)「取鍋の保熱終了時点から、転炉からの出鋼終了時点までの時間」は、前記操業管理装置から保熱終了時刻と転炉出鋼終了時刻とを取得し、これらの差を求めることで算出され得る。
次に、S304で得られた現在の操業パラメタに異常がないか検証する。
具体的には、例えば、パラメタ(1)を前記操業管理装置から何らかの原因で取得/受信できなかった場合は、そのままでは計算上不具合を生じてしまうので、表1に示す操業パラメタ修正テーブルのデフォルト値を代わりに使用することとする。
また、例えば、前記操業管理装置から取得/受信されたパラメタ(2)が何らかの原因で異常に大きな値であった場合は、操業パラメタ修正テーブルの上限値を代わりに使用することとする。
そして、前記温度補正係数(標準値及び上限値、下限値)を、(必要に応じて適宜に修正された)現在の操業(操業パラメタ)と、過去の操業(前記温度補正係数算出テーブルの各係数)と、に基づいて算出する。
次に、前記取鍋の側壁の初期耐火物温度(標準値及び上限値、下限値)を計算する。
前述の通り前記取鍋の側壁は、半径方向及び鉛直方向に沿って複数の要素に分割されている。溶鋼処理終了時点では取鍋内の溶鋼の温度は均一とされるので、当該溶鋼処理終了時点において前記初期耐火物温度は、半径方向にのみ温度差を有するものとし、鉛直方向には温度差を有さないものとする。
従って、まず、前記取鍋の側壁の鉛直方向最下端の要素群に関してのみ初期耐火物温度を求め、当該要素群の鉛直方向上方の他の要素群には、当該要素群の初期耐火物温度と同一の値を代入するものとする。
まず、本図に示す如く、前記の雰囲気温度と、側壁基準温度の内面の値と、に基づいて内面補正基準温度を定義する。外面補正基準温度も同様に定義する。なお、これら内面補正基準温度などは、計算において便宜上使用するものである。また、前記「側壁基準温度の内面の値」とは、側壁耐火物の溶鋼に接する要素の温度であり、表2の要素番号1の耐火物温度を示す。
まず、先に求めた温度補正係数を使用して、内面放熱補正値を求める。なお、前記温度補正係数には前述の如く標準値及び上限値、下限値が含まれているので、当該内面放熱補正値も同様にその標準及び上限、下限が求められる(図4参照)。
同様に、外面放熱補正値も求める(図5参照)。
そして、前記基準初期耐火物温度(図3)と内面放熱補正値(図4)と外面放熱補正値(図5)とを足し合わせることによって、取鍋の側壁の初期耐火物温度(図6参照)を求める。
また、上記の如く求められた初期耐火物温度を、鉛直方向上方の他の要素群の初期耐火物温度に代入する。
前記取鍋の底盤の初期耐火物温度の計算方法は、上述した側壁の初期耐火物温度の計算方法と略同様である。
例えば、溶鋼処理の過去の操業を統計処理して求めたり、または、溶鋼処理設備の操業者の経験に基づいて求めたり、または、公知の伝熱計算をして求めたり、あるいは、これらを組み合わせて求めたりすることもできる。
なお、前記出鋼温度予測装置は、当該非定常伝熱計算を実行する際に、予め前記操業管理装置から、溶鋼処理終了時点における取鍋内の溶鋼温度及びスラグ温度や、溶鋼処理及び鋳造処理の操業スケジュールを取得/受信する。なぜなら、当該非定常伝熱計算は、初期耐火物温度のみならず、前記溶鋼温度及びスラグ温度、操業スケジュールにも基づいて実行されるものだからである。
本実施形態において前記取鍋から溶鋼が出鋼するための出鋼孔は、図1に示す如く、当該取鍋の底盤の中心から側壁へ向かって所定の距離、離れて設けられている。
そして、図2に示す如く、取鍋内の溶鋼及びスラグは、適宜の大きさのブロックに分割されて取り扱われる。そして、本実施形態において前記非定常伝熱計算は、微視的に見れば、各ブロック間における非定常1次元差分伝熱計算となっている。各ブロック間における熱移動は、後述する熱対流及び/又は溶鋼流動に伴って発生するものとする。
なお、本実施形態における前記非定常伝熱計算は、前記取鍋内の溶鋼の当該取鍋(側壁/底盤)による抜熱量が一定であるとみなして実行される。また、取鍋(側壁/底盤)の形状に関しても同様である。
本実施形態において前記溶鋼は、図2に示す如く、鉛直方向に少なくとも2以上(本実施形態では3つ)のブロック群(下部ブロック及び中央ブロック、上部ブロック)に分割される。そして、当該ブロック群のうち、鉛直方向最も下方に位置するブロックとしての下部ブロックは、更に水平方向に、前記出鋼孔側の下部孔ブロックと、他方側の下部滞留ブロックとに分割される。
なお、前記下部滞留ブロックは、図1に示す溶鋼流動の澱みが発生する箇所と対応関係にある。また、本実施形態において当該溶鋼に浮設される(浮いた状態で設けられる)スラグは鉛直方向に2つのブロックに分割される。
図14に示す如く、取鍋の搬送中においては、前記下部滞留ブロック及び下部孔ブロック、前記中央ブロックから前記上部ブロックへ向かって所定の熱量が移動するものとする。これにより、取鍋の搬送中における溶鋼の自然熱対流を、当該非定常伝熱計算に反映することができる。
前述の如く出鋼中における溶鋼流動には、その出鋼孔から遠い地点において澱みが発生する(図1参照)。そして、この澱んでいる溶鋼は、図1に示すようなシミュレーションによれば、例え取鍋の下部に位置しているとしても、より上部側の溶鋼より先には出鋼しないことが明らかとなっている。
そこで、本実施形態においては、取鍋内の溶鋼の総量が前記下部ブロックで表される溶鋼量を上回っている限り、当該下部滞留ブロック内の溶鋼は、隣接する他のブロックとの境界を越えて溶鋼流動しないものとし(図15(a)参照)、一方、当該取鍋内の溶鋼の総量が、前記下部ブロックで表される溶鋼量を下回ったときに限り、当該下部滞留ブロック内の溶鋼は、隣接する他のブロックとの境界を越えて溶鋼流動するものとする(図15(b)参照)。要するに、取鍋内の総溶鋼量によって各ブロック間の溶鋼流動/熱移動を切り替えるように構成されているのである。
以上説明した非定常伝熱計算により求められた出鋼温度の時間変化を、図16に示す。本図に示す如く、本実施形態における出鋼温度予測装置によれば、前記出鋼温度の時間変化の標準値及び上限値、下限値を求めることができる。
また、図16に示される前記出鋼温度の時間変化の標準値(予測値)とその実測値とを、図17に併せて示す。本図によれば、上述した非定常伝熱計算が、前記出鋼温度の時間変化を定性的に且つ定量的に良好に再現できることが判る。
即ち、前記初期耐火物温度は、現在の及び過去の操業に基づいて求められる初期耐火物温度の標準値及び上限値、下限値のうち少なくとも2つの値を含むものとし、前記耐火物温度の夫々の場合において前記非定常伝熱計算を実行する。
また、上記の如く、前記初期耐火物温度を、その標準値及び上限値、下限値のうち少なくとも2つの値を含むものとし、夫々において非定常伝熱計算を実行することで、出鋼温度の温度変化の標準値又は上限値、下限値のうち少なくとも2つの値を予測できる。換言すれば、出鋼温度の温度変化を、そのバラツキ量を含めたかたちで、総合的に且つ包括的に評価・判断できるのである。
また、上記の如く、前記初期耐火物温度に過去の操業をフィードバックさせることで、当該非定常伝熱計算から意識的に又は無意識的に除外/省略された因子群による影響も予測結果に反映され易くなる。
なお、前記初期耐火物温度を、その標準値及び上限値、下限値のすべてを含むものとし、夫々において前記非定常伝熱計算を実行すると、勿論、出鋼温度の温度変化の標準値及び上限値、下限値のすべてを予測することができる。
そして、前記初期耐火物温度の標準値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記溶鋼温度として前記標準値を用いる。また、前記初期耐火物温度の上限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記溶鋼温度として前記上限値を用いる。また、前記初期耐火物温度の下限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記溶鋼温度として前記下限値を用いる。
これによれば、出鋼温度の温度変化の標準値又は上限値、下限値の予測結果の精度を向上できる。
なお、上記「測定誤差」とは、例えば、溶鋼温度を測定するための熱電対固有の測定誤差のことである。
なお、前記溶鋼温度を、その標準値及び上限値、下限値のすべてを含むものとし、夫々において前記非定常伝熱計算を実行すると、勿論、出鋼温度の温度変化の標準値及び上限値、下限値のすべての予測結果の精度を向上することができる。
前記初期耐火物温度の標準値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記スラグ温度として前記標準値を用いる。また、前記初期耐火物温度の上限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記スラグ温度として前記上限値を用いる。また、前記初期耐火物温度の下限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記スラグ温度として前記下限値を用いる。
これにより、出鋼温度の温度変化の標準値又は上限値、下限値の予測結果の精度を向上できる。
なお、前記スラグ温度を、その標準値及び上限値、下限値のすべてを含むものとし、夫々において前記非定常伝熱計算を実行すると、勿論、出鋼温度の温度変化の標準値及び上限値、下限値のすべての予測結果の精度を向上することができる。
前記初期耐火物温度の標準値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記操業スケジュールとして前記標準スケジュールを用いる。また、前記初期耐火物温度の上限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記操業スケジュールとして前記最短スケジュールを用いる。また、前記初期耐火物温度の下限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記操業スケジュールとして前記最長スケジュールを用いる。
これにより、出鋼温度の温度変化の標準値又は上限値、下限値の予測結果の精度を向上できる。
なお、前記操業スケジュールを、その標準スケジュール及び最長スケジュール、最短スケジュールのすべてを含むものとし、夫々において前記非定常伝熱計算を実行すると、勿論、出鋼温度の温度変化の標準値及び上限値、下限値のすべての予測結果の精度を向上することができる。
また、前記ブロック群のうち、鉛直方向最も下方に位置するブロックとしての下部ブロックを水平方向に、前記出鋼孔側の下部孔ブロックと他方側の下部滞留ブロックとに分割する。
各ブロック間においては、熱対流及び/又は溶鋼流動に伴って熱移動するものとする。
さらに、前記下部滞留ブロック内の溶鋼は、前記取鍋内の溶鋼の総量が、前記下部ブロックに相当する溶鋼量を下回ったときに限り、隣接する他のブロックとの境界を越えて溶鋼流動するものとする。
そこで、前記下部ブロックを水平方向に上記の如く分割し、前記下部滞留ブロックとその隣接するブロックとの間の溶鋼流動を上記の如く制限することにより、溶鋼の前記滞留現象が溶鋼の温度分布(及び出鋼温度)に与える影響を良好に再現できるのである。
また、溶鋼の温度分布が良好に再現されるので、前記取鍋内の溶鋼の上層の温度を測定するだけで出鋼温度を把握できるから、出鋼温度の測温を簡便とできる。
Claims (5)
- 少なくとも、
溶鋼処理終了時点における取鍋内の溶鋼温度及びスラグ温度と、
溶鋼処理終了時点における取鍋耐火物の温度としての初期耐火物温度と、
溶鋼処理及び鋳造処理の操業スケジュールと、
に基づいて取鍋からの出鋼温度の時間変化を、非定常伝熱計算により予測する出鋼温度予測方法において、
前記初期耐火物温度は、
現在の及び過去の操業に基づいて求められる初期耐火物温度の標準値と、
現在の及び過去の操業に基づいて求められる初期耐火物温度の上限値と、
現在の及び過去の操業に基づいて求められる初期耐火物温度の下限値と、
のうち少なくとも2つの値を含むものとし、
前記初期耐火物温度の夫々の場合において前記非定常伝熱計算を実行する、
ことを特徴とする出鋼温度予測方法 - 前記溶鋼温度は、
実際に測定することで得られる標準値と、
高温側の測定誤差を加味した上限値と、
低温側の測定誤差を加味した下限値と、
のうち少なくとも2つの値を含むものとし、
前記初期耐火物温度の標準値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記溶鋼温度として前記標準値を用い、
前記初期耐火物温度の上限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記溶鋼温度として前記上限値を用い、
前記初期耐火物温度の下限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記溶鋼温度として前記下限値を用いる、
ことを特徴とする請求項1に記載の出鋼温度予測方法 - 前記スラグ温度は、
実際に測定することで得られる標準値と、
高温側の測定誤差を加味した上限値と、
低温側の測定誤差を加味した下限値と、
のうち少なくとも2つの値を含むものとし、
前記初期耐火物温度の標準値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記スラグ温度として前記標準値を用い、
前記初期耐火物温度の上限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記スラグ温度として前記上限値を用い、
前記初期耐火物温度の下限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記スラグ温度として前記下限値を用いる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の出鋼温度予測方法 - 前記操業スケジュールは、
実際に予定されている標準スケジュールと、
延長側のスケジュール誤差を加味した最長スケジュールと、
短縮側のスケジュール誤差を加味した最短スケジュールと、
のうち少なくとも2つの値を含むものとし、
前記初期耐火物温度の標準値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記操業スケジュールとして前記標準スケジュールを用い、
前記初期耐火物温度の上限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記操業スケジュールとして前記最短スケジュールを用い、
前記初期耐火物温度の下限値を用いて前記非定常伝熱計算を実行する場合は、前記操業スケジュールとして前記最長スケジュールを用いる、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の出鋼温度予測方法 - 前記取鍋から溶鋼が出鋼するための出鋼孔が、当該取鍋の底盤の中心から側壁へ向かって所定の距離、離れて設けられている場合において、
前記取鍋内の溶鋼を鉛直方向に少なくとも2以上のブロック群に分割し、
前記ブロック群のうち、鉛直方向最も下方に位置するブロックとしての下部ブロックを水平方向に、前記出鋼孔側の下部孔ブロックと他方側の下部滞留ブロックとに分割し、
各ブロック間においては、熱対流及び/又は溶鋼流動に伴って熱移動するものとし、
前記下部滞留ブロック内の溶鋼は、前記取鍋内の溶鋼の総量が、前記下部ブロックに相当する溶鋼量を下回ったときに限り、隣接する他のブロックとの境界を越えて溶鋼流動するものとする、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の出鋼温度予測方法
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