JP2001302916A - ポリフェニレンスルフィド系ポリマーアロイ - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド系ポリマーアロイ

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JP2001302916A
JP2001302916A JP2000123503A JP2000123503A JP2001302916A JP 2001302916 A JP2001302916 A JP 2001302916A JP 2000123503 A JP2000123503 A JP 2000123503A JP 2000123503 A JP2000123503 A JP 2000123503A JP 2001302916 A JP2001302916 A JP 2001302916A
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polyphenylene ether
polymer alloy
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Yoshikuni Akiyama
義邦 秋山
Minoru Sakata
稔 坂田
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ポリフェニレンスルフィド樹脂とポリフェニ
レンエーテル樹脂からなるポリマーアロイの加工時にお
ける“やけ”および“炭化物生成”を減少させ、さらに
はポリマーアロイとしての分散構造を制御し、成型品の
ウェルド強度に優れたポリマーアロイを提供する。 【解決手段】 (a)塩化メチレンによる抽出量が0.
7重量%以下であり、かつ−SX基(Sはイオウ原子、
Xはアルカリ金属または水素原子である)が15μmo
l/g以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂5〜9
5重量部、(b)エポキシ基、オキサゾリン基から選ば
れる少なくとも一種の官能基を有する官能化ポリフェニ
レンエーテル樹脂95〜5重量部を含むことを特徴とす
るポリフェニレンサルファイド系ポリマーアロイ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は誘電正接、誘電率な
どの電気特性に悪影響を示す炭化成分(加熱溶融加工時
に生成する焼けた炭化成分)を限りなく減少させ、且つ
ウェルド強度に優れたポリフェニレンサルファイドとポ
リフェニレンエーテルから成る樹脂組成物に関するもの
であり、さらには基板材料、電子部品封止用材料、表面
実装部品材料、コネクター等の電子機器部品、二次電池
電槽(容器、シート、フィルム)材料および自動車分野
部品、家電分野部品としても好適に用いられる樹脂組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィドおよびポリフ
ェニレンエーテルはともに電気特性に優れるため各種電
子部品に用いられている。これら両樹脂の溶融加工はそ
の融点、耐熱性に起因して通常加工温度を300℃近辺
に保持しなければならないことは周知である。中でも、
このポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテ
ルからなるブレンドされたポリマーアロイは、ポリフェ
ニレンスルフィドの低ガラス転移温度を補ったり、加工
時のバリ発生抑制を狙い、高ガラス転移温度の性質を持
ち、且つ溶融加工時の粘度が高いポリフェニレンエーテ
ルを効率よく用いることが知られている。
【0003】このため、特公昭56−34032号公報
にはポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテ
ルからなる樹脂組成物が提案されている。この先行技術
に記載されているように、ポリフェニレンエーテルは極
めて良好な耐熱性、機械的特性等を有しているものの、
そのもの自体の加工温度が高いため溶融加工時に樹脂の
“やけ”が顕著に起こることが知られている。このこと
は、ポリフェニレンエーテルは溶融加工時に何らかの変
質が起こり、“やけ”をおこし、さらに熱履歴が重なっ
た場合には、さらなる変質劣化による“炭化物生成”が
示唆される。
【0004】このため、通常、ポリフェニレンエーテル
は溶融加工温度を低くし、熱劣化させずに加工性を良く
するため、ポリスチレンを始めとし様々な樹脂をブレン
ドすることにより、ポリフェニレンエーテルの特性を活
かした樹脂組成物が提案されている。
【0005】しかしながら、加工温度が高いポリフェニ
レンスルフィドとブレンドした樹脂組成物においては、
上記したように実質的な加工温度が高いため、ポリフェ
ニレンエーテルの加工上の欠点である“やけ”および
“炭化物生成”は避けられないのが現状である。また、
このポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテ
ルからなる樹脂組成物は、それぞれが相手樹脂との混和
性(相溶性)が悪く、得られた樹脂組成物の成型品のウ
ェルド強度は実用に耐えないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリフェニ
レンスルフィド樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂から
なるポリマーアロイの加工時における“やけ”および
“炭化物生成”を減少させ、さらにはポリマーアロイと
しての分散構造を制御し、成型品のウェルド強度に優れ
たポリマーアロイを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な現状に鑑みポリフェニレンスルフィド樹脂のマトリッ
クス中にポリフェニレンエーテル樹脂からなる分散粒子
が分散した構造をもつポリマーアロイにおいて、製造・
加工時の“やけ”および“炭化物生成”の減少化と成型
物のウェルド強度に関し鋭意検討を重ねた結果、特定の
方法で得られるポリフェニレンエーテル樹脂と特定の構
造を有するポリフェニレンスルフィド樹脂を用いること
により、製造・加工時時の“やけ”および“炭化物生
成”の減少化がなされ、且つ、成型物のウェルド強度が
優れ、基板材料、電子部品封止用材料、表面実装部品材
料、コネクター等の電子機器部品、二次電池電槽(容
器、シート、フィルム)材料および自動車分野部品、家
電分野部品として利用できることを見いだし本発明に到
達した。
【0008】すなわち、本発明は、 (a)塩化メチレンによる抽出量が0.7重量%以下で
あり、かつ−SX基(Sはイオウ原子、Xはアルカリ金
属または水素原子である)が15μmol/g以上であ
るポリフェニレンスルフィド樹脂5〜95重量部、
(b)融点を有するポリフェニレンエーテル樹脂100
重量部に対し、分子内に脂肪族二重結合とエポキシ基、
オキサゾリン基から選ばれる少なくとも一種の官能基を
有する化合物を0.01〜15重量部添加し、室温(2
7℃)以上且つ、ポリフェニレンエーテル樹脂の融点以
下の温度で反応させて得られた官能化ポリフェニレンエ
ーテル樹脂95〜5重量部を含むことを特徴とするポリ
フェニレンサルファイド系ポリマーアロイ。および、
【0009】(a)塩化メチレンによる抽出量が0.7
重量%以下であり、かつ−SX基(Sはイオウ原子、X
はアルカリ金属または水素原子である)が15μmol
/g以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂5〜95
重量部、(b)融点を有するポリフェニレンエーテル樹
脂100重量部に対し、分子内に脂肪族二重結合とエポ
キシ基、オキサゾリン基から選ばれる少なくとも一種の
官能基を有する化合物を0.01〜15重量部添加し、
室温(27℃)以上且つ、ポリフェニレンエーテル樹脂
の融点以下の温度で反応させて得られた官能化ポリフェ
ニレンエーテル樹脂95〜5重量部、ならびに(a)と
(b)の合計100重量部あたり(c)ビニル芳香族化
合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと
共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体
ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする少なくとも
1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体お
よびまたは該ブロック共重合体を水素添加してなる水添
ブロック共重合体1〜40重量部を含むことを特徴とす
るポリフェニレンサルファイド系ポリマーアロイ。およ
び、
【0010】(a)塩化メチレンによる抽出量が0.7
重量%以下であり、かつ−SX基(Sはイオウ原子、X
はアルカリ金属または水素原子である)が15μmol
/g以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂5〜95
重量部、(b)融点を有するポリフェニレンエーテル樹
脂100重量部に対し、分子内に脂肪族二重結合とエポ
キシ基、オキサゾリン基から選ばれる少なくとも一種の
官能基を有する化合物を0.01〜15重量部添加し、
室温(27℃)以上且つ、ポリフェニレンエーテル樹脂
の融点以下の温度で反応させて得られた官能化ポリフェ
ニレンエーテル樹脂95〜5重量部、ならびに(a)と
(b)の合計100重量部あたり(d)エポキシ基およ
びまたはオキサゾニル基を有する不飽和モノマーを1〜
20重量%の割合でα−オレフィンと共重合してなる共
重合体1〜30重量部含むことを特徴とするポリフェニ
レンサルファイド系ポリマーアロイ。
【0011】本発明のポリマーアロイのマトリックスを
形成する(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂
(以下PPSと略記する)は、塩化メチレンによる抽出
量が0.7重量%以下、好ましくは0.6重量%以下、
特に好ましくは0.5重量%以下である。上記抽出量の
範囲は、PPS中に比較的低分子量(約10〜30量
体)の低いオリゴマーの存在が少ないことを意味するも
のである。該抽出量が上記上限値を超える場合は、得ら
れるポリマーアロイの分散粒子が大きくなり、かつ靱性
としての耐衝撃性の低下が著しく好ましくない。
【0012】ここで、塩化メチレンによる抽出量の測定
は以下の方法により求めることができる。すなわち、P
PS粉末4gを塩化メチレン80gに加え、4時間ソク
スレー抽出を実施した後、室温まで冷却し、抽出後の塩
化メチレン溶液を秤量瓶に移す。更に、上記の抽出に使
用した容器を塩化メチレン合計60gを用いて、3回に
分けて洗浄し、該洗浄液を上記秤量瓶中に回収する。次
に、約80℃に加熱して、該秤量瓶中の塩化メチレンを
蒸発させて除去し、残渣を秤量し、この残渣量よりPP
S中に存在するオリゴマー量の割合を求めることができ
る。
【0013】さらに(a)成分のPPSは、−SX基
(Sはイオウ原子、Xはアルカリ金属または水素原子で
ある)が15μmol/g以上、好ましくは18〜35
μmol/g、特に好ましくは20〜30μmol/g
である。該基が上記下限未満では得られるポリマーアロ
イの分散粒子が大きくなり、かつ靱性としての耐衝撃性
の低下が著しく好ましくない。ここで、−SX基の定量
は以下の方法により求めることができる。すなわち、P
PS粉末を予め120℃で4時間乾燥した後、乾燥PP
S粉末20gをN−メチル−2−ピロリドン150gに
加えて粉末凝集塊がなくなるように室温で30分間激し
く撹拌混合しスラリー状態にする。
【0014】かかるスラリーを濾過した後、毎回約80
℃の温水1リットルを用いて7回洗浄を繰り返す。ここ
で得た濾過ケーキを純水200g中に再度スラリー化
し、ついで1Nの塩酸を加えて該スラリーのPHを4.
5に調整する。次に、25℃で30分間撹拌し、濾過し
た後、毎回約80℃の温水1リットルを用いて6回洗浄
を繰り返す。得られた濾過ケーキを純水200g中に再
度スラリー化し、次いで、1Nの水酸化ナトリウムによ
り滴定し、消費した水酸化ナトリウム量よりPPS中に
存在する−SX基の量を知ることができる。
【0015】上記したPPSの製造方法は、通常、ハロ
ゲン置換芳香族化合物、例えばp−ジクロルベンゼンを
硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、極性溶媒
中で硫化ナトリウムあるいは硫化水素ナトリウムと水酸
化ナトリウムまたは硫化水素と水酸化ナトリウムあるい
はナトリウムアミノアルカノエートの存在下で重合させ
る方法、p−クロルチオフェノールの自己縮合等が挙げ
られるが、中でもN−メチルピロリドン、ジメチルアセ
トアミド等のアミド系溶媒やスルホラン等のスルホン系
溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンを反応
させる方法が適当である。
【0016】これらの製造方法は公知の方法で得られる
ものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米
国特許第2513188号明細書、特公昭44−276
71号公報、特公昭45−3368号公報、特公昭52
−12240号公報、特開昭61−225217号およ
び米国特許第3274165号明細書、英国特許第11
60660号さらに特公昭46−27255号公報、ベ
ルギー特許第29437号明細書、特開平5−2221
96号公報、等に記載された方法やこれら特許等に例示
された先行技術の方法で得ることが出来る。
【0017】本発明で用いるPPSは300℃における
溶融粘度(剪断速度1,000/秒)が100〜10,
000ポイズの中から任意に選ぶことが出来、さらにP
PSの構造は、上記した特徴を示すものであれば直鎖
状、分岐状のものいずれでも良く、中でも直鎖状のもの
がより好ましい。
【0018】つぎに本発明のポリマーアロイの分散粒子
を形成する(b)成分の官能化ポリフェニレンエーテル
樹脂(以下、単にmPPEと略記する。)は、本発明の
ポリマーアロイおいて耐熱性(荷重撓み温度:DTU
L)、耐熱クリープ性および難燃性を付与するうえで必
須な成分であり、ポリフェニレンエーテル(以下、単に
PPEと略記する。)は官能化する前の前駆体である。
【0019】該PPEは、結合単位(式1):
【化1】
【0020】(ここで、R1,R2,R3,およびR4
はそれぞれ、水素、ハロゲン、炭素数1〜7までの第一
級または第二級低級アルキル基、フェニル基、ハロアル
キル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基または少
なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを
隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択さ
れるものであり、互いに同一でも異なっていてもよい)
からなり、還元粘度(0.5g/dl,クロロホルム溶
液,30℃測定)が、0.15〜2.0の範囲であるこ
とが好ましく、さらに好ましくは0.20〜1.0の範
囲にあるホモ重合体および/または共重合体である。
【0021】このPPEの具体的な例としては、例えば
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニ
レンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−
1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロ
ロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さら
に2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例
えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル
−6−ブチルフェノール)との共重合体のごときポリフ
ェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でもポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、
2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチル
フェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,
6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好まし
い。
【0022】かかるPPEの製造方法は公知の方法で得
られるものであれば特に限定されるものではなく、例え
ば、米国特許第3306874号記載のHayによる第
一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例
えば2,6−キシレノールを酸化重合することにより容
易に製造でき、そのほかにも米国特許第3306875
号、同第3257357号および同第3257358
号、特公昭52−17880号および特開昭50−51
197号および同63−152628号等に記載された
方法で容易に製造できる。
【0023】そして本発明で供する(b)成分の前駆体
であるPPEの末端構造は、下記(式2)の構造である
ことが好ましい。
【化2】 〔式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ前記(式
1)におけるR1、R2、R3、R4と同様に定義され
る。〕
【0024】中でも、本発明の(b)成分の前駆体であ
るPPEの末端構造は、下記(式2′)の構造を有する
ことが更に好ましい。
【化3】 〔式中、R5、R5′は水素またはアルキル基を表
す。〕
【0025】これら上記した(b)成分の前駆体である
PPEは、融点を持つ結晶性ポリフェニレンエーテル樹
脂である。結晶性ポリフェニレンエーテルとその融点の
関係を示した文献としては、例えば、Journal
of Polymer Science,Part A
−2(6)1141−1148頁(1968年)、Eu
ropean Polymer Journal
(9)293−300頁(1973年)、Polyme
r(19)81−84頁(1978年)などがある。
【0026】本発明で用いる(b)成分の前駆体である
PPEの融点は、示差熱走査型熱量計(DSC)の測定
において、20℃/分で昇温するときに得られる温度−
熱流量グラフで観測されるピークトップ温度で定義さ
れ、ピークトップ温度が複数ある場合にはその内の最高
温度を融点と定義する。
【0027】つぎにこの(b)成分の前駆体である結晶
性PPEと反応させる分子内に脂肪族二重結合とエポキ
シ基、オキサゾリン基から選ばれる少なくとも一種の官
能基を有する化合物(以下、官能基含有不飽和モノマー
と略記する。)とは、グリシジルメタアクリレート、グ
リシジルアクリレート、ビニルグリシジルエーテル、ヒ
ドロキシアルキル(メタ)アクリレートのグリシジルエ
ーテル、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレー
トのグリシジルエーテル、グリシジルイタコネート等が
挙げられ、中でもグリシジルメタアクリレートが好まし
い。また、上記のオキサゾニル基含有不飽和モノマーと
しては、下記一般式(式3):
【0028】
【化4】
【0029】(ここでRは、水素原子または炭素数1〜
6のアルキル基またはアルコキシ基である。)で表され
るビニルオキサゾリン化合物であり、中でもRが水素原
子またはメチル基を示す化合物が好ましい。その中でも
2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に入手
でき好ましく使用できる。
【0030】(b)成分の官能化ポリフェニレンエーテ
ル(mPPE)を得るには、かかる官能基含有不飽和モ
ノマーを、(b)成分の前駆体であるPPE100重量
部に対して、0.01〜15重量部、好ましくは0.1
〜5重量部、より好ましくは0.5〜5重量部を用いる
必要がある。かかる配合量が、0.01重量部未満の場
合は、(b)成分のmPPEと(a)成分のPPSとか
らなるポリマーアロイの加工時における“やけ”および
“炭化物生成”を減少させ、且つ成型品のウェルド強度
を改良することが望めず、また、かかる配合量が15重
量部を超える場合は、(b)成分のmPPEと(a)成
分のPPSとからなるポリマーアロイの加工時における
“やけ”および“炭化物生成”を逆に増加させ、且つ成
型品のウェルド強度を改良することが望めず、成形の際
にシルバーストリークスの原因となり好ましくない。
【0031】本発明で供する(b)成分のmPPEの製
造方法は、室温(27℃)〜PPEの融点以下の温度
で、好ましくは100〜230℃の反応温度、さらに好
ましくは150〜220℃の反応温度で上記したPPE
と官能基含有不飽和モノマーをPPEの溶融状態をつく
ることなく混合することにより得られる。この反応が先
行技術に見られるいわゆるPPEが溶融状態の温度(約
290℃〜320℃)でなされると、PPE自体の熱劣
化が進行するため溶融混練中に顕著な“やけ”および
“炭化物生成”をもたらすため好ましくない。
【0032】このPPEの溶融状態をつくることなく混
合反応する際、必要に応じ、ラジカル開始剤を添加して
製造することができる。好適なラジカル開始剤の例とし
ては、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシ
ド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパ
ーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、
2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシ
ヘキシン−3、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げる
ことができる。これらラジカル開始剤は、通常、上記官
能基含有不飽和モノマー100重量部に対して、1〜3
0重量部の範囲で使用できるが、これに限定される量で
はない。かかる反応の際、好ましい反応圧力は0〜2M
Paの範囲にて実施され、より好ましくは0〜1MPa
において実施される。
【0033】反応に用いる反応器としては、パドルドラ
イヤー、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、押出機等
を使用することができるが、上記反応条件を満たすもの
であればいかなる反応器に於いても実施できるものであ
る。つぎに本発明で(c)成分として用いるビニル芳香
族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロック
Aと共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重
合体ブロックBとからなるブロック共重合体および該ブ
ロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合
体は、(b)成分の官能化ポリフェニレンエーテル樹脂
中に分散し、ポリマーアロイの靱性付与に大きな効果を
奏するものである。
【0034】ここで、ビニル芳香族化合物を主体とする
少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエン化合物
を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとから
なるブロック共重合体とは、例えばA−B、A−B−
A、B−A−B−A、(A−B−)4−Si、A−B−
A−B−A等の構造を有するビニル芳香族化合物−共役
ジエン化合物ブロック共重合体であり、結合したビニル
芳香族化合物を5〜95重量%、好ましくは10〜80
重量%含んだブロック共重合体である。
【0035】またブロック構造に言及すると、ビニル芳
香族化合物を主体とする重合体ブロックAとは、ビニル
芳香族化合物のホモ重合体ブロックまたはビニル芳香族
化合物を好ましくは50重量%を超え、更に好ましくは
70重量%以上含有するビニル芳香族化合物と共役ジエ
ン化合物との共重合体ブロックの構造を有しており、そ
してさらに、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロ
ックBとは、共役ジエン化合物のホモ重合体ブロックま
たは共役ジエン化合物を好ましくは50重量%を超え、
更に好ましくは70重量%以上含有する共役ジエン化合
物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックの構造を
有するものである。
【0036】これらのビニル芳香族化合物を主体とする
重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合
体ブロックBは、それぞれの重合体ブロックにおける分
子鎖中の共役ジエン化合物またはビニル芳香族化合物の
分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー
成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状また
はこれらの任意の組み合わせで成っていてもよく、該ビ
ニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックおよび該
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックがそれぞ
れ2個以上ある場合は、各重合体ブロックはそれぞれ同
一構造であってもよく、異なる構造であってもよい。
【0037】このブロック共重合体を構成するビニル芳
香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレ
ン、ジフェニルエチレン等のうちから1種または2種以
上を選択でき、中でもスチレンが好ましい。また、共役
ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレ
ン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3
−ブタジエン等のうちから1種または2種以上が選ば
れ、中でも、ブタジエン、イソプレンおよびこれらの組
み合わせが好ましい。そして共役ジエン化合物を主体と
する重合体ブロックは、そのブロックにおける結合形態
のミクロ構造を任意に選ぶことができ、例えば、ブタジ
エンを主体とする重合体ブロックにおいては、1,2−
ビニル結合が2〜90%が好ましく、より好ましくは8
〜80%である。
【0038】また、イソプレンを主体とする重合体ブロ
ックにおいては、3,4−ビニル結合が3〜80%、よ
り好ましくは5〜70%である。本発明で用いる(c)
成分のブロック共重合体の数平均分子量は、5,000
〜1,000,000であるものが好ましく、特に好ま
しくは20,000〜500,000の範囲のものであ
り、分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィで測定しポリスチレン換算した重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)の比〕は10以下であるも
のが好ましい。
【0039】さらに、このブロック共重合体の分子構造
は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組
み合わせのいずれであってもよい。このような構造をも
つブロック共重合体は、上記したブロック共重合体の共
役ジエン化合物を主体とした重合体ブロックBの脂肪族
系二重結合を水素添加反応を実施し、本発明で用いる
(c)成分の水添ブロック共重合体として利用できる。
かかる脂肪族系二重結合の水素添加率は、少なくとも2
0%を超えることが好ましく、更に好ましくは50%以
上、特に好ましくは80%以上である。
【0040】かかる脂肪族系二重結合の水素添加率は少
なくとも50%を超え、好ましくは80%以上、さらに
好ましくは95%以上である。かかる水素添加率は例え
ば核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができ
る。さらに本発明で(d)成分として用いるエポキシ基
およびまたはオキサゾニル基を有する不飽和モノマーを
1〜20重量%の割合でα−オレフィンと共重合してな
る共重合体は、かかる(a)成分のポリフェニレンスル
フィド樹脂中に(b)成分のmPPEと同様に微分散
し、ポリマーアロイの靱性付与に大きな効果を奏するも
のである。
【0041】上記のエポキシ基含有不飽和モノマーとし
ては、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリ
レート、ビニルグリシジルエーテル、ヒドロキシアルキ
ル(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、ポリア
ルキレングリコール(メタ)アクリレートのグリシジル
エーテル、グリシジルイタコネート等が挙げられ、中で
もグリシジルメタアクリレートが好ましい。また、上記
のオキサゾニル基含有不飽和モノマーとしては、下記一
般式(式3):
【0042】
【化5】
【0043】(ここでRは、水素原子または炭素数1〜
6のアルキル基またはアルコキシ基である。)で表され
るビニルオキサゾリン化合物であり、中でもRが水素原
子またはメチル基を示す化合物が好ましい。その中で
も、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に
入手でき、好ましく使用できる。
【0044】また、これら官能基を有するモノマーと共
重合するα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、
プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−
1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセ
ン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタ
デセン、1−エイコセン等が挙げられこれらは一種のみ
ならず二種以上を用いて共重合しても構わない。本発明
で供する(d)成分としては、中でも、エチレン/グリ
シジルメタクリレートの共重合体が好適に用いることが
できるがこれに限定されるものではない。
【0045】エポキシ基および/またはオキサゾニル基
を有する不飽和モノマーは(d)成分の共重合体中に1
〜20重量%、好ましくは、2〜15重量%、更に好ま
しくは3〜10重量%含有しなければならない。かかる
(d)成分の共重合体に含まれるエポキシ基および/ま
たはオキサゾニル基は、(a)成分のPPSが含有する
−SX基と化学的に反応が起こり、本発明のポリマーア
ロイにおいて有用な−SX基含有PPSとのグラフト体
を形成するものと思われ、この有用なグラフト体形成が
本発明のポリマーアロイにおける分散形形態を制御する
上で重要な制御因子である。したがって、かかる(d)
成分の共重合体のエポキシ基およびまたはオキサゾニル
基を有する不飽和モノマー量が1重量%未満では(a)
成分のPPSとの好ましいグラフト化が進みにくく、本
発明のポリマーアロイに好適な分散形態が得られず好ま
しくない。また、かかるエポキシ基およびまたはオキサ
ゾニル基を有する不飽和モノマー量が20重量%を超え
ると(a)成分のPPSとの好ましいグラフト化が進み
にくく、本発明のポリマーアロイに好適な分散形態が得
られず好ましくない。
【0046】本発明のポリマーアロイは、上記した必須
成分の(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂を5
〜95重量%、(b)成分の官能化ポリフェニレンエー
テル樹脂5〜95重量%を基礎としたポリマーアロイで
あり、さらには(a)成分+(b)成分の合計100重
量部に対して(c)成分のビニル芳香族化合物を主体と
する少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエン化
合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと
から成るブロック共重合体およびまたは該ブロック共重
合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体1〜40
重量部を含むポリマーアロイであり、そしてさらに
(a)成分+(b)成分の合計100重量部に対して
(d)成分としてエポキシ基およびまたはオキサゾニル
基を含有する不飽和モノマーを1〜20重量%の割合で
α−オレフィンと共重合してなる共重合体1〜20重量
部を含むポリマーアロイである。
【0047】中でも、最も好ましい態様の組成は、
(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂を35〜9
0重量部、(b)成分の官能化ポリフェニレンエーテル
樹脂10〜65重量部含むポリマーアロイであり、さら
には(a)成分+(b)成分の合計100重量部に対し
て(c)成分のブロック共重合体およびまたは水添ブロ
ック共重合体を5〜25重量部を含むポリマーアロイで
あり、そしてさらには(a)成分+(b)成分の合計1
00重量部に対して(d)成分の共重合体を3〜15重
量部を含むポリマーアロイである。
【0048】以下、本発明のポリマーアロイの製造方法
について説明する。この本発明の樹脂組成物となり得る
ためには、当然ながら、供するポリフェニレンスルフィ
ド樹脂、官能化ポリフェニレンエーテル樹脂、混和剤の
選択、供する各素材の量比関係の選択およびその混合方
法が重要となるが、得られるポリマーアロイの製造・加
工時時の“やけ”および“炭化物生成”の減少化の達
成、且つ、成型物のウェルド強度を格段に改良する重要
なキーテクノロジーは、上記した特定の官能化ポリフェ
ニレンエーテル樹脂を用いることであり、これを供する
上で本発明のポリマーアロイの製造方法には何ら限定さ
れるものはない。
【0049】中でも、本発明のポリマーアロイを工業的
に容易に得る方法として最も好ましい実施態様として
は、 (1)上記した各成分を溶融混練するための溶融混練機
が、ニーディングブロックをスクリューの任意の位置に
組み込むことが可能な二軸以上の多軸押出機であり、用
いるスクリューの全ニーディングブロック部分を実質的
に(L/D)≧1.5、さらに好ましくは(L/D)≧
5〔ここでLは、ニーディングブロックの合計長さ、D
はニーディングブロックの最大外径をあらわす〕に組み
込み、かつ、(π・D・N/h)≧50〔ここで、π=
3.14、D=メタリングゾーンに相当するスクリュー
外径、N=スクリュー回転数(回転/秒)、h=メタリ
ングゾーンの溝深さ〕を満たし、これらの押出機は、原
料の流れ方向に対し上流側に第一原料供給口、これより
下流に第二原料供給口を有し、必要に応じ、第二原料供
給口より下流にさらに1つ以上の原料供給口を設けても
良く、さらに必要に応じこれら原料供給口の間に真空ベ
ント口を設けた二軸押出機を用いる。
【0050】本発明のポリマーアロイを製造する方法
で、基本となる原料供給方法は、第一原料供給口より
(b)成分の官能化ポリフェニレンエーテル樹脂(mP
PE)全量または(b)成分のmPPE全量と(a)成
分のPPS全量の50%を超えない範囲の一部の(a)
成分のPPSを併せて供給し、第二原料供給口より、
(a)成分のPPS全量または第一原料供給口へ分配し
た残部の(a)成分のPPSを供給する押出方法が好ま
しいが、(a)、(b)成分を第一原料供給口から一括
して供給しても構わない。また、(c)成分のブロック
共重合体、水添ブロック共重合体の供給は、(b)成分
のmPPEと一緒に配合して供給することが好ましいが
これに限定されるものではない。さらに(d)成分の共
重合体の供給も、(a)成分のPPSもしくは(b)成
分のmPPEと一緒に配合して供給することもできる。
【0051】また、押出機バレル設定温度は通常、溶融
混練するゾーンが280〜350℃、好ましくは280
〜310℃、スクリュー回転数は100〜1200rp
m、好ましくは200〜500rpmの条件で溶融混練
し製造することができる。本発明では、上記の成分の他
に、本発明の特徴および効果を損なわない範囲で必要に
応じて他の附加的成分、例えば、酸化防止剤、金属不活
性化剤、難燃剤(有機リン酸エステル化合物、縮合リン
酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系難燃
剤、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤な
ど)、フッ素系ポリマー、可塑剤(低分子量ポリエチレ
ン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪
酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐
候(光)性改良剤、造核剤、スリップ剤、無機または有
機の充填材や強化材(ガラス繊維、カーボン繊維、ポリ
アクリロニトリル繊維、ウィスカー、マイカ、タルク、
カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、チタ
ン酸カリウム、ワラストナイ導電性金属繊維、導電性カ
ーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等を添加して
もかまわない。
【0052】このようにして得られる本発明のポリマー
アロイは、従来のポリフェニレンスルフィドとポリフェ
ニレンエーテルからなる樹脂組成物が持つ欠点を解消
し、製造・加工時時の“やけ”および“炭化物生成”の
減少化と成型物のウェルド強度に優れるため基板材料、
電子部品封止用材料、表面実装部品材料、コネクター等
の電子機器部品、二次電池電槽(容器、シート、フィル
ム)材料および自動車分野部品、家電分野部品として利
用できる。
【0053】本発明のポリマーアロイは、従来より公知
の種々の方法、例えば、圧縮成形、射出成形、押出成
形、多層押出成形、異形押出成形などによりの目的に応
じた各種の成形体として成形できる。
【0054】
【発明の実施の形態】本発明を実施例によって、さらに
詳細に説明するが、これらの実施例により限定されるも
のではない。
【0055】(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹
脂 a−1:溶融粘度(フローテスターを用いて、300
℃、荷重2MPa、L/D=10/1で6分間保持した
後測定した値。)が500ポイズ、塩化メチレンによる
抽出量が0.4重量%、−SX基量が29μmol/g
のPPS。 a−2:溶融粘度が500ポイズ、塩化メチレンによる
抽出量が0.7重量%、−SX基量が30μmol/g
のPPS。 a−3:溶融粘度が500ポイズ、塩化メチレンによる
抽出量が1.2重量%、−SX基量が31μmol/g
のPPS。 a−4:溶融粘度が500ポイズ、塩化メチレンによる
抽出量が3.0重量%、−SX基量が29μmol/g
のPPS。 a−5:溶融粘度が500ポイズ、塩化メチレンによる
抽出量が0.6重量%、−SX基量が7μmol/gの
PPS。
【0056】(b)成分の官能化ポリフェニレンエーテ
ル樹脂 b−1:2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元
粘度0.52のポリフェニレンエーテル(PPE−1と
略記する)を示差熱走査型熱量計(DSC)を用い20
℃/分で昇温して得られる温度−熱流量グラフより融点
が251℃であることが判明した。このPPE−1を攪
拌機&ジャケット付きオートクレーブに入れ、内部圧力
10mmHgまで減圧し、大気圧になるまで窒素ガス導
入しオートクレーブ内部を窒素置換した。この窒素置換
操作を3回実施した。その後内温を110℃に調整し、
該PPE100重量部に対してグリシジルメタクリレー
トを6重量部およびグリシジルメタクリレート100重
量部に対して、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブ
チルパーオキシヘキサン5重量部の混合液をオートクレ
ーブ内に添加し、反応を60分間実施した。ここで得た
官能化ポリフェニレンエーテルをb−1とした。
【0057】この(b−1)10gをクロロホルム10
0gに溶解したが、不溶物は存在しなかった。また、こ
の(b−1)50gを100mlのアセトンで洗浄し、
ガラスフィルターを用いて濾別した。このアセトン洗浄
−濾別操作を、濾液中にグリシジルメタクリレートに起
因する物質が確認されない程度までアセトンによる洗浄
−濾別を行った。ここで得た洗浄物を減圧乾燥し、28
0℃に温度設定した加熱プレス成形機を用いてプレス成
形してフィルムを得た。このフィルムを日本分光社製F
T/IR−4720型フーリエ変換赤外分光光度計を用
いて、赤外分光測定を実施し、1732cm-1に、ポリ
フェニレンエーテルに付加したグリシジルメタクリレー
ト由来のピークが確認された。
【0058】b−2:ポリフェニレンエーテルとして
2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元粘度0.
31のポリフェニレンエーテル(PPE−2)を用いた
ほかは、上記b−1を得た同じ方法を実施し、PPE−
2の官能化ポリフェニレンエーテルであるb−2を得
た。
【0059】b−3:(二軸押出機(ZSK−40;W
ERNER&PFLEIDERER社製)を用い、設定
温度300℃、スクリュー回転350rpmの条件下で
(PPE−1)100重量部相当の溶融混練下にグリシ
ジルメタクリレート6重量部およびグリシジルメタクリ
レート100重量部に対して、2,5−ジメチル−2,
5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン5重量部の混合
液をプランジャー型ポンプにて押出機に供給した。この
溶融混練法で得た官能化ポリフェニレンエーテルをb−
3とし、上記b−1と同じ方法で分析したところ、クロ
ロホルムに不溶な微細な黒い炭化物の存在が多く確認さ
れた。またポリフェニレンエーテルにグリシジルメタク
リレートが付加していることを確認した。
【0060】(c)成分のブロック共重合体、水添ブロ
ック共重合体 c−1:ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン
−ポリスチレンの構造であり、結合スチレン量が35重
量%、数平均分子量が178,000、水素添加する前
のポリブタジエン部の1,2−ビニル結合量が48%で
ある水添ブロック共重合体。
【0061】c−2:ポリスチレン−水素添加されたポ
リブタジエン−ポリスチレンの構造であり、結合スチレ
ン量が60重量%、数平均分子量が113,000、水
素添加する前のポリブタジエン部の1,2−ビニル結合
量が44%である水添ブロック共重合体。
【0062】(d)成分の共重合体 d−1:グリシジルメタクリレートを6重量%含有する
エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体。(ボン
ドファースト2C:住友化学社製) d−2:グリシジルメタクリレートを12重量%含有す
るエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体。(ボ
ンドファーストE:住友化学社製)
【0063】
【実施例1〜7および比較例1〜5】表1に示した
(a)〜(d)およびPPE−1、PPE−2の各成分
を、温度290〜310℃、スクリュー回転数500r
pmに設定した二軸押出機(ZSK−40;WERNE
R&PFLEIDERER社製、ドイツ国)を用い、押
出機の第一原料供給口より全ての成分を供給して溶融混
練し、樹脂組成物をペレットとして得た。このペレット
を用いて290〜310℃に設定したスクリューインラ
イン型射出成形機に供給し、金型温度130℃の条件で
平板(150mm×150mm、厚み2.5mm)テス
トピースを100枚成形した。またウェルド引張試験用
テストピースを射出成形した。
【0064】つぎに、成形した平板テストピースを目視
にて、“やけ”および“炭化物”の有無を確認し、その
有無を100枚当たりの枚数で測定した。またウェルド
引張強度試験(ASTM D−638に準拠:測定温度
23℃)を行ない、ウェルド引張強度を測定し、ウェル
ド有り試験片の引張強度の割合をウェルド無し試験片の
引張強度と比べた。
【0065】これらの結果より、 (1)ポリフェニレンスルフィド樹脂中のオリゴマー量
の指標である塩化メチレンによる抽出量が0.7重量%
を超えるポリフェニレンスルフィド樹脂を用いた場合、
得られるポリマーアロイのウェルド引張強度が著しく低
下するが、オリゴマー量が0.7重量%以下のポリフェ
ニレンスルフィド樹脂を用いた場合、ウェルド強度に優
れることが明らかとなった。
【0066】(2)さらに、ポリフェニレンスルフィド
樹脂中のオリゴマー量の指標である塩化メチレンによる
抽出量が0.7重量%以下であっても、ポリフェニレン
スルフィド樹脂中に存在する−SX基(Sはイオウ原
子、Xはアルカリ金属または水素原子である)量が15
μmol/gに満たないポリフェニレンスルフィド樹脂
を用いた場合、得られるポリマーアロイのウェルド引張
強度が著しく低下するが、−SX基の量が15μmol
/g以上有するポリフェニレンスルフィド樹脂を用いた
場合、ウェルド強度に優れることが明らかとなった。
【0067】(3)本発明の方法で得た官能化ポリフェ
ニレンエーテルを用いたポリマーアロイは、製造・加工
時の“やけ”および“炭化物生成”の減少化と成型物の
ウェルド強度に優れることが明らかとなったが、従来の
溶融混練法にて得られる官能化ポリフェニレンエーテル
を用いたポリマーアロイは、製造・加工時の“やけ”お
よび“炭化物生成”が著しく多く、さらには成型品のウ
ェルド強度測定中に、炭化物混入場所を基点に破断をも
たらしウェルド強度が低下することが明らかになり、さ
らに官能化してないポリフェニレンエーテルを用いた場
合も、製造・加工時の“やけ”および“炭化物生成”が
著しく多く、さらには成型品のウェルド強度が著しく低
下することが明らかとなった。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】本発明のポリマーアロイは、供するポリ
フェニレンスルフィド樹脂として、特定したオリゴマー
量および特定の官能基量を有するポリフェニレンスルフ
ィド樹脂と特定の官能化方法で得られる官能化ポリフェ
ニレンエーテルを用いることによって製造・加工時の
“やけ”および“炭化物生成”の減少化と成型物のウェ
ルド強度に優れる。このため基板材料、電子部品封止用
材料、表面実装部品材料、コネクター等の電子機器部
品、二次電池電槽(容器、シート、フィルム)材料およ
び自動車分野部品、家電分野部品として利用できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)塩化メチレンによる抽出量が0.
    7重量%以下であり、かつ−SX基(Sはイオウ原子、
    Xはアルカリ金属または水素原子である)が15μmo
    l/g以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂5〜9
    5重量部、(b)エポキシ基、オキサゾリン基から選ば
    れる少なくとも一種の官能基を有する官能化ポリフェニ
    レンエーテル樹脂95〜5重量部を含むことを特徴とす
    るポリフェニレンサルファイド系ポリマーアロイ。
  2. 【請求項2】 (a)塩化メチレンによる抽出量が0.
    7重量%以下であり、かつ−SX基(Sはイオウ原子、
    Xはアルカリ金属または水素原子である)が15μmo
    l/g以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂5〜9
    5重量部、(b)エポキシ基、オキサゾリン基から選ば
    れる少なくとも一種の官能基を有する官能化ポリフェニ
    レンエーテル樹脂95〜5重量部、ならびに(a)と
    (b)の合計100重量部あたり(c)ビニル芳香族化
    合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと
    共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体
    ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする少なくとも
    1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体お
    よびまたは該ブロック共重合体を水素添加してなる水添
    ブロック共重合体1〜40重量部を含むことを特徴とす
    るポリフェニレンサルファイド系ポリマーアロイ。
  3. 【請求項3】 (a)塩化メチレンによる抽出量が0.
    7重量%以下であり、かつ−SX基(Sはイオウ原子、
    Xはアルカリ金属または水素原子である)が15μmo
    l/g以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂5〜9
    5重量部、(b)エポキシ基、オキサゾリン基から選ば
    れる少なくとも一種の官能基を有する官能化ポリフェニ
    レンエーテル樹脂95〜5重量部、ならびに(a)と
    (b)の合計100重量部あたり(d)エポキシ基およ
    びまたはオキサゾニル基を有する不飽和モノマーを1〜
    20重量%の割合でα−オレフィンと共重合してなる共
    重合体1〜30重量部含むことを特徴とするポリフェニ
    レンサルファイド系ポリマーアロイ。
  4. 【請求項4】 (b)成分の官能化ポリフェニレンエー
    テルが、ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対
    し、分子内に脂肪族二重結合とエポキシ基、オキサゾリ
    ン基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する化合
    物を0.01〜15重量部添加し、ポリフェニレンエー
    テル樹脂の融点以下の温度で反応させて得られた官能化
    ポリフェニレンエーテル樹脂であることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載のポリフェニレンサルファ
    イド系ポリマーアロイ。
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