JP2009249515A - ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム - Google Patents

ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム Download PDF

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和範 寺田
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Abstract

【課題】本発明は、耐熱性と靭性に優れ、さらに熱変形特性に優れるポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム、それを含むプリント基板製造用離型フィルムに関する。
【解決手段】ポリフェニレンエーテルを50質量%以上85質量%以下、少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体及び/又はその水素添加されたブロック共重合体を15質量%以上50質量%以下含む樹脂組成物により形成されることを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性と靭性に優れ、さらに熱変形特性に優れるポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムに関する。
ポリフェニレンエーテルは機械的性質・電気的性質及び耐熱性が優れており、しかも寸法安定性に優れるため幅広い用途で使用されているが、単独では成形加工性に劣っており、これを改良するためにポリスチレン等を配合したポリマーアロイとして様々な検討がなされてきた。
これらポリフェニレンエーテル系アロイの耐熱性を利用したシート・フィルムに関する検討がなされており、ポリフェニレンエーテルに液晶ポリエステルを配合したシート(例えば、特許文献1参照。)、さらに難燃剤を配合したシート(例えば、特許文献2参照。)について提案されているが、靭性という点において十分ではなかった。
一方、これらポリフェニレンエーテル系樹脂のフィルムの用途として、プリント基板製造用離型フィルム(例えば、特許文献3参照。)が提案されているが、靭性、熱変形特性という点では十分とは言えなかった。
特開2002−241515号公報 特開2002−241601号公報 特開2004−339491号公報
本発明の課題は、離型フィルム等に好適であり、上述した従来技術では達成し得なかった、耐熱性と靭性に優れ、さらに熱変形特性に優れるポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム、それを含むプリント基板製造用離型フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ポリフェニレンエーテルを50質量%以上85質量%以下、少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体及び/又はその水素添加されたブロック共重合体を15質量%以上50質量%以下含むポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムが、前記の特性に優れたポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム、それを含むプリント基板製造用離型フィルムを得るために有効であることを見出し、本発明に到達した。
次に、本発明の理解を容易にするために、本発明の基本的特徴及び好ましい諸態様を列挙する。
(1)(A)ポリフェニレンエーテルを50質量%以上85質量%以下、(B)少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体及び/又はその水素添加されたブロック共重合体を15質量%以上50質量%以下含む樹脂組成物により形成されることを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
(2)前記樹脂組成物のvicat軟化温度(ASTM D−1525;10±0.2N,120±10℃/h)と荷重たわみ温度(ASTM D−648;1.82MPa)の差が下記式で表される上記(1)に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
(vicat軟化温度)−(荷重たわみ温度)≧35℃
(3)前記樹脂組成物のvicat軟化温度(ASTM D−1525;10±0.2N,120±10℃/h)が195℃以上である上記(1)または(2)に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
(4)前記樹脂組成物の荷重たわみ温度(ASTM D−648;1.82MPa)が165℃以下である上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
(5)(B)成分が、1種類のブロック共重合体、又は2種類以上のブロック共重合体の混合物であり、ブロック共重合体中(混合物の場合はブロック共重合体混合物中)の芳香族ビニル化合物を主体とする1つの重合体ブロックの数平均分子量が25,000〜40,000であり、かつ、ブロック共重合体中(混合物の場合はブロック共重合体混合物中)の共役ジエン化合物を主体とする1つの重合体ブロックの数平均分子量が80,000〜150,000である上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
(6)(B)成分が、(B1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを20質量%以上55質量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(B2)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55質量%以上90質量%未満の量で含有するブロック共重合体から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物である上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
(7)さらに樹脂組成物が(C)液晶ポリエステルを含む上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムを含む、プリント基板製造用離型フィルム。
(9)上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム用樹脂組成物。
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムは、耐熱性に優れるため幅広い温度領域での使用が可能であり、靭性に優れるためフィルムが破れる等の問題が発生しにくく、さらに、熱変形特性に優れるポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムおよびそれを含むプリント基板製造用離型フィルムを提供することができる。
次に本発明で使用することのできる各成分について詳しく述べる。
(A)成分のポリフェニレンエーテルとは、下記式(1)の構造単位からなる、ホモ重合体及び/または共重合体である。
Figure 2009249515
〔式中、Oは酸素原子、R1、2、R3、R4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、又はハロ炭化水素オキシ(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わす。〕
本発明のポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体(例えば、特公昭52−17880号公報に記載されてあるような2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体や2−メチル−6−ブチルフェノールとの共重合体)のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。ポリフェニレンエーテルとして2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体を使用する場合の各単量体ユニットの比率は、ポリフェニレンエーテル共重合体全量を100質量%としたときに、60〜90質量%の2,6−ジメチルフェノールと、10〜40質量%の2,3,6−トリメチルフェノールからなる共重合体が好ましい。2,3,6−トリメチルフェノールの割合が耐熱性の観点から10質量%以上であり、重合度の観点から40質量%以下である。より好ましくは、60〜85質量%の2,6−ジメチルフェノールと、15〜40質量%の2,3,6−トリメチルフェノールからなる共重合体がより好ましく、70〜85質量%の2,6−ジメチルフェノールと、15〜30質量%の2,3,6−トリメチルフェノールからなる共重合体がさらに好ましい。
これらの中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルとしては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、またはこれらの混合物である。
本発明で使用することのできるポリフェニレンエーテルの還元粘度(ηsp/c:0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.15〜0.70dl/gの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜0.60dl/gの範囲、より好ましくは0.40〜0.55dl/gの範囲である。
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムは、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルをブレンドしたものであっても構わない。例えば、還元粘度0.45dl/g以下のポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物、還元粘度0.40dl/g以下の低分子量ポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物等が挙げられるが、もちろん、これらに限定されることはない。
本発明で用いるポリフェニレンエーテルは公知の製造方法で得られるものを用いることができ、その製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、フェノール性化合物を直接酸化重合する方法、フェノール性化合物を超臨界での炭酸ガスを溶媒として用い酸化重合する方法、フェノール性化合物を良溶媒、及び/または貧溶媒からなる混合溶媒中で酸化重合する方法等により得られるものを用いることができる。混合溶媒中で酸化重合する方法においては、良溶媒と貧溶媒の比率を選ぶことによって、重合終結時も反応溶媒中にポリフェニレンエーテルが溶解した状態の溶液重合にもなるし、貧溶媒の比率を大きくすることで反応の進行とともに重合体が反応溶媒中に溶解しきれなくなり粒子として析出する沈殿析出重合にもなる。ここでいう良溶媒とは、従来既知の方法で得られるポリ(2,6−ジメチルフェニレン)エーテルを溶解できる溶媒であり、貧溶媒とは従来既知の方法で得られるポリ(2,6−ジメチルフェニレン)エーテルを全く溶解しないか、ほとんど溶解しない溶媒である。中でも、生産性の観点から混合溶媒中で酸化重合する方法が好ましく、さらに、分子量分布が狭いポリマーにすることが容易であるため、沈殿析出重合が好ましい。
また、本発明で使用できるポリフェニレンエーテルは、全部又は一部が変性されたポリフェニレンエーテルであっても構わない。
ここでいう変性されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物、又はエポキシ化合物で変性されたポリフェニレンエーテルを指す。
該変性されたポリフェニレンエーテルの製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下、非存在下で100℃以上、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の範囲の温度でポリフェニレンエーテルを溶融させることなく変性化合物と反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度以上360℃以下の範囲の温度で変性化合物と溶融混練し反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の温度で、ポリフェニレンエーテルと変性化合物を溶液中で反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わない。
次に分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物について具体的に説明する。
分子内に炭素−炭素二重結合とカルボン酸基、酸無水物基を同時に有する変性化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。特にフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が良好で、フマル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
また、これら不飽和ジカルボン酸のカルボキシル基の、1個または2個のカルボキシル基がエステルになっているものも使用可能である。
分子内に炭素−炭素二重結合とグリシジル基を同時に有する変性化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、エポキシ化天然油脂等が挙げられる。
これらの中でグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートが特に好ましい。
分子内に炭素−炭素二重結合と水酸基を同時に有する変性化合物としては、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オールなどの一般式C2n-3OH(nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式Cn2n-5OH、Cn2n-7OH(nは正の整数)等の不飽和アルコール等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジグリシジルヒダントレイン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン等が挙げられ、中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
上述した変性化合物は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の変性化合物の添加量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.1〜80質量部が好ましい。
ラジカル開始剤を用いて変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の好ましいラジカル開始剤の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.001〜1質量部である。
また、変性されたポリフェニレンエーテル中の変性化合物の付加率は、0.01〜30質量%が好ましい。より好ましくは0.1〜20質量%である。
該変性されたポリフェニレンエーテル中には、未反応の変性化合物及び/または、変性化合物の重合体が残存していても構わない。
更に、ポリフェニレンエーテルに添加することが可能な公知の添加剤等もポリフェニレンエーテル100質量部に対して10質量部未満の量で添加しても構わない。公知の安定剤としては、ヒンダードフェノール系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤等が挙げられる。これらの安定剤を2種類以上混合して使用しても構わない。中でも、ヒンダードフェノール系安定剤とリン系安定剤の併用、ヒンダードフェノール系安定剤とイオウ系安定剤の併用、ヒンダードフェノール系安定剤とリン系安定剤とイオウ系安定剤の併用が好ましい。
ヒンダードフェノール系安定剤の例としては、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジンジブチルヒドロキシトルエン、4,4′−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。
リン系安定剤の例としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェビン等が挙げられる。
イオウ系安定剤の例としては、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ビス〔2−メチル−4−{3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ}−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、テトラキス〔メチレン−3−(ラウリルチオ)プロピオネート〕メタン、テトラキス〔メチレン−3−(ミリスチルチオ)プロピオネート〕メタン、テトラキス〔メチレン−3−(ステアリルチオ)プロピオネート〕メタン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ステアリルチオメチル)−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−{4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ}フェノール、4,4−チオビス(3−メチル−5−t−ブチルフェノール)、フェノチアジン、ジブチルジチオカルバミン酸金属塩等が挙げられる。
(B)成分の、少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体とは、下記のようなものを示す。
本発明の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」とは、当該ブロックにおいて、少なくとも50質量%以上が芳香族ビニル化合物であるブロックを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」に関しても同様で、少なくとも50質量%以上が共役ジエン化合物であるブロックを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
この場合、例えば芳香族ビニル化合物ブロック中にランダムに少量の共役ジエン化合物もしくは他の化合物が結合されているブロックの場合であっても、該ブロックの50質量%が芳香族ビニル化合物より形成されていれば、芳香族ビニル化合物を主体とするブロック共重合体とみなす。また、共役ジエン化合物の場合においても同様である。
芳香族ビニル化合物の具体例としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもスチレンが特に好ましい。
共役ジエン化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
ブロック共重合体の共役ジエン化合物ブロック部分のミクロ構造は1,2−ビニル含量もしくは1,2−ビニル含量と3,4−ビニル含量の合計量5〜80%が好ましく、さらには10〜50%が好ましく、15〜40%が最も好ましい。
本発明におけるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]が、A−B型、A−B−A型、A−B−A−B型、A−B−A−B−A型、(A−B−)4−Si型から選ばれる結合形式を有するブロック共重合体である事が好ましく、これらの混合物であっても構わない。これらの中でもA−B型、A−B−A型、又はこれらの混合物がより好ましく、A−B−A型がもっとも好ましい。
また、本発明で使用することのできる芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物のブロック共重合体は、水素添加されたブロック共重合体であることがより好ましい。水素添加されたブロック共重合体とは、上述の芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物のブロック共重合体を水素添加処理することにより、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの脂肪族二重結合を0を越えて100%の範囲で制御したものをいう。該水素添加されたブロック共重合体の好ましい水素添加率は80%以上であり、最も好ましくは98%以上である。
これらブロック共重合体は水素添加されていないブロック共重合体と水素添加されたブロック共重合体の混合物としても問題なく使用可能である。
(B)成分のブロック共重合体は、1種類を単独で用いても良いし、2種類以上を混合物として使用しても構わない。
これらブロック共重合体中(混合物の場合は、ブロック共重合体混合物中)の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が25,000以上40,000以下、かつ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が80,000以上150,000以下の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、ブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が30,000以上40,000以下、かつ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が90,000以上125,000以下、さらに好ましくは、ブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が35,000以上40,000以下、かつ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が100,000以上125,000以下である。芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量は、ポリフェニレンエーテルと相剥離しにくいという観点から25,000以上であり、耐熱性の観点から40,000以下である。また、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量は、フィルムがやぶれにくいという観点から80,000以上であり、フィルム成形時のメヤニがでにくいという観点から150,000以下である。
また、2種類以上のブロック共重合体を混合物として使用する場合は、(B1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを20質重量%以上55質重量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(B2)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55質重量%以上90質重量%未満の量で含有するブロック共重合体から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物であることが好ましい。
耐熱性に優れるため幅広い温度領域での使用が可能であり、靭性に優れるためフィルムが破れる等の問題が発生しにくく、さらに、熱変形特性に優れるといった本発明の効果を発現させるために、芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量と、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量を上述の範囲内に調整すること、(B1)成分と(B2)成分から構成される2種類以上のブロック共重合体をすることが好ましい。
本発明でいうブロック共重合体の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量および共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量は、(B)成分の各ブロック共重合体の数平均分子量とブロック共重合体中のすべての芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの質量%およびブロック共重合体中のすべての共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの質量%より算出することができる。
具体的には、(B)成分の各ブロック共重合体の数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置[GPC SYSTEM21:昭和電工(株)製]を用いて、紫外分光検出器[UV−41:昭和電工(株)製]で測定し、標準ポリスチレンで換算した数平均分子量の事を指す。[溶媒:クロロホルム、温度:40℃、カラム:サンプル側(K−G、K−800RL、K−800R)、リファレンス側(K−805L×2本)、流量10ml/分、測定波長:254nm、圧力15〜17kg/cm2 ]。この時、重合時の触媒失活による低分子量成分が検出されることがあるが、その場合は分子量計算に低分子量成分は含めない。
組成物またはフィルム中に含まれているブロック共重合体の数平均分子量は、例えばペレットを20〜50μm厚みにミクロトームでスライスし、これをクロロホルム中に浸漬し、80℃程度に設定した恒温振とう機を用いて1時間程度抽出し、クロロホルム中にポリフェニレンエーテルとブロック共重合体を溶解させる。これを、濾別し、濾液中に濾液の3倍以上のメタノールを滴下して再沈殿させ、真空乾燥する。得られた粉体状のサンプルを更に塩化メチレンに溶解し、−10℃の環境で12時間静置する。析出した成分(ポリフェニレンエーテル成分)を濾別し、濾液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置で測定することで確認することができる。
1種類のブロック共重合体の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量は、上述したブロック共重合体の数平均分子量を用いて、下式(2)により求めることができる。
Mn(a),n={Mn×a/(a+b)}/N(a) ・・・(2)
上式中において、Mn(a),nはブロック共重合体nの芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mnはブロック共重合体nの数平均分子量、aはブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、bはブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、およびN(a)はブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの数を表す。
さらに、(B)成分のブロック共重合体が、混合物である場合、混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量は、下式(3)により求めることができる。
Mn(a),av=Σ(Mn(a),n×Cn) ・・・(3)
上式中において、Mn(a),avはブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mn(a),nはブロック共重合体nの芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Cnはブロック共重合体混合物中のブロック共重合体nの質量分率を表す。
一方、1種類のブロック共重合体の共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量は、上述したブロック共重合体の数平均分子量を用いて、下式(4)により求めることができる。
Mn(b),n={Mn×b/(a+b)}/N(b) ・・・(4)
上式中において、Mn(b),nはブロック共重合体nの共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mnはブロック共重合体nの数平均分子量、aはブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、bはブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、およびN(b)はブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの数を表す。
さらに、(B)成分のブロック共重合体が、混合物である場合、混合物中の共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量は、下式(5)により求めることができる。
Mn(b),av=Σ(Mn(b),n×Cn) ・・・(5)
上式中において、Mn(b),avはブロック共重合体の混合物中の共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mn(b),nはブロック共重合体nの共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Cnはブロック共重合体混合物中のブロック共重合体nの質量分率を表す。
また、本発明において、(B)成分が、数平均分子量120,000未満のブロック共重合体が含まれる混合物にすることにより、フィルム成形時のメヤニを抑制することができるのでより好ましい。
また、これら芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体は、本発明の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なるもの、共役ジエン化合物種の異なるもの、1,2−結合ビニル含有量もしくは1,2−結合ビニル含有量と3,4−結合ビニル含有量の異なるもの、芳香族ビニル化合物成分含有量の異なるもの等を混合して用いても構わない。
また、本発明で使用するブロック共重合体は、全部又は一部が変性されたブロック共重合体であっても構わない。
ここでいう変性されたブロック共重合体とは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたブロック共重合体を指す。
該変性されたブロック共重合体の製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でブロック共重合体の軟化点温度以上250℃以下の範囲の温度で変性化合物と溶融混練し反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でブロック共重合体の軟化点以下の温度で、ブロック共重合体と変性化合物を溶液中で反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でブロック共重合体の軟化点以下の温度で、ブロック共重合体と変性化合物を溶融させることなく反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わないが、(1)の方法が好ましく、更には(1)の中でもラジカル開始剤存在下で行う方法が最も好ましい。
ここでいう分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物とは、変性されたポリフェニレンエーテルで述べた変性化合物と同じものが使用できる。
本発明におけるポリフェニレンエーテルとブロック共重合体の配合量としては、フィルムを形成する該組成物100質量%に対し、ポリフェニレンエーテル50質量%以上85質量%以下、ブロック共重合体15質量%以上50質量%以下である。幅広い温度領域で使用可能とする耐熱性の観点からポリフェニレンエーテルは50質量%以上であり、フィルムが破れにくいという靭性の観点からブロック共重合体は15質量%以上である。より好ましくは、ポリフェニレンエーテル60質量%以上80質量%以下、ブロック共重合体20質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは、ポリフェニレンエーテル65質量%以上80質量%以下、ブロック共重合体20質量%以上35質量%以下である。
本発明においては、さらに(C)成分として、液晶ポリエステルを含んでいても構わない。
(C)成分の液晶ポリエステルとは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルで、公知のものを使用できる。例えば、p−ヒドロキシ安息香酸およびポリエチレンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および4,4′−ジヒドロキシビフェニルならびにテレフタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステルなどが挙げられ、特に制限はない。本発明で使用される液晶ポリエステルとしては、下記構造単位(イ)、(ロ)、および必要に応じて(ハ)および/または(ニ)からなるものが好ましく用いられる。
Figure 2009249515
Figure 2009249515
Figure 2009249515
Figure 2009249515
ここで、構造単位(イ)、(ロ)はそれぞれ、p−ヒドロキシ安息香酸から生成したポリエステルの構造単位と、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸から生成した構造単位である。構造単位(イ)、(ロ)を使用することで、優れた耐熱性、流動性や剛性などの機械的特性のバランスに優れた本発明の熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。上記構造単位(ハ)、(ニ)中のXは、下記式よりそれぞれ任意に1種あるいは2種以上選択することができる。
Figure 2009249515
構造式(ハ)において好ましいのは、エチレングリコール、ハイドロキノン、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールAそれぞれから生成した構造単位であり、さらに好ましいのは、エチレングリコール、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンであり、特に好ましいのは、エチレングリコール、4,4′−ジヒドロキシビフェニルである。構造式(ニ)において好ましいのは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ジカルボキシナフタレンそれぞれから生成した構造単位であり、さらに好ましいのは、テレフタル酸、イソフタル酸である。
構造式(ハ)および構造式(ニ)は、上記に挙げた構造単位を少なくとも1種あるいは2種以上を併用することができる。具体的には、2種以上併用する場合、構造式(ハ)においては、1)エチレングリコールから生成した構造単位/ハイドロキノンから生成した構造単位、2)エチレングリコールから生成した構造単位/4,4′−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、3)ハイドロキノンから生成した構造単位/4,4′−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、などを挙げることができる。
また、構造式(ニ)においては、1)テレフタル酸から生成した構造単位/イソフタル酸から生成した構造単位、2)テレフタル酸から生成した構造単位/2,6−ジカルボキシナフタレンから生成した構造単位、などを挙げることができる。ここでテレフタル酸量は2成分中、好ましくは40wt%以上、さらに好ましくは60wt%以上、特に好ましくは80wt%以上である。テレフタル酸量を2成分中40wt%以上とすることで、比較的に流動性、耐熱性が良好な樹脂組成物となる。液晶ポリエステル中の構造単位(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の使用分割は特に限定されない。ただし、構造単位(ハ)と(ニ)は基本的にほぼ等モル量となる。
また、構造単位(ハ)、(ニ)からなる構造単位(ホ)を、液晶ポリエステル中の構造単位として使用することもできる。具体的には、1)エチレングリコールとテレフタル酸から生成した構造単位、2)ハイドロキノンとテレフタル酸から生成した構造単位、3)4,4′−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸から生成した構造単位、4)4,4′−ジヒドロキシビフェニルとイソフタル酸から生成した構造単位、5)ビスフェノールAとテレフタル酸から生成した構造単位、などを挙げることができる。
Figure 2009249515
液晶ポリエステルには、必要に応じて本発明の特徴と効果を損なわない程度の少量の範囲で、他の芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸から生成する構造単位を導入することができる。液晶ポリエステルの溶融時での液晶状態を示し始める温度(以下、液晶開始温度という)は、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは180〜320℃である。液晶開始温度をこの範囲にすることは、得られる樹脂組成物を好ましい色調と耐熱性と成形加工性バランスの良いものとする。
液晶ポリエステルの25℃、1MHzにおける誘電正接(tanδ)は、好ましくは0.03以下であり、さらに好ましくは0.025以下である。この誘電正接の値が小さければ小さいほど、誘電損失は小さくなり、この樹脂組成物を電気・電子部品の原料として用いる時、発生する電気的ノイズが抑制され好ましい。特に25℃、高周波数領域下、すなわち1〜10GHz領域において、誘電正接(tanδ)は、好ましくは0.03以下であり、さらに好ましくは0.025以下である。
液晶ポリエステルの見かけの溶融粘度(液晶開始温度+30℃でずり速度100/秒)は、好ましくは10〜3,000Pa・s、さらに好ましくは10〜2,000Pa・s、特に好ましくは10〜1,000Pa・sである。見かけの溶融粘度をこの範囲にすることは、得られる組成物の流動性を好ましいものとする。
液晶ポリエステルの好ましい配合量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対し、液晶ポリエステル0.5質量部以上30質量部以下である。より好ましくは1質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは1質量部以上10質量部以下である。液晶ポリエステルを配合することにより、樹脂組成物を得る加工時の生産性の向上、フィルム加工時のメヤニの低減が図れる。
さらに、本発明ではスチレン系重合体を含んでいてもよい。スチレン系重合体とは、ホモポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−ゴム質重合体−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。スチレン系重合体を含むことで、本発明の課題を達成する他に、耐候性を向上することができる。スチレン系重合体の好ましい配合量としては、ポリフェニレンエーテル100質量部に対し、50質量部未満の量である。
さらに、I価、II価、III価またはIV価の金属元素を含有する化合物を含んでいてもよい。I価、II価、III価またはIV価の金属元素を含有する化合物とは、金属を含有する無機化合物または有機化合物であり、本質的に金属元素を主たる構成成分とする化合物である。I価、II価、III価またはIV価をとりうる金属元素の具体例として、Li、Na、K、Zn、Cd、Sn、Cu、Ni、Pd、Co、Fe、Ru、Mn、Pb、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ti、Ge、Sbが挙げられる。中でもZn、Mg、Ti、Pb、Cd、Sn、Sb、Ni、Al、Ge元素が好ましく、さらにはZn、Mg、Ti元素が好ましい。ダート衝撃性を大きく向上させる観点から、I価、II価、III価またはIV価の金属元素がZn元素および/またはMg元素であることが特に好ましい。
具体例としては、上記金属元素の酸化物、水酸化物、アルコキサイド塩、脂肪族カルボン酸塩、酢酸塩が好ましい。さらに、好ましい酸化物の例としては、ZnO、MgO、TiO4、TiO2、PbO、CdO、SnO、SbO、Sb23、NiO、Al23、GeOなどが挙げられる。また、好ましい水酸化物の例としては、Zn(OH)2、Mg(OH)2、Ti(OH)4、Ti(OH)2、Pb(OH)2、Cd(OH)2、Sn(OH)2、Sb(OH)2、Sb(OH)3、Ni(OH)2、Al(OH)3、Ge(OH)2などが挙げられる。また好ましいアルコキサイド塩の例としては、Ti(OCH(CH3)24、Ti(O(CH2)3CH34などが挙げられる。また好ましい脂肪族カルボン酸塩の例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸チタニウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドニウム、ステアリン酸すず、ステアリン酸アンチモン、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ゲルマニウムなどが挙げられる。中でも特に好ましい具体例は、ZnO、Mg(OH)2、Ti(OCH(CH3)24、Ti(O(CH2)3CH34、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、が挙げられる。
これらの好ましい含有量としては、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、相剥離の観点から0.1質量部以上であり、10質量部含有することが好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.2〜3質量部がさらに好ましい。
本発明のフィルムを形成する樹脂組成物は、vicat軟化温度(ASTM D−1525;10±0.2N、120±10℃/h)と荷重たわみ温度(ASTM D−648;1.82MPa)の差が下記式で表されることが、容易に変形し、かつ、フィルム同士が融着しないといった性質が幅広い温度領域において保たれるという観点から好ましい。
vicat軟化温度−荷重たわみ温度≧35℃
vicat軟化温度と荷重たわみ温度の差が、40℃以上であることがより好ましい。
樹脂組成物のvicat軟化温度は、フィルム同士が融着しないという観点から195℃以上であることが好ましい。より好ましくは200℃以上である。また、荷重たわみ温度は、容易に変形するという観点から、165℃以下であることが好ましい。より好ましくは130℃以上165℃以下、さらに好ましくは、140℃以上165℃以下、特に好ましくは、145℃以上160℃以下である。荷重たわみ温度が低すぎる場合、フィルム同士の融着等の観点から好ましくない。
本発明においては、さらに難燃剤を添加することができる。好ましい難燃剤としては、環状窒素化合物、リン系難燃剤、シリコーン、籠状シルセスキオキサンまたはその部分開裂構造体、シリカが挙げられる。
環状窒素化合物とは、窒素元素を含有する環状の有機化合物である。具体的にはメラミン誘導体である、メラミン、メレム、メロンが好ましく用いられる。中でも揮発性の観点から、メレム、メロンが好ましい。
リン系難燃剤としては、赤燐、リン酸エステル化合物、フォスファゼン化合物、ホスフィン酸塩類等が挙げられる。中でもリン酸エステル化合物、ホスフィン酸塩類がより好ましい。
リン酸エステル化合物としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのモノ有機リン化合物や有機リン化合物オリゴマーが挙げられるが、有機リン化合物オリゴマーが特に好ましい。
有機リン化合物オリゴマーの特に好ましい例としては、下記式(6)で表される化合物群より選ばれるものを挙げることができる。
Figure 2009249515
(式中、Q1、Q2、Q3、Q4は、炭素数1から6のアルキル基または水素を表し、nは1以上の整数、m1、m2、m3、m4は0から3の整数を示し、Xは以下の式(7)のいずれかから選択される。)
Figure 2009249515
(式中、S1、S2、S3はメチル基または水素を表す。n1、n2、n3は0から2の整数を示す。)
具体的には、大八化学社製のCR−741、CR−747、CR−733Sなどが好適である。
ホスフィン酸塩としては、下記式(8)で表されるホスフィン酸塩及び/又は下記式(9)で表されるジホスフィン酸塩、またはこれらの縮合物の中から選ばれる少なくとも1種のホスフィン酸塩類が好ましい。
Figure 2009249515
Figure 2009249515
(式中、R1及びR2は、同一か又は異なり、直鎖状もしくは分岐状のC1〜C6−アルキル及び/又はアリールもしくはフェニルであり、R3は、直鎖状もしくは分岐状のC1〜C10−アルキレン、C6〜C10−アリーレン、C6〜C10−アルキルアリーレン又はC6〜C10−アリールアルキレンであり、Mはカルシウム(イオン)、マグネシウム(イオン)、アルミニウム(イオン)、亜鉛(イオン)、ビスマス(イオン)、マンガン(イオン)、ナトリウム(イオン)、カリウム(イオン)及びプロトン化された窒素塩基から選ばれる1種以上であり、mは2又は3であり、nは1〜3であり、xは1又は2である。)
ホスフィン酸塩は、本発明の効果を損ねない範囲であれば、如何なる組成で混合されていても構わないが、難燃性の観点から、上記(8)で表されるホスフィン酸塩を90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、最も好ましくは98質量%以上含んでいる事が好ましい。
本発明において、好ましく使用可能なホスフィン酸の具体例としては、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、メタンジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸およびこれらの混合物等が挙げられる。
また好ましく使用可能な金属成分としてはカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、ビスマスイオン、マンガンイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び/又はプロトン化された窒素塩基から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオンから選ばれる1種以上である。
ホスフィン酸塩類の好ましく使用可能な具体例としては、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛が挙げられる。
特に難燃性の観点からジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛が好ましい。中でもジエチルホスフィン酸アルミニウムが特に好ましい。
シリコーンは、オルガノシロキサンポリマーのことで、直鎖構造のもの、架橋構造のもの、あるいはそれらがある割合で構成された構造のもの、あるいはそれらの混合物でもよい。難燃性とめやにの観点から、直鎖構造のものがより好ましい。また難燃性と樹脂組成物の靭性の観点から、分子内の末端あるいは側鎖に官能基を有するものが好ましい。官能基は特にエポキシ基、アミノ基が好ましい。具体的には例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のシリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーンパウダー、信越化学工業株式会社製のストレートシリコーンオイル、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイル、シリコーンパウダーKMPシリーズなどを用いることができる。液体状、固体状いずれのものも用いることができる。液体状のものは、25℃における粘度が、10〜10,000(mm2/s)が好ましく、100〜8,000(mm2/s)がより好ましく、500〜3,000(mm2/s)が特により好ましい。固体のものは、平均粒径が0.1〜100μmが好ましく、0.5〜30μmがより好ましく、0.5〜5μmが特により好ましい。
本発明に使用される籠状シルセスキオキサンまたはその部分開裂構造体については、WO02/059208号公報に開示された構造のものが好適に用いられる。
シリカについては、基本構造式は、SiO2で表されるものであり、難燃性の観点から、ヒュームドシリカが好ましい。ヒュームドシリカは、ポーラスシリカとも呼ばれ、一次粒子系が5〜50nmであり、比表面積が非常に大きく、50〜500m2/g程度の微細粒子である。標準的な親水性タイプのものと、化学的に表面をメチルグループなどの疎水グループで覆った疎水性タイプのものを用いることができる。具体的には日本アエロジル(株)のAEROSIL(アエロジル)(登録商標)が好適で、さらにはグレードとして200、R972などが好適に用いることができる。これらは、難燃性、衝撃性を向上させることができる。
これら難燃剤は、難燃性とメヤニ抑制の観点から、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、1〜30質量部の割合で含有されていることが好ましく、2〜20質量部がさらに好ましく、3〜15質量部が特により好ましい。
また、無機強化充填材を添加しても構わない。無機強化充填材の例としては、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、カオリン、クレイ、酸化チタン、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、ガラスフレーク等が挙げられる。これらの中から選ばれる1種以上が好ましく、1種類を用いても構わないし、2種類以上を混合して使用しても構わない。2種類以上を混合して使用する場合、射出成形品のそりが小さくなる等の観点から、繊維状の充填材と、非繊維状の充填材を混合することが好ましい。より好ましい充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、クレイ、酸化チタンであり、さらに好ましくはガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、酸化チタンである。
本発明では、上記した成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて付加的成分を添加しても構わない。
付加的成分の例を以下に挙げる。
導電性付与材(導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ等)、可塑剤(オイル、低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)及び、帯電防止剤、各種過酸化物、硫化亜鉛、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等である。
本発明の樹脂組成物を得るための具体的な加工機械としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等が挙げられるが、中でも二軸押出機が好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムとは、厚みが0.001〜2.0mmのものである。好ましくは0.005〜0.50mmであり、より好ましくは0.005〜0.20mm、さらに好ましくは、0.005〜0.15mmである。場合によってはシートと呼ばれることもある。
フィルムは、上記のような樹脂組成物を原料とし、押出成形により得ることもできるし、本発明の成分を押出成形機に直接投入し、ブレンドとフィルム成形を同時に実施して得ることもできる。
フィルムの製造方法としては、押出しチューブラー法、場合によってはインフレーション法とも呼ばれる方法にて製造することができる。円筒から出てきたパリソンがすぐに冷却してしまわないように、50〜290℃の温度範囲の中から適宜選択して、パリソンの温度制御することがフィルム厚みを均一にし、層剥離のないフィルムを作成する上で極めて重要である。
また、Tダイ押出成形によっても製造することができる。この場合、無延伸のまま用いてもよいし、1軸延伸してもよいし、2軸延伸することによっても得られる。フィルムの強度を高めたい場合は、延伸することにより達成することができる。
こうして得られたフィルムは、耐熱性と靭性に優れ、さらに熱変形特性に優れるため、これらの特性が要求される用途に好適に用いることができる。例えば、プリント基板材料、プリント基板周辺部品、プリント基板製造用離型フィルム、半導体パッケージ、データ系磁気テープ、APS写真フィルム、フィルムコンデンサー、モーターやトランスなどの絶縁材料、スピーカー振動板、自動車用シートセンサー、ワイヤーケーブルの絶縁テープ、TABテープ、発電機スロットライナ層間絶縁材料、トナーアジテーター、リチウムイオン電池などの絶縁ワッシャーなどが挙げられ、中でもプリント基板製造用離型フィルムに好適である。
以下、本発明を実施例及び比較例により、更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例に示されたものに限定されるものではない。
(使用した原料)
(A)ポリフェニレンエーテル(以下、PPEと略記)
(PPE−1):(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
還元粘度:0.51dl/g、(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
(PPE−2):(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
還元粘度:0.42dl/g、(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
(B)ブロック共重合体
(B1−1):ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=98,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=14,210
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=69,600
スチレン成分合計含有量=29%
1,2−ビニル含有量=32%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
(B1−2):ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=250,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=41,300
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=167,500
スチレン成分合計含有量=33%
1,2−ビニル含有量=33%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
(B1−3):ポリスチレン−水素添加ポリイソプレン−ポリスチレン
数平均分子量=240,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=42,000
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=156,000
スチレン成分合計含有量=35%
ポリイソプレン部の水素添加率=98%以上
(B2−1):ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=97,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=29,100
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=38,800
スチレン成分合計含有量=60%
1,2−ビニル含有量=36%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
(C)液晶ポリエステル(以下、LCPと略記)
LCP:窒素雰囲気下において、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、無水酢酸を仕込み、加熱溶融し、重縮合することにより、以下の理論構造式を有する液晶ポリエステルを得た。なお組成の成分比はモル比を表す。
Figure 2009249515
(D)ハイインパクトポリスチレン(以下、HIPSと略記)
商品名:PSJポリスチレンH9405(PSジャパン社製)
(E)酸化亜鉛(以下、ZnOと略記)
商品名:銀嶺A(登録商標)(東邦亜鉛社製)
(評価方法)
以下に、評価方法について述べる。
<vicat軟化温度>
実施例および比較例で得られた樹脂組成物ペレットを、乾燥機を用いて100℃で3時間乾燥し、射出成形機[IS−80EPN:東芝機械社製]を用いて、射出速度700mm/秒、保圧60MPa、射出+保圧時間10秒、冷却時間15秒、金型温度120℃、溶融樹脂温度320℃に設定して、127×13×3.2mmの成形片を成形した。得られた試験片を用いて、ASTM D−1525に準拠し、10N、120℃/hの条件でvicat軟化温度を測定した。
<荷重たわみ温度>
実施例および比較例で得られた樹脂組成物ペレットを、120℃の乾燥機を用いて3時間乾燥し、射出成形機[IS−80EPN:東芝機械社製]を用いて、射出速度700mm/秒、保圧40MPa、射出+保圧時間10秒、冷却時間15秒、金型温度120℃、溶融樹脂温度340℃に設定し、127×13×3.2mmの成形片を成形した。得られた成形片を使用し、ASTM D−648に準拠し、1.82MPaで荷重たわみ温度を測定した。
<フィルム加工時のメヤニ>
実施例および比較例で得られた樹脂組成物ペレットを、100℃の乾燥機を用いて3時間乾燥し、15mmの2軸同方向回転押出機付きTダイ製膜機[KZW15TW:テクノベル社製]を用い、ペレット全量を第一供給口から、供給し、窒素を吹き込みながら、第一供給口側からTダイへ向けてのシリンダー設定温度を300/300/300℃に設定し、Tダイの設定温度を310℃、キャストロール温度を150℃に設定し、真空ベントをひきながら、約30μmの厚みのフィルムになるように、製膜を実施した。このとき2時間運転し、メヤニの発生状況を観察し、以下の判定基準でフィルム加工時のメヤニを評価した。
○:2時間後に発生していないもの
△:1時間から2時間の間に発生したもの
×:運転開始から1時間までの間に発生したもの
<フィルム破れ性>
実施例および比較例で得られた樹脂組成物ペレットを、100℃の乾燥機を用いて3時間乾燥し、15mmの2軸同方向回転押出機付きTダイ製膜機[KZW15TW:テクノベル社製]を用い、ペレット全量を第一供給口から、供給し、窒素を吹き込みながら、第一供給口側からTダイへ向けてのシリンダー設定温度を300/300/300℃に設定し、Tダイの設定温度を310℃、キャストロール温度を150℃に設定し、真空ベントをひきながら、約30μmの厚みのフィルムになるように、製膜を実施した。
得られたフィルムを10cm×10cmに2枚切り出した。このフィルムを(ア)とする。また、エポキシ樹脂含浸ガラスプレプリグ(日東シンコー社製:P−EG65)を5cm×5cmに切り出したものを(イ)とする。さらに厚さ約100μmのアルミニウム板を5cm×5cmに切り出したものを(ウ)とし、(ア)、(ウ)、(イ)、(ウ)、(ア)の順番に積み重ねた上、170℃、10kgf/cm2、60分間の条件で熱プレスした。このときガラスプリプレグからのエポキシ樹脂がアルミニウムから約2cmはみだし、該ポリフェニレンエーテル系樹脂製フィルムに接着した。冷却後、該樹脂製フィルム2枚をエポキシ樹脂から引き剥がし、以下の判断基準でフィルム破れ性を評価した。
○:破れない
△:一部に亀裂はあるが、完全には破れない
×:完全に破れる
<ポリイミド接着性>
上記のようにして得られた実施例および比較例のフィルムを、10cm×10cmに切り出し、厚さ125μmのポリイミドフィルム(デュポン社製:カプトン500H(登録商標))を10cm×10cmに切り出したものと重ね合わせ、170℃、180℃、190℃のそれぞれの温度において、15kgf/cm2、60分間の条件で熱プレスした。冷却後、2枚のフィルムを引き剥がし、接着性と引き剥がし後のポリイミドの表面を観察し、以下の判断基準でポリイミド接着性を評価した。
○:接着せず簡単に剥がせ、ポリイミド表面にフィルムからの転写物なし
△:剥がす際に若干抵抗があり、ポリイミド表面にフィルムの一部が付着
×:接着し、容易に剥がせない
<フィルム同士の接着性>
上記のようにして得られた実施例および比較例のフィルムを、10cm×10cmに2枚切り出し、この2枚を重ね合わせ、170℃、180℃、190℃のそれぞれの温度において、15kgf/cm2、60分間の条件で熱プレスした。冷却後、2枚のフィルム引き剥がし、以下の判断基準でフィルム同士の接着性を評価した。
○:接着せず簡単に剥がせる
△:剥がす際に若干抵抗がある
×:接着し、容易に剥がせない
<追従性>
実施例および比較例で得られた樹脂組成物ペレットを、100℃の乾燥機を用いて3時間乾燥し、15mmの2軸同方向回転押出機付きTダイ製膜機[KZW15TW:テクノベル社製]を用い、ペレット全量を第一供給口から、供給し、窒素を吹き込みながら、第一供給口側からTダイへ向けてのシリンダー設定温度を300/300/300℃に設定し、Tダイの設定温度を310℃、キャストロール温度を150℃に設定し、真空ベントをひきながら、約100μmの厚みのフィルムになるように、製膜を実施した。
得られたフィルムを10cm×10cmに切り出し、深さ30μmの溝を掘った真鍮板に乗せ、170℃、180℃、190℃のそれぞれの温度において、30kgf/cm2、10分間の条件で熱プレスした。溝への食い込みを目視観察し、以下の判断基準で追従性を評価した。
○:溝の転写性が非常に良好
×:溝の転写性が悪い、あるいは、溝部周辺でしわが発生している
[実施例1〜10、比較例1〜5]
押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−25:コペリオン社製]を用いて、上流側供給口からダイまでを290℃に設定し、スクリュー回転数300rpm、吐出量15kg/hで、表1記載の割合となるように上流側供給口より原料を供給し、溶融混練して樹脂組成物ペレットを作製した。このとき10番目のバレルに設置した真空ベントより、揮発分を除去した。尚、実施例4〜7および比較例1〜3については、吐出量が15kg/hでは、トルクが95%を超えるか、押出機への原料の供給変動が見られたため、表1記載の吐出量に変更して行った。得られた樹脂組成物ペレットを、vicat軟化温度、荷重たわみ温度、フィルム加工時のメヤニ、フィルム破れ性、ポリイミド接着性、フィルム同士の接着性、追従性を評価した。評価結果を組成と共に表1に併記した。尚、比較例5については、射出成形の際の相剥離がひどく、vicat軟化温度、荷重たわみ温度は測定できなかった。
Figure 2009249515
Figure 2009249515
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムは、電気・電子部品、OA部品、車両部品、機械部品、およびこれらの製造工程などの幅広い分野に使用することができる。

Claims (9)

  1. (A)ポリフェニレンエーテルを50質量%以上85質量%以下、(B)少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体及び/又はその水素添加されたブロック共重合体を15質量%以上50質量%以下含む樹脂組成物により形成されることを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
  2. 前記樹脂組成物のvicat軟化温度(ASTM D−1525;10±0.2N,120±10℃/h)と荷重たわみ温度(ASTM D−648;1.82MPa)の差が下記式で表される請求項1に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
    (vicat軟化温度)−(荷重たわみ温度)≧35℃
  3. 前記樹脂組成物のvicat軟化温度(ASTM D−1525;10±0.2N,120±10℃/h)が195℃以上である請求項1または2に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
  4. 前記樹脂組成物の荷重たわみ温度(ASTM D−648;1.82MPa)が165℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
  5. (B)成分が、1種類のブロック共重合体、又は2種類以上のブロック共重合体の混合物であり、ブロック共重合体中(混合物の場合はブロック共重合体混合物中)の芳香族ビニル化合物を主体とする1つの重合体ブロックの数平均分子量が25,000〜40,000であり、かつ、ブロック共重合体中(混合物の場合はブロック共重合体混合物中)の共役ジエン化合物を主体とする1つの重合体ブロックの数平均分子量が80,000〜150,000である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
  6. (B)成分が、(B1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを20質量%以上55質量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(B2)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55質量%以上90質量%未満の量で含有するブロック共重合体から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
  7. さらに樹脂組成物が(C)液晶ポリエステルを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムを含む、プリント基板製造用離型フィルム。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム用樹脂組成物。
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