JP2007162035A - 銅合金及び銅合金の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製造工程中や繰り返し使用時において変形・破壊しない引張強度と良好なバネ性及びリード線の細線化に対応する高い電気伝導度を有する銅合金及び及び銅合金の製造方法を提供する。
【解決手段】 5〜20%Snを含有し、残部がCuと不可避的不純物とを含有する銅合金であって、α相(Cu)中にε相(CuSn)が分散している組織を有する銅合金及びα相(Cu)中にε相(CuSn)が分散している組織を形成する工程を有する銅合金の製造方法である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体機器のリード線、ピン、コネクタ等に使用される引張強度が高く、繰り返し使用しても変形しないバネ性を有し、かつ、電気伝導性の高い銅合金及びその製造方法に関するものである。
従来、半導体素子、また、これらを用いる電子機器では、リード部分の材料として銅合金材が広く用いられている。このようなICパッケージ向けのリード線、ピン数は、良好な電気伝導度とパッケージの製造工程でストレスを受けるために引張強度と、繰り返し使用に対するバネ性とが求められる。
こうした用途には、アルミニウム(Al)合金、銅(Cu)合金が使われている。しかし、Al合金は、軽く、電気抵抗が低いが、マイグレーション等の問題がある。近年、さらに、半導体素子、パッケージの高集積化が進み、リード線に対して、さらに細線化に要求があり、Al合金より電気抵抗の低いCu合金が細線化に利用されている。
これまでの、銅合金の代表的なものとしては、下記のものが挙げられる。例えば、特許文献1では、Cr:0.5〜2.0wt%を含み、残部がCuと不可避的不純物からなるCu合金の溶湯を100℃/秒以上の冷却速度で鋳造し、所定の加工熱処理を施された高強度高導電性銅合金の製造方法が開示されている。また、特許文献2では、Ni1.0〜4.0wt%、Si0.1〜1.0wt%、Zn0.05〜5.0wt%、Sn5.0wt%以下、P0.1wt %未満を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなるコルソン系銅合金を連続鋳造法により鋳塊となし、所定の加工熱処理を施された電気電子機器用銅合金の製造方法が開示されている。また、特許文献3では、重量百分率において0.5〜3.0%のTiと0.5〜3.0%のNiを、Ni/Tiの重量比が0.5〜1.0の範囲内で含むと共に、1.5〜3.0%のSnを含み、残部がCuおよび不可避的不純物から成る高強度高導電性リードフレーム用銅合金が開示されている。また、特許文献4では、Be:0.5〜1.5wt%、NiおよびCoのうちから選んだ1種または2種:0.3〜1.5wt%、SiおよびAlのうちから選んだ1種または2種:0.5〜2.5wt%を含み、残部は実質的にCuの組成になるベリリウム銅合金であって、平均結晶粒径が50〜150μm で、しかも該合金中に金属間化合物としてNiBeまたは/およびCoBeを、0.20〜0.90wt%の範囲でかつ、少なくともその45%以上が粒径0.1μm以下の微細粒子として含有することを特徴とする、曲げ部の美観に優れる高強度ベリリウム銅合金が開示されている。特許文献5では、Fe:1.5〜2.5%(質量%の意味、以下同じ)を含むと共に、少なくとも表面から板厚の1/4の領域における80nm以上のFe粒子の平均分布が1μm2の視野内において1個以下であり、耐力が480N/mm以上で且つ電気伝導度が50%IACS以上であることを特徴とする曲げ加工性および耐熱性に優れた高強度銅合金が開示されている。また、特許文献6では、0〜2.5wt%のFe、0.01〜0.1wt%のP、0.01〜1wt%のZnと、0.05〜0.2wt%のSnを含有し、残部がCuと不可避不純物の組成から構成されることを特徴とする高強度・高導電性銅合金が開示されている。
また、室温でCuに匹敵する電気伝導度を有するCuGe金属間化合物が開示されている。
特開平05−311364号公報 特開平06−017209号公報 特開平09−143597号公報 特開平09−263859号公報 特開2001−279347号公報 特開2002−241873号公報 アメリカ特許5,288,456号
しかし、これらの合金は、いずれも、鋳造・圧延・高温熱処理のプロセスを経た後に、添加元素又は金属間化合物を析出させて強度と電気伝導度の向上を図るものである。これらの合金の析出物は、強度には寄与するもののそれ自身は電気伝導度が低いために、強度を高くするために析出物を多くすると電気伝導度が減少するという、相反する影響がある。析出物量と分散間隔を最適化することによって良好な特性が得られるものの、電気伝導度と引張強度の双方の特性向上には限界がある。また、従来の材料のうちCu−Be系の銅合金は、高強度・高電気伝導度を示すが、人体に有害なBeを含んでいるために、Beを含まずにCu−Be系の銅合金以上の特性を有する合金の開発が待たれていた。さらに,CuGe金属間化合物は電気伝導度は、Cuに匹敵しても、硬くかつ脆いためにリード線、ピン等に適用することは困難である。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、半導体素子のリード線、ICパッケージのピンの材料として、製造工程中や繰り返し使用時において変形・破壊しない引張強度と良好なバネ性及びリード線の細線化に対応する高い電気伝導度を有する銅合金を提供することである。
さらに、素子の小型化、高集積化の要求から、リード線の薄肉化、細線化並びに多ピン化の要求が高まるため、従来の銅合金以上の引張強度と電気伝導度を併せ持つ銅合金を提供することである。
また、従来の鋳造・圧延法では薄肉化に限界があるために、半導体素子中に電析法による薄肉形成が可能な銅合金の製造方法を提供することである。
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
1.本発明の銅合金は、5〜20%Snを含有し、残部がCuと不可避的不純物とを含有する銅合金であって、α相(Cu)中にε相(CuSn)が分散している組織を有することを特徴とする。
2.また、本発明の銅合金は、さらに、電気伝導度が6〜35%IACS、引張強度が0.6〜2.5GPaの範囲にあることを特徴とする。
3.また、本発明の銅合金は、さらに、100〜350℃で熱処理されることを特徴とする。
4.また、本発明の銅合金は、さらに、100〜200℃で熱処理されることを特徴とする銅合金。
5.また、本発明の銅合金は、さらに、200〜350℃で熱処理され、さらに、100〜200℃で熱処理されることを特徴とする。
6.また、本発明の銅合金は、さらに、熱処理は10分〜24時間の範囲内で行われることを特徴とする。
7.本発明の銅合金の製造方法は、5〜20%Snを含有し、残部がCuと不可避的不純物とを含有する銅合金の製造方法であって、銅合金のα相(Cu)中にε相(CuSn)を分散させた組織を形成する工程を有することを特徴とする。
8.また、本発明の銅合金の製造方法は、さらに、前記工程は、100〜350℃で熱処理することを特徴とする。
9.また、本発明の銅合金の製造方法は、さらに、前記工程は、100〜200℃で熱処理することを特徴とする。
10.また、本発明の銅合金の製造方法は、さらに、前記工程は、200〜350℃で熱処理し、さらに、100〜200℃で熱処理することを特徴とする。
11.また、本発明の銅合金の製造方法は、さらに、前記工程は、熱処理は10分〜24時間の範囲内で行われることを特徴とする。
12.また、本発明の銅合金の製造方法は、さらに、前記銅合金の製造方法は、メッキ法でCu−Sn膜を形成した後に、α相(Cu)中にε相(CuSn)を分散させた組織を形成する工程を有することを特徴とする。
13.また、本発明の銅合金の製造方法は、さらに、前記銅合金の製造方法は、真空蒸着法でCu−Sn膜を形成した後に、α相(Cu)中にε相(CuSn)を分散させた組織を形成する工程を有することを特徴とする。
本発明は、上記解決するための手段によって、金属間化合物の析出強化を利用するが、従来の合金と異なり、析出物であるCuSn(ε相)の電気伝導度が約10μΩ・cmと低いために、Sn濃度を5〜20at%の範囲として、200℃以下の温度で熱処理を行って、Cu母相(α相)中にCuSn(ε相)を析出した合金を用いることで、析出物が増加しても電気伝導度を高く保つことができる。
また、このCu−Sn系銅合金は古くから青銅メッキとして知られており、電析法によって低コストで半導体素子のリード線等に必要な薄膜を容易に作製することができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明の銅合金は、5〜20%Snを含有し、残部がCuと不可避的不純物とを含有する銅合金であって、α相(Cu)中にε相(CuSn)が分散している組織を有する。
一般に、いわゆるCu−Sn系合金の青銅は、2〜35%の範囲でSnを含む合金であり、強度が高く従来鋳物材料として使用されていた。図1は、Cu−Sn2元系状態図である。図1に示すように、この青銅は、α相中にδ相が析出した金属組織を形成させていたが、この組織では強度が高くなるが、もろくなりバネ性が低下することで、繰り返し使用時において容易に変形・破壊が生ずる。このために、青銅では、Zn、Pbを添加して酸化を防止して機械部品材料として使用されることが多かった。また、この青銅は、鋳造材料で、薄膜を形成するには機械加工で薄くするが、脆いために薄膜を系することは困難であった。
また、従来、この導電性を確保し、強度を高くしてバネ性を得る手段として、析出硬化型の銅合金が知られている。これらは、母相のα相中に微細な析出物を均一に分散させて強度を高め、さらに、析出物を微細かつ均一に分散させることで電気抵抗の低下を抑えるものであった。例えば、Cu−Ti系、Cu−Be系、Cu−Fe系、Cu−Cr−Zr、Cu−Ni−Si系系銅合金が挙げられる。しかし、Ti、Be、Fe、Crがα相中に分散させることで、強度を高くすることができるが導電性を大きく低下した。さらに、CuZr、NiSi等の金属間化合物を析出させても導電性は高いが強度の低下が大きかった。このように、強度と導電性が相反する関係にあることで、強度が高く、繰り返し使用におけるバネ性がよく、さらに、導電性の高い材料は困難であった。
そこで、本発明では、上述のように、従来知られている組成範囲であっても、従来あまり考えられていなかったε相(CuSn)の金属間化合物相を用いることで高い強度、バネ性と導電性を確保することができた。これは、析出させる金属間化合物相を微細、かつ、均一に分散させることと、この析出相を導電性の高い金属間化合物を用いることで達成することができた。従来は、CuGeのように電気伝導性の高い金属間化合物は知られていたが、これらを母相のCu中に分散させることは考慮されていなかった。
しかし、CuGeの場合は状態図においてCu側に隣り合う相がζ相であり室温まで安定な相である。このため、Cu−Ge合金を作成してε相を分散させようとすると、母相は電気抵抗に劣るζ相となってしまう。これに対して、CuSnの場合は、隣り合う相はCu−Sn固溶体のα相であり、350℃以下においてはα相とε相の二相共存となる。この場合には、いずれの相も電気伝導率が高いため、α相中にε相を適当に分散させることによって強度を高めるとともに、電気伝導率を高めることが可能となる。Snは従来周知の金属であり、また、安価である。さらに、Zn、P、Be等と比較しても、人体に対する害が少ない。
また、Snは、5〜20at%の範囲にある。図1に示すCu−Sn系状態図から、ε相は、25at%のところにある。したがって、α相中に分散させるには、Snの濃度を少なくとも約25at%以下にする。しかし、Snが5at%未満では、ε相の比率が約10%以下となり、引張強度、バネ性が低くなる。また、Snが20at%を越えるとε相の比率が約75%以上となり、導電性の低下が大きくなる。
なお、本発明の銅合金の組成で、本発明の銅合金の基本的な組成に対して、その他、本発明の銅合金の電気伝導度、引張強度の劣化を招かないかぎり、例えば、Ni、Cr、Mn、Co、Ti、Ag等を少量添加することも可能である。また、不可避的に含まれてくるS、Se、Te、Pb、Sb、Bi等の不純物についても、本発明の銅合金の電気伝導度、引張強度の劣化を招かないかぎり、許容される。
さらに、本発明の銅合金は、電気伝導度が6〜35%IACS、引張強度が0.6〜2.5GPaの範囲にする。電気伝導度は高いほど好ましいが、上述したように、α相中にε相を均一に分散させたときに、電気伝導度が6%IACS未満ではリード線、ピン材として実用的には細線化が困難である。また、電気伝導度が35%IACSを越えると、電気導電性と引張強度は相反する関係にあり、引張強度が0.6GPa未満になり、リード線、ピン材として強度が不十分である。
また、引張強度が2.5GPaを越えると電気伝導度が6%IACS未満になりリード線、ピン材とし電気導電性が低く細線化が困難になる。
したがって、本発明の銅合金は、電気伝導度が6〜35%IACS、引張強度が0.6〜2.5GPaの範囲にすることで、繰り返し使用時において変形・破壊しない強度と良好なバネ性及びードフレーム材料の薄肉化、細線化に対する電気導電性を満足させることができる。
本発明の銅合金は、メッキ法などで作製されたまま用いても所望の特性を発現するが、100〜350℃で熱処理してもよい。図1に示すCu−Sn系状態図から、Snが5〜20at%の範囲で350℃以下で共析型であり、350℃以下で熱処理を施すことで、α相中にε相を析出させることができる。
さらに、本発明の銅合金は、100〜200℃で熱処理することが好ましい。共析温度より低い温度で熱処理することで、α相中のSn濃度を低くして母相の電気電導度を高くすることができる。さらに、析出するε相を微細にすることができ、電気伝導度の低下を抑えることができる。また、さらに、α相より引張強度の高いε相を微細かつ均一に分散させることで、銅合金の引張強度を高くすることができ、バネ性も向上させることができる。
さらに、本発明の銅合金は、他の熱処理を行うことができる。一つには、2段以上で行うことができる。200〜350℃で熱処理し、さらに、100〜200℃で熱処理する。溶体化処理された後又は製造後に、200〜350℃で熱処理してε相が析出する核を形成し、その後、低い温度で拡散させる。これによって、析出物の急激な成長を抑えて、ε相の大きさの不均一を無くして微細にすることができる。
また、溶体化処理された後又は製造後に、熱処理として350℃直下から連続冷却する。冷却速度をSn濃度に応じて適宜選択することで、微細かつ均一なε相を得ることができる。
本発明の銅合金は、上述の熱処理が、10分〜24時間の範囲内で行われる。Cu中のSnは、温度を低くする方が析出するε相の核が多くなるが、拡散速度は温度が高いほど高くなる。このことから、Cu中のSn濃度と熱処理温度によって、10分〜24時間の範囲内で時間を選択することができる。この熱処理時間が、10分未満では、析出するε相が小さく引張強度、バネ性を大きくすることができない。熱処理時間が、24時間を超えると製造上の効率が低下する。
また、さらに、本発明の銅合金の製造方法について説明する。本発明の銅合金の製造方法は、5〜20%Snを含有し、残部がCuと不可避的不純物とを含有する銅合金の製造方法であって、銅合金のα相(Cu)中にε相(CuSn)を分散させた組織を形成する工程を有する。従来は、Cu−Sn系銅合金でこのε相(CuSn)を析出させる銅合金は利用されていなかった。そこで、このα相の母相中にε相(CuSn)を分散・析出させた組織を形成する工程を設けることで、高引張強度・高電気伝導性の銅合金を製造することができる。
この工程は、100〜350℃で熱処理するものである。Cu−Sn系銅合金では、5〜20%Snを含有する範囲で、α相(Cu)とε相(CuSn)との共析温度は350℃であり、この350℃以下で熱処理することでα相(Cu)中にε相(CuSn)を析出・分散させた組織を形成することができる。この熱処理温度が100℃未満では製造の効率が低く実用的ではない。また、この工程は、工程は、100〜200℃で熱処理するものである。共析温度から低い温度で処理することでα相中のSn濃度を低くして母相の電気電導度を高くすることができる。さらに、析出するε相を微細にすることができ、電気伝導度の低下を抑えることができる。また、この工程は、他の熱処理を行うことができる。一つには、2段以上で行うことができる。ここでの工程は、200〜350℃で熱処理し、さらに、100〜200℃で熱処理する。これによって、析出物の急激な成長を抑えて、ε相の大きさの不均一を無くして微細にすることができる。
本発明の銅合金は、上述の熱処理が、10分〜24時間の範囲内で行われる。Cu中のSnは、温度を低くする方が析出するε相の核が多くなるが、拡散速度は温度が高いほど高くなる。このことから、Cu中のSn濃度と熱処理温度によって、10分〜24時間の範囲内で時間を選択することができる。
また、本発明の銅合金の製造方法は、Cu−Sn系の薄膜を形成した後に、α相(Cu)中にε相(CuSn)を分散させた組織を形成する工程を有する。このCu−Sn系薄膜を形成する方法は、特に限定されない。電界メッキ法、溶融メッキ法等のメッキ法、真空蒸着法、スパッタリング法等の物理蒸着法を用いることができる。この薄膜形成後又はさらに溶体化処理後に、上述の熱処理をすることで、α相(Cu)中にε相(CuSn)を分散させた組織を形成したCu−Sn系薄膜を得ることができる。
以下に、本発明の銅合金の製造方法及び得られた銅合金の具体的な実施例について説明する。
はじめに、10×10cmのガラス基板に、スパッタリング法で厚さ0.15μmのCuスパッタ膜を設けた基板を作製した。次に、この基板を、以下の条件のメッキ浴で、厚さ15μmで、15at%SnのCu−Sn薄膜を作製した。
<メッキ条件>
1)メッキ浴
1)メッキ浴
シアン化銅(g/L) □□40
スズ酸ナトリウム(g/L) □□20
シアン化ナトリウム(g/L) □□65
水酸化ナトリウム(g/L) □ 7.5
ロッセル塩(g/L) □□1.0
2)メッキ条件
浴温(℃) □□ 50
電流密度(A/cm) 1
次に、この基板を真空中で、200℃で1時間の熱処理を行った。そのご、この基板を透過電子顕微鏡(日本電子製:JEM2000EX装置)による電子線回折法で、α相とε相との二相組織になっているか測定した。さらに、直流4端子法で電気伝導性を、引張試験器で引張強度を測定した。
図2は、電子回折法の結果を示す回折パターンである。このパターンからも明らかなように、CuSn相の存在を確認することができた。
また、電気抵抗率は、8.9μΩ・cmで電気伝導度19.0%ICASに相当し、引張強度は950MPaであった。
これから、本発明の銅合金の製造方法で、高引張強度で、高電気伝導性を有する銅合金が得られた。
Cu−Sn系2元系の平衡状態図である。 電子回折法の結果を示す回折パターンである。

Claims (13)

  1. 5〜20%Snを含有し、残部がCuと不可避的不純物とを含有する銅合金であって、
    前記銅合金は、α相(Cu)中にε相(CuSn)が分散している組織を有する
    ことを特徴とする銅合金。
  2. 請求項1に記載の銅合金において、
    前記銅合金は、電気伝導度が6〜35%IACS、引張強度が0.6〜2.5GPaの範囲にある
    ことを特徴とする銅合金。
  3. 請求項1又は2に記載の銅合金において、
    前記銅合金は、100〜350℃で熱処理する
    ことを特徴とする銅合金。
  4. 請求項1又は2に記載の銅合金において、
    前記銅合金は、100〜200℃で熱処理する
    ことを特徴とする銅合金。
  5. 請求項1又は2に記載の銅合金において、
    前記銅合金は、200〜350℃で熱処理し、さらに、100〜200℃で熱処理する
    ことを特徴とする銅合金。
  6. 請求項3ないし5のいずれかに記載の銅合金において、
    前記銅合金は、熱処理は10分〜24時間の範囲内で行われる
    ことを特徴とする銅合金。
  7. 5〜20%Snを含有し、残部がCuと不可避的不純物とを含有する銅合金の製造方法であって、
    前記銅合金の製造方法は、銅合金のα相(Cu)中にε相(CuSn)を分散させた組織を形成する工程を有する
    ことを特徴とする銅合金の製造方法。
  8. 請求項7に記載の銅合金の製造方法において、
    前記工程は、100〜350℃で熱処理する
    ことを特徴とする銅合金の製造方法。
  9. 請求項7に記載の銅合金の製造方法において、
    前記工程は、100〜200℃で熱処理する
    ことを特徴とする銅合金の製造方法。
  10. 請求項7に記載の銅合金の製造方法において、
    前記工程は、200〜350℃で熱処理し、さらに、100〜200℃で熱処理する
    ことを特徴とする銅合金の製造方法。
  11. 請求項3ないし5のいずれかに記載の銅合金の製造方法において、
    前記工程は、熱処理は10分〜24時間の範囲内で行われる
    ことを特徴とする銅合金の製造方法。
  12. 請求項7ないし11のいずれかに記載の銅合金の製造方法において、
    前記銅合金の製造方法は、メッキ法でCu−Sn膜を形成した後に、α相(Cu)中にε相(CuSn)を分散させた組織を形成する工程を有する
    ことを特徴とする銅合金の製造方法。
  13. 請求項7ないし11のいずれかに記載の銅合金の製造方法において、
    前記銅合金の製造方法は、物理蒸着法でCu−Sn膜を形成した後に、α相(Cu)中にε相(CuSn)を分散させた組織を形成する工程を有する
    ことを特徴とする銅合金の製造方法。
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