以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
<写真処理システムの全体構成>
図1は、本発明に係る画像形成装置Aを備えた写真処理システムの構成を示す部分断面図である。この図1に示す写真処理システムは、画像データを取得し、この画像データに基づいてペーパーP(感光材に相当)の乳剤面(画像形成面に
相当)に画像を焼付露光し、写真プリントを作成する機能を備えている。この写真処理システムは、現像済みの写真フィルムに形成されているコマ画像をスキャニングし、画像データを取得するためのフィルムスキャナー(図示省略)や、デジタルカメラ用の記憶メディアや、その他の記録媒体に格納されている画像データを読み取るためのメディア読取部(図示省略)を備えている。
図1に示すペーパーマガジン50,60には、それぞれ、ペーパーPがロール状に巻かれたロール状ペーパーPとして収容されており、該ペーパーマガジン50,60は、画像形成装置A本体に設けた後述のマガジン台72,73にそれぞれ着脱可能に取り付けられている。そして、該画像形成装置A本体に取り付けられた2台のペーパーマガジン50,60のうち、一方のペーパーマガジン50(又は60)がプリントサイズ等に応じて選択され、該選択された方のペーパーマガジン50(又は60)から引き出されたペーパーPが、所定の搬送経路に沿って搬送されるようになっている。すなわち、ペーパーマガジン50(又は60)から引き出されたペーパーPは、アドバンスローラユニット4により方向変換され、ペーパーカッター5により、所定のプリントサイズに切断される。そして、切断されたペーパーPは、搬送ユニット6によって、下流側に位置する露光エンジン7へと搬送される。
上記露光エンジン7には、上流側露光搬送ローラ9a及び下流側露光搬送ローラ9bが設けられている。これらの露光搬送ローラ9a,9bの間には、ペーパーPをレーザー光によって露光処理するための露光位置が設定されている。露光搬送ローラ9の上流側には、ペーパー検出センサー10が設けられており、ペーパーPが送り込まれてくると、その先端(前端)部分を検出して信号を出力するようになっている。このペーパー検出センサー10は、赤外光を出力する発光素子と、これを受光する受光素子とにより構成される。このペーパー検出センサー10によってペーパーPの位置を検出することで、上記露光位置における露光開始タイミングを決めることができる。
上記露光エンジン7は、公知の構造からなるもので、レーザー光源(レーザーダイオード等)から出力されるレーザー光を画像データに基づいて光変調し、この光変調されたレーザー光をペーパーPに照射することで、画像露光を行う。画像露光を行う際には、ペーパーPは、露光搬送ローラ9a,9bにより挟持された状態で、所定速度(一定速度)で搬送される。上記レーザー光は、ペーパーPの搬送方向(副走査方向)と直交する主走査方向に走査されるため、ペーパーP上には1ラインごとに画像(潜像)が焼付露光される。
そして、上述のような画像露光が行われながら、ペーパーPは、下流側の露光搬送ローラ9bによって露光位置よりも下流側へ送り出されていく。上記露光エンジン7の下流側には、第1搬送ユニット11が設けられている。詳しくは後述するが、第1搬送ユニット11は、所定の回転軸芯まわりに回転可能に設けられていて、下流側の露光搬送ローラ9bにより受け渡されたペーパーPを、更に第2搬送ユニット12に受け渡す機能を備えている。該第2搬送ユニット12は、搬送経路に沿うように配置された複数の挟持搬送ローラ対12aと、搬送経路を形成するためのガイド板12bとを備えており、搬送ローラ対12aは図示しない駆動機構によって駆動されるように構成されている。
また、上記露光エンジン7の下流側(図1において露光エンジン7の左側)には、ペーパーPを一時的に収容するための収容空間部Sが設けられている。すなわち、露光位置から現像処理部までの距離よりもペーパーPの長さが長いと露光中に現像処理部に該ペーパーPが入ることになり、該現像処理部での処理によって発生する振動がペーパーPの露光部分に伝達されて露光ムラの原因となるため、上記収容空間部S内にペーパーPを収容することで露光ムラの発生を確実に防止するようにしている。
尚、詳しくは後述するように、ペーパーPの搬送方向長さに応じて上記収容空間部S内に収容する方法が異なる。以下の実施形態では、上記ペーパーPの搬送方向長さが所定値(例えば594.1mm)以上の場合について説明する。
上記収容空間部Sには、ペーパーPを巻き取るための巻き取りドラム20(挟持部材)と、この巻き取りドラム20の外周面にペーパーPを圧着して保持するための圧着ローラ21(挟持部材)とが配置されている。これらの巻き取りドラム20及び圧着ローラ21は、詳しくは後述するように、ペーパーPの搬送方向前端側を挟持するとともに、巻き取り機構8としても機能する。
上記収容空間部S内の巻き取りドラム20の下方には、上記収容空間部S内に収容されるペーパーPのたるみを検出するためのたるみ検出センサー22が設けられている。このたるみ検出センサー22は、発光素子22aと受光素子22bとによって構成され、発光素子22aから照射される光がペーパーPによって遮断されると、たるみ量が所定量よりも大きい状態であると判断される。ここで、上記発光素子22aと受光素子22bとを結ぶラインは、図4に示すように、水平線に対し傾斜するように設定されている。
<露光エンジンの構成>
次に図1における露光エンジン7の構造について図2に基づいて説明する。露光エンジン7は遮光された筐体の適所に内蔵された3原色用の3個のレーザー発生部81R、81G、81B、を有してなる。レーザー発生部81Rは例えば波長680nmのR(赤色)のレーザー光を射出する半導体レーザー(LD)で構成されている。レーザー発生部81Gは、半導体レーザーと半導体レーザーから射出されたレーザー光を例えば波長532nmのG(緑)のレーザー光に変換する第2高調波発生器(SHG)とで構成されている。レーザー発生部81Bは半導体レーザーと、半導体レーザーから射出されたレーザー光を例えば473nmのB(青色)のレーザー光に変換する第2高調波発生器(SHG)とで構成されている。レーザー発生部81R、81G、81Bの出色側には、レーザー光変調部の一例である音響光学変調素子(Acousto−Optic Modulator:以下AOMドライバと呼ぶ)82R、82G、82Bと図略の遮光用の筐体内適所に形成されたスリットがそれぞれ対応して配設されるとともに、走査光学系を構成するミラー83R,83G,83B、反射ミラー84及び入射レーザー光を所定範囲でT方向(主操作方向)に走査させるポリゴンミラー85(走査手段に相当)とが順に配置されている。ポリゴンミラー85の射出側にはfθレンズ86が配置されている。ポリゴンミラー85は矢印Z方向に回転しており、この回転により主走査方向Tに走査されたレーザー光はfθレンズ86を経て、副走査方向(主走査方向と直角方向)に搬送中のペーパーPに照射され、該ペーパーPを露光するようになっている。尚、fθレンズ86の中心軸87の方向は鉛直方向と一致している。
<マガジンの構成と配置>
次に、本発明の特徴の一つであるペーパーマガジン50(又は60)について説明する。尚ペーパーマガジン60もペーパーマガジン50と基本的構造は同じであるため、ここではペーパーマガジン50を図3に基づいて説明する。図3(a)及び(b)にペーパーマガジン50の正面図及び側面図をそれぞれ示す。以下、図3におけるY方向を上方向と定義し、図3(a)におけるペーパーマガジン上下面をそれぞれマガジン上側面、底面と呼び、左右の面をマガジン側面、紙面に平行な面をマガジン端面と呼ぶ。
ペーパーマガジン50内には、円柱状のロール芯75の回りにロール状に巻き付けられたペーパーPが収容されている。本図は、該ペーパーマガジン50内のペーパーP収容空間が該マガジン50外側の外部空間に対して遮光されている状態を示している。この状態においてペーパーマガジン50は略直方体形状をなしている。そして、該ペーパーマガジン50はマガジン本体51と開閉部52とから構成されている。該開閉部52は、ペーパーマガジン底面側の角部に該マガジン端面と垂直に設けられたヒンジ53回りに回動可能に取付支持されている。図3(a)においてペーパーマガジン50は、開閉部52を該ヒンジ52回りに半時計方向に回動させることで、該マガジン50内を遮光状態から開放状態に切り替えるように構成されている。また、マガジン両端面にはそれぞれ、作業者が該マガジンを持ち上げるための持手部として取手55が設けられている。該取手55は、図3(b)の側面図に示すようにコ字状に形成されていて、マガジン本体51の両端面にボルト54を介して取り付けられている。また、マガジン本体51には図示しない軸受部が設けれられていて、該軸受部により上記ロール上ペーパーPのロール芯75を回動可能に支持している。そして該ロール状ペーパーPは該ロール軸がマガジン両側面及びマガジン底面に対して平行になるように該軸受部に支持されている。また、ペーパーマガジン50(又は60)のマガジン長さLは、収容されるロール状ペーパーPの幅に対応した長さになるように設定されている。本実施形態においては、該マガジン長さLにより種分けされる2種類のペーパーマガジン50,60が用意されている。そして、ペーパーマガジン50には幅24インチのペーパーPが、ペーパーマガジン60には幅12インチのペーパーPがそれぞれ収容されていて、該ペーパーマガジン50(以下、幅広マガジンと呼ぶ)のマガジン長さLは24インチ幅に対応した長さに、ペーパーマガジン60(以下、幅狭マガジンと呼ぶ)のマガジン長さLは12インチ幅に対応した長さになるように設定されている。
次に上記ペーパーマガジン50,60が装填される装填部について説明する。該装填部は、図1に示すように上記画像形成装置A本体内に設けられたマガジン台72,73からなる。該画像形成装置A本体内には、ペーパーマガジン50,60が該本体内に上下方向に並べた状態で装填できるように配置空間が確保されていて、この上下の配置空間を仕切るために本体中間フレーム71が設けられている。そして幅広マガジン50は、上記本体中間フレーム71に設けられたマガジン台72(装填部に相当)に装着されていて、幅狭マガジン60は本体下部フレーム76に設けられたマガジン台73(装填部に相当)に装着されている。各マガジン台72,73のマガジン装着面は水平になるように、つまりペーパーマガジン50,60装着時の各ロール状ペーパーPの軸心が水平になるように形成されている。そして各ペーパーマガジン50,60は着脱可能なように、それぞれマガジン台72,73上を図1における紙面に垂直(以下着脱方向と呼ぶ)な方向に移動可能になっている。そしてペーパーマガジン50,60は図示しないストッパーにより装着時の着脱方向の位置決めがなされている。このとき、該ペーパーマガジン50,60は、該マガジン50,60に収容された各感光材Pの画像形成面と垂直で且つ該感光材幅方向中央を通る平面が、上記fθレンズ86の中心軸87と平行で該中心軸との距離が所定範囲内にある互いに平行な2平面間を通るように位置決めされている。ここで所定範囲内とあるのは、本実施形態においては10mm以内である。また、各マガジン台72,73には図示しないガイド部材が設けられていて、ペーパーマガジン50,60はガイド部に沿って着脱方向に移動可能になっているとともに、該ガイド部材によりペーパーマガジン50,60の横方向(図1における左右方向)の位置を規制している。尚、装填後の該ペーパーマガジン50,60は不用意に動かぬように図示しないロック機構によりロックされる。
<収容空間部の構成>
次に、図1における収容空間部S内の構成を図4に基づいて説明する。第1搬送ユニット11は、下流側露光搬送ローラ9bの更に下流側に配置されていて、挟持搬送ローラ対11aと、ガイド板11bとを備えている。この挟持搬送ローラ対11aの高さ方向位置は、露光搬送ローラ9と同じ高さ位置になるように設定されているとともに、上記ガイド板11bの上流側端部には開口部11cが形成されており、ペーパーPの受け入れが容易になっている。
上記第1搬送ユニット11は、所定の回転軸芯周りに90゜回転可能に構成されていて(図14参照)、90゜回転した状態では、第2搬送ユニット12へペーパーPを受け渡すことができるようになっている。上記第2搬送ユニット12は、複数の搬送ローラ対12aとガイド板12bとを備えており、上記第1搬送ユニット11から受け取ったペーパーPを図示しない現像処理部へと送り込む役割を果たす。
巻き取りドラム20は、回転軸芯20a周りに回転可能に構成されている。この巻き取りドラム20によりペーパーPの巻き取りを開始する前は、巻き取りドラム20の外周面と圧着ローラ21の表面とは離間していて隙間が形成された状態になっている。これにより、搬送されてくるペーパーPを上記巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間の隙間に容易に挿入することができる。
また、上記巻き取りドラム20によるペーパーPの受け入れ高さは、露光搬送ローラ9による搬送面の高さや、第1搬送ユニット11の回動前の搬送面と同じ高さになるように設定されている。これにより、露光搬送ローラ9によって送り出されるペーパーPを巻き取りドラム20側でスムーズに受け入れることができる。尚、図4に示す状態では、圧着ローラ21の軸芯は、巻き取りドラム20の軸芯のちょうど真上に位置している。
さらに、上記収容空間部S内には、巻き取り機構8を上下方向に移動させるための巻き取り移動機構13が設けられており、巻き取り機構8全体を露光エンジン7の露光位置に近い上方の第1位置(図4の位置)から、露光位置から遠ざかる下方の第2位置(図11の位置)へと移動させることができる。詳しくは、上記巻き取り移動機構13は、上下方向に延びるガイド部材13aと、巻き取り機構8を該ガイド部材13aに沿って移動させるためのタイミングベルト13bとを備えているとともに、このタイミングベルト13bには巻き取り機構8を支持するための支持体15が固定されていて、該タイミングベルト13bを図示しないモータ等によって駆動させることで巻き取り機構8を上下動させることができるようになっている。尚、上記支持体15には、巻き取りドラム20を回転駆動するためのドラム駆動手段(モーターや減速機構など)が搭載されている。
ここで、上記収容空間部Sは、現像処理部と隣接していて、壁面14によって仕切られているが、上記巻き取りドラム20にペーパーPを巻き取った状態で上下動させる場合、ペーパーPが該壁面14をこすらないようにするのが好ましい。これに対して、上記収容空間部Sを大きくすれば、壁面14とペーパーPとのこすれを解消することはできるが、装置全体が大きくなるという問題点がある。そこで、上記巻き取り移動機構13を、図4に示すように、巻き取り機構8が斜め下方に移動するように構成する。具体的には、上記巻き取り移動機構13は、巻き取り機構8が下方に下がるほど壁面14から遠ざかる方向に移動するように構成されている。これにより、ペーパーPが壁面14をこすることなく巻き取り機構8は収容空間部S内の下方に向かって移動することができる。
尚、詳しくは後述するが、上記巻き取り機構8を巻き取り移動機構13によって下方に移動させた後、ペーパーPに所定以上のたるみが生じた場合には、該巻き取り機構8によってペーパーPを巻き取るようにしている。このように、或る程度、たるみを持たせることで、ペーパーPの露光されている部分に大きな振動や負荷変動を伝えることなく、ペーパーPを巻き取ることができ、露光ムラなどの発生を防止することができる。
上述のような構成の収容空間部Sや巻き取り機構8を設けることによって、以下のような効果が得られる。上記露光エンジン7による画像露光は、露光搬送ローラ9によってペーパーPを所定速度で搬送させながら行われているが、この走査露光が行われているときに、搬送方向先端側で例えば現像処理等が行われると、ペーパーPに大きな振動や負荷変動が生じたり、潜像進行の時間を十分に確保できなかったりして、ペーパーPに形成される画像の画質が低下する。これに対して、上述のように、露光搬送ローラ9bにより送り出されるペーパーPを露光完了まで上記収容空間部S内に一時的に収容することで、ペーパーPに大きな振動や負荷変動が生じないようにすることができるとともに、潜像進行のための時間も十分に確保することができる。
しかも、搬送方向の長さが長い長尺のペーパーを収容空間部S内に収容しようとすると、大きな収容スペースが必要になるが、上述のような巻き取り機構8を設けてペーパーPを巻き取ることによって収容空間部Sのスペースを小さくすることができ、装置全体の大型化を防止することができる。
<巻き取り機構の構成>
次に、巻き取り機構8を構成する巻き取りドラム20及び圧着ローラ21の詳細構成を図5に基づいて説明する。また、該圧着ローラ21を圧着方向に移動させるためのカム機構(ローラ間隔変更手段に相当)については、図6に示す。
上記巻き取りドラム20は、固定軸200の周りに回転可能に構成されている。該巻き取りドラム20は、樹脂製であり、その外周面上にペーパーPが巻き取られるようになっている。上記巻き取りドラム20の軸方向両端部には、圧着ローラ21を圧着方向に付勢するためのコイルスプリング24を掛ける円周溝202が設けられていて、該巻き取りドラム20の軸方向両端部のうち一方の端部の円周溝202よりも端側には、巻き取りドラム20を回転させるための連結ギヤ201が設けられている。
上記圧着ローラ21は、巻き取りドラム20の軸線に対して略平行に配置されるローラ支軸210と、このローラ支軸210の外周面を覆うように軸方向に複数個並んで設けられる樹脂製の支軸211,211,…と、更にこの各支軸211の表面にそれぞれ取り付けられる後述の圧着部材212,212,…(外周部に相当)と、を備えている。尚、上記ローラ軸210には、支軸211,211,…が該ローラ支軸210に対して軸方向に移動するのを防止するためのEリング213が嵌合されている。
上記ローラ支軸210の軸方向両端部には、上記コイルスプリング24を掛けるための溝部214,214が形成されている。更に、ローラ支軸210の軸方向両端部で上記溝部214,214よりも軸方向内側には、それぞれ、カム連結軸215,215が設けられていて、該各カム連結軸215が後述するカム機構のカム面203aの形状に応じて上下動することで、上記圧着ローラ21を圧着方向若しくは非圧着方向へと移動させることができるようになっている。かかる図5に示す機構によれば、巻き取りドラム20が回転すると、これに連動して圧着ローラ21も巻き取りドラム20の外周方向に沿って回転移動(固定軸200回りに回転移動)することができる。尚、圧着ローラ21自身は、ローラ支軸210を回転中心として、フリーに回転できるように軸支されている。
次に、上記圧着ローラ21を圧着方向に移動させるためのカム機構を図6に基づいて説明する。図6は、図5に示す巻き取り機構8を、カムの形成されている箇所で固定軸200に垂直な面で切断した断面図を示している。図6に示すように、カム部材203は、クラッチ部材204を介して固定軸200に対して結合されている。該カム部材203は、カム面203aを有しており、先ほど説明したコイルスプリング24の付勢力により、カム連結軸215の先端215aがカム面203aに常時接触するようになっている。
上記カム面203aは、図6に示すように、カム部材203の外周面上のθ=210゜の範囲に形成されているため、カム連結軸215(圧着ローラ21)がカム部材203に対して回転移動できる範囲も210゜となる。そして、このカム面203aの周方向両端には、第1壁面203b及び第2壁面203cが形成されていて、カム連結軸215が該カム面203a上を相対移動すると、該カム連結軸215がこれらの壁面203b,203cに当接して位置決めされる。
図6(a)は、圧着ローラ21と巻き取りドラム20との間に隙間が形成された初期状態を示す図であり、図6(b)は圧着ローラ21が210゜回転し、圧着ローラ21によってペーパーPが圧着された状態を示す図である。このように、巻き取りドラム20を210゜回転させると、図6(b)の状態となるが、更に巻き取りドラム20を回転させると、カム連結軸215が第2壁面203cに当接して、強制的にカム部材203も一緒に固定軸200回りに回転させることになる。このとき、クラッチ部材204には摩擦すべりが生じている状態である。すなわち、上記クラッチ部材204を設けることで、圧着ローラ21をカム部材203によって規制される範囲(210゜)以上に回転させることが可能になる。
<圧着部材>
次に、本願発明の特徴部分の一つである圧着部材212の材質について以下で詳しく説明する。すなわち、上記圧着部材212は、スポンジ等のように弾性を有する発泡部材(例えば発泡ウレタン等)により形成されていて、巻き取りドラム20の外周面との間でペーパーPを挟持する際に容易に弾性変形を生じるようになっている。これにより、ペーパーPを巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間で挟持する際には、該ペーパーPに対して大きな振動や負荷変動が加わるのを防止することができる。従って、上記巻き取りドラム20と圧着ローラ21とによって、露光処理中にペーパーPの搬送方向先端側を挟持した場合でも、該ペーパーPに大きな振動や負荷変動が作用して露光ムラが生じるのを防止することができる。
ここで、上記圧着ローラ21は、上述のように、軸方向両端に掛けられたコイルスプリング24によって巻き取りドラム20に対して圧着されるようになっているため、軸方向中央部では圧着方向に力を受けずに浮いた状態になり、該圧着ローラ21は弓状に変形を生じることになる。これに対して、上述のように上記圧着ローラ21を発泡部材によって構成すれば、該圧着ローラ21の軸方向両端部は大きく弾性変形を生じるだけで、軸方向中央部で浮くことはなく、ペーパーPを巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間で挟持することが可能になる。これにより、上記巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間にペーパーPを挟持する際に、該ペーパーPにしわや負荷変動等が生じるのを防止することができ、露光ムラの発生を確実に防止することができる。
尚、上述の場合、上記巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間の圧着力の分布は軸方向で異なっているが、本実施形態では該巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間にペーパーPを挟持しているだけであり、該巻き取りドラム20と圧着ローラ21とによってペーパーPの搬送を行うことはないので、圧着力の不均衡によってペーパーPが蛇行する等の不具合も生じない。
上記圧着部材212は、発泡部材に限らず、例えばゴム材料などのように、ペーパーPを挟持する際に該ペーパーPに振動や負荷変動を与えないように弾性変形を生じるものであればどのようなものであってもよい。
また、上記圧着部材212の外周面は、巻き取りドラム20との間にペーパーPを挟持する際の抵抗を少なくするために低摩擦状態であるのが好ましい。こうすることで、ペーパーPが巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間に挟持される際に、該圧着ローラ21とペーパーPとの摩擦抵抗が小さくなるので、該ペーパーPに与える振動や負荷変動を効果的に低減することができる。
ここで、低摩擦状態とはペーパーPに対する摩擦係数が0.5以下であることを意味している。尚、この摩擦係数の値は、雰囲気温度25℃の大気中において、圧着部材212と同じ材料からなる直方体状の部材をペーパー上で略水平方向に滑らせた場合の最大摩擦力と垂直抗力との関係から求められる。具体的には、垂直抗力を変化させた場合のそれぞれの最大摩擦力を計測し、それらの値から算出される摩擦係数を平均化した。
<制御ブロック図>
次に、画像形成装置Aの制御ブロック構成を図7に基づいて説明する。この図7において、ペーパー先端検出手段30は、ペーパー検出センサー10からの出力信号によってペーパーPの先端(前端)を検出して、ペーパーPが到来したことを検出するものである。また、ペーパーPの先端が検出されるタイミングによって、現在、ペーパーPが下流側のどの位置にあるかを認識することもできる。ローラ駆動手段31は、露光搬送ローラ9を駆動するため駆動機構や駆動回路等により構成される。さらに、搬送量検出手段32は、露光搬送ローラ9の回転量を検出することで、ペーパーPの搬送量を検出するように構成されている。すなわち、露光搬送ローラ9は、一定速度で回転するように制御されているため、エンコーダ等により搬送量をモニターすることができる。
ペーパー位置検出部33は、上記ペーパー先端検出手段30により検出されたペーパーPの先端位置と、上記搬送量検出手段32により検出されたペーパーPの搬送量とに基づいて、ペーパーPの種々の位置を演算して求める機能を有する。具体的には、上記ペーパー位置検出部33は、露光開始タイミング検出手段33a、ペーパー後端脱出検出手段33b及び挿入検出手段33c(挿入判定手段)を備えている。
上記露光開始タイミング検出手段33aは、ペーパー先端検出手段30によって検出されたペーパーPの先端位置に基づいてレーザー光による露光開始タイミングを検出するように構成されている。すなわち、ペーパー検出センサー10の位置及びレーザー光による露光位置は、設計的に定まっているため、ペーパーPの先端位置が分かれば上記露光開始タイミング検出手段33aによって露光位置における露光開始タイミングを演算することができる。上記ペーパー後端脱出検出手段33bは、画像の焼付露光が完了したペーパーPの後端が、下流側の露光搬送ローラ9bから脱出したことを検出するためのものである。上記挿入検出手段33cは、ペーパーPの先端が巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間の隙間に挿入されたことを検出するためのものである。この隙間への挿入量は通常、20mm程度だが、この挿入量は適宜設定することができる。
露光制御部34は、露光開始タイミング検出手段33aによる露光タイミングの演算結果に基づいてレーザー光による画像露光を開始するように構成されている。これにより、ペーパーPの乳剤面に画像データにより光変調されたレーザー光を走査して、潜像を形成することができる。
第1搬送ユニット駆動部35は、第1搬送ユニット11を駆動するための機構を有する。具体的には、上記第1搬送ユニット駆動部35は、搬送ローラ対11aを圧着状態と非圧着状態とに切り替えるための圧着駆動手段35aと、第1搬送ユニット11の全体を90゜回転させて水平状態と垂直状態とに切り替えるためのユニット回転手段35bと、搬送ローラ対11aを回転駆動させるローラ駆動手段35cと、を備えている。ここで、上記圧着駆動手段35aは、露光エンジン7により画像露光が行われているときは、搬送ローラ対11aを非圧着状態とし、ペーパーPに負荷が作用しないようにする。
第2搬送ユニット駆動部36は、第2搬送ユニット12を駆動するための機構を有するもので、搬送ローラ対12aを回転駆動させるローラ駆動手段36aを備えている。
搬送ユニット駆動制御手段37は、第1搬送ユニット11及び第2搬送ユニット12の駆動制御を行うように構成されている。例えば、ペーパー位置検出部33によってペーパーPの後端が露光搬送ローラ9bから脱出したことが検出された場合には、搬送ローラ対11aを圧着状態に切り替える。
プリントサイズ設定手段40には、画像露光されるペーパーPのプリントサイズのデータが設定記憶される。そして、このプリントサイズ設定手段40に記憶されているプリントサイズデータに基づいて巻き取り移動機構13に対する制御や巻き取りドラム20に対する制御が行われる。例えば、ペーパーPの長さが所定長さ(本実施形態では430.1mm)よりも短い場合には、巻き取り機構8によるペーパーPの圧着は行わないようにする。
たるみ量検出手段41は、たるみ検出センサー22からの出力信号に基づいて、たるみ量が所定量以上かどうかを検出するように構成されている。ドラム駆動手段42は、巻き取りドラム20を回転駆動するための機構を備えている。回転量検出手段43は、巻き取りドラム20の回転量を検出できるように構成されている。例えば、巻き取りドラム20に連動して回転するエンコーダにより、回転量をモニターすることができるようになっている。
ドラム回転制御手段44は、巻き取りドラム20の回転駆動制御を行う機能を有する。このドラム回転制御手段44は、挿入検出手段33cによるペーパーPの先端挿入の検出や、プリントサイズ設定手段40に記憶・設定されているプリントサイズのデータなどに基づいて、巻き取りドラム20の回転及び停止制御を行う。
巻き取り制御手段45は、巻き取り移動機構13の駆動制御を行う。例えば、回転量検出手段43により圧着ローラ21による圧着動作が完了(θ=210゜回転)したことを検出すると、巻き取りドラム20を第1位置から第2位置へ移動させるように制御する。また、長さの短いペーパーPの場合は、巻き取り機構8による巻き取り動作を行わないため、巻き取りドラム20を一番下の第2位置に逃がしておくようにする。また、中間の長さのペーパーPの場合には、巻き取り機構8によるペーパーPの圧着は行うが、たるみ検出センサー22によるたるみ量の検出は行わないため、巻き取りドラム20を第1位置と第2位置の中間位置(第3位置)まで移動させるように制御する。このように、巻き取り制御手段45は、ペーパーPの搬送方向の長さに応じて巻き取り移動機構13に対する制御を変更するように構成されている。尚、ペーパーPの長さ寸法に関する情報は、上記プリントサイズ設定手段40から得ることができる。
ここで、図7に示す制御ブロックは、コンピュータソフトウェアやハードウェアの機能により構築することができる。どの機能をソフトウェアで実現し、どの機能をハードウェアにより実現するかについては、ペーパー処理の能力等に応じて適宜決めることができる。
<巻き取り機構の動作>
次に、ペーパーPに対して画像露光を行ってから現像処理部へ送り出すまでの動作について、図8A,8Bのフローチャート及び図4、図9〜図14により説明する。尚、プリントサイズ設定手段40には、巻き取り機構8を第2位置まで下降させる必要がある長さのプリントサイズが設定されているものとする。
まず、所定のプリントサイズに切断されたペーパーPの先端がペーパー検出センサー10及びペーパー先端検出手段30により検出される(ステップST1)。ペーパーPの先端が検出されてから所定タイミングが経過して、露光開始タイミング検出手段33aによって露光開始のタイミングであることが検出された後、露光制御部34によってペーパーPの乳剤面に対してレーザー光が走査露光され、画像が形成されていく(ステップST2)。
このようにレーザー光による走査露光が行われながら、ペーパーPは露光搬送ローラ9により下流側に向かって搬送されて、ペーパーPの先端は、第1搬送ユニット11のガイド板11bを通過する。このとき、第1搬送ユニット11の搬送ローラ対11aは圧着が解除された状態であるため、ペーパーPに大きな負荷が作用することなく、該ペーパーPは第1搬送ユニット11の位置を通過することができる。
巻き取りドラム20は、予め図4に示すような第1位置に設定されているため、上述のように第1搬送ユニット11を通過したペーパーPは、そのまま巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間の隙間に向かって搬送される。そして、ペーパーPの先端位置は、ペーパー検出センサー10による検出結果とペーパーPの搬送量とに基づいてペーパー位置検出部33により演算され、この演算結果から挿入検出手段33cによってペーパーPの先端が巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間の隙間に挿入されたか否かを判断する(ステップST3)。尚、本実施形態では、露光位置前に設けられた上記ペーパー検出センサー10によってペーパーPの先端を検出して、この検出結果と該パーパーPの搬送量とに基づいて該ぺーパーPの先端位置を演算することで、巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間にペーパーPの先端が挿入されたことを検出するようにしているが、この限りではなく、該巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間への挿入量を直接検出できるようにセンサー等を設けるようにしてもよい。
上記挿入検出手段33cによりペーパーPの先端が巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間の隙間内に挿入されたことが検出された場合(ステップST3においてYESの場合)、巻き取りドラム20の回転を開始する(ステップST4)。図4は、ペーパーPの先端が上記隙間内に挿入された直後の状態を示している。そして、巻き取りドラム20は、図4において反時計方向に回転すると共に、圧着ローラ21も同様に回転軸芯20a周りに回転する。その後、上述したカム機構によって圧着ローラ21と巻き取りドラム20との間の隙間は徐々に狭くなっていき、圧着ローラ21は圧着方向に移動することになる。
このとき、上記ペーパーPの搬送方向後方側では、レーザー光による走査露光が行われている。すなわち、露光中のペーパーPの搬送方向先端側が巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間に挟持されることになる。このように、露光中であっても長尺のペーパーPの搬送方向前方側を挟持することで、狭い空間内でも、該ペーパーPの搬送方向を容易に変更したり、巻き取りドラム20に巻き付けたりすることができるようになるため、ペーパーPの長さに応じて収容空間部Sを大きくすることなく露光ムラの発生を十分に防止できるような露光後バッファを確保することができる。従って、装置全体の大型化を防止しつつ長尺プリントを行うことができる。
そして、上記巻き取りドラム20が所定量(図の例では210゜)回転したかどうか判定し(ステップST5)、所定量回転したと判定された場合(ステップST5でYESの場合)には、巻き取りドラム20の回転を停止する(ステップST6)。この回転量の検出は回転量検出手段43により行う。図9は、巻き取りドラム20の回転が停止した直後の状態を示す図である。ここで、巻き取りドラム20の回転速度は、その周速度が露光搬送ローラ9によるペーパーPの送り速度とほぼ同一になるように設定されている。このように巻き取りドラム20の回転速度に設定することで、ペーパーPに対して大きな負荷変動が作用することなく、できる限り速い速度でペーパーPを巻き取ることができる。尚、巻き取りドラム20の回転をペーパーPの送り速度に対して少し遅くすれば、若干のたるみを持たせて巻き取りを行うことができるため、ペーパーPに負荷変動が生じるのをより確実に防止することができる。
上記ステップST6で巻き取りドラム20の回転を停止した後、巻き取り制御手段45によって巻き取り移動機構13を駆動させて、巻き取り機構8を第1位置から第2位置へと下降させる(ステップST7)。尚、ステップST6、ST7については、ほぼ同時に行なうようにしてもよい。例えば、巻き取りドラム20が停止する直前に、巻き取り機構8の下方への移動を開始してもよい。
ここで、上述のような巻き取り機構8の下方への移動は、ペーパーPが収容空間部S内へ送り込まれてくる速度よりも遅くなるように設定されるのが好ましい。これにより、ペーパーPに対して大きな負荷変動を与えなくて済む。図10は、巻き取りドラム20が第1位置と第2位置との中間位置(第3位置)まで移動した状態を示している。この図10では、巻き取りドラム20の下降速度が遅いため、巻き取りドラム20と第1搬送ユニット11との間のペーパーP部分には、たるみが生じ始めている。図11は、巻き取りドラム20が第2位置まで下降完了した状態を示している。
上述のように巻き取りドラム20の回転を停止して該巻き取りドラム20を第2位置へ移動した後も、ペーパーPは露光搬送ローラ9により収容空間部S内に送り込まれてくる。このとき、ペーパー後端脱出検出手段33bによってペーパーPの後端が第1搬送ユニット11に到達したか否かを判断する(ステップST8)。ペーパーPの後端が到達していると判定されれば(ステップST8でYESの場合)、ステップST15へ移行する。一方、ステップST8で後端が到達していないと判定されれば(NOの場合)、ペーパーPが送り込まれることで徐々にたるみが大きくなるため、図12に示すように、発光素子22aからの光がペーパーPのたるみで遮断される状態となる(ステップST9)。このとき、たるみが大きくなったとしても、巻き取りドラム20は斜め下方に壁面14から遠ざかる方向に移動するため、ペーパーPは壁面14をこすらない状態でたるみが発生する。
ここで、第1搬送ユニット11にペーパーPの後端が到達した状態とは、挟持搬送ローラ対11aよりもペーパーPの後端が少し上流側に突出した状態として定義される。この突出量については、適宜設定することができる。
図12の状態になると、たるみ量検出手段41により所定量以上のたるみが生じたものと判断し(ステップST9でYESの場合)、巻き取りドラム20を再び回転させる(ステップST10)。この巻き取りドラム20の回転は、先ほどのステップST4における回転駆動よりも高速で行われる。これは、大きくなりすぎたたるみを早期に解消するためである。巻き取りドラム20の回転により、発光素子22aの光の遮断状態が解消され、たるみ量が所定量以下になったと判断された場合(ステップST11でYESの場合)、再び巻き取りドラム20を停止させる(ステップST12)。その後、ステップST8へ戻り、ペーパーPの後端が第1搬送ユニット11に到達したか否かを判断する。
たるみ量が所定量以下でない場合(ステップST11でNOの場合)には、一旦ステップST13に移行して、ステップST8と同じ判定を行う。ペーパー後端が第1搬送ユニット11に到達していなければ(ステップST13でNOの場合)、ステップST11に戻り、再びたるみ量のモニターを行う。一方、ペーパー後端が第1搬送ユニット11に到達していれば(ステップST13でYESの場合)、巻き取りドラム20の回転を停止する(ステップST14)。図13は、図12の状態から更に巻き取りドラム20が回転した状態を示しているが、圧着ローラ21は210゜以上回転していることから、クラッチ部材214がすべっている状態である。
以上のような巻き取りドラム20の回転及び停止の制御は、ドラム回転制御手段44の機能に基づいて行われる。そして、たるみ検出センサー22によってたるみ量を検出して、そのたるみ量に基づいて巻き取りドラム20の回転制御を行うことで、巻き取りドラム20は回転及び停止を繰り返す間歇駆動制御が行われることになる。この回転及び停止を何回繰り返すかについては、プリントサイズにより決まる。
ペーパーPの後端が第1搬送ユニット11に到達し、且つ巻き取りドラム20の回転が停止すると、圧着駆動手段35aによって、第1搬送ユニット11の挟持搬送ローラ対11aは非圧着状態から圧着状態へと切り替えられる(ステップST15)。そして、図14に示すように、ユニット回転手段35bによって第1搬送ユニット11は90゜回転して垂直姿勢となる(ステップST16)。このとき、第1搬送ユニット11の搬送面と第2搬送ユニット12の搬送面とが一列に並んだ状態となる。次に、搬送ローラ対11aを回転駆動させて、ペーパーPを第2搬送ユニット12へ向かって搬送し、受け渡す(ステップST17)。この際、巻き取りドラム20は逆回転(時計回り)させる。
これにより、第2搬送ユニット12によって挟持されたペーパーPは上方に搬送され、図示しない現像処理部に送り込まれて現像処理が施される。すなわち、ペーパーPは、巻き取り機構8によりペーパーPが巻き取られる前と、第2搬送ユニット12によって搬送されるときとでは、搬送方向における先端側と後端側とが入れ替わった状態で搬送されることになる。
上述のような第2搬送ユニット12へのペーパーPの受け渡しが完了すると、次のペーパーPを受け入れるべく初期状態にセットする。すなわち、巻き取りドラム機構8を第2位置から第1位置へと上昇させると共に、圧着ローラ21も初期位置に復帰させ、次のペーパーPを受け入れ可能な状態にする。また、第1搬送ユニット11も水平状態に復帰させると共に、搬送ローラ対11aを非圧着状態にセットする。
ここで、以上の説明では、ペーパーPの搬送方向の長さが所定値(例えば594.1mm、第1の長さ)以上のプリントサイズの場合の搬送方法について説明したが、ペーパーPの長さが上記所定値以下の場合には、その長さに応じて次のような2通りの動作を行う。
すなわち、サービスサイズのようにペーパーPの搬送方向長さが所定長さよりも短い場合(例えば430.1mmよりも短い場合、第2の長さ)は、該ペーパーPを巻き取りドラム20で巻き取る必要がないため、巻き取り機構8を最初から第2位置へと移動させておく。これにより、露光エンジン7により画像露光されたペーパーPは、第1搬送ユニット11により直ちに方向変換され、第2搬送ユニット12へと受け渡しされる。その結果、ペーパーPに加わる負荷をより確実に低減することができる。
一方、ペーパーPの長さが第1の長さと第2の長さとの中間の第3の長さ(本実施形態の例では430.1〜594.1mm)の場合には、巻き取り機構8による巻き取り動作、及び巻き取り機構8の第1位置と第2位置との中間位置(第3位置)への移動のみを行う。すなわち、図8AのステップST7において、巻き取りドラム20を中間位置まで下降させる。このとき、第3の長さのペーパーPの場合は、たるみ検出センサー22によるたるみ検出の必要がないため、たるみ検出は行わない。従って、図8A,Bにおいて、たるみ検出に関するステップを除いた動作が行われる。
以上より、本実施形態によれば、上記ペーパーマガジン50,60には取手55が設けらており、これにより作業者は各マガジン50,60を装填する際に、取手55を持ってマガジン50,60を持ち上げることができるのでマガジン装填時におけるマガジン50,60の着脱、運搬作業が容易になる。
また、幅24インチのペーパーPの該幅に対応するマガジン長さLに設定された幅広マガジン50が上側の装填部に相当するマガジン台72に装填されていて、幅12インチのペーパーPの該幅に対応するマガジン長さLに設定された幅狭マガジン60が下側の装填部に相当するマガジン台73に装填されている。これより、作業者は、幅狭マガジン60に比べて腰への負担が大きい幅広マガジン50を腰を屈めることなく上側のマガジン台72に装填することができるので肉体的負担が軽減される。
また、上記ペーパーマガジン50,60は、該マガジン50,60に収容された各感光材Pの画像形成面と垂直で且つ該感光材幅方向中央を通る平面が、上記fθレンズ86の中心軸87と平行で該中心軸との距離が所定範囲内にある互いに平行な2平面間を通るように位置決めされている。これにより、幅広マガジン50に収容されるペーパーP及び幅狭マガジン60に収容されるペーパーPの双方ともに画像の濃度ムラや画像の伸び縮みの少ない画像を得ることができる。
そして、上記画像形成装置A本体は、幅12インチのペーパーPの該幅に対応したマガジン長さLに設定されている幅狭マガジン60と幅24インチのペーパーPの該幅に対応したマガジン長さLに設定されている幅広マガジン50の2種類のペーパーマガジンが装填可能であるように構成されている。これにより、幅12インチ以下のペーパーPを収容するための幅狭マガジン60がコンパクト化されて着脱、運搬が容易になるとともに、装置本体の小型化が可能となる。
さらに、露光位置よりも搬送路下流側に、ペーパーPを巻き付ける巻き取り機構8を設けることで、露光後バッファのための大きな空間や長い搬送路を設ける必要がなくなるため、装置全体の小型化を図りつつ露光ムラを十分に防止できるような露光後バッファを確保することができる。そして、上記巻き取り機構8を巻き取りドラム20及び圧着ローラ21によって構成し、露光されているペーパーPの搬送方向先端側を両者の間に挟持するようにしたので、長尺サイズ(例えば430.1mm以上)のプリントを行う場合でも、より狭い空間内で長尺ペーパーPを巻き取りドラム20によって巻き取ることが可能になる。従って、装置全体を大型化することなく、長尺サイズのプリントを行えるようになる。
また、上記圧着ローラ21を発泡材料などの弾性材料によって形成すれば、該圧着ローラ21と巻き取りドラム20との間にペーパーPを挟み込む場合に、該圧着ローラ21が弾性変形してペーパーPに与える振動や負荷変動を軽減することができる。特に、発泡ウレタンなどの発泡材料によって構成すれば、容易に弾性変形を生じるうえ、上記圧着ローラ21の重量も軽くなるため、搬送されてくるペーパーPに対して圧着ローラが大きな抵抗になることはなく、該ペーパーPに与える振動や負荷変動を大幅に軽減することができる。
さらに、上記圧着ローラの表面を低摩擦にすれば、搬送されてくるペーパーPに対して圧着ローラの抵抗はさらに小さくなるので、該ペーパーPに与える振動や負荷変動をさらに軽減することができ、露光ムラの発生をより確実に防止することができる。
(その他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。上記実施形態では、ペーパーマガジン50,60には、該マガジン50,60を持ち上げるための持手部として取手55が設けられているが、この持手部としては、これに限ったものではなく、例えば指を掛けるための凹部などであってもよい。
また、上記実施形態では、長尺のペーパーの場合には、巻き取りドラム20及び圧着ローラ21からなる巻き取り機構8によって露光後のペーパーPを巻き取るようにしているが、この限りではなく、該巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間にペーパーPの搬送方向前端側を挟持して、該ペーパーPの搬送方向のみを変えるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、巻き取りドラム20と圧着ローラ21とによってペーパーPの搬送方向前端側を挟持するようにしているが、この限りではなく、ペーパーPの露光中に該ペーパーPの搬送方向前端側を挟持するような構成であれば、ローラ以外のものであってもよい。
また、上記実施形態では、レーザー光を用いた露光エンジン7について説明したが、この限りではなく、例えば、液晶シャッターを用いた画像露光や、インクジェットプリンタであってもよい。従って、画像を形成する媒体についても、写真感光材料だけでなく、それ以外の材料からなるペーパーであってもよい。
さらに、上記実施形態では、挿入検出手段33cは、ペーパー検出センサー10からの出力信号に基づいてペーパーPの先端が巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間の隙間に挿入されたことを検出するようにしているが、この限りではなく、ペーパーPの挿入を検出するための専用のセンサーを挿入位置の近傍に設けてもよい。また、第1搬送ユニット11へのペーパーPの後端到達の検出も、専用のセンサーを第1搬送ユニット11に設けて行うようにしてもよい。