JP2007166861A - モータ制御装置、サスペンション装置および電流センサのゼロ点補正方法 - Google Patents

モータ制御装置、サスペンション装置および電流センサのゼロ点補正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 電流センサのゼロ点補正を行っても系の作動に制御遅れが生じないモータ制御装置を提供することである。
【解決手段】 車両に搭載され外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータM1を電流フィードバックによって制御する本発明のモータ制御装置C1では、車速が所定の車速閾値以内であって、系に作用する外力が所定の外力閾値以内であるときを基準として電流センサ12のゼロ点補正を実施するので、上記以外では、電流センサのゼロ点補正を実施せず、また、電流センサのゼロ点補正処理を実施中であるときには当該処理を中断して従来モータ制御装置より早く通常制御に復帰することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、車両に搭載され外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータの電流センサのゼロ点補正を行うモータ制御装置の改良、該モータ制御装置を備えたサスペンション装置の改良および電流センサのゼロ点補正方法の改良に関する。
この種、車両に搭載され外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータのモータ制御装置における電流センサのゼロ点補正は、たとえば、電動パワーステアリング装置に具現化されており、この電動パワーステアリング装置にあっては、操舵系に補助トルクを付与するモータと、操舵系の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、操舵トルク信号に基づいてモータに供給すべき目標電流を決定する目標電流決定手段と、モータに流れる電流を検出する電流センサと、モータを駆動するモータ駆動手段とを有してなり、上記目標電流決定手段で決定された目標電流が所定値以下のときにモータの駆動を停止し、電流センサのゼロ点からのオフセット方向を検出し、ゼロ点の補正を行うようにしている(たとえば、特許文献1参照)。
この電動パワーステアリング装置における電流センサのゼロ点補正では、電流センサの出力そのものによってオフセット値を求めており、また、上記電動パワーステアリング装置にあっては、この操舵トルクに対して補助トルクを付与しない不感帯を設けて、トルクセンサが出力する電圧信号に含まれるノイズによって常にモータが作動し、操舵系が振動してしまうといった不具合を解消しており、操舵トルクがこの不感帯領域にあるような微小である場合、操舵をアシストする必要が無く、このときの目標電流もゼロとなることからゼロ点補正を開始し、目標電流が所定値を超えるようになる、つまり、操舵のアシストが必要となるような事態となると、ゼロ点補正を中断してアシスト制御に復帰するようにしている。
したがって、上記電流センサのゼロ点補正にあっては、目標電流が所定値を超えるか否かでゼロ点補正の開始と中断を判断するようにしている。
特開2004−130901号公報(第5頁第28行目から第40行目まで、第7頁第42行目から第47行目まで,図1および図3)
上記した電流センサのゼロ点補正にあっては、精度良いゼロ点補正を行える反面、以下の不具合があると指摘される可能性がある。
すなわち、このような電流センサのゼロ点補正では、アシストが不要なときにゼロ点補正を行う上では、特に問題は無いが、ゼロ点補正中に操舵入力があった場合には、ゼロ点補正の中断のフローでは、最低限目標電流が所定値以上にならないと操舵入力があったことにならず、また、そのような状況では既に操舵トルクが入力されているので、それから即時でモータ駆動手段であるH型ブリッジ回路の駆動が許可されるのでアシスト制御を開始したとしても、補助トルクの付与に遅れが生じ、アシスト制御を常に実行している状態に比較すると、このアシスト制御の開始の遅れによって、車両搭乗者は違和感を知覚し、車体の挙動にも影響を与えるところとなる。
また、系が制振系であって、モータが車体姿勢を制御するアクチュエータとして機能する場合や、モータの動力を減衰力発生源とするようなサスペンション装置にあっても、同様に電流センサのゼロ点補正を行う必要があるが、従来と同様のゼロ点補正では、上述したところから明らかなように、どうしても、制御再開時に遅れが生じてしまい、この制御開始の遅れによって、電動パワーアシスト装置と同様に、車両搭乗者は違和感を知覚し、車体の挙動にも影響を与えるところとなる。
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、其目的とするところは、電流センサのゼロ点補正を行っても系の作動に対し制御遅れが生じないモータ制御装置を提供することである。
上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段におけるモータ制御装置は、車両に搭載され外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御するモータ制御装置おいて、車速が所定の車速閾値以内であって、系に作用する外力が所定の外力閾値以内であるときに、電流センサのゼロ点補正を実施する。
また、上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段におけるサスペンション装置は、車体と車軸との間の四箇所に設けられるモータから動力の提供を受けるサスペンション本体と、各モータを制御する四つのモータ制御装置とを備えたサスペンション装置であって、一のモータ制御装置は、他のモータ制御装置が電流センサのゼロ点補正を実施可能な状態でなければ、電流センサのゼロ点補正を行わない。
さらに、上記した目的を達成するため、本発明の他の課題解決手段におけるサスペンション装置は、車体と車軸との間の四箇所に設けられるモータから動力の提供を受けるサスペンション本体と、各モータを制御する四つのモータ制御装置とを備えたサスペンション装置であって、一のモータ制御装置は、自己および他のモータ制御装置が電流センサのゼロ点補正を実施可能な状態であることを検知し、自己および他のモータ制御装置が電流センサのゼロ点補正を実施可能な状態であるときに、他のモータ制御装置に電流センサのゼロ点補正を実施する指令を与えるとともに、自己の電流センサのゼロ点補正を実施する。
そして、上記した目的を達成するため、本発明のさらに他の課題解決手段におけるサスペンション装置は、車体と車軸との間の四箇所に設けられるモータから動力の提供を受けるサスペンション本体と、各モータを制御する四つのモータ制御装置とを備えたサスペンション装置であって、全てのモータ制御装置が電流センサのゼロ点補正を実施可能な状態であるときに、全てのモータ制御装置に電流センサのゼロ点補正を実施する指令を与えることを特徴とする。
また、さらに、上記した目的を達成するため、本発明の別の課題解決手段におけるサスペンション装置は、車体と車軸との間の四箇所に設けられるモータから動力の提供を受けるサスペンション本体と、各モータを制御する四つのモータ制御装置とを備えたサスペンション装置であって、全てのモータ制御装置が電流センサのゼロ点補正を実施可能な状態ことを検知する検知部を備え、該検知部は、全てのモータ制御装置が電流センサのゼロ点補正を実施可能な状態であるときに、全てのモータ制御装置に電流センサのゼロ点補正を実施する指令を与えることを特徴とする。

さらに、上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段における電流センサのゼロ点補正方法は、車両に搭載され外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御するモータ制御装置における電流センサのゼロ点補正方法おいて、車速が所定の車速閾値以内であって、系に作用する外力が所定の外力閾値以内であるときにモータの電流をゼロとするステップと、電流センサのゼロ点補正を実施するステップとを含む。
そして、さらに、上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段における電流センサのゼロ点補正方法は、車両に搭載され外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御するモータ制御装置における電流センサのゼロ点補正方法おいて、車速が所定の車速閾値以内であって、系に作用する外力が所定の外力閾値以内であって、系の作動量が所定の作動量閾値以内であるときにモータの電流をゼロとするステップと、電流センサのゼロ点補正を実施するステップとを含む。
本発明のモータ制御装置によれば、車両の車速が所定の車速閾値以内であって、操舵系に作用する外力が所定の外力閾値内である場合には、電流センサのゼロ点補正の実施が可能であると判断して電流センサのゼロ点補正処理を行うようになっているので、上記以外では、電流センサのゼロ点補正の実施が不能であると判断し、電流センサのゼロ点補正を実施せず、また、電流センサのゼロ点補正処理を実施中であるときには当該処理を中断して従来モータ制御装置より早く通常制御に復帰することができる。
したがって、車両走行時に電流センサのゼロ点補正を行い、その処理中にゼロ点補正の条件を逸脱して、該ゼロ点補正処理を中断し通常制御に復帰するような事態となっても、通常制御に遅れを生じることは無く、電流センサのゼロ点補正処理から通常制御への復帰の際に、車両搭乗者は違和感を知覚することがなく、車体の挙動にも影響を与えない。すなわち、このような外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサのゼロ点補正を行うモータ制御装置を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上でき、系の実用性を向上することができる。
また、仮に、万が一何らかの理由で上記通常制御の復帰の際に通常制御に遅れが生じる事態となっても、車両の速度は車速閾値が上述のように設定されているので車体の挙動に影響を与えることがない。
したがって、このような事態にあっても、外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサのゼロ点補正を行うモータ制御装置を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上できるので、系の信頼性を向上することができる。
さらに、本発明のサスペンション装置にあっては、車両の車速が所定の車速閾値以内であって、制振系であるサスペンション装置に作用する外力が所定の外力閾値内である場合には、電流センサのゼロ点補正の実施が可能であると判断して電流センサのゼロ点補正処理を行うようになっているので、上記以外では、電流センサのゼロ点補正の実施が不能であると判断し、電流センサのゼロ点補正を実施せず、また、電流センサのゼロ点補正処理を実施中であるときには当該処理を中断して従来モータ制御装置より早く制振制御に復帰することができる。
したがって、車両走行時に電流センサのゼロ点補正を行い、その処理中にゼロ点補正の条件を逸脱して、該ゼロ点補正処理を中断し制振制御に復帰するような事態となっても、制振制御に遅れを生じることは無く、電流センサのゼロ点補正処理から制振制御への復帰の際に、車両搭乗者は違和感を知覚することがなく、車体の挙動にも影響を与えない。すなわち、このような外力により作動せしめられる制振系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサのゼロ点補正を行うモータ制御装置を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上でき、制振系の実用性を向上することができる。
また、仮に、万が一何らかの理由で上記制振制御の復帰の際に制振制御に遅れが生じる事態となっても、車両の速度は車速閾値が上述のように設定されているので車体の挙動に影響を与えることがない。
したがって、このような事態にあっても、外力により作動せしめられる制振系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサのゼロ点補正を行うモータ制御装置を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上できるので、制振系の信頼性を向上することができる。
さらに、上記に加えて、全てのモータ制御装置にて、ゼロ点補正処理の実施か可能であることを判断することで、上記電流センサのゼロ点補正処理を行うようにしているので、たとえば、一つのモータ制御装置にてゼロ点補正処理が実施されてその他のモータ制御装置では制振制御が行われてしまい、車両の挙動に影響を与えてしまうような事態も防止されることになる。
また、他の課題解決手段におけるサスペンション装置にあっては、上記サスペンション装置の効果に加えて、通信線の本数を少なくすることができ、全てのモータ制御装置がゼロ点補正処理を実施可能であることを判断しゼロ点補正処理の実施を行う指令を発するのは一つのモータ制御装置のみが受け持つことから、ゼロ点補正処理の実施が可能であるかの判断はより早くなることから、タイムリーな電流センサのゼロ点補正処理が可能であり、四つのモータ制御装置におけるゼロ点補正処理を同時に行うことを確実なものとすることができる。
そして、さらに他の課題解決手段および別の課題解決手段におけるサスペンション装置にあっては、上記サスペンション装置の効果に加えて、各モータ制御装置におけるゼロ点補正処理の実施の可否をモニタし、ゼロ点補正処理の実施許可を与える構成となっているので、四つのモータ制御装置にゼロ点補正処理を確実に同時に行わせることが可能であり、各モータ制御装置の制振制御およびゼロ点補正処理に必要なプログラムを共通のものとしておくことができる利点がある。
またさらに、本発明の電流センサのゼロ点補正方法にあっては、車速が所定の車速閾値以内であって、系に作用する外力が所定の外力閾値以内であるときにモータの電流をゼロとするステップと、電流センサのゼロ点補正を実施するステップとを含んでおり、車両の車速が所定の車速閾値以内であって、系に作用する外力が所定の外力閾値内である場合には、電流センサのゼロ点補正の実施が可能であると判断して電流センサのゼロ点補正処理を行うようになっているので、上記以外では、電流センサのゼロ点補正の実施が不能であると判断し、電流センサのゼロ点補正を実施せず、また、電流センサのゼロ点補正処理を実施中であるときには当該処理を中断して従来モータ制御装置より早く通常制御に復帰することができる。
したがって、車両走行時に電流センサのゼロ点補正を行い、その処理中にゼロ点補正の条件を逸脱して、該ゼロ点補正処理を中断し通常制御に復帰するような事態となっても、通常制御に遅れを生じることは無く、電流センサのゼロ点補正処理から通常制御への復帰の際に、車両搭乗者は違和感を知覚することがなく、車体の挙動にも影響を与えない。すなわち、このような外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサのゼロ点補正を行うモータ制御装置を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上でき、系の実用性を向上することができる。
また、仮に、万が一何らかの理由で上記通常制御の復帰の際に通常制御に遅れが生じる事態となっても、車両の速度は車速閾値が上述のように設定されているので車体の挙動に影響を与えることがない。
したがって、このような事態にあっても、外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサのゼロ点補正を行うモータ制御装置を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上できるので、系の信頼性を向上することができる。
さらに、上記した電流センサのゼロ点補正方法が、車速が所定の車速閾値以内であって、系に作用する外力が所定の外力閾値以内であって、系の作動量が所定の作動量閾値以内であるときにモータの電流をゼロとするステップと、電流センサのゼロ点補正を実施するステップとを含む場合には、上記した電流センサのゼロ点補正方法の効果に加えて、ゼロ点補正処理を実行中であっても、より早くゼロ点補正処理を中断して通常制御への復帰が可能となり、車両の挙動に影響を与える危惧が皆無となる。したがって、制御遅れによる車両搭乗者に違和感を与える弊害をより一層効果的に取り除くことができ、より一層車両の乗り心地を向上することが可能となり、系の信頼性および実用性をより一層向上することができる。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1は、第1の実施の形態のモータ制御装置が適用された操舵系の概念図である。図2は、第1の実施の形態におけるモータを駆動する駆動回路を示す図である。図3は、第1の実施の形態におけるモータ制御装置のシステム図である。図4は、操舵トルクをパラメータとした操舵トルクとq相の電流目標値との関係を示すマップである。図5は、第1の実施の形態における電流センサのゼロ点補正処理の実施の可否を判断する処理手順の一例を示す図である。図6は、第1の実施の形態の一変形例におけるモータを駆動する駆動回路を示す図である。図7は、第1の実施の形態の他の変形例におけるモータを駆動する駆動回路を示す図である。図8は、第1の実施の形態の別の変形例におけるモータを駆動する駆動回路を示す図である。図9は、第1の実施の形態における電流センサのゼロ点補正の処理の手順の一例を示す図である。図10は、第1の実施の形態における電流センサのゼロ点補正処理における移動平均処理およびオフセット値演算処理の手順の一例を示す図である。図11は、第2の実施の形態におけるモータ制御装置が適用された制振系の概念図である。図12は、第2の実施の形態におけるモータ制御装置のシステム図である。図13は、第2の実施の形態の一変形例におけるモータ制御装置が適用された制振系の概念図である。図14は、第2の実施の形態の他の変形例におけるモータ制御装置が適用された制振系の概念図である。図15は、第2の実施の形態の別の変形例におけるモータ制御装置が適用された制振系の概念図である。図16は、第2の実施の形態における他のサスペンション本体の概念図である。
第1の実施の形態のモータ制御装置C1は、図1に示すように、図示しない車両に搭載される操舵系である電動パワーステアリング装置1に適用されており、この電動パワーステアリング装置1は、操舵輪2と、操舵輪2に軸3を介して連結されるピニオンギア4と、モータM1と、モータM1のロータに連結されるピニオンギア5と、上記各ピニオンギア4,5に歯合され各ピニオンギア4,5の回転運動により駆動されるラック6と、ラック6の両端にタイロッド7およびナックルアーム8を介して連結される車輪W,Wと、モータM1を電流フィードバックにより制御するモータ制御装置C1とを備えて構成され、モータ制御装置C1は、操舵系である電動パワーステアリング装置1に作用する外力となる操舵輪2の操舵トルクを検出するトルクセンサ9と、車両の走行速度を検出する速度センサ10と、モータM1のロータの位置を検出する回転角センサ11と、モータM1の電流を検出する電流センサ12と、電流センサ12あるいは電流センサ12の近傍の温度を検出する温度センサ16と、トルクセンサ9、速度センサ10、回転角センサ11、電流センサ12および温度センサ16から入力される信号を処理しモータM1を駆動する駆動回路13の動作を制御することによってモータM1の駆動制御を行う制御部14とを備えている。
なお、系に作用する外力とは、系の外部から作用する力であって、上述の系である電動パワーステアリング装置であれば、電動パワーステアリング装置の外部から電動パワーステアリング装置に作用する力であり、本実施の形態においては、この外力は、車両搭乗者の操舵輪2の操舵によって電動パワーステアリング装置に作用する操舵トルクとされている。また、詳しくは後述するが、系が車両の制振系であって電磁サスペンション装置の場合には、外力は、電磁サスペンション装置に外部から作用する力となる。
また、軸3の中間部には、ユニバーサルジョイントUが介装されており、軸3がエンジンルーム等の空間を占拠することがないようになっている。
そして、この電動パワーステアリング装置1は、基本的には、操舵輪2の操舵トルクをトルクセンサ9で検出して、この操舵トルクに応じてモータM1を駆動し、操舵輪2の操舵によるラック6の駆動を上記モータM1が出力する補助トルクでアシストするようになっている。
なお、上記したところでは、モータM1が出力する補助トルクをラックピニオン機構によってラック6の軸方向の力に変換してラック6に伝達するようにしているが、ラック6の一部を螺子軸とし、この螺子軸に螺合されるボール螺子ナットにモータM1の補助トルクを伝達するようにして、上記補助トルクをラック6の軸方向の力に変換してラック6に伝達するようにしてもよい。
また、操舵輪2は、図1に示すように、その中心部に連結される軸3を介してラック6に歯合するピニオンギア4が連結されているが、軸3の途中に減速機を設けて、操舵輪2の回転速度を減速してラック6に伝達するようにしてもよい。
そして、上記した軸3の途中には、トルクセンサ9が取付けられており、このトルクセンサ9は、操舵輪2が回転操作された時の操舵トルクを検出できるようになっている。トルクセンサ9としては、たとえば、軸3の歪を測定でき、変化した電圧、電流等を信号として出力することができるものであればよく、歪ゲージやロードセル等を用いればよい。
他方、モータM1は、一般的な物を用いることができるが、本実施の形態では三相ブラシレスモータとして構成されており、具体的には、図示はしないが、この場合、フレームと、フレームの内周側に設けたステータと、フレームに回転自在に軸支されるロータとを備えて構成され、詳しくは、ステータは、複数のティースを備えた環状のステータコアと、各ティースに巻回されたU,V,W相の各相における巻線とを備えており、他方のロータは、ヨークを備えたシャフトと、ヨークに装着された磁石とを備えている。さらに、そして、上記モータM1の各相巻線は、駆動回路13に接続されている。
なお、上記磁石は、所定数の極数を実現できるようにブロック化された磁石で構成されて上記したヨークに埋め込まれており、本モータM1は、埋め込み磁石型とされている。無論、磁石を所定数の極数を実現できるようにブロック化してシャフトの外周に接着したり、環状に形成して分割着磁されてシャフトの外周に嵌着するようにしたりしてもよいが、いわゆる、表面磁石型とすると、弱め界磁制御を行うような場合に磁石の表面に渦電流損が生じやすいので、埋め込み磁石型の方が好ましい。
また、上記シャフトには、ロータの位置を検出する回転角センサ11が設けられており、この回転角センサ11は、具体的にはたとえば、モータM1のシャフトに設けたレゾルバコアとフレームに設けられるレゾルバコアに対向するレゾルバステータとで構成されており、この回転角センサ11は、ロータの位置を検出してロータの電気角θおよび電気角速度ωを専用に演算して出力する演算部を備えており、制御部14に上記ロータの電気角θと電気角速度ωを出力することができるように、制御部14に接続されている。
なお、回転角センサ11は、レゾルバ以外にも、ホール素子、ロータリエンコーダ等を用いることもできる。
なお、モータM1は、ピニオンギア5を介してラック6に連結されているので、モータM1のシャフトに回転角センサ11を設ける代わりに、ラック6に歯合する歯車を設けて、この歯車の回転を検知してロータの電気角速度ωあるいは回転角速度を検知するようにしてもよい。
また、上述したところでは、モータM1のシャフトにラック6に歯合するピニオンギア5を設けているが、減速機を介してモータM1のロータの回転速度を減速してピニオンギア5に伝達するようにしてもよい。
そして、上述のように、この電動パワーステアリング装置1にあっては、操舵輪2およびモータM1が操舵、駆動されると、ラック6は図1中左右方向に移動することができ、さらに、ラック6の両端はタイロッド7に連結され、タイロッド7の端部は、ナックルアーム8を介して車輪W,Wに連結されている。したがって、上記の如くラック6が図1中左右方向に移動せしめられると、車輪W,Wが同じ舵角で操舵されるようになっており、いわゆる、ラックピニオン式の操舵機構として構成されている。なお、上記したところでは、操舵機構をラックピニオン式としているが、ボールスクリュー式としてもよく、また、車輪W,WとラックRとのリンク機構は本実施の形態においては、いわゆる、ラックピニオン式であるが、センターアーム式やクロスリンク式等の他の公知のリンク機構としても差し支えない。
つづいて、駆動回路13は、本実施の形態の場合、モータM1が三相ブラシレスモータとして構成されているので、このモータM1の駆動に向くPWM回路として構成されており、この駆動回路13は、図2に示すように、電源Eに並列されそれぞれモータM1における三相各相の巻線の1つに接続される3つのアーム40と、各アーム40の上下に1つずつ設けられモータM1における三相各相の巻線に対する電源Eからの電流供給をコントロールする各スイッチング素子41と、各スイッチング素子41にPWMパルス信号を与えるマルチバイブレータ等の図示しないパルス発生器とを備えて構成されており、駆動回路13は、制御部14の指令に基づくPWMデューティ比で上記各相の巻線に電流供給を行う。
また、図2に示すように、駆動回路13とモータM1の三相の各巻線とを接続するリード線のうち、任意の2つのリード線の電流値を検出する電流センサ12が設けられており、この電流センサ12は、三相ブラシレスモータのU,V,Wのうち二相に流れる電流値、たとえば、電流値iu,ivを検出して、この電流値を電流または電圧でなる電流値信号として制御部14へ出力可能なようになっている。なお、電流センサ12としては、ホール素子や巻線等を用いた非接触型や、三相の各巻線のうち二相の巻線に直列介装した抵抗の電圧降下から電流値を得るものを用いればよい。
さらに、温度センサ16は、電流センサ12あるいは電流センサ12の近傍の温度を検出可能であり、温度を電流あるいは電圧でなる温度信号として制御部14に出力可能なようになっている。なお、温度センサ16としては、サーミスタや熱電対等の接触型の温度センサを使用すればよいが、非接触型の温度センサを使用することも可能である。
つづいて、制御部14は、上記トルクセンサ9、回転角センサ11、電流センサ12、温度センサ16、モータM1の駆動回路13にそれぞれ接続されるとともに、車両の走行速度を検出する速度センサ10に接続され、電動パワーステアリング装置1におけるモータM1を、モータM1に流れる電流とロータの電気角θとからdq変換を用いてd相およびq相の電流値を求め、d相電圧指令値およびq相電圧指令値に基づいてPWM制御するとともに、電流センサ12のゼロ点補正を実施できるようになっている。
そして、その構成は、図3に示すように、基本的には、トルクセンサ9で検知する操舵トルクに基づいて各電流目標値id*,iq*を演算する電流目標値演算部20と、電流センサ12で検知する三相のうち二相に流れる電流値をdq変換してd相電流値idおよびq相電流値iqを演算する二相電流演算部21と、各電流目標値id*,iq*と電流値id,iqに基づいてd相電圧指令値Vdおよびq相電圧指令値Vqを演算する比例積分制御部22と、d相電圧指令値Vdおよびq相電圧指令値VqをモータM1におけるU,V,Wの各相の電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換する三相変換演算部23と、モータM1におけるU,V,Wの各相の電圧指令値Vu,Vv,Vwに基づいて駆動回路13の各スイッチング素子41へ制御信号を出力して駆動回路13に該制御信号に則ったPWMデューティ比で各相の巻線への電力供給を行わせる駆動回路制御部24と、車速センサ10で検知する車速とトルクセンサ9で検知する操舵トルクと回転角センサ11から入力される電気角速度ωに基づいて電流センサ12のゼロ点補正の実施の可否を判断する判断部25と、電流センサ12が出力する電流値信号をアンチエリアシング処理するローパスフィルタ28と、ローパスフィルタ28で処理されたアナログの電流値信号をアナログデジタル変換処理してデジタル信号に変換するA/D変換器29と、A/D変換器29でアナログデジタル変換処理された後の電流センサの電流値信号を処理するデジタル演算型のローパスフィルタ30と、を備える構成とされている。
したがって、この制御部14は、電動パワーステアリング装置1が通常動作するとき、すなわち、電流センサ12のゼロ点補正を実行していない状況では、電流目標値演算部20によって決定される各電流目標値id*,iq*と、二相電流演算部21の演算結果として得られるd相、q相の電流値id,iqとのそれぞれの偏差εd,εqおよびこれら偏差εd,εqの積分値に基づいてモータM1を比例積分制御するようになっている。
電流目標値演算部20は、基本的には、操舵トルクに基づいて、図4に示した操舵トルクをパラメータとした操舵トルクとq相の電流目標値との関係を示すマップを参照し、さらに、車速による重み付けを行ってd相およびq相の電流目標値id*,iq*を決定し、このd相およびq相の電流目標値id*,iq*を上記比例積分制御部22に出力する。なお、d相の電流目標値id*は、モータM1が出力する補助トルクに寄与しない電流成分であるので通常はゼロとして出力される。
なお、電流目標値演算部20は、電気角速度ωに基づいて、d相の電流目標値id*をマイナスの値としてモータM1の弱め界磁制御を行う場合や、高速走行時のステアリングシステムのダンピング増加を狙いとした収斂制御を行うため、回転角センサ11が検出する電気角速度ωをモニタしている。さらに、電気角速度ωを微分することで電気角加速度を演算し、モータM1のロータと一体になって動く可動部に対する慣性補正制御などに利用してもよい。
また、上記図4のマップにあっては、操舵トルクに対してq相の電流目標値をゼロとし、補助トルクの付与を行わない不感帯領域を設定してあり、この不感帯領域は、具体的には、図4にしめすように、操舵輪2を図1中右側に回す方向の操舵トルクを正方向として、操舵輪2に作用する操舵トルクの絶対値が微小であって、モータM1に補助トルクを出力させて車両搭乗者の操舵輪2の操舵をアシストしなくても不都合が生じないような任意の領域とされ、ゼロ点を含み任意の操舵トルクの絶対値で仕切られた領域で定義されている。
したがって、この電動パワーステアリング装置1にあっては、操舵トルクの値が上記不感帯領域内にある場合には、モータM1は駆動せず操舵輪2の操舵をアシストする補助トルクを出力することは無く、また、この不感帯領域の存在によって、トルクセンサ9のノイズ成分で常にモータM1が振動するように駆動されたり、操舵輪2が操舵されていないのに電動パワーステアリング装置1の可動部分のフリクション等によってトルクセンサ9が微小なトルクを検知してしまいモータM1が駆動してしまったりといった不具合が解消されている。
そして、二相電流演算部21は、電気角θを用いて、以下の(1)式に示したように、上記各電流値iv,iuをd相およびq相の電流値id,iqへ変換する演算を行い、この変換されたd相およびq相の電流値id,iqを比例積分制御部22へ出力する。
Figure 2007166861
この二相電流演算部21は、上記d相およびq相の電流値id,iqを演算する際に、電流センサ12から出力される電圧でなる電流値信号を上記したローパスフィルタ28およびA/D変換器29を介して受け取る。そして、二相電流演算部21は、受け取った電流値信号と、電流センサ12の元々のゼロ点を示す基準値およびオフセット値を合算した値と、の差から電流値iv,iuを演算して、電流値iv,iuを得て、この電流値iv,iuから上記d相およびq相の電流値id,iqを演算するようになっている。
なお、オフセット値は、後述する電流センサ12のゼロ点補正処理によって得られる値であって、電流センサ12の元々のゼロ点である基準値からのドリフト量であり、また、基準値は、元々、電流センサ12が各相巻線に流れる電流がゼロであるときに出力する電流値信号であって、たとえば、電流センサ12がゼロから5vの電圧でなる電流値信号を出力するような場合、通常、基準値は2.5vに設定され、この基準値と上記電流センサ12の出力する電圧でなる電流値信号との差とその差の符合によって電流の大きさと向きを認識できるようになっている。
比例積分制御部22は、電流目標値演算部20によって演算された電流目標値id*,iq*と二相電流演算部21によって演算される電流値id,iqの各偏差εd,εqを演算し、上記各偏差εd,εqをそれぞれ積分するとともに、該偏差εd,εqおよび該積分値にそれぞれ適当なゲインを乗じてd相電圧指令値Vdおよびq相電圧指令値Vqを出力する。
そして、d相電圧指令値Vdおよびq相電圧指令値Vqは、上記した三相変換演算部23に入力され、この三相変換演算部23は、二相の電圧を三相の電圧に変換する演算を行って、上記d相電圧指令値Vdおよびq相電圧指令値Vqを実際のU,V,W各相の電圧指令値Vu,Vv,Vwへ変換し、この変換された電圧指令値Vu,Vv,Vwを駆動回路制御部24に出力し、上記電圧指令値Vu,Vv,Vwの入力を受けた駆動回路制御部24は、各相の電圧指令値Vu,Vv,Vwに基づいて駆動回路13のパルス発生器へ制御信号を出力して駆動回路13に該制御信号に則ったPWMデューティ比で各相の巻線への電力供給を行わせる。
したがって、この電動パワーステアリング装置1は、車両搭乗者が操舵輪2を回転操舵する時には、その回転する方向と同一の方向へ補助トルクを付与すべく制御部14はモータM1を駆動して、車両搭乗者の負担となる操舵輪2への操舵力を補助することができる。
なお、制御部14は、電圧リミッタ26と電流リミッタ27を備えており、この電圧リミッタ26は、三相変換演算部23が出力する上記各電圧指令値Vu,Vv,Vwのうち、PWM開度が全開、すなわち、PWMデューティ比が最大値以上となる場合に、PWMデューティ比を最大値とする値に電圧指令値Vu,Vv,Vwを制限する。電流リミッタ27は、各電流目標値id*,iq*を所定値以上とならないようにクランプするためのものである。
さらに、判断部25は、電流センサ12のゼロ点補正の実施の可否を判断する。この実施の形態の場合、具体的には、判断部25は、車速が所定の車速閾値以内であって、操舵系である電動パワーステアリング装置1に作用する外力となる操舵輪2の操舵トルクが所定の外力閾値以内であり、さらに、操舵系の作動速度としてのモータM1の電気角速度ωが所定の作動速度閾値たる角速度閾値以内である場合には、電流センサ12のゼロ点補正の実施が可能であると判断して電流センサ12のゼロ点補正処理を行い、上記以外では、電流センサ12のゼロ点補正の実施が不能であると判断する。
そして、電流センサ12のゼロ点補正の実施が可能な場合には、判断部25は、操舵輪2に補助トルクを付与する通常制御を停止し、駆動回路制御部24にモータM1の各相の巻線に流れる電流がゼロとなるような指令を送って、モータM1の各相巻線の電流をゼロに保ち、電流センサ12の出力する電流値信号を上記したローパスフィルタ28、A/D変換器29およびデジタル演算型のローパスフィルタ30を介して取得し、基準値とこの電流値信号を比較して、差がある場合、基準値からのオフセット値を求めるゼロ点補正処理を実施する。このオフセット値は、上述のように電流センサ12が元々電流ゼロを検出したときに出力する基準値に対するドリフト量であり、二相電流演算部21は、上記基準値と演算されたオフセット値とを合算した値を電流センサ12のゼロ点として電流値iv,iuを演算することになり、これによってモータ制御装置C1は、正確な電流値に基づいて通常制御を行うことができるようになる。
反対に、上記ゼロ点補正が不能な場合には、電流センサ12のゼロ点補正を行わず、また、この場合、ゼロ点補正が可能であると判断してゼロ点補正処理を実施中であるような状況にあっても、ゼロ点補正処理を中断して、通常のパワーアシスト制御、すなわち、操舵トルクに応じてd相およびq相の電流目標値id*,iq*を求めてモータM1を比例積分制御し操舵輪2の操舵に対して補助トルクを付与する制御に復帰するようになっている。
なお、電流センサ12が出力する電流値信号をアンチエリアシング処理するローパスフィルタ28は、電動パワーステアリング装置1の操舵輪2の操舵をアシストする機能を発揮させる通常制御に影響を与えないように、カットオフ周波数は比較的高い周波数に設定されているため、このローパスフィルタ28のみローパスフィルタ処理しても電流センサ12のゼロ点補正処理を行うには、電流値信号に高周波成分が含まれて不向きであるので、ローパスフィルタ28より低いカットオフ周波数でローパスフィルタ処理するデジタル演算型のローパスフィルタ30を設けてあり、このローパスフィルタ30でローパスフィルタ処理された後の電流値信号を判断部25で取り込むようにしてある。
ここで、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施するか否かの判断において、用いられる各種の閾値について説明すると、所定の車速閾値は、上記したゼロ点補正処理を行うにあたり、ゼロ点補正処理実行中にゼロ点補正の実施条件を満たさなくなってゼロ点補正処理を中断して通常制御に復帰する際に通常制御に遅れが生じて補助トルクの付与に遅れが生じたとしても、車両挙動が大きくならないような車速値に設定されており、たとえば、車速閾値は時速20km程度以下に設定されている。なお、この車速閾値をゼロに設定しておけば、ゼロ点補正処理を中断し通常制御へ復帰する際に、制御遅れが生じて補助トルクの付与に遅れが生じたとしても、車両挙動に影響を与えることが無い。
さらに、所定の外力閾値は、基本的には、q相電流目標値iq*がゼロでない値を持つような操舵トルクの絶対値以下に設定されている。つまり、所定の外力閾値は、上記操舵トルクに対してq相電流目標値iq*がゼロとなる不感帯領域を決する操舵トルクの絶対値以下に設定されている。
すなわち、目標電流値iq*で電流センサ12のゼロ点補正の実施の可否を判断する場合には、少なくとも操舵トルクが不感帯領域を超える値になるまで、電流センサ12のゼロ点補正処理を中断するか否かの判断を行えず、また、中断を判断して通常制御に復帰するときには、操舵トルクはある程度の値を持っているので通常制御復帰時に操舵輪2の操舵に対して補助トルクの付与が遅れるが、本実施の形態では、上述のように、操舵トルクを判断部25でモニタして電流センサ12のゼロ点補正の実施の可否を判断することから、電流目標値がゼロを超えるようになる以前に電流センサ12のゼロ点補正処理を中断すべきか否かの判断を行えるようになる。
そして、外力閾値が上記不感帯領域を決する操舵トルクの絶対値以下に設定される場合には、操舵トルクが不感帯領域内にある状態から電流センサ12のゼロ点補正処理を中断することができ、通常制御に復帰しても、その復帰の際に、モータM1の補助トルクの付与が操舵輪2の操舵に遅れることが無く、車両の挙動に影響を与える危惧が無くなる。
また、さらに、判断部25は、モータM1の電気角速度ωをモニタして、電流センサ12のゼロ点補正処理が実施不可能であるか否か判断している。モータM1は、電動パワーステアリング装置1内にあっては、トルクセンサ9より車輪W,Wに近い位置に設けられており、また、トルクセンサ9は操舵輪2からのトルクとラック6側からのトルクの差による軸3の歪によって操舵トルクを認識しており、基本的には、角度レベルの検出で操舵トルクの大きさを認識しているところ、上記モータM1の電気角速度ωは、角度より位相が進みとなるので角度レベルの検出に比較して早いタイミングで電動パワーステアリング装置1の作動を検知することができる。したがって、車輪W,W側に外力が加わって、操舵輪2の操舵が無い状態で車輪W,Wが操舵されてしまうような場合には、トルクセンサ9で操舵トルクを検知するより、早いタイミングで電動パワーステアリング装置1の作動を検知することができる。
したがって、車速閾値がゼロを超える値に設定される場合、車両が操舵輪2の操舵の必要がない直進走行時等で、車輪W,Wに路面等から外力が作用して操舵されると、これに対し車両搭乗者は車輪W,Wの操舵に対抗しようと操舵輪2を操舵することになるが、上述のように判断部25は、作動速度であるモータM1の電気角速度ωをモニタして電流センサ12のゼロ点補正処理を中断するか否かを判断することから、操舵トルクの入力よりも早いタイミングで操舵系である電動パワーステアリング装置1の作動を検知することができ、いち早くゼロ点補正処理を中断して通常制御に復帰することができることになる。
よって、操舵系の作動速度をモニタすることによって、車輪W,Wが外力で操舵されてしまうような場合にも、より早くゼロ点補正処理を中断して通常制御への復帰が可能となり、その復帰の際に、モータM1の補助トルクの付与が操舵輪2の操舵に遅れることが無く、車両の挙動に影響を与える危惧が無くなる。
上記したところから、所定の作動速度閾値たる角速度閾値は、上記のような場面で通常制御に復帰する際に制御遅れが生じないような値に設定されればよく、操舵トルクとの兼ね合いや、電動パワーステアリング装置1の仕様等からその値が決せられるが、これは実験的、経験的に適当な値に設定されてもよい。
なお、上記したところでは、モータM1の制御上必要となる情報が電気角速度ωであるため、作動速度を電気角速度ωとしておくことで別途他の作動速度情報を取り込む必要がなく、制御部14の構成上、制御上有利となるが、作動速度をモータM1のロータの機械角速度とするようにしてもよい。
上述のように、本発明のモータ制御装置にあっては、車両の車速が所定の車速閾値以内であって、操舵系である電動パワーステアリング装置1に作用する外力となる操舵輪2の操舵トルクが所定の外力閾値内である場合には、電流センサ12のゼロ点補正の実施が可能であると判断して電流センサ12のゼロ点補正処理を行うようになっているので、上記以外では、電流センサ12のゼロ点補正の実施が不能であると判断し、電流センサ12のゼロ点補正を実施せず、また、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施中であるときには当該処理を中断して従来モータ制御装置より早く通常制御に復帰することができる。
したがって、車両走行時に電流センサ12のゼロ点補正を行い、その処理中にゼロ点補正実施の条件を逸脱して、該ゼロ点補正処理を中断し通常制御に復帰するような事態となっても、通常制御に遅れを生じることは無く、電流センサ12のゼロ点補正処理から通常制御への復帰の際に、車両搭乗者は違和感を知覚することがなく、車体の挙動にも影響を与えない。すなわち、このような外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサ12のゼロ点補正を行うモータ制御装置を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上でき、系の実用性を向上することができる。
また、仮に、万が一何らかの理由で上記通常制御の復帰の際に通常制御に遅れが生じる事態となっても、車両の速度は車速閾値が上述のように設定されているので車体の挙動に影響を与えることがない。
したがって、このような事態にあっても、外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサ12のゼロ点補正を行うモータ制御装置を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上できるので、系の信頼性を向上することができる。
さらに、操舵系の作動速度としてのモータM1の電気角速度ωが所定の作動速度閾値たる角速度閾値内のときに、電流センサ12のゼロ点補正を行うようにしているので、車両が走行中に電流センサ12のゼロ点補正を行うような場合にあって、車輪W,Wに外力が作用して操舵される場合にあっても、より早くゼロ点補正処理を中断して通常制御への復帰が可能となり、車両の挙動に影響を与える危惧が皆無となる。したがって、制御遅れによる車両搭乗者に違和感を与える弊害をより一層効果的に取り除くことができ、より一層車両の乗り心地を向上することが可能となり、系の信頼性および実用性をより一層向上することができる。
なお、車速閾値がゼロである場合には、車体の挙動への影響は皆無となることから、車両搭乗者に違和感を全く与えることが無くなる。また、外力閾値をゼロ、すなわち、操舵系への外力入力がなく、系が停止中であるときにのみ、電流センサ12のゼロ点補正を実施するようにしておけば、車体の挙動への影響は皆無となることから、車両搭乗者に違和感を全く与えることが無くなる。
また、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施するか否かは、基本的には、上述したように、車速が車速閾値以内か、操舵トルクが外力閾値以内か、作動速度であるモータM1の電気角速度ωが作動速度閾値である角速度閾値以内かを基本として判断されることになるが、この実施の形態においては、さらに、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施可能であると判断され続ける場合、たとえば、車両が停車中で操舵輪2が操舵されない状態が継続されているような場合に、該ゼロ点補正処理を繰り返すことがないように、一度該ゼロ点補正処理が実行された後には、無駄なゼロ点補正処理を繰り返すことがないようになっている。
したがって、このモータ制御装置にあっては、無駄なゼロ点補正処理を繰り返すことがないことから、ゼロ点補正処理の回数を必要最低限に制限でき、ゼロ点補正処理を中断して通常制御への復帰する機会を少なくすることができ、通常制御の応答遅れが生じる恐れのある機会を低減することができる。
この無駄なゼロ点補正処理の繰り返しを防止するには、ゼロ点補正処理が実行された後に所定条件を満たすか否かを基準として判断されることになる。
この所定条件は、具体的には、電流センサ12のゼロ点補正後に温度センサ16で検出する電流センサ12あるいは電流センサ12近傍の温度変化量が温度閾値を超えること、つまり、ゼロ点補正処理を実行したときの温度と、ゼロ点補正後に順次検出される温度との差の絶対値が温度閾値を超えることで満たされるようになっている。
すなわち、電流センサ12のゼロ点がドリフトする大きな原因として、温度変化が挙げられ、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施可能であると判断され続ける場合にあっても、電流センサ12の温度が変化する場合には、ゼロ点がドリフトすることから、このドリフト量が電流センサ12の定格からして電動パワーステアリング装置1の通常制御に無視できない程度の影響を与えると考えられる場合には、ゼロ点補正処理を行うようにしてある。
すなわち、上記した温度閾値は、電流センサ12のドリフト量が電動パワーステアリング装置1の通常制御に無視できない程度の影響を与えるようなドリフト量となる温度変化量の値に設定されている。
さらに、上記所定条件は、この実施の形態にあっては、系に作用する外力が所定の外力閾値を超えるか、車速が所定の車速閾値を超えるか、系の作動速度が所定の作動速度閾値を超えることでも満たされるようになっている。
これは、ゼロ点補正処理後に、ゼロ点補正処理を実施することができない状況となることをも所定条件としており、実際に電動パワーステアリング装置1が作動した後に、ゼロ点補正処理を実施できる状況となる場合には、モータM1の巻線に電流が流れて熱を発するので電流センサ12の温度上昇が当然に懸念されることからゼロ点補正処理を行うことによって、系の信頼性を向上することができる。
そして、制御部14の図3に示すローパスフィルタ28とA/D変換器29以外の構成は、CPU(Central Prossesing Unit)等の演算処理装置が所定のプログラムを実行することで実現することができる。具体的には、制御部14は、たとえば、ハードウェアとしては図示しないが、トルクセンサ9、速度センサ10、回転角センサ11、電流センサ12および温度センサ16からの信号を増幅するためのアンプと、A/D変換器29以外に設けられる上記トルクセンサ9、速度センサ10、回転角センサ11、および温度センサ16からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、ローパスフィルタ28以外に設けられる上記トルクセンサ9、速度センサ10、回転角センサ11、および温度センサ16からの信号に含まれる高周波成分をカットするローパスパスフィルタと、CPU等の演算処理装置と、上記演算処理装置に記憶領域を提供するRAM(Random Access Memory)等の主記憶装置部と、上記通常制御および電流センサ12のゼロ点補正処理とその中断に使用されるプログラム等が格納される副記憶装置を備えて構成されればよい。なお、上記演算処理等のプログラムについては、記憶媒体に記憶させておき、これを逐次読み出すことができるドライブを設けておくようにしてもよい。
つづいて、判断部25における上述した電流センサ12のゼロ点補正の実施の可否の判断について具体的に説明する。この電流センサ12のゼロ点補正の実施の可否の判断は、図5に示す手順の一例に従って実行される。なお、この手順は、上述のように、予め制御部14の副記憶装置に格納されている。
まず、ステップS1では、上記した判断部25は、車両の車速が車速閾値以内か否かを判断する。そして、車速が車速閾値を超える場合には、ステップS13に移行し、車両の車速が車速閾値以内であるときは、ステップS2に移行する。
つづいて、ステップS2では、判断部25は、操舵輪2の操舵トルクが外力閾値以内か否かを判断する。そして、操舵トルクが外力閾値を超える場合には、ステップS13に移行し、操舵トルクが外力閾値以内であるときは、ステップS3に移行する。
さらに、ステップS3では、判断部25は、操舵系の作動速度としてのモータM1の電気角速度ωが所定の作動速度閾値たる角速度閾値以内か否かを判断する。そして、モータM1の電気角速度ωが角速度閾値を超える場合には、ステップS13に移行し、モータM1の電気角速度ωが角速度閾値以内であるときは、ステップS4に移行する。
以上、ステップS1からステップS3までの判断によって、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施すべきか否かの基本的判断が行われ、ステップS1からステップS3までの判断でステップS4へ移行する場合には、ゼロ点補正処理を基本的には行うべきである状況であり、他方、ステップS13へ移行する場合には電流センサ12のゼロ点補正処理を実行すべきではない状況であり、その後に続く処理では、ゼロ点補正処理を実行中であってもなくても電動パワーステアリング装置1本来の機能を発揮させるべく通常制御を行うようになっている。
続き、ステップS4では、判断部25は、補正完了フラグがOFFであるか否かを判断する。この補正完了フラグは、前回までに実行したこの電流センサ12のゼロ点補正の実施の可否の判断処理において、電流センサ12のゼロ点補正を中断せずに完了しているか否かを示すフラグであって、電流センサ12のゼロ点補正を中断せずに完了している場合はONに設定され、反対に電流センサ12のゼロ点補正処理中に中断して通常制御に復帰した場合にはOFFに設定される。
そして、このステップS4の判断によって、補正完了フラグがOFFの場合には、ステップS5に移行し、逆に、補正完了フラグがONの場合には、ステップS10に移行する。
ステップS10に移行する場合は、補正完了フラグがONとなっている状態であり、前回判断処理終了までにゼロ点補正処理が完了していることから、無駄なゼロ点補正処理を繰り返し実行することが無いよう、前回ゼロ点補正処理実行時に温度センサ16で検出した温度と、ステップS10移行時の温度センサ16で検出する現在温度との差の絶対値、すなわち温度変化量、が温度閾値を超えていない場合には、ステップS12に移行して、ゼロ点補正処理を実施せずに通常制御を行うようになっている。
反対に、前回ゼロ点補正処理実行時に温度センサ16で検出した温度と、ステップS10移行時の温度センサ16で検出する現在温度との差の絶対値が温度閾値を超えている場合には、電流センサ12のゼロ点が電動パワーステアリング装置1の通常制御に対して少なからず影響を与える程度にドリフトしていると考えられることから、ステップS11に移行して補正完了フラグをOFFに書き換えてからステップS5に移行し、その後に続く処理でゼロ点補正処理を実施するようになっている。
ステップS5では、判断部25は、補正中フラグがOFFであるか否かを判断する。この補正中フラグは、前回までに実行したこの電流センサ12のゼロ点補正の実施の可否の判断処理において、電流センサ12のゼロ点補正処理を実行中であったか否かを示すフラグであって、前回判断処理終了時までに、電流センサ12のゼロ点補正処理を実行中であった場合はONに設定され、反対に前回判断処理終了時までに、電流センサ12のゼロ点補正処理が終了している場合にはOFFに設定される。
そして、このステップS5の判断によって、補正中フラグがONの場合には、ステップS7に移行し、逆に、補正中フラグがOFFの場合には、ステップS6に移行して、補正中フラグをONに書き換えて、ステップS7に移行する。つまり、このステップS5またはステップS6では、補正中フラグは、ゼロ点補正処理が実行中であることを示すONに設定され、次回の処理にて、ゼロ点補正処理を実行中であるか否かを認識することができるようにしてある。
つづいて、ステップS7では、判断部25は、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施できる環境が整っているので、操舵輪2に補助トルクを付与する通常制御を停止し、モータM1の駆動を停止するべく、駆動回路制御部24にモータM1の各相の巻線の電流がゼロとなるような指令を送って、モータM1の各相巻線の電流をゼロに保ち、電流センサ12の出力する電流値信号をモニタし、電流値信号から基準値を減算してオフセット値を求めるゼロ点補正処理を行う。
また、このステップS7では、上記した電流センサ12のゼロ点補正処理を行うと同時に、比例積分制御部22における上記各偏差εd,εqの積分値をそれぞれリセットしてゼロとし、積分演算を停止させる。すなわち、この電流センサ12のゼロ点補正処理を行う際には、モータM1の各巻線の電流はゼロとされていることから、比例積分制御部22における各偏差εd,εqの積分値もゼロにしておくことで、このゼロ点補正処理実施後あるいは実施を中断した後に通常制御を行う際の通常制御を的確なものとすることができるとともに、通常制御の精度を向上することができる。
また、モータM1の駆動を停止に関してであるが、いくつかの方法を採用することができる。
図2に示した駆動回路13の構成と図3の制御部14の構成である場合には、モータM1の各巻線の電流をゼロとする制御指令、この場合、駆動回路制御部24で生成されるU,V,Vの各相の巻線の電流をゼロとする制御指令によって、強制的に上記三相各相の巻線の電流をゼロとするようにすればよく、また、各スイッチング素子41を全開、つまり、各スイッチング素子41の全てをOFFとして、電源Eから全くモータM1の三相各相の巻線に通電し得ない状態とするようにしてもよい。
あるいは、図6に示すように、制御部14の構成が、判断部25から電流目標値演算部20へ各電流目標値id*,iq*をゼロとする指令を与えることができるような構成となっている場合には、電流目標値演算部20において演算される各電流目標値id*,iq*をゼロとしてモータM1に与える制御指令、具体的には、各電流目標値id*,iq*をゼロであることに基づいて駆動回路制御部24で生成されるU,V,Vの各相へ与える制御指令によって、強制的に上記三相各相の巻線の電流をゼロとするようにしてもよい。この場合、PWMデューティ比は、デッドタイムを考慮しなければ、50%となり、モータM1の各相巻線に電流が流れない状態に制御することが可能である。なお、各電流目標値id*,iq*をゼロとする代わりに、比例積分制御部22における各偏差εd,εqとその積分値をゼロとしたり、三相変換演算部23の各相電圧指令値Vu,Vv,Vwをゼロとしたりしても同様の結果が得られる。
さらには、駆動回路13の構成を、図7に示すように、電源Eからの電力供給を遮断可能なリレースイッチ43を設けておく構成とし、判断部25からのモータM1の駆動停止指令によってリレースイッチ43を駆動して電力供給を遮断するようにし、強制的に、上記三相各相の巻線の電流をゼロとするようにしてもよい。
またさらには、駆動回路13の構成を、図8に示すように、各アーム40のうち任意の2つのアーム40と各巻線との間にリレースイッチ44,45を設けておく構成とし、判断部25からのモータM1の駆動停止指令によってリレースイッチ44,45を駆動して各巻線への電力供給を遮断するようにし、強制的に、上記三相各相の巻線の電流をゼロとするようにしてもよい。この場合には、モータM1が外力によって強制駆動させられたときに各相巻線に生じる誘導起電力によって各相巻線に電流が流れてしまう事態を確実に防止でき、電流センサ12のゼロ点補正の信頼性を向上することができる。
なお、上記した図7、図8のようにリレースイッチを用いてモータM1の各相巻線の電流をゼロとする方法に比較して、モータM1への制御指令によって駆動回路13の各スイッチング素子41をコントロールしてモータM1の各相巻線の電流をゼロに制御する場合には、ゼロ点補正処理を中断して通常制御へ復帰する際に、リレースイッチのスイッチング遅れがないので、通常制御への復帰速度の点で有利となり、ゼロ点補正を実施するか否かの判断基準となる各閾値をその分リレーを使用する場合に比較して大きくしておくことが可能となり、ゼロ点補正の実施可能機会を多くしておくことができ、また、リレースイッチの場合に見られるようなスイッチングしすぎによる接点不良という懸念も低減することがきる。
そして、上記ステップS7の処理で電流センサ12のゼロ点補正処理が許可され、ゼロ点補正処理が実施されると、引き続いてステップS8に移行し、ステップS8では、ゼロ点補正処理が完了しているか否かを判断する。上記したゼロ点補正処理は、このゼロ点補正処理の実施の可否の判断処理とは別のルーチンで実施されるようになっており、この判断処理では、ゼロ点補正処理が完了したか否かにかかわらず、図5に示した各手順が実行されるようになっている。
ステップS8で上記した電流センサ12のゼロ点補正処理が完了している場合にはステップS9に移行し、完了していない場合には、今回の判断処理を終了して、再度図5に示した一連の判断処理を繰り返す。したがって、次回にこの判断処理が行われる際には、ゼロ点補正処理は未完了で、ゼロ点補正処理を実施中であるとして処理されることになる。
ステップS9では、ゼロ点補正処理が完了しているので、補正完了フラグをONに設定するとともに、補正中フラグもOFFに書き換え、温度センサ16で検出する現時点での温度を読み込んで記憶装置内に格納する。また、比例積分制御部22における上記各偏差εd,εqの積分を再開させる。そして、今回の判断処理を終了し、再度図5に示した一連の判断処理を繰り返す。したがって、次回にこの判断処理を行われる際には、ゼロ点補正処理が完了したものとして処理されることになる。
戻って、ステップS1からステップS3までの判断によって、電流センサ12のゼロ点補正処理を実行すべきではない状況であると判断されステップS13に移行した後の処理について説明する。
ステップS13では、前回判断処理において、ゼロ点補正処理を実施中であったか否かを判断する。すなわち、補正中フラグがONであるか否かを判断する。そして、補正中フラグがONである場合には、ステップS14に移行し、ゼロ点補正処理を実施中であるので、ゼロ点補正処理を中断して通常制御に復帰すべく、通常制御再開処理を行う。
この通常制御再開処理では、通常制御が再開されるので補正中フラグをOFFとし、通常制御に必要なパラメータをクリアするとともに、比例積分制御部22における上記各偏差εd,εqの積分を再開させ、その後、ステップS12に移行して、通常制御処理を行う。
反対に、ステップS13で、補正中フラグがOFFである場合には、ステップS15に移行し、補正完了フラグがONであるか否かを判断する。
そして、補正完了フラグがONである場合には、前回判断処理以前にゼロ点補正処理が完了しているが、ステップS1からステップS3までの判断で、上述した所定条件を満たすことになるので、ステップS16に移行して、次回判断処理でゼロ点補正処理の実施を許可できるように、補正完了フラグをOFFに書き換える。そうして、ステップS12に移行するが、この場合、前回判断処理時にゼロ点補正処理が実行されておらず、通常制御を継続している状況であるので、そのまま通常制御を継続するだけでよい。
反対に、補正完了フラグがOFFである場合には、前回判断処理までに上述した所定条件を満たして補正完了フラグがOFFであることから、なんら処理を施すことなく、ステップS12に移行して、通常制御を行い続けることになる。
以上、一連の判断処理が終了すると、引き続き、次回の判断処理が実行されることになり、このようにして、判断部25による電流センサ12のゼロ点補正処理の実施の可否が判断されることになるのである。
引き続き、電流センサ12のゼロ点補正処理について説明する。判断部25は、上記した手順で電流センサ12のゼロ点補正処理の実施が可能であると判断すると、図9に示すゼロ点補正処理手順の一例に従って、ゼロ点補正処理を実行する。なお、この手順は、U相およびV相それぞれについて行われることになり、上述のようにこの手順はプログラムとして、予め制御部14の副記憶装置に格納されている。
まず、ステップS101では、電流センサ12が出力した電流値信号をローパスフィルタ30で、ローパスフィルタ処理を実行する。
続いて、ステップS102に移行して、判断部25は、電流値信号が整定する整定時間が経過したかを判断する。整定時間が経過している場合には、ステップS103に移行し、経過していない場合には、上記判断を繰り返し行う。この判断にあたっては、制御部14にタイマを設けておき、このタイマによって上記整定時間が経過したかを判断するようにしておけばよい。上記した整定時間であるが、これは、ローパスフィルタ30は、演算処理装置内で実行されるソフトウェアで実現されるデジタル演算型のローパスフィルタであり、そのカットオフ周波数と時定数は予め把握でき、電流値信号が整定する時間も予め把握することができ、上記した整定時間は、電流値信号が充分に整定する時間に設定されている。
このように、ローパスフィルタ28より低いカットオフ周波数を備えたデジタル演算型のローパスフィルタ30を備えているので、ゼロ点補正処理に必要な高精度な電流値を得ることができる。
さらに、ステップ103に移行して、判断部25は、電流値信号が充分整定した後に上記ステップS7で各相巻線の電流が強制的にゼロとされた状態で電流センサ12が出力する電圧でなる電流値を複数回取り込み、複数個得られる電流値毎に得られら電流値から主または副記憶装置内に格納されていた基準値、すなわち、電流センサ12が巻線に流れる電流がゼロであるときに元々出力する電圧でなる電流値を減算する演算を行い複数個の仮のオフセット値を求め、この複数個の仮のオフセット値を移動平均処理して、オフセット値を求める。
なお、電流値信号は電流センサ12が出力する電圧でなるので、上記の電流値の取り込みは電圧ベースで取り込まれることになり、ここで言う電流値は電流センサ12が出力している電圧で把握されるが、これを電流の値に換算するようにしてもよい。
このように、電流値信号が充分に整定した後に、電流値を取り込むので、電流センサ12が出力中の正確な電流値を取り込むことが可能となる。
そして、電流値を複数回取り込み、複数個の仮のオフセット値を演算し、それらを移動平均処理してオフセット値を求めるので、オフセット値からノイズや誤差を除去することができ、高精度なゼロ点補正処理を行うことが可能となる。
また、この移動平均処理を実行するまえに、複数サンプリングされる電流値の変動幅が電流値幅閾値を超えると、移動平均処理を実行せず、また、オフセット値を求めず、再度電流値をサンプリングし直してゼロ点補正をやり直すようにしている。この、電流値閾値は、ノイズ等によって電流値の変動幅が大きくなりすぎると、求められるオフセット値の信頼性が低下することになるので、このような電流値に含まれるノイズ等の弊害を取り除ける程度の任意の値に設定される。
したがって、このように、複数サンプリングされる電流値の変動幅をモニタして変動幅が大きくなりすぎる場合には、ゼロ点補正処理をやり直すので、このゼロ点補正処理によって求められるオフセット値の信頼性が向上するとともに、電動パワーステアリング装置1の通常制御にあっても正確な電流値に基づいて制御することになるから、その制御も的確となる実益がある。
そして、複数サンプリングされる電流値の変動幅が電流値幅閾値以内になる場合には、上記した仮のオフセット値を演算し移動平均処理を実行し、オフセット値を求めるが、求められたオフセット値の絶対値が予め定めたオフセット閾値を超える場合、求められたオフセット値は信頼性が低いので、再度電流値のサンプリングからゼロ点補正処理をやり直すようになっている。このオフセット閾値は、電流センサ12の定格から、あるいは、実験的、経験的に求めることができ、通常では生じ得ないドリフト量、つまり、オフセット量の値とされる。
したがって、このように、求められるオフセット値が大きくなりすぎる場合には、ゼロ点補正処理をやり直すので、このゼロ点補正処理によって求められるオフセット値の信頼性が向上するとともに、電動パワーステアリング装置1の通常制御にあっても正確な電流値に基づいて制御することになるから、その制御も的確となる実益がある。
さらに、ステップS104に移行し、判断部25は、ステップS103における移動平均処理が終了してオフセット値が求められたか否かを判断し、当該処理が終了している場合には、ステップS105に移行し、反対に、当該処理が未完了である場合には、ステップS104の判断を繰り返し行う。
引き続き、ステップS105では、上述の手順で求められたオフセット値を新たなオフセット値として、前回ゼロ点補正処理時のオフセット値をこの新たに求められるオフセット値に書き換えて主または副記憶装置内に格納する。
なお、上記したところでは、複数個得られる電流値から複数個の仮のオフセット値を演算し、この複数個の仮のオフセット値を移動平均処理してオフセット値を求めるようにしているが、複数個得られる電流値を移動平均処理して一つの電流値を演算し、移動平均処理後の電流値から基準値を減算することでオフセット値を求めるようにしてもよく、この場合にあっては、サンプリングされる電流値からノイズや誤差を除去することができ、結果、求められるオフセット値からもノイズや誤差を除去することができ、高精度なゼロ点補正処理を行うことが可能となる。
ここで、ステップS103の処理について、図10に示した処理手順を参照しながら、詳しく説明すると、ステップS201で、カウンタアップを行う。このカウンタアップは、Nの値がn(2以上の任意の整数)になるまでカウントする。
続いて、ステップS202に移行して、電流センサ12が出力している電流値を読み込んで、この値I(n)(n番目にサンプリングされた電流値)として、記憶装置に格納する。
そして、ステップS203に移行し、N=2であるか否かが判断され、N=2の場合には、ステップS204に移行し、記憶装置内に格納されている値I(1)が値I(2)より大きいか否かが判断される。
このステップS204の判断の後に、I(1)>I(2)である場合には、ステップS205に移行して、サンプリングされる電流値の最大値maxIの値を値I(1)とし、最小値minIを値I(2)とする。逆に、I(1)≦I(2)の場合には、ステップS216に移行し、サンプリングされる電流値の最大値maxIの値を値I(2)とし、最小値minIを値I(1)とする。
他方、上述のステップS203でN=2ではない場合、ステップS211に移行し、N>2である場合には、ステップS212に移行してサンプリングされる電流値の最大値maxIの値とI(n)との値とを比較して、I(n)の値の方が大きければ、ステップS213に移行して、最大値maxIの値をI(n)の値に書き換え、I(n)の値が最大値maxIの値以下である場合、ステップS214に移行して、上記I(n)の値と最小値minIの値とを比較し、I(n)の値が最小値minIより小さい場合、ステップS215に移行して、最小値mixIの値をI(n)の値に書き換え、I(n)の値が最小値minI以上である場合、ステップS207に移行する。
さらに、上記したステップS211の判断で、N>2でない場合、つまりこの手順ではN=1の場合に該当するが、この場合、電流値の最大値maxIと最小値minIを決定することができないので、処理を終了し、ステップS201に戻って、上述の手順を繰り返す。
すなわち、上記した各ステップの手順は、サンプリングされる複数の電流値の変動幅を演算するために必要な電流値の最大値maxIと最小値minIを求めるための手順であり、この手順は、カウンタの値がN=nとなるまで、つまり、サンプリングされる電流値データがn個となるまで繰り返されることになる。
なお、nの値は、任意であるが、大きければ大きいほど信頼性の高いオフセット値を求めることができるが、大きくしすぎるとサンプリングに時間がかかることになり、ゼロ点補正処理に要する時間が長くなることから、ゼロ点補正処理に要する時間が余り長時間とならないような値に設定されるとよい。
そして、一回でも上記電流値の最大値maxIと最小値minIが求まると、つまり、2回以上電流値がサンプリングされると、ステップS206に移行し、最大値maxIから最小値minIを減算した値、すなわち、電流値の変動幅が電流値幅閾値以下か否かが判断され、電流値の変動幅が電流値幅閾値以下となっている場合には、ステップS207に移行して、電流値データのサンプル数がn個となるか否かが判断され、電流値データがn個サンプリングされていない場合、つまり、N<nの場合には、電流値データのサンプル数が不足しているので、ステップS201に戻って電流値のサンプリングを繰り返し、逆に、電流値データがn個サンプリングされている場合には、ステップS208に移行してn個の電流値毎に上記基準値を減算して、n個の仮のオフセット値を演算し、n個の仮のオフセット値を移動平均処理して仮のオフセット値の移動平均値を演算し、この仮のオフセット値の移動平均値をオフセット値とする。
他方、電流値の変動幅が電流値幅閾値より大きい場合には、今までにサンプリングされた電流値を用いてオフセット値を求めると、信頼性の低いオフセット値しか求められないから、ステップS217に移行して、カウンタをリセットして、再度ステップS201からの手順を繰り返す。つまり、電流値のサンプリングを一からやり直す。
続いて、上記移動平均処理が終了すると、ステップS209に移行して、ステップS208で求められたオフセット値がオフセット閾値以下であるか判断する。この判断で、オフセット値がオフセット閾値より大きい場合、オフセット値の信頼性が低いので、ステップS217に移行し、カウンタをリセットして再度ステップS201からの手順を繰り返す。オフセット値がオフセット閾値以下である場合には、信頼性のあるオフセット値が求められたことになるので、ステップS210に移行して、オフセット値演算が完了したことを上述のステップS104で判断可能なように、適宜のフラグを用いて認識させできるように完了フラグ処理を行うとともに、カウンタをリセットする処理を行い、この一連の手順を終了する。
なお、上記した移動平均処理およびオフセット値を求める処理手順中に、電流値の変動幅が電流値幅閾値より大きくなって上記手順をやり直すことを連続して繰り返す場合や、オフセット値がオフセット閾値より大きくなって上記手順をやり直すことを連続して繰り返す場合に、この処理をやり直す回数をカウントしておき、このやり直しが予め設定される規定回数以上連続するような場合には、電流値の変動やオフセット値のデータを記憶装置に格納するようにしておいてもよい。このように不具合が発生している状態における上記データを保存しておくことで、その後のモータ制御装置C1の不具合の検証に便利である。
したがって、このモータ制御装置C1では、上記した具体的な処理手順を実行することによって、車両の車速が所定の車速閾値以内であって、操舵系である電動パワーステアリング装置1に作用する外力となる操舵輪2の操舵トルクが所定の外力閾値内である場合には、電流センサ12のゼロ点補正の実施が可能であると判断して電流センサ12のゼロ点補正処理を行うことができ、これ以外では電流センサ12のゼロ点補正の実施が不能であると判断して、電流センサ12のゼロ点補正を実施せず、また、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施中であるときには当該処理を中断して従来モータ制御装置より早く通常制御に復帰することができる。
したがって、車両走行時に電流センサ12のゼロ点補正を行い、その処理中にゼロ点補正の条件を逸脱して、該ゼロ点補正処理を中断し通常制御に復帰するような事態となっても、通常制御に遅れを生じることは無く、電流センサ12のゼロ点補正処理から通常制御への復帰の際に、車両搭乗者は違和感を知覚することがなく、車体の挙動にも影響を与えない。すなわち、このような外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサ12のゼロ点補正を行うモータ制御装置C1を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上でき、系の実用性を向上することができる。
また、仮に、万が一何らかの理由で上記通常制御の復帰の際に通常制御に遅れが生じる事態となっても、車両の速度は車速閾値が上述のように設定されているので車体の挙動に影響を与えることがない。
したがって、このような事態にあっても、外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサ12のゼロ点補正を行うモータ制御装置C1を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上できるので、系の信頼性を向上することができる。
さらに、操舵系の作動速度としてのモータM1の電気角速度ωが所定の作動速度閾値たる角速度閾値内のときに、電流センサ12のゼロ点補正を行うようにしているので、車両が走行中に電流センサ12のゼロ点補正を行うような場合にあって、車輪W,Wに外力が作用して操舵される場合にあっても、より早くゼロ点補正処理を中断して通常制御への復帰が可能となり、車両の挙動に影響を与える危惧が皆無となる。したがって、制御遅れによる車両搭乗者に違和感を与える弊害をより一層効果的に取り除くことができ、より一層車両の乗り心地を向上することが可能となり、系の信頼性および実用性をより一層向上することができる。
なお、車速閾値がゼロである場合には、車体の挙動への影響は皆無となることから、車両搭乗者に違和感を全く与えることが無くなる。また、外力閾値をゼロ、すなわち、操舵系への外力入力がなく、系が停止中であるときにのみ、電流センサ12のゼロ点補正を実施するようにしておけば、車体の挙動への影響は皆無となることから、車両搭乗者に違和感を全く与えることが無くなる。
そして、上述したところから理解できるように、電流センサのゼロ点補正を行う方法として、車速が所定の車速閾値以内であって、系に作用する外力が所定の外力閾値以内であるときにモータの電流をゼロとするステップと、電流センサのゼロ点補正を実施するステップとを含むようにしておけば、車両の車速が所定の車速閾値以内であって、操舵系に作用する外力が所定の外力閾値内である場合には、電流センサのゼロ点補正の実施が可能であると判断して電流センサのゼロ点補正処理を行うようになっているので、上記以外では、電流センサのゼロ点補正の実施が不能であると判断し、電流センサのゼロ点補正を実施せず、また、電流センサのゼロ点補正処理を実施中であるときには当該処理を中断して従来モータ制御装置より早く通常制御に復帰することができる。
したがって、車両走行時に電流センサのゼロ点補正を行い、その処理中にゼロ点補正の条件を逸脱して、該ゼロ点補正処理を中断し通常制御に復帰するような事態となっても、通常制御に遅れを生じることは無く、電流センサのゼロ点補正処理から通常制御への復帰の際に、車両搭乗者は違和感を知覚することがなく、車体の挙動にも影響を与えない。すなわち、このような外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサのゼロ点補正を行うモータ制御装置を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上でき、系の実用性を向上することができる。
また、仮に、万が一何らかの理由で上記通常制御の復帰の際に通常制御に遅れが生じる事態となっても、車両の速度は車速閾値が上述のように設定されているので車体の挙動に影響を与えることがない。
したがって、このような事態にあっても、外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサのゼロ点補正を行うモータ制御装置を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上できるので、系の信頼性を向上することができる。
また、上記した電流センサのゼロ点補正方法が、車速が所定の車速閾値以内であって、系に作用する外力が所定の外力閾値以内であって、系の作動量が所定の作動量閾値以内であるときにモータの電流をゼロとするステップと、電流センサのゼロ点補正を実施するステップとを含む場合には、上記した電流センサのゼロ点補正方法の効果に加えて、ゼロ点補正処理を実行中であっても、より早くゼロ点補正処理を中断して通常制御への復帰が可能となり、車両の挙動に影響を与える危惧が皆無となる。したがって、制御遅れによる車両搭乗者に違和感を与える弊害をより一層効果的に取り除くことができ、より一層車両の乗り心地を向上することが可能となり、系の信頼性および実用性をより一層向上することができる。
次ぎに、第2の実施の形態のモータ制御装置C2について説明する。この第2の実施の形態におけるモータ制御装置C2は、図11および図12に示すように、図示しない車両に搭載される制振系であるサスペンション装置50に適用されている。
このサスペンション装置50は、一方部材たる螺子軸51と、螺子軸51に対し相対運動を呈するボール螺子ナット52と、モータM2とを備え車両の四輪各所に配在されるサスペンション本体S1,S2,S3,S4と、各サスペンション本体S1,S2,S3,S4の各モータM2を制御する四つのモータ制御装置C2とを備えて構成され、各モータ制御装置C2は、制振系に作用する外力としての車体加速度を検知する加速度検知手段たる加速度センサ53と、車両の走行速度を検出する速度センサ10と、モータM2のロータの位置を検出する回転角センサ11と、モータM2の電流を検出する電流センサ12と、電流センサ12あるいは電流センサ12の近傍の温度を検出する温度センサ16と、加速度センサ53、速度センサ10、回転角センサ11、電流センサ12および温度センサ16から入力される信号を処理しモータM2を駆動する駆動回路13の動作を制御することによってモータM2の駆動制御を行う制御部54とを備えている。なお、速度センサ10は、車両に一つのみ設けられており、各モータ制御装置C2で共有されている。また、本実施の形態について説明するに当たり、第1の実施の形態と共通する部位については、同一の符合を付するのみとして、その詳しい説明を省略する。
以下、詳しく説明すると、螺子軸51は、ボール螺子ナット52に回転自在に螺合されるとともに、螺子軸51の図11中上端は、モータM2のロータに連結されている。
また、螺子軸51は、車両のバネ上部材である車体およびバネ下部材である車軸の一方に回転自在に連結されるようになっており、具体的には、上記車両の車体と車軸の一方に設けたボールベアリングに軸支されるか、モータM2を上記車両の車体と車軸の一方に固定するなどとされる。
他方のボール螺子ナット52は、螺子軸51が挿入される筒60の上端に固着されており、この筒60を介して車両のバネ上部材である車体およびバネ下部材である車軸のうち他方に連結することが可能なようになっている。
したがって、螺子軸51とボール螺子ナット52が軸方向の直線相対運動を呈すると、螺子軸51が回転運動を呈することになり、この螺子軸51の回転運動がモータM2のロータに伝達されることになる。ここで、螺子軸51の回転速度を歯車機構等で構成される減速機を介して減速して上記螺子軸51の回転運動をロータに伝達するようにしてもよい。
なお、上記螺子軸51とボール螺子ナット52が軸方向の直線相対運動を呈するときに、螺子軸51を回転不能として代わりにボール螺子ナット52を回転させるようにする場合には、このボール螺子ナット52の回転運動をモータM2のロータに伝達するようにしてもよい。具体的には、螺子軸51を車両の車体および車軸の他方に回転不能に連結し、他方のボール螺子ナット52を車両の車体および車軸の一方にボールベアリング等を介して回転自在に連結し、ボール螺子ナット52の回転運動を歯車機構や摩擦車機構等を介してモータM2のロータに伝達してやればよい。
そして、モータM2は、この場合、第1の実施の形態と同様の構成とされており、ブラシレスモータとされ、このモータM2のロータの位置を検出するために、第1の実施の形態と同様の回転角センサ11が搭載されている。
このサスペンション本体S1,S2,S3,S4にあっては、モータM2に電気エネルギを与えて駆動する場合には、螺子軸51を回転駆動させて螺子軸51とボール螺子ナット52とを積極的に相対直線運動させる、すなわち、ストロークさせることができ、アクチュエータとしての機能を発揮できる。
また、モータM2は、螺子軸51から強制的に回転運動が入力されると、誘導起電力や電源からの電力によって各相巻線に電流が流れて磁界が形成されて電磁力が発生し、螺子軸51の回転運動を抑制するトルクを発生するので、螺子軸51とボール螺子ナット52の相対直線運動を抑制するように機能する。すなわち、この場合には、モータM2が外部から入力される運動エネルギを回生して電気エネルギに変換して得られる電力によって、あるいは、この回生に加えて電源から供給される電力によって、発生するトルクで螺子軸51とボール螺子ナット52の相対直線運動を抑制することができる。
したがって、この電磁サスペンション装置は、モータM2をアクチュエータとしてもジェネレータとしても機能させることでモータM2に螺子軸51とボール螺子ナット52との直線相対運動を制御する制御力を発生させることができるので、上記螺子軸51とボール螺子ナット52の相対直線運動を抑制することができると同時に、アクチュエータとしての機能を生かして車両の車体の姿勢制御も同時に行うことができ、これにより、アクティブサスペンションとしての機能をも発揮することができる。
また、図11に示すように、車両に搭載される四つの制御部54は、通信線Lを介して互いに通信可能なようになっており、各制御部54は、図12に示すローパスフィルタ28とA/D変換器29以外の構成は、CPU(Central Prossesing Unit)等の演算処理装置が所定のプログラムを実行することで実現することができ、第1の実施の形態の制御部14と略同様の構成となっているが、制振系に向くように、電流目標値演算部20が、操舵トルクに換えて車両の姿勢制御を司る図示しない上位の車両制御装置から入力されるトルク指令に基づいて、各電流目標値id*,iq*を演算するようになっている点、また、電流センサ12のゼロ点補正処理の実施の可否を判断する判断部25には、制振系に作用する外力が操舵トルクではなく車体加速度であるので、この加速度センサ53が出力する車体加速度と、電流値と、車速と、モータM2の電気角速度ω、さらには、他のモータ制御装置C2から送信される他の判断部25の判断状況情報、すなわち、ゼロ点補正処理の実施の可不可、ゼロ点補正処理の中断、制振制御への復帰の各状況の情報が入力されて、上記ゼロ点補正処理の実施の可否を判断するようになっている点で異なる。
したがって、この制御部54もまた、第1の実施の形態と同様に、電流目標値演算部20によって決定される各電流目標値id*,iq*と、二相電流演算手段21の演算結果として得られるd相、q相の電流値id,iqとのそれぞれの偏差εd,εqに基づいてモータM2を比例積分制御する。
なお、上記した四つの制御部54における通信は、CAN(Controller Area Network)等の介して行うようにしてもよい。
ここで、電流目標値演算部20は、上記した上位の車両制御装置から所定の制御則に則って出力されるトルク指令およびロータの電気角速度ωに基づいてd相およびq相の電流目標値id*,iq*を上記比例積分制御部22に出力するが、この場合、車両制御装置の車両制御則は車体姿勢制御、スカイフック制御等の振動抑制制御が用いられ、電流目標値演算部20に対しての入力は、上記したトルク指令としてではなくても、力指令、q相電流目標値等の状態でなされてもよく、電流目標値演算部20でその分の換算を行うようにしてもよい。
また、この電流目標値演算部20でバネ上速度等の車両制御に必要な信号を取り込み、この電流目標値演算部20で車両制御則の演算を行うようにしてもよいことは勿論である。
そして、この実施の形態における判断部25における電流センサ12のゼロ点補正処理を実施するか否かの判断は、以下のようにして行われる。具体的には、各モータ制御装置C2における判断部25は、車速が所定の車速閾値以内であって、制振系であるサスペンション装置50に作用する外力となる車体加速度が所定の外力閾値以内であり、さらに、制振系の作動速度としてのモータM2の電気角速度ωが所定の作動速度閾値たる角速度閾値以内である場合には、電流センサ12のゼロ点補正の実施が可能である可能であると判断し、上記以外では、電流センサ12のゼロ点補正の実施が不能であると判断するが、これに加えて、各モータ制御装置C2の判断部25のそれぞれが、自身以外のモータ制御装置C2における判断部25でもゼロ点補正の実施が可能であると判断していない限り、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施しないようになっている。
つまり、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施するのは、各モータ制御装置C2における判断部25の全てが電流センサ12のゼロ点補正の実施が可能である可能であると判断する場合であり、各モータ制御装置C2における判断部25の全てが電流センサ12のゼロ点補正の実施が可能であると判断しない限り、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施しないようになっている。
さらに、本実施の形態におけるサスペンション装置にあっては、全てのモータ制御装置C2におけるゼロ点補正処理の実施か可能であることを判断することに加えて、全てのモータ制御装置C2におけるゼロ点補正処理の実施、および、ゼロ点補正処理の中断、制振制御への復帰を同時に行うようになっている。
そして、電流センサ12のゼロ点補正の実施が可能な場合には、判断部25は、サスペンション本体S1,S2,S3,S4に制御力を付与する通常制御を停止し、駆動回路制御部24にモータM2の各相の巻線電流がゼロとなるような指令を送って、モータM2の各相巻線の電流をゼロに保ち、電流センサ12の出力する電流値信号を上記したローパスフィルタ28、A/D変換器29およびデジタル演算型のローパスフィルタ30を介して取得しモニタし、基準値とこの電流値信号を比較して、差がある場合、基準値からのオフセット値を求めるゼロ点補正処理を実施する。このオフセット値は、上述のように電流センサ12が元々電流ゼロを検出したときに出力する基準値に対するドリフト量であり、二相電流演算部21は、上記基準値と演算されたオフセット値とを合算した値を電流センサ12のゼロ点として電流値iv,iuを演算することになり、各モータ制御装置C2は、正確な電流値に基づいて通常制御を行うことができるようになる。
反対に、上記ゼロ点補正が不能な場合には、電流センサ12のゼロ点補正を行わず、また、この場合、ゼロ点補正が可能であると判断してゼロ点補正処理を実施中であるような状況にあっても、ゼロ点補正処理を中断して、通常の車体の姿勢制御、すなわち、然るべき制御則に則ったd相およびq相の電流目標値id*,iq*を求めてモータM2を比例積分制御しサスペンション本体S1,S2,S3,S4に対して制御力を付与する通常の制振制御に復帰するようになっている。
なお、この実施の形態にあっても、電流センサ12が出力する電流値信号をアンチエリアシング処理するローパスフィルタ28は、サスペンション装置50の制振制御に影響を与えないように、カットオフ周波数は比較的高い周波数に設定されているため、このローパスフィルタ28のみローパスフィルタ処理しても電流センサ12のゼロ点補正処理を行うには、電流値信号に高周波成分が含まれて不向きであるので、ローパスフィルタ28より低いカットオフ周波数でローパスフィルタ処理するデジタル演算型のローパスフィルタ30を設けてあり、このローパスフィルタ30でローパスフィルタ処理された後の電流値信号を判断部25で取り込むようにしてある。
そして、この実施の形態における電流センサ12のゼロ点補正処理を実施するか否かの判断において、用いられる各種の閾値について説明すると、所定の車速閾値は、上記したゼロ点補正処理を行うにあたり、ゼロ点補正処理実行中にゼロ点補正の実施条件を満たさなくなってゼロ点補正処理を中断して制振制御に復帰する際に制振制御に遅れが生じて制御力の付与に遅れが生じたとしても、車両挙動が大きくならないような車速値に設定されており、たとえば、時速20km程度以下に設定されている。なお、この車速閾値をゼロに設定しておけば、ゼロ点補正処理を中断し制振制御へ復帰する際に、制御遅れが生じてサスペンション本体S1,S2,S3,S4に対するモータM2が出力する制御力の付与に遅れが生じたとしても、車両挙動に影響を与えることが無い。
さらに、所定の外力閾値は、基本的には、目標電流値演算手段20で演算されるq相電流目標値iq*がゼロでない値を持つようなトルク指令が入力されるような車体加速度の絶対値以下に設定される。
上記外力閾値は、具体的にたとえば、ゼロとされるが、場合によっては、サスペンション装置50が機能しない状態、つまり、懸架バネのみで車体が支持されているような状態において、低速かつ極低周波数の振動の入力があったときのように、車両の挙動が不安定となったり、車両の乗り心地が悪化したりすることがない程度の車体加速度の絶対値以下に設定することもできる。
したがって、車体加速度が外力閾値を超える値以上となると、電流センサ12のゼロ点補正処理を中断することができ、制振制御に復帰しても、その復帰の際に、モータM2の制御力の付与が遅れることが無く、車両の挙動に影響を与える危惧が無くなる。
すなわち、目標電流値iq*で電流センサ12のゼロ点補正の実施の可否を判断する場合には、少なくともq相電流目標値iq*がゼロでない値を持つような車体加速度になるまで、電流センサ12のゼロ点補正処理を中断するか否かの判断を行えず、また、中断を判断して制振制御に復帰するときには、車体加速度はある程度の値を持っているので制振制御復帰時に制御力の付与が遅れるが、本実施の形態では、上述のように、車体加速度を判断部25でモニタして電流センサ12のゼロ点補正の実施の可否を判断することから、電流目標値がゼロを超えるようになる以前に電流センサ12のゼロ点補正処理を中断すべきか否かの判断を行えるようになる。
また、さらに、判断部25は、モータM2の電気角速度ωをモニタして、電流センサ12のゼロ点補正処理の実施の可否を判断している。車体は、車輪側からサスペンション本体S1,S2,S3,S4および図示しない懸架バネを介して振動することになり、上記モータM2の電気角速度ωをモニタすることで、たとえば、車両の低速走行中に路面からの振動の入力があった場合、停車中にゆっくり荷物を車体に載せた場合や、エンジンをかけた状態でゆっくりジャッキアップした場合等の加速度センサ53では検知しにくい低周波数の振動が作用する場合に、加速度センサ53より早いタイミングでサスペンション本体S1,S2,S3,S4の作動を検知することができる。
すなわち、加速度は、速度に対して位相進みとなるが、サスペンション本体S1,S2,S3,S4に作用する振動が低周波数であるとゲインが小さすぎて加速度センサ53で検知しにくくなるが、上述のようにモータM2の電気角速度ωでサスペンション本体S1,S2,S3,S4の作動を検知するので、早いタイミングでサスペンション本体S1,S2,S3,S4の作動を検知することができる。
したがって、車速閾値がゼロを超える値に設定される場合、上述のように判断部25は、作動速度であるモータM2の電気角速度ωをモニタして電流センサ12のゼロ点補正処理を中断するか否かを判断することから、車体加速度の入力よりも早いタイミングで制振系であるサスペンション装置50の各サスペンション本体S1,S2,S3,S4の作動を検知することができ、いち早くゼロ点補正処理を中断して通常制御に復帰することができることになる。
よって、制振系の作動速度をモニタすることによって、より早くゼロ点補正処理を中断して制振制御への復帰が可能となり、その復帰の際に、モータM2の制御力の付与が遅れることが無く、車両の挙動に影響を与える危惧が無くなる。
上記したところから、所定の作動速度閾値たる角速度閾値は、制振制御に復帰する際に制御遅れが生じないような値に設定されればよく、車体加速度との兼ね合いや、サスペンション装置50の各サスペンション本体S1,S2,S3,S4の仕様等からその値が決せられるが、これは実験的、経験的に適当な値に設定されてもよい。
上述のように、本発明のモータ制御装置にあっては、車両の車速が所定の車速閾値以内であって、制振系であるサスペンション装置50に作用する外力となる車体加速度が所定の外力閾値内である場合には、電流センサ12のゼロ点補正の実施が可能であると判断して電流センサ12のゼロ点補正処理を行うようになっているので、上記以外では、電流センサ12のゼロ点補正の実施が不能であると判断し、電流センサ12のゼロ点補正を実施せず、また、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施中であるときには当該処理を中断して従来モータ制御装置より早く制振制御に復帰することができる。
したがって、車両走行時に電流センサ12のゼロ点補正を行い、その処理中にゼロ点補正の条件を逸脱して、該ゼロ点補正処理を中断し制振制御に復帰するような事態となっても、制振制御に遅れを生じることは無く、電流センサ12のゼロ点補正処理から制振制御への復帰の際に、車両搭乗者は違和感を知覚することがなく、車体の挙動にも影響を与えない。すなわち、このような外力により作動せしめられる制振系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサ12のゼロ点補正を行うモータ制御装置を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上でき、制振系の実用性を向上することができる。
また、仮に、万が一何らかの理由で上記制振制御の復帰の際に制振制御に遅れが生じる事態となっても、車両の速度は車速閾値が上述のように設定されているので車体の挙動に影響を与えることがない。
したがって、このような事態にあっても、外力により作動せしめられる制振系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御し、電流センサ12のゼロ点補正を行うモータ制御装置を搭載する車両の乗り心地を飛躍的に向上できるので、制振系の信頼性を向上することができる。
さらに、制振系の作動速度としてのモータM2の電気角速度ωが所定の作動速度閾値たる角速度閾値内のときに、電流センサ12のゼロ点補正を行うようにしているので、車両が走行中に電流センサ12のゼロ点補正を行うような場合にあっても、より早くゼロ点補正処理を中断して制振制御への復帰が可能となり、車両の挙動に影響を与える危惧が皆無となる。したがって、制御遅れによる車両搭乗者に違和感を与える弊害をより一層効果的に取り除くことができ、より一層車両の乗り心地を向上することが可能となり、系の信頼性および実用性をより一層向上することができる。
なお、車速閾値がゼロである場合には、車体の挙動への影響は皆無となることから、車両搭乗者に違和感を全く与えることが無くなる。また、外力閾値をゼロ、すなわち、制振系への外力入力がなく、系が停止中であるときにのみ、電流センサ12のゼロ点補正を実施するようにしておけば、車体の挙動への影響は皆無となることから、車両搭乗者に違和感を全く与えることが無くなる。
さらに、上記に加えて、本実施の形態におけるサスペンション装置にあっては、全てのモータ制御装置C2にて、ゼロ点補正処理の実施か可能であることを判断することで、上記電流センサ12のゼロ点補正処理を行うようにしているので、たとえば、一つのモータ制御装置C2にてゼロ点補正処理が実施されてその他のモータ制御装置C2では制振制御が行われてしまい、車両の挙動に影響を与えてしまうような事態も防止されることになる。
そして、さらに、本実施の形態におけるサスペンション装置にあっては、全てのモータ制御装置C2におけるゼロ点補正処理の実施か可能であることを判断することに加えて、全てのモータ制御装置C2におけるゼロ点補正処理の実施、および、ゼロ点補正処理の中断、制振制御への復帰を同期させるようになっている。
したがって、いずれかのモータ制御装置C2にてゼロ点補正処理が実施されてその他のモータ制御装置C2では制振制御が行われてしまって車両の挙動に影響を与えてしまうというような事態のみならず、ゼロ点補正処理を中断して制振制御への復帰の際に、各モータ制御装置C2で復帰タイミングに狂いが生じて車両の挙動に影響を与えてしまうような事態も効果的に防止される。
また、全てのモータ制御装置C2における制御部54同士が通信線Lを介して接続されているため、制御部54を他のモータ制御装置C2の制御部54を介して情報のやり取りをすることができる構成としておけば、ある通信線Lに不具合が生じても、他の通信線Lを介して上記したゼロ点補正処理が実施可能である情報を得ることができるので、サスペンション装置の信頼性および実用性を向上することが可能である。さらに、各モータ制御装置C2は、制振制御およびゼロ点補正処理時に同じ作動を呈するので、同じ構成としておくことができることから、制御部54の制振制御およびゼロ点補正処理に必要なプログラムを共通のものとしておくことができる利点があり、さらには、車体制御を司る上位の車両制御装置から独立してゼロ点補正処理を実施可能となり、上位の車両制御装置に負荷を与えないという利点もある。
なお、上記した第2の実施の形態におけるモータ制御装置C2は、四つ全てがお互いに通信して、上記ゼロ点補正処理を実施可能か否かを判断して、各モータ制御装置C2の判断部25において、他のモータ制御装置C2がゼロ点補正処理を実施可能であると判断される場合にのみ、ゼロ点補正処理を実施するようにしているが、これを図13に示すように、四つのうち、一つのモータ制御装置C2のみが他のモータ制御装置C2と通信可能なようにしておき、上記した一つのモータ制御装置C2における判断部25が自身および他のモータ制御装置C2がゼロ点補正処理を実施可能である情報を受け取って、他のモータ制御装置C2の判断部25にゼロ点補正処理の実施を行う指令を発するようにし、この指令によって全ての判断部25がゼロ点補正処理を実行するようにしておくとしてもよい。
このように構成することで、通信線Lの本数を図11に示す構成に比較して少なくすることができ、全てのモータ制御装置C2がゼロ点補正処理を実施可能であることを判断しゼロ点補正処理の実施を行う指令を発するのは一つのモータ制御装置C2における判断部25のみが受け持つことから、図12の構成に比較してゼロ点補正処理の実施が可能であるかの判断は早くなることから、タイムリーな電流センサ12のゼロ点補正処理が可能であり、四つのモータ制御装置C2におけるゼロ点補正処理を同時に行うことを確実なものとすることができる。
また、図14に示すように、外部に各モータ制御装置C2と通信可能な検知部55を設けておき、この検知部55にて、各モータ制御装置C2の判断部25からゼロ点補正処理を実施可能である情報を受け取り、全てのモータ制御装置C2がゼロ点補正処理を実施可能であることを確認して、各モータ制御装置C2の判断部25にゼロ点補正処理の実施を行う指令を発するようにし、この指令によって全ての判断部25がゼロ点補正処理を実行するようにしておくとしてもよい。
この場合には、検知部55が各モータ制御装置C2の判断部25におけるゼロ点補正処理の実施の可否をモニタし、ゼロ点補正処理の実施許可を与える構成となっているので、四つのモータ制御装置C2にゼロ点補正処理を確実に同時に行わせることが可能であり、各モータ制御装置C2における制御部54の制振制御およびゼロ点補正処理に必要なプログラムを共通のものとしておくことができる利点がある。
さらには、図15に示すように、各モータ制御装置C2の各制御部54から判断部25を独立させて上位の車両制御装置ECU内に統合し、上位の車両制御装置ECU内の判断部25で各モータ制御装置C2におけるゼロ点補正が実施可能か否かを判断して、全てのモータ制御装置C2がゼロ点補正処理を実施可能である場合に、各モータ制御装置C2においてゼロ点補正処理を実施させるようにしておいてもよい。
この場合には、車両制御装置ECUに各モータM2の角速度情報を与える必要性が生じるが上位の車両制御装置ECUと各モータ制御装置C2とは、車体姿勢制御を行う為に通信可能なように通信線Lで接続されているので、別途、各モータ制御装置C2同士、モータ制御装置C2と上位の車両制御装置ECUとをゼロ点補正処理のみに使用される通信線で接続しておく必要がなく、また、上位の車両制御装置ECUで全てのモータ制御装置C2をモニタでき、全てのモータ制御装置C2への指令出力の一元管理を行うことができる利点があり、四つのモータ制御装置C2にゼロ点補正処理を確実に同時に行わせることが可能であるとともに、各モータ制御装置C2における制御部54の制振制御およびゼロ点補正処理に必要なプログラムを共通のものとしておくことができる利点がある。
また、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施するか否かは、基本的には、上述したように、車速が車速閾値以内か、車体加速度が外力閾値以内か、作動速度であるモータM2の電気角速度ωが作動速度閾値である角速度閾値以内かを基本として判断されることになるが、さらに、電流センサ12のゼロ点補正処理を実施可能であると判断され続ける場合、たとえば、車両が停車中でサスペンション本体S1,S2,S3,S4が作動していない状態が継続されているような場合に、該ゼロ点補正処理を繰り返すことがないように、一度該ゼロ点補正処理が実行された後には、無駄なゼロ点補正処理を繰り返すことがないようになっている。
したがって、このモータ制御装置C2にあっても、第1の実施の形態と同様に、無駄なゼロ点補正処理を繰り返すことがないことから、ゼロ点補正処理の回数を必要最低限に制限でき、ゼロ点補正処理を中断して制振制御への復帰する機会を少なくすることができ、制振制御の応答遅れが生じる恐れのある機会を低減することができる。
この無駄なゼロ点補正処理の繰り返しを防止するには、ゼロ点補正処理が実行された後に所定条件を満たすか否かを基準として判断されることになるが、これも第1の実施の形態と同様の条件とされており、系に作用する外力が所定の外力閾値を超えるか、車速が所定の車速閾値を超えるか、系の作動速度が所定の作動速度閾値を超えることでも満たされるようになっている。
したがって、実際にサスペンション装置50の各サスペンション本体S1,S2,S3,S4が作動した後には、ゼロ点補正処理を実施できる状況となる場合にゼロ点補正処理を行うことになるので、系の信頼性を向上することができる。
また、ゼロ点補正処理の具体的手順であるが、これは、外力を操舵トルクではなく車体加速度としている以外は、第1の実施の形態の図5、図9および図10に示した手順と同様の手順で実行されることになり、その手順について詳細に説明した動作や効果については、系が制振系である第2の実施の形態にあっても同様である。
なお、上述した第2の実施の形態における制振系であるサスペンション装置に作用する外力を車体加速度として、これを加速度センサ53で検知し、電流センサ12のゼロ点補正処理の実施の可否の判断に用いているが、車体加速度以外にも、車体姿勢制御の制御則との兼ね合いにもよるが、バネ下となる車軸側部材の加速度としてもよく、さらに、車体あるいは車軸側部材の加速度ではなく速度ベースで検出し、上記電流センサ12のゼロ点補正処理の可否の判断に用いるようにしてもよい。
また、サスペンション本体を、図16に示す他のサスペンション本体のように、一方部材である筒71と、筒71に対し相対運動を呈する他方部材であるロッド72と、該相対運動を少なくとも抑制可能なモータM3とで構成するようにしてもよい。
詳しくは、筒71は、車両のバネ上部材たる車体およびバネ下部材たる車軸の一方に連結され、この筒71内には、車両のバネ上部材たる車体およびバネ下部材たる車軸の他方に連結されるロッド72が相通される。
また、モータM3は、ロッド72の外周に軸方向にS極とN極が交互に現われるように装着される駆動用磁石73と、筒71内に駆動用磁石73と対向する巻線74とを備えて構成され、巻線74は所定の長さにわたり筒71の軸方向に添ってU,V,Wの各相が交互に並ぶように配置されている。
なお、筒71に設けられた巻線74は環状に成型され、少なくとも内周側は、樹脂等によってコーティングされ、この巻線74の内周と、ロッド72の外周あるいは駆動用磁石73と、の間には図示しない環状の軸受が配在され、筒71に対してロッド72の軸ぶれが防止されている。
すなわち、この他のサスペンション本体にあっては、筒71に対しロッド72が進退して相対運動を呈すると、駆動用磁石73が巻線74に対して相対移動する、いわゆるリニアモータ型の構成となっており、この他のサスペンション本体にあっても、上記した第2の実施の形態におけるサスペンション本体S1,S2,S3,S4と同様に、モータM3は、モータとしてもジェネレータとしても機能し、モータM3の動作はモータM2と同様であり、この場合、上記したのような回転角センサ11の代わりに電気角速度ωあるいは電気角θを検出することができるセンサを設けておき、電気角θのみを検知できるセンサであれば、検知した電気角θを微分することによってサスペンション装置の作動速度を得るようにしておけばよい。
したがって、サスペンション装置をこのような構成とする場合にも、本発明の電流センサのゼロ点補正処理を行うことができ、その作用効果も第2の実施の形態と同様である。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
第1の実施の形態のモータ制御装置が適用された操舵系の概念図である。 第1の実施の形態におけるモータを駆動する駆動回路を示す図である。 第1の実施の形態におけるモータ制御装置のシステム図である。 操舵トルクをパラメータとした操舵トルクとq相の電流目標値との関係を示すマップである。 第1の実施の形態における電流センサのゼロ点補正処理の実施の可否を判断する処理手順の一例を示す図である。 第1の実施の形態の一変形例におけるモータを駆動する駆動回路を示す図である。 第1の実施の形態の他の変形例におけるモータを駆動する駆動回路を示す図である。 第1の実施の形態の別の変形例におけるモータを駆動する駆動回路を示す図である。 第1の実施の形態における電流センサのゼロ点補正の処理手順の一例を示す図である。 第1の実施の形態における電流センサのゼロ点補正処理における移動平均処理およびオフセット値を求める処理手順の一例を示す図である。 第2の実施の形態におけるモータ制御装置が適用された制振系の概念図である。 第2の実施の形態におけるモータ制御装置のシステム図である。 第2の実施の形態の一変形例におけるモータ制御装置が適用された制振系の概念図である。 第2の実施の形態の他の変形例におけるモータ制御装置が適用された制振系の概念図である。 第2の実施の形態の別の変形例におけるモータ制御装置が適用された制振系の概念図である。 第2の実施の形態における他のサスペンション本体の概念図である。
符号の説明
1 操舵系である電動パワーステアリング装置
2 操舵輪
3 軸
4,5 ピニオンギア
6 ラック
7 タイロッド
8 ナックルアーム
9 トルクセンサ
10 速度センサ
11 回転角センサ
12 電流センサ
13 駆動回路
14,54 制御部
16 温度センサ
20 電流目標値演算部
21 二相電流演算部
22 比例積分制御部
23 三相変換演算部
24 駆動回路制御部
25 判断部
26 電圧リミッタ
27 電流リミッタ
28,30 ローパスフィルタ
29 A/D変換器
40 アーム
41 スイッチング素子
50 サスペンション装置
51 一方部材たる螺子軸
52 他方部材たるボール螺子ナット
53 加速度検知手段たる加速度センサ
55 検知部
60 筒
71 一方部材である筒
72 他方部材であるロッド
73 駆動用磁石
74 巻線
C1,C2 モータ制御装置
E 電源
M1,M2,M3 モータ
S1,S2,S3,S4 サスペンション本体
U ユニバーサルジョイント
W 車輪

Claims (30)

  1. 車両に搭載され外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御するモータ制御装置おいて、車速が所定の車速閾値以内であって、系に作用する外力が所定の外力閾値以内であるときに、電流センサのゼロ点補正を実施するモータ制御装置。
  2. さらに、系の作動速度が所定の作動速度閾値以内であるときに、電流センサのゼロ点補正を実施する請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 系への外力の入力が無く系が停止中であるときに、電流センサのゼロ点補正を実施する請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  4. 系の作動速度はモータの電気角速度で把握され、作動速度閾値は角速度閾値とされることを特徴とする請求項2または3に記載のモータ制御装置。
  5. 電流センサのゼロ点補正を実施すると、電流ループにおける積分値をゼロにリセットすることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のモータ制御装置。
  6. 電流センサのゼロ点補正を実施したのちに所定条件を満たさないと電流センサのゼロ点補正を実施しないことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のモータ制御装置。
  7. 所定条件は、電流センサのゼロ点補正後の電流センサあるいは電流センサ近傍の温度変化量が温度閾値を超えることで満たされることを特徴とする請求項6に記載のモータ制御装置。
  8. 所定条件は、系に作用する外力が所定の外力閾値を超えるか、車速が所定の車速閾値を超えることで満たされることを特徴とする請求項6または7に記載のモータ制御装置。
  9. 所定条件は、系に作用する外力が所定の外力閾値を超えるか、車速が所定の車速閾値を超えるか、系の作動速度が所定の作動速度閾値を超えることで満たされることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載のモータ制御装置。
  10. 電流センサのゼロ点補正は、サンプリングされる複数の電流値に基づき、移動平均処理を施してオフセット値を求めることによって実施されることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のモータ制御装置。
  11. 電流センサのゼロ点補正実施中に取得される複数の電流値における変動幅が電流値幅閾値を超えるとオフセット値を求めず、再度電流センサのゼロ点補正をやり直すことを特徴とする請求項10に記載のモータ制御装置。
  12. オフセット値の絶対値がオフセット閾値を超えると、再度電流センサのゼロ点補正をやり直すことを特徴とする請求項10または11に記載のモータ制御装置。
  13. 記憶手段を備え、電流センサのゼロ点補正のやり直しを所定回数以上連続して行った場合、電流値における変動幅および求められるオフセット値の一方または両方を記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項11または12に記載のモータ制御装置。
  14. アナログデジタル変換処理後の電流センサの電流値信号を処理するデジタル演算型のローパスフィルタを備え、該ローパスフィルタで処理した電流値信号が整定した後に、オフセット値を求めることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載のモータ制御装置。
  15. 電流センサのゼロ点補正時に、モータに電力供給する駆動回路のスイッチング素子を全て開くことを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載のモータ制御装置。
  16. モータに電力供給する駆動回路と電源との間にスイッチを設け、ゼロ点補正時に、該スイッチを開くことを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載のモータ制御装置。
  17. モータに電力供給する駆動回路とモータの一つの除いた他の巻線との間にスイッチを設け、ゼロ点補正時に、該スイッチを開くことを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載のモータ制御装置。
  18. 電流センサのゼロ点補正時に、モータへの制御指令によってモータの電流をゼロとすることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載のモータ制御装置。
  19. モータに電力供給する駆動回路がPWM回路であり、電流センサのゼロ点補正時に、PWMデューティ比を0%または50%とすることを特徴とする請求項1から14に記載のモータ制御装置。
  20. 系が操舵系であってモータが該操舵系に補助トルクを付与する電動パワーステアリング装置に供されるとともに、操舵系に作用する外力としての操舵トルクを検知するトルク検知手段を備え、該操舵トルクの絶対値が所定の外力閾値以内であるときに、電流センサのゼロ点補正を実施する請求項1から19のいずれかに記載のモータ制御装置。
  21. 操舵トルクに対して補助トルクの付与を行わない不感帯領域を設定し、外力閾値は不感帯領域以内の値とされることを特徴とする請求項20に記載のモータ制御装置。
  22. 系が車体の制振系であって、モータが該制振系に制御力を付与するサスペンション装置に供されるとともに、制振系に作用する外力としての車体加速度を検知する加速度検知手段を備え、該加速度の絶対値が所定の外力閾値以内であるときに、電流センサのゼロ点補正を実施する請求項1から19のいずれかに記載のモータ制御装置。
  23. 車体と車軸との間の四箇所に設けられるモータから動力の提供を受けるサスペンション本体と、各モータを制御する請求項1から19および22のいずれかに記載の四つのモータ制御装置とを備えたサスペンション装置において、一のモータ制御装置は、他のモータ制御装置が電流センサのゼロ点補正を実施可能な状態でなければ、電流センサのゼロ点補正を行わないことを特徴とするサスペンション装置。
  24. 車体と車軸との間の四箇所に設けられるモータから動力の提供を受けるサスペンション本体と、各モータを制御する請求項1から19および22のいずれかに記載の四つのモータ制御装置とを備えたサスペンション装置において、一のモータ制御装置は、自己および他のモータ制御装置が電流センサのゼロ点補正を実施可能な状態であることを検知し、自己および他のモータ制御装置が電流センサのゼロ点補正を実施可能な状態であるときに、他のモータ制御装置に電流センサのゼロ点補正を実施する指令を与えるとともに、自己の電流センサのゼロ点補正を実施することを特徴とするサスペンション装置。
  25. 車体と車軸との間の四箇所に設けられるモータから動力の提供を受けるサスペンション本体と、各モータを制御する請求項1から19および22のいずれかに記載の四つのモータ制御装置とを備えたサスペンション装置において、全てのモータ制御装置が電流センサのゼロ点補正を実施可能な状態であるときに、全てのモータ制御装置に電流センサのゼロ点補正を実施する指令を与えることを特徴とするサスペンション装置。
  26. 車体と車軸との間の四箇所に設けられるモータから動力の提供を受けるサスペンション本体と、各モータを制御する請求項1から19および22のいずれかに記載の四つのモータ制御装置とを備えたサスペンション装置において、全てのモータ制御装置が電流センサのゼロ点補正を実施可能な状態ことを検知する検知部を備え、該検知部は、全てのモータ制御装置が電流センサのゼロ点補正を実施可能な状態であるときに、全てのモータ制御装置に電流センサのゼロ点補正を実施する指令を与えることを特徴とするサスペンション装置。
  27. 検知部は、車体姿勢を制御する車両制御装置に統合されてなることを特徴とする請求項26に記載のサスペンション装置。
  28. 各モータ制御装置における電流センサのゼロ点補正、ゼロ点補正の中断およびモータ制御の再開は、同時に実施されることを特徴とする請求項23から27のいずれかに記載のサスペンション装置。
  29. 車両に搭載され外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御するモータ制御装置における電流センサのゼロ点補正方法おいて、車速が所定の車速閾値以内であって、系に作用する外力が所定の外力閾値内であるときにモータの電流をゼロとするステップと、電流センサのゼロ点補正を実施するステップとを含むことを特徴とする電流センサのゼロ点補正方法。
  30. 車両に搭載され外力により作動せしめられる系に動力を提供するモータを電流フィードバックによって制御するモータ制御装置における電流センサのゼロ点補正方法おいて、車速が所定の車速閾値以内であって、系に作用する外力が所定の外力閾値内であって、系の作動量が所定の作動量閾値内であるときにモータの電流をゼロとするステップと、電流センサのゼロ点補正を実施するステップとを含むことを特徴とする電流センサのゼロ点補正方法。
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