JP2007163280A - バックグラウンド補償型α線放射能測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自然界に存在するラドンなどの天然放射性核種のバックグラウンド濃度を個別に測定し、プルトニウム等の人工放射性核種を迅速かつ正確に測定・評価する。
【解決手段】試料から放射されるα線及びβ線の検出器12と、検出信号をデジタル変換して処理するデータ処理部20と、その解析と結果の表示を行うパーソナルコンピュータ32を備えている。データ処理部には、アナログパルスをAD変換したデジタル信号の時間間隔測定を行うエネルギー及び時間間隔測定系と、アナログパルスのまま時間間隔測定を行う高速時間間隔測定系を設ける。測定データはFIFOメモリ28でバッファされ、パーソナルコンピュータで時間間隔解析法によりβ−α相関事象を捉えることによってRn−222の子孫核種であるPo−214由来のα線を選択的に抽出し、それを全体から除去することによりPo−214による妨害を低減して人工放射性核種に由来するα線を測定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、α線を放出する人工放射性核種を測定・評価できるα線放射能測定装置に関し、更に詳しく述べると、プルトニウム等のα線測定の際に妨害となっていた半減期の短い天然放射性核種によるバックグラウンドを、時間間隔解析法の原理を利用して低減し、迅速にプルトニウム等の放射能を分別して測定できるようにしたバックグラウンド補償型α線放射能測定装置に関するものである。
再処理施設等のプルトニウムを取り扱う原子力施設では、空気中放射性物質濃度を監視することが必要である。現状では、ダストモニタによる連続監視方式と、作業環境中の空気中に含まれる粉塵を一定期間採取したろ紙のα線を測定するバッチ方式とを組み合わせて管理する方法が一般的である。
従来技術による一般的なα線放射能測定装置は、一定期間空気粉塵を採取したろ紙から放出されるα線をSi半導体検出器等によって検出し、その電気信号を増幅してAD変換器にてデジタル信号に変換し、SCA(シングルチャンネルアナライザ)によって予め設定したプルトニウムのエネルギーに換算した範囲の電圧値を計測し、データを表示するように構成されている。しかし、このような従来装置によって作業環境中の空気粉塵試料を測定する場合、図10に示すように、自己吸収などの効果によりプルトニウムのエネルギー領域に天然放射性核種(特にラドンの子孫核種)から放出されるエネルギーが妨害となるため、正確なプルトニウムの測定は不可能である。
ラドン以降の天然放射性核種壊変系列(ウラン系列)を図11に示す。これらラドン以降の子孫核種のうち、環境中の空気粉塵試料から人工放射性核種のエネルギー分別測定を行う際にバックグラウンドとなる(測定の妨害となるα線を放出する)核種は、Po−214である。このPo−214の半減期は非常に短く、164μsである。この核種の影響を低減するために試料採取後、最大3日程度の時間放置が必要であるため迅速な測定ができなかった。
Rn−222の子孫核種によるバックグラウンドの影響を低減してプルトニウム等の人工放射性核種を測定する方法として、Bi−214とPo−214のβ−α相関関係を利用する方法がある。Po−214は164μsの半減期であるため、Bi−214の壊変(β線放出)の後にPo−214が壊変(α線放出)するまで短い時間であると考えられる。そこで、この関係を利用し、β線をスタートパルスとして、数百μsの不感時間をパルス測定回路上に設けるなどの工夫を施したバックグラウンド補償型α線放射能測定装置が研究されてきた。しかし、パルスの増幅時間などが原因となり、回路上による時間の遅れや計数効率の低さのために、測定できる割合が低く、実用化には至っていない。
ところで、従来技術として、「時間間隔解析法」と呼ばれる測定方法がある(非特許文献1)。これは、放射性核種による電気信号(パルス)の時間間隔を測定し、時間間隔スペクトルを作成して相関事象関係(半減期の短い下位核種を持つ放射性核種のペア)の計数のみを選択的に抽出する方法である。この測定技術は、トリウム系列などの半減期の短い子孫核種の放射能の測定に利用されている。
橋本哲夫、久保田知明:「時間間隔解析法を用いた玉川温泉水中のトリウム系列核種の絶対測定」,RADIOISOTOPES , 38,415-420 (1989)
本発明が解決しようとする課題は、自然界に存在するラドン(222Rn)の子孫核種などの天然放射性核種によるバックグラウンドの影響を除去し、プルトニウム等の人工放射性核種を迅速かつ正確に測定・評価できるようなα線放射能測定装置を実現することである。
前述のように、環境中の空気粉塵試料からプルトニウムなどの人工放射性核種のエネルギー分別測定を行う際にバックグラウンドとなる核種は、Po−214である。従って、Po−214に由来するα線のパルスを抽出し測定できれば、人工放射性核種を測定する際のバックグラウンドを補償できることになる。そこで本発明は、半減期の短い核種を選択的に測定する方法である時間間隔解析法を利用して天然放射性核種のバックグラウンドを求め、それを補償することにより、迅速にプルトニウム等の放射能を分別して測定できるように工夫したα線放射能測定装置である。
即ち本発明は、試料から放出されるα線及びβ線を検出し電気信号として送信する検出部と、該検出部から送信されてきた電気信号を処理するデータ処理部と、該データ処理部の結果を解析して表示するパーソナルコンピュータを備え、前記データ処理部には、前記検出部から送信され所定の分別レベルを越えたアナログパルスをAD変換器によりデジタル変換したデジタル信号の時間間隔測定を行うエネルギー及び時間間隔測定系と、デジタル変換することなく所定の分別レベルを越えたアナログパルスの時間間隔測定を行う高速時間間隔測定系との2系統が設けられ、測定データはFIFOメモリでバッファされるようにし、該FIFOメモリのデータは、パーソナルコンピュータに送られて記録装置で記録され、該パーソナルコンピュータでは、記録されたデータを用いて時間間隔解析法によりβ−α相関事象を捉えることによってRn−222の子孫核種であるPo−214由来のα線を選択的に抽出し、それを全体から除去することにより、Po−214による妨害を低減して人工放射性核種に由来するα線を測定することを特徴とするバックグラウンド補償型α線放射能測定装置である。
試料は空気粉塵が付着しているろ紙であって、前記検出部は、ろ紙の両面に、検出器と前置増幅器の組み合わせを対として配置し、両前置増幅器の出力が加算増幅器に入力する構造が好ましい。データ処理部のエネルギー及び時間間隔測定系と高速時間間隔測定系の両系統は、例えば、時間間隔を測定するタイマと切換スイッチ及びFIFOメモリを共有し、該切換スイッチにより一方の系統の測定データを選択してFIFOメモリでバッファされるようにする。また、パーソナルコンピュータでは、記録装置内のデータに基づき、時間間隔が0−1msの範囲内に入る計数を、予め求めたβ−α相関事象の測定効率(0−1msの時間間隔を持つPo−214由来のパルス計数/検出器で測定されたPo−214由来のα線の全計数)により補正してPo−214由来のα線の正味計数を算出する。ここで、β−α相関事象の測定効率を予め求めるための線源として、Th−230線源を使用することができる。
本発明のバックグラウンド補償型α線放射能測定装置は、測定対象とする人工放射性核種のエネルギーチャンネルの計数をバックグラウンドであるラドン子孫核種の計数を除去して測定するため、従来の方法では、ラドン子孫核種が減衰するまで評価できなかった人工のα線放出放射性核種(プルトニウム等)の早期定性、定量が可能となる。また、本発明は検出器からの信号を直接処理できることから、従来のサンプリング方法及び検出器については変更の必要はないし、検出器の方式によって適用の可否を考慮する必要がない。検出下限値については、従来のα線のみを測定する方法と比較して1/3程度高くなると予想されるが、測定時間を長くする等測定条件を変更することによって被ばく管理上十分な検出下限値を補償することができる。
まず図1により、本発明で利用する時間間隔解析法の概念と方法について説明図する。時間間隔解析法では、(1)検出器に放射線が入射することによって生じる電気信号の最大の波高値H及びパルス間の時間間隔Tを測定し、それらのデータを保存する。(2)その後、目的のエネルギー範囲に相当する波高値Hによってパルスを識別し、識別したパルスの時間間隔を横軸にとり、縦軸に計数をとった時間間隔スペクトルを作成する。(3)測定対象の中に全体の放射能に比べて半減期の短い核種が存在する場合、その上位核種との間の時間間隔は短くなる。ここで、半減期の短い下位核種を持つ放射性核種のペアを相関事象関係と呼ぶ。相関事象関係である放射性核種の時間間隔の計数は、時間間隔スペクトル上で時間間隔が長くなるほど半減期に従って指数関数的な減少を示す。一方、半減期の長い核種は放射能にしたがって壊変するため、相関事象関係の核種と比較すると傾きに顕著な差が出る。(4)この結果から、時間間隔スペクトル上で相関事象関係の計数のみを選択的に抽出することが可能である。
ラドン以降の天然放射性核種壊変系列について見ると(図11参照)、Po−214は164μsの半減期であるため、Bi−214の壊変(β線放出)のあとにPo−214が壊変(α線放出)するまで短い時間であると考えられる。前述のように、環境中の空気粉塵試料から人工放射性核種のエネルギー分別測定を行う際にバックグラウンドとなる核種はPo−214であるため、Po−214を抽出し測定することができれば人工放射性核種を測定する際のバックグラウンドを補償できる。そこで本発明のバックグラウンド補償型α線放射能測定装置は、半減期の短い成分(Po−214由来のβ−α相関事象)を抽出して除去し、半減期の長い成分(ランダム事象)についての計数から人工放射性核種による放射能を測定する。
図2は、このような手法を実現するための、本発明に係るバックグラウンド補償型α線放射能測定装置の一実施例を示す機器構成図である。試料としては、空気粉塵を採取したろ紙10を用い、それを検出部12で測定する。検出部12では、Si半導体検出器等の検出器14と前置増幅器(PreAMP)16を組として、2組、それらを前記ろ紙10の表裏両面に、前記検出器14がろ紙10に近接するように配置する。両検出器14で検出された放射線由来の電気信号は、それぞれ前置増幅器16で増幅され、加算増幅器(SumAMP)18に入力し増幅される。つまり、両方の前置増幅器16からの時系列の信号は、加算増幅器(SumAMP)18で1つの時系列の信号となる。そして、増幅された信号は、データ処理部20にてデータ処理される。
データ処理部20では、入力する電気信号は、デジタル変換して時間間隔測定を行うエネルギー及び時間間隔測定系(以下、「A系統」という)と、デジタル変換することなく所定の分別レベルを越えたアナログパルスの時間間隔測定を行う高速時間間隔測定系(以下、「B系統」という)との2系統に分岐し処理される。
A系統(エネルギー及び時間間隔測定系)では、第1の分別器(DISC1)22でノイズを除去するために所定の分別レベルを超えた信号が、逐次比較型の高速AD(アナログデジタル)変換器24によってデジタル信号に変換される。デジタル変換された信号に対し、プログラマブルタイマ26によって時間間隔情報を測定し、その時間間隔情報が放射線のエネルギーに対応する波高値とともにFIFOメモリ28で保存される。波高値と時間間隔のデータはCPUバス30を経て、パーソナルコンピュータ(PC)32に送られ解析処理され、その結果がリアルタイムで表示される。
B系統(高速時間間隔測定系)では、第2の分別器(DISC2)34でノイズを除去するための分別レベルを超えた信号が、アナログ信号のままで、プログラマブルタイマ26によって時間間隔情報が測定され、FIFOメモリ28で保存される。時間間隔のデータはCPUバス30を経て、パーソナルコンピュータ(PC)32に送られて解析処理され、その結果がリアルタイムで表示される。
これら2系統は、切換スイッチ36によってパーソナルコンピュータ32から選択制御されるように構成されている。エネルギー情報(波高値のデータ)も必要な場合には、パーソナルコンピュータ(PC)32からの切換信号により切換スイッチ36によってA系統を選択する。エネルギー情報は必要なく、不感時間を少なくして測定したい場合には、パーソナルコンピュータ(PC)32からの切換信号により切換スイッチ36によってB系統を選択する。従って装置的には、プログラマブルタイマ26、FIFOメモリ28などは、両系統で共用することになる。
FIFOメモリ28のデータは、入ってきた順に出て行き(first-in,first-out)、CPUバス30を経てパーソナルコンピュータ32に送られ、ハードディスク装置などの記録装置で記録される。パーソナルコンピュータ32では、記録されたデータを用いて時間間隔解析法によりβ−α相関事象を捉えることによってRn−222の子孫核種であるPo−214由来のα線を選択的に抽出し、それを全体から除去することにより、Po−214による妨害を低減して人工放射性核種に由来するα線を測定する。具体的には、Po−214由来のα線の選択的な抽出は、時間間隔が0−1msの範囲内に入る計数を、予め求めたβ−α相関事象の測定効率(0−1msの時間間隔を持つPo−214由来のパルス計数/検出器で測定されたPo−214由来のα線の全計数)により補正してPo−214由来のα線の正味計数を算出することにより行う。
図3に、本発明に係るバックグラウンド補償型α線放射能測定装置の詳細な処理フローチャートを示す。この図3において、太枠部は、随時、パーソナルコンピュータ(PC)32により表示する処理を示している。本装置において、A系統とB系統は、次のように使い分ける。通常の測定手順の概略を図4に示す。測定に際しては、試料における測定対象物(Pu:プルトニウム)とバックグラウンド(Rn:ラドン子孫核種)との放射線の大小が不明のため、まずA系統の測定(エネルギースペクトルと時間間隔分析)を行う。このA系統の測定に対する不感時間は約19μsと多少長くなる。この測定で、測定対象物とバックグラウンドとの放射線量比較を行い、その結果によって、その後の処理を決定する。Pu≫Rn(10倍程度以上)であれば、測定結果で明確な差が出るために、A系統の測定のみで終了して構わない。そうでない場合は、精密な測定を実施しないと測定結果の信頼性を確保できない。そこで、引き続いて、B系統で時間間隔分析のみを行い、測定結果の表示を行う。このB系統の測定に対する不感時間は約2μsと非常に短くなり、そのため数え落としが少なくなる。これによって、Pu<RnあるいはPu≒0の区別も可能となる。
本発明のα線放射能測定装置は、α線測定時のバックグラウンドとなるラドン子孫核種を精度よく低減するために、特に以下のような点に工夫を施している。
(1)検出器と前置増幅器の組み合わせを、試料であるろ紙の表裏に対として配置し、試料の両側より測定することによって試料から放出される放射線の測定効率を向上させる。
(2)短い時間間隔の測定を可能にするため、時間分解能の良好なタイマを使用する。
(3)短い時間間隔の測定を可能にするため、高速AD変換器及びFIFOメモリを使用することによって不感時間を10μs程度に短くする。
(4)切換スイッチを設けることで、α線のエネルギーを測定しない場合には、分別レベルを越えたアナログパルスに対して時間間隔測定を行うようにして、不感時間を更に短くする。
(5)パルスのエネルギー及び時間間隔は、対データとして装置内のハードディスクに記録させる。Po−214の壊変の半減期を考慮して、時間間隔が0−1msの範囲に入る計数を、あらかじめ決定した相関事象の測定効率(0−1msの時間間隔であるパルスの数/検出器で測定されたα線)で補正することにより正味計数を算出する。
(6)データ処理部に使用する機器をすべて基板上に配置することによって、装置をより一層小型化・軽量化する。
本発明に係るα線放射能測定装置が、実際にPo−214由来のβ−α相関事象を測定できることを確認するために、Th−230電着線源を用いて測定を行った。Th−230線源のエネルギースペクトルの一例を図5に示す。Th−230線源は、Bi−214由来のβ線及びPo−214由来の7.69MeVのα線が存在するために、このTh−230線源を測定することによって本発明のα線放射能測定装置による相関事象の測定可否の確認が行える。
実際の測定では、すべてのパルスの時間間隔を測定し、その結果からBi−214及びPo−214に相当するエネルギーチャンネルの結果のみを識別し、時間間隔スペクトルを作成する。Th−230線源によるPo−214の時間間隔スペクトルの一例を図6に示す。このように、β−α相関事象を測定した時間間隔の計数は、1000μsの範囲まで半減期に対応した傾きで指数関数的な減少を示す。なお、1000μs以降の計数は検出器の数え落としであると考えられる。
検出器に入射したPo−214由来のα線の全計数と0−1000μsの時間間隔であるPo−214由来のα線の計数との比を、「相関事象の測定効率」と定義する。図7にTh−230線源を測定した際のPo−214由来のα線の全計数と相関事象の測定効率の関係を示す。このようにPo−214の絶対的な計数が小さい場合、相関事象の測定効率はばらつくが、300計数以上ある場合0.3−0.35の範囲で一定となる。この結果から、本実施例のα線放射能測定装置は検出器に入射した相関事象のうち30%を計数できたと評価できる。従って、このようにして求めた相関事象の測定効率を用いて、Po−214由来のα線の正味計数を算出することができる。
本発明のα線放射能測定装置による実試料の測定例を示す。空気中の粉塵を70L/分で2時間、ガラス繊維ろ紙(HE40T、孔径8μm)上に採取し、採取後すぐに本発明のα線放射能測定装置により測定を行った。測定時間は100秒毎に2時間とした。図8に一般的な空気粉塵試料のα線スペクトルを示す。このように、Po−214由来のα線のエネルギーはろ紙の自己吸収や検出器までの距離などが原因となって低エネルギー側にシフトする。その結果、プルトニウム(エネルギー領域はほぼ5MeV)等の人工放射性核種の測定を行う際の妨害となることが分かる。
通常環境中で採取した空気粉塵では、バックグラウンドとなる核種はBi−214及びPo−214の量が支配的であると仮定して、相関事象の測定効率を全α線計数と0−1000μsの時間間隔を持つパルスの計数との比とする。図9に空気粉塵試料を測定した際の相関事象の測定効率の経時変化について示す。全α線計数は徐々に低下するが、相関事象の測定効率は時間経過によって大きな変動はない。
以上の結果により、本実施例の装置は、高速処理が実現でき、時間間隔解析法の理論どおりに相関事象を抽出することができ、その性質を利用してバックグラウンドを補償し、人工放射性核種によるα線放射能測定が可能であることが確認できた。
なお、本発明に係るバックグラウンド補償型α線放射能測定装置は、前記のようにA系統の測定のみ行う方法、及びA系統の測定後にB系統の測定を行う方法の他、B系統の測定のみ行う方法、あるいはエネルギースペクトルのみ測定する方法などにも使用可能である。
本発明で利用する時間間隔解析法の概念と方法の説明図。 本発明に係るバックグラウンド補償型α線放射能測定装置の一実施例を示す機器構成図。 本測定装置における詳細な処理フローチャート。 本測定装置による通常の測定手順の概略を示す図。 Th−230線源のエネルギースペクトル。 本実施例によるPo−214の時間間隔スペクトル。 本実施例によるPo−214の全計数と相関事象の測定効率の関係図。 本実施例による空気粉塵試料のエネルギースペクトル。 本実施例によるPo−214の全計数と相関事象の測定効率の経時変化を示す図。 従来技術による空気粉塵試料のエネルギースペクトル。 ラドン以降の天然放射性核種壊変系列(ウラニウム系列)を示す図。
符号の説明
10 ろ紙
12 検出部
14 検出器
16 前置増幅器(PreAMP)
18 加算増幅器(SumAMP)
20 データ処理部
22 第1の分別器(DISC1)
24 高速AD変換器
26 プログラマブルタイマ
28 FIFOメモリ
30 CPUバス
32 パーソナルコンピュータ(PC)
34 第2の分別器(DISC2)
36 切換スイッチ

Claims (4)

  1. 試料から放出されるα線及びβ線を検出し電気信号として送信する検出部と、該検出部から送信されてきた電気信号を処理するデータ処理部と、該データ処理部の結果を解析して表示するパーソナルコンピュータを備え、前記データ処理部には、前記検出部から送信され所定の分別レベルを越えたアナログパルスをAD変換器によりデジタル変換したデジタル信号の時間間隔測定を行うエネルギー及び時間間隔測定系と、デジタル変換することなく所定の分別レベルを越えたアナログパルスの時間間隔測定を行う高速時間間隔測定系との2系統が設けられ、測定データはFIFOメモリでバッファされるようにし、該FIFOメモリのデータは、パーソナルコンピュータに送られて記録装置で記録され、該パーソナルコンピュータでは、記録されたデータを用いて時間間隔解析法によりβ−α相関事象を捉えることによってRn−222の子孫核種であるPo−214由来のα線を選択的に抽出し、それを全体から除去することにより、Po−214による妨害を低減して人工放射性核種に由来するα線を測定することを特徴とするバックグラウンド補償型α線放射能測定装置。
  2. 試料は空気粉塵が付着しているろ紙であって、前記検出部は、該ろ紙の両面に、検出器と前置増幅器の組み合わせを対として配置し、両前置増幅器の出力が加算増幅器に入力する構造である請求項1記載のバックグラウンド補償型α線放射能測定装置。
  3. データ処理部のエネルギー及び時間間隔測定系と高速時間間隔測定系の両系統は、時間間隔を測定するタイマと切換スイッチ及びFIFOメモリを共有し、該切換スイッチにより一方の系統の測定データを選択してFIFOメモリでバッファされるようにした請求項1又は2記載のバックグラウンド補償型α線放射能測定装置。
  4. パーソナルコンピュータでは、記録装置内のデータに基づき、時間間隔が0−1msの範囲内に入る計数を、予め求めたβ−α相関事象の測定効率(0−1msの時間間隔を持つPo−214由来のパルス計数/検出器で測定されたPo−214由来のα線の全計数)により補正してPo−214由来のα線の正味計数を算出するようにした請求項1乃至3のいずれかに記載のバックグラウンド補償型α線放射能測定装置。
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