JP2007154114A - 生分解性ポリエステル組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 生分解性ポリエステル組成物の透明性、熱安定性、柔軟性などを改善する。
【解決手段】 分子量1万〜10万の生分解性ポリエステルに、付加モル数が10〜30であるロジンのアルキレンオキシド付加物を可塑剤として配合する生分解性ポリエステル組成物である。アルキレンオキシド類の付加モル数を特定以上の範囲とした可塑剤を特定範囲の低分子量の生分解性ポリエステルに配合するため、当該ポリエステルへの可塑剤の相溶性が良くなり、得られる樹脂組成物は透明性、熱安定性、並びに柔軟性に優れる。当該生分解性ポリエステルには特にポリ乳酸が好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 分子量1万〜10万の生分解性ポリエステルに、付加モル数が10〜30であるロジンのアルキレンオキシド付加物を可塑剤として配合する生分解性ポリエステル組成物である。アルキレンオキシド類の付加モル数を特定以上の範囲とした可塑剤を特定範囲の低分子量の生分解性ポリエステルに配合するため、当該ポリエステルへの可塑剤の相溶性が良くなり、得られる樹脂組成物は透明性、熱安定性、並びに柔軟性に優れる。当該生分解性ポリエステルには特にポリ乳酸が好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は生分解性ポリエステル組成物、特にポリ乳酸組成物に関して、透明性、熱安定性並びに柔軟性に優れるものを提供する。
一般に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等は、柔軟性、耐水性に優れるためにゴミ袋、包装袋などに使用される反面、生分解性を持たないため、半永久的に土壌に残留し、環境への負荷が大きい。
一方、ポリ乳酸は生物に対して無害で、優れた生分解性を具備するとともに、融点が約150℃であって充分な耐熱性を有し、比較的安価な熱可塑性樹脂であるため、環境保全に資する、実用的なポリマーとして期待も大きい。
一方、ポリ乳酸は生物に対して無害で、優れた生分解性を具備するとともに、融点が約150℃であって充分な耐熱性を有し、比較的安価な熱可塑性樹脂であるため、環境保全に資する、実用的なポリマーとして期待も大きい。
ポリ乳酸組成物の従来技術を挙げると、次の通りである。
(1)特許文献1
可塑剤や粘着性付与剤のブリードアウトがなく、透明性、柔軟性などを確保しながら、ポリ乳酸に粘着性を付与するため(段落8〜10、段落110参照)、ポリ乳酸100重量部と、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ロジン誘導体、及びテルペン系樹脂からなる粘着性付与剤1〜100重量部とを混合してなる粘着性を有するポリ乳酸組成物が開示されている(請求項1参照)。
ポリ乳酸の分子量は約1万〜約100万程度の範囲が好ましく、より好ましくは10万〜30万であること(段落28参照)、ポリ乳酸を軟質化する可塑剤には、脂肪族多価カルボン酸エステル、脂肪族多価アルコールエステル、オキシ酸エステルなどが使用できること(段落29参照)が記載されている。また、上記粘着付与剤樹脂にはロジン系樹脂、テルペン系樹脂などが記載されている(段落33、38参照)。
さらに、実施例で使用するポリ乳酸の分子量は13.6万(製造例1)、14.5万(製造例2)、15.0万(製造例3)などであり、同様に、使用するロジン系樹脂は不均化ロジン、水添ロジンである(段落104参照)。
(1)特許文献1
可塑剤や粘着性付与剤のブリードアウトがなく、透明性、柔軟性などを確保しながら、ポリ乳酸に粘着性を付与するため(段落8〜10、段落110参照)、ポリ乳酸100重量部と、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ロジン誘導体、及びテルペン系樹脂からなる粘着性付与剤1〜100重量部とを混合してなる粘着性を有するポリ乳酸組成物が開示されている(請求項1参照)。
ポリ乳酸の分子量は約1万〜約100万程度の範囲が好ましく、より好ましくは10万〜30万であること(段落28参照)、ポリ乳酸を軟質化する可塑剤には、脂肪族多価カルボン酸エステル、脂肪族多価アルコールエステル、オキシ酸エステルなどが使用できること(段落29参照)が記載されている。また、上記粘着付与剤樹脂にはロジン系樹脂、テルペン系樹脂などが記載されている(段落33、38参照)。
さらに、実施例で使用するポリ乳酸の分子量は13.6万(製造例1)、14.5万(製造例2)、15.0万(製造例3)などであり、同様に、使用するロジン系樹脂は不均化ロジン、水添ロジンである(段落104参照)。
(2)特許文献2
透明性、密着性を損なわずに、耐ブロッキング性を具備させる目的で(段落9〜10参照)、乳酸残基、乳酸残基のうちのL−乳酸残基とD−乳酸残基のモル比(L/D)、還元粘度を特定化した生分解性ポリエステル(ポリ乳酸)(A)100質量部に対して、ロジン化合物(B)を0.1〜50質量部の割合で配合する生分解性ポリエステル組成物が開示されている(請求項1参照)。
ポリ乳酸のガラス転移温度(Tg)は50℃付近であり、ブロッキングし易いこと(段落6参照)、ロジン化合物には、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、ロジン変性フェノール、マレイン化ロジン、ロジンのエステルガム、硬化ロジン、およびロジンのエステル化物、グリシジルエステル化物、エチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物、ロジン含有ジオール、部分金属塩化ジオールなどを使用できること(段落18参照)が記載されている。
また、実施例ではロジン化合物としてロジンエステル、酸変性ロジンを使用している(段落44〜45参照)。
透明性、密着性を損なわずに、耐ブロッキング性を具備させる目的で(段落9〜10参照)、乳酸残基、乳酸残基のうちのL−乳酸残基とD−乳酸残基のモル比(L/D)、還元粘度を特定化した生分解性ポリエステル(ポリ乳酸)(A)100質量部に対して、ロジン化合物(B)を0.1〜50質量部の割合で配合する生分解性ポリエステル組成物が開示されている(請求項1参照)。
ポリ乳酸のガラス転移温度(Tg)は50℃付近であり、ブロッキングし易いこと(段落6参照)、ロジン化合物には、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、ロジン変性フェノール、マレイン化ロジン、ロジンのエステルガム、硬化ロジン、およびロジンのエステル化物、グリシジルエステル化物、エチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物、ロジン含有ジオール、部分金属塩化ジオールなどを使用できること(段落18参照)が記載されている。
また、実施例ではロジン化合物としてロジンエステル、酸変性ロジンを使用している(段落44〜45参照)。
(3)特許文献3
透明性を確保しながら、可塑剤の添加で柔軟性を付与する目的で(段落4〜6、段落9参照)、非塩素系樹脂用可塑剤として、ロジンのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールエステル(末端はアルキル基などで封鎖したエーテルでもよい)の付加物を使用した非塩素系樹脂組成物が開示されている(請求項5〜8参照)。
ロジンに付加したアルキレンオキサイド単位(n+n′)は1〜7モルであること(段落18)、可塑剤の使用量は樹脂100重量部に対して1〜300重量部、好ましくは5〜150重量部、より好ましくは10〜100重量部であることが記載されている(段落35参照)。
非塩素系樹脂としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアセタール樹脂などが挙げられ、ポリエステル、特にポリ乳酸が好ましいことが記載されている(段落25、段落32〜33参照)。
同文献3の評価例で使用するポリ乳酸の重量平均分子量は14万、融点は133℃であり(段落50参照)、ロジン系樹脂へのアルキレンオキシドなどの付加モル数は実施例で1.1〜3モル程度、比較例で8モルであり(段落41〜49参照)、比較評価例での乳酸樹脂100重量部に対する配合量は30重量部である(比較評価例2では相溶せずの判定)。
透明性を確保しながら、可塑剤の添加で柔軟性を付与する目的で(段落4〜6、段落9参照)、非塩素系樹脂用可塑剤として、ロジンのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールエステル(末端はアルキル基などで封鎖したエーテルでもよい)の付加物を使用した非塩素系樹脂組成物が開示されている(請求項5〜8参照)。
ロジンに付加したアルキレンオキサイド単位(n+n′)は1〜7モルであること(段落18)、可塑剤の使用量は樹脂100重量部に対して1〜300重量部、好ましくは5〜150重量部、より好ましくは10〜100重量部であることが記載されている(段落35参照)。
非塩素系樹脂としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアセタール樹脂などが挙げられ、ポリエステル、特にポリ乳酸が好ましいことが記載されている(段落25、段落32〜33参照)。
同文献3の評価例で使用するポリ乳酸の重量平均分子量は14万、融点は133℃であり(段落50参照)、ロジン系樹脂へのアルキレンオキシドなどの付加モル数は実施例で1.1〜3モル程度、比較例で8モルであり(段落41〜49参照)、比較評価例での乳酸樹脂100重量部に対する配合量は30重量部である(比較評価例2では相溶せずの判定)。
(4)特許文献4
相溶性を確保しながら、柔軟性、粘着性、密着性を改善する目的で(段落1、6)、ポリ乳酸などの生分解性樹脂100重量部に対してロジン化合物を3〜80重量部の割合で配合した生分解性樹脂(特にポリ乳酸)組成物が開示されている(請求項1、段落7参照)。
ロジン化合物には、ロジン又はその誘導体、それらの金属塩、ロジン又はロジン誘導体とアルキレンオキサイド又はその誘導体との反応物が挙げられる(段落9参照)。
また、活性水素を有するロジン又はその誘導体と反応させるアルキレンオキサイドはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドである。アルキレンオキサイドの付加モル数は通常、活性水素あたり100モル以下である(段落9参照)。
実施例では、ポリ乳酸(三井化学製のLACEA H−280及びH−100)に、不均化ロジンのエチレンオキサイド付加物(DRA1500)、プロピレンオキサイド付加物、又はグリセリン付加物、水添ロジンのポリエチレングリコール(PEG400)エステル付加物などを配合している(段落19参照)。
相溶性を確保しながら、柔軟性、粘着性、密着性を改善する目的で(段落1、6)、ポリ乳酸などの生分解性樹脂100重量部に対してロジン化合物を3〜80重量部の割合で配合した生分解性樹脂(特にポリ乳酸)組成物が開示されている(請求項1、段落7参照)。
ロジン化合物には、ロジン又はその誘導体、それらの金属塩、ロジン又はロジン誘導体とアルキレンオキサイド又はその誘導体との反応物が挙げられる(段落9参照)。
また、活性水素を有するロジン又はその誘導体と反応させるアルキレンオキサイドはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドである。アルキレンオキサイドの付加モル数は通常、活性水素あたり100モル以下である(段落9参照)。
実施例では、ポリ乳酸(三井化学製のLACEA H−280及びH−100)に、不均化ロジンのエチレンオキサイド付加物(DRA1500)、プロピレンオキサイド付加物、又はグリセリン付加物、水添ロジンのポリエチレングリコール(PEG400)エステル付加物などを配合している(段落19参照)。
ポリ乳酸組成物においては、柔軟性や耐衝撃性に劣るため、充分な実用性を具備されることは容易でない。当該組成物に良好な柔軟性を付与しようとすれば、ポリ乳酸に対して相当量の可塑剤を配合しなければならず、ほとんどの可塑剤はブリードアウトしたり、ブロッキングが発生する弊害がある。
上記特許文献1のロジン誘導体などを配合したポリ乳酸組成物では、粘着付与性を主眼としており、可塑効果については触れられていない。
上記特許文献2〜4のポリ乳酸組成物にあっても、ポリ乳酸との相溶性が悪く、分離が見られたり、透明性や柔軟性が不足する問題がある(後述の試験例参照)。
本発明は、環境保全性を維持しながら、ポリ乳酸組成物の透明性、熱安定性、柔軟性などを改善することを技術的課題とする。
上記特許文献1のロジン誘導体などを配合したポリ乳酸組成物では、粘着付与性を主眼としており、可塑効果については触れられていない。
上記特許文献2〜4のポリ乳酸組成物にあっても、ポリ乳酸との相溶性が悪く、分離が見られたり、透明性や柔軟性が不足する問題がある(後述の試験例参照)。
本発明は、環境保全性を維持しながら、ポリ乳酸組成物の透明性、熱安定性、柔軟性などを改善することを技術的課題とする。
ポリ乳酸にロジン誘導体を可塑剤として配合する場合、上記特許文献3のように、分子量14万程度のポリ乳酸にロジンのエチレンオキシド付加物(付加モル数7以下)を適用すると、相溶性が低くてブリードアウトの恐れもある。
これに対して、本発明者らは、エチレンオキシドの付加モル数を特定以上の範囲に増し、且つ、ポリ乳酸の分子量を特定以下の範囲に低減すると、両者の相溶性が改善されてポリ乳酸組成物の透明性、熱安定性、柔軟性が改善されること、また、上記付加モル数や分子量を特定化してもポリ乳酸組成物自体の生分解性は良好に保持されることなどを見い出して、本発明を完成した。
これに対して、本発明者らは、エチレンオキシドの付加モル数を特定以上の範囲に増し、且つ、ポリ乳酸の分子量を特定以下の範囲に低減すると、両者の相溶性が改善されてポリ乳酸組成物の透明性、熱安定性、柔軟性が改善されること、また、上記付加モル数や分子量を特定化してもポリ乳酸組成物自体の生分解性は良好に保持されることなどを見い出して、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、生分解性ポリエステルに可塑剤を配合してなる生分解性ポリエステル組成物において、
上記可塑剤が下記の一般式(1)で表されるロジンのアルキレンオキシド付加物であり、
Ro−CO−O−(AO)n−H …(1)
(式(1)中、Roはロジン残基、AOは置換又は無置換のC2〜C4アルキレンオキシド、nは10〜30の整数を表す)
上記生分解性ポリエステルの重量平均分子量が1万〜10万であることを特徴とする生分解性ポリエステル組成物である。
上記可塑剤が下記の一般式(1)で表されるロジンのアルキレンオキシド付加物であり、
Ro−CO−O−(AO)n−H …(1)
(式(1)中、Roはロジン残基、AOは置換又は無置換のC2〜C4アルキレンオキシド、nは10〜30の整数を表す)
上記生分解性ポリエステルの重量平均分子量が1万〜10万であることを特徴とする生分解性ポリエステル組成物である。
本発明2は、上記本発明1において、生分解性ポリエステル100重量部に対して、ロジンのアルキレンオキシド付加物の配合量が1〜100重量部であることを特徴とする請求項1に記載の生分解性ポリエステル組成物である。
本発明3は、上記本発明1又は2において、生分解性ポリエステルがポリ乳酸であることを特徴とするポリ乳酸組成物である。
以下、生分解性ポリエステルをポリ乳酸に代表させて説明する。
従来では、ポリ乳酸にロジン誘導体を含有した場合、透明性や可塑化効果に問題があっが、本発明では、アルキレンオキシド類の付加モル数を特定以上の範囲としたロジンのアルキレンオキシド付加物を可塑剤として使用し、且つ、特定の低分子量のポリ乳酸に配合するため、当該分子量の要件を満たす様々な種類のポリ乳酸と可塑剤との相溶性が改善され、得られたポリ乳酸組成物は透明性、熱安定性、並びに柔軟性に優れる。
しかも、ポリ乳酸は生分解性であるうえ、ロジンのアルキレンオキシド付加物は天然物由来の素材(バイオマス)であるため、本発明のポリ乳酸組成物は環境への負荷もなく、幅広い分野への応用が期待できる。
従来では、ポリ乳酸にロジン誘導体を含有した場合、透明性や可塑化効果に問題があっが、本発明では、アルキレンオキシド類の付加モル数を特定以上の範囲としたロジンのアルキレンオキシド付加物を可塑剤として使用し、且つ、特定の低分子量のポリ乳酸に配合するため、当該分子量の要件を満たす様々な種類のポリ乳酸と可塑剤との相溶性が改善され、得られたポリ乳酸組成物は透明性、熱安定性、並びに柔軟性に優れる。
しかも、ポリ乳酸は生分解性であるうえ、ロジンのアルキレンオキシド付加物は天然物由来の素材(バイオマス)であるため、本発明のポリ乳酸組成物は環境への負荷もなく、幅広い分野への応用が期待できる。
本発明は、アルキレンオキシドの付加モル数が特定以上の範囲にあるロジンのアルキレンオキシド付加物を可塑剤として、特定の低分子量の生分解性ポリエステルに配合した生分解性ポリエステル組成物である。
上記生分解性ポリエステルの代表例はポリ乳酸である。
上記生分解性ポリエステルの代表例はポリ乳酸である。
上記ロジンのアルキレンオキシド付加物は、ロジン系樹脂が有するカルボキシル基にアルキレンオキシド類などが脱水を伴って付加したものであり、上記一般式(1)で表記される。
上述の通り、Roはロジン残基、即ち、アビエチン酸骨格で代表されるロジン類由来の炭化水素基であり、RCOOはロジン骨格に由来するカルボキシル基までを含めたロジン残基の全体を意味する。
上記ロジン系樹脂はロジン類及び各種ロジン誘導体をいう。
ロジン類は、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、或いはデヒドロアビエチン酸などの樹脂酸を主成分とするトール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジンなどの未変性ロジンを初め、不均化ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、或いはその他の化学的に修飾されたロジンなどをいう。
また、上記ロジン誘導体は、ロジンエステル類、不飽和カルボン酸変性ロジン類、不飽和カルボン酸変性ロジンエステル類、ホルマリン変性ロジン類、フェノール変性ロジン類などをいう。
上記付加反応では、前述の通り、基本的にアルキレンオキシド類がロジン分子内のカルボキシル基に脱水を伴って付加するため、反応で残酸価が低下しているロジンエステル類より、ロジン類や不飽和カルボン酸変性ロジンなどが適している。
上述の通り、Roはロジン残基、即ち、アビエチン酸骨格で代表されるロジン類由来の炭化水素基であり、RCOOはロジン骨格に由来するカルボキシル基までを含めたロジン残基の全体を意味する。
上記ロジン系樹脂はロジン類及び各種ロジン誘導体をいう。
ロジン類は、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、或いはデヒドロアビエチン酸などの樹脂酸を主成分とするトール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジンなどの未変性ロジンを初め、不均化ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、或いはその他の化学的に修飾されたロジンなどをいう。
また、上記ロジン誘導体は、ロジンエステル類、不飽和カルボン酸変性ロジン類、不飽和カルボン酸変性ロジンエステル類、ホルマリン変性ロジン類、フェノール変性ロジン類などをいう。
上記付加反応では、前述の通り、基本的にアルキレンオキシド類がロジン分子内のカルボキシル基に脱水を伴って付加するため、反応で残酸価が低下しているロジンエステル類より、ロジン類や不飽和カルボン酸変性ロジンなどが適している。
上記ロジンエステル類は、ロジン類とアルコール類を公知のエステル化法により反応させたものをいう。エステル化反応は、不活性ガスの雰囲気下でロジン系樹脂とアルコールを200℃〜300℃に加熱し、生成した水を系外に除去することにより実施される。
ロジン類に対するアルコールの混合過剰率は任意であるが、一般的には0.1〜2.0程度が好ましい。エステル化に際して、反応促進用にリン酸、p−トルエンスルホン酸、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酢酸カルシウムなどの公知の触媒を用いることができる。
上記アルコール類としては、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等の1価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリエチロールエタン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等の4価アルコール、或いは、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の6価アルコールなどを単用又は併用できる。
製造工程の簡略性及び経済性の見地から特にグリセリン、ペンタエリスリトールなどが好ましい。
ロジン類に対するアルコールの混合過剰率は任意であるが、一般的には0.1〜2.0程度が好ましい。エステル化に際して、反応促進用にリン酸、p−トルエンスルホン酸、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酢酸カルシウムなどの公知の触媒を用いることができる。
上記アルコール類としては、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等の1価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリエチロールエタン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等の4価アルコール、或いは、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の6価アルコールなどを単用又は併用できる。
製造工程の簡略性及び経済性の見地から特にグリセリン、ペンタエリスリトールなどが好ましい。
上記不飽和カルボン酸変性ロジン類は、ロジン類にα,β−不飽和カルボン酸類を反応させたものである。
当該α,β−不飽和カルボン酸類としては、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物などであり、具体的には、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
ロジン系樹脂とα,β−不飽和カルボン酸類の反応は、不活性ガス雰囲気下で両者を150〜280℃に加熱するなどの公知の方式で実施される。ロジン系樹脂に対するα,β−不飽和カルボン酸類の重量比率は0.1〜20%程度が好ましい。
当該α,β−不飽和カルボン酸類としては、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物などであり、具体的には、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
ロジン系樹脂とα,β−不飽和カルボン酸類の反応は、不活性ガス雰囲気下で両者を150〜280℃に加熱するなどの公知の方式で実施される。ロジン系樹脂に対するα,β−不飽和カルボン酸類の重量比率は0.1〜20%程度が好ましい。
上記不飽和カルボン酸変性ロジンエステル類は、ロジン類にα,β−不飽和カルボン酸類とのディールス・アルダー付加反応、並びにアルコール類とのエステル化反応を施したものである。付加反応及びエステル化反応の条件は上述の通りである。
上記ホルマリン変性ロジン類は、ロジン類にホルマリン類を付加させたものである。
当該ホルマリン類は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキシメチレンなどであり、製造工程の簡略性及び経済性の見地から特にパラホルムアルデヒドなどが好ましい。
上記ホルマリン類の付加反応は、不活性ガス雰囲気下でロジン系樹脂とホルマリン類を130〜200℃に加熱するなどの公知の方法で実施される。
ロジン系樹脂に対するホルムアルデヒドの重合比率は0.1〜10%程度が好ましい。この反応は比較的速やかに進行するが、場合によっては、リン酸、p−トルエンスルホン酸などの公知の酸触媒を使用できる。
当該ホルマリン類は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキシメチレンなどであり、製造工程の簡略性及び経済性の見地から特にパラホルムアルデヒドなどが好ましい。
上記ホルマリン類の付加反応は、不活性ガス雰囲気下でロジン系樹脂とホルマリン類を130〜200℃に加熱するなどの公知の方法で実施される。
ロジン系樹脂に対するホルムアルデヒドの重合比率は0.1〜10%程度が好ましい。この反応は比較的速やかに進行するが、場合によっては、リン酸、p−トルエンスルホン酸などの公知の酸触媒を使用できる。
上記フェノール変性ロジン類は、ロジン類にフェノール類を反応させたものである。
硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の強酸触媒共存下で、ロジン類とフェノール類を100〜200℃で反応させることで得られる。
場合によっては、強酸触媒を水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ物質で中和しても良い。ロジン系樹脂に対するフェノール類の重量比率は0.1〜50%程度が好ましい。
硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の強酸触媒共存下で、ロジン類とフェノール類を100〜200℃で反応させることで得られる。
場合によっては、強酸触媒を水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ物質で中和しても良い。ロジン系樹脂に対するフェノール類の重量比率は0.1〜50%程度が好ましい。
上記ロジン系樹脂に付加するアルキレンオキシド類は、無置換型のC2〜C4アルキレンオキシド、或は、置換型のC2〜C4アルキレンオキシドである。C2〜C4アルキレンオキシドの置換基はメチル、エチル、プロピル基などである。
無置換又は置換型のC2〜C4アルキレンオキシド類の具体例を挙げると、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ヒドロキシプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシドなどであり、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが好ましく、より好ましくはエチレンオキシドである。
上記アルキレンオキシド類の付加反応では、ロジン系樹脂に複数種のアルキレンオキシドが付加しても良く、例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドを併用してロジン系樹脂に付加させても良い。この場合、アルキレンオキシド類はランダムな順列で付加することができる。
無置換又は置換型のC2〜C4アルキレンオキシド類の具体例を挙げると、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ヒドロキシプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシドなどであり、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが好ましく、より好ましくはエチレンオキシドである。
上記アルキレンオキシド類の付加反応では、ロジン系樹脂に複数種のアルキレンオキシドが付加しても良く、例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドを併用してロジン系樹脂に付加させても良い。この場合、アルキレンオキシド類はランダムな順列で付加することができる。
上記一般式(1)に示すように、ロジン系樹脂に対するアルキレンオキシド類の付加モル数nは10〜30であることが必要であり、15〜30モルが好ましい。付加モル数が少ないとポリ乳酸との相溶性が低下し、多すぎても相溶せず、透明な組成物が得られない(また、アルキレンオキシドがエチレンオキシドでは親水性が強くなり過ぎ、プロピレンオキシドでは疎水性が強くなり過ぎる)。
従って、付加モル数は、ポリ乳酸との相溶性、親水性と疎水性のバランスの観点、或は、得られる樹脂組成物の透明性の観点などから決定される。
また、ロジンのアルキレンオキシド付加物を得るには、上記アルキレンオキシド類の外にも、上記付加モル数を満たす条件で、ロジン系樹脂にポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)などを反応させても良い。
尚、本発明のロジンのアルキレンオキシド付加物は、末端がアルキル基などで封鎖されたエーテルであっても良い。
従って、付加モル数は、ポリ乳酸との相溶性、親水性と疎水性のバランスの観点、或は、得られる樹脂組成物の透明性の観点などから決定される。
また、ロジンのアルキレンオキシド付加物を得るには、上記アルキレンオキシド類の外にも、上記付加モル数を満たす条件で、ロジン系樹脂にポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)などを反応させても良い。
尚、本発明のロジンのアルキレンオキシド付加物は、末端がアルキル基などで封鎖されたエーテルであっても良い。
本発明のロジンのアルキレンオキシド付加物を製造する場合、150〜250℃の加圧下でロジン類に上記アルキレンオキシドが付加され、その付加モル数nは、ロジン類のカルボキシル基当量に対して上記アルキレンオキシドのn倍当量を反応系に共存させることによって容易に制御できる。
一方、本発明の生分解性ポリエステルはポリ乳酸を初め、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンアジペートテレフタレートなどであり、特にポリ乳酸が好ましい。
上記ポリ乳酸は、乳酸を重合して得られるポリエステル樹脂である。
重合に用いられる乳酸は、D−体、L−体を問わず、D−体とL−体の混合物であっても良い。なお、D−体とL−体の混合物を使用する場合には、D−体とL−体の使用割合は使用目的に応じて任意に決定できる。
また、上記ポリ乳酸は、乳酸のホモポリマーに限らず、乳酸と他のモノマー成分を反応させたコポリマー、ポリ乳酸と他種のポリマーを配合したブレンドポリマーなどであっても良い。
上記コポリマーを形成する成分としては、例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などに代表されるヒドロキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などに代表されるジカルボン酸、エチレングリコール、プロパンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、グリセリン、ソルビタン、ポリエチレングリコールなどに代表される多価アルコール、グリコリド、ε−カプロラクトン、δ−ブチロラクトンに代表されるラクトン類が挙げられる。
ポリ乳酸とブレンドするポリマーとしては、セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、再生セルロース、グリコーゲン、キチン、キトサンなどが挙げられる。
上記ポリ乳酸は、乳酸を重合して得られるポリエステル樹脂である。
重合に用いられる乳酸は、D−体、L−体を問わず、D−体とL−体の混合物であっても良い。なお、D−体とL−体の混合物を使用する場合には、D−体とL−体の使用割合は使用目的に応じて任意に決定できる。
また、上記ポリ乳酸は、乳酸のホモポリマーに限らず、乳酸と他のモノマー成分を反応させたコポリマー、ポリ乳酸と他種のポリマーを配合したブレンドポリマーなどであっても良い。
上記コポリマーを形成する成分としては、例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などに代表されるヒドロキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などに代表されるジカルボン酸、エチレングリコール、プロパンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、グリセリン、ソルビタン、ポリエチレングリコールなどに代表される多価アルコール、グリコリド、ε−カプロラクトン、δ−ブチロラクトンに代表されるラクトン類が挙げられる。
ポリ乳酸とブレンドするポリマーとしては、セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、再生セルロース、グリコーゲン、キチン、キトサンなどが挙げられる。
本発明では、生分解性ポリエステル(特にポリ乳酸)の分子量は1万〜10万の低分子量であることが必要であり、好ましくは1万〜5万である。
生分解性ポリエステル(特にポリ乳酸)の分子量が10万より大きくなると、可塑剤との相溶性を損ない、透明にならない恐れがあり、また、経時劣化を引き起こす恐れが大きい。分子量が1万より小さいとポリマー性状を呈さない恐れがある。
即ち、本発明においては、上記ロジンのアルキレンオキシド付加物との相溶性を良好に担保する見地から、低分子量の生分解性ポリエステル(特にポリ乳酸)を使用することが重要である。
ちなみに、冒述の特許文献4の実施例(段落19参照)に記載されているポリ乳酸(三井化学製のLECEA H−280、100)の分子量は12〜13万程度(実測値)と推定される。
生分解性ポリエステル(特にポリ乳酸)の分子量が10万より大きくなると、可塑剤との相溶性を損ない、透明にならない恐れがあり、また、経時劣化を引き起こす恐れが大きい。分子量が1万より小さいとポリマー性状を呈さない恐れがある。
即ち、本発明においては、上記ロジンのアルキレンオキシド付加物との相溶性を良好に担保する見地から、低分子量の生分解性ポリエステル(特にポリ乳酸)を使用することが重要である。
ちなみに、冒述の特許文献4の実施例(段落19参照)に記載されているポリ乳酸(三井化学製のLECEA H−280、100)の分子量は12〜13万程度(実測値)と推定される。
上記生分解性ポリエステル組成物(特にポリ乳酸組成物)において、各種の生分解性ポリエステル(特にポリ乳酸)並びに可塑剤(ロジンのアルキレンオキシド付加物)は夫々を単用又は併用できる。
生分解性ポリエステル(特にポリ乳酸)100重量部に対する本発明の可塑剤の配合量は1〜100重量部が適当であり、好ましくは5〜50重量部である。
可塑剤が1重量部より少ないと樹脂組成物の柔軟性が不足し、100重量部より多いと生分解性ポリエステルと均一に混合せず、ブリードアウトする恐れがあり、また、経時劣化の懸念もある。
尚、必要に応じて本発明の可塑剤に加えて、公知の可塑剤を併用しても良いことはいうまでもない。
生分解性ポリエステル(特にポリ乳酸)100重量部に対する本発明の可塑剤の配合量は1〜100重量部が適当であり、好ましくは5〜50重量部である。
可塑剤が1重量部より少ないと樹脂組成物の柔軟性が不足し、100重量部より多いと生分解性ポリエステルと均一に混合せず、ブリードアウトする恐れがあり、また、経時劣化の懸念もある。
尚、必要に応じて本発明の可塑剤に加えて、公知の可塑剤を併用しても良いことはいうまでもない。
生分解性ポリエステル(特にポリ乳酸)に可塑剤を配合する方法は特に制限はないが、通常のブレンダー又はミキサー等で混合する方法、押出機、バンバリーミキサー等を用いて溶融混練する方法等が挙げられる。但し、可塑剤は生分解性ポリエステルの重合反応工程の段階で混合しても良い。
また、本発明の生分解性ポリエステル組成物(特にポリ乳酸組成物)を製造する際には、上記可塑剤以外に、結晶核剤、帯電防止剤、発泡剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、滑剤、離型剤、無機充填剤、顔料分散剤、顔料、染料などの各種配合剤を本発明の目的を損なわない範囲で含有しても良い。
本発明の生分解性ポリエステル組成物は、一般的な熱可塑性プラスチックと同様に、押出し成形、射出成形、延伸フィルム成形、ブロー成形などの公知の成形方法を用いて製造できる。
得られた生分解性ポリエステル組成物(特にポリ乳酸組成物)は家庭用品から工業用品に亘る広い用途、例えば、食品容器、電気部品、電子部品、自動車部品、機械機構部品、或は、フィルム、シート、繊維等の素材用などに好適である。
また、本発明の生分解性ポリエステル組成物(特にポリ乳酸組成物)を製造する際には、上記可塑剤以外に、結晶核剤、帯電防止剤、発泡剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、滑剤、離型剤、無機充填剤、顔料分散剤、顔料、染料などの各種配合剤を本発明の目的を損なわない範囲で含有しても良い。
本発明の生分解性ポリエステル組成物は、一般的な熱可塑性プラスチックと同様に、押出し成形、射出成形、延伸フィルム成形、ブロー成形などの公知の成形方法を用いて製造できる。
得られた生分解性ポリエステル組成物(特にポリ乳酸組成物)は家庭用品から工業用品に亘る広い用途、例えば、食品容器、電気部品、電子部品、自動車部品、機械機構部品、或は、フィルム、シート、繊維等の素材用などに好適である。
以下、ロジンのエチレンオキシド付加物の製造例、当該付加物をポリ乳酸に配合した本発明のポリ乳酸組成物の実施例、実施例で得られたポリ乳酸組成物の性能評価試験例を順次説明する。上記製造例、実施例、試験例中の「部」及び「%」は、特記しない限りすべて重量基準である。
尚、本発明は下記の実施例、試験例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
尚、本発明は下記の実施例、試験例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
《ロジンのエチレンオキシド付加物の製造例》
先ず、ポリ乳酸に配合する可塑剤として、ロジンのエチレンオキシド付加物の製造例を述べる。
下記の製造例1はエチレンオキシド(EO)の付加モル数が15モルである例、製造例2は同30モルの例である。また、比較製造例1はエチレンオキシドの付加モル数が本発明の特定範囲より低い5モルの例である。
先ず、ポリ乳酸に配合する可塑剤として、ロジンのエチレンオキシド付加物の製造例を述べる。
下記の製造例1はエチレンオキシド(EO)の付加モル数が15モルである例、製造例2は同30モルの例である。また、比較製造例1はエチレンオキシドの付加モル数が本発明の特定範囲より低い5モルの例である。
(1)製造例1
攪拌機、温度計、窒素導入管、ガス導入管、冷却管を具備した耐圧反応容器に、酸価167のトールロジン100部と、反応触媒として水酸化カリウム1部を仕込み、窒素気流下で170℃まで昇温して、上記ロジンを溶融させた。
次いで、エチレンオキシドガス200部を徐々に反応容器に導入して付加反応を行い、付加率15モルのロジンのエチレンオキシド付加物を得た。
攪拌機、温度計、窒素導入管、ガス導入管、冷却管を具備した耐圧反応容器に、酸価167のトールロジン100部と、反応触媒として水酸化カリウム1部を仕込み、窒素気流下で170℃まで昇温して、上記ロジンを溶融させた。
次いで、エチレンオキシドガス200部を徐々に反応容器に導入して付加反応を行い、付加率15モルのロジンのエチレンオキシド付加物を得た。
(2)製造例2
攪拌機、温度計、窒素導入管、ガス導入管、冷却管を具備した耐圧反応容器に、酸価167のトールロジン100部と、反応触媒として水酸化カリウム1部を仕込み、窒素気流下で170℃まで昇温して、上記ロジンを溶融させた。
次いで、エチレンオキシドガス400部を徐々に反応容器に導入して付加反応を行い、付加率30モルのロジンのエチレンオキシド付加物を得た。
攪拌機、温度計、窒素導入管、ガス導入管、冷却管を具備した耐圧反応容器に、酸価167のトールロジン100部と、反応触媒として水酸化カリウム1部を仕込み、窒素気流下で170℃まで昇温して、上記ロジンを溶融させた。
次いで、エチレンオキシドガス400部を徐々に反応容器に導入して付加反応を行い、付加率30モルのロジンのエチレンオキシド付加物を得た。
(3)比較製造例1
攪拌機、温度計、窒素導入管、ガス導入管、冷却管を具備した耐圧反応容器に、酸価167のトールロジン100部と、反応触媒として水酸化カリウム1部を仕込み、窒素気流下で170℃まで昇温して、上記ロジンを溶融させた。
次いで、エチレンオキシドガス67部を徐々に反応容器に導入して付加反応を行い、付加率5モルのロジンのエチレンオキシド付加物を得た。
攪拌機、温度計、窒素導入管、ガス導入管、冷却管を具備した耐圧反応容器に、酸価167のトールロジン100部と、反応触媒として水酸化カリウム1部を仕込み、窒素気流下で170℃まで昇温して、上記ロジンを溶融させた。
次いで、エチレンオキシドガス67部を徐々に反応容器に導入して付加反応を行い、付加率5モルのロジンのエチレンオキシド付加物を得た。
《ポリ乳酸組成物の実施例》
そこで、上記製造例1〜2及び比較製造例1で得られた各ロジンのエチレンオキシド付加物を可塑剤としてポリ乳酸に配合したポリ乳酸組成物を製造した実施例を述べる。
下記の実施例1〜13のうち、実施例1〜3は分子量4.3万のポリ乳酸に製造例1の可塑剤(EO15モル付加)を配合した例である。実施例4〜6は分子量2.5万のポリ乳酸に同製造例1(EO15モル付加)を配合した例である。実施例7〜9は分子量4.3万のポリ乳酸に製造例2の可塑剤(EO30モル付加)を配合した例である。実施例10〜13は分子量2.5万のポリ乳酸に同製造例2(EO30モル付加)を配合した例である。
一方、比較例1〜3は分子量4.3万のポリ乳酸に比較製造例1の可塑剤(EO5モル付加)を配合した例である。比較例4〜6は分子量2.5万のポリ乳酸に比較製造例1(EO5モル付加)を配合した例である。比較例7〜9は本発明の特定範囲を越える分子量のポリ乳酸に製造例1(EO15モル付加)を配合した例である。比較例10〜12は本発明の特定範囲を越える分子量のポリ乳酸に製造例2(EO30モル付加)を配合した例である。
そこで、上記製造例1〜2及び比較製造例1で得られた各ロジンのエチレンオキシド付加物を可塑剤としてポリ乳酸に配合したポリ乳酸組成物を製造した実施例を述べる。
下記の実施例1〜13のうち、実施例1〜3は分子量4.3万のポリ乳酸に製造例1の可塑剤(EO15モル付加)を配合した例である。実施例4〜6は分子量2.5万のポリ乳酸に同製造例1(EO15モル付加)を配合した例である。実施例7〜9は分子量4.3万のポリ乳酸に製造例2の可塑剤(EO30モル付加)を配合した例である。実施例10〜13は分子量2.5万のポリ乳酸に同製造例2(EO30モル付加)を配合した例である。
一方、比較例1〜3は分子量4.3万のポリ乳酸に比較製造例1の可塑剤(EO5モル付加)を配合した例である。比較例4〜6は分子量2.5万のポリ乳酸に比較製造例1(EO5モル付加)を配合した例である。比較例7〜9は本発明の特定範囲を越える分子量のポリ乳酸に製造例1(EO15モル付加)を配合した例である。比較例10〜12は本発明の特定範囲を越える分子量のポリ乳酸に製造例2(EO30モル付加)を配合した例である。
(1)実施例1
ポリ乳酸(バイロエコール BE−400、東洋紡製、分子量4.3万、ガラス転移温度(Tg)50℃)100部、製造例1のロジンのエチレンオキシド付加物5.3部を添加し、設定温度180℃でギヤオーブン(東洋精機社製)により溶融混練して、ポリ乳酸組成物を得た。
尚、上記ポリ乳酸の分子量(重量平均分子量:Mw)はポリスチレンを標準としてゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより、以下の条件で測定した(以下の実施例及び比較例(バイロエコール及びレイシア)における分子量の測定方法も同様とする)。
測定装置:昭和電工(株)製のSYSTEM−21
カラム:KF−802
溶媒:テトラヒドロフラン
濃度:0.5%
ポリ乳酸(バイロエコール BE−400、東洋紡製、分子量4.3万、ガラス転移温度(Tg)50℃)100部、製造例1のロジンのエチレンオキシド付加物5.3部を添加し、設定温度180℃でギヤオーブン(東洋精機社製)により溶融混練して、ポリ乳酸組成物を得た。
尚、上記ポリ乳酸の分子量(重量平均分子量:Mw)はポリスチレンを標準としてゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより、以下の条件で測定した(以下の実施例及び比較例(バイロエコール及びレイシア)における分子量の測定方法も同様とする)。
測定装置:昭和電工(株)製のSYSTEM−21
カラム:KF−802
溶媒:テトラヒドロフラン
濃度:0.5%
(2)実施例2〜3
上記実施例1を基本として、図1に示す通り、製造例1の添加量を変更した他は、実施例1と同様に操作して、各ポリ乳酸組成物を得た。
上記実施例1を基本として、図1に示す通り、製造例1の添加量を変更した他は、実施例1と同様に操作して、各ポリ乳酸組成物を得た。
(3)実施例4
前記実施例1を基本として、図1に示す通り、ポリ乳酸を上記バイロエコール BE−400からバイロエコール BE−450(東洋紡製、分子量2.5万、Tg:30℃)に変更した他は、実施例1と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
前記実施例1を基本として、図1に示す通り、ポリ乳酸を上記バイロエコール BE−400からバイロエコール BE−450(東洋紡製、分子量2.5万、Tg:30℃)に変更した他は、実施例1と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
(4)実施例5〜6
上記実施例4を基本として、図1に示す通り、製造例1の添加量を変更した他は、実施例4と同様に操作して、各ポリ乳酸組成物を得た。
上記実施例4を基本として、図1に示す通り、製造例1の添加量を変更した他は、実施例4と同様に操作して、各ポリ乳酸組成物を得た。
(5)実施例7
前記実施例1を基本として、図1に示す通り、ロジンのエチレンオキシド付加物を上記製造例1(EO15モル付加)から製造例2(EO30モル付加)に変更した他は、実施例1と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
前記実施例1を基本として、図1に示す通り、ロジンのエチレンオキシド付加物を上記製造例1(EO15モル付加)から製造例2(EO30モル付加)に変更した他は、実施例1と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
(6)実施例8〜9
上記実施例7を基本として、図1に示す通り、製造例2の添加量を変更した他は、実施例7と同様に操作して、各ポリ乳酸組成物を得た。
上記実施例7を基本として、図1に示す通り、製造例2の添加量を変更した他は、実施例7と同様に操作して、各ポリ乳酸組成物を得た。
(7)実施例10
前記実施例4を基本として、図1に示す通り、ロジンのエチレンオキシド付加物を上記製造例1(EO15モル付加)から製造例2(EO30モル付加)に変更した他は、実施例4と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
前記実施例4を基本として、図1に示す通り、ロジンのエチレンオキシド付加物を上記製造例1(EO15モル付加)から製造例2(EO30モル付加)に変更した他は、実施例4と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
(8)実施例11〜13
上記実施例10を基本として、図1に示す通り、製造例2の添加量を変更した他は、実施例10と同様に操作して、各ポリ乳酸組成物を得た。
上記実施例10を基本として、図1に示す通り、製造例2の添加量を変更した他は、実施例10と同様に操作して、各ポリ乳酸組成物を得た。
(9)比較例1
前記実施例1を基本として、図2に示す通り、ロジンのエチレンオキシド付加物を上記製造例1(EO15モル付加)から比較製造例1(EO5モル付加)に変更した他は、実施例1と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
前記実施例1を基本として、図2に示す通り、ロジンのエチレンオキシド付加物を上記製造例1(EO15モル付加)から比較製造例1(EO5モル付加)に変更した他は、実施例1と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
(10)比較例2〜3
上記比較例1を基本として、図2に示す通り、比較製造例1の添加量を変更した他は、比較例1と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
上記比較例1を基本として、図2に示す通り、比較製造例1の添加量を変更した他は、比較例1と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
(11)比較例4
前記実施例4を基本として、図2に示す通り、ロジンのエチレンオキシド付加物を上記製造例1(EO15モル付加)から比較製造例1(EO5モル付加)に変更した他は、実施例4と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
前記実施例4を基本として、図2に示す通り、ロジンのエチレンオキシド付加物を上記製造例1(EO15モル付加)から比較製造例1(EO5モル付加)に変更した他は、実施例4と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
(12)比較例5〜6
上記比較例4を基本として、図2に示す通り、比較製造例1の添加量を変更した他は、比較例4と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
上記比較例4を基本として、図2に示す通り、比較製造例1の添加量を変更した他は、比較例4と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
(13)比較例7
前記実施例1を基本として、図2に示す通り、ポリ乳酸を上記バイロエコール BE−400からレイシア H−100(三井化学製、分子量(実測値)13.2万、熱変形温度55℃)に変更した他は、実施例1と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
尚、上記ポリ乳酸の分子量はカタログなどの資料からの引用ではなく、前記実施例1と同様の方法で測定した実測値を意味する。
前記実施例1を基本として、図2に示す通り、ポリ乳酸を上記バイロエコール BE−400からレイシア H−100(三井化学製、分子量(実測値)13.2万、熱変形温度55℃)に変更した他は、実施例1と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
尚、上記ポリ乳酸の分子量はカタログなどの資料からの引用ではなく、前記実施例1と同様の方法で測定した実測値を意味する。
(14)比較例8〜9
上記比較例7を基本として、図2に示す通り、製造例1の添加量を変更した他は、比較例7と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
上記比較例7を基本として、図2に示す通り、製造例1の添加量を変更した他は、比較例7と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
(15)比較例10
前記実施例7を基本として、図2に示す通り、ポリ乳酸を前記バイロエコール BE−400から上記レイシア H−100に変更した他は、実施例7と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
前記実施例7を基本として、図2に示す通り、ポリ乳酸を前記バイロエコール BE−400から上記レイシア H−100に変更した他は、実施例7と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
(16)比較例11〜12
上記比較例10を基本として、図2に示す通り、製造例2の添加量を変更した他は、比較例10と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
上記比較例10を基本として、図2に示す通り、製造例2の添加量を変更した他は、比較例10と同様に操作して、ポリ乳酸組成物を得た。
《ポリ乳酸組成物の各種評価試験例》
そこで、上記実施例1〜13及び比較例1〜12の各ポリ乳酸組成物について、下記の通り、外観、熱安定性、柔軟性の各種試験を行ってその優劣を評価した。
(a)外観試験
各ポリ乳酸組成物を225mlのマヨネーズ瓶に入れ、目視観察により外観の透明性を下記の基準で評価した。
○:相溶し、透明感があった。
△:相溶するが、透明感がなかった。
×:分離した。
そこで、上記実施例1〜13及び比較例1〜12の各ポリ乳酸組成物について、下記の通り、外観、熱安定性、柔軟性の各種試験を行ってその優劣を評価した。
(a)外観試験
各ポリ乳酸組成物を225mlのマヨネーズ瓶に入れ、目視観察により外観の透明性を下記の基準で評価した。
○:相溶し、透明感があった。
△:相溶するが、透明感がなかった。
×:分離した。
(b)熱安定性試験
各ポリ乳酸組成物を225mlのマヨネーズ瓶に入れた後、50℃に設定したギヤオーブン(東洋精機社製)に入れ、1週間後の表面への可塑剤の浮き出しの有無を目視観察した。評価基準は次の通りである。
○:ブリードなし。
△:若干ブリードあり。
×:全面にブリードあり。
各ポリ乳酸組成物を225mlのマヨネーズ瓶に入れた後、50℃に設定したギヤオーブン(東洋精機社製)に入れ、1週間後の表面への可塑剤の浮き出しの有無を目視観察した。評価基準は次の通りである。
○:ブリードなし。
△:若干ブリードあり。
×:全面にブリードあり。
(c)柔軟性試験
各ポリ乳酸組成物のガラス転移温度(Tg)を測定し、柔軟性を評価した。
当該試験では、ポリ乳酸に可塑剤を配合する前・後でのTgの変化に着目し、可塑剤を加えることでTgが低下すれば柔軟性を持つと評価した。
尚、Tgは示差走査熱量計(セイコー電子製、DSC6200)を用いて、20℃/分の昇温速度で測定した。
各ポリ乳酸組成物のガラス転移温度(Tg)を測定し、柔軟性を評価した。
当該試験では、ポリ乳酸に可塑剤を配合する前・後でのTgの変化に着目し、可塑剤を加えることでTgが低下すれば柔軟性を持つと評価した。
尚、Tgは示差走査熱量計(セイコー電子製、DSC6200)を用いて、20℃/分の昇温速度で測定した。
(1)外観評価
図1〜図2はその試験結果を示す。
本発明の特定範囲にある低分子量のポリ乳酸に、付加モル数が本発明の特定範囲より少ないロジンのエチレンオキシド付加物(比較製造例1)を配合した比較例1〜6では、透明感が失われたうえ、可塑剤の配合量が増すとポリ乳酸と相溶せずに分離した。付加モル数が本発明の特定範囲にあるロジンのエチレンオキシド付加物(製造例1〜2)を、本発明の特定範囲を超える分子量のポリ乳酸(レイシアH−100)に配合した比較例7〜12も同様に透明感が損なわれ、ポリ乳酸との相溶性が悪かった。特に、本発明の付加モル数を満たす可塑剤を本発明の特定範囲を超える分子量のポリ乳酸に配合した場合、エチレンオキシドの付加モル数が30モルである製造例2を使用すると配合量が少なくても分離が見られ(比較例10〜12参照)、15モル付加の製造例1では相溶するが透明感を失う状態にとどまり、分離状態には至らなかった(比較例7〜9参照)。
これに対して、本発明の特定範囲にある低分子量のポリ乳酸に、付加モル数が本発明の特定範囲にあるロジンのエチレンオキシド付加物を配合した実施例1〜13のうち、15モル付加の製造例1を使用した実施例1〜6では、一部、可塑剤の配合量が多い場合を除いて、概ね透明感のある良好な外観を呈した。30モル付加の製造例2を使用した実施例7〜9では、分子量が4.3万のポリ乳酸に配合すると相溶性を保持しながらも透明感は損なわれたが、分子量2.5万のポリ乳酸に配合した実施例10〜13では、添加率が43部に増大しても良好な透明感を保持した。
図1〜図2はその試験結果を示す。
本発明の特定範囲にある低分子量のポリ乳酸に、付加モル数が本発明の特定範囲より少ないロジンのエチレンオキシド付加物(比較製造例1)を配合した比較例1〜6では、透明感が失われたうえ、可塑剤の配合量が増すとポリ乳酸と相溶せずに分離した。付加モル数が本発明の特定範囲にあるロジンのエチレンオキシド付加物(製造例1〜2)を、本発明の特定範囲を超える分子量のポリ乳酸(レイシアH−100)に配合した比較例7〜12も同様に透明感が損なわれ、ポリ乳酸との相溶性が悪かった。特に、本発明の付加モル数を満たす可塑剤を本発明の特定範囲を超える分子量のポリ乳酸に配合した場合、エチレンオキシドの付加モル数が30モルである製造例2を使用すると配合量が少なくても分離が見られ(比較例10〜12参照)、15モル付加の製造例1では相溶するが透明感を失う状態にとどまり、分離状態には至らなかった(比較例7〜9参照)。
これに対して、本発明の特定範囲にある低分子量のポリ乳酸に、付加モル数が本発明の特定範囲にあるロジンのエチレンオキシド付加物を配合した実施例1〜13のうち、15モル付加の製造例1を使用した実施例1〜6では、一部、可塑剤の配合量が多い場合を除いて、概ね透明感のある良好な外観を呈した。30モル付加の製造例2を使用した実施例7〜9では、分子量が4.3万のポリ乳酸に配合すると相溶性を保持しながらも透明感は損なわれたが、分子量2.5万のポリ乳酸に配合した実施例10〜13では、添加率が43部に増大しても良好な透明感を保持した。
(2)熱安定性評価
図3〜図4はその試験結果を示す。
付加モル数が本発明の特定範囲より少ないロジンのエチレンオキシド付加物(比較製造例1)を使用した比較例1〜6では、可塑剤の配合量が少ない場合には若干ブリードがある程度にとどまったが、配合量が増すとブリードは全面に及んだ。また、本発明の特定範囲を超える分子量のポリ乳酸(レイシアH−100)を使用した比較例7〜12も同様の結果を示し、特に製造例2を使用した比較例10〜12では配合量が少なくても全面にブリードが見られた。
これに対して、本発明の特定範囲にある低分子量のポリ乳酸に、付加モル数が本発明の特定範囲にあるロジンのエチレンオキシド付加物を配合した実施例1〜13では、可塑剤の配合量が少ないとブリードは見られず、配合量が増しても若干のブリードが見られる程度にとどまった。
図3〜図4はその試験結果を示す。
付加モル数が本発明の特定範囲より少ないロジンのエチレンオキシド付加物(比較製造例1)を使用した比較例1〜6では、可塑剤の配合量が少ない場合には若干ブリードがある程度にとどまったが、配合量が増すとブリードは全面に及んだ。また、本発明の特定範囲を超える分子量のポリ乳酸(レイシアH−100)を使用した比較例7〜12も同様の結果を示し、特に製造例2を使用した比較例10〜12では配合量が少なくても全面にブリードが見られた。
これに対して、本発明の特定範囲にある低分子量のポリ乳酸に、付加モル数が本発明の特定範囲にあるロジンのエチレンオキシド付加物を配合した実施例1〜13では、可塑剤の配合量が少ないとブリードは見られず、配合量が増しても若干のブリードが見られる程度にとどまった。
(3)柔軟性評価
図5はその試験結果である。
製造例1(EO15モル付加)を配合した実施例1〜3では、可塑剤を配合したポリ乳酸組成物のTgはポリ乳酸自体のTg(50℃)より低下するとともに、その低下幅は可塑剤の配合量が増すほど大きくなって概ね常温以下に低下し、ポリ乳酸に柔軟性を付与できることが確認できた。
また、製造例2(EO30モル)を配合した実施例7〜9でも、同様に、可塑剤の配合がTgの低下をもたらし、ポリ乳酸に柔軟性を付与できることが確認できた。
さらには、実施例7〜9と実施例1〜3を対比すると、同じ配合量で可塑剤を添加した場合、可塑剤におけるエチレンオキシドの付加モル数が増すほど、ポリ乳酸組成物のTgの低下効果が大きくなる傾向が推定できる(例えば、実施例1と実施例7の対比)。
従って、本発明のロジンのエチレンオキシド付加物を可塑剤に使用すると、ポリ乳酸に実用レベル、或はそれ以上の柔軟性を付与できることが明らかになった。
図5はその試験結果である。
製造例1(EO15モル付加)を配合した実施例1〜3では、可塑剤を配合したポリ乳酸組成物のTgはポリ乳酸自体のTg(50℃)より低下するとともに、その低下幅は可塑剤の配合量が増すほど大きくなって概ね常温以下に低下し、ポリ乳酸に柔軟性を付与できることが確認できた。
また、製造例2(EO30モル)を配合した実施例7〜9でも、同様に、可塑剤の配合がTgの低下をもたらし、ポリ乳酸に柔軟性を付与できることが確認できた。
さらには、実施例7〜9と実施例1〜3を対比すると、同じ配合量で可塑剤を添加した場合、可塑剤におけるエチレンオキシドの付加モル数が増すほど、ポリ乳酸組成物のTgの低下効果が大きくなる傾向が推定できる(例えば、実施例1と実施例7の対比)。
従って、本発明のロジンのエチレンオキシド付加物を可塑剤に使用すると、ポリ乳酸に実用レベル、或はそれ以上の柔軟性を付与できることが明らかになった。
(4)総合評価
以上のように、ポリ乳酸にロジン誘導体を配合したポリ乳酸組成物の透明性、熱安定性、柔軟性を同時に改善するためには、特定以下の範囲へのポリ乳酸の低分子量化とロジンに付加するエチレンオキシドの付加モル数の特定以上の範囲への増加の一方だけの要件を満たしても目的は達成されず、上記ポリ乳酸の低分子量化、並びにエチレンオキシドの付加モル数の特定化の要件を両方共に満たす必要がある点が裏付けられた。
また、エチレンオキシドを15モル付加した製造例1では、配合するポリ乳酸の種類(BE−400、BE−450)に拘わらず、ポリ乳酸組成物の透明性や熱安定性の評価は全般的に良好であり、同じく30モル付加の製造例2を配合した場合には、ポリ乳酸の種類によって評価が多少分かれる傾向を示した(図1及び図3参照)。
以上のように、ポリ乳酸にロジン誘導体を配合したポリ乳酸組成物の透明性、熱安定性、柔軟性を同時に改善するためには、特定以下の範囲へのポリ乳酸の低分子量化とロジンに付加するエチレンオキシドの付加モル数の特定以上の範囲への増加の一方だけの要件を満たしても目的は達成されず、上記ポリ乳酸の低分子量化、並びにエチレンオキシドの付加モル数の特定化の要件を両方共に満たす必要がある点が裏付けられた。
また、エチレンオキシドを15モル付加した製造例1では、配合するポリ乳酸の種類(BE−400、BE−450)に拘わらず、ポリ乳酸組成物の透明性や熱安定性の評価は全般的に良好であり、同じく30モル付加の製造例2を配合した場合には、ポリ乳酸の種類によって評価が多少分かれる傾向を示した(図1及び図3参照)。
Claims (3)
- 生分解性ポリエステルに可塑剤を配合してなる生分解性ポリエステル組成物において、 上記可塑剤が下記の一般式(1)で表されるロジンのアルキレンオキシド付加物であり、
Ro−CO−O−(AO)n−H …(1)
(式(1)中、Roはロジン残基、AOは置換又は無置換のC2〜C4アルキレンオキシド、nは10〜30の整数を表す)
上記生分解性ポリエステルの重量平均分子量が1万〜10万であることを特徴とする生分解性ポリエステル組成物。 - 生分解性ポリエステル100重量部に対して、ロジンのアルキレンオキシド付加物の配合量が1〜100重量部であることを特徴とする請求項1に記載の生分解性ポリエステル組成物。
- 生分解性ポリエステルがポリ乳酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ乳酸組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005354351A JP2007154114A (ja) | 2005-12-08 | 2005-12-08 | 生分解性ポリエステル組成物 |
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JP2005354351A Pending JP2007154114A (ja) | 2005-12-08 | 2005-12-08 | 生分解性ポリエステル組成物 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112094487A (zh) * | 2020-09-25 | 2020-12-18 | 湖南钜亿新材料科技有限公司 | 一种用于环保餐具的易清洁耐高温聚乳酸复合材料 |
JP2021109832A (ja) * | 2020-01-06 | 2021-08-02 | 竹本油脂株式会社 | ロジンアルコキシレートの製造方法 |
-
2005
- 2005-12-08 JP JP2005354351A patent/JP2007154114A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021109832A (ja) * | 2020-01-06 | 2021-08-02 | 竹本油脂株式会社 | ロジンアルコキシレートの製造方法 |
JP7356142B2 (ja) | 2020-01-06 | 2023-10-04 | 竹本油脂株式会社 | ロジンアルコキシレートの製造方法 |
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CN112094487B (zh) * | 2020-09-25 | 2022-07-08 | 湖南钜亿新材料科技有限公司 | 一种用于环保餐具的易清洁耐高温聚乳酸复合材料 |
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