JP2007135280A - Lcフィルタ付三相pwmインバータの制御方法、及び同方法に従って動作するインバータ装置 - Google Patents

Lcフィルタ付三相pwmインバータの制御方法、及び同方法に従って動作するインバータ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】シンプルでありながら、不平衡負荷にも対応でき、かつ出力電圧範囲を拡大可能なLCフィルタ付三相PWMインバータの制御方法、及び同方法に従って動作するインバータ装置を提供する。
【解決手段】直流電源と三相電圧型インバータと交流LCフィルタと被駆動負荷とからなる三相PWMインバータの制御方法であって、三相の内の二相のインバータ出力電圧を予め定められた任意の制御側に従って独立に制御し、残り一相のインバータ出力電圧については前記二相のインバータ出力により従属的に制御すると共に、さらに、前記三相電圧形インバータのu,v,w各相への規格化入力u,u,uを−1≦u’=u−d≦1(j=u、v、w)となる様に調整値dを付加して調整し、u,v,w各相への指令値を適宜同じレベルシフトさせることにより、出力電圧範囲を拡張して制御可能にする三相PWMインバータの制御方法とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、LCフィルタ付三相PWMインバータの制御方法、及び同方法に従って動作するインバータ装置に関する。
三相正弦波PWMインバータは、パルスのない正弦波電圧の印加による負荷の負担の低減による長寿命化や高調波に伴う諸問題の解決のため、出力後にLCフィルタが挿入される場合も多い。これに対しては現在、様々な制御法が工夫され、公表されている。
三相インバータは、出力の参照波形が正弦波状に変化するためこれにいかに追従させるかという点においては単相の場合の課題と同じである。しかしながら、三相のインバータ出力電圧は一意的には定まらず、自由度2の相対的なものであって、これで三相を制御することに工夫を要する。
ここで、単相PWMインバータの制御法に関しては、LCフィルタ出力後の電圧を正弦波追従ディジタル制御する方法が既に知られている(非特許文献1参照)。これは、内部モデル原理(美田勉他、「基礎ディジタル制御」、コロナ社、参照)に基づいてディジタル補償器を構成するもので基準波形が正弦波状に変化することを考慮しているため、応答性が速く定常誤差が少ないという特徴がある。
本発明は三相PWMインバータの制御法に係るものであるが、後記の通りそれは単相形のものを基にしているため、以下本発明を説明するに当たっての前提として、図7(a)に示すフルブリッジ形の単相PWMインバータ回路のディジタル制御系について考える。各回路のパラメータは、電源、リアクトル、コンデンサ、負荷抵抗の値をそれぞれE,L,C,Rとする。ここで、LCフィルタのコンデンサの電圧をv、電流をiとおいてこれらを状態変数xとし、連続系の状態方程式を立て、これより、サンプリング周期をTとしたサンプル点t=iTにおける離散系の状態方程式は次のようになる。
x[i+1]=Ax[i]+bu[i]、 y[i]=cx[i] (1)
ここで、制御入力はu[i]、出力はy[i]である。また各係数A,b,cは次の式により離散化できる。
Figure 2007135280

ただし、A,b,cは連続系パラメータであって、次式となる。
Figure 2007135280
また、PWMインバータのディジタル制御系の直列補償器を、内部モデル原理を用いて構成すると、図7(b)に示すように制御対象の伝達関数をG[z]、補償器の伝達関数をC[z]とし、さらに、目標基準入力をYref[z]、出力をY[z]として、入出力の誤差E[z]が0となるような制御系が構成される。内部モデル原理によれば、制御対象の出力が目標入力に定常偏差なく追従するために閉ループ内に目標入力の発生モデルを含ませなければならず、その結果、補償器の分母は目標入力のものとなる。そのため、出力正弦波の角周波数をωとすると、Yref[z]に基づく補償器の伝達特性C[z]は次式となる。
ref[z]=(N[z]/D[z])
=zsinωT/(z−2cosωT+1) (3)
C[z]=(N[z]/D[z])
=((kz+k)/(z−2cosωT+1)) (4)
ただしk,kは補償器のゲインとする。
さらに、前述したインバータ部に導出補償器部を加えた拡大ディジタル制御系の様子は、図7(c)に示される。この拡大ディジタル制御系の状態方程式を求めると、状態変数は、x[i]と補償器内の変数z[i]、z[i+2]になる。またインバータには、状態フィードバックfが加わる。このとき、入力u[i]およびz[i+2]は次式で表わされる。
u[i]= −fx[i]+kz[i]+kz[i+1]
z[i+2]= −z[i]+2cosωTz[i+1] (5)
+(yref[i]−y[i])
すると拡大制御系の状態方程式は次式となる。
Figure 2007135280
以上に示す様な単相形PWMインバータを基本にして、本発明が対象とするLCフィルタ付三相PWMインバータの制御原理を導出することも、回路パラメータその他の条件次第では検討の余地があり得る。
しかしながら、従来知られた三相インバータの制御法は、特許文献1に開示される様に、PWMインバータの出力量を三相/二相変換するもの等、何れも複雑な手順を経るものばかりであり、簡便な制御法が提供されていなかった。
さらに、これまで、平衡負荷以外に不平衡負荷にも対応でき、かつ出力電圧範囲を拡大可能なLCフィルタ付三相インバータの簡単な制御法は提供されていなかった。
加藤、喜多:「PWMインバータの正弦波追従最適ディジタル制御法」、平成15年電気学会全国大会、No.4−093、2003年 特開平7−7959号公報
従って本発明は、上記課題を解決し、簡単でありながら、不平衡負荷にも対応でき、かつ出力電圧範囲を拡大可能なLCフィルタ付三相PWMインバータの制御方法、及び同方法に従って動作するインバータ装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく種々検討を行った結果、本発明者は、例えば上記特許文献1に開示されている様に、一旦三相から二相(α−β)に変換して演算を行った後、逆変換してu,v,w各相の指令値を決定する様な、従来知られた複雑な三相インバータの制御法に代え、
i) u,v,w各相の指令値を、元のu,v,w相から直接決定する構成とすると共に、
ii) u,v,w各相への指令値を、以下に詳述する態様で適宜同じレベルシフトさせる構成とすることによって上記課題を悉く解決可能なことを見い出し、本発明を完成した。
具体的には、本発明は、[非特許文献1]に開示及び上記背景技術の項で示された単相形の制御原理を三相形PWMインバータの場合に発展させ、さらに、その出力電圧範囲を拡張させる構成を採るものである。その三相形の原理は、LCフィルタの各素子の値が全相で同一であるとすると中性点電位はバランスされてゼロとなり、3つの単相形の制御の組み合わせとなることによる。しかも、独立な二相の制御入力を決定すれば、他の一相はそれらより決定されることが明らかとなった。
さらに原理的には、負荷がバランスされておらず所謂不平衡(或いは非対称)負荷となっていても、フィルタのLC、すなわちリアクトル、コンデンサの値が同一であれば問題なく制御できることが明らかとなった。
上記課題を解決可能な本発明のLCフィルタ付三相PWMインバータの制御方法は、直流電源と三相電圧型インバータと交流LCフィルタと被駆動負荷とからなる三相PWMインバータの制御方法であって、三相の内の二相のインバータ出力電圧を予め定められた任意の制御側に従って独立に制御し、残り一相のインバータ出力電圧については前記二相のインバータ出力により従属的に制御すると共に、さらに、前記三相電圧形インバータのu,v,w各相への規格化入力u,u,u
−1≦u’=u−d≦1 (j=u、v、w)
となる様に調整値dを付加して調整し、u,v,w各相への指令値を適宜同じレベルシフトさせることにより、出力電圧範囲を拡張して制御可能にすることを特徴とするものである。
又本発明は、上記本発明方法に従って動作する、直流電源と三相電圧型インバータと交流LCフィルタと被駆動負荷とを含んでなるインバータ装置であって、三相の内の二相のインバータ出力電圧が予め定められた任意の制御側に従って独立に制御され、残り一相のインバータ出力電圧については前記二相のインバータ出力により従属的に制御される制御系を備え、さらに、前記制御系は、前記三相電圧形インバータのu,v,w各相への規格化入力u,u,u
−1≦u’=u−d≦1 (j=u、v、w)
となる様に調整値dを付加して調整し、u,v,w各相への指令値を適宜同じレベルシフトさせ得るアジャスタを、前記三相電圧型インバータのu,v,w各相への指令値入力部の前段に備えており、それにより、出力電圧範囲を拡張して制御し得る様に構成されていることを特徴とするものである。
ここで、交流LCフィルタは、u,v,w各相のインダクタンス及びキャパシタンスが夫々実質上同一のものから構成されていることが好ましい。
本発明によれば、簡潔なLCフィルタ付三相PWMインバータの制御方法、及び同方法に従って動作するインバータ装置を提供することが出来る。
又本発明によれば、負荷が平衡及び不平衡のいずれの場合においても制御可能であるLCフィルタ付三相PWMインバータの制御方法、及び同方法に従って動作するインバータ装置を提供することが出来る。
さらに、本発明によれば、出力電圧範囲を拡大可能なLCフィルタ付三相PWMインバータの制御方法、及び同方法に従って動作するインバータ装置を提供することが出来る。
なお、上記の不平衡或いは非対称負荷には、主としてコンデンサインプット形の整流負荷等も包含される。従って、例えば本発明で対象としている上記LCフィルタ付三相PWMインバータが無停電電源(UPS)等の主回路として用いられる場合に於いて、これに接続される負荷の中にコンデンサインプット形の整流負荷があれば、それは不平衡或いは非対称負荷となり得る。
実際、様々な電気機器や家電機器は、一旦直流に変換されてから使用されるものが多く、現在ではこのようなコンデンサインプット形の整流負荷が電源に対して数多く接続されているのが実情である。
発明を実施するための形態
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な一実施形態につき説明する。
なお以下では、上記した単相形PWMインバータを基にして、本発明で目的とするLCフィルタ付三相PWMインバータの制御原理を導出した後、本発明に係る出力電圧範囲の拡張法につき説明する。
図1は本発明の適用対象となるLCフィルタ付三相PWMインバータの構成を示す図であり、(b),(c)は、(a)に示された負荷の変形例である。図2(a)は図1に示すLCフィルタ付三相PWMインバータの電気的接続関係を簡略的に示す図であり、図2(b)は本発明手法を適用した場合における平衡負荷に対する単相等価回路を示す図、また図2(c)はその不平衡負荷に対する図2(b)の変形等価回路図である。図3は本発明の三相PWMインバータの制御系の一構成例を示す図である。図4はインバータのu、v、w各相に係る入力ゲインを連続的に表わしたときの一例を示す図であり、(a)は計算された直後のインバータの各相に係る入力ゲインの一例を示す図、(b)は本発明による(=dを付加することによる)入力ゲインの調整を行った場合の入力ゲインの一例を示す図である。図5及び図6はある時点における入力ゲインの調整値dの算出要領の一例を示すフロー図である。
[基本制御原理]
まず、上記した単相形PWMインバータを基にして、本発明で目的とするLCフィルタ付三相PWMインバータの制御原理を導出する。
図1(a)に、本発明の適用対象となるLCフィルタ付三相PWMインバータの構成を示す。本実施形態では、三相インバータINVの主回路は、それぞれダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子SWu〜SWz(例えばFET)を三相ブリッジ接続した、三相ブリッジ構成からなるものとしている。インバータINVの直流入力端子には、直流電源2からの直流電圧Eが給電される。一方、インバータのu,v,w各相交流出力端子には、フィルタリアクトルL,L,Lが直列接続されているほか、Y接続されたフィルタコンデンサC,C,Cが並列接続されており、インバータINVのu,v,w各相交流出力端と負荷(R,R,R)の間には、各相毎にLCフィルタが構成されている。従って、インバータINVのu,v,w各相の交流出力は、LCフィルタを経て負荷(R,R,R)に供給される。なお、簡単の為、以下の説明では図1に示すLCフィルタ付三相PWMインバータの電気的接続関係を簡略的に示す図2(a)を主に用いる。ここで、交流LCフィルタは、u,v,w各相のインダクタンス及びキャパシタンスが夫々実質上同一(L,C)のものから構成されているものとする。
なお、図1に示すu,v,w各相のスイッチング素子SWu〜SWzには、図4に示す入力ゲインの大きさに応じて所定のデューティー比のスイッチングパルスが与えられ、それによってインバータINVは駆動される。その様子自体は従来と同様であり、後述する通り図9に従って説明される。
本実施形態に係るLCフィルタ付三相PWMインバータの制御方法は、三相全体でとらえるのではなく、各相のフィルタコンデンサの電圧に着目して制御するものである。この方法は、簡潔であるほか、不平衡な負荷にも対応できると言う特長がある。
はじめに、図2(a)に示すLCフィルタ付三相PWMインバータにおいて、各相をu,v,wとし各回路電圧電流変数を図に示すようにとる。またフィルタコンデンサ(=C)および負荷抵抗R,R,Rの中性点電位をそれぞれvCn、vRnとおく。ここで、各相での節点およびカットセットにおいて、キルヒホッフの電流則より次式が得られる。
Lu=iCu+iRu
Lv=iCv+iRv
Lw=iCw+iRw ・・・(8)
Lu+iLv+iLw=0
Cu+iCv+iCw=0
Ru+iRv+iRw=0 ・・・(9)
ここで、各相フィルタコンデンサと負荷の電位の関係は次式となる。
Cu+vCn=RRu+vRn
Cv+vCn=RRv+vRn
Cw+vCn=RRw+vRn ・・・(10)
また各相のフィルタリアクトルとフィルタコンデンサの電位の関係、及び各相のフィルタコンデンサの素子関係式は次式で与えられる。
L(diLu/dt)=v−(vCu+vCn
L(diLv/dt)=v−(vCv+vCn
L(diLw/dt)=v−(vCw+vCn) ・・・(11)
C(dvCu/dt)=iCu
C(dvCv/dt)=iCv
C(dvCw/dt)=iCw ・・・(12)
(12)式の総和をとって積分してフィルタコンデンサ電圧の総和をとると、(9)式より各相の容量が等しいとき0となる。
Figure 2007135280

さらに、(9),(11),(13)式より次式を得る。
Cn=(v+v+v)/3 (14)
ここで、制御側を次のように定める。
+v+v=0 (15)
(15)式は、
=−(v+v) (16)
とも書ける。すなわち三相のうちの二相のインバータ出力電圧を制御すれば、残りの一相については上式により従属的に定まることとなる。そのとき、(16)式よりvCn=0で制御できる。なお後記するとおり、調整値d付加による本発明の出力電圧範囲の拡張手法を採る場合にあっては、調整値dを加えたときにvCnに変動が生じる。
(13)式より、(10)式の総和を求めると負荷抵抗R,R,Rの中性点電位は、負荷が平衡であるR=R=R=Rのときには、
Rn=vCn (17)
となり、フィルタコンデンサの中性点電位に等しいことがわかる。この場合には、三相は図2(b)に示すj=u,v,wとした3つの単相形インバータの組み合わせとして制御出来る。
しかもこの原理はフィルタのインダクタおよびキャパシタの値がすべて等しいということのみに起因しているため、負荷が平衡であるかは問わない。すなわち負荷が不平衡の場合には、vRnとvCnとが一致しないため、負荷は電流iRjを流す電流源Jで置き換えられて図2(c)として表されるものの、3つの単相形インバータの組み合わせとして同様に制御出来る。負荷が不平衡であっても制御可能となる点は、本制御原理の特長である。得られた三相PWMインバータの制御系50は、図8(a)に示すようなブロック図で表わされる。三相のうちのu相及びw相は、単相形について示す図7(b)同様、状態フィードバック(f)53を備えたインバータ52と補償器54とによって制御される。残りのv相は、図8(a)に示されるとおり、u=−(u+u)として制御される。
PWMによる変調は、従来知られている通りであり、各相に係る入力ゲインに相当する各相の正弦波状の各相信号電圧と所定の三角波とを図9(a)に示す様な関係で対比させ、それによって図9(b)に示されるような変調されたパルス列を得、これを図1(a)に示されるu,v,w各相を構成するスイッチング素子SWu〜SWzに従来知られている所定の態様(図9(b)にも例示)で与えてインバータINVを駆動する。各線間(図ではu−v間)に得られる三相PWMインバータの出力波形は図9(c)に示されるとおりであり、これをLCフィルタを通すことにより正弦波状の波形が得られる。以上はアナログ制御の例であるがディジタル制御も同様に可能であることは言うまでもない。
上記したとおり、本実施形態では、三相のうち二相のコンデンサの電圧を、基準電圧波形(例えば正弦波)に従うように独立に制御し、他の1相の電圧を、それらに対して従属的となる様に制御することを基本原則とする。すなわち、三相をそれぞれu,v,wとし、それらの規格化入力をu,u,uとすると、図8(a)に示すとおり例えば2入力u,uは独立に制御でき、残りのuはu=−(u+u)で制御できる。ここで、規格化入力u,u,uはデューティー比に相当する。
この、u=−(u+u)で制御する基本原理を用いることにより、特許文献1等に開示された手法に比してより簡潔なLCフィルタ付三相PWMインバータの制御方法、及び同方法に従って動作するインバータ装置を提供することが出来る。
[正弦波追従制御の適用]
ここで、図8(a)に示す二相(u,w相)のインバータ出力電圧を制御する制御則については、特に限定なく、一般的な制御則(PI制御等)を適用することも可能であるが、以下では、二相のインバータ出力電圧を制御する制御則の一例として、先の背景技術の項で単相形の場合について説明した正弦波追従制御(図7(c)参照)の適用を考える。
各相のコンデンサ電圧電流vCj,iCjを状態変数に選べば、
[i]=Eu[i](vは、直流電源電圧Eとデューティー比uを乗じて得た値)として、次のサンプル時間Tにおける離散形状態方程式は次式となる。
[i+1]=Ax[i]+bu[i],
[i]=cx[i] (18)
ただし、j=u,v,wで、制御入力はu、出力はyである。
また三相間の自由度は2であるため、u,uの2相分については単相形の場合と同様((5)式参照)に次式で表わされる正弦波補償器により制御則が決定され、残りのuは(19)’の制御側により従属的に決定される。
[i]= −fx[i]+k[i]+k[i+1]
[i+2]= −z[i]+2cosωTz[i+1] (19)
+(yref[i]−y[i])
j=u,w
[i]=−u[i]−u[i] (19)’
従って、図7(c)に示す単相形制御系を基本にこれを拡張することにより、図8(b)に示す三相形の制御系60が得られる。
[出力電圧範囲の拡張について]
ここで、各規格化入力は−1〜1の範囲に制約されるため、このままでは出力電圧の制御範囲の拡張が実現されているとはいえない。
そこで、これを発展させ、u,v,w各相への指令値を、以下に詳述する通り、
−1≦u’=u−d≦1
(j=u,v,w、 ここで、dは任意の調整値) (20)
となる様に調整し、各相への指令値を適宜同じレベルシフトさせる構成とすることで、より広い出力電圧範囲を制御できる制御方法、及び同方法に従って動作するインバータ装置を提供することが可能となる。これより先では、上の基本原理を拡張することによって得られる、出力電圧を拡大し得る制御手法に付き説明する。
ここで、インバータ出力は相間の相対的な電圧により定まるため(図9(c)参照)、u,v,w各相の電圧レベルを同じレベルシフトしても等価となること、およびフィルタコンデンサの中性点電位を変動させても本発明の制御原理がそのまま適用できることに注目する。
図3に、本発明の三相PWMインバータの制御系の一構成例10を示す。基本的な構成は先に示した図8(a)と同様であるが、図3に示す例では、上の(20)式を制御ブロック図上で実現するアジャスタ11が、インバータ12の前段に備えられている。アジャスタ11における調整値dの算出は、一例によれば図5及び図6に示すフローに従って行われる。
なお、以下に詳述する出力電圧範囲の拡張を行った場合においても、同様に図8(b)に示される制御則(正弦波追従制御)をu相,w相に適用することは可能である。
はじめに、u=−(u+u)で制御する基本原理のままでは、インバータのu,v,w各相に係る入力ゲイン(u,v,w各相を構成するスイッチング素子に与えるデューティー比に相当し、規格化入力ともいう)が1又は−1を超えると、インバータ出力の限度を超えるため、そのままでは、その相についてインバータから出力をなすことは不可能となることに留意しなければならない。一般的に、入力ゲイン1又は−1は、デューティー比100%即ち電源の最大能力(図9(b)に示す例ではE/2又は−E/2)を発揮させ(続け)る状態を意味しており、通常、1又は−1を超える入力ゲインが計算されたとしても、それは、電源の能力を超える出力を要求している結果となり、従来例に係る制御系の下では、その相についてインバータから(1又は−1を超える入力ゲインに従った)出力をなすことはできない(実際、その相についてインバータ出力はされない)。
例えば、図4(a)に示すように振幅が2/(√3)≒1.155の三相の入力ゲインが計算された場合を考える。
このとき、上記計算結果に基づきこれをそのままインバータ出力させようとしても、例えば(q)の時点では、1以上の部分は打ち切られてしまうことから、従来例に係る制御系の下では、u相については結局インバータ出力はされない。
本実施形態の場合、u,v,w各相への規格化入力を、上記−1〜1の範囲に収まるように、すなわち最小値が−1に、最大値が1になるように、dづつシフトさせることにより、結果として出力電圧範囲を拡大してやることができる。
これは、u,v,w各相の入力ゲインのレベルを同じレベルだけシフトさせても、これらによって得られるインバータ出力(線間電圧)は等価なものであり、それ故に、本発明手法による調整後は、線間電圧で見たインバータ出力としては、恰も調整前の入力ゲインによって得られるであろう(出力電圧範囲が拡大された)線間電圧と等価な波形を合成することが可能であることによる。
dを付加することによる調整は、各時点に於いて−1≦u’=u−d≦1(j=u、v、w)となる様に行なえば良い。
このように、dの値は、各時点に於けるu,v,w各相の入力ゲインの最大又は最小値が、−1〜1の範囲に収まるように調整されるものであり、時々刻々と変化するものである。
なお、本実施形態に係る制御の基本原理より、u+u+u=0であるが、u,v,w各相への入力ゲインにそれぞれdを付加することより、u’+u’+u’=−3dとなる。
さらに、このとき
Cn=−dE (21)
となり、フィルタコンデンサの中性点電位はdの値により変動することとなる(図1(a)及び図2参照)。その際、図2(b)(c)に示す等価回路の考え方は全く同じで、今までの制御原理はそのまま適用可能である。
上記した、振幅が2/(√3)≒1.155の三相の入力ゲインが計算された場合の例では、dを付加することによる調整後の入力ゲインは図4(b)に示す様な値となり、その結果、本発明手法による調整後は、線間電圧で見たインバータ出力としては、恰も調整前の入力ゲインによって得られるであろう(出力電圧範囲が拡大された)線間電圧と等価な波形を合成することが可能となる。ここで、例えば図4の(q)の時点では、u,v,w各相の入力ゲインには、+の値をもつdがそれぞれ付加されて調整されている。反対に(p)の時点では、u,v,w各相の入力ゲインには、−の値をもつdがそれぞれ付加されて調整されている。また、(q)、(p)いずれの時点においても、問題となるu相及びv相のインバータ出力は行われている。
このとき、出力電圧範囲は、約1.155−1=0.155、すなわち15.5%拡大されることとなる。
[dの決定手法]
次に、図3のアジャスタ11内で行われる、上記の調整値dを決定するプロセスにつき、一例を挙げて説明する。尚以下の説明は、図5及び6に例示するフロー図に基づいて行う。また、計算された直後のインバータの各相に係る入力ゲインをu1,v1,w1と、dを付加することによる調整後の入力ゲインをu2,v2,w2と、入力ゲインが1より超えて大となっているとき、又は−1より超えて小となっているときの1又は−1との差分をdu,dv,dwと、u,v,w各相に係る入力ゲインの夫々を互いに比較した場合における最大値について、入力ゲインが1より超えて大となっているときの1との差分値をmaxと、u,v,w各相に係る入力ゲインの夫々を互いに比較した場合における最小値について、入力ゲインが−1より超えて小となっているときの−1との差分値をminと、そして、最終的にu1,v1及びw1からu2,v2及びw2を算出する際に用いる調整値をdと規定する。
[概要の説明]
はじめに、図5及び6に基づいて詳細に説明する前に、dの決定手法の概要について説明する。
まず、任意の時間間隔(サンプル時間T)で、計算された直後のインバータの各相に係る入力ゲインu,u,u(=上記のu1,v1,w1に相当する)の値をサンプリングし、夫々を互いに比較して3つの中で最大値、最小値をもつもの(umax、umin)を決定する。各時点におけるu,u,uの最大値及び最小値は、
max=max(u,u,u)、
min=min(u,u,u)、と表わされる。
ここで、ある任意の時点における入力ゲインu,u,uの中で、入力ゲインが1より超えて大となっているもの、又は−1より超えて小となっているものが存在しない場合には、本発明による(=dを付加することによる)入力ゲインの調整は不要であり、計算された直後のインバータの各相に係る入力ゲインu,u,uの値はそのまま、インバータの各相スイッチング素子のゲートをオンオフするスイッチング制御回路に対して与えられる。従って以下のdの決定手法は、ある任意の時点における入力ゲインu,u,uの中に、入力ゲインが1より超えて大となっているもの、又は−1より超えて小となっているものが存在する場合について適用される。
次に、umax、uminの絶対値同士を比較し、大きい方の値が、その時点における入力ゲイン調整に係る基礎の値とされる。umaxの方が大きい場合、umaxと1との差分の値(正値)が、その時点における入力ゲイン調整値となる。一方、uminの絶対値の方が大きい場合、uminと−1との差分の値(負値)が、その時点における入力ゲイン調整値となる。
その時点におけるdの値が決まると、dを付加することによる調整後の入力ゲインu’,u’,u’(=上記のu2,v2,w2に相当する)が適宜算出される。このようにして、任意のサンプル時点に於いて−1≦u’=u−d≦1(j=u、v、w)となる様に、dを付加することによる調整が行なわれる。なお、uに対してdを加えるか引くかについては、dのもつ符号や算出アルゴリズム等に応じて適宜変更され得る(以下同様)。
[詳細の説明]
<セクション1, (du,dv,dwの値の決定)>
又以下では、dの決定に係る詳細な流れを、図5及び6のフロー図に基づいて具体的に説明する。なお、上記du,dv,dwの初期値をそれぞれ0としておく(図5のS1,S2参照。以下同じ)。以下のフローは、ある任意の時点における入力ゲインu1,v1,w1の中に、入力ゲインが1より超えて大となっているもの、又は−1より超えて小となっているものが存在する場合について適用される。入力ゲインu1,v1,w1の中で、入力ゲインが1より超えて大となっているもの、又は−1より超えて小となっているものが存在しない場合には、以下のフローは適用されず、計算された直後のインバータの各相に係る入力ゲインu1,v1,w1の値はそのまま、(実際のデューティー比として)インバータの各相スイッチング素子のゲートをオンオフするスイッチング制御回路に対して与えられる(S3,S4→S33,S34参照)。
結果的に、図4の各時点では、図4(b)に示す入力ゲインの大きさに応じて所定のデューティー比のスイッチングパルスがu,v,w各相のスイッチング素子SWu〜SWzに所定の態様で与えられ、それによってインバータINVは駆動される(図1(a)及び図9参照)。このとき、線間電圧で見たインバータ出力としては、恰も調整前の入力ゲインによって得られるであろう(出力電圧範囲が拡大された)線間電圧と等価な波形が合成される。
まず、u,v,wの各相の入力ゲインu1,v1,w1について順に、1より超えて大となっているか、又は−1より超えて小となっているかが調べられる(S5〜S18(S5u,S5v,S5w)からなるセクション1参照)。ここで、例えばu1が1より超えて大となっている場合、du=u1−1が計算され、1より大きいu1と1との差分がdu(正値)の形で抽出される(S6,S7参照)。逆に−1より超えて小となっている場合、du=u1+1が計算され、−1より小さいu1と1との差分がdu(負値)のかたちで抽出される(S8,S9参照)。
S2,S5uを経てu相についてduの値が決定された後は、順にv1,w1について調べられ、同様の要領でdv、dwの計算、抽出が行われる(S10〜S17(S5v,S5w)参照)。
du,dv,dwの計算、抽出が終了(S18)すると、次のセクション(セクション2(S19〜S31))へフローは遷移する。
<セクション2, (変数max,minの値の決定)>
S19に移ると、先ず最初に、u相の差分値duが、差分の絶対値の最大値と擬制されて、duの値が変数maxに代入される。その後、S20〜S23に示されるとおり、順にdv、dwの値が変数maxと比較され、dv、dwの値のほうが大きい場合には逐次その値がmaxとして代入される(入れ換えられる)。
引き続き、u相の差分値duは、今度は差分の最小値と擬制されて、duの値が変数minに代入される(S24)。その後、上記同様S25〜S28に示されるとおり、順にdv、dwの値が変数minと比較され、dv、dwの値のほうが小さい場合には逐次その値がminとして代入される(入れ換えられる)。なお、このS19〜S28に係るセクション2は、次段のセクション3に於いて最終的にu1,v1及びw1からu2,v2及びw2を算出する際に用いる調整値dを決定する為に必要なステップである。
S27,28を経て変数max、minへのdu,dv又はdwの値の代入が終了すると、次のセクション(セクション3(S29〜S31))へフローは遷移する。
<セクション3>
S29〜S31からなるセクション3では、ある任意の時点における調整値dの決定が行われる。
ここでは、変数maxと変数minの絶対値の比較が、「max<|min|」であるか行われ、変数minの絶対値が変数maxよりも大きい場合には、変数dの値はminの値に、反対に変数minの絶対値が変数maxよりも小さい又は変数maxの値と等しい場合には、変数dの値はmaxの値に決定される。
一例によれば、S29に移ると、まず変数maxが、ある任意の時点における調整値dと擬制されて、maxの値が変数dに代入される。次に、S30で変数maxと変数minの絶対値の比較が行われ、変数minの絶対値が変数maxよりも大きい場合には、変数dの値はminの値に入れ換えられる(S31参照)。
このように、S30,31を経て、最終的にu1,v1及びw1からu2,v2及びw2を算出する際に用いる調整値dの値が決定される。
その時点におけるdの値が決まると、後段のS32にて、dを付加することによる調整後の入力ゲインu2,v2,w2(=u’,u’,u’)が適宜算出される。この例では、u2=u1−dとして算出される。v2,w2についても同様である。
このようにして、任意のサンプル時点に於いて−1≦u’=u−d≦1(j=u、v、w)となる様に、dを付加することによる調整が行なわれる。
図5及び6に示すフローを、例えば図4の(q)の時点についてみた場合、dの決定に至るまでの流れは次の通りである。すなわち、S6では、u1>1と判断されてdu=u1−1が算出される(S7)。duは正値である。ここで、v1、w1については−1以上1以内にあるため、S5v(S11又はS13),S5w(S15又はS17)でdv,dwは算出されず、dv,dwは初期値=0が維持される(S2参照)。次のセクション2では、dv,dw=0であることから、max=du(正値)、min=dv(=0)となる(S19,S26参照)。そして、S30では、「max<|min|」が不成立となることから、最終的にu2,v2及びw2を算出する際に用いる調整値dはd=du(正値)と算出される(S29,S30)。u2=u1−d(v2、w2も同様)であることより、この(q)の時点では上記の−1≦u’=u−d≦1(j=u、v、w)が実現され、入力ゲインを連続的に表わしたときの形は正弦波状の形から変形されて図4(b)に示すような形状となる。このとき、線間電圧で見たインバータ出力としては、恰も調整前の入力ゲインによって得られるであろう(出力電圧範囲が拡大された)線間電圧と等価な波形を合成することが可能となり、出力電圧範囲の拡張が実現される。
同様に、図5及び6に示すフローを、例えば図4の(p)の時点についてみた場合、dの決定に至るまでの流れは次の通りである。すなわち、セクション1では、S5vのS12においてv1<−1と判断されてdv=v1+1が算出される(S13)。dvは負値である。ここで、u1、w1については−1以上1以内にあるため、S5u,S5wでdu(S7又はS9),dw(S15又はS17)は算出されず、du,dwは初期値=0が維持される(S2参照)。次のセクション2では、du,dw=0であることから、max=du(=0)、min=dv(負値)となる(S19,S26参照)。そして、S30では、「max<|min|」が成立することから、最終的にu2,v2及びw2を算出する際に用いる調整値dはd=dv(負値)と算出される(S26,S31)。v2=v1−d(u2、w2も同様)であることより、この(p)の時点でも上記の−1≦u’=u−d≦1(j=u、v、w)が実現され、入力ゲインを連続的に表わしたときの形は正弦波状の形から変形されて図4(b)に示すような形状となる。このとき、線間電圧で見たインバータ出力としては、恰も調整前の入力ゲインによって得られるであろう(出力電圧範囲が拡大された)線間電圧と等価な波形を合成することが可能となり、この場合も出力電圧範囲の拡張が実現される。
以上に説明したとおり、本発明によれば、LCフィルタ付三相PWMインバータにおいて、負荷が平衡、不平衡を問わず、かつ広い出力電圧範囲が制御できる制御方法、及び同方法に従って動作するインバータ装置を提供することが出来る。
ところで、上記した、振幅が2/(√3)≒0.155の三相の入力ゲインが計算された場合の例はあくまでも一例に過ぎない。上の例の様に、周期的に振幅の絶対値が1を超える入力ゲインが計算される場合のみならず、偶発的にその様な入力ゲインが計算された場合であっても、本発明の手法によれば、入力ゲイン及びそれが連続的に表わされた波形を柔軟に調整することが可能である。
なお、本発明の方法で出力可能な最大電圧は、電圧の不足が一相分のみで他の二相には電圧不足が生じていない時である。これは、定常動作では電圧不足の期間が最大で電気角60°が限度となるため、本発明の方法では結局、最大で約15%の出力電圧範囲の増大を図ることが可能となる。またこれは、過渡動作ではu,u,uが4/3、−2/3、−2/3もしくは−4/3、2/3、2/3を互いに取り分ける場合で、最大で約33%の出力電圧範囲の増大を図ることが可能となる。
以上説明した本実施形態のLCフィルタ付三相PWMインバータの制御原理は、簡潔であって、LCフィルタの値が三相で等しければ単相系のものの組み合わせで制御できるものである。このとき、三相の内の二相は独立に制御でき、あとの一相はそれらより従属的に決定される。しかも、LCの値が同じでありさえすれば、負荷が平衡であるかは問わないため、不平衡負荷に対しても同じ原理で制御できる特長がある。
上記実施形態の構成を備えたLCフィルタ付三相PWMインバータにつき、その動作の検証(計算及びDSPべースのディジタル制御系による実験)を行ったところ、以下の通り、不平衡負荷および非線形負荷の何れをも良好に制御可能であることが明らかとなった。尚、以下の検証は、負荷を三相不平衡負荷又は非線形負荷とした場合における応答特性に主眼を置いたものであり、それを考慮して入力ゲインが1又は−1を超えない例として検証を行ったものである。
上記実施形態に係る制御原理は、三相不平衡負荷に関してもフィルタコンデンサ電圧を平衡に制御することが可能である。まずはじめにこれを検証するため、計算により、図1(a)に示す回路において、入力電圧E=30[V],フィルタリアクトルL,L,Lのインダクタンス=2.78[mH],フィルタコンデンサC,C,Cのキャパシタンス=60[μF]、そして負荷R,R,Rをそれぞれ40Ω,50Ω,60Ωと不平衡にしたときのインバータ各相出力電圧の波形を求めた。その結果を図10に示す。このとき、基準波形をu相でyref u(t)=20sin100πt、サンプル時間をT=50[μsec]とした。負荷が不平衡であるが各相がバランスよく制御されている。
同様に、(a)各相のフィルタコンデンサ電圧、及び(b)フィルタコンデンサのu相充電電流波形のシミュレーション結果を図11に示す。このときの条件は、入力電圧E=40[V],出力電圧10[V],出力周波数50[Hz],フィルタリアクトルL,L,Lのインダクタンス=2.78[mH],フィルタコンデンサC,C,Cのキャパシタンス=60[μF],スイッチング周波数=20[kHz]である。また負荷R,R,Rを、それぞれ30Ω,50Ω,100Ωと不平衡に設定した。図10の場合と同じく、各相がバランスされて制御されていることがわかる。
次に、DSPを用いてディジタル制御系を実際に構成して実験を行った結果を図12に示す。(a)は各相フィルタコンデンサ電圧、(b)はu相フィルタコンデンサ電流iCuの波形を示している。この場合も、不平衡負荷に対しフィルタコンデンサ電圧がうまくバランスしていることがわかる。
また、非線形負荷に対する応答特性についても検討を行った。ここで、負荷としては三相ダイオードブリッジによる整流負荷を用いた(図1(c)参照)。各相のフィルタコンデンサの容量は470μFである。図13に、(a)各相フィルタコンデンサ電圧、(b)u相フィルタコンデンサ電流iCu、(c)u相負荷電流iuLoadの順にシミュレーション結果を示す。この場合も各相フィルタコンデンサ電圧はうまく制御されている。
次に、DSPを用いてディジタル制御系を実際に構成して実験を行った際の波形を図14に示す。(a)は各相フィルタコンデンサ電圧、(b)はu相フィルタコンデンサ電流iCu、(c)はu相負荷電流iuLoadの波形を示している。この場合も、負荷に対しフィルタコンデンサ電圧がうまくバランスしていることがわかる。
[変形例]
以上、本発明に付き好適な一実施形態に基づき詳細に説明したが、本発明は、上記の例に記載の構成及び条件に何ら限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、三相のうちの二相のインバータ出力電圧が独立に制御され、残りの一相については上記二相のインバータ出力により従属的に制御される制御系となっているが、u,v,w何れの相を従属的に制御する相にするかは、設計時に任意に規定することが可能である。
また上記実施形態では、本発明手法が適用される三相の内の二相の制御法として正弦波追従制御法を用いたが、これに限定されず、本発明手法は一般的にPI制御等を含めた任意の補償器に適用できることは言うまでもない。
インバータの主回路構成についても、上記実施形態で説明した形態のものに限定されない。従って、上記実施形態で説明した三相ブリッジ構成のインバータ以外にも種々の回路形式を選択することが可能である。
調整値dの決定に係るフローについても、図5及び図6に例示したものに何ら限定されない。
さらに、出力電圧範囲拡張に係る本発明の制御手法は、三相以外の多相回路及びその制御系に対しても適用可能であることは言うまでもない。
また、インバータに接続される負荷についても、図1(a)に示される抵抗負荷に限定されず、図1(b)に示す誘導負荷(電動機等)や、同(c)に示すコンデンサインプット形の整流負荷等であって構わない。
しかも、本発明では、LCの値が同じでありさえすれば、負荷が平衡であるか否かは問わないため、不平衡負荷に対しても同様に制御できるという特長がある。
このように、本発明は上記実施形態等に記載の構成に限定されるものではなく、当業者であれば、以上に開示された基本的技術思想及び教示に基づき、種々の変形例を想到出来る事は自明である。
以上に説明したとおり、本願発明は、シンプルでありながら、不平衡負荷にも対応でき、かつ出力電圧範囲を拡大可能なLCフィルタ付三相PWMインバータの制御方法、及び同方法に従って動作するインバータ装置を提供するする新規かつ有用なるものであることが明らかである。
本発明の適用対象となるLCフィルタ付三相PWMインバータの構成を示す図である。(b),(c)は、(a)に示された負荷の変形例である。 (a)図1に示すLCフィルタ付三相PWMインバータの電気的接続関係を簡略的に示す図、(b)本発明手法を適用した場合における平衡負荷に対する単相等価回路を示す図、及び(c)その不平衡負荷に対する(b)の変形等価回路図である。 本発明の三相PWMインバータの制御系の一構成例を示す図である。 インバータのu、v、w各相に係る入力ゲインを連続的に表わしたときの一例を示す図である。(a)は計算された直後のインバータの各相に係る入力ゲインの一例を示す図、(b)は本発明による(=dを付加することによる)入力ゲインの調整を行った場合の入力ゲインの一例を示す図である。 ある時点における入力ゲインの調整値dの算出要領の一例を示すフロー図である。 ある時点における入力ゲインの調整値dの算出要領の一例を示すフロー図である(図5の続き)。 単相PWMインバータの基本回路及び制御系の一構成例を示す図である。 三相PWMインバータの制御系を示すブロック図である。(a)は三相のうちの二相のインバータ出力電圧が独立に制御され、残りの一相については上記二相のインバータ出力により従属的に制御される制御系の構成を示す図、(b)は三相のうちの二相のインバータ出力電圧を正弦波追従制御法により制御する場合の制御系の構成を示す図である。 PWMによる変調を説明する図であり、(a)は各相の正弦波状の各相信号電圧と三角波との関係を示す図、(b)は変調されたパルス列を示す図、(c)は各線間に得られる三相PWMインバータの出力波形を示す図(一例)である。 三相PWMインバータの出力波形を示す図である。 不平衡負荷のシミュレーション結果を示す図である。 不平衡負荷の実験結果を示す図である。 整流負荷のシミュレーション結果を示す図である。 整流負荷の実験結果を示す図である。
符号の説明
,C,C フィルタコンデンサ
D1〜D6 整流ダイオード
,L,L フィルタリアクトル
,R,R 負荷抵抗
SWu〜SWz スイッチング素子
1 LCフィルタ付三相PWMインバータ
2 直流電源
3 負荷
10 三相PWMインバータのディジタル制御系
11 アジャスタ
12 インバータ部
13 状態フィードバック
14 補償器

Claims (3)

  1. 直流電源と三相電圧型インバータと交流LCフィルタと被駆動負荷とからなる三相PWMインバータの制御方法であって、
    三相の内の二相のインバータ出力電圧を予め定められた任意の制御側に従って独立に制御し、
    残り一相のインバータ出力電圧については前記二相のインバータ出力により従属的に制御すると共に、さらに、
    前記三相電圧形インバータのu,v,w各相への規格化入力u,u,u
    −1≦u’=u−d≦1 (j=u、v、w)
    となる様に調整値dを付加して調整し、u,v,w各相への指令値を適宜同じレベルシフトさせることにより、出力電圧範囲を拡張して制御可能にすることを特徴とする三相PWMインバータの制御方法。
  2. 直流電源と三相電圧型インバータと交流LCフィルタと被駆動負荷とを含んでなるインバータ装置であって、
    三相の内の二相のインバータ出力電圧が予め定められた任意の制御側に従って独立に制御され、残り一相のインバータ出力電圧については前記二相のインバータ出力により従属的に制御される制御系を備え、さらに、
    前記制御系は、前記三相電圧形インバータのu,v,w各相への規格化入力u,u,u
    −1≦u’=u−d≦1 (j=u、v、w)
    となる様に調整値dを付加して調整し、u,v,w各相への指令値を適宜同じレベルシフトさせ得るアジャスタを、前記三相電圧型インバータのu,v,w各相への指令値入力部の前段に備えており、
    それにより、出力電圧範囲を拡張して制御し得る様に構成されていることを特徴とするインバータ装置。
  3. 前記交流LCフィルタは、u,v,w各相のインダクタンス及びキャパシタンスが夫々実質上同一のものから構成されていることを特徴とする請求項2に記載のインバータ装置。
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