JP2001302902A - 新規樹脂組成物 - Google Patents

新規樹脂組成物

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JP2001302902A
JP2001302902A JP2000123500A JP2000123500A JP2001302902A JP 2001302902 A JP2001302902 A JP 2001302902A JP 2000123500 A JP2000123500 A JP 2000123500A JP 2000123500 A JP2000123500 A JP 2000123500A JP 2001302902 A JP2001302902 A JP 2001302902A
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JP
Japan
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polyphenylene ether
weight
resin composition
resin
parts
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JP2000123500A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kamo
弘 加茂
Tatsuya Yamazaki
達也 山崎
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 色調と外観とウェルド強度と成形加工性が同
時に十分なレベルで達成できる樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 下記(式1)の構造単位からなるポリフ
ェニレンエーテル(a)100重量部に対し、分子構造
内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または三重結
合及び少なくとも1個のエポキシ基を有する少なくとも
1種の変性剤(b)0.01〜50.0重量部を添加し
た混合物を、50℃以上(a)の融点以下の反応温度で
反応することにより得られる官能化されたポリフェニレ
ンエーテル樹脂(A)95〜5重量%と、液晶ポリエス
テル(B)5〜95重量%から溶融混練してなる樹脂組
成物。 (R、Rは、それぞれ独立して、水素、第一級もし
くは第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキ
ル、炭化水素オキシを表わす。R、Rは、それぞれ
独立して、水素、第一級もしくは第二級の低級アルキ
ル、フェニルを表わす。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形や押出成
形などにより、成型品などに利用できる耐熱性、成形加
工性、機械特性、特に色調とウェルド強度に優れた新規
な樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリフェニレンエーテルは耐熱
性、耐熱水性、寸法安定性および機械的、電気的性質な
どの優れた性質を有する樹脂であるが、一方、その溶融
粘度が高いために成形性が悪い、また耐薬品性が悪い、
耐衝撃性が低い等の欠点を有している。ポリフェニレン
エーテルのこのような欠点を改良するためポリフェニレ
ンエーテルと他の樹脂とのアロイ化、あるいはポリフェ
ニレンエーテルの変性が従来から行われてきた。
【0003】例えばポリフェニレンエーテルの変性に関
連する技術として、特公昭52−19864号公報、特
公昭52−30991号公報には、ポリフェニレンエー
テルを溶液状態で、ラジカル開始剤の存在下で、スチレ
ン及び、無水マレイン酸、あるいは、他の重合可能な変
性用化合物と混合し、長時間重合することにより官能化
されたポリフェニレンエーテル樹脂を得る方法が提案さ
れている。しかし、これらの方法では、溶解、重合工
程、更には、溶媒除去工程が必要であり、設備面・エネ
ルギー面でコストが割高なものになる。
【0004】また、特公平3−52486号公報、特開
昭62−132924号公報、特表昭63−50080
3号公報、特開昭63−54425号公報には、ポリフ
ェニレンエーテルをラジカル開始剤の存在下、または、
ラジカル開始剤が非存在下で、無水マレイン酸、あるい
は、他の反応可能な変性用化合物と混合し、溶融混練な
どの溶融状態で変性し、官能化されたポリフェニレンエ
ーテル樹脂を得る方法が提案されている。
【0005】しかし、これらの方法では、ポリフェニレ
ンエーテルを溶融混練できる温度が非常に高温であるこ
とと、ポリフェニレンエーテルの溶融粘度が非常に高い
ことから、反応温度が非常に高くなるために種々の問題
が発生している。即ち、従来の溶融混練法で得た官能化
されたポリフェニレンエーテル樹脂は加工温度が分解温
度に近いために、熱劣化による変色が起こり、この官能
化されたポリフェニレンエーテル樹脂は色調・外観に問
題を生ずる。
【0006】従って、従来技術で得られる官能化された
ポリフェニレンエーテル樹脂は設備面・エネルギー面で
の問題があるか、又は、色調・外観と耐熱性・機械物性
のバランスが不充分なため、産業界の要求に十分応える
ものではない。一方、ポリフェニレンエーテルと他の樹
脂とのアロイ化に関連する技術として、例えば特開昭5
6−115357号公報に、液晶ポリエステルにポリフ
ェニレンエーテルなどの重合体を配合し、ポリフェニレ
ンエーテルの溶融加工性を改良することが提案されてい
るが、十分とはいえない。
【0007】また特開平2−97555号公報には、は
んだ耐熱性を向上させる目的で液晶ポリエステルに各種
のポリアリレンオキサイドを配合することが提案され、
さらには特開平6−122762号公報には、アミン類
で変性したポリフェニレンエーテルと液晶ポリエステル
を配合することが提案されているが、いずれも色調と外
観と耐熱性と成形加工性の両立という観点においては十
分とはいえない。また特開平4−202461号公報に
は、エポキシ変性ポリフェニレンエーテルを配合してい
るが、色調と外観とウェルド強度の両立という観点にお
いては十分といえない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、色調と外観
とウェルド強度と成形加工性が同時に十分なレベルで達
成できる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
達成するため鋭意研究を重ねた結果、特定の変性方法に
よって得られた変性ポリフェニレンエーテルと液晶ポリ
エステルを配合し、溶融混練することにより、色調と外
観とウェルド強度と成形加工性が同時に十分なレベルで
達成できる樹脂組成物が得られることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は下記(式1)の構造単
位からなるポリフェニレンエーテル(a)100重量部
に対し、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重
結合または三重結合及び少なくとも1個のエポキシ基を
有する少なくとも1種の変性剤(b)0.01〜50.
0重量部を添加した混合物を、50℃以上(a)の融点
以下の反応温度で反応することにより得られる官能化さ
れたポリフェニレンエーテル樹脂(A)95〜5重量%
と、液晶ポリエステル(B)5〜95重量%から溶融混
練してなる樹脂組成物を提供するものである。
【0011】
【化3】 (R1、R4は、それぞれ独立して、水素、第一級もしく
は第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキル、
炭化水素オキシを表わす。R2、R3は、それぞれ独立し
て、水素、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェ
ニルを表わす。)
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本願発明について具体的に
説明する。本発明で用いる官能化されたポリフェニレン
エーテル樹脂(A)は、下記(式1)の構造単位からな
るポリフェニレンエーテル(a)100重量部に対し、
分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合また
は三重結合及び少なくとも1個のエポキシ基を有する少
なくとも1種の変性剤(b)0.01〜50.0重量部
を添加した混合物を、50℃以上(a)の融点以下の反
応温度で反応することにより得られる。
【0013】
【化4】 (R1、R4は、それぞれ独立して、水素、第一級もしく
は第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキル、
炭化水素オキシを表わす。R2、R3は、それぞれ独立し
て、水素、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェ
ニルを表わす。)
【0014】本発明では、通常は非晶性高分子として知
られているポリフェニレンエーテルを官能化するにあた
って、原料として、融点を持つ結晶性のポリフェニレン
エーテル(a)を用い、50℃以上かつこの融点以下の
温度で反応する。即ち、ポリフェニレンエーテル(a)
が固体の状態で、変性剤(b)と反応することにより、
先行技術と同様の官能性を持つ官能化されたポリフェニ
レンエーテル樹脂が得られる。なおかつ、この官能化さ
れたポリフェニレンエーテル樹脂と液晶ポリエステルを
配合し、溶融混練することにより、驚くべきことに、色
調と外観とウェルド強度と成形加工性が同時に十分なレ
ベルで達成できる樹脂組成物が得られることを見出し
た。
【0015】本発明のポリフェニレンエーテル(a)と
は、(式1)の繰り返し単位構造
【化5】
【0016】(R1、R4は、それぞれ独立して、水素、
第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、アミ
ノアルキル、炭化水素オキシを表わす。R2、R3は、そ
れぞれ独立して、水素、第一級もしくは第二級の低級ア
ルキル、フェニルを表わす。)からなり、還元粘度
(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
が、0.15〜1.0dl/gの範囲にあるホモ重合体
及び/または共重合体である。さらに好ましい還元粘度
は、0.20〜0.70dl/gの範囲、最も好ましく
は0.40〜0.60の範囲である。
【0017】このポリフェニレンエーテルの具体的な例
としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4
−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェ
ニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−
ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げら
れ、さらに、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノ
ール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや
2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のよ
うなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中
でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエー
テル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−ト
リメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポ
リ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
が好ましい。
【0018】本発明で使用するポリフェニレンエーテル
(a)の製造方法は特に限定されない。本発明で使用す
るポリフェニレンエーテル(a)の製造方法の例とし
て、米国特許第3306874号明細書記載の第一銅塩
とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6−
キシレノールを酸化重合する方法がある。米国特許第3
306875号、同第3257357号および同第32
57358号の明細書、特公昭52−17880号およ
び特開昭50−51197号および同63−15262
8号の各公報等に記載された方法もポリフェニレンエー
テル(a)の製造方法として好ましい。
【0019】本発明のポリフェニレンエーテル(a)の
末端構造は、下記(式3)の構造であることが好まし
い。
【化6】 〔式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ前記(式1)
におけるR1、R2、R3、R4と同様に定義される。〕
【0020】本発明のポリフェニレンエーテル(a)の
末端構造は、下記(式3’)の構造を有することが更に
好ましい。
【化7】 〔式中、R1は、前記(式1)におけるR1と同様に定義
され、R5、R5‘は水素またはアルキル基を表わす。〕
【0021】本発明で用いる変性剤(b)は、分子構造
内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または三重結
合及び少なくとも1個のエポキシ基を有する少なくとも
1種の変性剤である。中でも、分子構造内に少なくとも
1個の炭素−炭素二重結合及び、少なくとも1個のエポ
キシ基を有する少なくとも1種の有機化合物であること
が好ましい。
【0022】これらの変性剤(b)は、グルシジルメタ
クリレート、またはグリシジルアクリレートであること
が好ましい。本発明の変性剤(b)の配合量は、ポリフ
ェニレンエーテル(a)100重量部に対して、0.0
1〜50.0重量部である。変性剤(b)が0.01重
量部未満の場合、官能基の量が不十分である。変性剤
(b)が50.0重量部を越える場合、官能化されたポ
リフェニレンエーテル樹脂中に未反応の変性剤(b)が
多量に残留しやすくなり、本発明の樹脂組成物からなる
成形品の色調や外観の低下の原因につながる。
【0023】本発明においてポリフェニレンエーテル
(a)と変性剤(b)を反応させる反応温度は、50℃
以上でかつ(a)の融点以下の温度である。さらに50
℃以上かつ(a)のガラス転移温度以下が好ましく、さ
らに好ましくは50℃以上150℃以下である。反応温
度が50℃未満の場合、ポリフェニレンエーテル(a)
と変性剤(b)は充分反応しない。
【0024】本発明では、融点を持つ結晶性ポリフェニ
レンエーテルを原料であるポリフェニレンエーテル
(a)として用いる。結晶性ポリフェニレンエーテルと
その融点の関係を示した文献としては、例えば、Jou
rnal of PolymerScience,Pa
rt A‐2(6)1141‐1148頁(1968
年)、European Polymer Journ
al(9)293‐300頁(1973年)、Poly
mer(19)81‐84頁(1978年)などがあ
る。
【0025】本発明では、ポリフェニレンエーテル
(a)の融点は、(a)に対する示差熱走査型熱量計
(DSC)の測定において、20℃/分で昇温するとき
に得られる温度−熱流量グラフで観測されるピークのピ
ークトップ温度で定義され、ピークトップ温度が複数あ
る場合にはその内の最高の温度で定義される。本発明の
ポリフェニレンエーテル(a)は、溶液より沈殿して得
られる粉末状のもので、融点が240℃〜260℃のポ
リフェニレンエーテルであることが好ましく、さらにD
SC測定におけるピークから得られる融解熱(△H)が
2J/g以上であることが好ましい。
【0026】本発明において、反応温度がポリフェニレ
ンエーテル(a)の融点を越える場合、ポリフェニレン
エーテル(a)の末端水酸基と変性剤(b)のエポキシ
基が反応して架橋物を生成し、官能化されたポリフェニ
レンエーテル樹脂(A)の物性・色調・外観が悪くな
る。また、エポキシ基が反応するため十分な量の官能基
を提供できなくなる。
【0027】本発明の官能化されたポリフェニレンエー
テル樹脂(A)は反応助剤としてラジカル開始剤を添加
することが好ましい。例えば、このラジカル開始剤は、
ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、
パーオキシ、パーオキシカーボネート、ヒドロパーオキ
サイド、パーオキシケタール等である。添加するラジカ
ル開始剤の量は、ポリフェニレンエーテル(a)100
重量部に対し、0.01〜10重量部が好ましい。これ
らの量が0.01重量部より少ないと、ポリフェニレン
エーテル(a)と変性剤(b)との反応性が低くなり、
10重量部より多いとコストが高くなるばかりか、本発
明の樹脂組成物の色調に悪影響を与える。
【0028】本発明では反応を促進するためにポリフェ
ニレンエーテルの貧溶媒を少量添加することが好まし
い。ポリフェニレンエーテルの貧溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、アセトン、n−ヘキサン、シ
クロヘキサン等である。貧溶媒の添加量は0.001〜
50重量部である。添加量が0.001重量部未満では
反応促進の効果が見られず、添加量が50重量部より多
いと、変性剤(b)が希釈されるために反応速度は低下
する。
【0029】本発明ではポリフェニレンエーテル(a)
にポリフェニレンエーテルの良溶媒が少量含まれていて
も良い。ポリフェニレンエーテルはその重合工程で用い
る良溶媒がポリマー中に少量含まれている場合がある。
ポリフェニレンエーテルの良溶媒としては、例えばトル
エン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エ
チルベンゼン、クロロホルム等である。本発明ではポリ
フェニレンエーテルは固体状態で反応を行うため積極的
に良溶媒を添加するものではない。従ってポリフェニレ
ンエーテル中の良溶媒の含有量は10重量部以下であ
る。
【0030】従って、本発明の官能化されたポリフェニ
レンエーテル樹脂(A)は、溶融状態下でもなく、完全
均一の溶液状態下でもなく、ほぼ原料のポリフェニレン
エーテル(a)の粒径を保ったまま製造されるため、固
体状、さらには粉体である。変性されるべきポリフェニ
レンエーテル(a)の体積平均粒子径は10〜500μ
mであることが好ましい。さらに20〜400μmが好
ましく、さらに50〜300μmであることがより好ま
しい。体積平均粒子径が10μm未満だと、飛散などの
問題で取り扱いにくく、500μmより大きいと、変性
剤(b)との反応が阻害され、反応速度が遅くなる。
【0031】得られた官能化されたポリフェニレンエー
テル樹脂(A)の体積平均粒子径は、10〜500μm
であることが好ましい。さらに20〜400μmが好ま
しく、さらに50〜300μmであることがより好まし
い。体積平均粒子径が10μm未満だと、飛散などの問
題で取り扱いにくく、500μmより大きい場合は架橋
反応などが進行しているためか、(B)成分を配合し溶
融混練して樹脂組成物を得ると、ペレット中や成形品に
ゲル化物の混入や、色調低下を招くことがある。
【0032】本発明のポリフェニレンエーテル(a)と
変性剤(b)との反応は、反応器としてパドルドライヤ
ーを用い製造することが好ましい。ジャケット温度を所
望の温度に設定したパドルドライヤーを用いることによ
り、効率的に製造することができる。本発明のポリフェ
ニレンエーテル(a)と変性剤(b)との反応は、反応
器としてヘンシェルミキサーを用い製造することが更に
好ましい。ヘンシェルミキサーを用いると、ポリフェニ
レンエーテル(a)と変性剤(b)を効率的に混合で
き、かつ、剪断発熱により加熱でき、本発明の官能化さ
れたポリフェニレンエーテル樹脂(A)を効率的に製造
することができる。
【0033】しかし、本発明のポリフェニレンエーテル
(a)と変性剤(b)との反応方法は特に限定されるも
のではない。また、本発明の官能化されたポリフェニレ
ンエーテル樹脂(A)は、実質上、全ての分子鎖が官能
化されたポリフェニレンエーテルでもよいし、官能化さ
れていないポリフェニレンエーテル分子鎖と官能化され
たポリフェニレンエーテル分子鎖の混在物であってもよ
い。ただし、ポリフェニレンエーテル(a)と変性剤
(b)との反応方法で述べたように、ポリフェニレンエ
ーテル(a)100重量部に対して、変性剤(b)が
0.01〜50.0重量部添加することにより製造され
ているため、実質、0.01〜50.0重量部付加され
ていることが好ましく、さらに0.05〜30.0重量
部、さらには0.05〜15.0重量部付加されている
ことが好ましい。この付加量が0.01重量未満だと、
(B)成分とのアロイに不十分である。一方、50.0
重量部より多いと、本発明の樹脂組成物から得られる成
形品の色調の低下やゲル化の原因になる。
【0034】本発明の液晶ポリエステル(B)はサーモ
トロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであ
る。例えば、p−ヒドロキシ安息香酸およびポリエチレ
ンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック
液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および2−
ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモ
トロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸
および4,4′−ジヒドロキシビフェニルならびにテレ
フタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリ
エステルなどが挙げられる。溶融時に異方性を示すこと
による優れた成形加工性すなわち流動性及び優れた機械
特性の観点から、本発明で使用される液晶ポリエステル
(B)としては、下記構造単位(イ)が必須成分であ
り、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モ
ル%以上含まれる。
【0035】下記構造単位(イ)および(ロ)、および
必要に応じて(ハ)および/または(ニ)からなるもの
が好ましく用いられる。
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】ここで、構造単位(イ)、(ロ)はそれぞ
れ、p−ヒドロキシ安息香酸から生成したポリエステル
の構造単位と、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸から生
成した構造単位である。構造単位(イ)、(ロ)を使用
することで、優れた耐熱性、流動性や剛性などの機械的
特性のバランスに優れた本発明の熱可塑性樹脂組成物を
得ることができる。上記構造単位(ハ)、(ニ)中のX
は、下記(式4)よりそれぞれ任意に1種あるいは2種
以上選択することができる。
【0041】
【化12】
【0042】構造式(ハ)において好ましいのは、エチ
レングリコール、ハイドロキノン、4,4′−ジヒドロ
キシビフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビ
スフェノールAそれぞれから生成した構造単位であり、
さらに好ましいのは、エチレングリコール、4,4′−
ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンであり、特に
好ましいのは、エチレングリコール、4,4′−ジヒド
ロキシビフェニルである。
【0043】構造式(ニ)において好ましいのは、テレ
フタル酸、イソフタル酸、2,6−ジカルボキシナフタ
レンそれぞれから生成した構造単位であり、さらに好ま
しいのは、テレフタル酸、イソフタル酸である。構造式
(ハ)および構造式(ニ)は、上記に挙げた構造単位を
少なくとも1種あるいは2種以上を併用することができ
る。具体的には、2種以上併用する場合、構造式(ハ)
においては、1)エチレングリコールから生成した構造
単位/ハイドロキノンから生成した構造単位、2)エチ
レングリコールから生成した構造単位/4,4′−ジヒ
ドロキシビフェニルから生成した構造単位、3)ハイド
ロキノンから生成した構造単位/4,4′−ジヒドロキ
シビフェニルから生成した構造単位、などを挙げること
ができる。
【0044】また、構造式(ニ)においては、1)テレ
フタル酸から生成した構造単位/イソフタル酸から生成
した構造単位、2)テレフタル酸から生成した構造単位
/2,6−ジカルボキシナフタレンから生成した構造単
位、などを挙げることができる。ここでテレフタル酸量
は2成分中、好ましくは40重量%以上、さらに好まし
くは60重量%以上、特に好ましくは80重量%以上で
ある。テレフタル酸量を2成分中40重量%以上とする
ことで、比較的に流動性、耐熱性が良好な樹脂組成物と
なる。
【0045】液晶ポリエステル(B)成分中の構造単位
(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の使用分割は特に限定
されない。ただし、構造単位(ハ)と(ニ)は基本的に
ほぼ等モル量となる。また、構造単位(ハ)、(ニ)か
らなる構造単位(ホ)を、(B)成分中の構造単位とし
て使用することもできる。具体的には、1)エチレング
リコールとテレフタル酸から生成した構造単位、2)ハ
イドロキノンとテレフタル酸から生成した構造単位、
3)4,4′−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸
から生成した構造単位、4)4,4′−ジヒドロキシビ
フェニルとイソフタル酸から生成した構造単位、5)ビ
スフェノールAとテレフタル酸から生成した構造単位、
などを挙げることができる。
【0046】
【化13】
【0047】本発明の液晶ポリエステル(B)成分に
は、必要に応じて本発明の目的を損なわない程度の少量
の範囲で、他の芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、
芳香族ヒドロキシカルボン酸から生成する構造単位を導
入することができる。本発明の(B)成分の溶融時での
液晶状態を示し始める温度(以下、液晶開始温度とい
う)は、好ましくは150〜350℃、さらに好ましく
は180〜320℃、特に好ましくは200〜300℃
である。液晶開始温度をこの範囲にすることは、得られ
る樹脂組成物を好ましい色調と耐熱性と成形加工性バラ
ンスの良いものとする。また、液晶開始温度を150〜
270℃にすることで、特に成形品表面外観上好まし
い。また、液晶開始温度を250〜350℃にすること
で、得られる組成物の高温における耐摩耗性、耐薬品
性、剛性、耐クリープ性、リブ強度などを好ましい範囲
で持続することができる。
【0048】本発明の(B)成分の熱変形温度(AST
MD648に準拠、荷重1.82MPa)は、好ましく
は130〜300℃、さらに好ましくは150〜280
℃、特に好ましくは170〜270℃である。熱変形温
度をこの範囲にすることは、得られる樹脂組成物を好ま
しい耐熱性と機械的特性のバランスの比較的良いものと
する。また、熱変形温度を130〜270℃にすること
で、流動性、成形加工性、ボス割れやヒンジ特性などが
比較的良好な樹脂組成物となる。また、熱変形温度を2
10〜300℃にすることで、得られる樹脂組成物の高
温での耐クリープ性、剛性を比較的良好にし、射出成形
での成形サイクルを比較的短縮化できる。
【0049】本発明の液晶ポリエステル(B)成分の2
5℃、1MHzにおける誘電正接(tanδ)は、好ま
しくは0.03以下であり、さらに好ましくは0.02
以下である。この誘電正接の値が小さければ小さいほ
ど、誘電損失は小さくなり、この樹脂組成物を電気・電
子部品の原料として用いる時、発生する電気的ノイズが
抑制され好ましい。特に25℃、高周波数領域下、すな
わち1〜10GHz領域において、誘電正接(tan
δ)は、好ましくは0.03以下であり、さらに好まし
くは0.02以下である。
【0050】本発明の液晶ポリエステル(B)成分の見
かけの溶融粘度(液晶開始温度+30℃でずり速度10
0/秒)は、好ましくは100〜30000ポイズ、さ
らに好ましくは100〜20000ポイズ、特に好まし
くは100〜10000ポイズである。見かけの溶融粘
度をこの範囲にすることは、得られる組成物の流動性を
好ましいものとする。本発明の(B)成分の溶融状態
(液晶状態)における熱伝導率は、好ましくは0.1〜
2.0W/mK、さらに好ましくは0.2〜1.5W/
mK、特に好ましくは0.3〜1.0W/mKである。
溶融状態(液晶状態)での熱伝導率をこの範囲にするこ
とで、得られる組成物の射出成形サイクルを比較的短縮
化することができる。
【0051】本発明における(A)成分の官能化された
ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量は、95〜5重量
%で、好ましくは90〜10重量%で、さらに好ましく
は80〜20重量%である。この配合量が95重量%よ
り多いと、成形加工性が大きく低下してしまい、5重量
%より少ないと、(A)成分の官能基の効力が発揮され
ず、十分な相溶化効果が得られないし、ウェルド強度が
十分でない。本発明における(B)成分の液晶ポリエス
テルの配合量は、5〜95重量%で、好ましくは10〜
90重量%で、さらに好ましくは20〜80重量%であ
る。この配合量が95重量%より多いと、表面平滑性が
出にくく外観低下を招き、ウェルド強度が低下してしま
う。この配合量が5重量%より少ないと、十分な成形加
工性が得られない。
【0052】本発明において、(A)成分及び(B)成
分の他に、無機フィラーを添加してもよい。無機フィラ
ーは、ガラス繊維、カーボン繊維、ウィスカー、マイ
カ、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カル
シウム、チタン酸カリウム、ワラストナイト、導電性金
属繊維、導電性カーボンブラック等が挙げられる。中で
もガラス繊維が好ましい。また、ガラス繊維などの繊維
状充填剤はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑
性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるい
は集束されていてもよい。
【0053】その添加量は、官能化されたポリフェニレ
ンエーテル樹脂(A)と液晶ポリエステル(B)の合計
100重量部に対し、無機フィラーが0.1〜300重
量部、好ましくは0.1〜200重量部、さらに好まし
くは0.1〜150重量部である。添加することによ
り、高い剛性が得られる。ただし添加量が300重量部
より多いと、成形品の外観低下を招く。
【0054】本発明では、上記の成分の他に、本発明の
特徴および効果を損なわない範囲で必要に応じて他の附
加的成分、例えば、酸化防止剤、難燃剤(有機リン酸エ
ステル系化合物、無機リン系化合物、芳香族ハロゲン系
難燃剤など)、エラストマー(エチレン/プロピレン共
重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プ
ロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル
酸エチル共重合体、エチレン/ メタクリル酸グリシジ
ル共重合体、エチレン/酢酸ビニ ル/メタクリル酸グ
リシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無
水マレイン酸共重合体、ABSなど のオレフィン系共
重合体、ポリエステルポリエーテルエ ラストマー、ポ
リエステルポリエステルエラストマー、ビニル芳香族化
合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、ビニル芳香
族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添
加物)、
【0055】可塑剤(オイル、低分子量ポリエチレン、
エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エ
ステル類等)、難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオ
レフィン用造核剤、スリップ剤、各種着色剤、離型剤等
を添加してもかまわない。
【0056】本発明の樹脂組成物は種々の方法で製造す
ることができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロ
ール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバ
リーミキサー等による加熱溶融混練方法が挙げられる
が、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ま
しい。この際の溶融混練温度は特に限定されるものでは
ないが、通常50〜350℃の中から任意に選ぶことが
できる。
【0057】さらには、押出混練機の第一フィード口か
らポリフェニレンエーテル(a)と変性剤(b)を投入
し、第一フィード口から第二フィード口の間において、
押出混練機内の温度を調整し、すなわち50℃以上で且
つ、(a)の融点以下の温度にて反応混練し、本発明に
おける官能化されたポリフェニレンエーテル樹脂(A)
を製造したのち、該押出混練機の第二フィード口以降の
温度を(A)成分、(B)成分がともに溶融する温度に
設定し、第二フィード口から液晶ポリエステル(B)な
どを投入し、該官能化されたポリフェニレンエーテル樹
脂(A)と該液晶ポリエステル(B)などを押出混練機
内で溶融混練して樹脂組成物を製造する方法も挙げられ
る。
【0058】このようにして得られる本発明の樹脂組成
物は、従来より公知の種々の方法、例えば、射出成形、
押出成形、中空成形により各種部品の成形体として成形
できる。これら各種部品としては、例えば自動車部品や
電子・電気部品に適している。特にはんだ耐熱性、精密
成形性、電気特性が要求されるコネクタやリレーなどの
表面実装部品に適している。
【0059】本発明における樹脂組成物が優れた物性を
示す理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考
えることができる。すなわち、ポリフェニレンエーテル
を官能化する際、従来の溶融法では高温を経るため、官
能基がさらに変性してしまったり、またポリフェニレン
エーテル主鎖などの転移反応などの副反応を誘発し、着
色原因となるが、本発明ではポリフェニレンエーテルの
融点以下という比較的低温で官能化しているため、ポリ
マーの副反応も抑制されており、さらに官能化されたポ
リフェニレンエーテル(A)の官能基の高い反応性が保
持され、その官能基と液晶ポリエステル(B)が有して
いる水酸基やカルボキシル基との反応効率が向上するた
めと考えられる。
【0060】以上のことから、ポリフェニレンエーテル
の欠点である成形加工性と色調、液晶ポリエステルの欠
点であるウェルド強度を、本発明により、いずれも満足
させる樹脂組成物を得ることができる。本発明を以下、
実施例に基づいて説明する。但し本発明はその主旨を越
えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0061】実施例及び比較例では次のポリフェニレン
エーテル(a)を用いた。 a−1:ポリフェニレンエーテル(2,6−ジメチルフ
ェノールを酸化重合して得た還元粘度0.54のポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
で、示差熱走査型熱量計(DSC)の測定を行い、20
℃/分で昇温するときに得られる温度−熱流量グラフの
ピークトップ温度を融点とした時に、単一のピークを示
し、その融点は250℃であったもの。) 実施例及び比較例では次の変性剤(b)を用いた。 b−1:グリシジルメタクリレート(GMAと略す。) b−2:グリシジルアクリレート(GAと略す。)
【0062】(製造例1)官能化されたポリフェニレン
エーテル(PPE−1)の製造例 ポリフェニレンエーテル(a−1)100gと変性剤
(b−1)5gにさらに2,5−ジメチル−2,5−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン5gおよびアセト
ン5gを、直径5mmの攪拌用鉄球5個とをガス注入口
がついたオートクレーブ中に入れた。室温にて、ガス注
入口を通して、内部を10mmHgまで減圧にした後
に、大気圧の窒素を導入し、内部を窒素置換した。この
操作を三回繰り返し、オートクレーブを密封した。系外
に出た(a−1)、(b−1)は、それぞれ、0.1
g、及び、0.15gであった。密封したオートクレー
ブを110℃に設定したオイルバスに入れ、60分間振
とうし、パウダー状の内容物103.7gを得た。
【0063】内容物のうちの50gを100mlのアセ
トンで洗浄し、ガラスフィルターを用いて濾別した。こ
の操作を5回繰り返し、洗浄された洗浄物1及び、濾液
1を得た。ガスクロマトグラム分析した結果、濾液1中
に含まれる変性剤は、0.01gであった。洗浄物1を
乾燥した乾燥物1(49.4g)から20g分取したも
のを40mlのアセトンで洗浄し、ガラスフィルターを
用いて濾別した。この操作を5回繰り返し、洗浄された
洗浄物2及び、濾液2を得た。ガスクロマトグラム分析
した結果、濾液2中に変性剤(b−1)は含まれなかっ
た。乾燥物1を走査型電子顕微鏡で観察したところ、体
積平均粒子径は、60〜90μmであった。
【0064】乾燥物1の1gを内側からポリテトラフロ
ロエチレンシート、アルミシート、鉄板の順に重ねたも
のの間にはさみ、280℃に温度設定したプレス成形機
を用い、10MPaで圧縮成形し反応後フィルムを得
た。同様の操作で、ポリフェニレンエーテル(a−1)
から、反応前フィルムを得た。得られたフィルムそれぞ
れについて、日本分光社製FT/IR−420型フーリ
エ変換赤外分光光度計を用いて、赤外分光測定を行った
ところ、反応後のフィルムに対する測定では、1732
cm-1に、ポリフェニレンエーテルに付加したグリシジ
ルメタクリレート(GMA)由来のピークが観測され
た。反応前のフィルムに対する測定では、1732cm
-1のピークは観測されなかった。
【0065】金型温度を280℃に設定したプレス成形
機を用いて、乾燥物1の20gをプレス成形し、50×
80×3mm大の平板状成形体を得た。この平板状成形
体は、透明の淡い黄色であり、異物は見られなかった。
以上の乾燥物1を官能化されたポリフェニレンエーテル
(PPE−1)として得た。
【0066】(製造例2)官能化されたポリフェニレン
エーテル(PPE−2)の製造例 ポリフェニレンエーテル(a−1)150kgと変性剤
(b−1)2kgを、ジャケット加熱可能な三井鉱山
(株)社製FM500型ヘンシェルミキサーに入れ内部
を窒素置換した。撹拌羽根を高速回転し、剪断発熱によ
り内容物を110℃まで50分かけて加熱した。ジャケ
ット温度が110℃に到達した後、5分間高速回転を継
続した後、冷水をジャケットに流し冷却した。内容物1
0gをクロロホルム100gに加えてよく撹拌した結
果、不溶成分は存在しなかった。
【0067】内容物のうちの50gから、製造例1と同
様の操作で、洗浄物1、濾液1、乾燥物1(49.1
g)、及び、濾液2を得た。濾液1、及び、濾液2中に
含まれる変性剤(b−1)は、それぞれ、0.02及び
0gであった。乾燥物1の体積平均粒径は60〜100
μmであった。反応後のフィルムの赤外分光測定では、
1732cm-1に、グリシジルメタクリレート(GM
A)由来のピークが観測された。製造例1と同様に、透
明の淡い黄色で、異物は見られない平板状成形体を得
た。以上の乾燥物1を官能化されたポリフェニレンエー
テル(PPE−2)として得た。
【0068】(製造例3)官能化されたポリフェニレン
エーテル(PPE−3)の製造例 ポリフェニレンエーテル(a−1)50kgと変性剤
(b−2)2kgを、ジャケット加熱可能な奈良機械
(株)社製NPD−16W型パドルドライヤー中に入れ
内部を窒素置換した。ジャケットに加熱水蒸気を導入し
110℃まで1時間かけて加熱した。ジャケット温度が
110℃に到達した後、15分間保温した後、冷水をジ
ャケットに流し冷却した。内容物10gをクロロホルム
100gに加えてよく撹拌した結果、不溶成分は存在し
なかった。
【0069】内容物のうちの50gから、製造例1と同
様の操作で、洗浄物1、濾液1、乾燥物1(49.1
g)、及び、濾液2を得た。濾液1、及び、濾液2中に
含まれる変性剤(b−2)は、それぞれ、0.05及び
0gであった。乾燥物1の体積平均粒径は80〜110
μmであった。反応後のフィルムの赤外分光測定では、
1728cm-1に、グリシジルアクリレート(GA)由
来のピークが観測された。製造例1と同様に、透明の淡
い黄色で、異物は見られない平板状成形体を得た。以上
の乾燥物1を官能化されたポリフェニレンエーテル(P
PE−3)として得た。
【0070】(参考例1)溶融変性ポリフェニレンエー
テル(PPE(参))の参考例 ポリフェニレンエーテル(a−1)100重量部に対し
て、5重量部の変性剤(b−1)と0.3重量部の2,
5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパ−オキシ)
ヘキサンを300℃設定した2軸押出機で溶融混練する
ことによって反応を行い、得られたペレットを粉砕し、
アセトンにて洗浄操作を実施することによって溶融変性
ポリフェニレンエーテル(PPE(参))を得た。
【0071】(製造例4)液晶ポリエステル(LCP−
1)の製造例 窒素雰囲気下において、p−ヒドロキシ安息香酸、2−
ヒドロキシ−6−ナフトル酸、ポリエチレンテレフタレ
ート、無水酢酸を仕込み、加熱溶融し、重縮合すること
で以下の理論構造式を有する液晶ポリエステル(LCP
−1)を得た。なお、組成の成分比はモル比を表す。
【0072】
【化14】
【0073】(製造例5)液晶ポリエステル(LCP−
2)の製造例 窒素雰囲気下において、p−ヒドロキシ安息香酸、4,
4′−ジヒドロキシビフェニル、テレフタル酸、イソフ
タル酸を仕込み、加熱溶融し、重縮合することで以下の
理論構造式を有する液晶ポリエステル(LCP−2)を
得た。なお、組成の成分比はモル比を表す。
【0074】
【化15】
【0075】各樹脂組成物の物性を、以下の方法に従っ
て評価した。 (1)色調 得られたペレットを、シリンダー温度275℃、金型温
度80℃に設定した射出成形機[IS−80EPN:東
芝機械(株)社製]を用いて長さ90mm、幅50m
m、厚さ2mmの平板状成形片に成形した。得られた成
型品を目視により、以下の基準により判断した。○:白
色、△:黄色味を帯びた白色、×:黄色 (2)外観 上記(1)と同様の成形品の表面の平滑性を蛍光灯に照
らし、光沢の有無を黙視により判断した。○:光沢あ
り。×:光沢なし。
【0076】(3)ウェルド強度 得られたペレットを、シリンダー温度275℃、金型温
度80℃に設定した射出成形機[IS−80EPN:東
芝機械(株)社製]を用いて、ASTM4号引張試験片
をゲートが試験片の片方(イ)および両端(ロ)に切り
替えることのできる金型を用いて成形を行った。得られ
た試験片をASTMD638に基づいて引張強度を測定
し、(ロ)/(イ)×100 をウエルド保持率(%)
とした。
【0077】(4)流動性 得られたペレットからシリンダー温度275℃で厚さ
0.5mmのスラブフロー金型を用い、射出圧100M
Paにて流動長を求め、次のように評価した。◎:非常
によく流れる。○:よく流れる。×:よく流れない。
【0078】
【実施例1〜6】官能化されたポリフェニレンエーテル
(PPE−1またはPPE−2またはPPE−3)と液
晶ポリエステル(LCP−1またはLCP−2)とガラ
ス繊維(平均長さ3mm、チョップドファイバー。GF
と略す。)を表1に示す割合で配合し、170〜275
℃に設定したベントポート付き二軸押出機(ZSK−2
5;WERNER&PFLEIDERER社製)を用い
て溶融混練しペレットとして得た。このペレットを用
い、上に示した方法により成形加工し物性評価を実施し
た。
【0079】
【比較例1、2、4】参考のための溶融変性ポリフェニ
レンエーテル(PPE(参))と液晶ポリエステル(L
CP−1またはLCP−2)を表1に示す割合に配合し
たこと以外は実施例1〜6と同様に実施し、ペレットを
得た。このペレットを用い、上に示した方法により成形
加工し物性評価を実施した。
【0080】
【比較例3】官能化されたポリフェニレンエーテル(P
PE−1)を単独で、押出機の設定温度を170〜30
0℃にしたこと以外は、実施例1〜6と同様に実施し、
ペレットを得た。このペレットを用い、上に示した方法
により成形加工し物性評価を実施した。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】本発明により、色調と外観とウェルド強
度と成形加工性が同時に十分なレベルで達成できる樹脂
組成物を提供することが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67/00 C08L 67/00 // C08F 283/08 C08F 283/08 C08L 51/08 C08L 51/08 Fターム(参考) 4J002 BN17W CF04X CF05X CF06X CF07X CF08X CF09X CF12X CF14X CF18X DA016 DA036 DA066 DE136 DE186 DE236 DJ006 DJ046 DJ056 DL006 FA046 FD016 FD020 FD130 4J011 JB16 JB25 4J015 BA04 BA05 BA06 BA08 BA09 BA10 4J026 AB22 AB23 BA30 BB01 DB03 DB09 DB15 DB30 GA01 GA09

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(式1)の構造単位からなるポリフ
    ェニレンエーテル(a)100重量部に対し、分子構造
    内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または三重結
    合及び少なくとも1個のエポキシ基を有する少なくとも
    1種の変性剤(b)0.01〜50.0重量部を添加し
    た混合物を、50℃以上(a)の融点以下の反応温度で
    反応することにより得られる官能化されたポリフェニレ
    ンエーテル樹脂(A)95〜5重量%と、液晶ポリエス
    テル(B)5〜95重量%から溶融混練してなる樹脂組
    成物。 【化1】 (R1、R4は、それぞれ独立して、水素、第一級もしく
    は第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキル、
    炭化水素オキシを表わす。R2、R3は、それぞれ独立し
    て、水素、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェ
    ニルを表わす。)
  2. 【請求項2】 官能化されたポリフェニレンエーテル樹
    脂(A)が、体積平均粒子径10〜500μmの粉体で
    あることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 官能化されたポリフェニレンエーテル樹
    脂(A)を得るための反応温度が、50℃以上(a)の
    ガラス転移温度以下の範囲であることを特徴とする請求
    項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 官能化されたポリフェニレンエーテル樹
    脂(A)を得るための反応温度が、50〜150℃の範
    囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】 変性剤(b)が、グリシジルメタクリレ
    ートまたはグルシジルアクリレートであることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 官能化されたポリフェニレンエーテル樹
    脂(A)を得る際に、ラジカル開始剤0.01〜10重
    量部を添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 官能化されたポリフェニレンエーテル樹
    脂(A)を得る際に、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒
    を0.001〜50重量部添加することを特徴とする請
    求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 ポリフェニレンエーテル(a)がポリフ
    ェニレンエーテルの良溶媒を0〜10重量部含有するこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組
    成物。
  9. 【請求項9】 液晶ポリエステル(B)が下記(式2)
    の構造単位を含むことを特徴とする請求項1〜8のいず
    れかに記載の樹脂組成物。 【化2】
  10. 【請求項10】 (A)成分と(B)成分の合計100
    重量部に対し、無機フィラーが0.1〜300重量部添
    加されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記
    載の樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 無機フィラーがガラス繊維であること
    を特徴とする請求項10に記載の樹脂組成物。
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JP2006008964A (ja) * 2004-01-22 2006-01-12 Polyplastics Co 熱可塑性樹脂組成物

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