JP4286726B2 - ポリフェニレンエ−テル系樹脂製tabスペーサーテープ - Google Patents
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Description
一方、ポリフェニレンエーテルに液晶ポリエステルを配合した樹脂組成物やシートが提案されているが、TABスペーサーテープに関する記載はない。(特許文献2、特許文献3参照)
[1] (A)下記(式1)の繰り返し単位構造からなり、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)が、0.15〜1.0dl/gの範囲にあるホモ重合体及び/または共重合体であるポリフェニレンエーテル系樹脂を成形して得られるTABスペーサーテープ、
[3] (A)ポリフェニレンエ−テル系樹脂50〜99.5質量部と(B)液晶ポリエステル0.5〜50質量部を含有する樹脂組成物を成形して得られる[2]記載のTABスペーサーテープ、
[4] (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(C)I価、II価、III価またはIV価の金属元素を含有する化合物0.1〜10質量部を含有する樹脂組成物を成形して得られる[2]又は[3]に記載のTABスペーサーテープ、
[5] (C)I価、II価、III価またはIV価の金属元素が、Zn元素及び/またはMg元素である[4]に記載のTABスペーサーテープ、
[6] (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(D)アミノ基、ウレイド基、エポキシ基、イソシアネート基およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を含有するシラン化合物0.1〜5質量部を含有する樹脂組成物を成形して得られる[2]〜[5]のいずれかに記載のTABスペーサーテープ、
[7] (D)シラン化合物が、アミノ基を有するシラン化合物である[6]に記載のTABスペーサーテープ、
[8] (A)ポリフェニレンエ−テル系樹脂70〜99.5質量部と(B)液晶ポリエステル0.5〜30質量部を含有する樹脂組成物を成形して得られる[2]〜[6]のいずれかに記載のTABスペーサーテープ、
[9] (A)成分100質量部に対して、(E)無機充填剤が0.1〜150質量部添加される樹脂組成物を成形して得られる[1]に記載のTABスペーサーテープ、
[10] (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(E)無機充填剤が0.1〜150質量部添加される樹脂組成物を成形して得られる[2]〜[8]のいずれかに記載のTABスペーサーテープ、
である。
本発明で用いられる(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂とは、下記(式1)の繰り返し単位構造からなり、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)が、0.15〜1.0dl/gの範囲にあるホモ重合体及び/または共重合体である。さらに好ましい還元粘度は、0.20〜0.70dl/gの範囲、最も好ましくは0.40〜0.60の範囲である。
このポリフェニレンエーテル系樹脂の具体的例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
米国特許第3306875号、同第3257357号および同第3257358号の各明細書、特公昭52−17880号および特開昭50−51197号および同63−152628号の各公報等に記載された方法も(A)ポリフェニレンエーテルの製造方法として好ましい。
本発明の(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂は、重合工程後のパウダーのまま用いてもよいし、押出機などを用いて、窒素ガス雰囲気下あるいは非窒素ガス雰囲気下、脱揮下あるいは非脱揮下にて溶融混練することでペレット化して用いてもよい。
本発明の(B)液晶ポリエステルはサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルで、公知のものが使用できる。例えば、p−ヒドロキシ安息香酸およびポリエチレンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および4,4′−ジヒドロキシビフェニルならびにテレフタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステルなどが挙げられ、特に制限はない。本発明で使用される(B)液晶ポリエステルとしては、下記構造単位(イ)および/または(ロ)、並びに必要に応じて下記構造単位(ハ)および/または(ニ)からなるものが好ましい。
構造式(ニ)において好ましいのは、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ジカルボキシナフタレンのそれぞれから生成した構造単位であり、さらに好ましいのは、テレフタル酸およびイソフタル酸のそれぞれから生成した構造単位である。
また、構造式(ニ)においては、1)テレフタル酸から生成した構造単位/イソフタル酸から生成した構造単位、2)テレフタル酸から生成した構造単位/2,6−ジカルボキシナフタレンから生成した構造単位、などを挙げることができる。ここでテレフタル酸量は2成分中、好ましくは40wt%以上、さらに好ましくは60wt%以上、特に好ましくは80wt%以上である。テレフタル酸量を2成分中40wt%以上とすることで、比較的に流動性、耐熱性が良好な樹脂組成物となる。液晶ポリエステル(B)成分中の構造単位(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の使用割合は特に限定されない。ただし、構造単位(ハ)と(ニ)は基本的にほぼ等モル量となる。
本発明の(B)成分の溶融時での液晶状態を示し始める温度(以下、液晶開始温度という)は、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは180〜320℃である。液晶開始温度をこの範囲にすることは、得られる樹脂製テープ中に黒色異物が少なくなり、好ましい。
これらの中でより好ましい例としては、ZnO、Mg(OH)2、Ti(OiPr)4、Ti(OnBu)4、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、が挙げられる。さらに層剥離の無さの観点から、ZnOおよび/またはMg(OH)2が好ましく、特にZnOが好ましい。またこれらの(C)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、不純物を含んでいてもよい。
本発明における(C)成分の配合量は、(A)と(B)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部含有することが好ましく、0.2〜5質量部がさらに好ましく、0.4〜3質量部が特に好ましい。この(C)成分の含有量は、テープの層剥離の観点から0.1重量以上が好ましく、比重の観点および耐熱性の観点から10質量部以下が好ましい。
本発明においては、(C)成分と(D)成分を併用して用いることもできる。
本発明で用いられる(E)無機充填剤とは、強度付与剤として、ガラス繊維、金属繊維、チタン酸カリウム、炭素繊維、炭化ケイ素、セラミック、窒化ケイ素、マイカ、ネフェリンシナイト、タルク、ウオラストナイト、スラグ繊維、フェライト、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン、石英、石英ガラス、溶融シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、などの無機化合物があげられる。中でも、シート成形性と熱収縮率の観点から、炭酸カルシウム、タルク、ウオラストナイト、溶融シリカが好ましい。
また、これらの無機系の充填剤は、2種類以上併用することも可能である。また、必要に応じて、シラン系、チタン系などのカップリング剤で予備処理して使用することができる。
また(E)無機充填剤の配合量は、成分(A)と成分(B)の合計100質量部(成分(B)を含まない場合は成分(A)100質量部)に対して、0.1〜150質量部である。特に、シート成形性と熱収縮率の観点から、好ましくは1〜100質量部、さらに好ましくは2〜20質量部である。
本発明の樹脂組成物は種々の方法で製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練方法が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。この際の溶融混練温度は特に限定されるものではないが、通常150〜350℃の中から任意に選ぶことができる。
TABスペーサーテープ巾については、10〜250mmであり、好ましくは20〜100mmであり、より好ましくは30〜80mmである。多くの場合、35mm、48mm、70mm巾などが好適である。
本発明のTABスペーサーテープは、押出しチューブラー法、場合によってはインフレーション法とも呼ばれる方法にて製造することができる。円筒から出てきたパリソンがすぐに冷却してしまわないように、50〜290℃の温度範囲の中から適宜選択して、パリソンの温度制御することがシート厚みを均一にし、層剥離のないシートを作成する上で極めて重要である。
一方、本発明のTABスペーサーテープは、Tダイ押出成形によって製造することができる。この場合、無延伸のまま用いてもよいし、1軸延伸してもよいし、2軸延伸することによっても得られる。シートの強度を高めたい場合は、延伸することにより達成することができる。
こうして得られた本発明のTABスペーサーテープは、高温下においてガス発生が少なく、比重が小さく、熱収縮率が小さく、プレス成形性に優れたものである。
[製造例1]
<ポリフェニレンエーテル(PPE−1)の製造例>
2,6−ジメチルフェノールを酸化重合して得た還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)0.42のパウダー状のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)である。
<液晶ポリエステル(LCP−1)の製造例>
窒素雰囲気下において、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、無水酢酸を仕込み、加熱溶融し、重縮合することにより、以下の理論構造式を有する液晶ポリエステル(LCP−1)を得た。なお、組成の成分比はモル比を表す。
(1)テープ成形
得られたペレットを、シリンダー温度290℃、円筒状ダイス温度290℃に設定したスクリュー径50mmの押出機を用い、チューブラー法により、押出シート成形を実施した。ブローする空気の圧力は厚みが125μmになるように設定した。これをスリッターを用いて、35mm巾に裁断した。
(2)ガス発生
上記(1)で得られたテープ50m巻きを、170℃に設定された熱風乾燥オーブン(パーフェクトオーブンPHH−201 エスペック(株)製)に3時間入れた後、とりだし、加熱前後の重量を評価し、以下の判断基準に基づき、ガス発生を判定した。各2個の平均値をとった。
重量減少率(Δw)(ppm)=(w0−w1)/w0×1,000,000
(w1:加温後、室温に冷却された後のテープ巻きの重量(g)、w0:加温前のテープ巻きの重量(g))
○:Δwが10ppm未満のもの。
△:Δwが10ppm以上100ppm未満のもの。
×:Δwが100ppm以上のもの。
上記(1)で得られたテープ50cmを、電子比重計(ED−120T、ミラージュ貿易(株))を用いて、23℃における比重を測定した。
(4)熱収縮
上記(1)で得られたTABスペーサーテープを用い、長さ1mにサンプルを切り出し、170℃に設定された熱風乾燥オーブン(パーフェクトオーブンPHH−201 エスペック(株)製)に1時間入れた後、とりだし、十分室温に冷却された後、長さを測定し、以下の式に従って、寸法変化率(ΔL)を求めた。各2個の平均値をとった。
寸法変化率(ΔL)(%)=(L1−L0)/L0×100
(L1:加熱後の長さ、L0:加熱前の長さ)
テープの熱収縮を以下の判断基準に基づき、評価を実施した。
◎:寸法変化率が0.05%未満のもの。
○:寸法変化率が0.05%以上、0.1%未満のもの。
△:寸法変化率が0.1%以上、0.2%未満のもの。
×:寸法変化率が0.2%以上のもの。
220℃に設定された山形と谷形が交互についた連続エンボスプレス加工機にて、(1)で得られたテープをエンボス加工し、以下の判断基準に基づいて、そのプレス成形性を判定した。
○:目視でテープに白化もクラックも認められない。
×:目視でテープに白化かクラックのいずれかが認められる。
ポリフェニレンエーテル(PPE−1)と液晶ポリエステル(LCP−1)と酸化亜鉛(ZnO、特級グレード、和光純薬(株)製)を、表1に示す割合(質量部)に配合し、フィード側のZONE1を250℃、ZONE2〜7およびダイスヘッドを310℃に設定したベントポート付き二軸押出機(ZSK−25;WERNER&PFLEIDERER社製、(スクリュー径)=25mm、(スクリュー長さ)/(スクリュー径)=42)を用いて、(回転数)=300rpm、(吐出量)=12kg/hrになるように溶融混練し、ペレットとして得た。
このペレットを用い、上に示した方法により、125μm厚み、巾35mmのテープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
(D)成分として、アミノ基を含有するシラン化合物(シラン1、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、KBM−603、信越化学工業(株)製)を用い、各成分を表1に示す割合(質量部)で配合したこと以外は、実施例1と同様に実施して、ペレットを得て、シート成形加工した後、テープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
(A)成分として、ポリフェニレンエーテル(PPE−1)に加え、ハイインパクトポリスチレン(HIPS、H9405、PSジャパン(株)製)を用い、その他の成分として、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物(SEBS、タフテックH1051(登録商標)、旭化成ケミカルズ(株)製)を用い、各成分を表1に示す割合(質量部)で配合したこと以外は、実施例1と同様に実施して、ペレットを得て、シート成形加工した後、テープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
ペレットとして変性PPE樹脂(ザイロンX9102(登録商標)、旭化成ケミカルズ(株)製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にシート成形加工した後、テープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
シートとして、厚さ125μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製:カプトン(登録商標)500H)を用いて、スリッターを用いて、35mm巾に裁断し、テープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
ペレットとして、ポリフェニレンエーテルイミド(PEI、ウルテム1000(登録商標)、GEプラスチックス(株)製)を用いたことと、シート成形加工時のシリンダ温度を350℃にしたこと以外は、実施例1と同様にシート成形加工した後、テープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
ペレットとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET、NEH2050、ユニチカ(株)製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にシート成形加工した後、テープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
TABスペーサーテープは、TABに装着した半導体装置の封止剤を硬化させる工程でオーブン内で加熱しても、変形することなく、またTABテープとほぼ同等の熱収縮率を示すことが要求されており、さらに安価で、比重が小さく、高温下においてガス発生が少ないことが求められている。従って、本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂製TABスペーサーテープは、非常にTABスペーサーテープ特性に適しており、工業的価値は極めて大きい。
Claims (10)
- (A)ポリフェニレンエ−テル系樹脂に、更に(B)液晶ポリエステル系樹脂を含有してなる樹脂組成物を成形して得られる請求項1に記載のTABスペーサーテープ。
- (A)ポリフェニレンエ−テル系樹脂50〜99.5質量部と(B)液晶ポリエステル0.5〜50質量部を含有する樹脂組成物を成形して得られる請求項2に記載のTABスペーサーテープ。
- (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(C)I価、II価、III価またはIV価の金属元素を含有する化合物0.1〜10質量部を含有する樹脂組成物を成形して得られる請求項2又は3に記載のTABスペーサーテープ。
- (C)I価、II価、III価またはIV価の金属元素が、Zn元素及び/またはMg元素である請求項4に記載のTABスペーサーテープ。
- (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(D)アミノ基、ウレイド基、エポキシ基、イソシアネート基およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を含有するシラン化合物0.1〜5質量部を含有する樹脂組成物を成形して得られる請求項2〜5のいずれかに記載のTABスペーサーテープ。
- (D)シラン化合物が、アミノ基を有するシラン化合物である請求項6に記載のTABスペーサーテープ。
- (A)ポリフェニレンエ−テル系樹脂70〜99.5質量部と(B)液晶ポリエステル0.5〜30質量部を含有する樹脂組成物を成形して得られる請求項2〜6のいずれかに記載のTABスペーサーテープ。
- (A)成分100質量部に対して、(E)無機充填剤が0.1〜150質量部添加される樹脂組成物を成形して得られる請求項1に記載のTABスペーサーテープ。
- (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(E)無機充填剤が0.1〜150質量部添加される樹脂組成物を成形して得られる請求項2〜8のいずれかに記載のTABスペーサーテープ。
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