JP7161765B2 - 放射性物質検知装置、放射性物質検知方法 - Google Patents

放射性物質検知装置、放射性物質検知方法 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 Nature Scientific Reports 9,Article number:581(2019)ウェブサイトの掲載日:平成31年1月24日、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構のホームページ「福島第一原子力発電所原子炉建屋内における核燃料由来のアルファ線放出核種の検知―アルファ核種可視化検出器を用いたスミヤ試料の測定を実施―」ウェブサイトの掲載日:平成31年2月22日
本発明は、特定の放射性物質を検知する放射性物質検知装置、放射性物質検知方法に関する。
特定の放射性物質(放射性核種)が発する放射線、及びそのエネルギースペクトルを認識することによって、この放射性物質の有無や存在量を認識することが可能である。例えば、試料から発せられたα線を検知してそのエネルギースペクトルを測定し、このエネルギースペクトルがプルトニウム(Pu)原子核の壊変で発せられるα線のものと一致すれば、この試料にPuが存在していると判定することができる。一般的に、放射線検出器においては、放射線を検出した際に出力されたパルス信号のパルス高が放射線のエネルギーに対応し、その単位時間当たりのカウント数がこの放射線の強度に対応するため、放射線を検出する毎にエネルギーを測定し、そのヒストグラムを作成したものがエネルギースペクトルとなり、このエネルギースペクトルを認識することによって放射性核種の存在を判定することができる。
一方で、試料に複数種類の放射性核種が混在している場合や、放射線のバックグラウンドが高い環境下においては、検知対象の放射線(Puの場合にはα線)以外の放射線も、放射線検出器に入射するため、例えば検知対象となる核種の発する放射線のみを測定することは困難となる。
放射線検出器としては、例えば放射線を吸収することにより可視光の微弱な発光をするシンチレータを用いたものがある。この微弱な発光は、例えば光電子増倍管で検知することができる。しかしながら、シンチレータは、α線だけでなく、β線やγ線を吸収することによっても同様に発光する。非特許文献1には、β線やγ線のバックグラウンドが高い環境下においてα線を特に優先的に検知するために最適化されたシンチレータを用いることが記載されている。
一般的に、通常の放射性核種から発せられるα線、β線、γ線の中では、α線の透過力が最も低い。このため、ここでは、β線、γ線がシンチレータを透過しやすく、かつα線がシンチレータで十分に吸収されやすくするために、シンチレータが薄い板状とされる。このため、このシンチレータによって、β線やγ線が混在する環境下においても、α線を優先的に検知することができる。これにより、α線の測定により例えばPuを高精度で検知することができる。
また、測定対象となる試料の形態としては、例えば、特許文献1に記載されたようなスミヤ試料がある。スミヤ試料は、拭き取り部材(ろ紙等)で放射性廃棄物等で汚染された部材の表面が拭き取られ、汚染物質が拭き取り部材の表面に転写されたものである。こうした試料に対しては、前記のシンチレータを薄く広い平板状とし、この平板中でα線の吸収によって生じた発光の2次元分布を撮像することによって、試料中におけるこのα線を発した放射性核種の2次元分布も測定することができる。この撮像のためには、例えば、位置検出型光電子増倍素子が用いられる。
特開2008-304350号公報
Yuki Morishita、Seiichi Yamamoto、Kenji Izaki、Junichi Kaneko、Katsuya Hoshi、and Tatsuo Torii、「Optimization of thickness of GAGG Scintillator for detecting an alpha particle emitter in a field of high beta and gamma background」、Radiation Measurements(2018年2月)、Vol.112、1頁
非特許文献1に記載の技術において、α線を発する核種を検知する場合に、γ線の影響を排除することは比較的容易であった。これに対して、例えばβ線とα線とが混在する場合には、透過力が比較的α線と近いβ線の影響を十分に排除することは困難であったため、このα線を発する核種を高感度で検出することは困難となった。すなわち、透過力の低い放射線を、より高感度で検知し、これによって放射性物質を検知する技術が望まれた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の放射性物質検知装置は、薄板状の試料下地の一方の面に測定対象物質が付着した試料から発せられる放射線を検出することにより、前記測定対象物質における放射性物質を検知する放射性物質検知装置であって、前記放射線には、透過力が低く前記放射性物質が発する第1放射線と、透過力が高い第2放射線とが含まれ、前記試料の一方側で前記放射線を検出する第1検出部と、前記試料の他方側で前記放射線を検出する第2検出部と、前記第2検出部の検出結果である第2検出結果を用いて前記第1検出部の検出結果である第1検出結果を補正し、前記第1検出結果における前記第2放射線の影響を低減した補正後検出結果を得る演算部と、を具備することを特徴とする。
本発明の放射性物質検知装置は、前記第1検出部及び前記第2検出部は、それぞれにおいて、前記放射線を吸収することによって発光をするシンチレータと、前記シンチレータからの発光を検出する光検出器と、を具備することを特徴とする。
本発明の放射性物質検知装置において、前記シンチレータにおける前記試料側の面に薄膜状の遮光層が形成されたことを特徴とする。
本発明の放射性物質検知装置において、前記シンチレータは、前記試料と対向する表面を具備する板状とされ、前記光検出器は、当該表面に対応した2次元画像を撮像する2次元光検出器とされたことを特徴とする。
本発明の放射性物質検知装置において、前記2次元光検出器は位置検出型シリコン光電子増倍管であることを特徴とする。
本発明の放射性物質検知装置において、前記第1検出結果及び前記第2検出結果は、前記放射線のエネルギースペクトルであることを特徴とする。
本発明の放射性物質検知方法は、薄板状の試料下地における一方の面に測定対象物質が付着した構成を具備する試料が発する放射線を分析することによって前記測定対象物質に含まれる放射性物質の検知を行う放射性物質検知方法であって、前記放射線には、透過力が低く前記放射性物質が発する第1放射線と、透過力が高い第2放射線とが含まれ、前記試料の一方の側で前記放射線を検出した第1検出結果を得る第1検出工程と、前記試料の他方の側で前記放射線を検出した第2検出結果を得る第2検出工程と、前記第2検出結果を用いて前記第1検出結果を補正することによって、前記第1検出結果における前記第2放射線の影響を低減した補正後検出結果を得る演算工程と、前記補正後検出結果を基にして前記放射性物質の検知を行う検知工程と、を具備することを特徴とする。
本発明の放射性物質検知方法は、前記放射性物質検知装置を用いて前記第1検出結果及び前記第2検出結果を得ることを特徴とする。
本発明の放射性物質検知方法は、前記放射性物質検知装置を用い、前記第1検出結果を前記2次元光検出器の画素毎に得ることにより、前記第1検出結果、又は前記補正後検出結果を画像化して表示する表示工程を具備することを特徴とする。
本発明は以上のように構成されているので、透過力の低い放射線を高感度で検知し、これによって放射性物質を検知することができる。
本発明の実施の形態に係る放射性物質検知装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る放射性物質検知装置における第1検出部、第2検出部の構成を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態に係る放射性物質検知装置における第1検出部、試料、第2検出部の構成及び関係を示す図である。 第1スペクトル、第2スペクトルの測定例である。 演算部によって補正された後の第1スペクトルの例である。 本発明の実施の形態に係る放射性物質検知装置で測定された放射性物質の2次元分布(左側)及び1次元分布(右側)である。
以下、本発明の実施の形態に係る放射性物質検知装置、放射性物質検知方法について説明する。図1は、この放射性物質検知装置1の構成を示す図である。この放射性物質検知装置1が検出対象とする放射性物質はα線を発するPu(238Pu等)である。この放射性物質検知装置1においては、2つの放射線検知部(第1検知部11、第2検知部12)が用いられる。第1検知部11、第2検知部12は2次元位置検出型の放射線検知器であり、それぞれの出力から、第1信号処理部21、第2信号処理部22は、検出された放射線毎に、そのエネルギーと、検出器における入射位置(あるいは画素)を認識する。また、一定時間当たりの放射線の検出数(カウント数)が放射線の強度に対応し、これは第1検知部11、第2検知部12の画素毎に2次元画像として認識することができる。また、上記のように認識されたエネルギーのヒストグラムが検出された放射線のエネルギースペクトルとなり、このエネルギースペクトルも位置(画素)毎に認識することができる。ただし、特にエネルギースペクトルは、そのS/N比を高くするためには、複数画素(例えば全画素)の積分値とした方が好ましい。演算部30は、第1信号処理部21、第2信号処理部22の出力(第1検出結果、第2検出結果)から、所望の放射線(α線)のエネルギースペクトル、2次元強度分布等を算出し、出力する。
第1検知部11、第2検知部12は、同様の構成を具備する位置検出型の放射線検出器10であり、図2は、その構成を示す分解斜視図である。なお、図2においては各構成要素が模式的に示されているため、特にその厚さの構成は実際のものとは異なる。図2の構成は、Al(アルミニウム)蒸着膜(遮光膜)51以外については非特許文献1に記載されたα線検出器と同様である。検出対象となる放射線X(α線)は図2における上側から入射し、シンチレータ52表面に形成された薄膜であるAl蒸着膜51を透過して板状のシンチレータ52に入射する。シンチレータ52はGAGG(ガドリニウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット)結晶で構成され、放射線Xを吸収すると、そのエネルギーに比例した数の可視光光子Pを発する。ここで、放射線Xには放射線粒子(α線の場合にはHe原子核、β線の場合には電子)やX線、γ線光子が含まれる。可視光光子Pは、図中最下部の位置検出型光検出器(光検出器)53で検出される。
ここで、シンチレータ52は、非特許文献1に記載されるように、薄い平板状に形成され、透過力の小さなα線は高効率でシンチレータ52に吸収されるが、透過率が高いγ線がシンチレータ52で吸収されずにこれを透過する確率が高くなるように薄く設定される。
位置検出型光検出器53は、表面に入射した可視光の強度とその入射位置を認識できる構成のものが用いられる。この際、シンチレータ52では単一の放射線Xの入射に際して全方位にわたり可視光光子Pは発せられるが、2次元の格子状に形成されたライトガイド54がシンチレータ52と位置検出型光検出器53の間に設けられるため、図2において、位置検出型光検出器53は、特にシンチレータ52において放射線Xが吸収された位置からその直下に発せられた可視光光子Pを検出することができる。
位置検出型光検出器53は、シンチレータ52で放射線の吸収により発せられた微弱な発光(シンチレーション)を検知するため、位置検出型シリコン光電子増倍管が特に好ましく用いられる。この際、微弱なシンチレーション以外の可視光が位置検出型光検出器53に入射することを抑制することが好ましいため、Al蒸着膜51がシンチレータ52の試料S側に形成される。ただし、測定対象となるα線もAl蒸着膜51により吸収されるために、Al蒸着膜51は、可視光を透過させず測定対象となるα線を十分透過させるように薄く、例えば2μm~5μm程度の厚さとされる。
位置検出型光検出器53が位置を検出する2次元平面は、薄板状のシンチレータ52の表面に対応し、これによって、第1信号処理部21、第2信号処理部22は、シンチレータ52において放射線Xが入射した位置(吸収された位置)を認識することができる。また、単一の放射線Xのシンチレータ52での吸収に伴う位置検出型光検出器53の出力パルスのパルス高はこの放射線Xのエネルギーに対応する。このため、第1信号処理部21、第2信号処理部22は、入射した放射線Xのエネルギーを認識し、放射線Xの検出毎のエネルギーのヒストグラムとしてエネルギースペクトルを得ることができる。この際、位置検出型光検出器53の位置(画素)毎にこのようにエネルギースペクトルを得ることもできる。
次に、この放射性物質検知装置1で放射性物質が検知される対象である試料Sについて説明する。図3は、第1検出部11、第2検出部12と試料Sの関係を示す断面図である。この試料Sは、例えば特許文献1等で記載されたような、放射性物質で汚染された壁や部材を紙(ろ紙)等で拭き取ったスミヤ試料である。このため、この試料Sにおいては、平面状のろ紙(試料下地)Fの一方の側の表面に測定対象物質粒子Rが転写されている。図3に示されるように、第1検出部11はこの測定対象物質粒子Rが転写された表面側に密着して使用され、測定対象物質粒子Rが発する放射線Xを検出する。一方、図3中において、第2検出部12は第1検出部11とは上下関係が反転された状態で試料Sの反対側の表面側に密着されて使用される。第2検出部12も測定対象物質粒子Rが発した放射線Xを検出するが、ここで検出される放射線Xは、ろ紙Fを透過後のものとなる。
この測定対象物質粒子Rが、例えば破壊された原子炉建屋中の壁や部材表面に付着したものである場合には、測定対象物質粒子R中には様々な放射性核種が含まれ、核種に応じた様々な放射線(α線、γ線、β線)が発せられる。検知する対象を例えばPuとする場合には、特にエネルギーが7MeV程度以下のα線を検出することが有効であるため、このためには他のγ線、β線は障害となり、α線のみが検出できることが好ましい。ここで、非特許文献1に記載されたような薄板状のシンチレータ52を用いることによって、γ線はシンチレータ52を透過しやすくなり、第1検出部11、第2検出部12のどちらにおいてもγ線は検出されにくくなる。
同様に、α線よりも透過力が高いβ線もシンチレータ52を透過しやすくなる。しかしながら、β線とα線の透過力の差はγ線とα線の透過力の差と比べると小さいため、β線の影響をシンチレータ52の厚さ設定のみで排除することは困難である。このため、第1検出部11で検出される放射線Xには、測定対象物質粒子R中のPuが発するα線と、他の核種が発するβ線が含まれる。以下では、このように、試料S側から発せられ放射線検出器で検知される放射線として、透過力が比較的低いα線(第1放射線)と透過力が比較的高いβ線(第2放射線)がある場合に、特にα線のエネルギースペクトルを測定する場合について説明する。
図3において、第2検出部12はろ紙Fを透過したα線、β線を検出するが、α線は透過力が低くろ紙Fを透過しにくいため、第2検出部12はα線を検出しにくく、β線を主に検出する。
図4は、福島第1原子力発電所原子炉建屋内で採取された上記の試料Sに対して得られた測定結果であり、図4(a)は、この試料Sに対する第1検出部11(第1信号処理部21)によって得られたエネルギースペクトル(第1スペクトル:第1検出結果)であり、図4(b)は、第2検出部12(第2信号処理部22)によって得られたエネルギースペクトル(第2スペクトル:第2検出結果)である。ここで、第1スペクトル、第2スペクトルは、それぞれ第1検出部11、第2検出部12における位置検出型光検出器53の全ての画素における積分値として算出された。前記の通り、図4(a)の結果はα線、β線の両方の結果を反映し、図4(b)の結果はβ線のみの結果を反映すると推定できる。このため、演算部30は、例えば図4(a)の第1スペクトルから図4(b)の第2スペクトルを減算したエネルギースペクトルを算出することができる。このエネルギースペクトルにおいては、第1スペクトルにおけるβ線(第2放射線)の影響が低減され、α線(第1放射線)の影響が強調される。このため、このα線を発する放射性物質を高感度で検知することができる。
ここで、この減算を単純な減算処理ではなく、例えば、β線を反映すると推定される第2スペクトルの2MeV付近のピークをもつエネルギースペクトルが第1スペクトルにも反映されているとして、このピーク値が第1スペクトルと等しくなるように第2スペクトルの結果を規格化してから減算処理を行うこと等によって行うこともできる。
図5中の実線は、図4の結果からこの減算処理を行った後のエネルギースペクトル(補正後検出結果)である。ここで、点線は、第1検出部11、第2検出部12と同様の構成の放射線検出器で238Puの標準試料を測定したエネルギースペクトルである。これらの結果は略同一であり、測定対象物質粒子R中に少なくとも238Puが存在していることが確認できる。すなわち、上記の放射性物質検知装置1によって、γ線、β線の存在下においても、238Puを検知することができる。
なお、上記の試料Sにおいては、測定対象物質粒子Rがろ紙F上に付着したものとした。しかしながら、上記と同様に測定対象物質粒子Rを表面に保持でき、更に測定対象となる透過力の低い放射線を遮蔽できる限りにおいて、他の材料をろ紙Fの代わりに試料下地として用いることができる。例えば、粘着性の表面を具備する用紙をろ紙Fの代わりに試料下地として用いれば、汚染物質を試料下地の表面に転写することが容易である。
また、上記の例では、α線はろ紙Fを全く透過しないために、第2スペクトル(図4(b))にはα線の寄与が全く反映されないものとした。しかしながら、ろ紙(試料下地)Fの厚さ等に応じて、α線の透過率は異なる。こうした場合であっても、上記の構成によって第1スペクトルにおけるβ線の寄与を低減してα線の寄与を高めたエネルギースペクトルを得ることができる。
前記の通り、位置検出型光検出器53においては、発光の位置を認識することができるため、放射線の2次元強度分布を認識することができる。図3の試料Sにおいて、測定対象物質粒子Rの組成が一様である場合には、第1検知部11で認識された放射線強度(カウント数)の2次元分布は、測定対象となる核種(238Pu)の2次元分布をそのまま反映する。図6における左側は、このように測定された第1検出部11によるカウント数の2次元分布であり、図6における右側は、その中のある一方向の強度分布(1次元強度分布)である。この結果における局所的に強度の高い箇所が測定対象物質粒子Rの存在箇所に対応する。これによって、ろ紙Fで拭き取られた箇所における測定対象物質粒子Rの分布を認識することができる。
試料Sにおける測定対象物質粒子Rの組成が一様でない場合には、前記のような第1スペクトル、第2スペクトルを画素毎に算出した上で、上記の図5と同様に得られたエネルギースペクトルの積分値を、この画素毎のα線強度(238Puの存在量に対応)とすることができる。この場合においては、第1検出部11における位置検出型光検出器53における画素と、試料Sを挟んでこれに対向する位置にある第2検出部12の位置検出型光検出器53の画素において取得されたエネルギースペクトルを、それぞれ前記の第1スペクトル、第2スペクトルとして、演算部30が、上記と同様の処理を行うことができる。このように求められた画素毎のエネルギースペクトルの一定エネルギー範囲の積分値を、試料S中における前記の238Puの局所的な存在量とすることができる。
上記の例においては、第1検出部11、第2検出部12を具備する放射性物質検知装置1が用いられた。しかしながら、単一の放射線検出器を用いて同様の分析を行うこともできる。この場合、例えば、図1において第1検出部11のみを用いる場合には、図1の形態で前記と同様に第1スペクトル(図4(a))を取得することができる。その後、第1検出器11を図1における第2検出器12の態様にして第2スペクトルを取得することができ、上記と同様の分析を行うことができる。
すなわち、この放射性物質分析方法においては、薄膜状の試料Sにおける一方の表面の側(測定対象物質粒子Rが転写された側)で第1スペクトル(第1検出結果)を得る第1検出工程と、同試料Sにおける他方の表面の側で第2スペクトル(第2検出結果)を得る第2検出工程が行われる。その後、演算部30によって、第2検出結果を用いて第1検出結果を補正することによって、第1検出結果における第2放射線の影響を低減する演算工程が行われる。その後、この結果を用いて、第1放射線を発する放射性物質の検知(有無の認識)が行われる(検知工程)。
あるいは、第1検出結果を画素毎に認識した場合には、これを2次元あるいは1次元画像化してディスプレイ等に表示させることもできる(表示工程)。あるいは、画素毎の第1検出結果ではなく、上記のように演算工程によって補正された後の第1検出結果(補正後検出結果)を画素毎に表示させることにより、第1放射線を発する放射性物質の分布をより正確に表示することができる。
このように、図1における第2検出部12(第2信号処理部22)を用いなくとも、上記と同様の分析を行うことができる。しかしながら、第2検出部12(第2信号処理部22)を第1検出部11(第1信号処理部)と同時に用いることにより、上記の第1検出工程と第2検出工程を同時に行うことができるため、測定が容易となる。また、前記のように位置検出型光検出器53が第1検出部11、第2検出部12で用いられる場合には、前記のように、対応する画素同士を固定して用いることが必要となる。この点において、第1検出部11と第2検出部12を共に具備し、これらの間の水平方向における位置関係を固定した図1の構成が特に好ましい。図1における第1検出部11と第2検出部12の図1における上下方向の間隔は、ろ紙F(試料下地)の厚さ等に応じて適宜調整可能とされることが好ましい。
また、図4の例では、第1検出部11によって得られる第1検出結果、第2検出部によって得られる第2検出結果は、エネルギースペクトルであるものとした。しかしながら、第1検出結果、第2検出結果としては、上記と同様に、第2検出結果を用いて第1検出結果を補正することによって、第1検出結果における第1放射線の寄与を大きくすることができるような測定量を用いることができる。例えば、図4に示されたようなエネルギースペクトルの代わりに、一定のエネルギー範囲におけるカウント数を第1検出結果、第2検出結果として用いてもよく、図2等に示された放射線検出器10を用いて、こうした第1検出結果、第2検出結果を得ることは容易である。一方で、このような第1検出結果、第2検出結果を得ることができる限りにおいて、他の構成の放射線検出器、例えば半導体検出器等を用いることもできる。
また、上記と同様の処理が可能となる限りにおいて、第1検出部と第2検出部とが同一の構成を具備する必要はない。例えば、前記の例では、第1検出部はα線の検出に適した構成とし、第2検出部はβ線の検出に適した構成とすることができる。こうした設定は、例えばシンチレータの材料や厚さの設定により行うことができる。
また、上記の測定においては、放射性物質の検知のために検出されるのが透過力の比較的小さなα線(第1放射線)とされ、これと混在して透過力の比較的高いβ線(第2放射線)が混在しているものとした。しかしながら、このような第1放射線、第2放射線の組み合わせに関わらず、上記の構成は、透過力の低い第1放射線を発する放射性物質を、これよりも透過力が高い第2放射線の存在下で検知する場合において有効である。例えば、第1放射線をβ線、第2放射線をγ線とした場合や、第1放射線をα線、第2放射線をγ線とした場合においても同様である。
また、上記の例では、放射線検出器において位置検出型光検出器が用いられたために、放射性物質の2次元(1次元)分布が測定可能とされた。しかしながら、放射性物質の分布を測定する必要がない場合には、例えば単純な光電子増倍管を光検出器としてもよい。こうした場合であっても、上記と同様に検出されたエネルギースペクトルに基づき、この放射性物質を検知することができる。
1 放射性物質検知装置
10 放射線検出器
11 第1検知部
12 第2検知部
21 第1信号処理部
22 第2信号処理部
30 演算部
51 Al蒸着膜(遮光膜)
52 シンチレータ
53 位置検出型光検出器(光検出器)
54 ライトガイド
F ろ紙(試料下地)
P 可視光光子
R 測定対象物質粒子
S 試料
X 放射線

Claims (9)

  1. 薄板状の試料下地の一方の面に測定対象物質が付着した試料から発せられる放射線を検出することにより、前記測定対象物質における放射性物質を検知する放射性物質検知装置であって、
    前記放射線には、透過力が低く前記放射性物質が発する第1放射線と、透過力が高い第2放射線とが含まれ、
    前記試料の一方側で前記放射線を検出する第1検出部と、
    前記試料の他方側で前記放射線を検出する第2検出部と、
    前記第2検出部の検出結果である第2検出結果を用いて前記第1検出部の検出結果である第1検出結果を補正し、前記第1検出結果における前記第2放射線の影響を低減した補正後検出結果を得る演算部と、
    を具備することを特徴とする放射性物質検知装置。
  2. 前記第1検出部及び前記第2検出部は、それぞれにおいて、
    前記放射線を吸収することによって発光をするシンチレータと、
    前記シンチレータからの発光を検出する光検出器と、を具備することを特徴とする請求項1に記載の放射性物質検知装置。
  3. 前記シンチレータにおける前記試料側の面に薄膜状の遮光層が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の放射性物質検知装置。
  4. 前記シンチレータは、前記試料と対向する表面を具備する板状とされ、
    前記光検出器は、当該表面に対応した2次元画像を撮像する2次元光検出器とされたことを特徴とする請求項2又は3に記載の放射性物質検知装置。
  5. 前記2次元光検出器は位置検出型シリコン光電子増倍管であることを特徴とする請求項4に記載の放射性物質検知装置。
  6. 前記第1検出結果及び前記第2検出結果は、前記放射線のエネルギースペクトルであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の放射性物質検知装置。
  7. 薄板状の試料下地における一方の面に測定対象物質が付着した構成を具備する試料が発する放射線を分析することによって前記測定対象物質に含まれる放射性物質の検知を行う放射性物質検知方法であって、
    前記放射線には、透過力が低く前記放射性物質が発する第1放射線と、透過力が高い第2放射線とが含まれ、
    前記試料の一方の側で前記放射線を検出した第1検出結果を得る第1検出工程と、
    前記試料の他方の側で前記放射線を検出した第2検出結果を得る第2検出工程と、
    前記第2検出結果を用いて前記第1検出結果を補正することによって、前記第1検出結果における前記第2放射線の影響を低減した補正後検出結果を得る演算工程と、
    前記補正後検出結果を基にして前記放射性物質の検知を行う検知工程と、
    を具備することを特徴とする放射性物質検知方法。
  8. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の放射性物質検知装置を用いて前記第1検出結果及び前記第2検出結果を得ることを特徴とする請求項7に記載の放射性物質検知方法。
  9. 請求項4又は5に記載の放射性物質検知装置を用い、
    前記第1検出結果を前記2次元光検出器の画素毎に得ることにより、前記第1検出結果、又は前記補正後検出結果を画像化して表示する表示工程を具備することを特徴とする請求項7に記載の放射性物質検知方法。
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