JP6771373B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
近年、電動パワーステアリング装置において、操舵トルクを検出する検出手段(トルクセンサ)により操舵トルクを検出することができなくなった場合においても、電動モータによるアシスト力を付与することを可能とする技術が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、トルクセンサで故障が発生した場合に、操舵角θおよびその微分値である操舵角速度ωに基づき、モータの電流目標値を次のように設定する。θ>0かつω≧0のときには、右方向へのハンドル操作を補助すべく、車速で定まる一定電流値I(V)を電流目標値として設定する。θ<0かつω≦0のときには、左方向へのハンドル操作を補助すべく、−I(V)を電流目標値として設定する。一方、θ>0かつω<0、または、θ<0かつω>0のときは、ハンドルが戻り状態にあるので、操舵補助を停止すべく電流目標値を零と設定する。
特開2003−72580号公報
例えばステアリングホイールの切り込み時に車輪が運転者の意図に反して回転し過ぎた場合には、運転者はステアリングホイールを切り戻す。それゆえ、トルク検出部に故障が生じた場合においても、ステアリングホイールが切り戻されている場合には切り戻し方向とは逆方向のモータのアシスト力を抑制することが好ましい。
本発明は、トルク検出部に故障が生じた場合においてもステアリングホイールが切り戻されているときに切り戻し方向とは逆方向のアシスト力を抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明は、車両のステアリングホイールの操舵に対してアシスト力を付与するモータと、前記ステアリングホイールの操舵トルクを検出する2つのセンサを有するトルク検出部と、前記ステアリングホイールの回転角度である操舵角を推定する操舵角推定部と、前記トルク検出部に故障が発生していない場合には前記トルク検出部が検出した前記操舵トルクに基づいて前記モータを駆動させ、前記2つのセンサが故障している場合、前記2つのセンサが検出した前記操舵トルクの方向が同じである場合にはその方向を前記操舵トルクの方向として把握する機能を有し、前記トルク検出部に故障が発生した場合に、前記操舵角推定部が推定した前記操舵角に基づいて前記モータを駆動させ、前記2つのセンサに故障が発生した場合において、前記操舵角推定部が推定した前記操舵角の方向と、把握した前記操舵トルクの方向とが異なる場合に前記アシスト力を低減するように前記モータを駆動させる制御装置と、を備える電動パワーステアリング装置である。
本発明によれば、トルク検出部に故障が生じた場合においてもステアリングホイールが切り戻されているときに切り戻し方向とは逆方向のアシスト力を抑制することができる。
実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成を示す図である。 制御装置の概略構成図である。 目標電流算出部の概略構成図である。 トルク検出装置の概略構成図である。 (a)は、トルク検出装置の主要部品の概略構成図である。(b)は、(a)におけるVIb方向から見た図である。 第1トルクセンサの第1電圧増幅部が出力する電圧信号に比例する第1電圧及び第2電圧増幅部が出力する電圧信号に比例する第2電圧と、操舵トルクとの関係を示す図である。 第1トルクセンサの故障検出範囲を示す図である。 センサ故障時電流決定部の概略構成図である。 センサ故障時ベース電流算出部の概略構成図である。 操舵状態判定部が行う操舵状態判定処理の手順を示すフローチャートである。 操舵状態判定部が行う切り戻し判定処理の手順を示すフローチャートである。 操舵状態判定部が行う保舵状態判定処理の手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係るトルク検出装置の概略構成図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
{第1の実施形態}
図1は、第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置100の概略構成を示す図である。
電動パワーステアリング装置100(以下、単に「ステアリング装置100」と称する場合もある。)は、車両の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施の形態においては車両の一例としての自動車1に適用した構成を例示している。なお、図1は、自動車1を前方から見た図である。
ステアリング装置100は、自動車1の進行方向を変えるために運転者が操作する車輪(ホイール)状のステアリングホイール(ハンドル)101と、ステアリングホイール101に一体的に設けられたステアリングシャフト102とを備えている。また、ステアリング装置100は、ステアリングシャフト102と自在継手103aを介して連結された上部連結シャフト103と、この上部連結シャフト103と自在継手103bを介して連結された下部連結シャフト108とを備えている。下部連結シャフト108は、ステアリングホイール101の回転に連動して回転する。
また、ステアリング装置100は、転動輪としての左側前輪151,右側前輪152それぞれに連結されたタイロッド104と、タイロッド104に連結されたラック軸105とを備えている。また、ステアリング装置100は、ラック軸105に形成されたラック歯105aとともにラック・ピニオン機構を構成するピニオン106aを備えている。ピニオン106aは、ピニオンシャフト106の下端部に形成されている。これらラック軸105、ピニオンシャフト106などが、ステアリングホイール101の回転操作力を左側前輪151,右側前輪152の転動力として伝達する伝達機構として機能する。ピニオンシャフト106は、左側前輪151,右側前輪152を転動させるラック軸105に対して、回転することにより左側前輪151,右側前輪152を転動させる駆動力(ラック軸力)を加える。
また、ステアリング装置100は、ピニオンシャフト106を収納するステアリングギヤボックス107を有している。ピニオンシャフト106は、ステアリングギヤボックス107内にてトーションバー112を介して下部連結シャフト108と連結されている。そして、ステアリングギヤボックス107の内部には、下部連結シャフト108とピニオンシャフト106との相対回転角度に基づいて、言い換えればトーションバー112の捩れ量に基づいて、ステアリングホイール101に加えられた操舵トルクTを検出するトルク検出部の一例としてのトルク検出装置109が設けられている。
また、ステアリング装置100は、ステアリングギヤボックス107に支持された電動モータ110と、電動モータ110の駆動力を減速してピニオンシャフト106に伝達する減速機構111とを有している。減速機構111は、例えば、ピニオンシャフト106に固定されたウォームホイール(不図示)と、電動モータ110の出力軸に固定されたウォームギヤ(不図示)などから構成される。電動モータ110は、ピニオンシャフト106に回転駆動力を加えることにより、ラック軸105に左側前輪151,右側前輪152を転動させる駆動力(ラック軸力)を加える。本実施の形態に係る電動モータ110は、電動モータ110の回転角度であるモータ回転角度θmに連動した回転角度信号θmsを出力するレゾルバ120を有する3相ブラシレスモータである。
また、ステアリング装置100は、電動モータ110の作動を制御する制御装置10を備えている。制御装置10には、上述したトルク検出装置109からの出力信号が入力される。また、制御装置10には、自動車1に搭載される各種の機器を制御するための信号を流す通信を行うネットワーク(CAN)を介して、自動車1の移動速度である車速Vcを検出する車速センサ170からの出力信号v、横方向の加速度を検出する横Gセンサ180からの出力信号g、ヨーレイトを検出するためのヨーレイトセンサ185からの出力信号y、などが入力される。
また、制御装置10には、ネットワーク(CAN)を介して、自動車1の前後左右に配置された4つの車輪それぞれの回転速度を検出する車輪速度センサ190からの出力信号vhsが入力される。車輪速度センサ190は、自動車1の左側の前に配置された左側前輪151の回転速度を検出する左側前輪速度センサ191(図8参照)と、右側の前に配置された右側前輪152の回転速度を検出する右側前輪速度センサ192(図8参照)とを備えている。また、車輪速度センサ190は、左側の後に配置された左側後輪の回転速度を検出する左側後輪速度センサ193(図8参照)と、右側の後に配置された右側後輪の回転速度を検出する右側後輪速度センサ194(図8参照)とを備えている。
以上のように構成されたステアリング装置100は、トルク検出装置109が検出した操舵トルクTに基づいて電動モータ110を駆動し、電動モータ110の駆動力(発生トルク)をピニオンシャフト106に伝達する。これにより、電動モータ110の発生トルクが、ステアリングホイール101に加える運転者の操舵をアシストする。このように、電動モータ110は、運転者のステアリングホイール101の操舵に対してアシスト力を付与する。
次に、制御装置10について説明する。
図2は、制御装置10の概略構成図である。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等からなる算術論理演算回路である。
制御装置10には、上述したトルク検出装置109にて検出された操舵トルクTが出力信号に変換された第1トルク信号Td1及び第2トルク信号Td2、車速センサ170からの車速Vcに対応する車速信号v、レゾルバ120からの回転角度信号θmsなどが入力される。また、制御装置10には、上述した横Gセンサ180からの出力信号g、ヨーレイトを検出するためのヨーレイトセンサ185からの出力信号y、車輪速度センサ190からの出力信号vhsなどが入力される。
そして、制御装置10は、第1トルク信号Td1及び第2トルク信号Td2、車速センサ170などからの出力信号vなどに基づいて電動モータ110が供給するのに必要となる目標電流Itを算出(設定)する目標電流算出部20と、目標電流算出部20が算出した目標電流Itに基づいてフィードバック制御などを行う制御部30とを備えている。また、制御装置10は、電動モータ110のモータ回転角度θmを算出するモータ回転角度算出部71と、モータ回転角度算出部71にて算出されたモータ回転角度θmに基づいて、モータ回転速度Vmを算出するモータ回転速度算出部72とを備えている。また、制御装置10は、ステアリングホイール101の回転角度である操舵角θsを算出する操舵角算出部73を備えている。
〔目標電流算出部〕
図3は、目標電流算出部20の概略構成図である。
目標電流算出部20は、目標電流Itを設定する上で基準となるベース電流Ibを算出するベース電流算出部21と、電動モータ110の慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流Isを算出するイナーシャ補償電流算出部22と、モータの回転を制限するダンパー補償電流Idを算出するダンパー補償電流算出部23とを備えている。また、目標電流算出部20は、ベース電流算出部21、イナーシャ補償電流算出部22、ダンパー補償電流算出部23にて算出された値に基づいて仮の目標電流である仮目標電流Itfを決定する仮目標電流決定部25を備えている。また、目標電流算出部20は、トルク検出装置109にて検出された操舵トルクTの位相を補償する位相補償部26を備えている。
また、目標電流算出部20は、トルク検出装置109の故障を検出するセンサ故障検出部27と、センサ故障検出部27がトルク検出装置109の故障を検出した場合に電動モータ110に供給する目標電流Itの基となる電流を算出するセンサ故障時電流決定部28とを備えている。また、目標電流算出部20は、最終的に電動モータ110に供給する目標電流Itを決定する最終目標電流決定部29を備えている。
なお、目標電流算出部20には、第1トルク信号Td1及び第2トルク信号Td2、車速Vcに応じた車速センサ170からの出力信号、モータ回転速度Vmに応じたモータ回転速度算出部72からのモータ回転速度信号Vms、横Gセンサ180からの出力信号g、ヨーレイトセンサ185からの出力信号y、車輪速度センサ190からの出力信号vhsなどが入力される。
ベース電流算出部21は、位相補償部26にて第1トルク信号Td1が位相補償されたトルク信号Tsと、車速センサ170からの出力信号vとに基づいて、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、操舵トルクT及び車速Vcとベース電流Ibとの対応を示す制御マップよりベース電流Ibを算出する。操舵トルクT及び車速Vcとベース電流Ibとの対応を示す制御マップは、操舵トルクTの絶対値が予め定められた所定トルク以内である不感帯領域ではベース電流Ibは0、不感帯領域以外では、操舵トルクTがプラスである場合にはベース電流Ibはプラス、操舵トルクTがマイナスである場合にはベース電流Ibはマイナスとなるように作成されている。また、制御マップは、操舵トルクTの絶対値が同じである場合には、車速Vcが低速であるほどベース電流Ibの絶対値が大きくなるように作成されている。
イナーシャ補償電流算出部22は、位相補償部26から出力されたトルク信号Ts、車速センサ170からの出力信号vに基づいてイナーシャ補償電流Isを算出する。
ダンパー補償電流算出部23は、位相補償部26から出力されたトルク信号Ts、車速センサ170からの出力信号v、モータ回転速度算出部72からの出力信号などに基づいてダンパー補償電流Idを算出する。
仮目標電流決定部25は、ベース電流算出部21にて算出されたベース電流Ib、イナーシャ補償電流算出部22にて算出されたイナーシャ補償電流Is及びダンパー補償電流算出部23にて算出されたダンパー補償電流Idに基づいて仮目標電流Itfを決定する。仮目標電流決定部25は、例えば、ベース電流Ibに、イナーシャ補償電流Isを加算するとともにダンパー補償電流Idを減算して得た電流を仮目標電流Itfとして決定する。
位相補償部26は、センサ故障検出部27が故障と判定していない場合(故障した旨の信号を取得していない場合)には、第1トルク信号Td1の位相を補償する。
センサ故障検出部27及びセンサ故障時電流決定部28については後で詳述する。
最終目標電流決定部29は、センサ故障検出部27が故障と判定していない場合(故障した旨の信号を取得していない場合)には、仮目標電流決定部25にて決定された仮目標電流Itfを最終的な目標電流Itとして決定する。そして、最終目標電流決定部29は、センサ故障検出部27が故障と判定した場合(故障した旨の信号を取得した場合)には、最終的な目標電流Itを、センサ故障時電流決定部28にて決定されたセンサ故障時電流Ieに切り替える。
ここで、トーションバー112の捩れ量が0の状態を中立状態(中立位置)とし、中立状態(中立位置)からのステアリングホイール101の右回転時におけるステアリングホイール101(下部連結シャフト108)とピニオンシャフト106との相対回転角度が変化する方向(相対回転角度が生じる方向)をプラス(操舵トルクTがプラス)とする。また、中立状態からのステアリングホイール101の左回転時におけるステアリングホイール101(下部連結シャフト108)とピニオンシャフト106との相対回転角度が変化する方向(相対回転角度が生じる方向)をマイナス(操舵トルクTがマイナス)とする。
そして、トルク検出装置109にて検出された操舵トルクTがプラスであるときに、電動モータ110を右回転方向に回転させるようにベース電流算出部21にてベース電流Ibが算出され、そのベース電流Ibが流れる方向をプラスとする。つまり、操舵トルクTがプラスのときにベース電流算出部21はプラスのベース電流Ibを算出し、電動モータ110を右回転方向に回転させる方向のトルクを発生させる。操舵トルクTがマイナスのときにベース電流算出部21はマイナスのベース電流Ibを算出し、電動モータ110を左回転方向に回転させる方向のトルクを発生させる。
また、ステアリングホイール101の回転角度である操舵角θsが0度である状態からステアリングホイール101が右方向に回転した場合に操舵角θsがプラスとなり、左方向に回転した場合に操舵角θsがマイナスとなる。
〔制御部〕
制御部30は、電動モータ110の作動を制御するモータ駆動制御部と、電動モータ110を駆動させるモータ駆動部と、電動モータ110に実際に流れる実電流Imを検出するモータ電流検出部とを有している。
モータ駆動制御部は、目標電流算出部20にて最終的に決定された目標電流Itと、モータ電流検出部にて検出された電動モータ110へ供給される実電流Imとの偏差に基づいてフィードバック制御を行うフィードバック(F/B)制御部と、電動モータ110をPWM駆動するためのPWM(パルス幅変調)信号を生成するPWM信号生成部とを有している。
フィードバック制御部は、目標電流算出部20にて最終的に決定された目標電流Itとモータ電流検出部にて検出された実電流Imとの偏差を求める偏差演算部と、その偏差がゼロとなるようにフィードバック処理を行うフィードバック(F/B)処理部とを有している。
PWM信号生成部は、フィードバック制御部からの出力値に基づいて電動モータ110をPWM(パルス幅変調)駆動するためのPWM信号を生成し、生成したPWM信号を出力する。
モータ駆動部は、所謂インバータであり、例えば、スイッチング素子として6個の独立したトランジスタ(FET)を備え、6個の内の3個のトランジスタは電源の正極側ラインと各相の電気コイルとの間に接続され、他の3個のトランジスタは各相の電気コイルと電源の負極側(アース)ラインと接続されている。そして、6個の中から選択した2個のトランジスタのゲートを駆動してこれらのトランジスタをスイッチング動作させることにより、電動モータ110の駆動を制御する。
モータ電流検出部は、モータ駆動部に接続されたシャント抵抗の両端に生じる電圧から電動モータ110に流れる実電流Imの値を検出する。
〔モータ回転角度算出部、モータ回転速度算出部、操舵角算出部〕
モータ回転角度算出部71(図2参照)は、レゾルバ120からの回転角度信号θmsに基づいてモータ回転角度θmを算出する。
モータ回転速度算出部72(図2参照)は、モータ回転角度算出部71が算出したモータ回転角度θmに基づいて電動モータ110のモータ回転速度Vmを算出する。
操舵角算出部73(図2参照)は、ステアリングホイール101、減速機構111などが機械的に連結されているためにステアリングホイール101の回転角度(操舵角θs)と電動モータ110のモータ回転角度θmとの間に相関関係があることに鑑み、モータ回転角度算出部71にて算出されたモータ回転角度θmに基づいて操舵角θsを算出する。操舵角算出部73は、例えば、モータ回転角度算出部71にて定期的(例えば1ミリ秒毎)に算出されたモータ回転角度θmの前回値と今回値との差分の積算値に基づいて操舵角θsを算出する。
次に、トルク検出装置109について詳述する。
図4は、トルク検出装置109の概略構成図である。図5(a)は、トルク検出装置109の主要部品の概略構成図である。図5(b)は、図5(a)におけるVIb方向から見た図である。
トルク検出装置109は、下部連結シャフト108に取り付けられる磁石210と、磁石210が形成する磁界内に配置され、磁石210とともに磁気回路を形成するヨーク300とを有している。また、トルク検出装置109は、磁石210を保持する磁石保持部材220と、ヨーク300を保持するヨーク保持部材330とを有している。
また、トルク検出装置109は、磁石210及びヨーク300にて形成される磁気回路中の磁束密度を検出する磁気センサ410を有し、この磁気センサ410からの出力値に基づいて下部連結シャフト108とピニオンシャフト106との相対回転角度に応じた出力信号を出力するセンサユニット400を有している。
磁石210は、円筒状であり、図5(a)に示すように、下部連結シャフト108(図4参照)の周方向にN極とS極とが交互に配置されるとともに周方向に着磁されている。この磁石210は、円筒状の磁石保持部材220を介して下部連結シャフト108に取り付けられている。つまり、磁石210が磁石保持部材220に固定されており、磁石保持部材220が下部連結シャフト108に固定されている。そして、磁石210は下部連結シャフト108とともに回転する。
ヨーク300は、第1ヨーク310と、第2ヨーク320と、を有している。
第1ヨーク310は、磁石210の外径よりも大きな径の孔が内側に形成された円板状の第1円環部311と、この第1円環部311から下部連結シャフト108の軸方向(以下、単に「軸方向」と称する場合もある。)に伸びるように形成された複数の第1突起部312とを有している。
第2ヨーク320は、磁石210の外径よりも大きな径の孔が内側に形成された円板状の第2円環部321と、この第2円環部321から軸方向に伸びるように形成された複数の第2突起部322とを有している。
第1ヨーク310の第1突起部312及び第2ヨーク320の第2突起部322は、磁石210のN極及びS極と同数形成されている。そして、この第1突起部312及び第2突起部322は、下部連結シャフト108の回転半径方向においては、図4、図5(b)に示すように、磁石210の外周面と対向するようにこの外周面よりもやや外側に配置されている。また、その第1突起部312及び第2突起部322の磁石210と対向する面は、下部連結シャフト108の回転軸に直交する方向に見ると長方形である。第1突起部312と第2突起部322とは、下部連結シャフト108の周方向に交互に配置されている。
そして、本実施の形態に係るトルク検出装置109においては、トーションバー112に操舵トルクTが加わっていない状態、つまりトーションバー112に捩れが生じていない中立状態のときに、図5(b)に示すように、下部連結シャフト108(図4参照)の周方向において、時計回転方向に見た場合に磁石210のN極とS極との境界線と第1ヨーク310の第1突起部312の周方向の中心が一致するように配置されている。
第2ヨーク320の第2突起部322は、中立状態のときに、下部連結シャフト108の周方向において、図5(b)に示すように、時計回転方向に見た場合に磁石210のS極とN極との境界線と第2突起部322の周方向の中心が一致するように配置されている。そして、トーションバー112に操舵トルクTが加わってトーションバー112に捩れが生じ、第1突起部312が磁石210のN極あるいはS極と対向する場合に、第2突起部322は、第1突起部312が対向する磁極とは異なる極性の磁極に対向する。
ヨーク保持部材330は、ピニオンシャフト106の軸方向に伸びる薄肉円筒状の軸方向部位340と、軸方向部位340からピニオンシャフト106の回転半径方向に伸びる円板状の半径方向部位350とを有する。そして、ヨーク保持部材330の軸方向部位340がピニオンシャフト106に圧入、溶接、カシメあるいはねじ止めされることにより、軸方向部位340がピニオンシャフト106に固定されている。これにより、ヨーク300は、ピニオンシャフト106に固定される。
センサユニット400の磁気センサ410は、第1ヨーク310の第1円環部311と第2ヨーク320の第2円環部321との間に配置されて、第1ヨーク310と第2ヨーク320との間の磁束密度を検出し、検出した磁束密度を電圧信号に変換して出力する4つのセンサである第1磁気センサ411、第2磁気センサ412、第3磁気センサ413、第4磁気センサ414を有している。磁気センサ410としては、ホール素子、磁気抵抗素子であることを例示することができる。第1磁気センサ411〜第4磁気センサ414は、それぞれ同じ値の電圧信号を出力する。
第1磁気センサ411、第2磁気センサ412からの出力電圧は、それぞれ、互いに相反する電圧信号を出力する周知の電圧増幅回路である第1電圧増幅部(不図示)、第2電圧増幅部(不図示)を介して出力部に出力される。
第3磁気センサ413、第4磁気センサ414からの出力電圧は、それぞれ、互いに相反する電圧信号を出力する周知の電圧増幅回路である第3電圧増幅部(不図示)、第4電圧増幅部(不図示)を介して出力部に出力される。
このように、トルク検出装置109のセンサユニット400は、第1磁気センサ411、第2磁気センサ412、第1電圧増幅部、第2電圧増幅部を有する第1トルクセンサ421と、第3磁気センサ413、第4磁気センサ414、第3電圧増幅部、第4電圧増幅部を有する第2トルクセンサ422とを備えている。
また、センサユニット400は、第1トルクセンサ421からの出力信号を基に第1トルクセンサ421に故障が生じているか否かを診断する第1故障診断部431と、第1トルクセンサ421からの出力信号を第1トルク信号Td1に変換する第1変換部441とを備えている。
また、センサユニット400は、第2トルクセンサ422からの出力信号を基に第2トルクセンサ422に故障が生じているか否かを診断する第2故障診断部432と、第2トルクセンサ422からの出力信号を第2トルク信号Td2に変換する第2変換部442とを備えている。
第1トルクセンサ421と第2トルクセンサ422とは、同じ構成、機能を有している。また、第1故障診断部431と第2故障診断部432とは、同じ構成、機能を有している。
以下では、代表して第1トルクセンサ421及び第1故障診断部431について説明する。
図6は、第1トルクセンサ421の第1電圧増幅部が出力する電圧信号に比例する第1電圧V1及び第2電圧増幅部が出力する電圧信号に比例する第2電圧V2と、操舵トルクTとの関係を示す図である。図6においては、横軸に操舵トルクT、縦軸に第1電圧V1及び第2電圧V2を示している。横軸は、操舵トルクTが0の状態(中立状態)を中点にし、右方向の操舵トルクTをプラス、左方向の操舵トルクTをマイナスとしている。
以上のように構成された第1トルクセンサ421は、図6に示すように、第1電圧V1及び第2電圧V2が、最大電圧VHiと最小電圧VLoとの間で変化するように出力する。
図6の実線で示すように、第1電圧V1は、操舵トルクTの右方向への大きさが増加(トーションバー112の右方向への回転量が増加)するのに伴って上昇する。他方、図6の破線で示すように、第2電圧V2は、第1電圧V1と相反し、操舵トルクTの右方向への大きさが増加するのに伴って低下する。
そして、中点では第1電圧V1と第2電圧V2とが等しい電圧(以下、「中点電圧Vc」と称する場合がある)となるように構成されている。中点電圧Vcは、例えば、最大電圧VHiと最小電圧VLoの中間の電圧(Vc=(VHi+VLo)/2)である。
さらに、操舵トルクTの変化に対する第1電圧V1の変化の割合と第2電圧V2の変化の割合(絶対値)は等しく、同じ操舵トルクTを示す第1電圧V1と第2電圧V2を合計した合計電圧が常に予め定められた所定電圧(2Vc)となる。
図7は、第1トルクセンサ421の故障検出範囲を示す図である。
第1トルクセンサ421の回路などに固着故障が発生すると、第1電圧V1又は第2電圧V2が、出力上限値や出力下限値に固着する。また、第1トルクセンサ421に信号異常故障が発生すると、第1電圧V1、第2電圧V2が正常値とは異なる電圧で変化する。
第1トルクセンサ421が正常に作動している場合、第1電圧V1と第2電圧V2とを合計した合計電圧Vtは、常に所定電圧(VHi+VLo)になる(図7の実線参照)。
第1故障診断部431は、第1電圧V1と第2電圧V2とを合計した合計電圧Vtが、所定電圧(VHi+VLo)を中心とする所定範囲内から外れた場合に、第1トルクセンサ421に故障が発生したと判断する。所定範囲は、図7に示すように、所定電圧(VHi+VLo)より低い下限基準値VL以上であって、所定電圧(VHi+VLo)より高い上限基準値VH以下の領域であることを例示することができる。
第1故障診断部431は、第1トルクセンサ421に故障が発生していると判定した場合には、制御装置10に対してその旨の信号を出力する。
同様に、第2故障診断部432は、第2トルクセンサ422に故障が発生していると判定した場合には、制御装置10に対してその旨の信号を出力する。
このように、センサユニット400は、第1トルクセンサ421、第2トルクセンサ422の故障を自ら検出することが可能な自己検出機能付きのセンサである。
第1変換部441は、第1電圧V1を操舵トルクTに応じた信号である第1トルク信号Td1に変換するとともに、変換した第1トルク信号Td1を、制御装置10に出力する。
第2変換部442は、第2電圧V2を操舵トルクTに応じた信号である第2トルク信号Td2に変換するとともに、変換した第2トルク信号Td2を、制御装置10に出力する。
<センサ故障検出部>
センサ故障検出部27は、トルク検出装置109の第1故障診断部431から第1トルクセンサ421に故障が発生した旨の信号を取得した場合、及び第2故障診断部432から第2トルクセンサ422に故障が発生した旨の信号を取得した場合には、トルク検出装置109に故障が発生したと判定する。また、センサ故障検出部27は、第1変換部441から取得した第1トルク信号Td1の値と第2変換部442から取得した第2トルク信号Td2の値との差が所定値を超えている場合にはトルク検出装置109に故障が発生したと判定する。
そして、センサ故障検出部27は、トルク検出装置109に故障が発生したと判定した場合には、故障した旨を、位相補償部26、センサ故障時電流決定部28、最終目標電流決定部29に出力する。
<センサ故障時電流決定部>
図8は、センサ故障時電流決定部28の概略構成図である。
センサ故障時電流決定部28は、操舵角算出部73にて算出された操舵角θsである算出操舵角θscに基づいて後述する制御マップに代入するための操舵角である代入操舵角θseを算出する代入操舵角算出部281を備えている。
また、センサ故障時電流決定部28は、代入操舵角算出部281が算出した代入操舵角θseに基づいてセンサ故障時電流Ieのベースとなるセンサ故障時ベース電流Iebを算出するセンサ故障時ベース電流算出部282を備えている。
また、センサ故障時電流決定部28は、操舵状態を判定する操舵状態判定部283と、操舵状態判定部283が判定した操舵状態に応じた補正係数である操舵状態補正係数Kcを設定する操舵状態補正係数設定部284とを備えている。
また、センサ故障時電流決定部28は、センサ故障時ベース電流算出部282が算出したセンサ故障時ベース電流Iebと操舵状態補正係数設定部284が設定した操舵状態補正係数Kcとを乗算することにより補正後ベース電流Iebcを算出する操舵状態補正係数乗算部285を備えている。
また、センサ故障時電流決定部28は、操舵状態補正係数乗算部285にて算出された補正後ベース電流Iebcに対してリミット処理を行うリミット処理部286を備えている。
また、センサ故障時電流決定部28は、リミット処理部286にてリミット処理された後の補正後ベース電流Iebcであるリミット処理後ベース電流Ilに対して符号化処理を行う符号化処理部287を備えている。
(代入操舵角算出部)
代入操舵角算出部281は、0度から、操舵角算出部73にて定期的(例えば1ミリ秒毎)に算出された算出操舵角θscの前回値と今回値との差分を積算することにより0度からの回転角度を算出し、この算出値を代入操舵角θseとする。そして、予め定められたリセット条件が成立したら代入操舵角θseを0にリセットする。リセット条件としては、ステアリングホイール101の回転角度(操舵角θs)の差分が0度となったことを把握できる条件であればよく、例えば、目標電流算出部20にて設定された目標電流Itあるいはモータ電流検出部が検出した実電流Imが0近傍となったとき、を例示することができる。
このように、代入操舵角算出部281は、操舵角θsを推定する操舵角推定部の一例である。
(センサ故障時ベース電流算出部)
図9は、センサ故障時ベース電流算出部282の概略構成図である。
センサ故障時ベース電流算出部282は、代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θseの絶対値化を行う絶対値化部282aを備えている。また、センサ故障時ベース電流算出部282は、絶対値化部282aにて絶対値化された絶対値化後操舵角|θse|に基づいて仮のセンサ故障時ベース電流Iebである仮センサ故障時ベース電流Iebaを算出する仮ベース電流算出部282bを備えている。また、センサ故障時ベース電流算出部282は、車速センサ170からの出力信号v(車速Vc)に基づいて車速補正係数Kvを設定する車速補正係数設定部282cを備えている。また、センサ故障時ベース電流算出部282は、仮ベース電流算出部282bにて算出された仮センサ故障時ベース電流Iebaと車速補正係数設定部282cにて設定された車速補正係数Kvとを乗算することによりセンサ故障時ベース電流Iebを算出する車速補正係数乗算部282dを備えている。センサ故障時ベース電流算出部282は、定期的(例えば1ミリ秒毎)にセンサ故障時ベース電流Iebを算出する。
絶対値化部282aは、プラス又はマイナスの符号を持つ代入操舵角θseの絶対値を算出する。絶対値化部282aにて算出された値が絶対値化後操舵角|θse|である。
仮ベース電流算出部282bは、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、絶対値化後操舵角|θse|と仮センサ故障時ベース電流Iebaとの対応を示す制御マップに、絶対値化後操舵角|θse|を代入することにより仮センサ故障時ベース電流Iebaを算出する。
絶対値化後操舵角|θse|と仮センサ故障時ベース電流Iebaとの対応を示す制御マップにおいては、絶対値化後操舵角|θse|が予め定められた基準操舵角θse0以下である場合には仮センサ故障時ベース電流Iebaは0である。絶対値化後操舵角|θse|が基準操舵角θse0より大きい場合には、絶対値化後操舵角|θse|が大きくなるに従って仮センサ故障時ベース電流Iebaが0から徐々に大きくなるように設定されている。
車速補正係数設定部282cは、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、車速補正係数Kvと車速Vcとの対応を示す制御マップに、車速Vcを代入することにより車速補正係数Kvを算出する。
車速補正係数Kvと車速Vcとの対応を示す制御マップにおいては、車速Vcが0(km/h)であるときの車速補正係数Kvを1、車速Vcが1(km/h)であるときの車速補正係数Kvを0.5としている。また、車速Vcが5(km/h)であるときの車速補正係数Kvを0.3とし、車速Vcが1から5(km/h)に変化する間に車速補正係数Kvを徐々に低下させている。また、車速Vcが40(km/h)であるときの車速補正係数Kvを0.4とし、車速Vcが5から40(km/h)に変化する間に車速補正係数Kvを徐々に上昇させている。そして、車速Vcが40(km/h)から大きくなるに従って車速補正係数Kvを徐々に低下させている。なお、上記速度域は、一例であり車両特性により適宜変更可能である。
車速補正係数乗算部282dは、仮ベース電流算出部282bにて算出された仮センサ故障時ベース電流Iebaと車速補正係数設定部282cにて設定された車速補正係数Kvとを乗算することによりセンサ故障時ベース電流Iebを算出し(Ieb=Ieba×Kv)、算出したセンサ故障時ベース電流Iebを操舵状態補正係数乗算部285に出力する。
(操舵状態判定部)
操舵状態判定部283は、自動車1が交差点を曲がっている時などの旋回中であるか否かを判定するとともに、旋回中である場合には、ステアリングホイール101が切り込まれているのか、切り戻されているか、一定の力が付加されている保舵状態であるのかを判定する。操舵状態判定部283は、代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θse、横Gセンサ180からの出力信号g、ヨーレイトセンサ185からの出力信号y、車輪速度センサ190からの出力信号vhsに基づいて判定する。
ここで、直進状態(例えば絶対値化後操舵角|θse|が予め定められた基準角θb未満である状態(|θse|<θb))から右に旋回(右折)する場合には、運転者は、先ず、ステアリングホイール101を右回転させて切り込んだ後、左回転させて切り戻して、直進状態に戻る。従って、基本的には、直進状態から右に旋回(右折)して直進状態に戻る場合には、右回転が切り込み方向、左回転が切り戻し方向となる。他方、直進状態から左に旋回(左折)する場合には、運転者は、先ず、ステアリングホイール101を左回転させて切り込んだ後、右回転させて切り戻して、直進状態に戻る。従って、基本的には、直進状態から左に旋回(左折)して直進状態に戻る場合には、左回転が切り込み方向、右回転が切り戻し方向となる。
操舵状態判定部283は、代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θseを時間微分して算出した算出操舵角速度θsevの絶対値が予め定められた第1基準角速度θv1以下である場合には旋回中ではないと判定する。
他方、操舵状態判定部283は、算出操舵角速度θsevの絶対値が第1基準角速度θv1よりも大きくなった場合には旋回中で切り込まれていると判定する。
《切り戻し状態判定》
操舵状態判定部283は、代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θseの方向と、トルク検出装置109が検出した操舵トルクTの方向とが異なる場合に切り戻されていると判定する。
より具体的には、操舵状態判定部283は、第1故障診断部431から第1トルクセンサ421が故障している旨の情報を取得したことに起因してトルク検出装置109が故障していると判定した旨の情報をセンサ故障検出部27から取得した場合には、第2変換部442から出力された第2トルク信号Td2に基づいて操舵トルクTの方向を把握する。また、操舵状態判定部283は、第2故障診断部432から第2トルクセンサ422が故障している旨の情報を取得したことに起因してトルク検出装置109が故障していると判定した旨の情報をセンサ故障検出部27から取得した場合には、第1変換部441から出力された第1トルク信号Td1に基づいて操舵トルクTの方向を把握する。
操舵状態判定部283は、センサ故障検出部27から、第1変換部441から取得した第1トルク信号Td1の値と第2変換部442から取得した第2トルク信号Td2の値との差が所定値を超えていることに起因してトルク検出装置109が故障している旨の情報を得た場合には、以下のように操舵トルクTの方向を把握する。つまり、第1変換部441から出力された第1トルク信号Td1に基づく操舵トルクTの方向と第2変換部442から出力された第2トルク信号Td2に基づく操舵トルクTの方向とが同じである場合にその方向を操舵トルクTの方向として把握する。このように、操舵状態判定部283は、第1トルクセンサ421からの出力値に基づく操舵トルクTの値と第2トルクセンサ422からの出力値に基づく操舵トルクTの値が異なるとしても両センサからの出力値に基づく操舵トルクTの方向が同じである場合には、その方向を操舵トルクTの方向として把握する。トルク検出装置109は、第1トルクセンサ421及び第2トルクセンサ422のいずれか一方が故障したことにより、操舵トルクTの値及び方向を検出するトルク検出センサとしては機能しないとしても操舵トルクTの方向を検出するトルク方向検出センサとしては機能するからである。
そして、操舵状態判定部283は、把握した操舵トルクTの方向と、代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θseの方向とが異なる場合に、ステアリングホイール101が切り戻されていると判定する。
なお、センサ故障検出部27から、第1変換部441から取得した第1トルク信号Td1の値と第2変換部442から取得した第2トルク信号Td2の値との差が所定値を超えていることに起因してトルク検出装置109が故障している旨の情報を得た場合であって、第1トルク信号Td1に基づく操舵トルクTの方向と第2トルク信号Td2に基づく操舵トルクTの方向とが異なる場合に操舵トルクTの方向を把握することができない。かかる場合、操舵状態判定部283は、算出操舵角速度θsevが予め定められた第2基準角速度θv2(例えばθv2<θv1)未満となった場合には切り戻されていると判定し、算出操舵角速度θsevが第2基準角速度θv2未満ではない場合には切り戻されていないと判定すると良い。
また、第1故障診断部431から第1トルクセンサ421が故障している旨の情報を取得するとともに第2故障診断部432から第2トルクセンサ422が故障している旨の情報を取得した場合も同様に、操舵状態判定部283は、算出操舵角速度θsevが第2基準角速度θv2未満となった場合には切り戻されていると判定し、算出操舵角速度θsevが第2基準角速度θv2未満ではない場合には切り戻されていないと判定すると良い。
《保舵状態判定》
操舵状態判定部283は、ステアリングホイール101が切り戻されていると判定した場合でも、保舵状態であるか否かを判定する。例えば、直進状態から曲率が小さな(曲率半径が大きな)道路を右に旋回(右折)する場合に、先ず、ステアリングホイール101を右回転させて切り込んだ後左回転させて切り戻す前に、保舵し続ける(一定の力を付加し続ける)ことがあるからである。また、直進状態から曲率が小さな(曲率半径が大きな)道路を左に旋回(左折)する場合に、先ず、ステアリングホイール101を左回転させて切り込んだ後右回転させて切り戻す前に、保舵し続ける(一定の力を付加し続ける)ことがあるからである。
操舵状態判定部283は、以下の条件(1)〜(3)が全て成立した場合に保舵状態であると判定する。(1)予め定められた期間における横Gセンサ180が検出した検出横Gの変化量である横G変化量ΔGが予め定められた基準横G未満(ΔG<基準横G)である。(2)予め定められた期間におけるヨーレイトセンサ185が検出した検出ヨーレイトの変化量であるヨーレイト変化量ΔYが予め定められた基準ヨーレイト未満(ΔY<基準ヨーレイト)である。(3)予め定められた期間における自動車1の左側に配置された車輪の回転速度と右側に配置された車輪の回転速度との車輪速度差Vhlrの変化量である車輪速度差変化量ΔVhlrが予め定められた基準車輪速度差未満(ΔVhlr<基準車輪速度差)である。
なお、操舵状態判定部283は、右側前輪速度センサ192にて検出された右側前輪152の回転速度である右側前輪速度Vh2と右側後輪速度センサ194にて検出された右側後輪(不図示)の回転速度である右側後輪速度Vh4とを加算した値から、左側前輪速度センサ191にて検出された左側前輪151の回転速度である左側前輪速度Vh1と、左側後輪速度センサ193にて検出された左側後輪(不図示)の回転速度である左側後輪速度Vh3とを減算することにより車輪速度差Vhlrを算出する(Vhlr=Vh2+Vh4−Vh1−Vh3)。
次に、フローチャートを用いて、操舵状態判定部283が行う操舵状態判定処理の手順について説明する。
図10は、操舵状態判定部283が行う操舵状態判定処理の手順を示すフローチャートである。
操舵状態判定部283は、この操舵状態判定処理を、例えば予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し実行する。
操舵状態判定部283は、先ず、後述するS1004にてONされる(RAMにおいてセットされる)切り込みフラグがONとなっているか否かを判断する(S1001)。そして、切り込みフラグがONとなっていない場合(S1001でNo)、操舵状態判定部283は、算出操舵角速度θsevの絶対値が第1基準角速度θv1よりも大きいか否かを判断する(S1002)。算出操舵角速度θsevが第1基準角速度θv1よりも大きい場合(S1002でYes)、ステアリングホイール101が切り込まれている状態である切り込み状態と判定し(S1003)、切り込みフラグをONにする(RAMにセットする)(S1004)。
その後、操舵状態判定部283は、ステアリングホイール101が切り戻されている状態である切り戻し状態か否かを判断する(S1005)。操舵状態判定部283は、後述する切り戻し状態判定処理を行うことにより判断する。そして、切り戻し状態ではない場合(S1005でNo)、操舵状態判定部283は、保舵状態であるか否かを判断する(S1006)。操舵状態判定部283は、後述する保舵状態判定処理を行うことにより判断する。操舵状態判定部283は、保舵状態である場合(S1006でYes)、切り込み状態又は切り戻し状態が終了したと判断して切り込みフラグ又は後述する切り戻しフラグをOFFにし(S1007)、保舵フラグをONにする(RAMにセットする)(S1008)。その後、操舵状態判定部283は、保舵状態判定処理を行い、保舵状態ではなくなったか否かを判断する(S1009)。保舵状態ではなくなった場合(S1009でYes)、保舵フラグをOFFにする(S1010)。保舵状態ではなくなっていない場合(保舵状態である場合)(S1009でNo)、保舵状態ではなくなるまで待機する。
他方、切り戻し状態である場合(S1005でYes)、後述する所定時間T0が経過したか否かを判断する(S1011)。そして、所定時間T0が経過していない場合(S1011でNo)、切り戻し状態と判定し(S1012)、切り込みフラグをOFFにし(S1013)、切り戻しフラグをONにする(RAMにセットする)(S1014)。所定時間T0が経過している場合(S1011でYes)、切り戻しフラグをOFFにする(S1015)。また、S1006にて保舵状態ではないと判定された場合(S1006でNo)、S1011以降の処理を行う。
一方、S1002にて算出操舵角速度θsevの絶対値が第1基準角速度θv1よりも大きくないと判断された場合(S1002でNo)、切り戻しフラグがONとなっているか否かを判断する(S1016)。切り戻しフラグがONとなっていると判定された場合(S1016でYes)、S1005以降の処理を行う。他方、切り戻しフラグがONとなっていると判定されなかった場合(S1016でNo)、旋回中ではないと判定する(S1017)。
S1001にて切り込みフラグがONとなっていると判定された場合(S1001でYes)、S1005以降の処理を行う。
次に、フローチャートを用いて、操舵状態判定部283が行う切り戻し判定処理の手順について説明する。
図11は、操舵状態判定部283が行う切り戻し判定処理の手順を示すフローチャートである。
操舵状態判定部283は、この切り戻し判定処理を、例えばセンサ故障検出部27からトルク検出装置109が故障していると判定した旨の情報を取得した後に予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し実行する。
操舵状態判定部283は、先ず、第1トルクセンサ421が故障しているか否か(第1故障診断部431から第1トルクセンサ421が故障している旨の情報を取得したか否か)を判断する(S1101)。第1トルクセンサ421が故障している場合(S1101でYes)、操舵状態判定部283は、第2トルクセンサ422が故障しているか否か(第2故障診断部432から第2トルクセンサ422が故障している旨の情報を取得したか否か)を判断する(S1102)。第2トルクセンサ422が故障していない場合(S1102でNo)、操舵状態判定部283は、第2変換部442から出力された第2トルク信号Td2に基づいて操舵トルクTの方向を把握する(S1103)。その後、操舵状態判定部283は、操舵トルクTの方向と、代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θseの方向とが異なるか否かを判断する(S1104)。操舵状態判定部283は、操舵トルクTの方向と代入操舵角θseの方向とが異なる場合(S1104でYes)、切り戻し状態と判定し(S1105)、操舵トルクTの方向と代入操舵角θseの方向とが同じである場合(S1104でNo)、切り戻し状態ではないと判定する(S1106)。
第2トルクセンサ422が故障している場合(S1102でYes)、操舵状態判定部283は、第1変換部441から出力された第1トルク信号Td1に基づく操舵トルクTの方向と第2変換部442から出力された第2トルク信号Td2に基づく操舵トルクTの方向とが同じであるか否かを判断する(S1107)。2つの操舵トルクTの方向が同じである場合(S1107でYes)、操舵状態判定部283は、第1トルク信号Td1に基づく操舵トルクTの方向(第2トルク信号Td2に基づく操舵トルクTの方向)を操舵トルクTの方向として把握し(S1108)、S1104以降の処理を行い、切り戻し状態であるか否かを判定する。2つの操舵トルクTの方向が同じではない場合(S1107でNo)、算出操舵角速度θsevの絶対値が第2基準角速度θv2未満となったか否かを判断する(S1109)。操舵状態判定部283は、算出操舵角速度θsevの絶対値が第2基準角速度θv2未満となった場合(S1109でYes)、切り戻し状態と判定し(S1110)、算出操舵角速度θsevの絶対値が第2基準角速度θv2未満となっていない場合(S1109でNo)、切り戻し状態ではないと判定する(S1111)。
一方、第1トルクセンサ421が故障していない場合(S1101でNo)、第2トルクセンサ422が故障しているか否かを判断する(S1112)。第2トルクセンサ422が故障している場合(S1112でYes)、操舵状態判定部283は、第1変換部441から出力された第1トルク信号Td1に基づいて操舵トルクTの方向を把握し(S1113)、S1104以降の処理を行い、切り戻し状態であるか否かを判定する。他方、第2トルクセンサ422が故障していない場合(S1112でNo)、操舵状態判定部283は、S1107以降の処理を行い、切り戻し状態であるか否かを判定する。
次に、フローチャートを用いて、操舵状態判定部283が行う保舵状態判定処理の手順について説明する。
図12は、操舵状態判定部283が行う保舵状態判定処理の手順を示すフローチャートである。
操舵状態判定部283は、この保舵状態判定処理を、例えば予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し実行する。
操舵状態判定部283は、先ず、予め定められた期間における検出横Gの変化量である横G変化量ΔGが予め定められた基準横G未満(ΔG<基準横G)であるか否かを判断する(S1201)。そして、横G変化量ΔGが基準横G未満である場合(S1201でYes)、操舵状態判定部283は、予め定められた期間における検出ヨーレイトの変化量であるヨーレイト変化量ΔYが予め定められた基準ヨーレイト未満(ΔY<基準ヨーレイト)であるか否かを判断する(S1202)。そして、ヨーレイト変化量ΔYが基準ヨーレイト未満である場合(S1202でYes)、操舵状態判定部283は、予め定められた期間における車輪速度差Vhlrの変化量である車輪速度差変化量ΔVhlrが予め定められた基準車輪速度差未満(ΔVhlr<基準車輪速度差)であるか否かを判断する(S1203)。そして、車輪速度差変化量ΔVhlrが基準車輪速度差未満である場合(S1203でYes)、操舵状態判定部283は、保舵状態であると判定する(S1204)。
一方、横G変化量ΔGが基準横G未満ではない場合(S1201でNo)、ヨーレイト変化量ΔYが基準ヨーレイト未満ではない場合(S1202でNo)、車輪速度差変化量ΔVhlrが基準車輪速度差未満ではない場合(S1203でNo)、操舵状態判定部283は、保舵状態ではないと判定する(S1205)。
なお、基準横G、基準ヨーレイト及び基準車輪速度差は略0であることを例示することができる。基準横G、基準ヨーレイト及び基準車輪速度差が略0である場合、操舵状態判定部283は、横G変化量ΔG、ヨーレイト変化量ΔY及び車輪速度差変化量ΔVhlrが略0である場合、言い換えれば、検出横G、検出ヨーレイト及び車輪速度差Vhlrが略一定である場合に保舵状態であると判定する。
操舵状態判定部283は、旋回中で、切り込まれていると判定した(切り込みフラグがONである)場合、切り戻されている(切り戻しフラグがONである)場合、保舵状態である(保舵フラグがONである)場合のいずれかである場合には、その旨を操舵状態補正係数設定部284に出力する。一方、操舵状態判定部283は、旋回中ではないと判定した(切り込みフラグ、切り戻しフラグ及び保舵フラグがOFFである)場合には、旋回中ではない旨を操舵状態補正係数設定部284に出力する。操舵状態判定部283は、操舵状態補正係数設定部284への操舵状態の出力を、例えばセンサ故障検出部27からトルク検出装置109が故障していると判定した旨の情報を取得した後に予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し行う。
(操舵状態補正係数設定部、操舵状態補正係数乗算部)
操舵状態補正係数設定部284は、操舵状態判定部283が判定した操舵状態に基づいて操舵状態補正係数Kcを設定する。操舵状態補正係数Kcは0以上1以下の値である。
操舵状態補正係数乗算部285は、センサ故障時ベース電流算出部282が算出したセンサ故障時ベース電流Iebと操舵状態補正係数設定部284にて設定された操舵状態補正係数Kcとを乗算することにより補正後センサ故障時ベース電流Iebcを算出する(Iebc=Ieb×Kc)。
操舵状態補正係数設定部284は、操舵状態判定部283が旋回中ではないと判定した場合には操舵状態補正係数Kcとして1を設定する。それゆえ、補正後センサ故障時ベース電流Iebcは、センサ故障時ベース電流算出部282が算出したセンサ故障時ベース電流Iebと同じ値となる。
操舵状態補正係数設定部284は、操舵状態判定部283が旋回中で切り込まれていると判定した場合には、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、連続操舵時間Tcと操舵状態補正係数Kcとの対応を示す制御マップに、連続操舵時間Tcを代入することにより操舵状態補正係数Kcを算出する。連続操舵時間Tcは、算出操舵角速度θsevが第1基準角速度θv1よりも大きい状態が連続している時間であることを例示することができる。
連続操舵時間Tcと操舵状態補正係数Kcとの対応を示す制御マップにおいては、操舵状態補正係数Kcは、連続操舵時間Tcに反比例する値に設定されている。例えば、操舵状態補正係数Kcは、連続操舵時間Tcが1秒経過する毎にα%小さくなる値であることを例示することができる(Kc=1−α×Tc/100、Tc≧100/αの場合はKc=0。以下、Kcが1未満の値となってからKc=0となるまでの時間を「低減時間」と称す。)。なお、αは10、低減時間は10秒であることを例示することができる。
操舵状態判定部283が旋回中で切り込まれていると判定した場合には、補正後センサ故障時ベース電流Iebcは、センサ故障時ベース電流算出部282が算出したセンサ故障時ベース電流Iebが操舵状態補正係数Kcを介して低減された値となる。これにより、旋回中にステアリングホイール101が切り込まれている場合には旋回中ではない場合よりも電動モータ110によるアシスト力が低減されるので、運転者の意に反して左側前輪151,右側前輪152が回り過ぎることが抑制される。
操舵状態補正係数設定部284は、操舵状態判定部283が旋回中で切り戻されていると判定した場合には、切り戻されていると判定されたときの操舵状態補正係数Kcの値(以下、「操舵状態補正係数Kc0」と称す。)から所定時間T0で0まで徐々に減少する値を操舵状態補正係数Kcとして設定する(Kc←Kc0×(1−t/T0))。tは、切り戻されていると判定されたときからの経過時間である。所定時間T0は、例えば1秒であることを例示することができる。
操舵状態判定部283が旋回中で切り戻されていると判定した場合には、補正後センサ故障時ベース電流Iebcは、センサ故障時ベース電流算出部282が算出したセンサ故障時ベース電流Iebが操舵状態補正係数Kcを介して低減された値となる。そして、操舵状態補正係数設定部284が、切り戻されていると判定されたときの操舵状態補正係数Kcの値である操舵状態補正係数Kc0から所定時間T0で0まで徐々に減少する値を操舵状態補正係数Kcとして設定することから、補正後センサ故障時ベース電流Iebcは、切り戻されていると判定されたときの補正後センサ故障時ベース電流Iebcが所定時間T0で0まで徐々に減少する値となる。これにより、ステアリングホイール101の戻りが促進される。つまり、走行中の車両に働く、ステアリングホイール101を直進方向(操舵角θsが0度の位置)に戻そうとする力、いわゆるSAT(Self Aligning Torque)により、ステアリングホイール101が、操舵角θsが0度となる位置に戻り易くなる。
操舵状態補正係数設定部284は、操舵状態判定部283が旋回中で保舵状態であると判定した場合には、保舵状態であると判定されたときの操舵状態補正係数Kcを維持する。これにより、補正後センサ故障時ベース電流Iebcは、保舵状態であると判定されたときの補正後センサ故障時ベース電流Iebcと同じ値となる。
その後、操舵状態判定部283が、保舵状態が解除されて切り戻されていると判定した場合には、その時点の操舵状態補正係数Kcの値(以下、「操舵状態補正係数Kc1」と称す。)から所定時間T0で0まで徐々に減少する値を操舵状態補正係数Kcとして設定する(Kc←Kc1×(1−t/T0))。
(リミット処理部286)
リミット処理部286は、操舵状態補正係数乗算部285にて算出された補正後センサ故障時ベース電流Iebcが予め定められた上限値よりも大きい場合には、上限値をリミット処理後ベース電流Ilとして出力する。他方、リミット処理部286は、算出された補正後センサ故障時ベース電流Iebcが上限値以下の場合には、算出された補正後センサ故障時ベース電流Iebcをリミット処理後ベース電流Ilとして出力する。
(符号化処理部287)
符号化処理部287は、代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θseの符号がプラスである場合にはリミット処理部286から出力されたリミット処理後ベース電流Ilにプラスの符号を付す。他方、符号化処理部287は、代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θseの符号がマイナスである場合にはリミット処理部286から出力されたリミット処理後ベース電流Ilにマイナスの符号を付す。
〔実施の形態に係るステアリング装置の作用、効果〕
以上説明したように構成されたステアリング装置100によれば、トルク検出装置109が故障したと判断された場合、センサ故障時電流決定部28のセンサ故障時ベース電流算出部282は、代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θse、言い換えれば操舵角θsに応じたセンサ故障時ベース電流Iebを算出する。つまり、トルク検出装置109が故障したと判断された場合、センサ故障時電流決定部28は、操舵角θsに応じたセンサ故障時電流Ieを算出し、最終目標電流決定部29は、最終的な目標電流Itを、センサ故障時電流決定部28にて決定されたセンサ故障時電流Ieとする。これにより、トルク検出装置109が故障したと判断された場合、電動モータ110によるアシスト力は、操舵角θsに応じて変化する。電動モータ110によるアシスト力が操舵角θsに応じて変化するのは、操舵状態判定部283が、旋回中ではないと判定した場合、及び、旋回中であると判定した場合のいずれの場合も同様である。
そして、トルク検出装置109が故障したと判断された場合、操舵状態判定部283が、旋回中であり、ステアリングホイール101が切り込まれていると判定した場合には、操舵状態補正係数設定部284は、1以下の値であって連続操舵時間Tcに反比例する値となる操舵状態補正係数Kcを設定する。他方、操舵状態判定部283が、旋回中ではないと判定した場合には、操舵状態補正係数設定部284は、操舵状態補正係数Kcとして1を設定する。これにより、代入操舵角θse(算出操舵角θsc)が同じであるとしても、操舵状態補正係数乗算部285が算出する補正後センサ故障時ベース電流Iebc(=Ieb×Kc)は、旋回中にステアリングホイール101が切り込まれている場合には、旋回中ではない場合よりも小さな値となる。つまり、操舵状態補正係数乗算部285が算出する補正後センサ故障時ベース電流Iebcは、旋回中にステアリングホイール101が切り込まれている場合には、算出操舵角θscに基づいて定められたセンサ故障時ベース電流Iebが連続操舵時間Tcに応じて低減された値となる。その結果、旋回中にステアリングホイール101が切り込まれている場合には電動モータ110によるアシスト力が低減されるので、運転者の意に反して左側前輪151,右側前輪152が回り過ぎることが抑制される。
そして、操舵状態判定部283が旋回中にステアリングホイール101が切り戻されていると判定した場合には、操舵状態補正係数設定部284が、操舵状態補正係数Kc0(切り戻されていると判定されたときの操舵状態補正係数Kcの値)から所定時間T0で0まで徐々に減少する値を操舵状態補正係数Kcとして設定する。その結果、補正後センサ故障時ベース電流Iebcは、切り戻されていると判定されたときの補正後センサ故障時ベース電流Iebcが所定時間T0で0まで徐々に減少する値となる。これにより、ステアリングホイール101の戻りが促進される。
また、操舵状態判定部283は、トルク検出装置109が故障したと判断された場合には、トルク検出装置109を用いて操舵トルクTの方向を把握し、代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θseの方向と異なる場合に、ステアリングホイール101が切り戻されていると判定する。
つまり、以上説明したように構成されたステアリング装置100によれば、トルク検出装置109が故障したと判断された場合には、トルク検出装置109を用いて把握した操舵トルクTの方向と電動モータ110の回転方向(代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θseの方向)とが異なる場合に、電動モータ110のアシスト力が、トルク検出装置109を用いて把握した操舵トルクTの方向と電動モータ110の回転方向とが同じ場合(切り戻されていると判定されない場合)のアシスト力よりも低減される。
また、トルク検出装置109を用いて把握した操舵トルクTの方向と電動モータ110の回転方向(代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θseの方向)とが異なる場合にステアリングホイール101が切り戻されていると判定するので、操舵状態判定部283は、トルク検出装置109が故障したと判断された場合にトルク検出装置109を用いて操舵トルクTの方向を把握しない構成よりも、精度高くステアリングホイール101が切り戻されていると判定する。これにより、トルク検出装置109が故障したと判断された場合においても、ステアリングホイール101が切り戻されているときにアシスト力を精度高く低減させることができる。これは以下の理由による。
路面の摩擦抵抗(以下、「路面抵抗」と称す。)が小さい場合には、電動モータ110の駆動力が同じであったとしても、摩擦抵抗が大きい場合よりもステアリングホイール101が運転者の意図よりも切り込まれ過ぎるおそれがある。運転者の意図よりも切り込まれ過ぎた場合、運転者はステアリングホイール101を切り戻そうとする。切り戻すときには、運転者は、切り込み方向に作用している電動モータ110の駆動力に打ち勝つ操舵トルクを付与しなければ切り戻すことができない。つまり、運転者は、電動モータ110の駆動力に打ち勝つ操舵トルクを付与しなければ切り込まれ過ぎた状態を修正する方向にステアリングホイール101を回転させることができない。
それゆえ、ステアリングホイール101が切り戻されていることを精度高く把握することができない場合には、ステアリングホイール101が切り込まれているときのアシスト力を、運転者が切り込まれ過ぎた状態を修正する方向にステアリングホイール101を回転させることができるように、想定される路面抵抗の中でも最小の路面抵抗で設定する必要がある。より具体的には、例えば補正後ベース電流Iebcやリミット処理後ベース電流Ilの値を、想定される路面抵抗の中の最小の路面抵抗でも、ステアリングホイール101が切り込まれているときのアシスト力が、想定される運転者による逆方向への最小の操舵トルクよりも小さくなるように設定する必要がある。そのため、ステアリングホイール101が切り戻されていることを精度高く把握することができない場合には、ステアリングホイール101が切り込まれているときのアシスト力(補正後ベース電流Iebcやリミット処理後ベース電流Il)を大きくすることができない。
これに対して、本実施の形態に係るステアリング装置100においては、ステアリングホイール101が切り戻されていることを精度高く把握することができ、アシスト力を早期に低減させることができるので、ステアリングホイール101が切り込まれているときのアシスト力を、その後の切り戻し時に運転者が操舵可能な操舵トルク以上に発生させることが可能となる。
操舵状態判定部283が、ステアリングホイール101が切り戻されていると判定した後であっても、操舵状態判定部283が旋回中で保舵状態であると判定した場合には、操舵状態補正係数設定部284は、保舵されていると判定されたときの操舵状態補正係数Kcを維持する。これにより、補正後センサ故障時ベース電流Iebcは、保舵状態であると判定されたときの補正後センサ故障時ベース電流Iebcと同じ値となる。つまり、操舵状態補正係数設定部284が操舵状態補正係数Kc0(切り戻されていると判定されたときの操舵状態補正係数Kcの値)から所定時間T0で0まで徐々に減少するのを中断するので、保舵状態であると判定されたときのアシスト力が維持される。その結果、旋回するべくステアリングホイール101を保舵しているにも拘らずセンサ故障時電流Ieが低減され、運転者の操舵負荷が大きくなってしまうことが抑制される。つまり、例えば、運転者がステアリングホイール101を保舵し、かつSATが大きい場合には、操舵状態補正係数Kcが低減されたことによりセンサ故障時電流Ieが小さくなると、運転者はステアリングホイール101を保舵するためにさらに操舵トルクを大きくする必要がある。しかしながら、本実施の形態に係るステアリング装置100によれば、操舵状態判定部283が保舵状態であると判定した場合には、操舵状態補正係数Kcが維持されセンサ故障時電流Ieが維持されてアシスト力が維持されることから運転者の操舵負荷が大きくなってしまうことが抑制される。
また、本実施の形態に係る操舵状態判定部283は、横G変化量ΔGが基準横G未満(ΔG<基準横G)であり、かつヨーレイト変化量ΔYが基準ヨーレイト未満(ΔY<基準ヨーレイト)であり、かつ車輪速度差変化量ΔVhlrが基準車輪速度差未満(ΔVhlr<基準車輪速度差)である場合に保舵状態であると判定するので、精度高く保舵状態であるか否かを判定することができる。また、実施の形態に係る操舵状態判定部283によれば、例えば絶対値化後操舵角|θse|が所定値以下の状況が所定時間継続する場合に保舵状態であると判定する場合と比べると、早期に保舵状態であると判定することができる。また、基準横G、基準ヨーレイト及び基準車輪速度差の設定次第で操舵状態判定部283が保舵状態であると判定するか否かの設定を変更することができる。つまり、基準横G、基準ヨーレイト及び基準車輪速度差に幅を持たせることができるので、設定の自由度が高い。
なお、上述した第1の実施形態においては、センサ故障時電流決定部28のセンサ故障時ベース電流算出部282は、代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θse、言い換えれば操舵角算出部73が電動モータ110のモータ回転角度θmを用いて算出した操舵角θsに基づいてセンサ故障時ベース電流Iebを算出する。しかしながら、ステアリング装置100は、操舵角θsを検出する操舵角センサ(不図示)を備え、センサ故障時電流決定部28のセンサ故障時ベース電流算出部282は、操舵角センサが検出した操舵角θsに基づいてセンサ故障時ベース電流Iebを算出しても良い。操舵角センサは以下の構造であることを例示することができる。つまり、ステアリングシャフト102自体に取り付けられてステアリングシャフト102と同期回転する第1回転部材(不図示)と、この第1回転部材の回転に連動して回転する第2回転部材(不図示)と、この第2回転部材に固定された着磁部の磁界変化を検出する磁気抵抗素子(不図示)とを有する。そして、操舵角センサは、ステアリングホイール101の回転角度に対応する正弦波及び余弦波の信号を出力する。
また、トルク検出装置109は、磁石210及びヨーク300にて形成される磁気回路中の磁気特性の変化に基づいてトルクを検出する装置であるが、磁歪に起因する磁気特性の変化に基づいてトルクを検出する装置であっても良い。
{第2の実施形態}
図13は、第2の実施形態に係るトルク検出装置109の概略構成図である。
第2の実施形態に係るステアリング装置100は、第1の実施形態に係るステアリング装置100に対して、トルク検出装置109と、センサ故障検出部27による故障検出方法、操舵状態判定部283によるステアリングホイール101が切り戻されていると判定する手法が異なる。以下、第1の実施形態に係るステアリング装置100と異なる点を中心に説明する。
第2の実施形態に係るトルク検出装置109のセンサユニット400は、操舵トルクTを検出することが可能な2つのトルクセンサである第3トルクセンサ423、第4トルクセンサ424と、操舵トルクTの方向を検出することが可能なトルク方向検出センサ425とを備えている。また、第2の実施形態に係るセンサユニット400は、第3トルクセンサ423、第4トルクセンサ424、トルク方向検出センサ425からの出力信号を、それぞれ第3トルク信号Td3、第4トルク信号Td4、トルク方向信号Trに変換する第3変換部443、第4変換部444、第5変換部445とを備えている。
第3トルクセンサ423は、第5磁気センサ415と、第5磁気センサ415から出力された電圧信号を増幅する第5電圧増幅部(不図示)とを備えている。第4トルクセンサ424は、第6磁気センサ416と、第6磁気センサ416から出力された電圧信号を増幅する第6電圧増幅部(不図示)とを備えている。トルク方向検出センサ425は、第7磁気センサ417と、第7磁気センサ417から出力された電圧信号を増幅する第7電圧増幅部(不図示)とを備えている。第5磁気センサ415、第6磁気センサ416、第7磁気センサ417は、ホール素子、磁気抵抗素子であることを例示することができる。
なお、以上のように構成された第3トルクセンサ423、第4トルクセンサ424は、第1の実施形態に係る第1トルクセンサ421、第2トルクセンサ422とは異なり自ら故障が生じたことを検出する機能である自己検出機能を有していない。
第2の実施形態に係るセンサ故障検出部27は、第3変換部443から取得した第3トルク信号Td3の値と第4変換部444から取得した第4トルク信号Td4の値との差が所定値を超えている場合にはトルク検出装置109に故障が発生したと判定する。
そして、センサ故障検出部27は、トルク検出装置109に故障が発生したと判定した場合には、故障した旨をセンサ故障時電流決定部28、最終目標電流決定部29に出力する。
第2の実施形態に係る操舵状態判定部283は、代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θseの方向と、トルク検出装置109が検出した操舵トルクTの方向とが異なる場合に切り戻されていると判定する。
より具体的には、操舵状態判定部283は、センサ故障検出部27から、第3変換部443から取得した第3トルク信号Td3の値と第4変換部444から取得した第4トルク信号Td4の値との差が所定値を超えていることに起因してトルク検出装置109が故障している旨の情報を得た場合には、以下のように操舵トルクTの方向を把握する。つまり、第3変換部443から出力された第3トルク信号Td3に基づく操舵トルクTの方向、第4変換部444から出力された第4トルク信号Td4に基づく操舵トルクTの方向及びトルク方向検出センサ425から出力されたトルク方向信号Trに基づく操舵トルクTの方向の3つの方向の内、2つの方向が同じである場合にその方向を操舵トルクTの方向として把握する。
そして、操舵状態判定部283は、把握した操舵トルクTの方向と、代入操舵角算出部281にて算出された代入操舵角θseの方向とが異なる場合に、ステアリングホイール101が切り戻されていると判定する。
なお、センサ故障検出部27から、第1変換部441から取得した第1トルク信号Td1の値と第2変換部442から取得した第2トルク信号Td2の値との差が所定値を超えていることに起因してトルク検出装置109が故障している旨の情報を得た場合であって、例えば固着故障が生じていることに起因して3つの方向の内の2つの方向が同じ方向ではない場合には操舵トルクTの方向を把握することができない。かかる場合、操舵状態判定部283は、算出操舵角速度θsevが第2基準角速度θv2(例えばθv2<θv1)未満となった場合には切り戻されていると判定し、算出操舵角速度θsevが第2基準角速度θv2未満ではない場合には切り戻されていないと判定しても良い。
以上のように構成された第2の実施形態に係るステアリング装置100においては、トルク検出装置109に故障が生じた場合においてもステアリングホイール101が切り戻されていることを精度高く把握することができる。その結果、第2の実施形態に係るステアリング装置100は、トルク検出装置109に故障が生じた場合においても切り戻し方向とは逆方向のアシスト力を早期に抑制することができる。
(第2の実施形態の変形例1)
操舵状態判定部283は、センサ故障検出部27から、第3変換部443から取得した第3トルク信号Td3の値と第4変換部444から取得した第4トルク信号Td4の値との差が所定値を超えていることに起因してトルク検出装置109が故障している旨の情報を得た場合には、トルク方向検出センサ425から出力されたトルク方向信号Trのみに基づいて操舵トルクTの方向を把握しても良い。
(第2の実施形態の変形例2)
操舵状態判定部283は、センサ故障検出部27から、第3変換部443から取得した第3トルク信号Td3の値と第4変換部444から取得した第4トルク信号Td4の値との差が所定値を超えていることに起因してトルク検出装置109が故障している旨の情報を得た場合であって、第3変換部443から出力された第3トルク信号Td3に基づく操舵トルクTの方向と第4変換部444から出力された第4トルク信号Td4に基づく操舵トルクTの方向とが同じである場合にその方向を操舵トルクTの方向として把握する。このように、第2の実施形態に係る操舵状態判定部283は、第3トルクセンサ423からの出力値に基づく操舵トルクTの値と第4トルクセンサ424からの出力値に基づく操舵トルクTの値が異なるとしても両センサからの出力値に基づく操舵トルクTの方向が同じである場合には、その方向を操舵トルクTの方向として把握する。トルク検出装置109は、第3トルクセンサ423及び第4トルクセンサ424のいずれか一方が故障したことにより、操舵トルクTの値及び方向を検出するトルク検出センサとしては機能しないとしても操舵トルクTの方向を検出するトルク方向検出センサとしては機能するからである。
他方、第3変換部443から出力された第3トルク信号Td3に基づく操舵トルクTの方向と第4変換部444から出力された第4トルク信号Td4に基づく操舵トルクTの方向とが異なる場合には、操舵状態判定部283は、算出操舵角速度θsevが第2基準角速度θv2未満となった場合には切り戻されていると判定し、算出操舵角速度θsevが第2基準角速度θv2未満ではない場合には切り戻されていないと判定しても良い。
なお、第2の実施形態の変形例2に係るトルク検出装置109のセンサユニット400は、トルク方向検出センサ425及び第5変換部445を備えていなくても良い。
{第3の実施形態}
第3の実施形態に係るステアリング装置100は、ステアリングホイール101の回転角度である操舵角を検出する上述した操舵角センサ(不図示)を備え、操舵状態判定部283が、操舵角センサが検出した検出操舵角に基づいてステアリングホイール101が切り戻されていると判定する点が第1の実施形態に係るステアリング装置100とは異なる。
操舵角センサ(不図示)は以下の構造であることを例示することができる。つまり、ステアリングシャフト102自体に取り付けられてステアリングシャフト102と同期回転する第1回転部材(不図示)と、この第1回転部材の回転に連動して回転する第2回転部材(不図示)と、この第2回転部材に固定された着磁部の磁界変化を検出する磁気抵抗素子(不図示)とを有する。そして、操舵角センサは、ステアリングホイール101の回転角度に対応する正弦波及び余弦波の信号を出力する。
第3の実施形態に係る操舵状態判定部283は、電動モータ110の回転に基づいて操舵角θsを推定する操舵角推定部の一例としての代入操舵角算出部281が算出(推定)した操舵角θsの方向と、操舵角θsを検出する操舵角検出部の一例としての操舵角センサが検出した操舵角θsの方向とが異なる場合にステアリングホイール101が切り戻されていると判定する。
以上のように構成された第3の実施形態に係るステアリング装置100においては、トルク検出装置109に故障が生じた場合においてもステアリングホイール101が切り戻されていることを精度高く把握することができる。その結果、第2の実施形態に係るステアリング装置100は、トルク検出装置109に故障が生じた場合においても切り戻し方向とは逆方向のアシスト力を早期に抑制することができる。
{第4の実施形態}
第4の実施形態に係るステアリング装置100は、第1の実施形態〜第3の実施形態に係るステアリング装置100に対して、トルク検出装置109に故障が生じた場合であってステアリングホイール101が切り戻されている場合に、電動モータ110によるアシスト力を低減する手法が異なる。
つまり、第4の実施形態に係るステアリング装置100においては、操舵状態補正係数設定部284は、ステアリングホイール101が切り戻されていると操舵状態判定部283が判定した場合には、操舵状態補正係数Kcの値を0とする。これにより、トルク検出装置109に故障が生じた場合であってステアリングホイール101が切り戻されていることを把握した場合には、切り戻し方向とは逆方向のアシスト力を早期に低減することができる。
{第5の実施形態}
第5の実施形態に係るステアリング装置100は、第3の実施形態に係るステアリング装置100に対して、トルク検出装置109に故障が生じた場合であってステアリングホイール101が切り戻されている場合に、電動モータ110によるアシスト力を低減する手法が異なる。
つまり、第5の実施形態に係るステアリング装置100においては、操舵状態補正係数設定部284は、ステアリングホイール101が切り戻されていると操舵状態判定部283が判定した場合には、代入操舵角算出部281が算出した操舵角θsと操舵角センサ(不図示)が検出した操舵角θsとのズレ量が大きいほど操舵状態補正係数Kcの値をより小さくする。例えば、代入操舵角算出部281が算出した操舵角θsと操舵角センサが検出した操舵角θsとのズレ量が大きいほど、上述した操舵状態補正係数Kc0から0まで減少させる所定時間T0をより短くする。これにより、切り戻されていると判定されたときからの経過時間が同じであるとしても、代入操舵角算出部281が算出した操舵角θsと操舵角センサが検出した操舵角θsとのズレ量が大きいほど、操舵状態補正係数Kcが小さな値となるため電動モータ110によるアシスト力がより小さくなる。これにより、トルク検出装置109に故障が生じた場合であっても、例えば運転者がステアリングホイール101の切り込まれ過ぎから早期に切り戻したい場合に、切り戻し方向とは逆方向のアシスト力が早期に低減するため、早期に切り戻すことができる。
10…制御装置、20…目標電流算出部、27…センサ故障検出部、28…センサ故障時電流決定部、109…トルク検出装置、283…操舵状態判定部、284…操舵状態補正係数設定部

Claims (1)

  1. 車両のステアリングホイールの操舵に対してアシスト力を付与するモータと、
    前記ステアリングホイールの操舵トルクを検出する2つのセンサを有するトルク検出部と、
    前記ステアリングホイールの回転角度である操舵角を推定する操舵角推定部と、
    前記トルク検出部に故障が発生していない場合には前記トルク検出部が検出した前記操舵トルクに基づいて前記モータを駆動させ、前記2つのセンサが故障している場合、前記2つのセンサが検出した前記操舵トルクの方向が同じである場合にはその方向を前記操舵トルクの方向として把握する機能を有し、前記トルク検出部に故障が発生した場合に、前記操舵角推定部が推定した前記操舵角に基づいて前記モータを駆動させ、前記2つのセンサに故障が発生した場合において、前記操舵角推定部が推定した前記操舵角の方向と、把握した前記操舵トルクの方向とが異なる場合に前記アシスト力を低減するように前記モータを駆動させる制御装置と、
    を備える電動パワーステアリング装置。
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