JP2007056194A - レーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物、及びレーザーマーキングが施されたポリエステル樹脂成形品 - Google Patents

レーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物、及びレーザーマーキングが施されたポリエステル樹脂成形品 Download PDF

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寿之 降矢
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Abstract

【課題】
レーザー照射によるマーキングにおいて、マーキング文字のコントラストに優れ、鮮明で堅固なマーキングを、簡単に且つ短時間で付すことができ、また、機械的強度や滞留安定性の低下も少なく、更に、ハロゲン原子の含有量を最小限に抑えたポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
(a)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(b)エポキシ当量が500〜9000の範囲内となるエポキシ樹脂0.5〜30重量部、及び(c)アンチモン系化合物0.1〜10重量部を含有してなることを特徴とするレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物、及び、該樹脂組成物を溶融成形してなるポリエステル樹脂成形品、並びに、該成形品の表面に、レーザー光を照射してマーキングが施されたポリエステル樹脂成形品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、レーザー光を利用して鮮明な文字、記号等をマーキングすることが可能な熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、及びレーザーマーキングが施されたポリエステル樹脂成形品、に関する。
電気、電子部品の分野では、製品の識別等のために、成形品の表面に通常マーキングを行なうが、このマーキング方法としては、スクリーン印刷、インク書き込み方式、インクジェット方式によるインクの吹き付け等がある。しかし、これらの方法を用いた場合には、マーキングに時間がかかる。また、樹脂成形品の表面は、一般にインクの密着性が乏しいため、インクの付着が良くなるように成形品表面の脱脂を行なう必要があり、そのため環境問題も発生している。これらの方法に比べ、再現性や作業環境が良好で、更に高速でマーキングを行える方法として、成形品表面にレーザー光を照射して、文字、記号等のマーキングを行なうレーザーマーキング法が提案され、最近注目を集めている。
レーザーマーキング法としては、(1)樹脂中の未重合モノマーや分解生成物が、レーザー照射により発泡し、成形品の表面が変化する現象を利用してマーキングする方法、(2)顔料や染料を樹脂中に配合し、レーザー照射によりこれらが変色する現象を利用してマーキングする方法(特許文献1)、(3)カーボンブラックやグラファイト等の充填剤を樹脂中に配合し、レーザー照射部の蝕刻による表面状態の変化を利用してマーキングする方法(特許文献2)(4)レーザー照射部の樹脂に炭化等の熱的な変化を起こさせてマーキングする方法(特許文献3)がある。
上記(2)のマーキング方法に関する特許文献1には、熱可塑性樹脂に、軟化点80℃以上のエポキシ樹脂、特定の充填剤、及び、熱により変色を生じる着色剤を含有させた樹脂組成物が、レーザー光照射により、鮮明に発色したマークを生じることが開示されている。
しかし、この特許文献1で開示された樹脂組成物は、着色剤の変色によりマーキングする方法(上記(2)の方法)に使用可能な組成物であり、特に着色剤の配合を必要としない樹脂組成物において、どのような種類のエポキシ樹脂が、暗色系のマーキングに好適であるのかについては、何ら示唆されていない。
また、上記(3)のマーキング方法に関する特許文献2には、熱可塑性ポリエステル樹脂、臭素系難燃剤、アンチモン系難燃助剤、並びに、カーボンブラック及び/又はグラファイトを含有する樹脂組成物は、高コントラストでマーキング可能であることが開示されている。しかし、この特許文献2の樹脂組成物は、主に白色系のマーキング用途を意図しており、白色系のマーキングでは、レーザー光照射部分が一部炭化して、成形品表面のコントラストが十分でないという問題があった。また、ここでは、臭素系難燃剤とアンチモン系難燃助剤は、主に難燃性を向上させるために配合されており、これらが、難燃性以外の性能である暗色系のマーキングにどのような影響を与えるのかについては、何ら示唆されていない。
更に、上記(4)の方法に関する特許文献3には、限界酸素指数が22%以上の樹脂組成物からなる成形品を用いると、暗色系の鮮明なマーキングが得られることが開示されている。この特許文献3においては、難燃剤として、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、塩素系難燃剤及びアンチモン系難燃剤が例示されているのみである。
また、現在レーザーマーキング用に要求されている材料には、必ずしも難燃性を有していなくても良い場合があり、不必要に難燃特性を有する材料を使用している場合が多く、コスト的にも不利なケースが見られる。特にハロゲン系難燃剤を配合した成形品は、近年、焼却廃棄時の環境への影響が懸念され、ハロゲン原子を含まないか、最小限の含有に抑えることが求められている。
更に、ポリエステル樹脂組成物に関しては、成形時の滞留安定性が良好であることも要求されるが、樹脂組成の種類によっては、成形時にゲル化が生じ、成形品の外観の悪化や、連続成形が困難となる場合が生じていた。
このように、従来法においては、暗色系のマーキング用途に用いられ、特に難燃性は要求されない場合の、最適な樹脂組成については詳細な検討がなされておらず、機械的強度や成形時の滞留安定性を著しく低下させることなく、暗色系のマーキング特性に優れ、且つ、ハロゲン原子の含有を最小限に抑えた樹脂組成物が望まれていた。
特開平5−254252号公報 特開平4−246456号公報 特開平5−96386号公報
本発明の目的は、レーザー照射によるマーキングにおいて、マーキング文字のコントラストに優れ、鮮明で堅固なマーキングを、簡単に且つ短時間で付すことができ、また、機械的強度や滞留安定性の低下も少なく、更に、ハロゲン原子の含有量を最小限に抑えたポリエステル樹脂組成物、及び、これから得られる成形品に、レーザーマーキングを施した成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、熱可塑性ポリエステル樹脂に、特定のエポキシ樹脂とアンチモン系化合物を組み合わせて配合することにより、機械的強度や滞留安定性を著しく低下させることなく、優れたレーザーマーキング性を有し、且つ、ハロゲン原子の含有量を最小限に抑えることが可能なポリエステル樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、(a)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(b)エポキシ当量が500〜9000の範囲内となるエポキシ樹脂0.5〜30重量部、及び(c)アンチモン系化合物0.1〜10重量部を含有してなることを特徴とするレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物、及び、該樹脂組成物を溶融成形してなるポリエステル樹脂成形品、並びに、該成形品の表面に、レーザー光を照射してマーキングが施されたポリエステル樹脂成形品、に存する。
本発明のポリエステル樹脂組成物より得られる成形品は、レーザー照射により、特に暗色系のマーキング操作において、マーキング速度が速く、また、マーキング文字のコントラストが極めて優れているため、マーキング工程の高速自動化や高品質の製品管理が可能である。
また、本発明の樹脂組成物は、機械的強度や滞留安定性を著しく低下させることがなく、成形時のゲル化が抑制でき、外観が良好な成形品を安定して連続成形することが可能である。更に、ハロゲン原子を含まないか、又は、最小限の含有に抑えることが可能となり、製品の廃棄焼却時の環境保全に役立つため、総合的にバランスの優れた性能を有するポリエステル樹脂成形品を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(a)熱可塑性ポリエステル樹脂
本発明で使用される(a)熱可塑性ポリエステル樹脂とは、少なくとも1種の2官能性カルボン酸成分と少なくとも1種のグリコール成分の重合反応、又は、オキシカルボン酸の重縮合反応により得られるポリエステルを意味する。2官能性カルボン酸成分の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルカルボン酸、及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンニ酸、スベリン酸及びアゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。中でも、芳香族ジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましく、特にはテレフタル酸またはテレフタル酸ジエステルが好ましい。
グリコール成分の具体例としては、一般式HO(CH)qOH(qは2〜20の整数)で表されるα,ω−アルキレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、またはこれらのエステル形成性誘導体等を挙げることができる。中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のα,ω−アルキレングリコールが好ましく、特には、1,4−ブタンジオールが好ましい。
またオキシカルボン酸の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
本発明の(a)熱可塑性ポリエステル樹脂は、上述した全2官能性カルボン酸成分及び全ジオール成分の各々の70mol%以上、好ましくは80モル%以上、更には90モル%以上が単一成分であれば、任意の共重合体でよいが、成形性や耐熱性の観点から、中でも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましく、特にポリブチレンテレフタレート(PBT)が好ましい。また、このような本発明の(a)ポリエステル樹脂60重量%以上に、ポリカーボネート、ABS樹脂等の他の熱可塑性重合物40重量%以下を配合して樹脂組成物とすることもできる。
(a)熱可塑性ポリエステル樹脂の固有粘度は、通常0.5〜1.3dl/g、好ましくは0.6〜1.2dl/g、更に好ましくは0.7〜1.0dl/gである。(a)ポリエステル樹脂の固有粘度が、0.5dl/g未満であると、機械的物性や溶融時の熱安定性が低下する傾向があり、1.3dl/gを超えると、成形時の流動性が低下する傾向がある。なお、本発明において、固有粘度は、フェノール性フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン(重量比1/1)の混合溶媒を用いて、30℃で測定した溶液粘度から求められる値である。
(b)エポキシ樹脂
本発明においては、樹脂組成物に、(b)エポキシ当量が500〜9000g/eqの範囲内となるエポキシ樹脂を配合することを特徴とする。この特定の(b)エポキシ樹脂を配合することにより、成形品の機械的強度や成形時の滞留安定性を著しく低下させることなく、レーザーマーキング特性を向上させることができる。
ここで、エポキシ当量とは、エポキシ樹脂の分子量を、エポキシ樹脂中に存在するエポキシ基の数で除した値である。エポキシ当量が9000g/eqを越えると、レーザーマーキング特性の改善効果が小さくなり、耐湿熱性が低下する傾向があり、一方、エポキシ当量が500g/eq未満では、成形時の滞留安定性が低下する傾向がある。詳細は明らかでないが、エポキシ当量の低いエポキシ樹脂は、(a)ポリエステル樹脂の末端カルボン酸との反応性が高いため、滞留熱安定性が低下する傾向があると考えられる。
本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは1000〜8000g/eq、更には2000〜7000g/eq、特には2500〜6000g/eq、最も好ましくは2800〜5500g/eqである。
また、エポキシ樹脂とは、1分子中にエポキシ基を2個以上持つ分子量300〜8000程度のポリマー、及び、そのエポキシ基の開環反応によって生じた熱硬化性樹脂を言う。本発明の(b)エポキシ樹脂の数平均分子量は、好ましくは1500〜18000であり、更に好ましくは4000〜6000である。
(b)エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等が挙げられるが、中でも、良好なマーキング特性が得られるという点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、中でも、下記一般式(I)で示される化合物が好ましい。
Figure 2007056194
(一般式(I)中、Xは、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を表し、Yは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルキリデン基、炭素数3〜10のシクロアルカン基、カルボニル基、−O−、−S−、−SO2 −、または直接結合を表し、nは2〜30の数平均重合度を表す)。
一般式(I)において、Xは、ハロゲン原子の含有量を最小限に抑えるという本発明の目的から、水素原子を基本とするが、一部臭素原子等のハロゲン原子であっても良い。エポキシ樹脂中のハロゲン原子、特に臭素原子の含有率は、18重量%以下が好ましく、15重量%以下、更には10重量%以下、特には5重量%以下が好ましい。エポキシ樹脂中のハロゲン原子の含有率を、このような範囲とすることにより、環境保全に役立つ他、耐腐食性や溶融熱安定性が良好となるというメリットがある。
一般式(I)中、Yは、機械的強度及び価格の点から、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基が好ましく、中でも、−C(CH2 −が特に好ましい。また、nは、4〜24が好ましく、更には16〜21が好ましい。nが30を越えると、耐湿熱性が低下し、一方、nが2未満では滞留成形時に外観が悪化する傾向がある。
また、(b)エポキシ樹脂としては、マーキング特性を高め、且つ、耐熱特性を高めるという点から、ベンゼン環及びベンゾ縮合環(以下、ベンゼン環と総称する)を、分子量比率として15〜70重量%、更には30〜68重量%、特には45〜65重量%、最も好ましくは49〜60重量%含むものを使用することが好ましい。ここで、ベンソ縮合環とは、ベンゼン環を含んでいる縮合環を指し、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられる。
また、分子量比率とは、エポキシ樹脂1分子の分子量中に含まれるベンゼン環総分子量の占める割合である。例えば、上記一般式(I)において、Xが水素原子を表し、Yが−C(CH−を表すエポキシ樹脂の場合には、ベンゼン環の分子量比率(重量%)は、以下の式により求められる。
[(12*12+1*8)*n+(12*12+1*8)]*100/
[(12*18+1*20+16*3)*n+(12*21+1*24+16*4)]
(b)エポキシ樹脂の使用量は、(a)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜15重量部、更には3〜13重量部、特には5〜10重量部である。0.5重量部未満ではレーザーマーキング性改善効果が不充分であり、30重量部を越えると樹脂組成物の流動性の低下や、得られた成形体の外観が悪化する。
(c)アンチモン系化合物
本発明の樹脂組成物には、更に、(c)アンチモン系化合物を配合することを特徴とする。(c)アンチモン系化合物は、特に暗色系のマーキング特性を改善するというメリットがある。
(c)アンチモン系化合物としては、三酸化アンチモン(Sb2)や、五酸化アンチモン酸ソーダ[xNa2O・Sb2・yH2O(x=0〜1、y=0〜4)]等の五酸化アンチモン酸塩が挙げられるが、特には、三酸化アンチモン(Sb23)が、レーザーマーキング特性の点から好ましい。
(c)アンチモン系化合物の使用量は、(a)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部、更には0.5〜7重量部、特には0.8〜5量部、最も好ましくは1.0〜3重量部配合することが好ましい。また、(b)エポキシ樹脂と(c)アンチモン系化合物の配合比率[(b)/(c)]は、通常20/1〜1/2、好ましくは12/1〜1/1、更に好ましくは7/1〜1/1が好ましい。
(d)無機充填材
本発明の樹脂組成物には、更に、無機充填材を配合することが好ましい。(d)無機充填材を配合することにより、成形品の機械的強度が向上する他、暗色系マーキングの特性が向上するというメリットがある。無機充填剤としては、公知のものが使用でき、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリ繊維、金属繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、PPS繊維、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化鉄、黒鉛、カーボンブラック、マイカ、アスベスト、セラミックパウダー、金属フレーク、板状ガラス、ガラスビーズなどが挙げられる。中でも、ガラス繊維、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、マイカ、板状ガラス及びガラスビーズが好ましく、特には、ガラス繊維が好ましい。
(d)無機充填材としては、中でも、シランカップリング剤やチタン系カップリング剤等で表面処理されたものが好ましい。表面処理剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン等のアミノシラン系、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタン系カップリング剤などが挙げられる。
(d)無機充填材の配合量は、樹脂組成物の組成に応じて任意に設定し得るが、通常、ポリエステル樹脂100重量部に対し、120重量部以下であるが、配合する場合には、好ましくは20〜100重量部、更に好ましくは30〜80重量部、特には40〜60重量部である。
本発明の樹脂組成物には、更に他の添加剤として、結晶核剤、顔料、染料、可塑剤、離型剤、滑剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、帯電防止剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲内で使用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、上述した各成分(a)〜(d)、及び、必要に応じて用いられる各種添加物を配合し、溶融混練することにより得ることができる。各成分の配合方法は、通常用いられる装置、例えば、リボンブレンダー、ヘンセルミキサー、ドラムブレンダー等を用いて行われる。溶融混練法としては、各種押出機、ブラベンダーブラストグラフ、ラボプラストミル、ニーダー、バンバリーミキサー等が使われる。溶融混練に際しての加熱温度は、通常230〜290℃である。
上述した各成分は、任意成分を含め、溶融混練機に一括して供給することもできるし、順次供給することもできる。また、任意成分を含めた各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合しておくこともできる。ガラス繊維などの繊維状の(d)無機充填材を配合する場合には、他の成分を含む樹脂組成物を溶融させた後に、押出機の途中から(d)無機充填材を添加することにより、樹脂組成物の破砕を避け、引張強度、曲げ強度等の機械的強度の点で高い特性を発揮させることが出来る。
本発明の樹脂組成物は、既知の種々の成形方法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形等の方法により、電機・電子分野等の成形品を得ることができる。好ましい成形方法は、流動性の良さの点から射出成形法であり、射出成形に当たっては、樹脂温度を230〜280℃にコントロールするのが好ましい。
本発明の樹脂組成物から得られる成形品には、任意の方法でレーザーマーキングを行なうことができる。例えば、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、ルビーレーザー、半導体レーザー、アルゴンレーザー、エキシマレーザー等を使用することができるが、これらの中でも、鮮明な詳細マーキングが可能である等の点から、Nd:YAGレーザーを用いるのが好ましい。また、マーキング方式は、スキャン型、マスク型、又はこれらの混合型等の方式が採用できるが、中でも、スキャン型が好ましい。本発明の樹脂組成物を用いることで、例えば、スキャンスピード150mm/sec以上、好ましくは180mm/sec以上のような高速においても、良好な暗色系マーキングを行なうことができる。ここで、暗色系のマーキングとは、黒色や暗灰色、茶色等の色のマーキングを指し、背景の色に比べ濃い色であれば特に制限されない。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、表中の値は、特に示すものの他は重量部を表すものとする。
[エポキシ当量の測定法]
本発明で使用するエポキシ樹脂のエポキシ当量は、以下の方法により測定した。
即ち、エポキシ樹脂0.1mgを80mlのジクロロメタンに溶解した後、20mlの氷酢酸と2gの臭化セチルトリメリルアンモニウムを加え、0.1N過塩素酸標準溶液を用いて、電位差滴定装置で分極滴定を行った。エポキシ当量の値は、下記式により求めた。
エポキシ当量(g/eq)=(1000×W)/[(S−B)×N×F×P]
但し、上記式中各記号は以下のものを示す。
W:試料の重量(g)
B:空試験の滴定に要した0.1N過塩素酸標準溶液の量(ml)
S:試料の滴定に要した0.1N過塩素酸標準溶液の量(ml)
N:過塩素酸標準溶液の規定度
F:過塩素酸標準溶液の力価
P:過塩素酸標準溶液の体積補正係数
[原材料]
(a)熱可塑性ポリエステル樹脂
ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT):三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製 商品名ノバデュラン(登録商標)5008、固有粘度[η]=0.85
(b)エポキシ樹脂
(b−1)ビスフェノール型エポキシ樹脂:
ジャパンエポキシレジン社製 商品名エピコート1010K、エポキシ当量3000〜5000g/eq、分子量約5500、ハロゲン原子含有率0重量%、ベンゼン環の分子量比率約52重量%
(b−2)ビスフェノール型エポキシ樹脂:
ジャパンエポキシレジン社製 商品名エピコート1001、エポキシ当量450〜500g/eq、分子量900、ハロゲン原子含有率0重量%、ベンゼン環の分子量比率47.6wt%
(b−3)ビスフェノールAのジグリシジルエーテル:
旭電化工業社製 商品名アデカサイザー EP−17、エポキシ当量185g/eq当量、分子量=370、ハロゲン原子含有率0重量%、ベンゼン環の分子量比率42.4wt%
(c)アンチモン系化合物
三酸化アンチモン:鈴裕化学社製 商品名AT−3CN
(d)無機充填剤
ガラス繊維:日本電気硝子社製 商品名T187
[実施例1〜3及び比較例1〜5]
表1に示す割合となるよう無機充填剤以外の各樹脂成分を混合した後、日本製鋼所(株)製TEX30C型2軸押出機を用いて、シリンダー温度240〜270℃、スクリュー回転数200rpmの条件下で各成分を溶融混練し、PBTの樹脂組成物のペレットを得た。また、無機充填剤を配合した例においては、無機充填剤をサイドフィード方式で押出機に供給した。
得られたペレットは、日本製鋼所(株)製J75ED成形機を用いて、シリンダー温度240〜270℃、金型温度100℃の条件下で射出成形し、ダンベル試験片を成形した。この試験片を用いて、以下に記載の方法により成形品の性能を評価した結果を表1に示す。
[成形品の性能評価法]
(1)機械的物性
実施例及び比較例で成形したダンベル試験片について、ISO527規定に従って引張強度を測定し、ISO179規定に従ってシャルピー衝撃強度の測定を行った。
(2)滞留安定性
日本製鋼所(株)製J75ED成形機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度100℃の条件下で、成形サイクルとして通常(40秒)を基準とし10分間滞留させた状態で射出成形を行い、射出圧力及びダンベル試験片の外観性を確認した。
比較例3においては、エポキシ樹脂(b−3)の配合量を少量(0.5重量部)としたところ、滞留安定性は、他の実施例と同様に良好であった。
また、比較例4においては、エポキシ樹脂(b−2)の配合量として、実施例1と同量を用いたところ、射出成形の際にゲル化が生じ、得られた成形品の表面には肌荒れや異物が観察された。また、連続成形の継続は困難となると予想された。
(3)マーキング特性
日本電気(株)製レーザーマーカーSL475Hマーキングの装置を用い、レーザー発振器はS141Cを用いた。また、連続発振式Nd:YAGレーザーを使用し、最大出力は50W以上、スキャンスピード及び超音波Qスイッチは以下の条件で行った。
条件―1:スキャンスピード100mm/sec、超音波Qスイッチ2kHz
条件―2:スキャンスピード200mm/sec、超音波Qスイッチ2kHz
条件―1:スキャンスピード100mm/sec、超音波Qスイッチ5kHz
マーキングの評価は、目視にて、マーキング部分のコントラストを判断し、以下の基準で分類した。
1:くっきり鮮明で良好な暗灰色マーキング
2:良好な暗灰色マーキング
3:やや薄めだが、良好なマーキング
4:解読可能であるが、かなり薄く不鮮明なマーキング
5:印字不可または解読不可能
また、総合的マーキング状態は、以下のように評価した。
◎:評価1又は評価2のみの場合
○:評価4又は5がないが、評価3がある場合
×:評価4又は5がある場合
Figure 2007056194
表1の結果より次のことが判明する。
(1)実施例1と比較例1、及び、実施例2と比較例2を各々比較すると、本発明の特定のエポキシ樹脂に、アンチモン系化合物を組み合わせて配合することにより、機械的強度や滞留安定性を著しく低下させることなく、マーキング特性を改善することが分かる。
(2)実施例1と比較例3とを比べると、エポキシ当量が185g/eqのエポキシ樹脂を用いた場合には、エポキシ樹脂の配合量が少ない場合には、滞留安定性は良好となるが、この配合量ではマーキング特性が低いことが分かる。
(3)実施例1と比較例4とを比べると、エポキシ当量が450〜500g/eqのエポキシ樹脂を用いた場合には、成形は可能であるものの、外観が悪く、連続成形も困難で滞留安定性に劣ることが分かる。

Claims (7)

  1. (a)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(b)エポキシ当量が500〜9000の範囲内となるエポキシ樹脂0.5〜30重量部、及び(c)アンチモン系化合物0.1〜10重量部を含有してなることを特徴とするレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物。
  2. 該(b)エポキシ樹脂が、ビスフェノール型のエポキシ樹脂である請求項1に記載のレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物。
  3. 該(b)エポキシ樹脂中のハロゲン原子の含有率が、18重量%以下である請求項1又は2に記載のレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物。
  4. 該(b)エポキシ樹脂が、ベンゼン環及びベンゾ縮合環を、分子量比率として15〜70重量%含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載のレーザーマーキング用ポリエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の該ポリエステル樹脂組成物を、溶融成形してなることを特徴とするポリエステル樹脂成形品。
  6. 請求項5に記載の該成形品の表面に、レーザー光を照射してマーキングが施されたことを特徴とするポリエステル樹脂成形品。
  7. 暗色系のマーキングが施された請求項6に記載のポリエステル樹脂成形品。
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