JP2007160828A - インクジェット記録装置、その制御方法及びそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】装置構成を複雑にすることなく印刷ヘッドと印刷記録液受け領域との間に電位差を発生させる。
【解決手段】検査対象のノズルに対応する圧電素子に印加される駆動信号DRVは、1つのノズルの検査期間のうち、最初の連続する2セグメントにおいてヘッド駆動波形生成回路からの原信号ODRVが圧電素子への駆動信号DRVとして出力され、その後の連続する2セグメントにおいて圧電素子への駆動信号DRVが出力されないようにする。また、ノズルプレート電圧印加回路からも、駆動信号DRVと同様のパターンで原信号ODRVを利用して電圧印加信号NPVが出力される。
【選択図】図9
【解決手段】検査対象のノズルに対応する圧電素子に印加される駆動信号DRVは、1つのノズルの検査期間のうち、最初の連続する2セグメントにおいてヘッド駆動波形生成回路からの原信号ODRVが圧電素子への駆動信号DRVとして出力され、その後の連続する2セグメントにおいて圧電素子への駆動信号DRVが出力されないようにする。また、ノズルプレート電圧印加回路からも、駆動信号DRVと同様のパターンで原信号ODRVを利用して電圧印加信号NPVが出力される。
【選択図】図9
Description
本発明は、インクジェット記録装置、その制御方法及びそのプログラムに関する。
従来、インクジェット記録装置としては、例えば特許文献1のように、印字休止時に印刷ヘッドのノズル部に蓋をするキャッピング部材をグランドに接地すると共に印刷ヘッドに電圧を印加することにより、印刷ヘッドとキャッピング部材の内部に設けられた検査領域との間に電位差を発生させ、その状態で印刷ヘッド上で帯電されたインク滴を検査領域に向かって飛翔させたときの印刷ヘッドと検査領域との間の電界強度の変化を電界検知部が検知することにより、実際にインク滴が飛翔したか否かを検査するものが知られている。
特開昭59−178256号公報
ところで、印刷ヘッドと検査領域との間に電位差を発生させるには、新たに印刷ヘッドに電圧を印加するための電源を用意する必要があることから、装置構成が複雑になるという問題があった。
本発明のインクジェット記録装置、その制御方法及びそのプログラムは、このような問題を解消するためになされたものであり、装置構成を複雑にすることなく印刷ヘッドと印刷記録液受け領域との間に電位差を発生させることを目的とする。
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のインクジェット記録装置は、
複数のノズルを有する印刷ヘッドを利用して印刷記録液を吐出することにより印刷媒体への印刷を行うインクジェット記録装置であって、
前記印刷ヘッド内の印刷記録液を加圧する印刷記録液加圧手段と、
前記印刷記録液加圧手段を駆動するための駆動波形を生成する駆動波形生成手段と、
各ノズルから吐出された印刷記録液を受けることが可能な印刷記録液受け領域と、
前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に前記駆動波形を利用して電位差を発生させる電位差発生手段と、
前記電位差発生手段によって前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に前記駆動波形を利用して電位差を発生させた状態で、各ノズルの印刷記録液が前記印刷記録液加圧手段によって加圧されるよう前記駆動波形を利用して前記印刷記録液加圧手段を制御する制御手段と、
を備えたものである。
複数のノズルを有する印刷ヘッドを利用して印刷記録液を吐出することにより印刷媒体への印刷を行うインクジェット記録装置であって、
前記印刷ヘッド内の印刷記録液を加圧する印刷記録液加圧手段と、
前記印刷記録液加圧手段を駆動するための駆動波形を生成する駆動波形生成手段と、
各ノズルから吐出された印刷記録液を受けることが可能な印刷記録液受け領域と、
前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に前記駆動波形を利用して電位差を発生させる電位差発生手段と、
前記電位差発生手段によって前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に前記駆動波形を利用して電位差を発生させた状態で、各ノズルの印刷記録液が前記印刷記録液加圧手段によって加圧されるよう前記駆動波形を利用して前記印刷記録液加圧手段を制御する制御手段と、
を備えたものである。
このインクジェット記録装置では、印刷ヘッドと印刷記録液受け領域との間に印刷記録液加圧手段を駆動するための駆動波形を利用して電位差を発生させた状態で、各ノズルの印刷記録液が印刷記録液加圧手段によって加圧されるよう駆動波形を利用して印刷記録液加圧手段を制御する。つまり、印刷記録液加圧手段を駆動するための既存の駆動波形を、印刷ヘッドと印刷記録液受け領域との間に電位差を発生させるときに利用する。このように既存の駆動波形を利用することにより、装置構成を複雑にすることなく印刷ヘッドと印刷記録液受け領域との間に電位差を発生させることができる。
本発明のインクジェット記録装置は、更に、前記印刷ヘッド又は前記印刷記録液受け領域の電気的変化を検出する電気的変化検出手段を備え、前記制御手段は、前記電位差発生手段によって前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に前記駆動波形を利用して電位差を発生させた状態で、各ノズルの印刷記録液が順次前記印刷記録液加圧手段によって加圧されるよう前記駆動波形を利用して前記印刷記録液加圧手段を制御すると共に該制御をしている間の前記電気的変化に基づいて各ノズルから印刷記録液が吐出されたか否かを検査してもよい。こうすれば、装置構成を複雑にすることなくノズルが詰まっているか否かの検査を行うことができる。
本発明のインクジェット記録装置において、前記電位差発生手段は、前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に前記電位差を発生させるにあたり、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を利用して電圧を印加してもよい。このとき、検査領域をグランド電位に接地することが好ましい。印刷記録液受け領域に電圧を印加することも考えられるが、その場合には印刷記録液受け領域に溜まった印刷記録液堆積物により電流がリークして印刷ヘッドと印刷記録液受け領域との間に十分な大きさの電位差が発生しないおそれがあるのに対して、印刷ヘッドに電圧を印加する場合にはそのようなおそれがない。このとき、前記電位差発生手段は、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を利用して電圧を印加するにあたり、前記印刷ヘッドのうち複数のノズルが形成されたノズル形成部材に前記駆動波形を利用して電圧を印加してもよい。こうすれば、印刷ヘッドのうちノズル形成部材は印刷記録液受け領域に最も接近しているため、印刷ヘッドと印刷記録液受け領域との間に電位差を効率よく発生させることができる。
このように電位差発生手段が印刷ヘッドに駆動波形を利用して電圧を印加すると共に印刷記録液受け領域をグランド電位に接地する本発明のインクジェット記録装置において、前記電位差発生手段は、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を利用して電圧を印加するにあたり、前記印刷ヘッドに前記駆動波形と同じ波形でもって電圧を印加してもよい。こうすれば、既存の駆動波形を変更することなく利用するため、既存の駆動波形を変更して利用する場合に比べてコストがかからない。あるいは、前記駆動波形生成手段は、前記駆動波形として振幅の大小が時間経過に伴って変化する疑似交流波形を生成し、前記電位差発生手段は、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を利用して電圧を印加するにあたり、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を直流波形に変換し該直流波形でもって電圧を印加してもよい。こうすれば、印刷ヘッドへの印加電圧は直流電圧となるため印刷ヘッドにおける印刷記録液の帯電量の変動を抑えることができる。あるいは、前記駆動波形生成手段は、前記駆動波形として振幅の大小が時間経過に伴って変化する疑似交流波形を生成し、前記電位差発生手段は、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を利用して電圧を印加するにあたり、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を昇圧したあとの波形でもって電圧を印加してもよい。こうすれば、印刷ヘッド内の印刷記録液の帯電量を大きくすることができる。
また、電位差発生手段が印刷ヘッドに駆動波形を利用して電圧を印加すると共に印刷記録液受け領域をグランド電位に接地する本発明のインクジェット記録装置において、前記制御手段は、前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に電位差を発生させる必要があるときには前記電位差発生手段による前記印刷ヘッドへの電圧の印加を実行し、前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に電位差を発生させる必要がないときには前記電位差発生手段による前記印刷ヘッドへの電圧の印加を中止してもよい。こうすれば、印刷ヘッドに電圧を印加する累積印加時間の増加速度を小さく抑えることができる。この結果、累積印加時間が印刷ヘッドの構成要素に影響を及ぼすほど大きくなるまでには長期間を要することになり、このインクジェット記録装置の使用可能時間が長くなる。
本発明のインクジェット記録装置の制御方法は、
複数のノズルを有する印刷ヘッドを利用して印刷記録液を吐出することにより印刷媒体への印刷を行うインクジェット記録装置の制御方法であって、
(a)前記印刷ヘッド内の印刷記録液を加圧する印刷記録液加圧手段を駆動するための駆動波形を生成するステップと、
(b)前記印刷ヘッドと各ノズルから吐出された印刷記録液を受けることが可能な印刷記録液受け領域との間に前記駆動波形を利用して電位差を発生させた状態で、各ノズルの印刷記録液が前記印刷記録液加圧手段によって加圧されるよう前記駆動波形を利用して前記印刷記録液加圧手段を制御するステップと、
を含むものである。
複数のノズルを有する印刷ヘッドを利用して印刷記録液を吐出することにより印刷媒体への印刷を行うインクジェット記録装置の制御方法であって、
(a)前記印刷ヘッド内の印刷記録液を加圧する印刷記録液加圧手段を駆動するための駆動波形を生成するステップと、
(b)前記印刷ヘッドと各ノズルから吐出された印刷記録液を受けることが可能な印刷記録液受け領域との間に前記駆動波形を利用して電位差を発生させた状態で、各ノズルの印刷記録液が前記印刷記録液加圧手段によって加圧されるよう前記駆動波形を利用して前記印刷記録液加圧手段を制御するステップと、
を含むものである。
このインクジェット記録装置の制御方法では、印刷ヘッドと印刷記録液受け領域との間に印刷記録液加圧手段を駆動するための駆動波形を利用して電位差を発生させた状態で、各ノズルの印刷記録液が印刷記録液加圧手段によって加圧されるよう駆動波形を利用して印刷記録液加圧手段を制御する。つまり、印刷記録液加圧手段を駆動するための既存の駆動波形を、印刷ヘッドと印刷記録液受け領域との間に電位差を発生させるときに利用する。このように既存の駆動波形を利用することにより、装置構成を複雑にすることなく印刷ヘッドと印刷記録液受け領域との間に電位差を発生させることができる。なお、このインクジェット記録装置の制御方法において、上述したインクジェット記録装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述したインクジェット記録装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
本発明のプログラムは、上述したインクジェット記録装置の制御方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述したインクジェット記録装置の制御方法の各ステップが実行されるため、該装置の制御方法と同様の作用効果が得られる。
次に本発明を具現化した一実施形態について説明する。図1は本実施形態であるインクジェットプリンタ20の構成の概略を示す構成図、図2はキャリッジ22を背面下側から見たときの斜視図、図3はキャリッジ22の左側面図(破断面図であり円内は部分拡大断面図)、図4は印刷ヘッド24の電気的接続を表す説明図、図5は紙送り機構31の説明図、図6はノズル検査装置50の構成の概略を示す構成図である。
本実施形態のインクジェットプリンタ20は、図1に示すように、プラテン44上を奥から手前へと搬送される記録紙Sにインク滴を吐出して印刷を行うプリンタ機構21と、駆動モータ33により駆動される紙送りローラ35を含む紙送り機構31と、プラテン44の右端近傍に形成されたキャッピング部材41と、印刷ヘッド24をキャッピング部材41で封止した状態で印刷ヘッド24のノズルプレート27からインク滴が正常に吐出されるか否かを検査するノズル検査装置50(図6参照)と、インクジェットプリンタ20全体をコントロールするコントローラ70とを備えている。
プリンタ機構21は、キャリッジベルト32によりガイド28に沿って左右に往復動するキャリッジ22と、このキャリッジ22に搭載されイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のインクを個別に収容したインクカートリッジ26と、インクカートリッジ26から供給された各インクをノズルプレート27から吐出させる印刷ヘッド24とを備えている。
キャリッジ22は、メカフレーム80の右側に取り付けられたキャリッジモータ34aとメカフレーム80の左側に取り付けられた従動ローラ34bとの間に架設されたキャリッジベルト32がキャリッジモータ34aによって駆動されるのに伴って移動する。このキャリッジ22の背面には、図2に示すように、フォトディテクタ62を搭載したエンコーダ用基板64が取り付けられている。このフォトディテクタ62は、エンコーダ用基板64上の配線を束ねたコネクタ部66に差し込まれたフラットケーブル82を介して、メカフレーム80の裏面に取り付けられたメイン基板84(図1参照)上のコントローラ70と信号のやり取りを行う。また、フォトディテクタ62は、キャリッジベルト32と平行となるようにメカフレーム80上に張設されたリニアスケール68の目盛りを光学的に読み取って得たポジション信号をコントローラ70へ出力する。そして、コントローラ70は、このポジション信号に基づいてキャリッジ22がキャリッジ移動方向(主走査方向)のどこに位置しているかを認識する。なお、フォトディテクタ62とリニアスケール68とがリニアエンコーダを構成する。
インクカートリッジ26は、図示しないが、溶媒としての水に着色剤としての染料又は顔料を含有したシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)などの印刷用に用いる印刷記録液としてのインクを各々収納する容器として構成されており、キャリッジ22に着脱可能に装着されている。このインクカートリッジ26は、図3に示すように各インクごとにインク供給口26aを有し、キャリッジ22に設けられたインク供給針22aがインク供給口26aに差し込まれることによりキャリッジ22の下面に形成された印刷ヘッド24へインクを供給可能となる。
印刷ヘッド24は、図3に示すように、複数のノズル23が穿設されたステンレス製のノズルプレート27と、このノズルプレート27に形成されたノズル23に連通するインク室29が形成されたキャビティプレート25と、インク室29の上壁をなすセラミック製の振動板85に貼り付けられた圧電素子48と、この圧電素子48を駆動するマスク回路47(図4参照)等が設けられたヘッド駆動用基板30とを備えている。なお、インク室29には、インクカートリッジ26のインク供給口26aからインクが供給される。
ノズルプレート27には、図4に示すように、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のインクを吐出する複数のノズル23を配列したノズル列43が設けられている。なお、ここでは、すべてのノズルをノズル23と総称し、すべてのノズル列をノズル列43と総称し、シアンのノズル及びノズル列をノズル23C及びノズル列43C、マゼンタのノズル及びノズル列をノズル23M及びノズル列43M、イエローのノズル及びノズル列をノズル23Y及びノズル列43Y、ブラックのノズル及びノズル列をノズル23K及びノズル列43Kと称する。以下ノズル23Kを用いて説明する。この印刷ヘッド24では、180個のノズル23Kを記録紙Sの搬送方向に沿って配列してノズル列43Kを構成している。各ノズル23Kには、インク滴を吐出するための駆動素子として圧電素子48が設けられており、この圧電素子48に電圧をかけることによりこの圧電素子48を変形させてインクを加圧しノズル23Kから吐出する。図3の円内には、変形前の圧電素子48を実線で示し、変形後の圧電素子48を点線で示した。この図に示すように、変形後の圧電素子48はインク室29の上壁を押し下げることによりインクを加圧する。
ヘッド駆動用基板30は、図4に示すように圧電素子48へ電圧を印加するマスク回路47が搭載されている。このヘッド駆動用基板30は、図示しないコネクタ部を介してフラットケーブル82(図1参照)に接続されており、フラットケーブル82を介してメイン基板84上のコントローラ70と信号のやり取りを行う。マスク回路47は、各ノズル23Kをそれぞれ駆動する圧電素子48に対応して設けられている。このマスク回路47には、メイン基板84上のヘッド駆動波形生成回路86で生成された原信号ODRVや印刷信号PRTnが入力される。なお、印刷信号PRTnの末尾のnはノズル列に含まれるノズルを特定するための番号であり、本実施形態ではノズル列は180個のノズルからなるため、nは1から180のいずれかの整数値となる。この原信号ODRVは、一画素分の区間内(キャリッジ22が一画素の間隔を横切る時間内)において、図4に示すように、第1パルスP1と第2パルスP2と第3パルスP3とからなっている。この3つのパルスP1〜P3を繰り返し単位とする原信号ODRVを、本実施形態では1画素区間と称する。マスク回路47は、原信号ODRVや印刷信号PRTnが入力されると、これらの信号に基づいて第1パルスP1と第2パルスP2と第3パルスP3とのうち必要なパルスを駆動信号DRVn(nの意味するところは印刷信号PRTnのnと同じ)としてノズル23Kの圧電素子48に向けて出力する。具体的には、マスク回路47から圧電素子48に第1パルスP1のみが出力されると、ノズル23Kから1ショットのインク滴が吐出され、記録紙Sには小さいサイズのドット(小ドット)が形成される。また、第1パルスP1と第2パルスP2とが圧電素子48に出力されると、ノズル23Kから2ショットのインク滴が吐出され、記録紙Sには中サイズのドット(中ドット)が形成される。また、第1パルスP1と第2パルスP2と第3パルスP3とが圧電素子48に出力されると、ノズル23Kから3ショットのインク滴が吐出され、記録紙Sには大きいサイズのドット(大ドット)が形成される。このように、インクジェットプリンタ20では、一画素区間において吐出されるインク量を調整することにより3種類のサイズのドットを形成することが可能である。なお、他の色のノズル23C,23M,23Yやノズル列43C,43M,43Yについても上記ノズル23Kやノズル列43Kと同様である。また、印刷ヘッド24は、ここでは圧電素子48を変形させてインクを加圧する方式を採用しているが、発熱抵抗体(例えばヒータなど)に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。
紙送り機構31は、図5に示すように、給紙トレイ38に載置された記録紙Sを挿入する記録紙挿入口39と、給紙トレイ38に載置された記録紙Sを印刷ヘッド24に供給する給紙ローラ36と、印刷ヘッド24へ記録紙Sやロール紙を搬送する紙送りローラ35と、印刷後の記録紙Sを排紙する排紙ローラ37とを備えている。給紙ローラ36、紙送りローラ35及び排紙ローラ37は、図示しないギヤ機構を介して駆動モータ33(図1参照)により駆動される。なお、給紙ローラ36の回転駆動力と図示しない分離パッドの摩擦抵抗とによって、複数の記録紙Sが一度に給紙されることを防いでいる。図1において、記録紙Sの搬送方向は奥側から手前に向かう方向であり、印刷ヘッド24と共に移動するキャリッジ22の移動方向は記録紙Sの搬送方向と直交する方向(主走査方向)である。
キャッピング部材41は、プラテン44の印刷可能領域から図1中右側に外れた位置に設けられ、略直方体で上部が開口した筐体であり、開口縁にはシリコンゴムなどの絶縁体からなるシーリング部材41aが形成されている。このキャッピング部材41は、ノズル詰まりの有無を検査する際に使用されるほか、印刷休止中などにノズル23が乾燥するのを防止するためにノズル23を封止するときにも利用される。また、キャッピング部材41には、吸引ポンプ45と大気開放弁46とが別々に接続されている。ノズル23を封止した状態で大気開放弁46を閉じ吸引ポンプ45を作動させると、キャッピング部材41の内部空間に負圧が発生してノズル23内のインクが強制的に吸い出される。また、キャッピング部材41によるノズル23の封止を解除するときには吸引ポンプ45を停止して大気開放弁46を開く。なお、吸引ポンプ45や大気開放弁46には伸縮性のあるチューブが接続されている。キャッピング部材41の内部には、インク滴が直接着弾する上側インク吸収体55と、この上側インク吸収体55に着弾したあと下方に透過してきたインク滴を吸収する下側インク吸収体56と、上側インク吸収体55と下側インク吸収体56との間に配置されたメッシュ状の電極部材57とが配置されている。上側インク吸収体55は、電極部材57と略同電位となるように導電性のスポンジによって形成され、その表面が検査領域52となっている。このスポンジは、着弾したインク滴が速やかに下方に移動可能な透過性の高いものであり、ここではエステル系ウレタンスポンジ(商品名:エバーライトSK−E,ブリジストン(株)製)が用いられている。キャリッジ22が図1にてガイド28の最右端(ホームポジション)に移動するとキャッピング部材昇降機構90が作動してキャッピング部材41がシーリング部材41aを介してノズルプレート27に当接するが、このとき上側インク吸収体55はノズルプレート27と僅かな隙間をもって対向した状態となる。下側インク吸収体56は、上側インク吸収体55に比べてインクの保持力が高いものであり、フェルトなどの不織布によって作製されており、ここでは不織布(商品名:キノクロス,王子キノクロス(株)製)が用いられている。電極部材57は、ステンレス(例えばSUS)製の金属からなる格子状のメッシュとして形成されている。このため、上側インク吸収体55に一旦吸収されたインクは格子状の電極部材57の隙間を通って下側インク吸収体56に吸収・保持される。この電極部材57は、メカフレーム80(図1参照)を介してグランドに接地されている。ここでは、電極部材57は、導電性を有する上側インク吸収体55と接触しているため、上側インク吸収体55の表面すなわち検査領域52も電極部材57と同様、グランドに接地されている。
ノズル検査装置50は、図6に示すように、本実施形態ではノズルプレート印加電圧生成回路53と電圧検出回路54とで構成されている。ノズルプレート印加電圧生成回路53は、メイン基板84(図1参照)上のヘッド駆動波形生成回路86から印刷ヘッド24上のマスク回路47に至る配線58の途中からノズルプレート27に至る分岐配線59の中間に設けられている。このノズルプレート印加電圧生成回路53は、原信号ODRVを利用してノズルプレート27に電圧を印加する回路であり、分岐配線59に設けられたスイッチSWによりノズルプレート27への電圧の印加をオンオフすることが可能となっている。電圧検出回路54は、ノズルプレート27の電圧変化を検出するように接続され、ノズルプレート27の電圧信号を積分し反転増幅したあとの信号をA/D変換してコントローラ70へ出力するように構成されている。
コントローラ70は、図1に示すように、メカフレーム80の裏面に取り付けられたメイン基板84上に設けられ、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶したROM73と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM74と、データを書き込み消去可能なフラッシュメモリ75と、外部機器との情報のやり取りを行うインタフェース(I/F)79と、図示しない入出力ポートとを備えている。なお、ROM73には、後述するメインルーチンやノズル検査ルーチン、印刷処理ルーチンの各処理プログラムが記憶されている。また、RAM74には、印刷バッファ領域が設けられており、この印刷バッファ領域にユーザPC110からI/F79を介して送られてきた印刷データが記憶される。このコントローラ70には、ノズル検査装置50の電圧検出回路54から出力された電圧信号や、フォトディテクタ62からのキャリッジ22のポジション信号などが図示しない入力ポートを介して入力されるほか、ユーザPC110から出力された印刷ジョブなどがI/F79を介して入力される。また、コントローラ70からは、印刷ヘッド24(マスク回路47や圧電素子48を含む)への制御信号やヘッド駆動波形生成回路86への制御信号、駆動モータ33への制御信号、キャリッジモータ34aへの駆動信号などが図示しない出力ポートを介して出力されるほか、ユーザPC110への印刷ステータス情報などがI/F79を介して出力される。
次に、こうして構成された本実施形態のインクジェットプリンタ20の動作について説明する。ここでは、まず、メインルーチンの動作について図7に基づいて説明する。図7は、コントローラ70のCPU72により実行されるメインルーチンのフローチャートである。このメインルーチンは、インクジェットプリンタ20の電源がオンされたあと所定のタイミングごとに(例えば数msecごとに)CPU72により実行される。
メインルーチンが開始されると、CPU72は、まず、印刷待ち状態の印刷ジョブが存在するか否かを判定する(ステップS100)。ユーザPC110から受信した印刷ジョブは、RAM74に形成された印刷バッファ領域に格納されて印刷待ち状態の印刷ジョブとなるため、印刷ジョブを受信したときに印刷中の場合だけでなく直ちに印刷可能な場合であっても一旦印刷待ち状態の印刷ジョブとなる。このステップS100で印刷待ち状態の印刷ジョブが存在しないときには、そのままこのメインルーチンを終了する。一方、ステップS100で、印刷待ち状態の印刷ジョブが存在したときには、ノズル検査ルーチンを実行する(ステップS110)。このノズル検査ルーチンでは、後で詳述するが、全ノズル23のうち異常が発生しているノズル23がある場合にはそのノズル23を特定する情報がRAM74の所定領域に記憶される。CPU72は、ノズル検査ルーチンを実行した後、全ノズル23のうち異常が発生しているノズル23があるか否かをRAM74の所定領域の記憶内容に基づいて判定し(ステップS120)、異常が発生しているノズル23があるときには、詰まりが原因となっていることを考慮して印刷ヘッド24のクリーニングを行うが、その前に異常解消のために行ったクリーニングの回数が予め定められた上限回数(例えば3回)に至ったか否かを判定する(ステップS130)。そして、クリーニングの回数が上限回数未満のときには、印刷ヘッド24のクリーニングを実行する(ステップS140)。具体的には、ノズル検査ルーチンを実行しているときにはノズルプレート27とキャッピング部材41とはシーリング部材41aを介して接触しているから、大気開放弁46を閉じた状態で吸引ポンプ45を作動することによりノズルプレート27とキャッピング部材41とで囲まれた閉空間は負圧となり、ノズル23から詰まったインクが吸引され排出される。このクリーニングを実行した後、ノズル23の異常が解消されたか否かを調べるため再びステップS110に戻りノズル検査ルーチンを実行する。なお、このステップS110では、異常が発生していたノズル23のみを再検査してもよいが、何らかの原因でクリーニング時に正常だったノズル23に詰まりが発生することも考えられることから、印刷ヘッド24のすべてのノズル23について再検査を行う。一方、ステップS130でクリーニングを行った回数が上限回数に達していたときには、クリーニングを行ったとしても異常が発生したノズル23は正常化しないとみなし、図示しない操作パネルにエラーメッセージを表示し(ステップS150)、このメインルーチンを終了する。一方、ステップS120で異常が発生しているノズル23がなかったときには、後で詳述する印刷処理ルーチンを実行し(ステップS160)、その後メインルーチンを終了する。
次に、ノズル検査ルーチンについて説明する。図8は、このノズル検査ルーチンのフローチャートである。ノズル検査ルーチンが開始されると、CPU72は、まず、キャリッジモータ34aを駆動してキャリッジ22をホームポジションに移動する(ステップS310)。キャリッジ22がホームポジションに配置されると、キャッピング部材昇降機構90が作動してキャッピング部材41を上昇させ、キャッピング部材41と印刷ヘッド24のノズルプレート27とがシーリング部材41aを介して接触した状態となる。このとき、ノズルプレート27とキャッピング部材41内の検査領域52は互いに向かい合い数mm程度に接近した状態となる。続いて、検査対象となるノズル23を決定しそのノズル23からインクが吐出するように圧電素子48に電圧を印加して圧電素子48を変形させることによりインク室29内のインクを加圧し(ステップS320)、電圧検出回路54の出力信号波形の出力レベルが所定の閾値Vthr以上になったか否かを判定する(ステップS330)。なお、検査対象となるノズル23は次のように決定される。即ち、まずイエローのノズル列43Yの1番目のノズル23Yから順に180番目のノズル23Yを検査対象とし、次いでマゼンタのノズル列43Mの1番目のノズル23Mから順に180番目のノズル23Mを検査対象とし、その後シアンのノズル列43Cやブラックのノズル列43Kについても同様にして検査対象としていく。
ここで、ステップS330の判定について図9のタイムチャートに基づいて説明する。図9はPTS(Print Timing Signal)や原信号ODRV,圧電素子48への駆動信号DRV,ノズルプレート27への電圧信号NPVの各々についての時間に対する変化を表すタイムチャートである。ここでは、所定間隔毎に出力されるPTSを基準とし、あるPTSの立ち下がり時期から次のPTSの立ち上がり時期までを1セグメントとし、1セグメントごとにヘッド駆動波形生成回路86から原信号ODRVつまり第1〜第3パルスP1,P2,P3を出力する。また、1つのノズルを検査するための期間(1ノズル検査期間)は、本実施形態では4セグメントとする。一方、検査対象のノズル23に対応する圧電素子48に駆動信号DRVを出力するマスク回路47からは、1ノズル検査期間のうち最初の連続する2セグメントにおいて原信号ODRVがそのまま圧電素子48への駆動信号DRVとして出力され、その後の連続する2セグメントにおいて駆動信号DRVが出力されないようにする。また、ノズルプレート印加電圧生成回路53からも、マスク回路47と同様のパターンで電圧信号NPVがノズルプレート27に出力されるように、最初の連続する2セグメントではスイッチSWをオンにし、その後の連続する2セグメントではスイッチSWをオフにする。これにより、最初の連続する2セグメントでは圧電素子48が変形してインク室29内のインクを加圧するため、ノズル23が詰まっていなければインクはノズル23から飛翔して検査領域52に着弾する。このとき、ノズルプレート27には電圧信号NPVが印加されているため、ノズルプレート27と検査領域52との間に電位差が生じており、またノズル23から飛翔するインクは帯電している。したがって、ノズル23から帯電したインクが飛翔して検査領域52に着弾すると、ノズルプレート27上で電気的変化が生じる。この電気的変化によって電圧検出回路54からの出力信号波形が変化してその出力レベルが閾値Vthr以上となる。ここで、閾値Vthrは、帯電したインクがノズル23から飛翔して検査領域52に着弾したときに生じる出力信号波形の出力レベルよりも低い値であるが、帯電したインクがノズル23から飛翔して検査領域52に着弾していないときに超えることのない値に設定されている。なお、圧電素子48への駆動信号DRVを最初の連続する2セグメントでは出力しその後の連続する2セグメントでは出力しないのは、電圧検出回路54から出力される出力信号波形が各ノズルごとに時間間隔をおいて現れるようにするためである。また、ノズルプレート27への電圧信号NPVを最初の連続する2セグメントでは出力しその後の連続する2セグメントでは出力しないのは、最初の連続する2セグメントではインクが飛翔する操作を行うことからノズルプレート27と検査領域52との間に電位差を発生させるとともにノズルプレート27上のインクを帯電させる必要があるのに対し、その後の連続する2セグメントではインクが飛翔する操作を行わないことからそのような電位差を発生させたりインクを帯電させたりする必要がないからである。
さて、最初の連続する2セグメントでは圧電素子48が変形してインク室29内のインクを加圧したにもかかわらずインクがノズル23から吐出しなければ電圧検出回路54から出力される出力信号波形は変化しないため、その出力信号波形の出力レベルは閾値Vthr未満になり、今回のノズル23に詰まりなどの異常が生じているとみなし、そのノズル23を特定する情報(例えばどのノズル列の何番目のノズルかを示す情報)をRAM74に記憶する(ステップS340)。このステップS340のあと又はステップS330で出力レベルが閾値Vthr以上だったとき(つまり今回のノズル23が正常だったとき)、CPU72は現在検査中のノズル列43に含まれるすべてのノズル23について検査を行ったか否かを判定し(ステップS350)、現在検査中のノズル列43に未検査のノズル23があるときには、検査対象となるノズル23を未検査のものに更新し(ステップS360)、その後再びステップS320以降の処理を行う。一方、ステップS350で現在検査中のノズル列43に含まれるすべてのノズル23について検査を行ったときには、印刷ヘッド24に含まれるすべてのノズル列43について検査を行ったか否かを判定し(ステップS370)、未検査のノズル列43が存在するときには、検査対象となるノズル列43を未検査のノズル列43に更新し(ステップS380)、その後再びステップS310以降の処理を行う。一方、ステップS370で印刷ヘッド24に含まれるすべてのノズル列43について検査を行ったときには、印加電圧生成回路53のスイッチSWをオフにし(ステップS390)、このノズル検査ルーチンを終了する。このルーチンを実行することにより、RAM74の所定領域には、印刷ヘッド24に配列された全ノズル23のうち異常が発生しているノズル23がある場合にはそのノズル23を特定する情報が記憶され、異常が発生しているノズル23がない場合には何も記憶されない。
次に、印刷処理ルーチンについて説明する。図10は、この印刷処理ルーチンのフローチャートである。印刷処理ルーチンが開始されると、CPU72は、まず、給紙処理を実行する(ステップS400)。給紙処理は、駆動モータ33の駆動により給紙ローラ36(図5参照)を回転駆動させ給紙トレイ38に載置された記録紙Sを紙送りローラ35まで搬送する処理である。次に、CPU72は、キャリッジモータ34aの駆動によりキャリッジ22をホームポジションなどから図1において左方向に移動させながら印刷ヘッド24からインクを吐出させ印刷データに基づいて往路印刷を実行する(ステップS410)。続いて、CPU72は、現在印刷中の記録紙Sへ印刷すべき印刷データがあるか否かを判定し(ステップS420)、現在印刷中の記録紙Sへ印刷すべきデータがあるときには、紙送りローラ35を回転駆動し記録紙Sを所定量搬送する搬送処理を実行し(ステップS430)、キャリッジモータ34aの駆動によりキャリッジ22を図1において右方向に移動させながら印刷ヘッド24からインクを吐出させ印刷データに基づいて復路印刷を実行する(ステップS440)。続いて、CPU72は、現在印刷中の記録紙Sへ印刷すべき印刷データがあるか否かを判定し(ステップS450)、現在印刷中の記録紙Sへ印刷すべきデータがあるときには、紙送りローラ35を回転駆動し記録紙Sを所定量搬送する搬送処理を実行し(ステップ460)、ステップS410以降の処理を実行する。一方、ステップS420又はステップS450で現在印刷中の記録紙Sへ印刷すべき印刷データがないときには、CPU72は、記録紙Sを排紙する排紙処理を実行する(ステップS470)。排紙処理は、排紙ローラ37を回転駆動し、記録紙Sを排紙トレイに排出する処理である。そしてステップS470のあと、次頁の印刷データがあるか否かを判定し(ステップS480)、次頁の印刷データがあるときには再びステップS400に戻り、次頁の印刷データがないときにはこの印刷処理ルーチンを終了する。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の圧電素子48が本発明の印刷記録液加圧手段に相当し、ヘッド駆動波形生成回路86が駆動波形生成手段に相当し、キャッピング部材41の検査領域52が印刷記録液受け領域に相当し、ノズルプレート印加電圧生成回路53が電位差発生手段に相当し、コントローラ70のCPU72が制御手段に相当し、原信号ODRVがヘッド駆動波形に相当する。また、電圧検出回路54が電気的変化検出手段に相当する。なお、本実施形態では、インクジェットプリンタ20の動作を説明することにより本発明のインクジェット記録装置の制御方法の一例も明らかにしている。
以上詳述したインクジェットプリンタ20によれば、圧電素子48を駆動するための既存の原信号ODRVを利用して印刷ヘッド24に電圧を印加するため、装置構成を複雑にすることなく印刷ヘッド24と検査領域52との間に電位差を発生させると共に飛翔前のインクに帯電させることができる。また、装置構成を複雑にすることなくノズル23が詰まっているか否かの検査を行うこともできる。更に、ノズル検査時に印刷ヘッド24のうち検査領域52に最も接近しているノズルプレート27に電圧を印加するため、印刷ヘッド24と検査領域52との間に電位差を効率よく発生させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
上述した実施形態では、ノズルプレート印加電圧生成回路53にスイッチSWを取り付けて圧電素子48への駆動信号DRVと同パターンとなるようにスイッチSWのオンオフを切り替えるようにしたが、スイッチSWを取り付けることなくヘッド駆動波形生成回路86の原信号ODRVをそのままノズルプレート27への電圧信号NPVとしてもよい。この場合、図9において最初の連続する2セグメントの後の連続する2セグメントでも電圧信号NPVが出力されることになる。
上述した実施形態では、ノズルプレート印加電圧生成回路53は、ヘッド駆動波形生成回路86の原信号ODRVを変形することなく出力するようにしたが、ヘッド駆動波形生成回路86の原信号ODRVをダイオードを利用した整流回路で整流したあとコンデンサとコイルを利用した平滑回路で平滑化することにより直流電圧としてからノズルプレート27に印加してもよい。このときのノズルプレート27への電圧信号NPVの時間変化を表すタイムチャートを図11に示す。こうすれば、ノズルプレート27への電圧信号NPVは直流電圧となるため印刷ヘッド24におけるインクの帯電量の変動を抑えることができる。なお、原信号ODRVのピーク値検出回路により得られたピーク値を利用して直流電圧としてもよい。
あるいは、ノズルプレート印加電圧生成回路53は、ヘッド駆動波形生成回路86の原信号ODRVを昇圧したあとの波形でもってノズルプレート27に電圧を印加してもよい。このときのノズルプレート27への電圧信号NPVの時間変化を表すタイムチャートを図12に示す。こうすれば、印刷ヘッド24におけるインクの帯電量を大きくすることができる。ここで、ヘッド原信号ODRVは図12に示すように振幅の大小を周期的に変化させる波形であるため疑似交流信号とみることができる。このため、一次コイルと二次コイルを用いて両コイルの巻き回数の比によって昇圧させる昇圧回路にそのままこの原信号ODRVを入力することにより容易に昇圧することが可能となる。
上述した実施形態では、印刷ヘッド24のノズルプレート27とキャッピング部材41とをシーリング部材41aを介して接触させた状態でインクをキャッピング部材41内の検査領域52に着弾させてノズル検査を行うようにしたが、検査領域52をキャッピング部材41以外の箇所に設けてもよい。例えば、図1においてプラテン44の左端又は右端に別途検査領域を設けてもよい。あるいは、プラテン44の印刷可能領域を外れた左端にフラッシング領域を形成し、このフラッシング領域を検査領域と兼用してもよい。なお、フラッシング領域は、ノズル23の先端でインクが乾燥して固化するのを防止するために定期的又は所定のタイミングで印刷データとは無関係にインク滴を吐出させる、いわゆるフラッシング動作を行うときに利用される。但し、上述した実施形態のようにキャッピング部材41内に検査領域52を設けた場合には、検査領域52に着弾したインクはクリーニングによって速やかに排出されるため、検査領域52上にインク堆積物が溜まりにくいことから好ましい。
上述した実施形態では、印刷ヘッド24に電圧を印加し検査領域52をグランド電位に接地するようにしたが、印刷ヘッド24をグランド電位に接地し検査領域52に電圧を印加してもよい。但し、検査領域52をキャッピング部材41の内部ではなくオープンな箇所に設けた場合には、検査領域の周辺に溜まったインク堆積物により電流がリークして印刷ヘッド24と検査領域との間に十分な大きさの電位差が発生しないおそれがあるのに対して、印刷ヘッド24に電圧を印加し検査領域をグランド電位に接地する場合にはそのようなおそれがない。
上述した実施形態では、ノズル検査のときにノズルプレート印加電圧生成回路53からノズルプレート27に電圧を印加したが、ノズル検査以外に例えば縁なし印刷において記録紙の縁の部分を印刷するときにノズルプレート印加電圧生成回路53からノズルプレート27に電圧を印加してインクを帯電させてもよい。こうすれば、記録紙の縁の部分を印刷するときにはインクが記録紙からプラテン44にはみ出るが、帯電したインクがグランド電位(メカフレーム80)に接続されたプラテン44に引き寄せられるため、プラテン44にはみ出したインクが周囲にミストとして飛び散ることがない(ミスト回収)。なお、このミスト回収の場合には電圧検出回路54は不要である。
上述した実施形態では、上側インク吸収体55を導電性を有するスポンジで作製したが、導電性を有さないスポンジで作製したものをインク吐出検査前に水又はインクで濡らして導電性を有するようにしてもよい。
上述した実施形態では、電圧検出回路54を印刷ヘッド24側の電気的変化を検出するようにしたが、検査領域52側の電気的変化を検出するようにしてもよい。
上述した実施形態では、印刷ヘッド24がキャリッジ22と一体化されてキャリッジ移動方向へ移動する構成を採用したが、印刷ヘッドを印刷媒体の幅方向の印刷領域一杯に長く形成しこれを装置本体に固定配置して印刷媒体のみを搬送しながら印刷を行ういわゆるラインプリンタを採用してもよい。
上述した実施形態では、本発明のインクジェット記録装置の一例としてインクジェットプリンタを示したが、本発明はインクジェット記録方式を採用した装置であれば特に限定されるものではなく、例えばファクシミリ装置や複合機などのOA機器のほか、カラーフィルタ等のデバイスを製造するための製造装置などに適用してもよい。
20 インクジェットプリンタ、21 プリンタ機構、22 キャリッジ、23,23Y,23M,23C,23K ノズル、24 印刷ヘッド、25 キャビティプレート、26 インクカートリッジ、26a インク供給孔 27 ノズルプレート、28 ガイド、29 インク室、30 ヘッド駆動用基板、31 紙送り機構、32 キャリッジベルト、33 駆動モータ、34a キャリッジモータ、34b 従動ローラ、35 紙送りローラ、36 給紙ローラ、37 排紙ローラ、38 給紙トレイ、39 記録紙挿入口、41 キャッピング部材、41a シーリング部材、43,43Y,43M,43C,43K ノズル列、44 プラテン、45 吸引ポンプ、46 大気開放弁、47 マスク回路、48 圧電素子、50 ノズル検査装置、52 検査領域、53 ノズルプレート印加電圧生成回路、54 電圧検出回路、55 上側インク吸収体、56 下側インク吸収体、57 電極部材、58 配線、59 分岐配線、62 フォトディテクタ、64 エンコーダ用基板、66 コネクタ部、68 リニアスケール、70 コントローラ、72 CPU、73 ROM、74 RAM、75 フラッシュメモリ、79 インタフェース(I/F)、80 メカフレーム、82 フラットケーブル、84 メイン基板、85 振動板、86 ヘッド駆動波形生成回路、90 キャッピング部材昇降機構、110 ユーザPC。
Claims (10)
- 複数のノズルを有する印刷ヘッドを利用して印刷記録液を吐出することにより印刷媒体への印刷を行うインクジェット記録装置であって、
前記印刷ヘッド内の印刷記録液を加圧する印刷記録液加圧手段と、
前記印刷記録液加圧手段を駆動するための駆動波形を生成する駆動波形生成手段と、
各ノズルから吐出された印刷記録液を受けることが可能な印刷記録液受け領域と、
前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に前記駆動波形を利用して電位差を発生させる電位差発生手段と、
前記電位差発生手段によって前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に前記駆動波形を利用して電位差を発生させた状態で、各ノズルの印刷記録液が前記印刷記録液加圧手段によって加圧されるよう前記駆動波形を利用して前記印刷記録液加圧手段を制御する制御手段と、
を備えたインクジェット記録装置。 - 請求項1に記載のインクジェット記録装置であって、
前記印刷ヘッド又は前記印刷記録液受け領域の電気的変化を検出する電気的変化検出手段を備え、
前記制御手段は、前記電位差発生手段によって前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に前記駆動波形を利用して電位差を発生させた状態で、各ノズルの印刷記録液が順次前記印刷記録液加圧手段によって加圧されるよう前記駆動波形を利用して前記印刷記録液加圧手段を制御すると共に該制御をしている間の前記電気的変化に基づいて各ノズルから印刷記録液が吐出されたか否かを検査する、
インクジェット記録装置。 - 前記電位差発生手段は、前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に前記電位差を発生させるにあたり、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を利用して電圧を印加する、
請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。 - 前記電位差発生手段は、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を利用して電圧を印加するにあたり、前記印刷ヘッドのうち複数のノズルが形成されたノズル形成部材に前記駆動波形を利用して電圧を印加する、
請求項3に記載のインクジェット記録装置。 - 前記電位差発生手段は、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を利用して電圧を印加するにあたり、前記印刷ヘッドに前記駆動波形と同じ波形でもって電圧を印加する、
請求項3又は4に記載のインクジェット記録装置。 - 前記駆動波形生成手段は、前記駆動波形として振幅の大小が時間経過に伴って変化する疑似交流波形を生成し、
前記電位差発生手段は、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を利用して電圧を印加するにあたり、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を直流波形に変換し該直流波形でもって電圧を印加する、
請求項3又は4に記載のインクジェット記録装置。 - 前記駆動波形生成手段は、前記駆動波形として振幅の大小が時間経過に伴って変化する疑似交流波形を生成し、
前記電位差発生手段は、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を利用して電圧を印加するにあたり、前記印刷ヘッドに前記駆動波形を昇圧したあとの波形でもって電圧を印加する、
請求項3又は4に記載のインクジェット記録装置。 - 前記制御手段は、前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に電位差を発生させる必要があるときには前記電位差発生手段による前記印刷ヘッドへの電圧の印加を実行し、前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に電位差を発生させる必要がないときには前記電位差発生手段による前記印刷ヘッドへの電圧の印加を中止する、
請求項3〜7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。 - 複数のノズルを有する印刷ヘッドを利用して印刷記録液を吐出することにより印刷媒体への印刷を行うインクジェット記録装置の制御方法であって、
(a)前記印刷ヘッド内の印刷記録液を加圧する印刷記録液加圧手段を駆動するための駆動波形を生成するステップと、
(b)前記印刷ヘッドと各ノズルから吐出された印刷記録液を受けることが可能な印刷記録液受け領域との間に前記駆動波形を利用して電位差を発生させた状態で、各ノズルの印刷記録液が前記印刷記録液加圧手段によって加圧されるよう前記駆動波形を利用して前記印刷記録液加圧手段を制御するステップと、
を含むインクジェット記録装置の制御方法。 - 請求項9に記載のインクジェット記録装置の制御方法の各ステップを1以上のコンピュータに実行させるためのプログラム。
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US8016381B2 (en) | 2007-09-04 | 2011-09-13 | Seiko Epson Corporation | Liquid ejecting apparatus and method of controlling same |
-
2005
- 2005-12-16 JP JP2005362925A patent/JP2007160828A/ja active Pending
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