JP2007145697A - 炭素粉末およびその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極ならびにリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジブチルフタレートの吸収量が10cm3/100g以上、30cm3/100g以下で、式(1)で表す密度比が4〜6.5の炭素粉末、および、黒鉛材料と、式(1)で表す密度比および平均粒子径が該黒鉛材料よりも小さい炭素材料とをメカノケミカル処理後、さらに結合剤を用いて、該黒鉛材料表面に該炭素材料を付着させる炭素粉末の製造方法、該炭素材料を含むリチウムイオン二次電池用負極材料、負極およびリチウムイオン二次電池。密度比=(圧力1MPaをかけたときの密度)/(タップ密度)・・(1)
【選択図】なし
Description
例えば、メソフェーズ小球体間の空隙が圧縮されがたいことを利用して、高結晶性の天然黒鉛あるいは人造黒鉛に、メソフェーズ小球体の黒鉛化物などを混合し、電極製造の圧延時に配向しやすい天然黒鉛、人造黒鉛を配向させないように負極を作製するなど、電極の空隙構造を保ち、高密度域での電池特性を低下させない方法が提案され(特許文献2)、同様に高結晶性の天然黒鉛、人造黒鉛の配向を防ぐために、メソフェーズピッチからの炭素繊維の黒鉛化物を混合する方法が提案されている(特許文献3、4)。
すなわち、特許文献2または3,4のように、メソフェーズ小球体やメソフェーズピッチからの炭素繊維は、材質が硬いため、これを主材とすると負極の高密度化が困難となる。一方、天然黒鉛のような鱗片状黒鉛の添加量を多くすると、比較的低密度では、良好な電池特性を示すが、これを高密度化すると、電極内での密度の偏在と考えられる電池特性の劣化が起こる。
しかし、この場合も、負極の電極密度を1.6g/cm3超の高密度にすると、放電容量が大きくならず、急速充電効率も不満足であった。
特許文献2: 特開平6−163032号公報
特許文献3: 特開2001−135304号公報
特許文献4: 特開2002−33104号公報
特許文献5: 特開2003−132889号公報
密度比=(圧力1MPaをかけたときの密度)/(タップ密度)・・・・(1)
2.黒鉛材料と、下記式(1)で示される密度比および平均粒子径が該黒鉛材料よりも小さい炭素材料とをメカノケミカル処理した後、さらに結合剤を用いて、該黒鉛材料に該炭素材料を付着させることを特徴とする炭素粉末の製造方法。
密度比=(圧力1MPaをかけたときの密度)/(タップ密度)・・・・(1)
3.前記黒鉛材料の密度比が3〜9であり、平均粒子径が50μm以下であることを特徴とする前記2の炭素粉末の製造方法。
4.黒鉛材料100質量部と、下記式(1)で示される密度比および平均粒子径が該黒鉛材料よりも小さい炭素材料1〜50質量部とをメカノケミカル処理した後、さらに結合剤を用いて、該黒鉛材料に該炭素材料を付着させることを特徴とするジブチルフタレートの吸収量が10cm3/100g以上、30cm3/100g以下であり、かつ下記式(1)で示す密度比が4〜6.5である前記2または3の炭素粉末の製造方法。
密度比=(圧力1MPaをかけたときの密度)/(タップ密度)・・・・(1)
6.前記5のリチウムイオン二次電池用負極材料からなることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
7.前記6のリチウムイオン二次電池用負極を設けたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
[炭素粉末]
本発明の炭素粉末は、ジブチルフタレート(DBP)の吸収量(以下、単にDBP吸収量とも称す)が10cm3/100g以上、30cm3/100g以下であり、かつ密度比が下記式(1)を満たすものである。
密度比=(圧力1MPaをかけたときの密度)/(タップ密度)・・・・(1)
なお、炭素粉末のうち、ファーネスカーボンブラックなどのように平均粒子径が数十nmと小さいものはDBP吸収量が100cm3/100g以上であるが、カーボンブラックよりも遥かに大きな平均粒子径を持つ黒鉛粒子は、DBP吸収量は非常に小さく、一般的な天然黒鉛、人造黒鉛では25cm3/100g程度であり、メソカーボン小球体の黒鉛化物のような黒鉛粒子では通常10cm3/100g未満である。
なお、潰れやすい天然黒鉛、人造黒鉛の該密度比は7〜9と大きく、潰れにくい球晶黒鉛の該密度比は1〜3と小さい。
ところで、DBP吸収量の大きい炭素粉末は、これを流動可能なペ一ストにするために、多量の溶剤、結着剤を用いる必要があり、少量であると負極合剤を調製するのが困難である。したがって、炭素粉末からペースト状の負極合剤を調製する際の容易性、負極合剤の特性の点からは、DBP吸収量の小さい炭素粉末が好ましく、例えば、メソカーボン小球体の黒鉛化物の方が天然黒鉛より好ましいのである。具体的なDBP吸収量は10cm3/100g以上、30cm3/100g以下であり、好ましくは12〜25cm3/100g、より好ましくは14〜22cm3/100gである。
また、波長514.5nmのアルゴンレーザーを用いたレーザーラマン分光スペクトルにおけるR値は、Dバンドの1360cm−1付近に現れるピークの強度をID、Gバンドの1580cm−1付近に現れるピークの強度をIGとしたときの比ID/IGが、0.3以下、好ましくは0.1以下である。
なお、黒鉛材料と炭素材料であるメソフェーズ小球体の単なる混合物は、本発明のDBP吸収量と密度比をクリヤーしない。
〜9、好ましくは4〜8.9、より好ましくは5〜8.8であり、平均粒子径は好ましくは50μm以下、より好ましくは1〜20μmである。
黒鉛材料としては、例えば、易黒鉛性炭素材料を3000℃以上の高温で熱処理した高結晶性の人造黒鉛または天然黒鉛などが挙げられる。これらの形状は鱗片状または鱗状であることが好ましく、あるいはニードル状であってもよい。鱗片状または鱗状であると、得られる炭素粉末の密度比4〜6.5を満足しやすいので特に好ましい。
主原料となる黒鉛材料の結晶性は特に限定されないが、結晶性が高い方がより高エネルギー密度化ができるため、高い方が好ましい。好ましくはX線回折における格子面間隔
d002が0.340nm以下、より好ましくは0.337nm以下である。
炭素材料はメソフェーズ小球体、または、それを粉砕処理した微粉末、さらには、それを3000℃程度で黒鉛化処理したもの、メソフェーズカーボンファイバーを粉砕した微粉末、サーマルカーボンブラックなどが挙げられる。炭素材料の平均粒子径は、黒鉛材料の長径よりも小さいことが好ましく、黒鉛材料の長径の半分程度の粒子径を持つ塊状の材料であることが好ましい。炭素前駆体はメソフェーズピッチ粉末、または、これを熱処理、酸化または架橋させたものや、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂などの樹脂粉末などであり、その平均粒子径は10μm以下、好ましくは3μm以下である。
本発明の炭素粉末は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
プレス圧縮性が高く(密度比が大きい)、平均粒子径の大きい黒鉛材料と、密度比がより小さく、平均粒子径がより小さい塊状の微小黒鉛または炭素粒子、好ましくはメソフェーズ小球体を粉砕した炭素材料とに、充分に剪断力をかけてメカノケミカル処理した後、結合剤を介して気相または液相にて炭素材料を黒鉛材料の表面に付着させ、炭素材料を固定し複合化する。さらに、熱処理を行って、炭素材料を炭化または黒鉛化することによって、本発明の炭素粉末を得ることができる。
また、固定ドラム(ステーター)と、高速回転する回転ローターの間に黒鉛粒子と微小黒鉛粒子を通すことで固定ドラムと回転ローターとの速度差に起因する剪断力と圧縮力を黒鉛粒子と微小黒鉛粒子に同時にかける装置(「ハイブリダイゼーションシステム」)も好ましい。
結合剤には、易黒鉛化性または難黒鉛化性の前駆体を用いることが好ましい。具体的には、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、ピッチを酸化などによって変性させたもの、樹脂を分解して生成するピッチなどが使用できる。
また、気相または液相で有機物を熱分解させ、分解生成物の重合成分が粒子同士の接触部に堆積することでも同様な効果が得られる。例えば、ベンゼン、メタン、エチレン、脂肪族アルコールなどを気相で熱分解させ、メカノケミカル処理品に接触させてもよい。または、熱分解後に残炭成分を残す樹脂を液相でメカノケミカル処理品に接触させた後、熱処理(例えば、非酸化性雰囲気中で600〜1200℃で加熱)を行い、樹脂を分解させてもよい。この場合、樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース系樹脂などが好ましく用いられる。
結合剤による複合化後、未複合化物などを除去し、さらに生成物粗大粒子や微小粒子を分離し、必要ならば、平均粒子径が一定範囲の炭素粉末を得ることができる。
本発明の負極は、−定のDBP吸収量と密度比を有する炭素粉末を含む負極材料を用いて作製する。該炭素粉末を単独で用いても高密度域での電池特性が良好な負極を得ることができるが、通常使用されている導電材、改質材、添加剤などを混合してもよい。これらの添加量は、添加する材料によって最適量が変わるため一概には言えないが、該炭素粉末100質量%に対し0.1〜10質量%である。
また、他の負極活物質として人造黒鉛、天然黒鉛、天然黒鉛または人造黒鉛の造粒物、メソフェーズ小球体の黒鉛化物、バルクメソフェーズ黒鉛、メソフェーズピッチ炭素繊維の黒鉛化物、ナノ黒鉛繊維などを、本発明の効果を損なわない範囲で該炭素粉末に混合することができる。
なお、本発明の炭素粉末を含む負極材料は、一定のプレス圧縮性を有するために、プレス時にも、炭素粉末の割れが少なく、負極材料に用いた時にも、充放電効率が高い。
結着剤は、通常、負極合剤の全量中0.5〜20質量%の割合で使用されることが好ましい。
本発明による負極材料と結着剤を混合してなる負極合剤を集電材に塗布する際の層厚は10〜200μm、好ましくは20〜200μmである。
負極合剤層を形成した後、プレス加工などの圧着を行うと、負極合剤層と集電材との接着強度をさらに高めることができる。
正極活物質としては、充分量のリチウムをドープ/脱ドープし得るものを選択することが好ましい。正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物(V2O5、V6O13、V2O4、V3O8など)およびそのリチウム化合物、一般式MxMo6S8−y「(式中Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数であり、Mは遷移金属などの金属を表す)で表されるシェフレル相化合物、活性炭、活性炭素繊維などを用いることができる。
前記において、Mで示される遷移金属元素としては、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどが挙げられ、好ましくはCo、Ni、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Alが挙げられる。
本発明では、正極活性物質は、前記化合物を単独で使用しても2種類以上併用してもよい。例えば、正極材料に炭酸リチウムなどの炭酸アルカリ塩を添加することもできる。
また正極の場合も負極と同様に、正極合剤を溶剤中に分散させることでペースト状にし、このペースト状の正極合剤を集電材に塗布、乾燥することによって正極合剤層を形成してもよく、正極合剤層を形成した後、さらにプレス加圧等の圧着を行っても構わない。これにより正極合剤層が均一かつ強固に集電材に接着される。
本発明に用いられる電解質としては通常の非水電解液に使用されている電解質塩を用いることができ、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C6H5)4、LiCi、LiBr、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3CH2OSO2)2、LiN(CF3CF2OSO2)2、LiN(HCF2CF2CH2OSO2)2、LiN[(CF3)2CHOSO2]2、LiB[C6H3(CF3)2]4、LiAlCl4、LiSiF6などのリチウム塩などを用いることができる。特にLiPF6、LiBF4が酸化安定性の点から好ましく用いられる。
電解液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol/lが好ましく、0.5〜3.0mol/lがより好ましい。
これらの中で、酸化還元安定性の観点などから、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロビレン共重合体などのフッ素系樹脂を用いることが望ましい。
このような高分子電解質の製造方法は特に制限されないが、例えば、マトリックスを形成する高分子、リチウム塩および溶媒を混合し、加熱して溶融する方法、適当な有機溶剤に高分子、リチウム塩および溶媒を溶解させた後、有機溶剤を蒸発させる方法、ならびに高分子電解質の原料となる重合性モノマー、リチウム塩および溶媒を混合し、それに紫外線、電子線または分子線などを照射して重合させ高分子電解質を製造する方法などを挙げることができる。
また、前記固体電解質中の溶媒の混合割合が10〜90質量%であると、導電率が高く、かつ機械的強度が高く、成膜しやすいので好ましく、より好ましくは30〜80質量%である。
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および非水電解質を主たる電池構成要素とし、正極、負極はそれぞれリチウムイオンの担持体からなり、充放電過程におけるリチウムイオンの出入は層間で行われる.そして充電時にはリチウムイオンが負極中にドープし、放電時には負極から脱ドープする電池機構を横成する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極材料以外は特に限定されず、他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の要素に準じる。
ル電解質二次電池は、負極、正極およびゲル電解質を、例えば負極、ゲル電解質、正極の順で積層し、電池外装材内に収容することで構成される。なお、さらに負極と正極の外側にゲル電解質を配するようにしてもよい。
より安全性の高い密閉型非水電解液電池を得るためには、過充電などの異常時に電池内圧の上昇を感知して電流を遮断させる手段を備えたものであることが好ましい。アルミラミネートフィルムなどに封入した構造とすることもできる。
[平均粒子径]
平均粒子径D50は、レーザー回折式粒度分布計(セイシン企業社製、LMS−30)により粒度分布の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径とした。
[格子面間隔]
格子面間隔d002は、前記したように、X線回折装置(理学電機社製、「ロータフレックス」RU−300)において、X線としてCuKα線を用い、高純度シリコンを標準物質とするX線回折法により求めた。
[ラマン分光によるR値]
R値は、レーザーラマン分光分析装置(日本分光社製,NR−1800)を用い、励起光は514.5nmのアルゴンイオンレーザー、照射面積は50μmφで分析し、Dバンドの1360cm−1付近に現れるピークの強度をID、Gバンドの1580cm−1付近に現れるピークの強度をIGとしたときの比ID/IGである。
[比表面積]
比表面積は、「モノソーブ」MS20(ユアサアイオニクス社製)を用いて測定した、窒素ガス吸着によるBET比表面積である。
JIS K6217−4:2001に記載のDBP吸収量の測定方法−B法(へら練り法)に準ずる。すなわち、試料1gを平滑なガラス板(300mm×300mm)の上に置き、所定のヘラを用いて、粉体が粒状であればこれを砕く。その上に、ビュレツトを用いてDBPを少しずつ滴下し、試料と混ぜ、へらで練りながら水を添加し、混合物が均−になった時点での消費したDBP量を求める。この操作は10〜15分で終了するようにする。
金属製カップの中に、試料を入れ、自動タップ装置(ホソカワマイクロメディテックスラボラトリー社製、TYPE PT−D)を用いて振幅3cm、タップ速度1回/secで20回タッピングを行った時の所定の体積(1cm3)を占める試料の質量(g)を測定し、タップ密度を計算する。
[プレス圧縮性と密度比]
フエノール樹脂製の筒(高さ50mm、外径30mm、内径10mm)の中に、金属製円柱(直径10mm)を差込み、該円柱端に所定量の試料を載せる。次に、別の金属製円柱(直径10mm)を、別方向から該筒中に差込み、ハンドプレスで徐々に該試料に圧力を加え、5分間で1MPaまで圧縮する。このとき上部の円柱が沈んだ距離(圧縮前後の距離)を計測する。該距離、試料量、フェノール樹脂製の筒の体積から圧縮時の密度が求められ、これとタップ密度から、式(1)により、試料の密度比を求める。
[炭素粉末の製造]
天然黒鉛(SEC社製、SNO−10、平均粒子径10μm、密度比8.01)95質量部、および球晶黒鉛粉末(JFEケミカル社製、平均粒子径3μm、密度比1.7)5質量部を、メカノケミカル処理装置(奈良機械製作所製「ハイブリダイゼーションシステム」)を用いて、回転ローターの周速40m/sec、処理時間5min以下の条件でメカノケミカル処理を行った。球晶黒鉛粉末と天然黒鉛が良好に分散した混合物が得られた。次いで、このメカノケミカル処理品を耐圧容器に入れ、不活性ガス雰囲気下、500℃に昇温し、ベンゼンを気相で流通させ、30min間CVD処理を行い、球晶黒鉛粉末が天然黒鉛に付着し、複合化した炭素粉末を得た。該炭素粉末のDBP吸収量とプレス圧縮性(密度比)を表1に示した。
プラネタリーミキサーに前記炭素粉末を入れ、乾燥状態で攪拌した後、固形分にて、それぞれの質量%となるようにカルボキシメチルセルロースナトリウム1質量%、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムラテックスエマルジョン(JSR社製)1質量%と水を加えて混合し、引続き攪拌を行い、水溶媒系の負極合剤ペーストを調製した。
前記負極合剤ペーストを、銅箔上に均一な厚さになるように塗布し、さらに真空中90℃で乾燥させた。次に、負極合剤層をローラープレスによって加圧し、さらに直径15.5mmの円形状に打ち抜くことで、集電材に密着した負極合剤層を有する作用電極を作製した。
リチウム金属箔をニッケルネットに押付け、直径15.5mmの円形状に打ち抜いて、ニッケルネットからなる集電材と、該集電材に密着したリチウム金属箔からなる対極を作製した。
エチレンカーボネート33vol%、メチルエチルカーボネート67vol%の割合で混合してなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/dm3となる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解質液をポリプロピレン多孔質体に含潰させ、電解液が含浸したセパレータを作製した。
評価電池として図1に示すボタン型評価電池を作製した。
外装カップ1と外装缶3は、その周縁部において絶縁ガスケット6を介してかしめられた密閉構造を形成し、その内部に外装缶3の内面から順に、ニッケルネットからなる集電材7a、リチウム箔よりなる円板状の対極4、電解質液が含浸したセパレータ5、負極合剤からなる円板状の作用電極2、および銅箔からなる集電材7bが積層された電池構造である。
評価電池は、実電池において、負極活物質として使用可能な炭素粉末を含有する作用電
極2と、リチウム金属箔からなる対極4とから構成される電池である。
0.9mAの電流値で回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行い、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続けた後、120min間休止した。
次に0.9mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行った。このとき第1サイクルにおける通電量から充電容量と放電容量を求め、次式(2)から初回充放電効率を計算した。
初回充放電効率(%)=(放電容量/充電容量)×100 (2)
なおこの試験では、リチウムイオンを炭素粉末中にドープする過程を充電、炭素粉末から脱ドープする過程を放電とした。
前記に引き続き、第2サイクルにて高速充電を行なった。電流値を5倍の4.5mAとして、回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行い、充電容量を求め、次式(3)から急速充電効率を計算した。
急速充電効率(%)=(第2サイクルにおける定電流充電容量/
第1サイクルにおける放電容量)×100 (3)
前記に引き続き、第3サイクルにて高速放電を行なった。電流債を15倍の13.5mAとして、回路電圧が2.5Vに達するまで定電流放電を行い、放電容量を求め、次式(4)から急速放電効率を計算した。
急速放電効率(%)=(第3サイクルにおける放電容量/
第1サイクルにおける放電容量)×100 (4)
別の評価電池を用いて回路電圧が0mVに達するまで4.0mAの定電流充電を行った後、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続けた後、120min間休止した。次に4.0mAの電流値で回路電圧が1.5vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量を求めた。この充放電を20回繰返し、得られた放電容量から、次式(5)によりサイクル特性を計算した。
サイクル特性(%)=(第20サイクルにおける放電容量/
第1サイクルにおける放電容量)×100 (5)
作用電極の面積、厚さ、質量および集電板の厚さ、質量から負極合剤の密度を求め、これを電極密度とした。
天然黒鉛(SEC社製、SNO−10、平均粒子径10μm、密度比8.01)95質量部、およびサーマルカーボンブラック粉末(平均粒子径0.3μm、DBP吸収量30cm3/100g、密度比2)5質量部を混合し、実施例1と同様にしてメカノケミカル処理を行った。次にプラネタリーミキサーに、該メカノケミカル処理品を入れ、カルボキシメチルセルロース3質量部と蒸留水100質量部からなる溶液を添加し、30rpmで、1hr間混練し、天然黒鉛にカーボンブラックが付着した混練物を得た。その後、該混練物の混練を20rpmで続行しながら、60℃に昇温し、水分を蒸発させ、さらに真空下で該混練物の乾燥を行った。該混練物を窒素ガス中、700℃で焼成して、カルボキシメチルセルロースを分解して炭素粉末を得た。得られた炭素粉末のDBP吸収量と密度比を表1に示した。
該炭素粉末から、実施例1と同様な方法と条件で、負極合剤ペースト、負極および評価電池を作製して、実施例1と同様に、充放電特性を評価した。結果を表1に示した。
天然黒鉛(SEC社製、SNO−10、平均粒子径10μm、密度比8.01)95質量部、およびサーマルカーボンブラック粉末(平均粒子径0.3μm、DBP吸収量38cm3/100g、密度比2)5質量部を混合し、実施例1と同様にしてメカノケミカル処理を行った。次に、プラネタリーミキサーに、該メカノケミカル処理品を入れ、液状のフエノール樹脂3質量部とエタノール100質量部を添加し、30rpmで、1hr間混練し、天然黒鉛にカーボンブラックが付着した混練物を得た。その後、該混練物の混練を20rpmで続行しながら、60℃に昇温し、エタノールを蒸発させ、さらに真空下にて、該混練物の乾燥を行った。該混練物を窒素ガス中、700℃で焼成して、フエノール樹脂を分解して炭素粉末を得た。得られた炭素粉末のDBP吸収量と密度比を表1に示した。
該炭素粉末から、実施例1と同様な方法と条件で、負極合剤ペースト、負極および評価電池を作製して、実施例1と同様に、充放電特性を評価した。結果を表1に示した。
実施例1の天然黒鉛(SEC社製、SNO−10、平均粒子径10μm、密度比8.01)自体のDBP吸収量を測定し、その結果を表1に示した。
該天然黒鉛から、実施例1と同様な方法と条件で、負極合剤ペースト、負極および評価電池を作製して、実施例1と同様に、充放電特性を評価した。結果を表1に示した。
天然黒鉛(SEC社製、SNO−5、平均粒子径5μm、密度比8.74)自体のDBP吸収量と密度比を測定し、その結果を表1に示した。
該天然黒鉛から、実施例1と同様な方法と条件で、負極合剤ペースト、負極および評価電池を作製して、実施例1と同様に、充放電特性を評価した。結果を表1に示した。
天然黒鉛(SEC社製、SNO−5、平均粒子径5μm、密度比8.74)95質量部と、球晶黒鉛(JFEケミカル社製、平均粒子径13μm、密度比1.6、比表面積0.9m2/g)5質量部を混合した。該混合物から、メカノケミカル処理しない他は、実施例1と同様な方法と条件で、負極合剤、ペースト、負極および評価電池を作製して、実施例1と同様に充放電と特性を評価した。得られた混合物のDBP吸収量と密度比を測定し、その結果を表1に示した。
天然黒鉛(SEC社製、SNO−10、平均粒子径10μm、密度比8.01)95質量部と、球晶黒鉛粉末(JFEケミカル社製、平均粒子径13μm、密度比1.6、比表面積0.9m2/g)5質量部を用いて、実施例1と同様な方法と条件で、メカノケミカル処理を行った。
該メカノケミカル処理品について、CVD処理をしない他は、実施例1と同様な方法と条件で、負極合剤、ペースト、負極および評価電池を作製して、実施例1と同様に充放電と特性を評価した。メカノケミカル処理品のDBP吸収量と密度比を測定し、その結果を表1に示した。
2 作用電極
3 外装缶
4 対極
5 セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a、7b 集電材
Claims (7)
- ジブチルフタレートの吸収量が10cm3/100g以上、30cm3/100g以下であり、かつ下記式(1)で示す密度比が4〜6.5であることを特徴とする炭素粉末。
密度比=(圧力1MPaをかけたときの密度)/(タップ密度)・・・・(1) - 黒鉛材料と、下記式(1)で示される密度比および平均粒子径が該黒鉛材料よりも小さい炭素材料とをメカノケミカル処理した後、さらに結合剤を用いて、該黒鉛材料に該炭素材料を付着させることを特徴とする炭素粉末の製造方法。
密度比=(圧力1MPaをかけたときの密度)/(タップ密度)・・・・(1) - 前記黒鉛材料の密度比が3〜9であり、平均粒子径が50μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の炭素粉末の製造方法。
- 黒鉛材料100質量部と、下記式(1)で示される密度比および平均粒子径が該黒鉛材料よりも小さい炭素材料1〜50質量部とをメカノケミカル処理した後、さらに結合剤を用いて、該黒鉛材料に該炭素材料を付着させることを特徴とするジブチルフタレートの吸収量が10cm3/100g以上、30cm3/100g以下であり、かつ下記式(1)で示す密度比が4〜6.5である請求項2または3に記載の炭素粉末の製造方法。
密度比=(圧力1MPaをかけたときの密度)/(タップ密度)・・・・(1) - 請求項1に記載の炭素粉末を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料からなることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用負極を設けたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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