セラミック電子部品の技術分野では、微細構造の形成が接合強度の向上に繋がることが知られており、斯かる微細構造を形成するために、様々な材料の添加が検討されている。
また、非晶質のガラス成分を含有したガラスセラミックでは、ガラス成分が異なると、同一の添加剤を使用しても微細構造を形成することができない場合があり、したがって、微細構造の形成のためにはガラスセラミックと添加剤との関係が重要となる。
例えば、上述した特許文献1では、添加剤としてNa塩やK塩等のアルカリ金属塩を使用しているが、これらアルカリ金属塩の場合、Ba−Si−Al系のガラスセラミックを使用すると、ガラスセラミックとアルカリ金属塩とが必要以上に過剰に反応し(以下、このように必要以上に過剰に反応する現象を、「過剰反応」という。)、基板の割れや反りが生じたり、セラミックに気泡が発生し、所望の多層セラミック基板を得ることができなくなる。
すなわち、Na2OやK2O等のアルカリ金属酸化物は、酸素供与性が非常に大きいため、ガラスセラミックのガラス成分と過剰に反応し、このためガラスセラミックの表面に多数の気泡が生成したり、ガラス成分が析出して誘電性等の物性を変化させるおそれがある。また、ガラスセラミックとアルカリ金属酸化物との過剰な反応により、基板に割れや反りが生じるおそれもある。
しかも、特許文献1の多層セラミック基板では、表面電極とセラミック層との界面に形成された低融点ガラス層にアルカリ金属が含有されることから、めっき液耐性が低下し、微細構造の低融点ガラス層がめっき液中に溶出するおそれがある。そしてその結果、強度低下を招いたり、低融点ガラス層の溶出により形成された隙間をめっき液が通過して内部電極にまで浸透し、はんだ爆ぜや特性劣化等を招くおそれがある。
また、特許文献1では、新たに低融点ガラス層を生成させて微細構造を形成しているため、非晶質のガラス成分が増加し、多層セラミック基板の強度劣化を招くおそれがある。また、アルカリ金属によるガラスの低融点化によって低粘度化するため、焼成時には導電膜中のガラス成分の流動性が増し、このため電極表面に多量のガラス成分が浮き出てしまうおそれがある。そして、このように電極表面に多量のガラス成分が浮き出てしまうと、めっき付き性も低下し、実装時にはんだ接合性の低下を招くおそれがある。
また、特許文献2では、ガラスセラミックと表面導体との間に反応層を形成しているが、表面導体中に添加されたZn系ガラスフリットは融点が低いため、全てのZn系ガラスフリットがセラミック基板層と表面導体の界面にまで移動するとは限らず、それどころか大部分のZn系ガラスフリットが表層部分に移動し電極表面に浮き出てしまうおそれがある。そして、このように焼結後に多量のガラス成分が電極表面に浮き出てしまうと、特許文献1と同様、めっき付け性が低下し、はんだ接合性の低下を招くおそれがある。
また、特許文献2では、表面電極(表面導体)中にガラスフリットを添加しているが、外気に直接晒される表面電極では、めっき付き性の不良を招きやすいガラス成分の添加を避けるのが望ましい。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、電極とセラミック層との接合強度を向上させることができ、かつ基板割れ等を招くこともなく、良好なめっき付き性を確保できるセラミック電子部品の製造方法及びセラミック電子部品を提供することを目的とする。
非ガラス質の無機酸化物を含有した導電膜と、非晶質のガラス成分を含有したセラミックグリーンシートとを同時焼成すると、無機酸化物とガラス成分とが反応して反応層を形成することができる。
この反応層の形成には、非ガラス質の無機酸化物の塩基度B1と非晶質のガラス成分の塩基度B2との塩基度差ΔBが深く関係する。すなわち、塩基度差ΔBが小さすぎると反応層は形成されず、したがって塩基度差ΔBが大きいほど反応層は形成されやすい。一方、塩基度差ΔBが過度に大きくなると、無機酸化物とガラス成分との間で過剰反応が生じ、基板割れや電極表面へのガラス浮き量の増加を招くおそれがある。
そこで、本発明者らは、過剰反応を生じず、かつ十分な接合強度を有する反応層を得るべく鋭意研究を行なったところ、非晶質のガラス成分の塩基度B2を0.11〜0.14の範囲とし、前記塩基度差ΔBを0.02〜1.33の範囲に制御することにより、過剰反応を抑制して所望の反応層を形成することができるという知見を得た。
そしてこれにより基板割れ等を招くこともなく、良好なめっき付き性を確保することができ、かつ表面電極とセラミック層との接合強度を向上させることのできることが分かった。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係るセラミック電子部品の製造方法は、少なくとも導電性粉末と、非ガラス質の無機酸化物と、有機ビヒクルとを含有した導電性ペーストを作製する導電性ペースト作製工程と、非晶質のガラス成分を含有したセラミック材料を成形加工して成形体を作製する成形体作製工程と、前記導電性ペーストを前記成形体の表面に塗布して導電膜を形成する導電膜形成工程と、焼成後に電極となる前記導電膜と焼成後にセラミック層となる前記成形体とを同時焼成し、前記ガラス成分と前記無機酸化物とを反応させ、前記電極と前記セラミック層との間に反応層を形成する焼成工程とを含み、前記無機酸化物の塩基度B1と前記ガラス成分の塩基度B2との塩基度差ΔBが、0.02≦ΔB≦1.33を満足すると共に、前記ガラス成分の塩基度B2は、0.11〜0.14であることを特徴としている。
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、前記塩基度差ΔBが、0.02≦ΔB≦0.53を満足するのが好ましい。
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、前記導電性粉末を前記無機酸化物で被覆するのが好ましい。
さらに、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、前記無機酸化物の体積含有量は、前記導電性粉末100体積部に対し1.5〜30体積部であるのが好ましい。
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、前記無機酸化物の体積含有量は、前記導電性粉末100体積部に対し1.5〜5体積部であることを特徴とするのが好ましい。
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、前記導電性ペーストにガラス成分を添加すると共に、前記ガラス成分の添加量は、前記無機酸化物に対し、体積比率で0.15〜0.40であるのが好ましい。
また、本発明に係るセラミック電子部品は、少なくとも導電性粉末と非ガラス質の無機酸化物を含有した電極が、非晶質のガラス成分を含有したセラミック層の表面に形成されたセラミック電子部品において、前記セラミック層と前記電極との間に反応層が形成されると共に、前記無機酸化物の塩基度B1と前記ガラス成分の塩基度B2との塩基度差ΔBが、0.02≦ΔB≦1.33を満足すると共に、前記ガラス成分の塩基度B2は、0.11〜0.14であることを特徴としている。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記塩基度差ΔBが、0.02≦ΔB≦0.53を満足するのが好ましい。
さらに、本発明のセラミック電子部品は、前記電極の厚みT1に対する前記反応層の厚みT2は、0.06〜0.78であるのが好ましい。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記電極の厚みT1に対する前記反応層の厚みT2は、0.06〜0.65であるのが好ましい。
また、本発明のセラミック電子部品は、複数の前記セラミック層が積層されてセラミック素体を形成し、内部電極が前記セラミック素体に埋設されているのが好ましい。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記表面電極の表面にめっき皮膜が形成されているのが好ましい。
上記セラミック電子部品の製造方法、及びセラミック電子部品によれば、非ガラス質の無機酸化物の塩基度B1と非晶質のガラス成分の塩基度B2との塩基度差ΔBが、0.02≦ΔB≦1.33(好ましくは、0.02≦ΔB≦0.53)を満足すると共に、前記ガラス成分の塩基度B2は、0.11〜0.14であるので、無機酸化物とガラス成分との間で生じる過剰反応を阻止することができ、過剰反応に起因した基板割れが生じるのを回避することができる。
そして、このように過剰反応が生じることなく、セラミック層中のガラス成分と非ガラス質の無機酸化物とが界面で反応することから、所望の反応層を形成することができ、これにより接合強度の向上を図ることができる。
また、導電性ペースト中には、ガラス成分を意図的に添加せずに非ガラス質の無機酸化物を含有させているので、電極表面にガラス成分が浮き出すのを極力回避することができ、これにより良好なめっき付き性を確保することが可能となる。
また、前記無機酸化物の体積含有量は、前記導電性粉末100体積部に対し1.5〜30体積部(好ましくは1.5〜5体積部)であるので、導電性粉末を無機酸化物で被覆できない場合であっても、焼結を阻害することなく、所望の反応層を形成することが可能となる。
さらに、前記導電性ペーストにガラス成分を添加する場合は、前記ガラス成分の添加量は、前記無機酸化物に対し、体積比率で0.15〜0.40としているので、接合強度やめっき付き性を低下させることなく電極緻密性を向上させることが可能となる。
また、前記電極の厚みT1に対する前記反応層の厚みT2は、0.06〜0.78(好ましくは、0.06〜0.65)であるので、過剰反応により反応層の厚みT2が過度に厚くなるのを回避することができ、電極表面にガラス成分が浮き出るのを効果的に防止することができる。そしてこれにより、めっき付き性の劣化を招くことなく十分な接合強度を得ることが可能となる。
また、導電性粉末を前記無機酸化物で被覆するので、無機酸化物を電極中に効果的に分散させることができ、これにより焼成時におけるガラス成分と無機酸化物との濡れ性が向上し、反応層をより均一に生成させることが可能となる。
また、複数の前記セラミック層が積層されてセラミック素体を形成し、内部電極が前記セラミック素体に埋設されているので、セラミック層と電極との間の接合強度やめっき付き性が良好で、基板割れ等の生じることのない高品質の多層セラミック基板を得ることができる。
また、前記電極の表面にめっき皮膜が形成されているので、電極とセラミック層との接合強度が良好で、はんだ不濡れが抑制されためっき付き性の良好な各種セラミック電子部品を得ることができる。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は本発明に係るセラミック電子部品としての多層セラミック基板の一実施の形態を示す断面図であって、該多層セラミック基板は、複数のセラミック層(第1〜第5のセラミック層1a〜1e)が積層されてセラミック素体6を形成している。
セラミック素体6の表面には外部電極4(4a〜4c)が形成されると共に、該セラミック素体6の内部には所定パターンの内部電極3(3a〜3h)が埋設されており、ビアホール5(5a〜5k)を介して各内部電極間3、又は内部電極3と外部電極4とが電気的に接続されている。そして、本実施の形態では、第4のセラミック層1dを介して内部電極3gと内部電極3eとが対向状に配されてコンデンサ部を形成し、外部電極4c及び内部電極3h、3f、3d、3bはビアホール5k、5g、5e、5cを介して電気的に接続されインダクタ部を形成している。
また、外部電極4は、図2に示すように、表面電極7の表面にはNi−P皮膜等の第1のめっき皮膜9がめっき形成され、さらに第1のめっき皮膜9の表面にはAu皮膜等の第2のめっき皮膜10が形成されている。そして、表面電極7と第5のセラミック層1eとの間には反応層8が形成されている。
セラミック素体6(第1〜第5のセラミック層1a〜1e)は、非晶質のガラス成分を含有した低温焼結可能なLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics:低温同時焼成セラミック)で形成されている。
また、表面電極7は、Ag、Cu等の導電性粉末の他、前記ガラス成分の塩基度B2との差、すなわち塩基度差ΔBが下記数式(1)を満足するような塩基度B1を有する非ガラス質の無機酸化物を含有している。
0.02≦ΔB(=B1−B2)≦1.33 …(1)
導電性ペースト中に非ガラス質の無機酸化物を含有させることにより、焼成時に無機酸化物とセラミック材料に含まれるガラス成分とが反応し、反応層8を形成して表面電極7とセラミック層1eとの接合強度を向上させる可能である。
この反応層8の形成には、無機酸化物の塩基度B1とガラス成分の塩基度B2との塩基度差ΔBが深く関係する。
すなわち、ルイスの酸・塩基理論によると、酸とは電子対受容体と定義され、塩基とは電子対供与体と定義される。そして、供与される電子は酸素を過剰に有する電子を意味することから、塩基度Bは酸素供与能力を示す尺度と考えられる。
塩基度差ΔBが0.02未満になると、無機酸化物の酸素供与能力が低く、ガラス成分と無機酸化物との反応において、酸素が無機酸化物から非晶質のガラス成分に供与されるか、又は非晶質のガラス成分から無機酸化物に供与されるかによって無機酸化物がセラミック層を引き付ける力が変動し、所望の反応層8を形成するのが困難となる。
したがって、塩基度差ΔBが大きいほど反応層8は形成され易く、接合強度を向上させることができると考えられる。
しかしながら、塩基度差ΔBが1.33を超えて大きくなると、無機酸化物の酸素供与能力が過度に大きくなって無機酸化物のガラス成分を引き付ける力が増大し、その結果、無機酸化物とガラス成分とが過剰反応し、多層セラミック基板に割れや反りが発生するおそれがある。しかも、この過剰反応により表面電極7の表層面にガラス成分が浮き出してしまい、めっき付き性の低下を招くおそれがある。
これに対し塩基度差ΔBが0.02〜1.33の範囲にある場合は、酸素供与能力の大きな無機酸化物が表面電極7中に存在し、該無機酸化物が流動性を有する非晶質のガラス成分を引き付ける。そして、これによりガラス成分は界面に移動して反応層8を形成し、基板割れやめっき付き性不良を招くことなく接合強度を向上させることが可能となる。
そこで、本実施の形態では、無機酸化物の塩基度B1とガラス成分の塩基度B2との塩基度差ΔBが0.02〜1.33となるように制御している。また、より良好なめっき付き性を確保する観点からは、過剰反応をより一層抑制するのが望ましく、そのためには塩基度差ΔBは0.02〜0.53がより好ましい。
尚、無機酸化物及びガラス成分の塩基度Bは、以下のような方法で算出することができる。
無機酸化物MiOにおけるMi−O間の結合力は、数式(2)に示すように、陽イオンM+iと酸素イオンO2-との間の引力Aiで表わすことができる。
Ai=Zi・ZO/(ri+ro)2…(2)
ここで、Ziは陽イオンの価数、ZOは酸素イオンの価数、riは陽イオンのイオン半径(Å)、roは酸素イオンのイオン半径(Å)である。酸素イオンの価数ZOは2であり、酸素イオンのイオン半径roは1.4Åであるから、数式(2)は数式(3)に示すようになる。
Ai=2Zi/(ri+1.4)2…(3)
また、無機酸化物MiOの酸素供与能力Bi 0は、数式(4)に示すように、前記引力Aiの逆数で表わされる。
Bi 0=1/Ai …(4)
そして、数式(5)に示すように、CaOとSiO2の各酸素供与能力BSiO2 0、BCaO 0で無機酸化物MiOの酸素供与能力Bi 0を指標化し、これにより塩基度Biを求めることができる。
Bi=(Bi 0-BSiO2 0)/(BCaO 0-BSiO2 0) …(5)
したがって、導電性ペースト中に1種類の無機酸化物のみを含む場合は、当該無機酸化物の塩基度Biが、求める塩基度B(=B1)ということになる。
例えば、非ガラス質の無機酸化物としてTiO2を使用する場合は、Tiのイオン半径は0.68Å、価数は4であるから、Ti4+とO2-との間の引力Aiは、1.85(=2×4/(0.68+1.4)2)となり、酸素供与能力Bi 0は0.54(=1/1.85)となる。同様にSiのイオン半径は0.42Å、価数は4であるから、Si4+とO2-との間の引力ASiO2は、2.42(=2×4/(0.42+1.4)2)となり、酸素供与能力BSiO2 0は0.41(=1/2.42)となる。また、Caのイオン半径は0.99Å、価数は2であるから、Ca2+とO2-との間の引力ACaOは、0.70(=2×2/(0.99+1.4)2)となり、酸素供与能力B CaO 0 は1.43(=1/0.70)となる。そして、これらの数値を数式(5)に代入し、TiO2の塩基度Bi(=B1)を求めると、0.13(=(0.54−0.41)/(1.43−0.41))となる。
また、Ba―Al−Si系ガラス成分のように、複数種のガラス成分を含有する場合は、数式(6)で示すように、各ガラス成分の陽イオン分率niに塩基度Biを乗算したものの総和が塩基度B(=B2)となる。そして、ガラス成分の塩基度B2を0.11〜0.14の範囲とすることにより、塩基度差ΔBを上記数式(1)の範囲に容易に調整することができる。
B=Σni・Bi …(6)
また、本実施の形態では、表面電極7の電極厚みT2に対する反応層8の厚み、すなわち反応層比率T2/T1が0.06〜0.78とされている。
反応層比率T2/T1が0.06未満になると反応層8の厚みT2が薄いため、所望の接合強度を得るほどの反応層8を形成することができなくなる。一方、反応層比率T2/T1が0.78を超えると、表面電極7の厚みT1が薄くなり、このため第5のセラミック層1eから反応層8に移動したガラス成分が表面電極7の表層面に浮き出てしまい、めっき付き性の低下を招くおそれがある。
そこで、本実施の形態では、反応層比率T2/T1は0.06〜0.78、好ましくは0.06〜0.65に制御している。
尚、塩基度差ΔBを数式(1)の範囲とすることにより、反応層比率T2/T1は、上記範囲に制御することができる。
次に、上記多層セラミック基板の製造方法を説明する。
まず、表面電極用導電性ペーストを以下の方法で作製する。
すなわち、導電性粉末と非ガラス質の無機酸化物を用意する。ここで、導電性粉末としては、特に限定されるものではなく、例えばCu、Ni、Ag、Pd、Ptやこれらの合金を必要に応じて使用することができる。
また、非ガラス質の無機酸化物についても、使用するガラスセラミックの塩基度B2に対し塩基度差ΔBが0.02〜1.33、好ましくは0.02〜0.53となるような非ガラス質の無機酸化物を使用することができ、例えば、TiO2、ZrO2、Al2O3、MgO、BaO等を適宜使用することができる。
次に、前記導電性粉末を前記無機酸化物で被覆する。この被覆形成方法も特に限定されるものではなく、例えば、メカノケミカル法を使用して形成することができる。すなわち、導電性粉末及び無機酸化物を混合し、衝撃、剪断、ずり応力、摩擦などの機械的エネルギーを加え、局所的に生じる高い機械的エネルギーを利用し、導電性粉末と無機酸化物とを界面で強固に結合させ、これにより導電性粉末を無機酸化物で被覆することができる。
次いで、有機バインダと有機溶剤とを含有した有機ビヒクルを作製する。
ここで、有機バインダとしては、特に限定されるものではなく、例えば、エトセル樹脂、アルキド樹脂、エチルセルロース樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂等を使用することができる。また、有機溶剤としても、特に限定されるものではなく、例えば、ターピネオール、テトラリン、ブチルカルビトール等を使用することができる。また、有機バインダと有機溶剤の配合比率は、例えば、体積比率で1〜3:7〜9となるように調製される。
次いで、無機酸化物で被覆された導電性粉末と有機ビヒクルの比率が体積%で、例えば30:70となるように三本ロールミルを使用して混練・分散させ、これにより表面電極用導電性ペーストを作製する。
このように導電性粉末を無機酸化物で被覆することにより、無機酸化物を導電性ペースト中に効果的に分散させることができ、これにより焼成時にガラスセラミック中のガラス成分と無機酸化物との濡れ性が向上し、反応層8をより均一に生成させることが可能となる。
次に、ガラス成分を含有した複数枚のLTCC用セラミックグリーンシートを用意する。ここで、ガラス成分としては、表面電極用導電性ペーストに含有される非ガラス質の無機酸化物と焼成処理中に過剰反応を生じないものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、Ba−Al−Si系等を使用することができる。
次いで、このセラミックグリーンシートの所定箇所に必要に応じてビアホールを形成する。次いで、別途作製した内部電極用導電性ペーストを使用し、第1〜第4のセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷して内部電極用導電膜を形成し、さらに表面電極用導電性ペーストを使用し、第5のセラミックグリーンシートの表面に表面電極用導電膜を形成し、その後第1〜第5のセラミックグリーンシートを積層し、圧着し、表面電極用導電膜が形成された積層成形体を作製する。
次いで、例えば、N2−H2−H2Oガスで雰囲気調整された焼成炉内で、最高温度950〜1050℃でもって前記積層成形体を2〜3時間焼成し、これによりセラミックグリーンシートと導電膜とを同時焼成し、表面電極7が形成されたセラミック素体6を作製する。そしてこの焼成時に積層成形体に含まれるガラス成分と最上層の導電膜に含まれる非ガラス質の無機酸化物とが反応し、反応層比率T2/T1が0.06〜0.78、好ましくは0.06〜0.65に制御された反応層8が、セラミック素体6(第5のセラミック層1e)と表面電極7との間に形成される。
そしてこの後、無電解めっき法等を使用して表面電極7上にNi−P皮膜等の第1のめっき皮膜9及びAu皮膜等の第2のめっき皮膜10を順次形成し、これにより多層セラミック基板が作製される。
このように本実施の形態では、塩基度差ΔBが、0.02≦ΔB≦1.33(好ましくは、0.02≦ΔB≦0.53)とされているので、無機酸化物とガラス成分との間で生じる過剰反応を阻止することができ、過剰反応に起因した基板割れが生じるのを回避することができる。
そして、このように過剰反応が生じることなく、第5のセラミック層1e中のガラス成分と非ガラス質の無機酸化物が界面で反応することから、所望の反応層8を形成することができ、これにより接合強度の向上を図ることができる。
また、導電性ペースト中には、ガラス成分を意図的に添加せずに非ガラス質の無機酸化物を含有させているので、表面電極7の表面にガラス成分が浮き出すのを極力回避することができ、これにより良好なめっき付き性を確保することが可能となる。
また、反応層比率T2/T1が、0.06〜0.78(好ましくは、0.06〜0.65)であるので、過剰反応が阻止されて反応層8の厚みT2が過度に厚くなるのを回避することができ、表面電極7の表面にガラス成分が浮き出るのを効果的に防止することができる。そしてこれにより、めっき付き性の劣化を招くことなく十分な接合強度を有する多層セラミック基板を得ることができる。
また、導電性粉末を無機酸化物で被覆するので、無機酸化物を電極中に効果的に分散させることができ、これにより焼成時におけるガラス成分と無機酸化物との濡れ性が向上し、反応層8をより均一に生成させることが可能となる。
このように本実施の形態では、第5のセラミック層1eと表面電極7との間の接合強度やめっき付き性が良好で、基板割れ等の生じることのない高品質の多層セラミック基板を得ることができる。
ところで、上記実施の形態では、表面電極7を緻密に焼結させるために、第5のセラミック層1eからのガラス成分の供給が必要となる。そして、表面電極7と第5のセラミック層1eとの間では、通常は反応層8が形成されることから、表面電極7にはガラス成分が供給されると考えられる。
しかるに、図1の外部電極4aのように、外部電極4aの直下にビアホール5hが形成されているような場合は、ビアホール5hと表面電極7とが電気的に接続されることから、反応層8は形成されることはない。したがって、この場合、第5のセラミック層1eから表面電極7側にはガラス成分が供給されなくなり、このため表面電極7の緻密性低下を招くおそれがある。
したがって、このような事態が生じるのを回避すべく、ガラス成分が電極表面に浮き上がらない程度に導電性ペーストにガラス成分を添加するのも好ましい。このように導電性ペーストにガラス成分を添加する場合、ガラス成分の添加量は、無機酸化物に対し、体積比率で0.15〜0.40が好ましい。ガラス成分の添加量が、無機酸化物に対し、体積比率で0.15未満になると、ガラス成分の添加効果を発揮することができず、十分な電極緻密性向上を図ることができない。一方、ガラス成分の添加量が、無機酸化物に対し、体積比率で0.40を超えると、ガラス成分の添加量が過剰となって電極にガラス成分が浮き上がってしまい、めっき付き性低下を招くおそれがある。
このようなガラス成分としては、特に限定されるものではないが、軟化点が焼成最高温度に対して−250〜−100℃の範囲(例えば、焼成最高温度980℃の場合、730〜880℃)を有するガラス成分が好ましく、例えば、Si−B−Al系等を使用することができる。軟化点が過度に低いと、電極表面にガラスが浮き上がり易くなってめっき付き性が低下するおそれがある。一方、軟化点が過度に高いと、焼成中にガラスが軟化しないことから、電極膜内にガラス成分が残存し、却って電極緻密化の低下を招くおそれがある。
また、このような導電性ペーストは、無機酸化物で被覆された導電性粉末に所定量のガラス成分を添加し、有機ビヒクル中で混練・分散させることにより容易に作製することができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、導電性粉末を無機酸化物で被覆しているが、無機酸化物を導電性粉末及び有機ビヒクル中に添加してもよい。ただし、この場合は、前記導電性粉末100体積部に対し1.5〜30体積部が好ましい。
すなわち、無機酸化物の体積含有量が、導電性粉末100体積部に対し、1.5体積部未満になると、無機酸化物の体積含有量が少なすぎて、ガラス成分との反応が促進されず十分な反応層8を形成することができない。一方、無機酸化物の体積含有量が導電性粉末100体積部に対し、30体積部を超えると無機酸化物の体積含有量が過剰となって焼結性の低下を招くおそれがある。
さらに、この場合、めっき付き性を考慮すると、導電性粉末100体積部に対し1.5〜5体積部が好ましい。無機酸化物の体積含有量が多くなると、ガラス成分と反応しやすくなって、ガラス成分が表面電極7の表面に移動し易くなり、実用的には殆ど影響がないものの、めっき付き性が若干低下するおそれがあるからである。
また、導電性ペースト中にガラス成分を添加する場合も、無機酸化物及びガラス成分を導電性粉末に添加し、有機ビヒクル中で混練・分散させて導電性ペーストを作製してもよい。
また、塩基度Bの算出方法も上記実施の形態に限定されるものではない。すなわち、本発明では、無機酸化物とガラス成分の両者の塩基度差ΔBが重要なのであり、塩基度Bの算出方法によって特性が影響されるものではない。
また、焼成条件によって焼成時に発生するガラス成分が変化する場合は、予めガラス成分の塩基度B2を測定しておき、該塩基度B2に応じた塩基度B1を有する非ガラス質の無機酸化物を添加して両者の塩基度差ΔBを制御することにより、常に所望の反応層8を得ることが可能となる。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
〔導電性ペーストの作製〕
まず、平均粒径1.8μmのCu粒子と無機酸化物としてのSiO2、TiO2、ZrO2、Al2O3を用意し、Cu粒子100体積部に所定割合の無機酸化物を混合し、メカノケミカル法でCu粒子を無機酸化物で被覆し、試料番号B〜FのCu粉末を作製した。
次に、重量平均分子量が5×104のエトセル樹脂、重量平均分子量が8×103のアルキド樹脂、及び有機溶剤としてのターピネオールを用意し、エトセル樹脂、アルキド樹脂、及びターピネオールの配合割合が体積比率で15:5:80となるようにエトセル樹脂及びアルキド樹脂をターピネオール中に溶解させ、これにより有機ビヒクルを作製した。
次に、試料番号B〜FのCu粉末と有機ビヒクルの配合割合が体積比率で30:70となるように調合し、三本ロールミルで混練し分散させ、これにより試料番号B〜Fの導電性ペーストを作製した。
また、平均粒径1.8μmのCu粒子と無機酸化物としてのAl2O3、MgO、BaO、Na2Oを用意し、Cu粒子100体積部に対し所定割合となるように無機酸化物を添加して有機ビヒクル中で混練・分散させ、これにより試料番号G〜Kの導電性ペーストを作製した。
また、〔発明を実施するための形態〕の項で述べた方法で、各試料番号B〜Kの塩基度B1を求めた。
表1は、試料番号B〜Kの各試料について、Cu粒子100体積部に対する無機酸化物の体積部、及び無機酸化物の塩基度B1を示している。尚、試料番号Aは無機酸化物を含まないCu粒子単独の試料を示している。
〔評価試料の作製〕
ガラス成分としてのBaCO3、SiO2、及びAl2O3の含有量総計が97重量%のセラミックグリーンシート(試料番号α)、及びガラス成分としてのBaCO3、SiO2、及びAl2O3の含有量総計が93重量%のセラミックグリーンシート(試料番号β)をそれぞれ用意した。
次に、図3に示すような評価試料を作製した。
すなわち、試料番号α及びβのセラミックグリーンシートを、横X:13mm、縦Y:13mm、厚みZ:1mmに切断し、前記導電性ペーストを使用し、セラミックグリーンシートの表面中央部に横xが2mm、縦yが2mmの導電膜が形成されるようにスクリーン印刷した。次いで、N2−H2−H2Oガスで雰囲気調整した焼成炉で、最高温度980〜1000℃で約2時間焼成し、焼結体を得た。次いで、この焼結体にNi−Pめっき及びAuめっきを行なって導電部を被覆し、LTCC基板11上に電極12が形成された試料番号1〜22の評価試料を作製した。
次いで、試料番号α、βの各LTCC基板11を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、非晶質部分を確認した。そして試料番号α、βの各塩基度B2を算出したところ、試料番号αが0.11、試料番号βが0.14であった。
各評価試料について、接合強度、めっき付き性、基板割れ、反応層比率を測定し、評価した。
ここで、接合強度は、島津製作所社製オートグラフAGS−50Cを使用し、以下のようにして測定した。すなわち、電極12上にリード線13をはんだ付けし、20mm/分の速度でリード線13を矢印Fで示す上方向に引っ張り、外部電極13がLTCC基板11から剥がれた時点の引張強度を測定し、この引張強度を接合強度とした。
また、めっき付き性の評価は、リード線13を電極12にはんだ付けした直後の当該外部電極を観察して行った。はんだ不濡れが生じなかった試料を優(◎)はんだの不濡れ面積が20%以下の試料を良(○)、はんだ不濡れが面積比で20%を超えている場合、又は接合強度測定時の剥離面がAu皮膜とはんだの界面で生じた試料を不良(×)と判断した。
また、基板割れは、焼成後のLTCC基板11を観察し、電極12に起因する割れが生じていないと認められた試料を良(○)、割れが生じていると認められた試料を不良(×)とした。
反応層比率T2/T1は、以下のようにして算出した。
すなわち、試料番号1〜22の各試料を断面研磨した後、電極12とLTCC基板11の界面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、WDX(波長分散型X線分光)法を使用して電極厚みT1、及び反応層厚みT2を観察し、電極厚みT1に対する反応層厚みT2、すなわち反応層比率T2/T1を算出した。
表2は試料番号1〜22の各試料で使用した無機酸化物、LTCC基板、及び各測定結果を示している。
試料番号1、12は、電極12に無機酸化物を含有していない試料であり、この試料を評価基準とした。
試料番号2は、塩基度差ΔBが−0.11であるため、試料番号1よりも接合強度が低下した。これは試料番号2では無機酸化物よりもガラス成分の方が酸素供与能力が大きく、無機酸化物がLTCC基板11中のガラス成分に引き付けられて反応層を形成することができず、このため接合強度の低下を招いたものと思われる。
試料番号13も、塩基度差ΔBが−0.14であり、試料番号2と同様の理由から試料番号12に比べ接合強度が低下した。
試料番号14は、塩基度差ΔBが−0.02であり、この場合も無機酸化物の酸素供与能力が低く、反応層が形成されたものの反応層比率T2/T1は0.038と低く、接合強度を向上させることはできなかった。
尚、試料番号2、13、14では、塩基度ΔBが負値となったが、接合強度に大差がなく、この点からも効果的な反応層を形成できなかったことが分かった。
試料番号11、22は、基板割れが生じ、特性を測定することができなかった。これは塩基度差ΔBがそれぞれ2.52、2.49と大きく、無機酸化物がガラス成分を強く引き付けて過剰反応を起こしたものと思われる。
これに対し、試料番号3〜10、15〜21は、塩基度差ΔBが0.02〜1.33と本発明範囲内であるので、試料番号1、12に比べて高い接合強度を得ることができ、基板割れは生じず、めっき付き性も良好な結果が得られた。これはLTCC基板11に含有されるガラス成分よりも酸素供与能力の大きな無機酸化物が電極12中に存在しており、流動性のあるガラス成分が、酸素供与能力の高い無機酸化物に引き付けられて移動することで、反応層比率T2/T1が0.068〜0.777の反応層を形成することができ、これにより高い接合強度が得られたものと考えられる。
尚、試料番号8、19は、無機酸化物の含有量が、Cu粒子100体積部に対し、30体積部と多いため、無機酸化物が電極12中に占める割合が大きくなり、このため電極12の表層面へのガラス成分の浮き出しが若干認められ、実用的には殆ど影響がないものの、めっき付き性に若干劣ることが分かった。
また、試料番号10、21は、無機酸化物がガラス成分を引き付ける力が比較的大きいことから、ガラス成分と無機酸化物とが反応しやすく、このため電極12の表層面にガラス成分が移動しやすくなって浮き出し易くなり、実用的には殆ど影響がないものの、めっき付き性に若干劣ることが分かった。
図4は、本実施例における塩基度ΔBと接合強度との関係を示す図である。
この図4から明らかなように、塩基度差ΔBが負値となった試料番号2、13、14は、電極12中に無機酸化物を含んでいない試料番号1、11に比べて接合強度が低下していることが分かる。
これに対し塩基度ΔBが正値となった本発明試料は、電極12中に無機酸化物を含んでいない試料番号1、11に比べ、いずれも接合強度が向上し、しかも塩基度差ΔBが本発明範囲内であれば、塩基度差ΔBが大きくなるほど、接合強度も大きくなることが分かる。
実施例1で作製した試料番号FのCu粉末(Cu粒子の表面がAl2O3で被覆されたCu粉末)、有機ビヒクル、及びSiO2、B2O3、及びAl2O3を含有したSi−B−Al系ガラス成分を用意した。
次いで、ガラス成分の添加量が、Cu粒子100体積部に対し、表3に示すような割合となるように、Cu粉末にガラス成分を添加し、有機ビヒクル中で混練・分散させ、これにより試料番号31〜36の導電性ペーストを作製した。
また、試料番号FのCu粉末に代えて、無機酸化物を含まない試料番号AのCu粒子を使用し、ガラス成分の添加量が、Cu粒子100体積部に対し11.80体積部となるようにCu粒子にガラス成分を添加し、有機ビヒクル中で混練・分散させ、これにより試料番号37の導電性ペーストを作製した。
そしてその後は、実施例1と同様の方法・手順で試料番号βのセラミックグリーンシートを使用し、ビアホール上に電極を形成した試料番号31〜37の評価試料を作製した。
次いで、試料番号31〜37の各試料について、実施例1と同様の方法・手順で接合強度を測定し、めっき付き性を評価した。
次いで、試料番号31〜37の各試料について、はんだのボイド発生率を測定し、電極緻密性を評価した。すなわち、ビアホール上に電極が形成されている場合、はんだのボイド発生率は、電極の緻密化に伴い低下することから、該ボイド発生率を測定し、電極緻密性を評価した。また、比較例として試料番号17についてもボイド発生率を測定し、電極緻密性を評価した。
具体的には、電極上にSn−Ag−Cu系のはんだボールを載置し、170〜300℃に温度調整したリフロー炉を通過させてはんだを溶解させた。次いで、各試料を冷却した後、マイクロフォーカスX線装置を使用してはんだボール内のボイド発生の有無を観察した。
ここで、ボイドの発生は、はんだボールの面積に対するボイドの面積が1/2以上であると観察された場合にボイドが発生していると判断した。そして、斯かるボイド発生率が10%未満の試料を優(◎)、10〜50%の試料を良(○)、50%を超えている試料を不可(×)として電極緻密性を評価した。
表3は試料番号17、及び試料番号31〜37の導電性ペーストの仕様、接合強度の測定結果、及び各評価結果を示している。
尚、表3では、無機酸化物(Al2O3)のCu粒子100体積部に対する被覆量(体積部)をV1、ガラス成分のCu粒子100体積部に対する添加量(体積部)をV2とし、体積比率V2/V1を記載している。
試料番号37は、ガラス成分を大量に含有しているため電極緻密性は高いが、無機酸化物を含有していないため、接合強度が12.0Nと低く、また電極表面にガラス成分が浮き上がり、このためめっき付き性が低下した。
試料番号32〜35は、体積比率V2/V1が0.15〜0.40であり、導電性ペースト中には適度のガラス成分が添加されているので、ガラス成分を含まない試料番号17に比べ電極緻密性が向上した。
また、試料番号31は、導電性ペースト中にはガラス成分が添加されているが、その添加量が少なく、体積比率V2/V1が0.11と小さいため、ガラス成分の添加効果を十分に発揮できないことが分かった。
一方、試料番号36は、ガラス成分の添加量が多く、体積比率V1/V2が0.50と大きいため、電極表面にガラスが浮き上がり、電極緻密性が低下すると共に、めっき付き性や接合強度も低下傾向にあることが分かった。
以上より、導電性ペースト中にガラス成分を添加する場合は、ガラス成分の添加量は、無機酸化物に対し、体積比率で0.15〜0.40が好ましいことが確認された。