JP2003072580A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置

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JP2003072580A
JP2003072580A JP2001271629A JP2001271629A JP2003072580A JP 2003072580 A JP2003072580 A JP 2003072580A JP 2001271629 A JP2001271629 A JP 2001271629A JP 2001271629 A JP2001271629 A JP 2001271629A JP 2003072580 A JP2003072580 A JP 2003072580A
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steering
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failure
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JP2001271629A
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English (en)
Inventor
Shinji Matsui
慎治 松井
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Koyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動パワーステアリング装置においてトルク
センサが故障した場合に、その故障への対処に必要な自
走のための操舵操作を容易なものとする。 【解決手段】 トルクセンサで故障が発生した場合に、
操舵角θおよびその微分値である操舵角速度ωに基づ
き、モータの電流目標値Itを次のように設定する。θ
>0かつω≧0のときには、右方向へのハンドル操作を
補助すべく、車速Vで定まる一定電流値I(V)を電流目
標値Itとして設定する(S136)。θ<0かつω≦
0のときには、左方向へのハンドル操作を補助すべく、
−I(V)を電流目標値Itとして設定する(S14
2)。一方、θ>0かつω<0、または、θ<0かつω
>0のときは、ハンドルが戻り状態にあるので、操舵補
助を停止すべくIt=0と設定する(S138)。ま
た、高速走行時における走行安定性を確保すべく、車速
Vが所定値以上であるときには上記I(V)=0とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動モータによっ
て車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パ
ワーステアリング装置に関し、更に詳しくは、そのよう
な電動パワーステアリング装置おいてトルクセンサが故
障した場合の操舵補助に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、運転者がハンドル(ステアリ
ングホイール)に加える操舵トルクに応じて電動モータ
を駆動することによりステアリング機構に操舵補助力を
与える電動パワーステアリング装置が用いられている。
この電動パワーステアリング装置では、操舵のための操
作手段であるハンドルに加えられる操舵トルクを検出す
るトルクセンサが設けられており、そのトルクセンサで
検出される操舵トルクに基づき電動モータに流すべき電
流の目標値が設定される。そして、この目標値と電動モ
ータに実際に流れる電流の検出値との偏差に基づき、電
動モータの駆動手段に与えるべき指令値が生成される。
電動モータの駆動手段は、その指令値に応じたデューテ
ィ比のパルス幅変調信号(PWM信号)を生成するPW
M信号生成回路と、そのPWM信号のデューティ比に応
じてオン/オフするパワートランジスタを用いて構成さ
れるモータ駆動回路とから成り、そのデューティ比に応
じた電圧すなわち指令値に応じた電圧を電動モータに印
加する。この電圧印加によって電動モータに流れる電流
は電流検出回路によって検出され、この検出値と上記目
標値との差が上記指令値を生成するための偏差として使
用される。電動パワーステアリング装置では、このよう
にして、操舵トルクに基づき設定される目標値の電流が
電動モータに流れるようにフィードバック制御が行われ
る。
【0003】このような電動パワーステアリング装置に
おいて、何らかの異常によってトルクセンサに故障が生
じた場合、従来、モータによる操舵補助を停止すること
でステアリング装置の誤動作を防止し、危険挙動を回避
していた。しかし、この場合、運転者がハンドルに加え
るべき操舵トルクが非常に大きくなり、その結果、トル
クセンサに故障が発生した地点から車両を移動させるた
めの操舵操作を行うことも困難であった。例えば、トル
クセンサに故障が発生した場合、その故障の発生地点か
ら修理工場まで車両を移動させることが必要になるが、
その移動のために自走することが事実上できなくなると
いう問題があった。
【0004】一方、トルクセンサに故障が発生した際に
ハンドルの回転角や回転速度に基づき操舵補助を行う構
成が、例えば特開昭63−110071号公報や、特開
2000−185660号公報、特開2001−106
099号公報等において提案されている。しかし、これ
らは、トルクセンサの故障に起因する操舵補助の急激な
停止による操舵フィーリングの悪化等の防止を目的とし
ており、そこでの操舵角等による操舵補助は必要最低限
の走行を可能とするための応急処置的なものである。そ
のため、レッカー車等の助けを借りずに故障に対処すべ
く、故障の発生地点から修理工場等まで車両を自走させ
るための操舵操作は容易ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、ト
ルクセンサが故障した場合に故障の発生地点から例えば
修理工場まで自走するための操舵操作を容易に行えるよ
うに、トルクセンサの故障時における操舵の操作性を改
善した電動パワーステアリング装置を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】第1の
発明は、車両操舵のための操作手段によって加えられる
操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより当
該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パ
ワーステアリング装置であって、前記操舵トルクを検出
するトルクセンサと、前記操作手段の操作量を示す操舵
角を検出する舵角センサと、前記電動モータに供給すべ
き電流の目標値を設定する目標値設定手段と、前記電動
モータに流れる電流を検出して当該電流の検出値を出力
する電流検出手段と、前記電流目標値と前記電流検出値
との偏差に基づき、前記電動モータの駆動に対するフィ
ードバック制御のための指令値を生成する制御手段と、
前記指令値に応じて前記電動モータを駆動する駆動手段
と、前記トルクセンサにおいて故障が発生したか否かを
判定する故障判定手段と、を備え、前記目標値設定手段
は、前記故障判定手段により故障が発生していないと判
定された場合には、前記トルクセンサによって検出され
る操舵トルクに応じて前記電流目標値を設定し、前記故
障判定手段により故障が発生したと判定された場合に
は、前記舵角センサによって検出される操舵角および当
該操舵角の微分値である操舵角速度に基づき、前記操作
手段が中立位置から離れる方向に操作されているときに
前記電動モータが前記操舵補助力を発生させ、前記操作
手段が中立位置へ戻る方向に操作されているときに前記
電動モータによる前記操舵補助力の発生を停止するよう
に、前記電流目標値を設定することを特徴とする。
【0007】このような第1の発明によれば、トルクセ
ンサが故障した場合において、操作手段が中立位置から
離れる方向に操作されているときに電動モータが操舵補
助力を発生させ、操作手段が中立位置へ戻る方向に操作
されているときに電動モータによる操舵補助力の発生を
停止する。これにより、トルクセンサの故障時における
操舵の操作性が改善されるため、その故障への対処に必
要な自走のための操舵操作が従来に比べて容易となる。
すなわち、操舵操作に大きな困難を感じさせることな
く、例えば修理工場まで車両を自走によって移動させる
ことができる。
【0008】第2の発明は、第1の発明において、前記
車両の速度である車速を検出する車速センサを更に備
え、前記目標値設定手段は、前記故障判定手段により故
障が発生したと判定された場合に、前記電流目標値It
を前記操舵角θと前記操舵角速度ωと前記車速Vとに基
づき下記のように設定することを特徴とする: θ>0かつω≧0のときIt=I(V)≧0、 θ>0かつω<0のときIt=0、 θ=0ときIt=0、 θ<0かつω≦0のときIt=−I(V)≦0、 θ<0かつω>0のときIt=0、 ここで、前記操作手段においてθ=0の位置は中立位置
であり、I(V)は前記車速Vに応じて定まる非負の値で
あり、前記電動モータは、It>0のときに前記操舵角
θの正方向に前記操舵補助力を発生させ、It<0のと
きに前記操舵角θの負方向に前記操舵補助力を発生させ
る。
【0009】このような第2の発明によれば、トルクセ
ンサが故障した場合に、電動モータに流すべき電流の目
標値Itが車速Vを考慮した値に設定されるので、その
故障への対処に必要な自走のための操舵操作が更に容易
となる。
【0010】第3の発明は、第2の発明において、前記
目標値設定手段は、前記車速センサによって検出される
車速Vが予め決められた閾値よりも大きいときには前記
電流目標値Itを「0」に設定することを特徴とする。
【0011】このような第3の発明によれば、車速Vが
予め決められた閾値よりも大きいときには、前記電流目
標値Itが「0」に設定されて操舵補助が停止されるの
で、車両の高速走行時において走行安定性が確保され
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施形態について説明する。 <1.全体構成>図1は、本発明の一実施形態に係る電
動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車
両構成と共に示す概略図である。この電動パワーステア
リング装置は、操舵のための操作手段としてのハンドル
(ステアリングホイール)100に一端が固着されるス
テアリングシャフト102と、そのステアリングシャフ
ト102の他端に連結されたラックピニオン機構104
と、ハンドル100の操舵角を検出する舵角センサ2
と、ハンドル100の操作によってステアリングシャフ
ト102に加えられる操舵トルクを検出するトルクセン
サ3と、ハンドル操作(操舵操作)による運転者の負荷
を軽減するための操舵補助力を発生させる電動モータ6
と、その操舵補助力をステアリングシャフト102に伝
達する減速ギア7と、車載バッテリ8からイグニション
スイッチ9を介して電源の供給を受け、舵角センサ2
や、トルクセンサ3、車速センサ4からのセンサ信号に
基づきモータ6の駆動を制御する電子制御ユニット(E
CU)5とを備えている。このような電動パワーステア
リング装置を搭載した車両において運転者がハンドル1
00を操作すると、その操作による操舵トルクがトルク
センサ3によって検出され、その検出された操舵トルク
と車速センサ4によって検出された車速とに基づいてE
CU5によりモータ6が駆動される。これによりモータ
6は操舵補助力を発生し、この操舵補助力が減速ギア7
を介してステアリングシャフト102に加えられること
により、操舵操作による運転者の負荷が軽減される。す
なわち、ハンドル操作によって加えられる操舵トルクと
モータ6の発生する操舵補助力によるトルクとの和が、
出力トルクとして、ステアリングシャフト102を介し
てラックピニオン機構104に与えられる。これにより
ピニオン軸が回転すると、その回転がラックピニオン機
構104によってラック軸の往復運動に変換される。ラ
ック軸の両端はタイロッドおよびナックルアームから成
る連結部材106を介して車輪108に連結されてお
り、ラック軸の往復運動に応じて車輪108の向きが変
わる。
【0013】<2.制御装置の構成>図2は、上記電動
パワーステアリング装置における制御装置であるECU
5の機能的構成を示すブロック図である。このECU5
は、モータ制御部として機能するマイクロコンピュータ
(以下「マイコン」と略記する)10と、そのマイコン
10から出力される指令値Dfbに応じたデューティ比の
パルス幅変調信号(PWM信号)を生成するPWM信号
生成回路18と、そのPWM信号のデューティ比に応じ
た電圧をモータ6に印加するモータ駆動回路20と、モ
ータ6に流れる電流を検出する電流検出器19とから構
成される。
【0014】マイコン10は、その内部のメモリに格納
された所定のプログラムを実行することにより、目標電
流設定部12と減算器14とフィードバック制御演算部
(以下「FB制御演算部」と略記する)16とからなる
モータ制御部として機能する。このモータ制御部におい
て、トルクセンサ3から出力される操舵トルクの検出値
(以下「操舵トルク検出値」という)Tsまたは舵角セ
ンサ2から出力される操舵角の検出値θ(以下、単に
「操舵角θ」という)のいずれかと車速センサ4から出
力される車速の検出値V(以下、単に「車速V」とい
う)とに基づき、モータ6に流すべき電流の目標値It
を決定する。減算器14は、この電流目標値Itと電流
検出器19から出力されるモータ電流の検出値Isとの
偏差It−Isを算出する。FB制御演算部16は、こ
の偏差It−Isに基づく比例積分制御演算によって、
PWM信号生成回路18に与えるべきフィードバック制
御のための上記指令値Dfbを生成する。
【0015】PWM信号生成回路18は、この指令値D
fbに応じたデューティ比のパルス信号、すなわち指令値
Dfbに応じてパルス幅の変化するPWM信号を生成す
る。モータ駆動回路20は、このPWM信号のパルス幅
(デューティ比)に応じた電圧をモータ6に印加する。
モータ6は、その電圧印加によって流れる電流に応じた
大きさおよび方向のトルクを発生する。
【0016】図3は、上記モータ駆動回路20の一構成
例を示す回路図である。この例では、4個の電力用の電
界効果型トランジスタ(以下「FET」という)21〜
24によってブリッジ回路が構成されており、このブリ
ッジ回路はバッテリ8の電源ラインと接地ラインとの間
に接続されている。そして、右方向操舵を補助すべき場
合は、PWM信号生成回路18からFET21,24の
ゲートに上記PWM信号が入力され、FET22,23
のゲートにはそれらをオフさせる信号が入力される。こ
れにより、モータ6は、モータ駆動回路20によってそ
のPWM信号のデューティ比に応じた電圧を印加され、
右方向操舵を補助するトルクを発生させる。一方、左方
向操舵を補助すべき場合は、PWM信号生成回路18か
らFET22,23のゲートに上記PWM信号が入力さ
れ、FET21,24のゲートにはそれらをオフさせる
信号が入力される。これにより、モータ6は、モータ駆
動回路20によってそのPWM信号のデューティ比に応
じた電圧を上記と逆方向に印加され、左方向操舵を補助
するトルクを発生させる。
【0017】<3.動作>図4は、本実施形態における
マイコン10によるモータ制御のための処理を示すフロ
ーチャートである。本実施形態では、イグニションスイ
ッチ9がオンされてECU5に電源が投入されると、マ
イコン10が以下のように動作することにより、図2に
示した構成のモータ制御部が実現される。
【0018】すなわちマイコン10は、まず、舵角セン
サ2から操舵角θを、トルクセンサ3から操舵トルク検
出値Tsを、車速センサ4から車速Vを、電流検出器1
9から電流検出値Isをそれぞれ入力する(ステップS
12〜S18)。ここで、操舵角θ=0の位置を中立位
置とし、θ>0は右方向操舵に相当し、θ<0は左方向
操舵に相当するものとする。また、モータ6は、それに
流れる電流が正のとき(Is>0のとき)には右方向操
舵を補助する方向にトルクを発生させ、その電流が負の
とき(Is<0のとき)には左方向操舵を補助する方向
にトルクを発生させるものとする。
【0019】上記のようにして操舵角θ、操舵トルク検
出値Ts、車速V、および電流検出値Isが入力される
と、次に、トルクセンサ3に故障が発生したか否かを判
定するために故障判定処理を実行する(ステップS2
0)。この故障判定処理における故障判定の方法として
は、公知の種々の方法を採用することができる。例えば
特許2597167号公報で開示されたような方法、す
なわち、操舵トルクを検出するためのトルクセンサ3と
して複数個のセンサを設け、それらのセンサで検出され
る操舵トルクの最小値と最大値との差が所定値以上とな
った場合にトルクセンサ3が故障したと判定する、とい
う方法を採用することができる。また、これに代えて、
特開2001−106099号公報で開示されたような
方法、すなわち、モータ電流検出値Isが予め定める電
流値以上であり、かつ、操舵トルク検出値Tsが予め定
めるトルク値以上である場合に、トルクセンサ3に異常
(故障)が生じていると判断する、という方法を採用し
てもよい。
【0020】次に、上記故障判定処理による判定結果に
基づき、モータ6に流すべき電流の目標値Itを決定す
るために目標電流設定処理を実行する(ステップS2
2)。図5は、この目標電流設定処理の手順を示すフロ
ーチャートである。
【0021】この目標電流設定処理では、上記故障判定
処理においてトルクセンサ3における故障が検出されな
かった場合、すなわちステップS122でNoと判定さ
れた場合には、図6に示すようなアシストテーブルを参
照して、操舵トルク検出値Tsおよび車速Vに対応する
電流目標値Itを決定する(ステップS124)。この
アシストテーブルは、車速をパラメータとして、操舵ト
ルクとモータ6に流すべき目標電流との関係を示すテー
ブルであり、マイコン10内のメモリに予め格納されて
いる。
【0022】一方、上記故障判定処理においてトルクセ
ンサ3に故障が発生したと判定された場合、すなわちス
テップS122でYesと判定された場合には、操舵ト
ルク検出値Tsを用いずに適切な操舵補助を行うべく電
流目標値Itを下記のようにして決定する。
【0023】すなわち、まず、舵角センサ2によって検
出される操舵角θを時間微分することにより操舵角速度
ω=dθ/dtを算出する(ステップS130)。次
に、操舵角θが正か負か0かを判定する(ステップS1
32)。ただし、実際には、比較的小さい正値εを予め
設定し、−ε≦θ≦εであればθ=0と見なし、θ<−
εであればθ<0と見なし、θ>εであればθ>0と見
なすようにするのが好ましい。
【0024】ステップS132での判定の結果、操舵角
θ>0であれば、操舵角速度ωが「0」以上か否かを判
定する(ステップS134)。この判定の結果、ω≧0
であれば、ハンドル100が右方向に切られているの
で、車速Vに応じて定まる一定値I(V)≧0を電流目標
値Itとして設定する(ステップS136)。例えば、
車速Vと電流値I(V)との関係を表す図7に示すような
テーブル(以下「故障用アシストテーブル」という)を
予めマイコン10内のメモリに格納しておき、この故障
用アシストテーブルを参照して、入力された車速Vに対
応する電流値I(V)を求め、求まった電流値I(V)を電
流目標値Itとして設定する(ステップS136)。な
お、高速走行時における走行安定性を確保すべく、故障
用アシストテーブルでは、図7に示すように、車速Vが
予め設定された車速値(以下「車速閾値」という)Vth
以上である場合には、I(V)=0となる。車速閾値Vth
は、例えば80km/hに設定される。また、故障用ア
シストテーブルでは、車速V<VthにおけるI(V)の値
は、トルクセンサ3の正常時において設定される電流目
標値よりも小さい値、すなわち正常時における最大操舵
トルクに対応するモータ電流値よりも十分に小さい値に
設定される。本実施形態において電流値I(V)は操舵ト
ルクに依存しない一定値であることから電流目標値It
を大きな値に設定すれば安全性の観点から問題があり、
一方、故障時においては当面の対処のための自走(例え
ば修理工場までの自走)に大きな困難を感じさせない程
度の操舵補助を与えれば十分だからである。上記ステッ
プS134での判定の結果、操舵角速度ω<0であれ
ば、ハンドル100が中立位置に復帰する状態(ハンド
ル戻し状態)にあるので、操舵補助が不要であるとし
て、電流目標値Itを「0」に設定する(ステップS1
38)。
【0025】ステップS132での判定の結果、操舵角
θ<0であれば、操舵角速度ωが「0」以下か否かを判
定する(ステップS140)。この判定の結果、ω≦0
であれば、ハンドル100が左方向に切られているの
で、車速Vに応じて定まる上記電流値I(V)の正負を反
転させた値−I(V)≦0を電流目標値Itとして設定す
る(ステップS142)。ここで、車速Vに対応する電
流値I(V)を求めるには、上記と同様に、図7に示す故
障用アシストテーブルを参照すればよい。この場合も、
車速Vが予め設定された車速閾値Vth(例えば80km
/h)以上であればIt=−I(V)=0となる。一方、
ステップS140での判定の結果、操舵角速度ω>0で
あれば、ハンドル100が中立位置に復帰する状態(ハ
ンドル戻し状態)にあるので、操舵補助が不要であると
して、電流目標値Itを「0」に設定する(ステップS
138)。
【0026】ステップS132での判定の結果、操舵角
θ=0であれば、ハンドル100が中立位置にあるの
で、操舵補助は不要であるとして、電流目標値Itを
「0」に設定する(ステップS138)。
【0027】上記のようにして電流目標値Itが設定さ
れると、目標電流設定処理を終了し、図4に示したメイ
ンルーチンに復帰する。
【0028】上記目標電流設定処理が終了すると、設定
された電流目標値Itと電流検出器19から入力された
電流検出値Isとの偏差It−Isに基づく比例積分制
御演算によって、PWM信号生成回路18に与えるべき
フィードバック制御のための指令値Dfbを生成する(ス
テップS24)。そして、この指令値Dfbをモータ制御
部としてのマイコン10から出力する(ステップS2
6)。その後、ステップS12へ戻り、以降、イグニシ
ョンスイッチ9がオフされるまで、ステップS12〜S
26を繰り返し実行する。
【0029】モータ制御部としてのマイコン10から出
力された上記指令値Dfbは、PWM信号生成回路18に
入力され、そこで、この指令値Dfbに応じてパルス幅の
変化するPWM信号が生成される。このPWM信号はモ
ータ駆動回路20に供給され、モータ駆動回路20は、
そのPWM信号のパルス幅(デューティ比)に応じた電
圧をモータ6に印加する。
【0030】このようにして、PWM信号生成回路18
に与えられる指令値Dfbに応じた電圧がモータ6に印加
され、その電圧印加によってモータ6に流れる電流に応
じた大きさおよび方向のトルクがモータ6から発生す
る。電流検出器19は、このときモータ6に流れる電流
を検出し、電流検出値Isを出力する。この電流検出値
Isは、上記減算器14に入力され、既述のように、偏
差It−Isを算出するために使用される。
【0031】上記のようにして駆動されるモータ6が発
生するトルクは、減速ギア7を介し操舵補助トルクとし
てステアリングシャフト102に伝達される。
【0032】<4.効果>上記実施形態によれば、トル
クセンサ3に故障が発生した場合には、目標電流値It
が、操舵角θとその微分値である操舵角速度ωとに基づ
き下記のように設定される。すなわち、目標電流値It
は、ハンドル100が右方向に切られているとき(θ>
0かつω≧0のとき)には、車速Vに応じて定まる一定
値I(V)≧0に設定され、ハンドル100が左方向に切
られているとき(θ<0かつω≦0のとき)には、車速
Vに応じて定まる一定値−I(V)≦0に設定され、一
方、ハンドル100が戻り状態にあるとき(θ>0かつ
ω<0、または、θ<0かつω>0のとき)には、
「0」に設定される。これにより、ハンドル100が中
立位置から離れる方向に操作されているときには、それ
に応じた方向に操舵補助力を発生させるようにモータ6
が駆動され、ハンドル100が中立位置に戻る方向に操
作されているとき(ハンドル戻り状態にあるとき)に
は、モータ6による操舵補助が停止される。このように
して、トルクセンサ3が故障した場合に従来よりも操舵
の操作性が改善されるので、操舵操作に大きな困難を感
じさせることなく、車両を修理工場等へ自走によって移
動させることができる。
【0033】なお、図7に示す故障用アシストテーブル
を使用すれば、トルクセンサ3の故障発生後の自走にお
いて車速が所定の速度Vthを越えた場合には、電流目標
値It=0となるので、高速走行時における走行安定性
が確保される。
【0034】<5.変形例>上記実施形態では、トルク
センサ3に故障が発生した場合に設定される電流目標値
Itは、車速Vに応じて定まる一定値(操舵トルクや操
舵角θに依存しない値)であるが、これに代えて、操舵
角θに応じて電流目標値Itを変化させるようにしても
よい。
【0035】また、上記実施形態では、トルクセンサ3
に故障が発生した場合、電流目標値Itは、操舵角θと
操舵角速度ωと車速Vに基づいて設定されるが、これら
に加えて操舵角速度ωの時間微分である操舵角加速度α
=dω/dt=d2θ/dt2をも考慮して電流目標値I
tを設定するようにしてもよい。
【0036】なお、図2に示したモータ制御部10の機
能的構成は、本発明に直接に関係しない部分を省略した
簡略的なものであり、実際の電動パワーステアリング装
置では、操舵の安定性を向上させるための位相補償や、
制御応答性を向上させるためのフィードフォワード制御
等も行われる。
【0037】また、上記実施形態は、トルクセンサ3に
おける故障にのみ注目して説明されているが、実際の電
動パワーステアリング装置では、電流検出器19の故障
など他の故障も検出され、安全性確保や上記のような所
定距離の自走確保などのために、それらの故障に応じた
故障処理または暫定的なモータ制御処理が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリ
ング装置の構成をそれに関連する車両構成と共に示す概
略図である。
【図2】上記実施形態に係る電動パワーステアリング装
置における制御装置であるECUの機能的構成を示すブ
ロック図である。
【図3】上記実施形態におけるモータ駆動回路の一構成
例を示す回路図である。
【図4】上記実施形態においてモータを制御するための
制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】上記実施形態においてモータに流すべき電流の
目標値を決定するための目標電流設定処理の手順を示す
フローチャートである。
【図6】上記実施形態においてモータに供給すべき電流
の目標値を設定するためのアシストテーブルを示す図で
ある。
【図7】上記実施形態においてトルクセンサが故障した
場合にモータに供給すべき電流の目標値を設定するため
の故障用アシストテーブルを示す図である。
【符号の説明】
2 …舵角センサ 3 …トルクセンサ 4 …車速センサ 5 …電子制御ユニット(ECU) 6 …モータ 10 …マイクロコンピュータ(モータ制御部) 12 …目標電流設定部 14 …減算器 16 …フィードバック制御演算部(FB制御演算部) 18 …PWM信号生成回路 19 …電流検出器 It …電流目標値 Is …電流検出値 Ts …操舵トルク検出値 V …車速 θ …操舵角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 137:00 B62D 137:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両操舵のための操作手段によって加え
    られる操舵トルクに応じて電動モータを駆動することに
    より当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える
    電動パワーステアリング装置であって、 前記操舵トルクを検出するトルクセンサと、 前記操作手段の操作量を示す操舵角を検出する舵角セン
    サと、 前記電動モータに供給すべき電流の目標値を設定する目
    標値設定手段と、 前記電動モータに流れる電流を検出して当該電流の検出
    値を出力する電流検出手段と、 前記電流目標値と前記電流検出値との偏差に基づき、前
    記電動モータの駆動に対するフィードバック制御のため
    の指令値を生成する制御手段と、 前記指令値に応じて前記電動モータを駆動する駆動手段
    と、 前記トルクセンサにおいて故障が発生したか否かを判定
    する故障判定手段と、を備え、 前記目標値設定手段は、 前記故障判定手段により故障が発生していないと判定さ
    れた場合には、前記トルクセンサによって検出される操
    舵トルクに応じて前記電流目標値を設定し、前記故障判
    定手段により故障が発生したと判定された場合には、前
    記舵角センサによって検出される操舵角および当該操舵
    角の微分値である操舵角速度に基づき、前記操作手段が
    中立位置から離れる方向に操作されているときに前記電
    動モータが前記操舵補助力を発生させ、前記操作手段が
    中立位置へ戻る方向に操作されているときに前記電動モ
    ータによる前記操舵補助力の発生を停止するように、前
    記電流目標値を設定することを特徴とする、電動パワー
    ステアリング装置。
  2. 【請求項2】 前記車両の速度である車速を検出する車
    速センサを更に備え、 前記目標値設定手段は、前記故障判定手段により故障が
    発生したと判定された場合に、前記電流目標値Itを前
    記操舵角θと前記操舵角速度ωと前記車速Vとに基づき
    下記のように設定することを特徴とする、請求項1に記
    載の電動パワーステアリング装置: θ>0かつω≧0のときIt=I(V)≧0、 θ>0かつω<0のときIt=0、 θ=0ときIt=0、 θ<0かつω≦0のときIt=−I(V)≦0、 θ<0かつω>0のときIt=0、 ここで、前記操作手段においてθ=0の位置は中立位置
    であり、I(V)は前記車速Vに応じて定まる非負の値で
    あり、前記電動モータは、It>0のときに前記操舵角
    θの正方向に前記操舵補助力を発生させ、It<0のと
    きに前記操舵角θの負方向に前記操舵補助力を発生させ
    る。
  3. 【請求項3】 前記目標値設定手段は、前記車速センサ
    によって検出される車速Vが予め決められた閾値よりも
    大きいときには前記電流目標値Itを「0」に設定する
    ことを特徴とする、請求項2に記載の電動パワーステア
    リング装置。
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