JP4804165B2 - 樹脂製シートの製造方法 - Google Patents
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Description
ポリフェニレンエーテルの流動性を改良する技術として、液晶ポリエステルを配合する技術(例えば、特許文献1参照。)が提案されているが、100〜1000(1/秒)の高いシェアレートがかかる射出成形に関するものであり、シェアレートの低い押出成形についての記載はなく、物性も十分とはいえない。
また、耐熱性に優れ、層剥離がないポリフェニレンエーテルと液晶ポリエステルからなるシートとして、特定の金属元素および/またはシラン化合物を配合する技術(例えば、特許文献4参照。)が提案されているが、シート成形時の目やにの発生量が少ないという点では十分とは言えなかった。
そこで、シート成形時に目やにの発生量が少なく、外観に優れた樹脂製シートとその製造方法が所望されているのが現状であった。
、(ii)溶融されたポリフェニレンエーテルから揮発分を除去する工程、(iii)液
晶ポリエステルを添加し溶融混練する工程、(iv)工程(iii)から得られた樹脂組
成物を押出成形する工程を経てシート成形することが、上記課題を解決するために有効で
あることを見出し、本発明に到達した。
次に、本発明の理解を容易にするために、本発明の基本的特徴及び好ましい諸態様を列
挙する。
(1)(i)(A)ポリフェニレンエーテルを溶融する工程、(ii)溶融された(A)
から揮発分を除去する工程、(iii)(B)ポリフェニレンエーテルを添加し溶融混練
する工程、(iv)工程(iii)から得られた樹脂組成物を押出成形する工程、を含む
樹脂製シートの製造方法。
(2)(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(A)成分が50〜99質
量部、(B)成分が1〜50質量部である上記(1)に記載の樹脂製シートの製造方法。
(3)(C)I価、II価、III価またはIV価の金属元素を含有する化合物を添加す
る上記(1)、(2)記載の樹脂製シートの製造方法。
(4)(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(C)成分0.1〜10質
量部を添加する上記(3)記載の樹脂製シートの製造方法。
(5)(C)が(A)と同時に添加される上記(3)、(4)記載の樹脂製シートの製造
方法。
(6)(C)の金属元素が、Zn元素、Mg元素、Ti元素、Sn元素、Sb元素、Al
元素およびGe元素から選ばれる1種以上である上記(3)〜(5)記載の樹脂製シート
の製造方法。
(7)(C)が、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、水酸化マグネシウム、酸化マ
グネシウム、テトラブトキシチタネートおよびテトライソプロポキシチタネートから選ば
れる1種以上である上記(3)〜(6)記載の樹脂製シートの製造方法。
(8)(D)シラン化合物を添加する上記(1)〜(7)記載の樹脂製シート。
(9)(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(D)成分0.05〜5質
量部を添加する上記(8)記載の樹脂製シートの製造方法。
(10)(D)が(A)と同時に添加される上記(8)、(9)記載の樹脂製シートの製
造方法。
(11)(D)が、アミノ基、ウレイド基、エポキシ基、イソシアネート基、およびメル
カプト基から選ばれる1種以上の官能基を含有する上記(8)〜(10)記載の樹脂製シ
ートの製造方法。
製造方法を提供することができる。
本発明で使用できる(A)成分のポリフェニレンエーテルとは、式(1)の構造単位からなる、ホモ重合体及び/または共重合体である。
本発明で用いるポリフェニレンエーテルの製造方法は公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3306874号明細書、同第3306875号明細書、同第3257357号明細書及び同第3257358号明細書、特開昭50−51197号公報、特公昭52−17880号公報及び同63−152628号公報等に記載された製造方法等が挙げられる。
本発明においては、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルをブレンドしたものであっても構わない。例えば、還元粘度0.45dl/g以下のポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物、還元粘度0.40dl/g以下の低分子量ポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物等が挙げられるが、もちろん、これらに限定されることはない。
ここでいう変性されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたポリフェニレンエーテルを指す。
該変性されたポリフェニレンエーテルの製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下、非存在下で100℃以上、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の範囲の温度でポリフェニレンエーテルを溶融させることなく変性化合物と反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度以上360℃以下の範囲の温度で変性化合物と溶融混練し反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の温度で、ポリフェニレンエーテルと変性化合物を溶液中で反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わないが、(1)及び、(2)の方法が好ましい。
分子内に炭素−炭素二重結合とカルボン酸基、酸無水物基を同時に有する変性化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。特にフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が良好で、フマル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
また、これら不飽和ジカルボン酸のカルボキシル基の、1個または2個のカルボキシル基がエステルになっているものも使用可能である。
これらの中でグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートが特に好ましい。
分子内に炭素−炭素二重結合と水酸基を同時に有する変性化合物としては、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オールなどの一般式CnH2n−3OH(nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式CnH2n−5OH、CnH2n−7OH(nは正の整数)等の不飽和アルコール等が挙げられる。
変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の変性化合物の添加量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5質量部である。
ラジカル開始剤を用いて変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の好ましいラジカル開始剤の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.001〜1質量部である。
該変性されたポリフェニレンエーテル中には、未反応の変性化合物及び/または、変性化合物の重合体が残存していても構わない。
また、ポリフェニレンエーテルの安定化の為に公知となっている各種安定剤も好適に使用することができる。安定剤の例としては、ヒンダードフェノール系安定剤、リン系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等の有機安定剤であり、これらの好ましい配合量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して5質量部未満である。
本発明の(B)成分の液晶ポリエステルとは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルで、公知のものを使用できる。例えば、p−ヒドロキシ安息香酸およびポリエチレンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および4,4′−ジヒドロキシビフェニルならびにテレフタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステルなどが挙げられ、特に制限はない。本発明で使用される液晶ポリエステルとしては、下記構造単位(イ)、(ロ)、および必要に応じて(ハ)および/または(ニ)からなるものが好ましく用いられる。
構造式(ハ)および構造式(ニ)は、上記に挙げた構造単位を少なくとも1種あるいは2種以上を併用することができる。具体的には、2種以上併用する場合、構造式(ハ)においては、1)エチレングリコールから生成した構造単位/ハイドロキノンから生成した構造単位、2)エチレングリコールから生成した構造単位/4,4′−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、3)ハイドロキノンから生成した構造単位/4,4′−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、などを挙げることができる。
本発明の液晶ポリエステルの25℃、1MHzにおける誘電正接(tanδ)は、好ましくは0.03以下であり、さらに好ましくは0.025以下である。この誘電正接の値が小さければ小さいほど、誘電損失は小さくなり、この樹脂組成物を電気・電子部品の原料として用いる時、発生する電気的ノイズが抑制され好ましい。特に25℃、高周波数領域下、すなわち1〜10GHz領域において、誘電正接(tanδ)は、好ましくは0.03以下であり、さらに好ましくは0.025以下である。
本発明においては、液晶ポリエステルは溶融されたポリフェニレンエーテル中へ添加されることが必須である。また、ポリフェニレンエーテルは分割して添加しても構わない。例えば、ポリフェニレンエーテルの一部を予め溶融させた後に、残りのポリフェニレンエーテルと液晶ポリエステルを添加して溶融混練する方法、溶融したポリフェニレンエーテルに液晶ポリエステルを添加して溶融混練した後に、さらにポリフェニレンエーテルを添加して溶融混練する方法等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明におけるポリフェニレンエーテルと液晶ポリエステルの好ましい配合量は、ポリフェニレンエーテルと液晶ポリエステルの合計100質量部としたとき、ポリフェニレンエーテル50〜99質量部、液晶ポリエステル1〜50質量部である。より好ましくはポリフェニレンエーテル60〜99質量部、液晶ポリエステル1〜40質量部、さらに好ましくはポリフェニレンエーテル80〜99質量部、液晶ポリエステル1〜20質量部である。
本発明においては、(C)成分として、I価、II価、III価またはIV価の金属元素を含有する化合物を添加しても構わない。I価、II価、III価またはIV価の金属元素を含有する化合物とは、金属を含有する無機化合物または有機化合物であり、本質的に金属元素を主たる構成成分とする化合物である。I価、II価、III価またはIV価をとりうる金属元素の具体例として、Li、Na、K、Zn、Cd、Sn、Cu、Ni、Pd、Co、Fe、Ru、Mn、Pb、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ti、Ge、Sbが挙げられる。中でもZn、Mg、Ti、Pb、Cd、Sn、Sb、Ni、Al、Ge元素が好ましく、さらにはZn、Mg、Ti元素が好ましい。ダート衝撃性を大きく向上させる観点から、I価、II価、III価またはIV価の金属元素がZn元素および/またはMg元素であることが特に好ましい。
I価、II価、III価またはIV価の金属元素を含有する化合物の添加方法に特に制限はない。ポリフェニレンエーテルと同時に添加しても構わないし、液晶ポリエステルと同時に、溶融したポリフェニレンエーテル中に添加しても構わない。また、もちろん単独で溶融したポリフェニレンエーテル中へ添加しても構わない。好ましい添加方法としてはポリフェニレンエーテルと同時に添加する方法である。
本発明で使用できるシラン化合物としては、前記のような官能基を分子中に含有するアルコキシシランが好ましい。
シラン化合物の添加方法に特に制限はない。ポリフェニレンエーテルと同時に添加しても構わないし、液晶ポリエステルと同時に、溶融したポリフェニレンエーテル中に添加しても構わない。また、もちろん単独で溶融したポリフェニレンエーテル中へ添加しても構わない。好ましい添加方法としてはポリフェニレンエーテルと同時に添加する方法である。
本発明の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」とは、当該ブロックにおいて、少なくとも50質量%以上が芳香族ビニル化合物単位であることを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」に関しても同様で、少なくとも50質量%以上が共役ジエン化合物単位であることを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
芳香族ビニル化合物の具体例としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもスチレンが特に好ましい。
共役ジエン化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
本発明におけるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]が、A−B型、A−B−A型、A−B−A−B型から選ばれる結合形式を有するブロック共重合体である事が好ましく、これらの混合物であっても構わない。これらの中でもA−B型、A−B−A型、又はこれらの混合物がより好ましく、A−B−A型がもっとも好ましい。
これらブロック共重合体は水素添加されていないブロック共重合体と水素添加されたブロック共重合体の混合物としても問題なく使用可能である。
また、本発明で使用するブロック共重合体は、全部又は一部が変性されたブロック共重合体であっても構わない。
ここでいう変性されたブロック共重合体とは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたブロック共重合体を指す。
本発明におけるエラストマーの添加量としては、ポリフェニレンエーテルと液晶ポリエステルの合計量100質量部に対し、50質量部未満であることが好ましい。これらエラストマーの添加方法に特に制限はないが、ポリフェニレンエーテルと同時に添加されることが好ましい。
本発明においては、さらに難燃剤を添加することができる。難燃剤としては、ケイ素化合物、環状窒素化合物、あるいはリン系難燃剤が好ましい。
ケイ素化合物の例としては、例えば、シリコーン、籠状シルセスキオキサンまたはその部分開裂構造体、シリカ等が挙げられる。
リン系難燃剤としては、赤燐、リン酸エステル化合物、亜リン酸エステル化合物、フォスファゼン化合物等が挙げられる。これらの中で、難燃レベルと環境の観点から赤燐または有機リン化合物が好ましく、中でもリン酸エステル化合物がより好ましい。リン酸エステル化合物としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのモノ有機リン化合物や有機リン化合物オリゴマーが挙げられるが、有機リン化合物オリゴマーが特に好ましい。
有機リン化合物オリゴマーの特に好ましい例としては、下記式(2)で表される化合物群より選ばれるものを挙げることができる。
これらのリン系難燃剤の添加量としては、ポリフェニレンエーテルと液晶ポリエステルの合計100質量部に対して、難燃性の点から0.1質量部以上であり、また耐熱性の点から10質量部以下の割合で添加されていることが好ましく、さらに好ましくは1〜8質量部、特により好ましくは3〜5質量部である。
付加的成分の例を以下に挙げる。
無機充填材(ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、カオリン、マイカ、ゾノトライト等)、導電性付与材(導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ等)、可塑剤(オイル、低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)及び、帯電防止剤、各種過酸化物、硫化亜鉛、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等である。
本発明の好ましい態様は、上流側供給口と下流側供給口を備え、下流側供給口の前に真空ベントを備えた二軸押出機を用い、上流側供給口よりポリフェニレンエーテルを供給して溶融させた後、真空ベントにより揮発分を除去し、下流側供給口より液晶ポリエステルを供給して溶融混練する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の押出成形する工程とは、本発明の成分を押出シート成形機に直接投入し、ブレンドとシート成形を同時に実施する工程や、同時ではなく、得られた樹脂組成物を原料とし、押出シート成形する工程する工程が挙げられる。
押出成形の例としては、押出しチューブラー法、場合によってはインフレーション法とも呼ばれる方法が挙げられる。円筒から出てきたパリソンがすぐに冷却してしまわないように、50〜320℃の温度範囲の中から適宜選択して、パリソンの温度制御することがシート厚みを均一にし、層剥離のないシートを作成する上で極めて重要である。
こうして本発明で得られた樹脂製シートは、耐熱性に優れ、外観に優れるため、これらの特性が要求される用途に好適に用いることができる。例えば、プリント基板材料、プリント基板周辺部品、プリント基板製造用剥離フィルム、半導体パッケージ、データ系磁気テープ、APS写真フィルム、フィルムコンデンサー、モーターやトランスなどの絶縁材料、スピーカー振動板、自動車用シートセンサー、ワイヤーケーブルの絶縁テープ、TABテープ、発電機スロットライナ層間絶縁材料、トナーアジテーター、リチウムイオン電池などの絶縁ワッシャー、などが挙げられる。
(使用した原料)
(1)ポリフェニレンエーテル(以下、PPEと略記)
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
還元粘度:0.412dl/g、(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
(2)液晶ポリエステル(以下、LCPと略記)
LCP−1:窒素雰囲気下において、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、無水酢酸を仕込み、加熱溶融し、重縮合することにより、以下の理論構造式を有する液晶ポリエステルを得た。なお、組成の成分比はモル比を表す。
商品名:銀嶺A(登録商標)(東邦亜鉛社製)
(4)シラン化合物
N−[3−(ジメトキシメチルシリル)プロピル]エチレンジアミン
商品名:KBM−602(登録商標)(信越化学工業社製)
(5)ヒンダードフェノール系安定剤
商品名:Irganox1330(登録商標)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
以下に、評価方法について述べる。
<シートの外観>
実施例および比較例のようにシート成形を行い、運転開始から、30分後、1時間後、2時間後でそれぞれ20×20mmのシートを3枚サンプリングし、表面を観察した。表面が平滑で、褐色の異物等の付着もないものを○、褐色の異物の付着などが見られたものを×とした。
<目やにの発生状況>
実施例および比較例のようにシート成形を行い、2時間運転し、目やにの発生状況を観察した。運転開始から30分までの間に目やにが発生したものを×、30分から1時間までの間に目やにが発生したものを△、1時間から2時間の間に目やにが発生したものを○、2時間後に発生していないものを◎とした。
<層剥離性>
実施例および比較例で得られたシートを、シートの流動方向に対して直角の方向に、はさみを用いて長さ30mmの切込みを入れ、その断面を目視で観察した。観察は10ヶ所について行い、全てにおいて層剥離が見られなかったものを○、1ヶ所以上3ヶ所未満で層剥離が見られたものを△、3ヶ所以上で層剥離が見られたものを×とした。
押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口、6番目のバレルに下流側供給口、5番目のバレルと10番目のバレルに真空ベントを有し、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=44(バレル数:11)の二軸押出機[ZSK−40:コペリオン社製(ドイツ)]を用いて、上流側供給口からダイまでを290℃に設定し、スクリュー回転数300rpm、吐出量60kg/hで、表1記載の割合となるように、上流側供給口よりPPE、ZnO、KBM−602、Irganox1330を供給し溶融混練した後、下流側供給口よりZnO、KBM−602、LCPを供給して、更に溶融混練し樹脂組成物ペレットを作製した。尚、このとき表1記載のように真空ベントより揮発分を除去した。得られた樹脂組成物を、乾燥機を用いて120℃で3時間乾燥し、シリンダーの温度300℃、Tダイス(幅:40cm、クリアランス:0.8mm)の温度305℃に設定したスクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、スクリュー回転数40rpm、吐出量6kg/h、引き取り速度2.0m/minで押出しシート成形を行った。このときシートの厚みは約100μmであった。シート成形時に目やにについて評価し、得られたシートについて外観、層剥離性を評価した。物性値を組成と共に表1に併記した。
実施例1と同様の押出機を用い、同様の条件に設定して、表1記載の割合となるように、上流側供給口よりPPE、ZnO、KBM−602、Irganox1330、LCPを供給し溶融混練して、樹脂組成物ペレットを作製した。尚、このとき表1記載のように真空ベントより揮発分を除去した。得られた樹脂組成物を、実施例1と同様にしてシート成形を行った。シート成形時に目やにについて評価し、得られたシートについて外観、層剥離性を評価した。物性値を組成と共に表1に併記した。
Claims (11)
- (i)(A)ポリフェニレンエーテルを溶融する工程、(ii)溶融された(A)から揮
発分を除去する工程、ついで(iii)(B)液晶ポリエステルを添加し溶融混練する工
程、(iv)工程(iii)から得られた樹脂組成物を押出成形する工程、を含む樹脂製
シートの製造方法。 - (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(A)成分が50〜99質量部、
(B)成分が1〜50質量部である請求項1に記載の樹脂製シートの製造方法。 - (C)I価、II価、III価またはIV価の金属元素を含有する化合物を添加する請求
項1または2に記載の樹脂製シートの製造方法。 - (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(C)成分0.1〜10質量部を
添加する請求項3に記載の樹脂製シートの製造方法。 - (C)が、(A)と同時に添加される請求項3または4に記載の樹脂製シートの製造方法
。 - (C)の金属元素が、Zn元素、Mg元素、Ti元素、Sn元素、Sb元素、Al元素お
よびGe元素から選ばれる1種以上である請求項3〜5のいずれか1項に記載の樹脂製シ
ートの製造方法。 - (C)が、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、水酸化マグネシウム、酸化マグネシ
ウム、テトラブトキシチタネートおよびテトライソプロポキシチタネートから選ばれる1
種以上である請求項3〜6のいずれか1項に記載の樹脂製シートの製造方法。 - (D)シラン化合物を添加する請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂製シートの製造
方法。 - (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(D)成分0.05〜5質量部を
添加する請求項8に記載の樹脂製シートの製造方法。 - (D)が、(A)と同時に添加される請求項8または9に記載の樹脂製シートの製造方法
。 - (D)が、アミノ基、ウレイド基、エポキシ基、イソシアネート基、およびメルカプト基
から選ばれる1種以上の官能基を含有する請求項8〜10のいずれか1項に記載の樹脂製
シートの製造方法。
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