JP2007140147A - 多層膜反射鏡及び露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 Si層上に拡散層が形成されることによる反射率の低下を防止する多層膜反射鏡を提供する。
【解決手段】 基板表面にMoを主成分とする層6とSiを主成分とする層8を交互に周期的に成膜し、前記Siを主成分とする層8上に拡散防止層10を形成した構造を有するMo/Si多層膜12を備える多層膜反射鏡2であって、前記拡散防止層10は、前記Siを主成分とする層8が有する原子間空隙に入る最大の球の半径の80%以上の共有原子価半径を有する原子により構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】 基板表面にMoを主成分とする層6とSiを主成分とする層8を交互に周期的に成膜し、前記Siを主成分とする層8上に拡散防止層10を形成した構造を有するMo/Si多層膜12を備える多層膜反射鏡2であって、前記拡散防止層10は、前記Siを主成分とする層8が有する原子間空隙に入る最大の球の半径の80%以上の共有原子価半径を有する原子により構成される。
【選択図】 図1
Description
この発明は、基板表面に多層膜を形成した多層膜反射鏡及び該多層膜反射鏡を備える露光装置に関するものである。
近年、半導体集積回路の微細化の進展に伴い、光の回折限界によって制限される光学系の解像力を向上させるために、従来の紫外線に代えて、これより短い波長(例えば11〜14nm程度)の極端紫外線を使用した投影露光装置が開発されている(特許文献1参照)。
上述の極端紫外線を使用した投影露光装置(EUV露光装置)においては、極端紫外線が透過する物質が存在しないため、光学系は反射鏡によって構成される必要があるが、この波長域では物質の屈折率が1よりも僅かに小さいことによる全反射を利用した斜入射ミラーや、界面での微弱な反射光の位相を合わせて多数重畳させて、全体として高い反射率を得る多層膜ミラーなどが使用される。
EUVリソグラフィにおいては、露光光として波長13.5nm付近の波長域の極端紫外光が用いられる。この波長域では物質の屈折率が1に非常に近いので、屈折や反射を利用した従来の光学素子と異なり、干渉により光を強めあう多層膜ミラーなどが使用される。13.5nm付近の波長域では、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層を交互に積層したMo/Si多層膜によって、直入射で約68%の反射率を得ることができる。
しかし、Mo/Si多層膜は、その界面に、MoSi化合物からなる拡散層が形成され、それが反射率低下や半値幅減少など、光学特性の低下を招くので、反射率向上などのためにMoとSiの拡散防止を行う必要がある。ここで、Mo/Si多層膜においては、通常、Mo層上の拡散層と、Si層上の拡散層の厚さが異なることが知られている。普通、Mo層上の拡散層(Mo層上にSi層が積層するときの拡散層)に比べて、Si層上の拡散層(Si層上にMo層が積層するときの拡散層)の方が厚い。
この発明の課題は、Si層上に拡散層が形成されることによる反射率の低下を防止する多層膜反射鏡及び該多層膜反射鏡を備えた露光装置を提供することである。
この発明の多層膜反射鏡は、基板表面にMoを主成分とする層(6)とSiを主成分とする層(8)を交互に周期的に成膜し、前記Siを主成分とする層(8)上に拡散防止層(10)を形成した構造を有するMo/Si多層膜(12)を備える多層膜反射鏡(2)であって、前記拡散防止層(10)は、前記Siを主成分とする層(8)が有する原子間空隙に入る最大の球の半径の80%以上の共有原子価半径を有する原子により構成されることを特徴とする。
また、この発明の露光装置は、この発明の多層膜反射鏡(2)を光学系の少なくとも一部に備えることを特徴とする。
この発明の多層膜反射鏡によれば、拡散防止層がSiを主成分とする層が有する原子間空隙に入る最大の球の半径の80%以上の共有原子価半径を有する原子により構成されているため、Siを主成分とする層上に拡散層が形成されるのを抑制することができる。したがって、Siを主成分とする層上に拡散層が形成されることによる反射率の低下を防止することができる。
また、この発明の露光装置によれば、光学系の少なくとも一部にSi層上の拡散層の形成が抑制された多層膜反射鏡を備えているため、拡散層の形成による反射率の低下を防止することができ、良好な露光を行なうことができる。
図面を参照して、この発明の第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡について説明する。多層膜反射鏡は、例えば極端紫外光(EUV光)を露光光とするEUV露光装置等に用いられる。図1は、第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡2の断面図である。図1に示すように、多層膜反射鏡2は、高精度な形状に研磨された低熱膨張ガラス基板4の表面にモリブデン(Mo)を主成分とする層(以下、Mo層という。)6とシリコン(Si)を主成分とする層(以下、Si層という。)8が交互に周期的に成膜され、かつSi層8とその上に形成されるMo層6との間には拡散防止層としてバリウム(Ba)を主成分とする層(以下、Ba層という。)10が成膜された構造を有するMo/Si多層膜12を備えている。
Mo/Si多層膜においては、Mo層上に形成される拡散層の厚さとSi層上に形成される拡散層の厚さが異なる。通常、Mo層上の拡散層の厚さと比較して、Si層上の拡散層の厚さは厚い。したがって、この実施の形態においては、Si層8と、その上に形成されるMo層6との間に拡散防止層としてのBa層10を積層している。Ba層10を積層することにより、下地となるSi層8上にMo層6が直接積層された場合において形成されるMoSi化合物からなる拡散層の形成を抑制することができる。
上述のように、下地となる膜と積層される膜とが異なることにより拡散層の厚さが異なるのは、下地になる膜の構造と、後から積層される原子の大きさとが関係する。即ち、単純に2つの元素が混ざり合うのではなく、既に出来上がっている膜(下地となる膜)の表面上に、後から積層される別の原子が1つずつ到来するため、下地となる膜と積層される膜との違いにより拡散層の厚さが異なってくる。
ここで、Si原子の大きさと比較してMo原子の大きさが大きいのに、Si層上にMoが積層される時の方が拡散しやすい(浸透しやすい)理由について以下に説明する。
Moは、バルク結晶では体心立方格子(空間群Im−3m)である。その格子定数は0.315nmである。この時、剛体球で接触しているとすると、格子定数から計算される原子半径は約0.14nmであり、Moの結合半径(共有原子価半径)0.145nmとほぼ等しい。体心立方格子の原子充填率は約68%で、原子間空隙に入りうる最大の球の半径は、Mo原子半径の0.2741倍の0.04nmとなる。
スパッタMo膜は、結晶ではなくアモルファスであるので、正確な体心立方格子ではない。しかし、アモルファスMoと結晶Moとで密度が大きく違わないことや、体心立方格子が比較的充填された構造であることから、スパッタ膜も同等の原子間空隙を有している。したがって、スパッタ膜においても、ほぼ半径0.04nm程度の球が入るような原子間空隙を持っていると考えられる。
一方、Siは、バルク結晶ではダイヤモンド構造である。ダイヤモンド構造は、面心立方格子をその格子定数の1/4だけ、x,y,z方向に並進して重ねた構造を持っており(空間群Fd−3m)、その格子定数は、0.54nmである。格子定数が大きいのは、面心立方格子を1/4だけ並進させて重ねた大きな構造が単位格子だからである。この時、原子が剛体球で接触しているとすると、格子状数から計算される原子半径は約0.117nmであり、Siの共有結合半径(共有原子価半径)0.111nmとほぼ等しい。ダイヤモンド構造は、最密充填構造の半分の原子しか存在しないので、原子充填率は低く、およそ35%程度しかない。そのため、大きな原子間空隙が存在する。その原子間空隙に入りうる最大の球の半径を求めると、それはSi原子半径のちょうど2倍の0.22nmとなる。Siがこのような大きな原子間空隙を持ちながら、そこにSi原子自身が落ち込んで埋めてしまわないのは、Siが共有結合性で、自身の周りに4個しかSi原子を配位できないからである。
スパッタSi膜は結晶ではなくアモルファスであるので、正確なダイヤモンド構造ではない。しかし、アモルファスSiと結晶Siとで密度が大きく違わないことや、Siの原子価が4であることから、ミクロな結合状態が著しく変わっていることはなく、歪んだダイヤモンド構造であり、スパッタ膜も依然として大きな原子間空隙を保持している。したがって、スパッタ膜においても、ほぼ半径0.22nm程度の球が入るような原子間空隙を持っていると考えられる。
以上のことから、Si上にMoが積層するときは、半径0.22nm程度の球が入る原子間空隙を持つ膜に、半径0.145nm程度の大きさのMo原子が積層されるため、容易にSi膜内に浸透、拡散する。一方、Mo上にSiが積層されるときは、半径0.04nm程度の球が入る原子間空隙を持つ膜に、半径0.111nm程度の大きさのSi原子が積層されるため、表面に衝突したエネルギーによる拡散や、MoとSiが自然に化合物を形成することによる拡散を除けば、幾何的には原子間空隙に勝手に入り込むような拡散が起こりにくい。
この実施の形態においては、Si上にMoが積層されるときの拡散層の形成を防止するため、その拡散防止層として、Si膜のもつ原子間空隙に入らないような共有原子価半径を持つ物質を使用する。具体的には、Si膜の持つ原子間空隙に入る最大の球の半径が0.22nmであるから、0.22nm以上の共有原子価半径(共有結合半径)を持つ原子を選択することが好ましい。しかし、Si膜がスパッタ膜であって構造が歪んでいるとすると、空隙が歪んで、そこに入ることが出来る最大の剛体球半径が、Si膜の持つ原子間空隙に入る最大の球の半径である0.22nmよりも幾分小さくなっている。そこで、0.22nmの80%以上の大きさの共有原子価半径を持つ原子であれば、Moよりも拡散しにくい。したがって、0.22nmの80%以上の大きさの共有原子価半径を持つ原子からなる層を拡散防止層とすることで、拡散防止層を形成する原子自体がSi層へ拡散することを防ぎ、目止めの役割を果たす。
この実施の形態においては、共有原子価半径が0.198nmであり、0.22nmの80%以上の大きさの共有原子価半径を持つBa層10を拡散防止層として積層している。更に、以下の原子の共有原子価半径が上述の基準を満たしているため、拡散防止層として適用することができる。また、以下の原子からなる群から選ばれた少なくとも1つを含むものを拡散防止層としてもよい。
Cs(セシウム) 共有原子価半径=0.225nm(>0.22nm)
Rb(ルビジウム) 共有原子価半径=0.211nm(>0.22nm×80%)
Ba(バリウム) 共有原子価半径=0.198nm(>0.22nm×80%)
K (カリウム) 共有原子価半径=0.196nm(>0.22nm×80%)
Sr(ストロンチウム) 共有原子価半径=0.192nm(>0.22nm×80%)
上記5元素以外の原子はすべて、共有原子価半径が0.18nm(=0.22nm×80%)以下であるので、好適ではない。また、上記5元素の中では、BaとSrが、単体として安定性を有しているため、拡散防止層として好適である。サイズとして最も好適なのは、Siの最大原子間空隙半径より大きいCsである。
Rb(ルビジウム) 共有原子価半径=0.211nm(>0.22nm×80%)
Ba(バリウム) 共有原子価半径=0.198nm(>0.22nm×80%)
K (カリウム) 共有原子価半径=0.196nm(>0.22nm×80%)
Sr(ストロンチウム) 共有原子価半径=0.192nm(>0.22nm×80%)
上記5元素以外の原子はすべて、共有原子価半径が0.18nm(=0.22nm×80%)以下であるので、好適ではない。また、上記5元素の中では、BaとSrが、単体として安定性を有しているため、拡散防止層として好適である。サイズとして最も好適なのは、Siの最大原子間空隙半径より大きいCsである。
なお、共有原子価半径による評価は、同じ原子あるいは同種の元素の原子どうしが結合する場合の原子間距離を的確に説明することができる。本発明においては、スパッタ膜の多くに金属を使用するので、原子半径やイオン半径による評価より共有原子価半径(Covalent Radius)による評価が適切である。
この実施の形態においては、拡散防止層の厚さを0.3〜1.5nmとしているが、0.3〜1.5nmの厚さ(原子数層程度分)のBa層10をSi膜8上に積層することで、原子1個分程度はSi膜最上部の空隙に落ち込む可能性はあるが、そのまま内部まで拡散せず、Si膜の原子間空隙に対する目止め効果を果たす。このような大きな共有原子価半径を持つ元素を拡散防止層に使用すれば、それ自身がSi層に拡散することも、引き続くMo原子の積層でMo層がSi層に拡散することも抑制することができる。
第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡によれば、拡散防止層であるBa層がSi層が有する原子間空隙に入る最大の球の半径の80%以上の共有原子価半径を有する原子により構成されているため、Si層上に拡散層が形成されるのを抑制することができる。したがって、Si層上に拡散層が形成されることによる反射率の低下を防止することができる。
なお、第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡においては、Mo/Si多層膜を形成しているが、Mo層の代わりにRu(ルテニウム)層を用いてもよい。Ru原子の共有原子価半径が0.135nmで、Moの共有原子価半径より小さいから、拡散防止層を積層しない場合にはSi膜の原子間空隙に入りやすく、Ru/Si多層膜ではMo/Si多層膜よりも拡散層ができやすい。そこで、Si層上に拡散防止層を施してからRu層を積層するとよい。また、Mo層の代わりに、Mo,Nb(ニオブ、共有原子価半径0.137nm),Ru,Rh(ロジウム、共有原子価半径0.135nm)からなる群から選ばれた少なくとも1つにより構成される層を用いてもよい。
次に、図面を参照して、この発明の第2の実施の形態にかかるEUV露光装置について説明する。図2は、第2の実施の形態にかかるEUV露光装置(縮小投影露光装置)の概略構成を示す図である。図2に示すEUV露光装置においては、光路上はすべて真空(例えば、1×10−3Pa以下)に保たれている。EUV露光装置は、光源を含む照明光学系ILを備えている。照明光学系ILから射出されたEUV光(一般的には波長5〜20nmを指し、具体的には波長13nm、11nmが用いられる。)は、折り返しミラー301により反射され、パターンが形成されているレチクル302上を照射する。
レチクル302は、反射型のレチクルであり、レチクルステージ303に固定されたチャック303aに保持されている。レチクルステージ303は、走査方向に100mm以上移動可能に構成されており、走査方向と直交する方向及び光軸方向に微小移動可能に構成されている。レチクルステージ303の走査方向及び走査方向に直交する方向の位置は図示しないレーザ干渉計により高精度に制御され、光軸方向の位置はレチクルフォーカス送光系304とレチクルフォーカス受光系305からなるレチクルフォーカスセンサにより制御されている。
レチクル302にはEUV光を反射する多層膜(例えば、モリブデン(Mo)/シリコン(Si)やモリブデン(Mo)/ベリリウム(Be))が成膜されており、この多層膜の上の吸収層(例えば、ニッケル(Ni)やアルミニウム(Al))によりパターニングされている。レチクル302により反射されたEUV光は、光学鏡筒314内に入射する。
光学鏡筒314内には、複数(この実施の形態においては4つ)のミラー306,307,308,309が設置されている。これらのミラー306〜309の少なくとも1つは、第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡により構成されている。なお、この実施の形態においては、投影光学系として4つのミラーを備えているが、6つまたは8つのミラーを備えるようにしてもよい。この場合には、開口数(NA)をより大きくすることができる。
光学鏡筒314内に入射したEUV光は、ミラー306により反射された後、ミラー307、ミラー308、ミラー309により順次反射され、光学鏡筒314内から射出して、ウエハ310に入射する。なお、ミラー306〜309等により構成される投影光学系の縮小倍率は、例えば1/4または1/5である。また、光学鏡筒314の近傍には、ウエハ310のアライメントを行なうオフアクシス顕微鏡315が設置されている。
ウエハ310は、ウエハステージ311に固定されたチャック311a上に保持されている。ウエハステージ311は、光軸と直交する面内に設置されており、光軸と直交する面内に例えば300〜400mm移動可能に構成されている。また、ウエハステージ311は、光軸方向にも微小移動可能に構成されている。ウエハステージ311の光軸方向の位置は、ウエハオートフォーカス送光系312とウエハオートフォーカス受光系313からなるウエハオートフォーカスセンサにより制御されている。ウエハステージ311の光軸と直交する面内における位置は、図示しないレーザ干渉計により高精度に制御されている。
露光時には、レチクルステージ303とウエハステージ311は、投影光学系の縮小倍率と同一の速度比、例えば、(レチクルステージ303の移動速度):(ウエハステージ311の移動速度)=4:1または5:1で同期走査する。
この第2の実施の形態にかかるEUV露光装置によれば、投影光学系を構成するミラーの少なくとも1つが第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡により構成されているため、拡散層の形成による反射率低下が生じない高精度な面形状を有する光学系により良好な露光を行なうことができる。
なお、第2の実施の形態においては、ミラー306〜309の少なくとも1つが第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡により構成されているが、照明光学系ILに含まれるミラー、折り返しミラー301、レチクル302等が第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡により構成されるようにしてもよい。
実施例1では、基板上に設計周期長7nm、50層対のMo/Si多層膜を形成した。ただし、MoとSiを交互に積層するだけではなく、Si膜を形成した後に、Ba(バリウム)層を0.5nm相当だけ積層した。これは、Ba層の原子層の約2層分に相当する量である。その後、引き続きMo層を所定量だけ積層した。ここで、Ba層は、使用波長13.5nmの光に対しては、Si層と同等な光学的性質を持つため、Ba層とSi層の合計が、本来の(Ba層が無い場合の)層厚と同等になるように選択することで、反射率特性にほとんど変化を与えないように出来る。Ba層を0.5nm使用しても、理論的にはピーク波長及びピーク反射率には大きな変化を与えない。
従来、Si層上にMoを積層するとき、拡散層が約1nm形成されていたが、Ba層を拡散防止層に使用することで、SiとMoの拡散を十分抑制することができ、拡散層形成に伴って発生していた反射率劣化を回復することができた。
Si層の原子間空隙に入る最大の球の半径が約0.22nmであるため、共有原子価半径が0.145nmのMo原子は容易にSi層の空隙内部に入り込み、拡散していたが、共有原子価半径が0.198nmと大きいBaを使用することでSi層空隙の目止め効果を果たし、Mo原子がそこに入り込むのを防止できた。
実施例2では、基板上に設計周期長7nm、50層対のMo/Si多層膜を形成した。ただし、MoとSiを交互に積層するだけではなく、Si膜を形成した後に、Cs(セシウム)層を0.7nm相当だけ積層した。これは、Cs層の原子層の約2層分に相当する量である。その後、引き続くMo層を所定量だけ積層した。ここで、Cs層は、使用波長13.5nmの光に対しては、Si層と同等な光学的性質を持つため、Cs層とSi層の合計が、本来の(Cs層が無い場合の)層厚と同等になるように選択することで、反射率特性にほとんど変化を与えないようにすることが出来る。Cs層を0.7nm使用しても、理論的にはピーク波長及びピーク反射率には大きな変化を与えない。
従来、Si層上にMoを積層するとき、拡散層が約1nm形成されていたが、Cs層を拡散防止層に使用することで、SiとMoの拡散を十分抑制することができ、拡散層形成に伴って発生していた反射率劣化を回復することができた。
Si層の原子間空隙に入る最大の球の半径が約0.22nmであるため、共有原子価半径が0.145nmのMo原子は容易にSi層の空隙内部に入り込み、拡散していたが、共有原子価半径が0.225nmと大きいCsを使用することでSi層空隙の目止め効果を果たし、Mo原子がそこに入り込むのを防いだものである。
実施例3では、基板上に設計周期長0.70nm、50層対のMo合金/Si多層膜を形成した。Mo合金には、MoとNb(ニオブ)の合金を用いた。ただし、Mo合金とSiを交互に積層するのではなく、Si膜を形成した後に、Ba層を0.6nm相当だけ積層した。これは、Ba層の原子層の約2層分に相当する量である。その後、引き続くMo合金層を所定量だけ積層した。ここで、Ba層は、使用波長13.5nmの光に対しては、Si層と同等な光学的性質を持つため、Ba層とSi層の合計が、本来の(Ba層が無い場合の)層厚と同等になるように選択することで、反射率特性にほとんど変化を与えないように出来る。Ba層を0.6nm使用しても、理論的にはピーク波長及びピーク反射率には大きな変化を与えない。
従来、Si層上にMo合金を積層するときの拡散層が約1nm形成されていたのを、Ba層を拡散防止層に使用することで、SiとMo、あるいはSiとNbの拡散を十分抑制することができ、拡散層形成に伴って発生していた反射率劣化を回復することができた。
Si層の原子間空隙に入る最大の球の半径が約0.22nmであるため、共有原子価半径が0.145nmのMo原子や、共有原子価半径が0.137nmと小さいNb原子は容易にSi層の空隙内部に入り込み、拡散していたが、共有原子価半径が0.198nmと大きいBaを使用することでSi層空隙の目止め効果を果たし、Mo原子やNb原子がそこに入り込むのを防止することができた。
なお、実施例3では、MoとNbの合金を使用したが、他にも、MoとRu(ルテニウム、共有原子価半径0.126nm)、MoとRh(ロジウム、共有原子価半径0.135nm)や、さらにこれらの中から選択した組合せの合金層が使用可能である。MoとNb、Ru、Rhなどの合金層は、その表面の粗さを小さくする効果があることから、粗さ低減による反射率の向上が期待できる。
2…多層膜反射鏡、4…ガラス基板、6…Mo層、8…Si層、10…Ba層、12…Mo/Si多層膜、IL…照明光学系、302…レチクル、303…レチクルステージ、306〜309…ミラー、310…ウエハ、311…ウエハステージ。
Claims (5)
- 基板表面にMoを主成分とする層とSiを主成分とする層を交互に周期的に成膜し、前記Siを主成分とする層上に拡散防止層を形成した構造を有するMo/Si多層膜を備える多層膜反射鏡であって、
前記拡散防止層は、前記Siを主成分とする層が有する原子間空隙に入る最大の球の半径の80%以上の共有原子価半径を有する原子により構成されることを特徴とする多層膜反射鏡。 - 前記拡散防止層は、Cs、Rb、Ba、K及びSrからなる群から選ばれた少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の多層膜反射鏡。
- 前記拡散防止層は、0.3〜1.5nmの厚さを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の多層膜反射鏡。
- 前記Moを主成分とする層に代えて、Mo,Nb,Ru及びRhからなる群から選ばれた少なくとも1つにより構成される層を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の多層膜反射鏡。
- 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の多層膜反射鏡を光学系の少なくとも一部に備えることを特徴とする露光装置。
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