JP2007146059A - レーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法、並びにポリエステル樹脂成体。 - Google Patents

レーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法、並びにポリエステル樹脂成体。 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエステル樹脂本来の成形性、機械物性などの特徴を維持しつつ、且つハロゲン含有量を低減、又はこれを含まずとも、レーザーマーキング性に優れた、レーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物、及びこれを成形してなるレーザーマーキング用ポリエステル樹脂成形体を提供する。
【解決手段】(a)ポリエステル樹脂100重量部に対して、(b)ノボラック型フェノール樹脂 0.5〜40重量部、及び必要に応じて難燃助剤を含有してなるレーザーマーキング用に適するポリエステル樹脂組成物、及びこれを成形してなる、レーザー照射によるレーザーマーキングが施されていることを特徴とするポリエステル樹脂成形体、並びにこれを電気機器部品に使用する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、表面にレーザー光を照射して、鮮明な文字、記号、図形等の、いわゆるレーザーマーキングを施す樹脂成形体の材料である、レーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物と、その製造方法、並びにこれを成形してなるポリエステル樹脂成形体に関する。
ポリエステル樹脂、特にポリブチレンテレフタレート樹脂等の芳香族ポリエステル樹脂は、その優れた成形性、機械物性、熱安定性、耐熱性、電気特性などの特徴を生かし、樹脂成形体として広く、例えば自動車部品、電気・電子部品、各種機構部品など種々の用途に使用されている。また各種用途に応じて、その樹脂成形体表面には、文字、記号、模様、絵などの「マーキング」が施されていることが一般的である。その方法としては、タンポ印刷、シルク印刷、インクジェット印刷等の記録方法や、予め必要な文字、記号、模様、絵などが印刷されたシールの貼付等が行われている。
上述のタンポ印刷等の、いわゆる記録液を用いた従来からの記録方法は、記録液の飛散による印刷不良や、凹凸部への印刷や微細文字の印字が困難であるなどの問題があった。またシール貼付による方法も成形品表面が平滑である必要がある等の制約があった。そこで近年、この様な問題を解決する手段として方法として、ポリエステル系樹脂を中心に成形品表面にレーザー光を照射して表面に印字等を施す技術、即ちレーザーマーキングが注目を浴びている。
レーザーマーキングは表面の性状によらず、再現性良く、高速でマーキングが行なえる技術であり、極めて有用な方法である。但しレーザーマ−キングは、必ずしも全ての樹脂単体に対して適用出来るものではなく、一般的に樹脂自身や各種添加剤の改良によるレーザーマーキング性の改良が提案されている。そして従来から、レーザーマーキング用樹脂組成物としては、主としてポリエステル樹脂についての検討がなされてきた。
例えばレーザーマーキング方法別に見ると、例えば(1)素材樹脂の発泡による樹脂成形体の表面変化を利用する方法(例えば特許文献1参照。)、(2)レーザー照射部の顔・染料等の脱色、変色を利用する方法(例えば特許文献2、3参照。)、(3)レーザー照射による樹脂成形体表面の蝕刻を利用する方法(例えば特許文献4、5参照)、並びに、(4)レーザー照射部の難燃性を利用し、炭化等の変化を利用する方法(特許文献6)等において、様々な改良方法が提案されている。またポリエステル樹脂組成物の難燃化という点では、ノボラック樹脂との併用が知られている(例えば特許文献7参照。)。
特公平2−47314号公報 特表2001−505233号公報 特公昭56−144995号公報 特公昭61−11771号公報 特開平4−246456号公報 特開平05−96386号公報 特開2000−212404号公報
レーザーマーキング性の改良については、上述した様な(1)〜(3)の各手段をポリエステル樹脂に適用する方法が提案されている。しかしマーキング性が不十分であったり、マーキング性は観察されるもののマーキング文字のコントラストが低く、マーキングが不鮮明であるという問題があった。
例えば、(3)のマーキング方法に関する特許文献5には、熱可塑性ポリエステル樹脂、臭素系難燃剤、アンチモン系難燃助剤、並びに、カーボンブラック及び/又はグラファイトを含有する樹脂組成物が、高コントラストでマーキング可能であると記載されている。
しかし、この特許文献5の樹脂組成物は、主に白色系のマーキング用途を意図しており、白色系のマーキングの場合には、レーザー光照射部分が一部炭化して、成形品表面のコントラストが十分でないという問題があった。また、ここでは、臭素系難燃剤とアンチモン系難燃助剤は、主に難燃性を向上させるために配合されており、これらが、難燃性以外の性能である暗色系のマーキングにどのような影響を与えるのかについては、何ら示唆されていない。
また上述の(4)のマーキング方法では、例えば特許文献6において、レーザーマーキング用樹脂組成物の限界酸素指数が高いものほど、鮮明なレーザーマーキングが施せる、との記載がある。これは限界酸素指数が、ものの燃焼雰囲気中における酸素割合であり、空気中の酸素の割合は約21%の為、21より高い値を示すものは燃え難く、炭化し易いので、レーザーマーキング性が良好となるという、技術思想に基づくものと考えられる。
しかし難燃剤については、具体名が挙げられてはいるものの実施例においては難燃剤の種類および配合量は明示されてない。そこで本発明者らが難燃剤を適宜選択して追試したところ、ハロゲン系難燃剤は比較的良好なレーザーマーキング性を示したが、他の難燃剤では、種類により実用的なレーザーマーキング性を得られなかっただけでなく、難燃剤の種類によっては大量に配合しなければ、充分な効果も認められない上に、機械的強度の低下が著しいものも見出された。
さらにハロゲン系難燃剤配合した成形品は、焼却廃棄時に環境汚染の問題が発生するので、近年の周辺環境への負荷低減を考慮すると、実用的ではないという問題があった。
一方、特許文献7にはポリエステル系樹脂に対し、リン、窒素、ホウ素系化合物の中から選ばれた1種以上のノンハロゲン系難燃性化合物、及びノボラック型フェノール樹脂を配合する難燃性ポリエステル系樹脂組成物が開示されている。しかしここでは、難燃剤とノボラック型フェノール樹脂を主に難燃性向上のために配合しており、これらが、難燃性以外の性能であるレーザーマーキング、特に暗色系のマーキングにどのような影響を与えるのかについては、何ら示唆されていない。
本発明の目的は、ポリエステル樹脂本来の成形性、機械物性などの特徴を維持しつつ、且つハロゲン含有量を低減、又はこれを含まずとも、レーザーマーキング性に優れた、レーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物、及びこれを成形してなるレーザーマーキング用ポリエステル樹脂成形体を提供することにある。
本発明者らは、上述した問題を解決するために鋭意検討した結果、特定量のノボラック型フェノール樹脂を含むポリエステル樹脂組成物、特に芳香族ポリエステル樹脂組成物が、優れたレーザーマーキング性を有することを見出し、本発明を完成させた。
そして更に、このポリエステル樹脂組成物は、レーザーマーキング用途において通常使用されるカーボンブラック等の着色剤を用いずとも、良好なレーザーマーキングが可能であり、幅広い色調の樹脂成形品に対応可能なレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物となることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明の要旨は、(a)ポリエステル樹脂100重量部に対して、(b)ノボラック型フェノール樹脂 0.5〜40重量部を含有してなるレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物に存する。
また本発明の今ひとつの要旨は、このレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物を成形してなるポリエステル樹脂成形体であって、レーザー照射によるレーザーマーキングが施されていることを特徴とするポリエステル樹脂成形体、並びにこれを用いる電気機器部品に関に存する。
本発明によって、ハロゲン原子を実質的に含有せずとも、レーザーマーキング性および機械的強度の優れたレーザーマーキング用ポリエステル樹脂成形体を提供することができ、製品の識別が容易になり、また製品の廃棄焼却時の環境保全に役立つことが期待できる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、レーザーによるマーキングにおいて、マーキング文字のコントラストが極めて優れており、且つ機械的強度の低下が少なく、そしてハロゲン原子を含有しないので環境保全性に優れたものである。そして本発明のポリエステル樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品や、本発明の樹脂組成物によって被覆された成形品の表面にレーザー光を照射することにより、コントラストの高いマーキングが可能であり、しかもマーキング速度が速く、自動化、工程管理が容易となることが期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(a)ポリエステル樹脂
本発明に用いる(a)ポリエステル樹脂とは、例えば少なくとも1種の2官能性カルボン酸成分と少なくとも1種のグリコール成分またはオキシカルボン酸などの重縮合により得られる、ポリエステル樹脂である。具体的には例えば、脂肪族ポリエステル樹脂、脂環式ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられるが、中でも芳香族ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
本発明に用いる(a)ポリエステル樹脂の2官能性カルボン酸成分の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、P,P−ジフェニルジカルボン酸、P,P−ジフェニルエーテルカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、スベリン酸、アゼライン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、またはこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。中でも芳香族ジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましく、特にテレフタル酸またはテレフタル酸ジエステルが好ましい。
グリコール成分の具体例としては一般式、HO(CH2)qOH(qは2〜20の整数を示す。)で表されるα,ω−アルキレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメトレングリコール、またはこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。中でもエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の、α,ω−アルキレングリコールが好ましく、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。
またオキシカルボン酸の具体例としては、オキシ安息香酸、4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、またはこれらのエステル形成性誘導体などを挙げることができる。本発明に用いる(a)ポリエステル樹脂としては、それを形成する全酸成分または全ジオール成分の70mol%以上が単一成分であれば、任意の共重合体であってもよい。
本発明に用いる(a)ポリエステル樹脂としては、本発明のポリエステル樹脂組成物における成形性や耐熱性等の観点から、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートが好ましく、特にポリブチレンテレフタレートが好ましい。更に本発明においては、この様なポリエステル以外に、他の熱可塑性樹脂成分を併用してもよい。具体的には例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン樹脂類が挙げられる。本発明における、この様な樹脂の含有量は、(a)ポリエステル樹脂に対して40重量%以下であることが好ましい。
本発明に用いる(a)ポリエステル樹脂の固有粘度は、適宜選択して決定すればよいが、通常、0.50以上のものを用いることで、レーザーマーキング性が向上するので好ましい。尚、本発明において固有粘度とは、30℃でのフェノール/テトラクロルエタン(重量比1/1)混合溶媒中にて測定した値を示す。本発明に用いる(a)ポリエステル樹脂の固有粘度の上限は通常、1.3以下である。
本発明に用いる(b)ノボラック型フェノール樹脂は、例えば、フェノール類、アルデヒド類、及び酸性触媒を原料として得られる樹脂である。具体的には例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂や、フェノール−アルキルベンゼン−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。
ノボラック型フェノール樹脂の原料として用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、エチルフェノール、n−ブチルフェノール、パラ−t−ブチルフェノール、n−オクチルフェノール、パラ−t−オクチルフェノール、パラフェニルフェノール、パラ−(1'−フェニル)−エチルフェノール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、フロログルシノール、α−ナフトール、β−ナフトール、4−4'−ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられる。これらは単独または2種以上を任意に割合で併用してもよい。
また、アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、β−ナフチルアルデヒド等が挙げられ、これらを単独または2種以上組み合わせて使用することができる。酸性触媒としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、パラトルエンスルホン酸、蓚酸、硫酸等が挙げられる。これらは単独または2種以上を任意に割合で併用してもよい。
更に、本発明に用いる(b)ノボラック型フェノール樹脂は、エポキシ等により変性されていてもよい。
ノボラック型フェノール樹脂の製造方法は、従来公知の任意のもの方法を、適宜選択して決定すればよい。具体的には例えば、先ずフェノール類と酸性触媒を反応器に仕込み、アルデヒド類をフェノール類と同時に、または反応温度まで昇温した後に添加する。次いで数時間還流反応させ、常圧下または減圧下で縮合水や未反応の遊離モノマー、2核体成分等の低分子成分を、蒸留や溶媒抽出(分別)等により除去し、目的の生成物を得る方法が挙げられる。
また本発明に用いる(b)ノボラック型フェノール樹脂においては、先述の遊離モノマーと2核体成分が少ない方が好ましい。遊離モノマーと2核体成分の合計が多すぎると、(a)ポリエステル樹脂との混練時において異臭等が発生し作業環境を低下させる場合がある。また、この様な(b)ノボラック型フェノール樹脂を使用して得られる本発明のポリエステル樹脂組成物は、これを成形して樹脂成形体としたものにレーザーマーキングをする際、レーザー照射部が燃焼し炭化層を形成する作用も小さくなる(レーザーマーキング性が低下する)場合がある。
よって具体的には、これら遊離モノマーと2核体成分の合計が、(b)ノボラック型フェノール樹脂中において5重量%以下であることが好ましい。また中でも、遊離モノマーが0.1重量%以下、2核体成分が2重量%以下であることが好ましい。また本発明に用いる(b)ノボラック型フェノール樹脂の軟化点は任意だが、通常、80℃以上である。
本発明における(b)ノボラック型フェノール樹脂の含有量は、(a)ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.5重量部〜40重量部である。この含有量が少なすぎるとレーザーマーキング性が十分であり、逆に多すぎても成形品の機械的特性の低下を招く場合がある。よって本発明における(b)ノボラック型フェノール樹脂の含有量は、0.5重量部以上、中でも1重量部以上であることが好ましく、その上限は40重量部以下、中でも30重量部以下、更には20重量部以下、特に15重量部以下であることが好ましい。
尚、本発明に用いる(b)ノボラック型フェノール樹脂の特性値の測定は、下記の方法に従って行ったものである。2核体成分量、遊離モノマー量はゲルパーミエイションクロマトグラフィー法により求めた。具体的には東ソー製GPCカラム(G1000HXL:1本、(G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で求めた。軟化点は、JIS K 7234に記載の環球法により求めた。
本発明においては更に、(c)難燃助剤を用いてもよい。(c)難燃助剤とは、燃焼時にチャーを形成する機能を有するものであり、従来公知の任意の樹脂難燃助剤を使用できる。具体的には例えば、三酸化アンチモン、アンチモン酸金属塩等のアンチモン化合物;硼酸、酸化硼素、無水硼酸、硼酸金属塩等の硼酸化合物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;硫化亜鉛;酸化鉄等が挙げられる。
本発明において(c)難燃助剤として用いるアンチモン化合物とは、例えば三酸化アンチモン(Sb23)やアンチモン酸金属塩(xNa2O・Sb26・yH2O(x=0〜1、y=0〜4))等が挙げられる。中でもレーザーマーキング性の観点から、Sb23が好ましい。
また本発明において(c)難燃助剤として用いる硼酸金属塩としては、本発明のポリエステル樹脂組成物を製造する行程条件下において、安定であり、揮発成分が無いか、または極めて少ないものが好ましい。硼酸金属塩としては、具体的には例えば硼酸のアルカリ金属塩(四硼酸ナトリウム、メタ硼酸カリウム等)やアルカリ土類金属塩(硼酸カルシウム、オルト硼酸マグネシウム、オルト硼酸バリウム、硼酸亜鉛等)等が挙げられる。
これらの中でも、化学式として2ZnO・3B23・xH2O(x=3.3〜3.7)で表される硼酸亜鉛の水和物が好ましい。中でも水和硼酸塩亜鉛としては、化学式として2ZnO・3B23・3.5H2Oで表されるものが好ましく、更には260℃又はそれ以上の温度において安定なものが好ましい。
本発明に用いる(c)難燃助剤としては、中でも、上述した様なアンチモン化合物や硼酸化合物が好ましく、特にアンチモン化合物が好ましい。
また本発明における(c)難燃助剤の含有量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、(a)ポリエステル樹脂100重量部に対して、0〜10重量部である。中でもこの含有量を0.1重量部以上とすることで、レーザーマーキング性改善機能が発揮されるので好ましい。また含有量が多すぎても、本発明のポリエステル樹脂組成物の機械的性質が低下する場合があり、またレーザーマーキング性の観点から、(a)ポリエステル樹脂100重量部に対して、7重量部以下であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、更に、無機充填材等の充填材を含んでいてもよい。充填材としては、従来公知の任意のものを使用できる。中でも、代表的なものとしてはガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリ繊維、金属繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、PPS繊維、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化鉄、黒鉛、カーボンブラック、マイカ、タルク、カオリン、アスベスト、セラミックパウダー、金属フレーク、板状ガラス、ガラスビーズなどが挙げられる。
これら充填材の含有量は、適宜選択して決定すればよいが、一般に(a)ポリエステル樹脂100重量部に対して、120重量部以下、好ましくは100重量部以下である。更に、この様な充填材はシランカップリング剤、チタン系カップリング剤等で表面処理されたものが好ましい。表面処理剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン等の如きアミノシラン系処理剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系処理剤:イソプロピルトリスステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートなどのチタン系処理剤等が挙げられる。
また更に、本発明のポリエステル樹脂組成物は、他の添加剤として、結晶核剤、顔料、染料、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、帯電防止剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲内で含有していてもよい。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法は、従来公知の任意の樹脂コンパウンド製造方法を適宜選択して決定すればよい。具体的には例えば、(a)ポリエステル樹脂と(b)ノボラック型フェノール樹脂と、好ましくは(c)難燃助剤とを、単にドライブレンドする方法が挙げられる。
また、この様にして得られるドライブレンド物を、溶融混合押出にてペレットとする方法が挙げられる。溶融混合押出に際しては、(a)ポリエステル樹脂と(b)ノボラック型フェノール樹脂、及び(c)難燃助剤を押出機のホッパー口から供給し、他の成分、例えば充填剤等はサイドフィード口より供給する方法が、安定した混合ができるので好ましい。
また中でも、(b)ノボラック型フェノール樹脂と(c)難燃助剤とを、(a)ポリエステル樹脂との溶融混合に先立って混合させておくことが好ましい。つまり、(b)ノボラック型フェノール樹脂の製造に引き続き、(c)成分を常圧下160℃以下で溶融混合した後、減圧下で170〜220℃まで加熱して2核体成分等の低分子成分を除去又は低減する方法が挙げられる。このとき、この様な減圧蒸留以外に、溶剤分別などの方法を用いてもよい。
この様にして得られた(b)ノボラック型フェノール樹脂と(c)難燃助剤との溶融混合物との混合物を、(a)ポリエステル樹脂とドライブレンドまたは溶融混合して得られた本発明のポリエステル樹脂組成物は、これを成形してなる樹脂成形体へレーザーマーキングを施した際、(b)ノボラック型フェノール樹脂がチャーを形成しやすくなるので、レーザーマーキング性に優れた、本発明の樹脂成形体を得ることが出来るので好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体には、任意の方法でレーザーマーキングを行なうことができる。例えば、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、ルビーレーザー、半導体レーザー、アルゴンレーザー、エキシマレーザー等を使用することができるが、これらに限定されない。
本発明のポリエステル樹脂成形体は、レーザー光の照射により鮮明なマーキングを行なうことができるが、中でも、レーザー照射によるレーザーマーキングを施した際、レーザーマーキング部の色調が、レーザー未照射部分のポリエステル樹脂成形体表面の色調より暗色である様な、レーザーマーキング性に優れていることを特徴とする。
本発明のポリエステル樹脂成形体の製造方法は任意であり、従来公知の任意の方法を使用できる。具体的には例えば、射出成形やブロー成形等が挙げられる。
そして、レーザーマーキングが施された本発明のポリエステル樹脂成形体は、耐熱性・耐薬品性・低吸水特性や絶縁特性等の諸物性から、コネクタやリレー部品更にはブレーカー等の電気機器部品として優れた効果を奏する。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例及び比較例においては、次のポリエステル樹脂、各種配合剤を用いた。
(a)熱可塑性ポリエステル樹脂
ポリブチレンテレフタレート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品名ノバデュラン5008 固有粘度=0.85
(b)ノボラック型フェノール樹脂
フェノール樹脂―1 :後述の合成例1にて得られたものを使用した。
フェノール樹脂―2 :後述の合成例2にて得られたものを使用した。
(c)難燃助剤
三酸化アンチモン :鈴裕化学社製 商品名AT−3CN
硼酸亜鉛 :ボラックス・ジャパン社製
(d)ガラス繊維
ガラス繊維 :日本電気硝子社製 商品名T187
[ノボラック型フェノール樹脂の合成例]
(合成例1)
還流冷却器及び温度計付きの反応装置に、フェノール1000部、37%ホルマリン430部及び蓚酸10部を仕込み、還流条件下で3時間反応させた。常圧下及び減圧下で遊離モノマーと2核体成分の合計が5重量%以下になるまで蒸留除去を行い、ノボラック型フェノール樹脂450部を得た。この樹脂は遊離モノマーが0.08重量%、2核体成分が0.7重量%、軟化点が96℃であった。
(合成例2)
合成例1と同様の装置に、フェノール1000部、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂(三菱瓦斯化学社製「ニカノールG」)を600部及び蓚酸10部を仕込み、3時間還流反応を行った後、37%ホルマリンを230部加えて1時間還流反応させた後、常圧下、及び減圧下で遊離モノマーが1重量%以下になるまで蒸留除去を行った。
次いで硼酸140部を150℃で溶融混合した後、減圧下で220℃まで加熱して遊離モノマーが0.2重量%のノボラック型フェノール−アルキルベンゼン−ホルムアルデヒド樹脂1600部(硼酸濃度8.7重量%)を得た。
(実施例1〜6 および 比較例1〜5)
表−1に示す配合割合で、ポリエステル樹脂とガラス繊維以外の各種添加剤をブレンド後、日本製鋼所製TEX30C型2軸押出機を用いて、シリンダー温度240〜270℃、スクリュー回転数200rpmの条件下、ガラス繊維はサイドフィードにて溶融混練してポリエステル樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットから、日本製鋼所製J75ED成形機にて、シリンダー温度を240〜270℃設定、金型温度を100℃設定で射出成形し、ダンベル試験片を作製した。次にこのダンベル片に後述の方法にて レーザーマーキングを行なった。また機械的特性の測定を行い、結果を表−1に示す。
マーキング条件及び評価方法は次の方法により行なった。
[マーキング条件]
レーザーマーキング装置 :日本電気社製レーザーマーカー SL475Hマーキング。
レーザー発振器 :S141C
レーザー種 :連続発振式Nd:YAGレーザー。最大出力50W以上。
スキャンスピード :100〜200mm/sec。
超音波Qスイッチ周波数 :1〜2kHzにて行った。

[マーキング評価方法]
目視にて以下の5段階で評価した。また総合的な評価を◎、○、△および×で示した。総合評価に於いて△や×の評価のものは、実用に耐えられないものである。
1:くっきり鮮明で、良好なマーキング。
2:良好なマーキング。
3:やや薄めだが、良好なマーキング。
4:解読可能であるが、かなり不鮮明なマーキング。
5:印字不可または解読不可能。
Figure 2007146059
表―1より、ノボラック型フェノール樹脂−1を配合した実施例1は、非晶性樹脂を配合してない比較例1と比べて、機械的強度はほとんど低下せずに、レーザーマーキング性が著しく改善された。実施例1の組成に更に三酸化アンチモンや硼酸亜鉛を含有させた実施例3、4は、更にレーザーマーキング性が改善された。また比較例1に三酸化アンチモンを含有させた比較例3は、機械的強度も低下し、レーザーマーキング性はほとんど改善しなかった。
そしてガラス繊維が配合された実施例5、6においては、比較例2、4よりレーザーマーキング性が改善された。(b)ノボラック型フェノール樹脂を本発明の範囲外の大量配合した比較例5は、マーキングが不鮮明で実用上問題であり、機械的強度、耐熱性の低下が認められた。
フェノール樹脂−2を10重量部含有させた樹脂組成物である実施例6(硼酸はポリエステル樹脂100重量部に対して0.87重量部含有)は、極めて優れたレーザーマーキング性を示した。
以上より、ハロゲン系難燃剤を含有せず、機械的強度も高くて、レーザーマーキング特性が優れたポリエステル樹脂組成物からの成形品が本発明にて得られたことが判明した。

Claims (9)

  1. (a)ポリエステル樹脂100重量部に対して、(b)ノボラック型フェノール樹脂0.5〜40重量部を含有してなるレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物。
  2. 更に、(a)ポリエステル樹脂100重量部に対して、(c)難燃助剤0.5〜10重量部を含有するレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物。
  3. ポリエステル樹脂が、芳香族ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物。
  4. (b)ノボラック型フェノール樹脂における遊離モノマーと2核体成分の合計含有量が、5重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物。
  5. (c)難燃助剤が、アンチモン化合物及び硼酸化合物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物。
  6. ポリエステル樹脂組成物を成形してなるポリエステル樹脂成形体に、レーザー照射によるレーザーマーキングを施した際、マーキング色調がレーザー未照射部分のポリエステル樹脂成形体表面の色調より暗色であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載のレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物。
  7. (b)ノボラック型フェノール樹脂と(c)難燃助剤との溶融混合物を、(a)ポリエステル樹脂と混合することを特徴とする、請求項2乃至6のいずれかに記載の、レーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1乃至6のいずれかに記載のレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物を成形してなるポリエステル樹脂成形体であって、レーザー照射によるレーザーマーキングが施されていることを特徴とするポリエステル樹脂成形体。
  9. 請求項8に記載のポリエステル樹脂成形体を含む電気機器部品。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014042070A1 (ja) 2012-09-14 2014-03-20 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 熱可塑性樹脂組成物、樹脂成形品、及びメッキ層付樹脂成形品の製造方法

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