JP2007145287A - 安全タイヤ用空気のう及び安全タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量で、優れた耐久性を有しており、かつリサイクル性に優れた安全タイヤ用空気のう及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供する
【解決手段】安全タイヤ用空気のう1は、タイヤ2に収納され、タイヤ内圧正常状態ではタイヤ内面との間に空間部Sを形成し、タイヤ内圧低下状態では拡径変形して荷重の支持をタイヤから肩代わりする。空気のう1は、タイヤ内圧正常状態では空気のうに加わる張力を負担して空気のうの径拡張を抑制し、タイヤ内圧低下状態ではタイヤ内面まで伸長し又は破断する少なくとも1層の支持層4を具える。支持層4は、タイヤの所定の内圧の5%の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力と同一の張力及び試験温度80℃の条件下でのクリープ変形率が20%以下である耐低張力材料からなるリボン状部材5を、空気のうの円周方向を横切る向きに、空気のうの断面ペリフェリ長さ以上にわたって巻回して構成される。
【選択図】図2

Description

この発明は、タイヤに収納され、該タイヤの所定の内圧との関係で設定された内圧で気体が充填され、タイヤの内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧が低下した状態では拡径変形して荷重の支持をタイヤから肩代わりする、中空円管状の安全タイヤ用空気のう及びかかる空気のうを有する安全タイヤに関し、特にかかる空気のうの軽量化及び耐久性の向上を図る。
パンク等によってタイヤ内圧が急激に低下したランフラット状態においてもある程度の距離の走行が可能である安全タイヤとしては、補強チューブ、補強ゴム、補強ベルト等の補強部材、又は発泡体、弾性体、中子等にタイヤ負荷を肩代わり支持させるタイヤや、シーラント剤を塗布又は充填してタイヤに生じた孔等の損傷部を塞いで内圧低下を防止したタイヤ等が知られている。しかし、これら従来の安全タイヤは、製造方法が複雑なため、不良率が高くなったり、製造効率が低下したりする場合が多かった。
かかる問題を解消するため、例えば特許文献1には、安全タイヤの内部に収納されて、タイヤの内圧が低下するランフラット状態では、タイヤ内圧の低下に伴って拡張変形して荷重支持をタイヤから肩代わりするチューブ状の空気のうが記載されている。また、特許文献2には、細長の可撓性薄板を、その長手方向を横切る向きへ並列に、かつ可撓性薄板相互を重ね合わせて接合して構成した安全タイヤ用チューブが記載されている。
また、特許文献3には、かかる空気のうのクラウン部を、周方向に連続する補強部材で補強することで、内圧正常状態での径成長を抑制するとともに、内圧低下状態で空気のうを均一にタイヤと接触させることが記載されている。
特開2001−10314号公報 特開2002−160505号公報 特開2003−136923号公報
特許文献1に記載された空気のうや特許文献2に記載されたチューブを長期間にわたって使用していると、タイヤの転動に伴う遠心力や内部に充填した気体の圧力の作用により、これら空気のう及びチューブがクリープ変形して径成長し、ついにはタイヤの内面にまで到達する場合があり、このためタイヤ内面との摩擦により破損することが懸念されていた。特許文献3に記載された空気のうは、クラウン部にゴムと不織布の複合体からなる補強層を配設することによりクリープ変形による径成長を抑制しているが、十分な形成長抑制効果を得るためには複数枚の複合体で補強層を構成しなければならず、これは安全タイヤの重量増加を招くことから好ましくない。
また、かかる空気のうを収納した安全タイヤにおいては、タイヤ部分は内圧低下状態でのランフラット走行を行った後にもパンク孔等の損傷部を補修することで再利用できるが、空気のうは一端拡張変形すると再利用することができず、これを新たな空気のうと交換する必要がある。交換により取り出された空気のうは、そのほとんどがリサイクル性の低いゴムで構成されているため産業廃棄物として処分されるのが一般的であり、その一部は燃料として焼却され熱リサイクルされているものの、近年の環境問題を背景に、より環境負荷の低い材料リサイクル率を高めることが強く求められている。
したがって、この発明は従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は軽量で、優れた耐久性を有しており、かつリサイクル性に優れた安全タイヤ用空気のう及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供することにある。
前記の目的を達成するため、この発明の安全タイヤ用空気のうは、タイヤに収納され、該タイヤの所定の内圧との関係で設定された内圧で気体が充填され、タイヤの内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧が低下した状態では拡径変形して荷重の支持をタイヤから肩代わりする、中空円管状の安全タイヤ用空気のうにおいて、該空気のうは、タイヤの内圧が正常な状態では空気のうに加わる張力を負担して空気のうの径拡張を抑制し、タイヤの内圧が低下した状態ではタイヤ内面まで伸長し又は破断する少なくとも1層の支持層を具え、該支持層は、タイヤの所定の内圧の5%の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力と同一の張力及び試験温度80℃の条件下でのクリープ変形率が20%以下である耐低張力材料からなるリボン状部材を、空気のうの円周方向を横切る向きに、空気のうの断面ペリフェリ長さ以上にわたって巻回して構成されることを特徴とするものである。
本明細書において「所定の内圧」とは、空気のうを収納する安全タイヤに対して、JATMA、TRA、ETRTO等の、タイヤが製造、販売、又は使用される地域において有効な工業基準、規格等に規定され、負荷能力に応じて特定される内圧をいうものとする。「所定の内圧との関係で設定された内圧」とは、タイヤに所定の内圧を適用した内圧正常状態では、空気のうの外面とタイヤの内面との間に空間部を形成することができ、一方、パンク等によりタイヤ内の気体が漏洩した内圧低下状態では、タイヤ内圧の低下に伴って空気のうが拡張変形して荷重支持をタイヤから肩代わりすることができる内圧をいい、より具体的には所定の内圧より大きい内圧を意味し、好適には(所定の内圧)<(所定の内圧との関係で設定された内圧)≦(所定の内圧×120%)の範囲をいうものとする。「耐低張力材料」とは、空気のうを収納した安全タイヤの内圧正常状態下において、タイヤの使用寿命にわたって空気のうが著しい径成長を起こさない程度のクリープ特性を有する材料のことをいうものとし、具体的には、タイヤの所定の内圧の5%の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力と同一の張力及び試験温度80℃の条件下でのクリープ変形率が20%以下であることをいうものとする。「内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力」とは、適用した内圧により拡径変形する前の空気のうのラジアル方向に作用する単位幅当たりの張力をいうものとし、具体的には、空気のうの断面高さの1/2を初期半径r、適用する内圧をPとして、f=rPで表される力fをいうものとする。「クリープ変形率」とは、JIS K 7115−1993に定める引張クリープ試験に従い、試験温度80℃の条件下で試験片に所定の張力を加えた状態で放置したときの、10時間経過後の長さに対する100時間経過後の長さの伸張率のことのことをいうものとする。「空気のうの断面ペリフェリ長さ以上にわたって巻回」とは、空気のうの幅方向断面で見た場合に、リボン状部材が空気のうの外周を少なくとも1周している状態をいうものとする。
また、支持層は、タイヤの所定の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力と同一の張力条件下での伸長率が80%以上であること、降伏強度がタイヤの所定の内圧の5%の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力よりも大きく、かつ破断強度及び降伏強度がタイヤの所定の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力よりも小さいこと、がそれぞれ好ましい。
さらに、リボン状部材を構成する耐低張力材料は、樹脂からなることが好ましい。
また、支持層は、製造効率の向上の観点からは、リボン状部材を連続してつる巻きらせん巻回して構成することが好ましく、製造設備の小型化の観点からは、リボン状部材の両端部を相互に接合してなるリング状体を空気のうの円周方向に複数個並置して構成することが好ましい。特に後者の場合には、リング状体は、空気のうのクラウン部に配置される部分の円周方向長さが空気のうのベース部に配置される部分の円周方向長さよりも大きいことが好ましい。
さらに、この発明の空気のうは、支持層の内面側に、空気のうに充填された気体を内部に維持するための気体不透過性層を具えることが好ましい。この場合には、支持層と気体不透過層を4kN/m以下のはく離強さで相互に接合すること、円周方向に隣接するリボン状部材の少なくとも一部が相互に接合すること、がそれぞれ好ましい。なお、本明細書において「気体不透過性」とは、タイヤの使用寿命にわたって内圧を保持することのできる特性をいうものとし、好ましくは窒素透過係数が5.0×10−9cm・cm/cm・s・Pa以下である。また、本明細書において「はく離強さ」とは、JIS K 6256に定める布と加硫ゴムのはく離試験に従い、試験温度20℃の条件下で得られる結果をいうものとする。
あるいは、リボン状部材が気体不透過性であり、タイヤに収納され、タイヤの内圧が正常な状態及び低下した状態のいずれにおいても、円周方向に隣接するリボン状部材が相互に気密に接合されており、支持層が空気のうに充填された気体を内部に保持することが好ましい。
加えて、この発明の空気のうは、空気のうの周方向に延び、支持層に固定された環状補強層をさらに具えることが好ましい。
そして、この発明の安全タイヤは、前記のいずれかの空気のうを有するものである。
この発明によれば、空気のうに加わる張力を負担する支持層の適正化を図ることによって、軽量で、リサイクル性に優れ、かつ内圧正常状態で長期間にわたって使用しても径成長を有効に抑制し、一方、内圧低下状態で迅速に拡張変形してランフラット走行を可能にする、優れた耐久性を有する安全タイヤ用空気のう及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供することが可能となる。
次に、図面を参照しつつこの発明の実施の形態を説明する。図1はこの発明に従う代表的な安全タイヤ用空気のう(以下「空気のう」という。)の幅方向断面図であり、図2は図1に示す空気のうを収納した安全タイヤをリムに装着し、所定の内圧を充填した状態で示す幅方向断面図である。
図1に示す空気のう1は、中空円管状をなしており、図2に示すようにタイヤ2に収納されて安全タイヤを形成している。この安全タイヤをリムRに装着してタイヤ組立体を形成する。そして、タイヤ2には空気充填バルブ(図示せず)を介して所定の内圧で気体を充填し、空気のう1には他の空気充填バルブ(図示せず)を介してタイヤ2の所定の内圧との関係で設定された内圧で気体を充填する。この実施態様では、空気のう1は、ブチルゴム等の気体不透過性材料をチューブ状に成形した気体不透過層3を有しており、充填された気体を内部に保持している。この際、空気のう1には、タイヤと空気のうの内圧差に応じた張力が加わるため、空気のう1は径拡張しようとする。空気のう1が径拡張し、タイヤ2に接近した状態で走行を続けると、遠心力や振動によって空気のうがタイヤの内面に接触してすれることによって、タイヤ及び空気のうの双方が破損するおそれがある。そこで、この発明では、空気のう1に支持層4を設け、タイヤの内圧が正常な状態で空気のうに加わる張力を支持層4に負担させることによって、空気のう1の径拡張を抑制し、その断面形状を図示のように偏平に保っている。この結果、内圧正常状態では、タイヤ2内には空間Sが、空気のう1内には空間Sがそれぞれ形成される。
一方、パンク等によりタイヤ2内の気体が漏洩し、空間Sの内圧が低下した内圧低下状態となると、空間Sと空間Sとの内圧差が大きくなり、支持層4に加わる張力が増大するため、支持層4は伸長又は破断する。この結果、破線で示したように、空気のう1が拡径変形して最終的にはタイヤ2の内面に達し、荷重の支持をタイヤ2から肩代わりする。
従来の安全タイヤ用空気のうにおいても、ゴムと不織布からなる複数枚の複合体を用いた支持層をクラウン部に配設することによって、内圧正常状態での径拡張を抑制することが行われていた。しかし、このような空気のうにおいては、使用初期こそその断面形状を保持する効果を発揮するものの、長期間にわたって使用すると、前記の張力が継続的に作用することによりクリープ変形を生じて径成長し、最終的にはタイヤの内面に達する結果、空気のうがタイヤ内面に擦れて破損することが分かった。さらに、タイヤは負荷転動により熱を発生するが、ゴムは温度の上昇によってクリープ変形しやすくなる特性を有しているため、径成長が一層大きくなることも分かった。
従来の安全タイヤ用空気のうにおいてかかるクリープ変形を抑制するには、支持層の厚さを厚くしてクリープ強度を高めることが考えられるが、支持層を厚くすることは、安全タイヤの質量の増大を招くため好ましくない上、所期したほどのクリープ変形抑制効果を得ることができない。これは、支持層を厚くすることで質量が増大するのに伴って、それに加わる遠心力も増大する結果、剛性の向上が相殺されるためと考えられる。
発明者らは、支持層としてクリープ変形しやすいゴムは用いずに、低い張力が長期にわたって適用された際にも伸びにくい耐低張力材料を用いれば、使用寿命末期に至るまで内圧正常状態における空気のうの形状を良好に保持することができ、内圧正常状態における空気のうの径成長によるタイヤの内面との擦れを防止することができる結果、質量面を犠牲にすることなく耐久性を向上させることができるとの着想を得た。発明者らは、この着想に基づき、空気のうに用いる耐低張力材料に必要とされる物性についてさらに研究を重ね、次のような知見を得た。すなわち、一般にタイヤの使用寿命が10万時間程度であることと、一般的な空気のう入り安全タイヤでは、内圧正常状態から拡径変形してタイヤ内面に達するまでの空気のうの伸長率は約80%であること、支持層の変形は、使用開始から10時間未満までの間に起きる初期変形を除き、使用時間の常用対数に略比例していることを考慮すると、10時間後から使用寿命末期(10万時間後)までの伸長率を80%以下にすれば、クリープ変形により空気のうが径成長した際にもタイヤ内面との擦れを有効に防止できる。したがって、10時間後から100時間後までの伸長率(クリープ変形率)を20%以下にすれば、初期変形以後の空気のうの形状を良好に保持し、内圧正常状態で長期間にわたり使用した際にも空気のうの径成長によるタイヤの内面との擦れを有効に防止することができる。そこで、発明者らは、使用状態に近い状態でのクリープ変形率、すなわち、タイヤと空気のうの間に発生する差圧としてタイヤの所定の内圧の5%の内圧Pが加わった半径r(断面高さ2r)の空気のうに加わる張力f=rPと同一の張力fを加え、かつ使用状態で空気のうが晒される80℃の試験温度条件下でのクリープ変形率が20%以下である耐低張力材料で支持層を構成すると、被覆ゴムを使用する必要がなくなることから従来の空気のうに比べて質量を大幅に減少でき、支持層のみを取り外し廃棄しやすくなることからリサイクル性が大幅に向上でき、クリープ変形が抑制できることから空気のうとタイヤ内面との擦れが防止され、一層空気のうの耐久性が向上できることを見出し、この発明を完成させるに至ったのである。
耐久性を向上させる観点からは、支持層を構成する耐低張力材料のクリープ変形率が小さいほど有利であり、好ましくは、10時間後から100時間後までのクリープ変形率を20%以下、さらに好ましくは15%以下、一層好ましくは10%以下とする。
また、支持層は、内圧正常状態の空気のうの径成長を抑制することに加え、内圧低下状態には速やかに伸長又は破断し、空気のうの円滑な拡径変形を妨げることがないようにすることが望まれる。このような特性を実現するため、耐低張力材料は、内圧低下状態において空気のうに作用するラジアル方向張力、すなわちタイヤの所定の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力が加わった際に、空気のうが円滑にタイヤ内面に達するまで拡径変形できるような物性を有することが好ましい。具体的には、支持層が伸長する場合には、タイヤの所定の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力と同一の張力条件下での伸長率が80%以上であることが好ましく、100%以上であることがさらに好ましい。あるいは、内圧低下状態で支持層が伸長する場合には、支持層の降伏強度が、タイヤの所定の内圧の5%の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力よりも大きく、かつ支持層の降伏強度がタイヤの所定の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力よりも小さいことが好ましい。また、支持層が破断する場合には、支持層の降伏強度が、タイヤの所定の内圧の5%の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力よりも大きく、かつ支持層の破断強度及び降伏強度がタイヤの所定の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力よりも小さいことが好ましい。
耐低張力材料としては、樹脂を用いるか、又はコードとゴムの複合材料を用いることが好ましい。樹脂の場合には、比較的軽量である上、その厚さを調節することでクリープ強度を比較的容易に調整できる点で有利である。好ましい樹脂は、合成樹脂(プラスチック)であり、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の、加工条件、材質等により制御することのできる物性の幅が広いという特性を有する樹脂である。耐低張力樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。また、再生可能な樹脂の例としては、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、塩ビ系樹脂、ポリエステル系樹脂等の広範な樹脂を挙げることができる。しかし、支持層に要求される他の性能も同時に満足させる観点からは、オレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂が好ましく、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。一方、複合材料の場合には、従来のタイヤのベルト層と同様に構成できることから、加工性の点で有利である。複合材料を構成するコードの例としては、6ナイロン、66ナイロン、アラミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、レーヨン等の有機繊維コードを挙げることができる。複合材料は、従来のタイヤのベルト層と同様に、複数本のコードを平行配列し、これらをゴム被覆して構成することができ、コードを、空気のうの円周方向を横切る向きに延びるように配設することが好ましい。
図3は、一実施態様の支持層4の一部を、空気のうから取り外した状態で示す斜視図である。このように、支持層4は、長尺のリボン状部材5を連続して円周方向を横切る向きに連続してつる巻きらせん巻回することによって形成することができる。これによれば、連続的に支持層を成型することができるので、製造効率の向上が可能となる。リボン状部材5をつるまきらせん巻回する手順としては、例えば、内圧を適用して膨張させた気体不透過性チューブ上にリボン状部材を、最初は周方向に一周し、その一部を超音波熱溶着等で接合し、次いで隣接するリボン状部材とオーバーラップを形成するように巻き回しながら貼り付け、最後に周方向に一周し、その終端部を超音波熱溶着等で接合する方法がある。
図4は、他の実施態様の支持層4の一部を、空気のうから取り外した状態で示す斜視図である。このように、リボン状部材5をラジアル方向に巻回しその両端部を相互に接合して得たリング状体6を、円周方向に複数個並置して支持層4を構成することもできる。これに用いるリボン状部材は、図5(a)に示すような、全体が等幅のものであってもよいが、空気のう1のクラウン部7とベース部8とには径差があり円周長が異なることから、図5(b)又は(c)に示すように、一部の幅が他の部分よりも広いリボン状部材を用いてリング状体を形成し、リング状体の円周方向長さの大きい部分をクラウン部に、小さい部分をベース部に配置することが好ましい。これによって、空気のうの円周長の差を吸収し、均一に支持層を配設することができる。
リング状体を形成するに当たっては、リボン状部材の両端部を、例えば熱溶着、接着剤、両面テープ、面ファスナー等を用いて相互に接着することができる。あるいは、図6に示すように、連結部材9を用い、リボン状部材5の重ね合わせた両端部を貫通させて接合することが好ましい。このような突起部を用いて接合を行えば、リボン状部材5の製造時の接合及び廃棄時の剥離が一層容易になるからである。リサイクル性をより一層向上させる観点からは、連結部材9は、再生可能な樹脂で構成し廃棄時に回収して材料リサイクルするか、金属で構成し廃棄時に回収して再使用することがさらに好ましい。連結部材9は図示のものに限定されず、例えばリベット状、ステープラー状、リング状のものを用いることもできる。さらに、図示は省略するが、リボン状部材5の一方の端部に突起を、他方の端部に孔を設けておき、リング状に巻回した後に突起を孔に挿入して嵌合することで、両端部を接合してもよい。
空気のう1は、充填された気体を内部に維持する必要があり、このため図1及び2に示す実施態様では、支持層4の内面側に気体不透過層3を有している。この気体不透過層3としては、チューブ入りタイヤに用いられるようなチューブを用いることができ、これによれば、気体を充填し膨張させた状態のチューブにリボン状部材を巻回して支持層4を構成できるので、製造工程が簡略化できる。あるいは、図3及び4に示すように、支持層が隙間なく空気のうの外面を構成している場合には、支持層の内面全体に気体不透過性の封止材を塗布又は貼付し、これによって気体不透過層3を形成することもできる。このようにして支持層4を構成すると、空気のうをより一層軽量化することができる。好適な封止材の例としては、シリコーンシーラントを挙げることができる。
ところで、ランフラット走行時にはパンク孔からタイヤ内へ異物が入り込む場合があり、これが空気のうとタイヤの間に挟まった状態で転動すると、路面からの接地圧の影響により異物が支持層に突き刺さり、支持層に亀裂が発生するおそれがある。そして、支持層には充填した気体の内圧の作用により張力が加わっているため、この亀裂は支持層上を広がろうとする。この際、支持層と気体不透過層とが強固に接合されていると、両者が一体となって変形しようとすることから、支持層に発生した亀裂が気体不透過層に伝播して、気体不透過層からの気体の漏洩を招くおそれがある。特に、この亀裂の伝播は、従来の空気のうのように支持層が厚い場合には亀裂が支持層自体を貫通して気体不透過層に達するのに時間を要することから大きな問題とはならなかったが、軽量化の観点から耐低張力材料を用いて支持層を薄くした場合には亀裂が気体不透過層に達するまでの時間が非常に短くなることから問題となる場合がある。
そこで、従来の空気のうのように支持層をゴムで構成し気体不透過層に加硫接合するのではなく、支持層4を気体不透過層3とは別体に形成すれば、支持層4に亀裂が発生しても、支持層4と気体不透過層3が分離しているので、亀裂が気体不透過層3にまで達することがなくなることから、支持層4の亀裂の気体不透過層3への伝播を有効に抑制し、空気のうのランフラット走行時の耐久性を向上させることができる。また、空気のうの形状等により、支持層と気体不透過層を分離したままにするとリム装着への作業性等に影響を及ぼす場合には、支持層4を接着剤、両面テープ等により弱い接着力で気体不透過層3に密着させれば、支持層4に亀裂が発生しても、これが気体不透過層3に伝播される前に支持層4と気体不透過層3が分離してしまうことから、支持層4の亀裂の気体不透過層3への伝播を有効に抑制し、空気のうのランフラット走行時の耐久性を向上させることができる。
ここで、支持層4を弱い接着力で気体不透過層3に密着させる場合には、はく離強さを4kN/m以下とすることが好ましい。これを超えた場合には、支持層4と気体不透過層3との間が加硫接合と同様、強固に接着されるため、支持層4に亀裂が発生した際にも、両者が分離することなく一体となって変形することから、支持層4に発生した亀裂の気体不透過層3への伝播を確実に阻止することが困難となるからである。好ましくは、このはく離強さを0.5〜2.0kN/mの範囲とする。
図7(a)〜(c)は、タイヤの内圧低下に伴い拡径変形した後の空気のうの一部の側面図である。支持層4は、それを構成するリボン状部材の円周方向で隣接する部分が接合されておらず、図7(a)に示すように、拡径変形した後に相互に離間してもよいが、かかる空気のうは、拡径変形時に支持層4が均一に分離せず、拡径変形時の形状が不安定となるおそれがある。不均一に拡径変形した場合、タイヤのユニフォミティが低下し、ランフラット走行の安定性が低下することから、図7(b)に示すように、円周方向に隣接するリボン状部材の少なくとも一部を相互に接合し、拡径変形時の形状を安定させることが好ましい。この接合は、接着剤、両面テープ、リベット、熱溶着等を用いて行うことができる。また、図7(b)のように、拡張変形後に支持層4の一部が離間しており、気体不透過層3が露出している場合には、前述したような異物により気体不透過層3が損傷し、内部の気体が漏洩するおそれがあることから、図7(c)に示すように、拡径変形後にも支持層4が気体不透過層3を完全に覆っていることが好ましい。
図1及び2には、支持層4とは別体の気体不透過層3を設けた実施態様を設けたが、リボン状部材として気体不透過性の耐低張力材料を用い、支持層4自体が気体不透過層の役割を果たすように構成してもよい。この場合には、円周方向に隣接するリボン状部材を相互に気密に接合し、タイヤ内圧が正常で拡径変形する前の状態及びタイヤ内圧が低下して拡径変形した後の状態のいずれの状態においても、空気のうに充填された気体を内部に保持することが必要となる。図8(a)及び(b)は、支持層4が気体不透過層でもある空気のうの一部の円周方向断面を示している。円周方向に隣接するリボン状部材5、5間の気密な接合は、図8(a)に示すように、隣接するリボン状部材5のオーバーラップ部分10を熱溶着するか、又は図8(b)に示すように、オーバーラップ部分10を接着剤又は両面テープ等の気体不透過性の封止材12を用いて接合することで達成することができる。好適な封止材は前述したとおりである。
通常、車両は加減速を繰り返すため、支持層は、特に隣接するリボン状部材が相互に接合されていない場合に、慣性力の作用により円周方向にずれやすい。支持層のずれは、ユニフォミティを低下させ操縦安定性を損なったり、空気のうの均一な拡径変形を妨げたりすることから、好ましくない。また、支持層に局所的に大きな張力が加わる結果、クリープ変形が大きくなる場合があり、不均一な張力が加わっている状態では、タイヤの内圧が低下した際に空気のうが均一に拡径変形することができず、左右の何れかに偏って拡張してしまうため、ランフラット走行時に偏って拡張した側の空気のうが早期に破損する場合があり、所期したランフラット耐久性を得ることのできない場合もある。このような支持層の円周方向へのずれを防止する観点からは、空気のう1の円周方向に延びる環状補強層11をさらに設け、これを支持層4に固定することで、支持層4の円周方向へのずれを防止することが好ましい。図9(a)及び(b)は、かかる環状補強層11を配設した空気のうの一部を、拡張変形状態で示す側面図である。環状補強層11は、図9(a)に示すように空気のうのベース部側に配置してもよく、図9(b)に示すようにクラウン部側に配置してもよく、図示は省略するが、ベース部及びクラウン部の双方に配置してもよい。また、図示の態様では、隣接するリボン状部材が離間しており、リボン状部材の内部に気体不透過層3が配置されているが、これらリボン状部材の一部又は全部が相互に接合されていてもよく、前述したように支持層4が気体不透過層を兼ねていてもよい。環状補強層11は、支持層4と同様のリボン状部材から形成したリング状体で構成するか、又はリボン状部材を円周方向につる巻きらせん巻回することで構成することができる。環状補強層11に用いるリボン状部材は、支持層4に用いるリボン状部材と同様に、タイヤの内圧低下状態で伸長又は破断し、空気のうの円滑な拡径変形を妨げないことが必要である。
環状補強層11の支持層4への固定は、接着剤若しくは両面テープ等の封止材、リベット、又は熱溶着を用いて行うことができる。これらの手段とは別に、あるいはこれらの手段とともに、図10に示すように、環状補強層11と支持層4を交互に千鳥状に編み上げ、これらの間の摩擦力によって環状補強層11を支持層4に固定することもできる。
このようにして形成された空気のう1を、図2に示すようにタイヤ2に収納すると、この発明の安全タイヤが得られる。空気のうを収納するタイヤの種類は特に限定されず、ラジアルタイヤであってもバイアスタイヤであってもよい。
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。
次に、この発明に従う安全タイヤを試作し性能評価を行ったので、以下に説明する。
実施例1〜14の安全タイヤは、タイヤサイズが495/45R22.5であり、その内部に空気のうを収容している。これらの空気のうのは下記のようにして形成した。
(実施例1)
実施例1の空気のうは、幅40mm、厚さ0.2mmのポリエチレンテレフタレート(PET)製リボン状部材を、ラジアル方向につる巻きらせん巻回して支持層を構成している。この支持層はクリープ変形率が1.5%であり、破断伸びが400%であり、タイヤの内圧低下状態では伸長する。気体不透過層としてはチューブを用いており、クラウン部で隣接するリボン状部材を10mmオーバーラップさせることにより、支持層で気体不透過層を完全に包囲している。隣接するリボン状部材は両面テープで接合されているが、支持層と気体不透過層とは接着されていない。実施例1の安全タイヤに用いた空気のうの側面図及びクラウン部の一部の正面図は図11に示すとおりである。
(実施例2〜4)
実施例2〜4の空気のうは、幅40mm、厚さ0.2mmのPET製リボン状部材の両端部を接着剤(実施例2)、リベット(実施例3)及び熱溶着(実施例4)により相互に接合してなるリング状体を、円周方向に複数個並置して支持層を構成している。この支持層はクリープ変形率が1.5%であり、破断伸びが400%であり、タイヤの内圧低下状態では伸長する。気体不透過層としてはチューブを用いており、クラウン部で隣接するリボン状部材を10mmオーバーラップさせることにより、支持層で気体不透過層を完全に包囲している。隣接するリボン状部材は両面テープで接合されているが、支持層と気体不透過層とは接着されていない。実施例2の安全タイヤに用いた空気のうの側面図及びクラウン部の一部の正面図は図12に示すとおりである。
(実施例5及び6)
実施例5及び6の空気のうは、幅40mm、厚さ0.2mmのPET製リボン状部材を、ラジアル方向につる巻きらせん巻回して支持層を構成している。この支持層はクリープ変形率が1.5%であり、破断伸びが400%であり、タイヤの内圧低下状態では伸長する。気体不透過層としてはチューブを用いており、クラウン部で隣接するリボン状部材を10mmオーバーラップさせることにより、支持層で気体不透過層を完全に包囲している。隣接するリボン状部材はリベット(実施例5)及び熱溶着(実施例6)で接合されているが、支持層と気体不透過層とは接着されていない。実施例5及び6の安全タイヤに用いた空気のうの側面図及びクラウン部の一部の正面図は図11に示すとおりである。
(実施例7)
実施例7の空気のうは、幅40mm、厚さ0.2mmのポリプロピレン(PP)製リボン状部材を、ラジアル方向につる巻きらせん巻回して支持層を構成している。この支持層はクリープ変形率が1.5%であり、破断伸びが10%であり、降伏強度がタイヤの所定の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力よりも大きく、タイヤの内圧低下状態では破断する。気体不透過層としてはチューブを用いており、クラウン部で隣接するリボン状部材を10mmオーバーラップさせることにより、支持層で気体不透過層を完全に包囲している。隣接するリボン状部材は両面テープで接合されているが、支持層と気体不透過層とは接着されていない。実施例7の安全タイヤに用いた空気のうの側面図及びクラウン部の一部の正面図は図11に示すとおりである。
(実施例8)
実施例8の空気のうは、幅40mm、厚さ0.2mmのPET製リボン状部材を、ラジアル方向につる巻きらせん巻回して支持層を構成している。この支持層はクリープ変形率が1.5%であり、破断伸びが400%であり、タイヤの内圧低下状態では伸長する。気体不透過層としてはチューブを用いている。隣接するリボン状部材は、ベース部で10mmオーバーラップさせており、クラウン部では隣接するリボン状部材は円周方向に5mm離間しており、両面テープを用いてこれらを接合している。また、支持層と気体不透過層とは接着されていない。実施例8の安全タイヤに用いた空気のうの側面図及びクラウン部の一部の正面図は図13に示すとおりである。
(実施例9)
実施例9の空気のうは、幅40mm、厚さ0.2mmのPET製リボン状部材を、ラジアル方向につる巻きらせん巻回して支持層を構成している。この支持層はクリープ変形率が1.5%であり、破断伸びが400%であり、タイヤの内圧低下状態では伸長する。気体不透過層としてはチューブを用いている。隣接するリボン状部材は完全に離間しており、その円周方向離間距離はベース部で20mmである。支持層と気体不透過層とは、両面テープを用いて弱く接着されている。実施例9の安全タイヤに用いた空気のうの側面図及びクラウン部の一部の正面図は図14に示すとおりである。
(実施例10)
実施例10の空気のうは、幅40mm、厚さ0.2mmのPET製リボン状部材を、ラジアル方向につる巻きらせん巻回して支持層を構成している。この支持層はクリープ変形率が1.5%であり、破断伸びが400%であり、タイヤの内圧低下状態では伸長する。気体不透過層としてはチューブを用いている。隣接するリボン状部材は完全に離間しており、その円周方向離間距離はベース部で20mmである。支持層と気体不透過層とは接着されていないが、ベース部に環状補強層を配置しており、これと支持層を接着剤により接合している。実施例10の安全タイヤに用いた空気のうの側面図及びクラウン部の一部の正面図は図15に示すとおりである。
(実施例11)
実施例11の空気のうは、幅40mm、厚さ0.2mmのPET製リボン状部材を、ラジアル方向につる巻きらせん巻回して支持層を構成している。この支持層はクリープ変形率が1.5%であり、破断伸びが400%であり、タイヤの内圧低下状態では伸長する。気体不透過層としてはチューブを用いている。隣接するリボン状部材は完全に離間しており、その円周方向離間距離はベース部で20mmである。支持層と気体不透過層とは接着されていないが、クラウン部に環状補強層を配置しており、これと支持層を千鳥状に編み上げることにより固定している。実施例11の安全タイヤに用いた空気のうの側面図及びクラウン部の一部の正面図は図16に示すとおりである。
(実施例12及び13)
実施例12及び13の空気のうは、幅40mm、厚さ0.2mmのPET製リボン状部材を、ラジアル方向につる巻きらせん巻回して支持層を構成している。この支持層はクリープ変形率が1.5%であり、破断伸びが400%であり、タイヤの内圧低下状態では伸長する。クラウン部で隣接するリボン状部材を10mmオーバーラップさせることにより、空気のうの外面全体を支持層で構成している。この支持層は気体不透過層を兼ねており、隣接するリボン状部材は両面テープ(実施例12)及び熱溶着(実施例13)で気密に接合されている。支持層と気体不透過層とは接着されていない。実施例12及び13の安全タイヤに用いた空気のうの側面図及びクラウン部の一部の正面図は図17に示すとおりである。
(実施例14)
実施例14の空気のうは、幅40mm、厚さ0.2mmのPET製リボン状部材を、ラジアル方向につる巻きらせん巻回して支持層を構成している。この支持層はクリープ変形率が1.5%であり、破断伸びが400%であり、タイヤの内圧低下状態では伸長する。クラウン部で隣接するリボン状部材を10mmオーバーラップさせることにより、空気のうの外面全体を支持層で構成している。隣接するリボン状部材は両面テープで接合されている。支持層の内面には、気体不透過層として封止材が前面に塗布されている。実施例14の安全タイヤに用いた空気のうの側面図及びクラウン部の一部の正面図は図17に示すとおりである。
比較のため、タイヤサイズが実施例1〜14と同じであるものの、不織布とゴムの複合体をチューブに加硫接着した空気のうを有する従来例のタイヤ、及びクリープ変形率が6%とこの発明の範囲外であり、破断伸びが400%である材料からなるリボン状部材を用い、実施例1と同様にして支持層を構成した空気のうを有する比較例のタイヤについても併せて試作した。
(質量試験)
前記各試作安全タイヤの空気のうの質量を測定した。その測定結果を表1に示す。なお、表1中の質量の測定結果は、従来例の安全タイヤの空気のうの質量を100とした場合の指数比で示してあり、数値が小さいほど軽量である。
(常用走行耐久性)
前記各試作安全タイヤを、リムサイズ17.00×22.5のリムに装着してタイヤ車輪とした。このタイヤ車輪の空気のうを含むタイヤ(空間S)の内圧を900kPa(相対圧)とし、空気のう(空間S)の内圧を970kPa(相対圧)とし、タイヤ負荷荷重:49kNを適用し、走行速度60km/hの条件下でドラム試験機上を30,000km走行させた。テスト走行終了後、タイヤ車輪を分解して各供試補強空気のうを取り出し、損傷の有無を目視点検して耐久性を評価した。この評価結果を表1に示す。従来例及び比較例の安全タイヤでは、長期にわたる使用の結果、空気のうがクリープ変形してタイヤ内面と擦れ、空気のうに損傷が発生していた。
(ランフラット走行耐久性)
前記各試作安全タイヤを、リムサイズ17.00×22.5のリムに装着してタイヤ車輪とした。このタイヤ車輪の空気のうを含むタイヤ(空間S)の内圧を900kPa(相対圧)とし、空気のう(空間S)の内圧を970kPa(相対圧)とした後、空間Sに気体を供給するバルブのコアを抜き取ってランフラット状態にした。次いで、タイヤ負荷荷重49kNを適用し、走行速度60km/hの条件下でドラム試験機上を走行させ、走行距離が5km増加するごとに安全タイヤの故障の有無を確認し、故障がある場合には前回確認時の走行距離をもって完走距離とし(すなわち、30km走行時点で故障が確認された場合には完走距離は25kmとする。)、故障がない場合には再度同条件でドラム試験機上を走行させ、これを走行距離が50kmに達するまで繰り返した。この完走距離を表1に示す。なお、表1中の「50km<」とは、走行距離が50kmに達しても安全タイヤに故障が認められなかったことを示している。
Figure 2007145287
表1に示す結果から、実施例1〜14の安全タイヤは、従来例の安全タイヤに比べて、ランフラット走行耐久性は同等以上のレベルを維持しながら、常用走行耐久性に優れており、大幅に軽量であることが分かる。また、実施例1〜14の安全タイヤは、比較例の安全タイヤに比べて、ランフラット走行耐久性及び軽量性は同等以上のレベルを維持しながら、常用走行耐久性に優れていることが分かる。さらに、実施例1〜11に用いたチューブと従来例に用いたチューブは共通であるが、従来例では空気のうの全てが産業廃棄物として処理されるのに対して、実施例1〜11では、チューブは産業廃棄物として処理されるが、支持層は材料リサイクルすることが可能であることから産業廃棄物量が大幅に低減し、かつ支持層がチューブに加硫接着されていないので取外し及び分別も容易であり、リサイクル性が大幅に向上した。
また、気体不透過層としてチューブを用い、内圧低下時に伸長するリボン状部材を用いてチューブを完全に包囲する支持層を形成した実施例1〜6の安全タイヤは、実施例7〜14の安全タイヤに比べて、ランフラット走行耐久性が大幅に向上することが分かる。さらに、チューブを用いず、支持層に気体不透過層を兼ねさせる実施例12及び13、並びに支持層の内面に封止材を塗布する実施例14の安全タイヤは、実施例1〜11の安全タイヤに比べて、大幅に軽量化を達成していることが分かる。さらにまた、支持層の破断伸びのみが異なる実施例1と実施例7の安全タイヤを比較すると、降伏強度の低い実施例1はランフラット走行耐久性が向上することが分かる。
この発明により、軽量で、優れた耐久性を有しており、かつリサイクル性に優れた安全タイヤ用空気のう及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供することが可能となった。
この発明に従う代表的な安全タイヤ用空気のうの幅方向断面図である。 図1に示す空気のうを収納した安全タイヤをリムに装着し、所定の内圧を充填した状態で示す幅方向断面図である。 一実施態様の支持層の一部を、空気のうから取り外した状態で示す斜視図である。 他の実施態様の支持層の一部を、空気のうから取り外した状態で示す斜視図である。 (a)〜(c)は、この発明に用いることのできるリボン状部材の例を示す。 リング状体の接合方法の一例を示す断面図である。 (a)〜(c)は、タイヤの内圧低下に伴い拡径変形した後の種々の空気のうの一部の側面図である。 (a)及び(b)は、支持層が気体不透過層を兼ねる空気のうの一部の円周方向断面を示している。 (a)及び(b)は、環状補強層を配設した空気のうの一部を、拡張変形状態で示す側面図である。 環状補強層を有する空気のうのクラウン部の一部の正面図である。 (a)は実施例1、5〜7及び比較例の空気のうの側面図であり、(b)は(a)に示す空気のうのクラウン部の一部の拡大正面図である。 (a)は実施例2〜4の空気のうの側面図であり、(b)は(a)に示す空気のうのクラウン部の一部の拡大正面図である。 (a)は実施例8の空気のうの側面図であり、(b)は(a)に示す空気のうのクラウン部の一部の拡大正面図である。 (a)は実施例9の空気のうの側面図であり、(b)は(a)に示す空気のうのクラウン部の一部の拡大正面図である。 (a)は実施例10の空気のうの側面図であり、(b)は(a)に示す空気のうのクラウン部の一部の拡大正面図である。 (a)は実施例11の空気のうの側面図であり、(b)は(a)に示す空気のうのクラウン部の一部の拡大正面図である。 (a)は実施例12〜14の空気のうの側面図であり、(b)は(a)に示す空気のうのクラウン部の一部の拡大正面図である。
符号の説明
1 空気のう
2 タイヤ
3 気体不透過層
4 支持層
5 リボン状部材
6 リング状体
7 クラウン部
8 ベース部
9 連結部材
10 オーバーラップ部分
11 環状補強層
12 封止材

Claims (13)

  1. タイヤに収納され、該タイヤの所定の内圧との関係で設定された内圧で気体が充填され、タイヤの内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧が低下した状態では拡径変形して荷重の支持をタイヤから肩代わりする、中空円管状の安全タイヤ用空気のうにおいて、
    該空気のうは、タイヤの内圧が正常な状態では空気のうに加わる張力を負担して空気のうの径拡張を抑制し、タイヤの内圧が低下した状態ではタイヤ内面まで伸長し又は破断する少なくとも1層の支持層を具え、
    該支持層は、タイヤの所定の内圧の5%の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力と同一の張力及び試験温度80℃の条件下でのクリープ変形率が20%以下である耐低張力材料からなるリボン状部材を、空気のうの円周方向を横切る向きに、空気のうの断面ペリフェリ長さ以上にわたって巻回して構成されることを特徴とする空気のう。
  2. 前記支持層は、タイヤの所定の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力と同一の張力条件下での伸長率が80%以上である、請求項1に記載の空気のう。
  3. 前記支持層は、降伏強度がタイヤの所定の内圧の5%の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力よりも大きく、かつ破断強度及び降伏強度がタイヤの所定の内圧を適用した空気のうに作用するラジアル方向張力よりも小さい、請求項1又は2に記載の空気のう。
  4. 前記耐低張力材料は樹脂からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気のう。
  5. 前記支持層は、前記リボン状部材を連続してつる巻きらせん巻回して構成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気のう。
  6. 前記支持層は、前記リボン状部材の両端部を相互に接合してなるリング状体を空気のうの円周方向に複数個並置して構成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気のう。
  7. 前記支持層を構成するリング状体は、空気のうのクラウン部に配置される部分の円周方向長さが空気のうのベース部に配置される部分の円周方向長さよりも大きい、請求項6に記載の空気のう。
  8. 前記支持層の内面側に、空気のうに充填された気体を内部に維持するための気体不透過性層を具える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気のう。
  9. 前記支持層は前記気体不透過層と4kN/m以下のはく離強さで接合させてなる、請求項8に記載の空気のう。
  10. タイヤに収納され、タイヤの内圧の低下に伴い拡張変形した状態にて、円周方向に隣接するリボン状部材の少なくとも一部が相互に接合する、請求項8又は9に記載の空気のう。
  11. 前記リボン状部材が気体不透過性であり、タイヤに収納され、タイヤの内圧が正常な状態及び低下した状態のいずれにおいても、円周方向に隣接するリボン状部材が相互に気密に接合されており、前記支持層が空気のうに充填された気体を内部に保持する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気のう。
  12. 空気のうの円周方向に延び、支持層に固定された環状補強層をさらに具える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の空気のう。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の安全タイヤ用空気のうを有する安全タイヤ。
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