JP2007159333A - ブラシレスモータ、ブラシレスモータシステム及び制御回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】界磁コイルに矩形波電圧を印加し、回転磁界を発生させるブリッジ回路34と、前記回転磁界の回転方向を切り替える方向信号及び前記矩形波電圧のパルス幅を制御するパルス幅信号を入力する制御回路20とを備えるブラシレスモータユニット50であって、前記ブリッジ回路34は、前記回転方向を切り替えるときに、OFF状態からON状態に遷移するスイッチング素子への遷移指令を少なくとも所定時間遅延する。これにより、スイッチング素子の短絡状態が低減し、発熱が減少する。
【選択図】図8
Description
特許文献1には、ブラシ付きDCモータに印加する電圧信号を用いてブラシレスモータを駆動する制御装置が開示されている。
この場合に、ブラシ付きDCモータをブラシレスモータに置換する場合も、正転/反転入力とPWM入力とによって制御を行うことが好ましい。
ところが、トランジスタには、ベース電流を遮断してもコレクタ電流が流れ続ける小数キャリア蓄積時間及び遅延時間が存在する。これにより、正転/反転を切り替える際に、駆動回路に使用されるブリッジ回路の短絡時間が発生し、この短絡が発熱の原因になり、ひいては回路寿命が低下する問題がある。
本発明の一実施形態であるブラシレスモータシステムの構成を図面を用いて説明する。図1において、ブラシレスモータシステム100は、モータユニット52と、制御回路22と、角度センサ40とを備え、モータユニット52の回転角を角度センサ40が検出して、この回転角を帰還信号として制御回路22に帰還し、フィードバック制御するように構成されている。また、制御回路22は制御用マイコン10と合成回路5とを備え、モータユニット52を制御する合成信号V−PRMを生成している。なお、モータユニット52と制御回路22とは、電源線V−BATT、接地線GND及び1本の信号線V−PRMで接続されている。
分離回路30は、合成信号V−PRMをCW/CCW信号とPWM信号とに分離するものである。ブラシレスモータ36は、複数の駆動コイルである複数の界磁コイルによって生成される回転磁界を用いて、磁性体からなる図示しないロータが回転するものである。三相ブリッジ回路34は、三相出力端U,V,Wを介して、ブラシレスモータ36の界磁コイルに三相矩形波電圧を供給するものである。減速機構42は、ブラシレスモータ36のロータ回転速度を機械的に減速し、トルクを増大するものである。ホール素子38は、3個のホール素子を用いて、磁化されたロータの回転位置を検出するものである。エンコードロジック32は、CW/CCW信号とPWM信号とホール素子38の出力信号とから三相ブリッジ回路34内部のトランジスタに流すベース電流を生成するロジック回路である。
合成回路5の出力回路は、トランジスタTR7,TR8及び抵抗器R20,R21を備えるプッシュプル回路により構成され、任意の出力電圧を生成することができる。ここでは、後記するようにCW信号とPWM信号とを合成した合成信号V−PRMを生成している。
エンコードロジック32は、図2に示されるホール素子38a,38b,38cの出力信号H1,H2,H3及びCW/CCW信号を用いて三相ブリッジ回路34のトランジスタTR1,TR3,TR5を駆動するためのロジック信号UH,VH,WHを生成する。同様に、エンコードロジック32は、トランジスタTR2,TR4,TR6を駆動するためのロジック信号UL,VL,WLを生成する。これらのエンコード表を図5に示す。例えば、正転(CW)状態において、ホ−ル素子38aの出力H1がHighレベル、ホ−ル素子38bの出力H2がLowレベル、ホ−ル素子38cの出力H3がHighレベルであるとき、VH出力及びUL出力がHighレベルにエンコードされる。更に、エンコードロジック32は、ロジック信号UL,VL,WLとPWM信号とからロジック信号UL(PWM),VL(PWM),WL(PWM)を生成する。
図6(a)に示すV−PRM信号は、CW/CCW信号とPWM信号とが重畳された信号であり、電源電位Vccと接地電位との中間電位に対して、正電位のPWM信号が重畳されているときがCW状態であり、負電位のPWM信号が重畳されているときがCCW状態である。
オペアンプOP1(図3参照)が構成するウィンドウコンパレータによって、VCW(TH)の範囲内の電圧が切り取られ、図6(b)に示されるCW/PWM信号が生成される。また、オペアンプOP2が構成するウィンドウコンパレータによって、VCCW(TH)の範囲内の電圧が切り取られ、図6(c)に示される反転CCW/PWM信号が生成される。そして、ゲートIC1からなるインバータにより論理が反転し、図6(d)に示されるCCW/PWM信号が生成される。更に、CW/PWM信号とCCW/PWM信号とがRSフリップフロップに入力されることにより、出力Qに図6(e)に示されるCW信号が生成される。そして、ゲートIC5の出力には、CW信号と、この信号が積分されて遅延して生成されたDelayed−Q信号(図6(f)参照)とを用いて生成されたPAUSE信号が生成される(図6(g)参照)。
図7(a)及び図7(b)は、一般的なトランジスタのスイッチング特性を説明するための図である。図7(a)において、トランジスタのコレクタ端は、抵抗器Zを介して電源に接続されており、エミッタ端は接地されている。適切なベース電流を流すことによって、図7(b)に示すような矩形波状のベース電圧VBEが発生する。ベース電圧VBEの立ち上がりタイミング(t1)には、コレクタ電流ICの変化に伴い、コレクタ電圧VCEは、立ち下がり時間tf=t2−t1で立ち下がり、接地電位となる。また、ベース電圧VBEの立ち下がりタイミング(t3)においては、直ちにコレクタ電圧が立ち上がらずに蓄積時間tstの間コレクタ電圧VCEが接地電位となっている。蓄積時間tstの終了時刻t4には、徐々にコレクタ電圧VCEが立ち上がり時間tr=t5−t4で立ち上がる。
図8(a)は、比較のために従来の技術を用いたスイッチングタイミングを示すものである。A,C,B,Dは、トランジスタTR3,TR1,TR2,TR4のベース電圧VBEのタイミングを示す。また、a,c,b,dは、トランジスタTR3,TR1,TR2,TR4のコレクタ電圧VCEを示す。ブラシレスモータ36をCW方向に回転させるためにトランジスタTR3,TR2を導通させてから、CCW方向に反転させるためにトランジスタTR1,TR4を導通させる。
第1実施形態は、分離回路30の中で回転方向が反転する回転方向反転時に遅延信号を生成したが、制御回路の中でソフトウェア的に遅延させることができる。
図9に本実施形態のブラシレスモータシステムの構成図を示す。ここで、図1に示したものと同一のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
図9に示されるルーチンは、例えば、100μSEC又は2mSECの周期で定周期割込が行われる。
S10では、偏差演算手段1のプログラムが、角度センサ40の出力信号と目標値(目標回転角度)との差分である偏差を算出する。S12では、PWM演算手段2のプログラムが、PWMのDUTY値を偏差に基づいて演算する。すなわち、S10で算出された偏差が大きければ大きなDUTY値が演算され、偏差が小さければ小さなDUTY値が演算される。S14では、遅延判定手段3のプログラムが、操作量であるPWM値が負の値であるか否かを判定する。偏差に基づくPWM値が負であれば(S14でYES)、S16に進み、時計廻り回転方向を示すCWフラグをセットする。そして、処理はS18に進み、操作量(PWM値)の正負に変化が生じたか否かが判定される。変化がなければ(S18においてNO)、処理はS32に進み、信号生成手段4は、CW/CCWポートをHighレベルに設定する。そして、処理はS34に進み、DUTY値の出力変化が有るか否かが判定される。出力変化が有れば(S34でYES)、処理はS36に進み、DUTY値がPWM信号として出力される。そして、元のルーチンに戻る。一方、S34において、出力変化がなければ(S34でNO)、そのまま元のルーチンに戻る。
第2実施形態では、制御用マイコンのプログラムを変更することによってPWM信号・CW/CCW信号の遅延を発生させていたが、モータユニット内部のロジック回路でPWM信号・CW/CCW信号を遅延させることもできる。
図11のタイミングチャートを参照して本実施形態の動作を説明する。
制御用マイコン10内部で一定周期の割込みを発生させ(図11(a))、この割込みタイミングでPWM演算が行われる(図11(b))。そして、図11(c)に示されるようにPWM出力がPWM演算終了時のタイミング(t6,t8,t10,t12)で行われる。例えば、+70%出力、+32%出力、−10%出力、−45%出力、+26%出力のようにDUTY比であるPWM値が変化する。図11(d)のように、PWM出力の正負が変化するタイミング(t8,t12)において正転・反転信号(CW/CCW信号)を反転させる。
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記各実施形態は、ホール素子38を用いてロータ回転位置を検出していたが、Y結線された界磁コイルの中性点とU相,V相,W相との間の各誘起電圧を検出してロータの回転位置の検出を行うセンサレス方式とすることも本発明に含まれる。
(2)前記各実施形態は、トランジスタを用いて三相ブリッジ回路を構成したが、スイッチング素子としてFETを用いることもできる。この場合は、蓄積時間tstが皆無であるが、ゲート電圧の遅延を行うことにより、立ち上がり時間trと立ち下がり時間tfとの重なりによる短絡状態を回避することができる。
(3)第1実施形態は、電源線V−BATTと合成信号線V−PRMとを独立させていたが、電源線V−BATT及び合成信号線V−PRMを共通にすることもできる。すなわち、電源線/信号線と接地線GNDの2本で制御回路とモータユニットとを接続することができる。この場合、CW/CCW信号をPWM信号に同期させて重畳させることが考えられる。
2 PWM演算手段
3 遅延判定手段
4 信号生成手段
5 合成回路
C1 コンデンサ
IC1,…,IC6 ゲート
OP1,OP2 オペアンプ
R1,…,R9,Z 抵抗器
TR1,…,TR6 トランジスタ(スイッチング素子)
10 制御用マイコン
20,22 制御回路
30 分離回路
32 エンコードロジック
34 三相ブリッジ回路(ブリッジ回路)
36 モータユニット
36 ブラシレスモータ
38 ホール素子
38a ホール素子
40 角度センサ
42 減速機構
50,52 モータユニット
100,110 ブラシレスモータシステム
GND 接地
LU,LV,LW 界磁コイル(駆動コイル)
U,V,W 三相出力端
Vcc 電源
tf 立ち下がり時間
tr 立ち上がり時間
tst 蓄積時間
Claims (9)
- 界磁コイルに矩形波電圧を印加し、回転磁界を発生させるブリッジ回路と、前記回転磁界の回転方向を切り替える方向信号及び前記矩形波電圧のパルス幅を制御するパルス幅信号を入力する制御回路とを備えるブラシレスモータであって、
前記ブリッジ回路は、前記回転方向を切り替えるときに、OFF状態からON状態に遷移するスイッチング素子への遷移指令を少なくとも所定時間遅延することを特徴とするブラシレスモータ。 - 前記スイッチング素子は、トランジスタであり、
前記所定時間は、前記トランジスタのベース電流を遮断してからコレクタ電流がオフするまでの蓄積時間とコレクタ電圧の立ち上がり時間とこれらの温度変化による変動時間とを加算した時間であることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。 - 前記方向信号は、前記パルス幅信号が中間電位よりも高い値に重畳されているか低い値に重畳されているかによって伝送される信号であり、
前記方向信号と前記パルス幅信号とは同一の信号線により伝送されることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。 - ブラシレスモータの回転方向を切り替える方向信号と、界磁コイルに印加する矩形波電圧のパルス幅を制御するパルス幅信号とを用いて前記ブラシレスモータを駆動するブリッジ回路と、
前記ブラシレスモータの回転角度を示す角度信号及び目標値を用いて、前記方向信号及び前記パルス幅信号を生成する制御回路と
を備えるブラシレスモータシステムであって、
前記制御回路は、前記回転方向が切り替わるときに前記パルス幅信号を所定時間無効に設定することを特徴とするブラシレスモータシステム。 - ブラシレスモータの回転方向を切り替える方向信号と、界磁コイルに印加する矩形波電圧のパルス幅を制御するパルス幅信号とを用いて前記ブラシレスモータを駆動するブリッジ回路と、
前記ブラシレスモータの回転角度を示す角度信号及び目標値を用いて、前記方向信号及び前記パルス幅信号を生成する制御回路と
を備えるブラシレスモータシステムであって、
前記制御回路は、コンピュータと、前記コンピュータにより実行され、前記回転方向が切り替わるときに前記パルス幅信号を所定時間無効に設定するプログラムとを備えていることを特徴とするブラシレスモータシステム。 - 接続されるモータユニットの回転角度を示す角度信号と目標値とから前記モータユニットの回転方向を切り替える方向信号及び前記モータユニットの界磁コイルに印加する矩形波電圧のパルス幅を制御するパルス幅信号を生成する制御回路であって、
前記回転方向を切り替えるときに、前記パルス幅信号を所定時間無効に設定することを特徴とする制御回路。 - 前記モータユニットは、前記制御回路の出力信号を用いて界磁コイルに矩形波電圧を印加する複数のスイッチング素子が備えられ、
回転方向を切り替えるときに、OFF状態からON状態に遷移する前記スイッチング素子への遷移指令を少なくとも所定時間遅延することを特徴とする請求項6に記載の制御回路。 - 接続されるモータユニットの回転角度を示す角度信号及び目標値を用いて、前記モータユニットの回転方向を切り替える方向信号と、前記モータユニットの界磁コイルに印加する矩形波電圧のパルス幅を制御するパルス幅信号とを生成する制御回路であって、
前記回転方向を切り替えるときに、前記パルス幅信号を所定時間無効に設定するプログラムを備えていることを特徴とする制御回路。 - 前記モータユニットは、複数の界磁コイルを備える多相ブラシレスモータと、前記多相ブラシレスモータの回転位置を検出する複数のホール素子とを有し、
前記複数のホール素子の出力信号を用いて、通電される前記界磁コイルを切り替えることを特徴とする請求項8に記載の制御回路。
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