JP4854095B2 - ポリフェニレンエ−テル系樹脂製tabリードテープ - Google Patents
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Description
[1] ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と、
液晶ポリエステル(B)と、
前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して、ZnO(C)0.1〜10質量部と、
を含有する樹脂組成物を成形して得られるTABリードテープ、
[2] 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)50〜99.5質量部と、液晶ポリエステル(B)0.5〜50質量部と、を含有する樹脂組成物を成形して得られる[1]に記載のTABリードテープ、
[3] 前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して、シラン化合物(D)0.1〜5質量部をさらに含有する樹脂組成物を成形して得られる[1]又は[2]に記載のTABリードテープ、
[4] 前記(D)成分が、アミノ基を有するシラン化合物である[3]に記載のTABリードテープ、
[5] 前記(A)成分70〜99.5質量部と、前記(B)成分0.5〜30質量部と、を含有する樹脂組成物を成形して得られる[1]〜[4]のいずれか一項に記載のTABリードテープ、
[6] 前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して、無機充填剤(E)が1〜100質量部添加される樹脂組成物を成形して得られる[1]〜[5]のいずれか一項に記載のTABリードテープ、
である。
本発明において用いられる(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂は、下記(式1)の繰り返し単位構造からなり、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)が、0.15〜1.0dl/gの範囲にあるホモ重合体及び/または共重合体である。さらに好ましい還元粘度は、0.20〜0.70dl/gの範囲、最も好ましくは0.40〜0.60の範囲である。
このポリフェニレンエーテル系樹脂の具体的例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
米国特許第3306875号、同第3257357号および同第3257358号の各明細書、特公昭52−17880号および特開昭50−51197号および同63−152628号の各公報等に記載された方法も(A)ポリフェニレンエーテルの製造方法として好ましい。
本発明の(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂は、重合後のパウダーのまま用いてもよいし、押出機などを用いて、窒素ガス雰囲気下あるいは非窒素ガス雰囲気下、脱揮下あるいは非脱揮下にて溶融混練することでペレット化して用いてもよい。
本発明の(B)液晶ポリエステルはサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルで、公知のものが使用できる。例えば、p−ヒドロキシ安息香酸およびポリエチレンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および4,4′−ジヒドロキシビフェニルならびにテレフタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステルなどが挙げられ、特に制限はない。本発明で使用される(B)液晶ポリエステルとしては、下記構造単位(イ)および/または(ロ)、並びに必要に応じて下記構造単位(ハ)および/または(ニ)からなるものが好ましい。
たポリエステルの構造単位と、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸から生成した構造単位で
ある。構造単位(イ)および(ロ)を使用することで、優れた耐熱性、流動性や剛性など
の機械的特性のバランスに優れた本発明の熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。上記
構造単位(ハ)および(ニ)中のXは、下記(式2)よりそれぞれ独立に1種あるいは2
種以上選択することができる。
構造式(ニ)において好ましいのは、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ジカルボキシナフタレンのそれぞれから生成した構造単位であり、さらに好ましいのは、テレフタル酸およびイソフタル酸のそれぞれから生成した構造単位である。
また、構造式(ニ)においては、1)テレフタル酸から生成した構造単位/イソフタル酸から生成した構造単位、2)テレフタル酸から生成した構造単位/2,6−ジカルボキシナフタレンから生成した構造単位、などを挙げることができる。ここでテレフタル酸量は2成分中、好ましくは40wt%以上、さらに好ましくは60wt%以上、特に好ましくは80wt%以上である。テレフタル酸量を2成分中40wt%以上とすることで、比較的に流動性、耐熱性が良好な樹脂組成物となる。液晶ポリエステル(B)成分中の構造単位(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)の使用割合は特に限定されない。ただし、構造単位(ハ)と(ニ)は基本的にほぼ等モル量となる。
本発明の(B)成分の溶融時での液晶状態を示し始める温度(以下、液晶開始温度という)は、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは180〜320℃である。液晶開始温度をこの範囲にすることは、得られる樹脂製シート中に黒色異物が少なくなり、好ましい。
中でもZn、Mg、Ti、Pb、Cd、Sn、Sb、Ni、Al、Ge元素が好ましく、Zn、Mg、Ti元素がより好ましい。層剥離がなく、シートの靱性を大きく向上させる観点から、I価、II価、III価またはIV価の金属元素がZn元素および/またはMg元素であることが更に好ましく、Zn元素であることが特に好ましい。
本発明の(D)シラン化合物とは、官能基含有シラン化合物のことであり、アミノ基、ウレイド基、エポキシ基、イソシアネート基およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を含有するシラン化合物である。官能基含有シラン化合物は、通常、これらの官能基のうちのいずれか1個を分子中に含有するものであればよいが、場合によっては、これらの官能基の2種以上を分子中に含有するものであっても良い。
さらに、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、β−メルカプトエチルトリメトキシシラン、β−メルカプトエチルトリエトキシシラン、β−メルカプトエチルジメトキシシランなどのメルカプト基を含有するシラン化合物;等が挙げられる。
本発明における(B)成分の液晶ポリエステルの配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、流動性およびシート中の黒色異物の発生防止の観点から0.5質量部以上であり、液晶ポリマーの異方性によるシートの厚みむら防止の観点から50質量部以下であり、好ましくは0.5〜30質量部で、さらに好ましくは2〜25質量部である。
本発明における(C)成分の配合量は、(A)と(B)の合計100質量部に対して、シートの層はくり防止の観点から0.1質量部以上であり、組成物の比重および耐熱性の観点から10質量部以下であり、さらに0.2〜5質量部が好ましく、特に0.4〜3質量部が好ましい。
本発明においては、(C)成分と(D)成分を併用して用いることもできる。
本発明で用いられる無機充填剤(E)とは、強度付与剤として、ガラス繊維、金属繊維、チタン酸カリウム、炭素繊維、炭化ケイ素、セラミック、窒化ケイ素、マイカ、ネフェリンシナイト、タルク、ウオラストナイト、スラグ繊維、フェライト、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン、石英、石英ガラス、溶融シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、などの無機化合物があげられる。中でも、シート成形性と熱収縮率の観点から、炭酸カルシウム、タルク、ウオラストナイト、溶融シリカが好ましい。
また、これらの無機系の充填剤は、2種類以上併用することも可能である。また、必要に応じて、シラン系、チタン系などのカップリング剤で予備処理して使用することができる。
また(E)無機充填剤の配合量は、成分(A)と成分(B)の合計100質量部(成分(B)を含まない場合は成分(A)100質量部)に対して、0.1〜150質量部である。特に、シート成形性と熱収縮率の観点から、好ましくは1〜100質量部、さらに好ましくは2〜20質量部である。
本発明の樹脂組成物は種々の方法で製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練方法が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。この際の溶融混練温度は特に限定されるものではないが、通常150〜350℃の中から任意に選ぶことができる。
TABリードテープ巾については、10〜100mmであり、好ましくは20〜90mmであり、より好ましくは30〜80mmである。多くの場合、35mm、48mm、70mm巾などが好適である。
本発明のTABリードテープは、上記で得られた樹脂組成物を原料とし、押出シート成形により得ることもできるし、本発明の成分を押出シート成形機に直接投入し、ブレンドとシート成形を同時に実施して得ることもできる。
本発明のTABリードテープは、押出しチューブラー法、場合によってはインフレーション法とも呼ばれる方法にて製造することができる。円筒から出てきたパリソンがすぐに冷却してしまわないように、50〜290℃の温度範囲の中から適宜選択して、パリソンの温度制御することがシート厚みを均一にし、層剥離のないシートを作成する上で極めて重要である。
こうして得られた本発明のTABリードテープは、耐吸水性に優れ、耐熱性、熱収縮性、穴打ち抜き性に優れたものである。
[製造例1]
<ポリフェニレンエーテル(PPE−1)の製造例>
2,6−ジメチルフェノールを酸化重合して得た還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)0.42のパウダー状のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)である。
<液晶ポリエステル(LCP−1)の製造例>
窒素雰囲気下において、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、無水酢酸を仕込み、加熱溶融し、重縮合することにより、以下の理論構造式を有する液晶ポリエステル(LCP−1)を得た。なお、組成の成分比はモル比を表す。
(1)テープ成形
得られたペレットを、シリンダー温度290℃、円筒状ダイス温度290℃に設定したスクリュー径50mmの押出機を用い、チューブラー法により、押出シート成形を実施した。ブローする空気の圧力は厚みが125μmになるように設定した。これをスリッターを用いて、35mm巾に裁断した。
(2)耐吸水性
上記(1)で得られたTABリードテープを用い、長さ1mにサンプルを切り出し、恒温恒湿槽(タバイエスペック(株)製、PL−3FP)を用い、85℃、95%相対湿度の加温加湿環境下に、48時間曝した後、以下の式に従って、重量増加率(Δw)を求めた。各2個の平均値をとった。
重量増加率(Δw)(%)=(w1−w0)/w0×100
(w1:加温加湿48時間後、恒温恒湿槽から取り出し、テープ表面の露を拭い去り、23℃、50%の相対湿度に管理された部屋に30分間放置した後のテープ重量(g)、w0:加温加湿前に、100℃、2時間熱風乾燥機中にて乾燥し、デシケーター中にて室温まで冷却したテープ重量(g))
テープの耐吸水性を以下の判断基準に基づき、評価を実施した。
○:Δwが0.1%未満のもの。
△:Δwが0.1%以上で、0.4%未満のもの。
×:Δwが0.4%以上のもの。
上記(1)で得られたテープを用いて、長さ20cmにサンプルを切り出し、170℃に設定された熱風乾燥オーブン(パーフェクトオーブンPHH−201 エスペック(株)製)に1時間入れた後、とりだし、変形の有無を目視で観察した。
○:変形の認められなかったもの。
×:変形が認められたもの。
(4)熱収縮
上記(1)で得られたTABリードテープを用い、長さ1mにサンプルを切り出し、170℃に設定された熱風乾燥オーブン(パーフェクトオーブンPHH−201 エスペック(株)製)に1時間入れた後、とりだし、十分室温に冷却された後、長さを測定し、以下の式に従って、寸法変化率(ΔL)を求めた。各2個の平均値をとった。
寸法変化率(ΔL)(%)=(L1−L0)/L0×100
(L1:加熱後の長さ、L0:加熱前の長さ)
テープの熱収縮を以下の判断基準に基づき、評価を実施した。
◎:寸法変化率が0.05%未満のもの。
○:寸法変化率が0.05%以上、0.1%未満のもの。
△:寸法変化率が0.1%以上、0.2%未満のもの。
×:寸法変化率が0.2%以上のもの。
フィルム長さ300m分を、それぞれ連続フィルム打ち抜き機で、1mm角の穴を5mm間隔で打ち抜き、以下の判断基準に基づき、その穴打ち抜き性を判断した。
○:フィルムを真横から光学顕微鏡(50倍)で観察して、穴の上下にひげ状に伸びたばりが全く見られず、かつ粉の発生も全く認めらない。
×:フィルムを真横から光学顕微鏡(50倍)で観察して、穴の上下にひげ状に伸びたばりが認められるか、もしくは粉の発生が認められたもの。
ポリフェニレンエーテル(PPE−1)と液晶ポリエステル(LCP−1)と酸化亜鉛(ZnO、特級グレード、和光純薬(株)製)を、表1に示す割合(質量部)に配合し、フィード側のZONE1を250℃、ZONE2〜7およびダイスヘッドを310℃に設定したベントポート付き二軸押出機(ZSK−25;WERNER&PFLEIDERER社製、(スクリュー径)=25mm、(スクリュー長さ)/(スクリュー径)=42)を用いて、(回転数)=300rpm、(吐出量)=12kg/hrになるように溶融混練し、ペレットとして得た。
このペレットを用い、上に示した方法により、125μm厚み、巾35mmのテープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
(D)成分として、アミノ基を含有するシラン化合物(シラン1、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、KBM−603、信越化学工業(株)製)を用い、各成分を表1に示す割合(質量部)で配合したこと以外は、実施例1と同様に実施して、ペレットを得て、シート成形加工した後、テープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
(A)成分として、ポリフェニレンエーテル(PPE−1)に加え、ハイインパクトポリスチレン(HIPS、H9405、PSジャパン(株)製)を用い、その他の成分として、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物(SEBS、タフテックH1051(登録商標)、旭化成ケミカルズ(株)製)を用い、各成分を表1に示す割合(質量部)で配合したこと以外は、実施例1と同様に実施して、ペレットを得て、シート成形加工した後、テープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
ペレットとして変性PPE樹脂(ザイロンX9102(登録商標)、旭化成ケミカルズ(株)製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にシート成形加工した後、テープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
ペレットとして、ポリフェニレンエーテルイミド(PEI、ウルテム1000(登録商標)、GEプラスチックス(株)製)を用いたことと、シート成形加工時のシリンダー温度を350℃にしたこと以外は、実施例1と同様にシート成形加工した後、テープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
ペレットとして、ポリフェニレンサルファイド(PPS、トレリナA900(登録商標)、東レ(株)製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にシート成形加工した後、テープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
ペレットとして、固有粘度(フェノール/テトラクロロエチン混合溶媒にて、35℃で測定)0.62dl/gのポリエチレンナフタレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にシート成形加工した後、テープを得た。上に示した方法に従ってテープ評価を実施した。その結果を表1に示した。
表1から、本発明により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂製テープは、耐吸水性に優れ、耐熱性、熱収縮性、穴打ち抜き性に優れていることがわかり、従来にはない、安価で、優れたTABリードテープであることがわかる。
Claims (6)
- ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と、
液晶ポリエステル(B)と、
前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して、ZnO(C)0.1〜10質量部と、
を含有する樹脂組成物を成形して得られるTABリードテープ。 - 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)50〜99.5質量部と、液晶ポリエステル(B)0.5〜50質量部と、を含有する樹脂組成物を成形して得られる請求項1に記載のTABリードテープ。
- 前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して、シラン化合物(D)0.1〜5質量部をさらに含有する樹脂組成物を成形して得られる請求項1又は2に記載のTABリードテープ。
- 前記(D)成分が、アミノ基を有するシラン化合物である請求項3に記載のTABリードテープ。
- 前記(A)成分70〜99.5質量部と、前記(B)成分0.5〜30質量部と、を含有する樹脂組成物を成形して得られる請求項1〜4のいずれか一項に記載のTABリードテープ。
- 前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して、無機充填剤(E)が1〜100質量部添加される樹脂組成物を成形して得られる請求項1〜5のいずれか一項に記載のTABリードテープ。
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