JP2007158027A - 導体層付セラミックス基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】焼成されてセラミックス積層体となるセラミックグリーンシート積層体の表面に、ガラス粉末および金属粉末を含有し焼成されて導体層となる導体ペーストが塗布されたものを焼成して得られたセラミックス基板であって、セラミックス積層体上の導体層がその表面側に存在する金属層とセラミックス積層体との界面側に存在するガラス層とに分離している導体層付セラミックス基板。
【選択図】図2
Description
図1は、導体層付セラミックス基板の一種であるUWB向けの代表的なアンテナの断面の概念図である。アンテナ(導体層付セラミックス基板)10はその本体であるセラミックス層11の積層体と、その内部に配線される内層導体2、多層化されているために必要となる縦方向のパターンを電気的に接合するためのビア導体3およびアンテナへの給電および接合する基板とのハンダ付け用に用いられる表層導体1とを有する。
このようなハンダ付け性および接着強度に優れた表層導体の形成に好適な導体ペーストとして、金属粉末、微量の酸化マンガン粉末、微量のガラスフリットおよび有機ビヒクルからなるものが知られている(特許文献2参照)。
しかし、表層導体をハンダ付け性および接着強度に優れ、しかも比抵抗が小さいものとすることは困難であった。
このようにして得られた導体ペースト1’、4’の各焼成体(導体)について比抵抗を測定したところそれぞれ3.8μΩ・cm、4.9μΩ・cmであった。
このことから、特許文献2に記載されているガラスフリット含有導体ペーストを焼成して得られる導体の比抵抗は3.0μΩ・cm超であることがわかる。
しかし、導体ペーストに含有させるガラス粉末を軟化点が低くかつ焼成時にセラミックグリーンシート積層体が焼結し始める前に結晶を析出するものとすることによりハンダ付け性および接着強度に優れしかも比抵抗が小さい表層導体を得られることがわかった。
前記ビスマスの層は、焼成されて表層導体となる導体ペーストが存在しなければ基板本体となっていた部分に導体ペースト由来のガラスがいわば滲みこんでいる部分であり、いわば基板本体の変質部分である。
また、図2(b)に示すように金属層と基板本体の間に導体ペースト由来のガラスを含有する変質部分が存在し、この変質部分によって導体層または金属層と基板本体との接着強度が高くなる。
また、図2(a)、(b)に示すように金属層にはガラスが存在しないので導体層の比抵抗が小さくなる。
また、一般的なプリント基板への実装強度を高くできる、メッキ処理なしでボンディングやハンダ付けができる、鉛含有ハンダに比べて濡れ性に劣る無鉛ハンダを用いたハンダ付けができる、などの効果がある。
本発明の導体層付基板の主要部は複数のセラミックス層11が積層されたセラミックス積層体であり、セラミックス積層体の内部には通常、配線の一部となる内層導体2およびビア導体3が存在する。
セラミックス積層体の表面には導体層(表面導体)1が形成されており、導体層1は通常、内層導体2またはビア導体3と接続するように形成される。
断面のSEM−EPMA写真で見たときにセラミックス層11との間に境界を有して存在する層が導体層である。
同じように見たときに導体層自体がその内部に境界を有し、その境界よりも導体層表面側に存在する層が金属層1aであり、セラミックス層11との間の前記境界側すなわちセラミックス層11との界面側に存在する層がガラス層1bである。
金属層1aにはガラスは実質的に存在しないことが好ましい。すなわち、金属層断面中のガラスが存在する部分の面積割合が3%以下であることが好ましい。
ガラス層1bには金属層1aの構成成分である金属すなわち焼成されて導体層となる導体ペーストが含有する金属粉末の金属は実質的に存在しないことが好ましい。すなわち、ガラス層断面中の前記金属粉末の金属が存在する部分の面積割合が2%以下であることが好ましい。
金属層の比抵抗は3μΩ・cm以下であることが好ましい。3μΩ・cm超では高周波用受動部品に使用することが困難になる。
導体層は鉛を含有しないものであることが好ましい。
本発明の製造方法は本発明の導体層付基板を製造する方法として好適である。
導体ペーストは通常、第1のガラス粉末、金属粉末および有機質ワニスからなるが、必要に応じてその他の粉末などを含有してもよい。
第1のガラス粉末と金属粉末の質量比が3:97よりも小さいと前記接着強度が低下する。典型的には5:95以上である。25:75よりも大きいと導体ペーストを焼成して得られた導体層の表面にガラスが存在しやすくなり、導体層のハンダ付け性が低下するまたは比抵抗が大きくなる。典型的には23:77以下である。
第1のガラス粉末が結晶を析出する温度(Tc)は前記焼成を行う温度(Tb)よりも150〜250℃低いことが好ましい。TcがTbよりも150℃未満の範囲で低いものであると、焼成時にガラスが流動できる時間が短くなってセラミックス層との界面にガラスが存在しにくくなり接着強度が低下するおそれがある。TcはTbよりも180℃以上低いものであることがより好ましい。TcがTbよりも250℃を超えて低いものであると、焼成時のガラス流動が過大となり導体層表面にガラスが存在しやすくなるおそれがある。TcはTbよりも220℃以下の範囲で低いものであることがより好ましい。
典型的には、Tcは620〜720℃、Tbは850〜900℃である。
Tsは典型的には500〜600℃である。
この例示ガラスにおいてモル%表示で、B2O3が10〜15%、Li2Oが4〜8%、Na2Oが5〜9%、K2Oが0〜2%、Bi2O3が3〜7%、TiO2が2〜5%、であることが典型的である。
導体ペーストは鉛を含有しないものであることが好ましい。
グリーンシートはLTCC技術において周知の方法によって作製される。すなわち、前記第2のガラス粉末およびアルミナ粉末等のセラミックス粉末を必須成分とするガラスセラミックス組成物をポリビニルブチラールやアクリル樹脂等の樹脂とトルエン、キシレン、ブタノール等の溶剤と、さらに必要に応じてフタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の可塑剤や分散剤を添加して混合し、スラリーとする。次に、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルム上にドクターブレード法等によって、前記スラリーをシート状に成形する。このシート状に成形されたものを乾燥して溶剤を除去し、グリーンシートとする。
まず、表1のSiO2からSnO2までの欄にモル%表示で示す組成となるように原料を調合、混合し、この混合された原料を溶融し、得られた溶融ガラスを流し出し冷却した。冷却されたガラスを粉砕してガラスA〜Dの粉末を得た。この粉末はフレーク状で、平均粒径は1μmであった。
アルミナ粉末としては住友化学工業社製スミコランダムAA2を用いた。
チタン酸バリウム粉末は次のようにして作製した。すなわち、BaCO3粉末(堺化学工業社製炭酸バリウムBW−KT)88gとTiO2粉末(東邦チタニウム社製HT0210)130gとを水を溶媒としてボールミルで混合し、乾燥後1150℃に2時間保持した。その後ボールミルで60時間粉砕して平均粒経が1μmの粉末とした。
グリーンシートGS−A〜Dのそれぞれについて、大きさが40mm×100mmのもの6枚を積層し、80℃に加熱し、80MPaの圧力をかけて一体化し、グリーンシート積層体A〜Dを作製した。
ガラス粉末1、2、3はいずれも平均粒径が1μmのフレーク状のものであった。
Ts、Tc:示差熱分析による測定であり、島津製作所社製DTA−50を用いて白金容器にガラス粉末を30mg充填し、1分間につき10℃のスピードで900℃まで昇温した時の発吸熱曲線から、Tsについては第2吸熱部の裾の温度を、Tcについては発熱が最高になる温度をそれぞれ読み取った。
図4の左側のパターンは比抵抗測定用パターン、右上側の3個の大きな正方形はハンダ濡れ測定用パターン、右下側の小さな正方形12個は接着強度測定用パターンである。
例8、9においては導体ペーストのガラス粉末と銀粉末の質量比が3:97〜5:75の範囲外であり、例10は導体ペーストのガラス粉末のTsが焼成温度すなわち875℃よりも245℃低く、例11は導体ペーストのガラス粉末が焼成時に結晶を析出しないものである。
有機質ワニスとしては、重合度7のエチルセルロ−ス樹脂をα−テレピネオ−ルに濃度が20質量%となるように溶解したものを用いた。
導体ペーストは、ガラス粉末、銀粉末および有機質ワニスを表4、5の割合で調合後、磁器乳鉢中で1時間混練を行い、さらに三本ロールにて3回分散を行って作製した。
比抵抗:アドバンテスト社製デジタルマルチメ−タ−を用いて、前記比抵抗測定用パターンについて電気抵抗Rを測定した。さらに、走査型電子顕微鏡により導体層付基板の断面を観察し金属層の断面積Sを求めた。前記R、Sと前記パターンの導電性線条の長さLを用いてR×S÷Lを算出し、これを比抵抗とした。比抵抗は3μΩ・cm以下であることが好ましい。
なお、例9、10についてはハンダ付けができず接着強度を測定できなかった。
1a:金属層
1b:ガラス層
2:内層導体
3:ビア導体
10:導体層付セラミックス基板
11:セラミックス層
Claims (15)
- 焼成されてセラミックス積層体となるセラミックグリーンシート積層体の表面に、ガラス粉末および金属粉末を含有し焼成されて導体層となる導体ペーストが塗布されたものを焼成して得られたセラミックス基板であって、セラミックス積層体上の導体層がその表面側に存在する金属層と、セラミックス積層体との界面側に存在するガラス層とに分離している導体層付セラミックス基板。
- 金属層断面中のガラスが存在する部分の面積割合が3%以下である請求項1に記載の導体層付セラミックス基板。
- ガラス層断面中の前記金属粉末の金属が存在する部分の面積割合が2%以下である請求項1または2に記載の導体層付セラミックス基板。
- 金属粉末が、銀、金および銀−パラジウム合金からなる群から選ばれる1種以上の金属の粉末である、または、銀、金および銀−パラジウム合金からなる群から選ばれる1種以上の金属の粉末とパラジウム粉末との混合粉末である請求項1、2または3に記載の導体層付セラミックス基板。
- 金属層の比抵抗が3μΩ・cm以下である請求項1、2、3または4に記載の導体層付セラミックス基板。
- 導体層が鉛を含有しない請求項1〜5のいずれかに記載の導体層付セラミックス基板。
- 第1のガラス粉末および金属粉末を質量比で3:97〜25:75の割合で含有する導体ペーストを、第2のガラス粉末を含有するセラミックグリーンシート積層体の表面に塗布し、焼成を行って導体層付セラミックス基板を製造する方法であって、
第1のガラス粉末が、前記焼成を行ったときに結晶を析出し軟化点が焼成を行う温度よりも260〜370℃低いガラスの粉末であり、
第2のガラス粉末が、SiO2、Al2O3、ZnOおよびアルカリ土類金属酸化物を合計で70モル%以上含有するガラスの粉末である導体層付セラミックス基板製造方法。 - 第1のガラス粉末の軟化点が500〜600℃である請求項7に記載の導体層付セラミックス基板製造方法。
- 第1のガラス粉末が結晶を析出する温度が前記焼成を行う温度よりも150〜250℃低い請求項7または8に記載の導体層付セラミックス基板製造方法。
- 第1のガラス粉末が結晶を析出する温度が620〜720℃である請求項7、8または9に記載の導体層付セラミックス基板製造方法。
- 前記焼成を行う温度が850〜900℃である請求項7〜10のいずれかに記載の導体層付セラミックス基板製造方法。
- 第1のガラス粉末が下記酸化物基準のモル%表示で、SiO2 40〜50%、B2O3 10〜16%、ZnO 15〜21%、Li2O+Na2O+K2O 10〜16%、Bi2O3 2〜8%、TiO2 1〜6%、CeO2 0〜3%、から本質的になる請求項7〜11のいずれかに記載の導体層付セラミックス基板製造方法。
- 第2のガラス粉末が下記酸化物基準のモル%表示で、SiO2 25〜50%、B2O3 0〜25%、Al2O3 3〜12%、ZnO 1〜22%、MgO+CaO+BaO 18〜55%、から本質的になる請求項7〜12のいずれかに記載の導体層付セラミックス基板製造方法。
- 金属粉末が、銀、金および銀−パラジウム合金からなる群から選ばれる1種以上の金属の粉末である、または、銀、金および銀−パラジウム合金からなる群から選ばれる1種以上の金属の粉末とパラジウム粉末との混合粉末である請求項7〜13のいずれかに記載の導体層付セラミックス基板製造方法。
- 導体ペーストが鉛を含有しない請求項7〜14のいずれかに記載の導体層付セラミックス基板製造方法。
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