JP2007134781A - 可変共振器 - Google Patents

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Abstract

【課題】可変周波数範囲が広く、且つ損失の少ない可変共振器を提供する。
【解決手段】誘電体基板2の上に入出力線路3が形成され、その入出力線路3の凡そ中央部分に一端を接続し、他端が接地された長さLaの第1共振器4と、第1共振器4の一端が接続された入出力線路3に一端を接続し、他端がスイッチ素子7を介して設置される長さLbの第2共振器とから構成される可変共振器であって、スイッチ素子7がオフ状態の時は、第1共振器4の線路長さLaと第2共振器6の線路長さLbとの和の長さを四分の一波長とする周波数で共振し、スイッチ素子7がオン状態の時は、LaとLbの和の半分の長さを四分の一波長とする周波数で共振する。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば無線通信装置に搭載され、フィルタなどを構成するために用いられる線路を用いた可変共振器に関し、特に可変周波数範囲が広く、且つ損失の少ない可変共振器に関する。
高周波信号を用いた無線通信の分野においては、数多い信号の中から特定の周波数の信号を取り出すことで、必要な信号と不必要な信号を分別している。この機能を果たす回路は一般的にフィルタと呼ばれ、多くの無線通信装置に搭載されている。フィルタを構成する共振器として線路構造をとるものは、その共振周波数の波長の4分の1波長、又は2分の1波長程度の線路長を必要とする。また、これらの共振器は、主にその設計パラメータである中心周波数や帯域幅は不変である。これら共振器を用いた無線通信装置で複数の周波数帯を用いる場合は、例えば、中心周波数や帯域幅が異なる共振器を2つ用意し、その1個の共振器を使用するか、それら2個の共振器をスイッチで直列に接続して使用する方法が考えられる。
発明者らが提案し、特許文献1で開示された可変共振器を図22に示す。その構成及び動作を説明する。誘電体基板220の表面に第1共振器222と第2共振器223がスイッチ224を介して直列に接続されるように配置されている。
第1共振器222は、長さL1の第1線路225の両側に第1線路225の線路幅と同一幅Wで長さΔhの第2線路226a,226b、227a,227b、228a,228b、229a,229bが、第1線路225に沿って等間隔ΔL1で配列接続されている。
第1線路225の一端は第2線路226a,226bの反対側に長さL3延長され、その延長方向と直角方向に延長された高周波信号入出力用線路221に接続されている。
第1線路225の入出力用線路221と反対側の延長上にスイッチ224を介して第2共振器223の第1線路270が形成され、第1線路270の線路長はL2であり、第1線路270のスイッチ224と反対側の端は接地されている。第2共振器223の第1線路270にも、その両側に第2線路230a,230b〜233a,233bが4つ等間隔で配列接続されている。
第1共振器222及び第2共振器223の隣接した第2線路の遊端部(両端)同士の間に線路短縮スイッチ250a,250b〜255a,255bが設けられている。第1共振器222の第2線路226aと227aの遊端部間には線路短縮スイッチ250aが、第2線路226bと227bの遊端部間には線路短縮スイッチ250bが配置されている。すなわち、第1線路255を中心として対称に3個の線路短縮スイッチ250a,250b〜252a,252bが配置されている。
第2共振器223も同様に、第2線路の遊端部間に3個の線路短縮スイッチ253a,253b〜255a,255bが配置されている。線路短縮スイッチ250a,250b〜255a,255bは、高周波電流が導体の表面を流れる性質(表皮効果、詳しくは後述する)を利用して共振器の線路長さを変化させるためのもので、第2線路226aと227aとの間に設けられた線路短縮スイッチ250aを導通させると、2Δhの長さを短縮させるものである。なお、図には示していないが、誘電体基板220の少なくとも入出力線路221及び第1,第2共振器222,223が形成された領域の裏面全面に渡って地導体が形成され、マイクロストリップ線路を形成している。
第1共振器222の共振周波数の可変方法について説明する。第1共振器222の共振周波数を最も低くするには、線路短縮スイッチ250a,b〜252a,bを全て非導通(オフ)にする。その状態から共振周波数を少し高くしたい場合は、線路短縮スイッチの組、250a,b〜252a,bの中の一組を導通(オン)させる。そうすると、線路短縮スイッチ250a,b〜252a,bが全て非導通状態の時の線路長に対して、2Δhの長さ、線路長を短く出来るので、その分、共振周波数を高くすることが出来る。
逆に第1共振器222の最も低い共振周波数よりも、さら共振周波数を下げたい場合は、スイッチ224を導通させて第1共振器222に直列に第2共振器223を接続する。この様にすることで、第1共振器222単独の場合よりも、線路長を延長させることが出来るので共振周波数を下げることができる。
特開2005−253059(図7)
しかしながら、上記したような従来の技術では、共振周波数を第1共振器222の共振周波数よりも下げる場合に、共振器同士をスイッチ224を介して接続するために、スイッチ224の抵抗が直列に挿入され、共振器として損失が増加してしまう課題があった。要するに、共振器の可変周波数範囲を拡大するために、スイッチを介して単純に一方向に線路長を延長する考え方しかなかった。その時の、共振器間を接続するスイッチの抵抗が損失増大の原因になっていた。
この発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、共振周波数の可変範囲が広く、且つ損失の少ない可変共振器を提供することを目的とする。
この発明では、誘電体基板の上に形成された入出力線路に第1共振器の一端が接続され、上記第1共振器の他端が接地され、その第1共振器と上記入出力線路の接続点に、第2共振器の一端が接続され、第2共振器の他端がスイッチ素子を介して接地される。
以上のようにこの発明の場合、入出力線路に対して、第1共振器と第2共振器を並列に接続する構成にしている。スイッチ素子がオフの時は、第1共振器と第2共振器の共振線路の和の長さ(電気長)を四分の一波長とする共振周波数で共振し、スイッチ素子をオンにした時は、その和の長さの半分の長さを四分の一波長とする周波数で共振する。共振周波数を可変するスイッチ素子の抵抗が並列で効くので、従来技術に対してスイッチ抵抗の影響を小さくすることが出来、共振周波数の可変範囲が広く、且つ損失の少ない可変共振器が実現できる。
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以降の説明において同一のものには同じ参照符号を付けて示し、一度説明したものの説明は繰り返さない。
[第1の実施の形態]
図1にこの発明によるマイクロストリップ線路を用いた共振器を示す。図1(a)は平面図であり、図1(b)は図1(a)のI−I切断線で見た断面図である。裏側が地導体1によって接地された誘電体基板2の表面に入出力線路3が形成される。入出力線路3の一端から高周波信号が入力される。この例では入出力線路3に第1共振器4の一端が接続され、第1共振器4は入出力線路3と直交する方向に延長され、第1共振器4の他端が配線層間接続(以下、Viaホールと称す)5を介して地導体1に接地されている。第1共振器4の特性インピーダンスはZである。
入出力線路3と第1共振器4の一端が接続された部分に、第2共振器6の一端が接続され、第2共振器6が入出力線路3に対し第1共振器4の反対側に延長され、第2共振器6の他端は、スイッチ素子7とViaホール8を介して地導体1に接地されている。第2共振器6の特性インピーダンス及び線路長は、第1共振器4と同一である。
スイッチ素子7は理想的なものとし、導通時(オン)の抵抗はゼロ、非導通時(オフ)には無限大とする。第1共振器4のアドミッタンスをYa、第2共振器6のアドミッタンスをYbとすると、いま、両者の特性インピーダンスはZで等しいので、スイッチ素子7が導通状態におけるYa、Ybは式(1)で書き表せる。
Ya=Yb=−jY・cotβL (1)
βは移相定数、β=2π/λ、λは波長。
図1(a)に示す第1共振器4と第2共振器6との接続点Pにおける合成アドミッタンスY1は、式(2)で表せる。
Y1=Ya+Yb=−2jY・cotβL (2)
共振時の合成アドミッタンスY1は、Y1=0であるので、これを満たすβは、式(3)となる。
β=π/2L (3)
この時の実効的な線路長Lは、L=λ/4となるので、スイッチ素子7が導通状態における共振周波数は、4分の1の波長がL(L=λ/4)の周波数になる。ここでの共振周波数は、アドミッタンス=0、すなわちインピーダンスが無限大となる並列共振周波数を意味している。
次にスイッチ素子7が非導通の場合は、第1共振器4のアドミッタンスYaが式(4)、第2共振器6のアドミッタンスYbが式(5)となる。
Ya=−jY・cotβL (4)
Yb=jY・tanβL (5)
したがって、接続点Pにおける合成アドミッタンスY2は、式(6)で表せる。
Y2=Ya+Yb=jY(tanβL−cotβL) (6)
共振時の合成アドミッタンスY2は、Y2=0であるので、これを満たすβは、式(7)となる。
β=π/4L (7)
この時、β=2π/λなので、2L=λ/4となる。4分の1波長が2Lの周波数、すなわち、上記したスイッチ素子7が導通状態の時の共振周波数の1/2倍の周波数で共振する。
以上述べたように、図1に示したこの発明の可変共振器のスイッチ素子7のオン、オフで共振周波数を2倍変化させることが出来た。この発明による可変共振器によれば、スイッチ素子7のオフ時は、第1共振器4と第2共振器6の実効的な電気長(以降、単に電気長と称す)の和で共振周波数が定まり、スイッチ素子7がオンの時は、その電気長の和を2で割った値の電気長の共振周波数に定まる。このように共振周波数を大きく変化させることができる。
次に、この発明の特徴である低損失である点について図2を用いて説明する。図1(a)に示したこの発明の可変共振器と同じ共振周波数が得られる可変共振器を、従来の技術で構成した一例を図2(a)に示す。
図2(a)に示す可変共振器は、入出力線路20のほぼ中央部分に一端を接続し、入出力線路20に直交する方向にL1の長さ延長され、他端が接地された低周波数共振器21と、低周波数共振器21の一端からL1より短いL2の長さの部分を接地させる高周波数共振器スイッチ22とで構成される。
高周波数共振器スイッチ22がオン/オフの状態が、先に説明した図1(a)のスイッチ素子7のオン/オフの状態と対応している。すなわち、高周波数共振器スイッチ22がオンで、共振器の線路長がL1の半分の長さであるL2に変化するようにし、周波数も図1(a)に示した可変共振器と同一になるように設計されている。
その前提で、この発明の可変共振器と従来の可変共振器の挿入損失を比較した結果を図2(b)に示す。図2(b)の横軸は、スイッチ素子7及び高周波数共振器スイッチ22の抵抗である。縦軸は、挿入損失をdBで表す。黒丸がこの発明の可変共振器の挿入損失を表し、白丸が従来の可変共振器の挿入損失を表している。
スイッチの導通抵抗を増加させて行くと、挿入損失も右肩上がりで悪化する特性を示す。従来の可変共振器の導通抵抗に対する挿入損失の傾きが約0.35dB/Ωと、この発明の可変共振器の約3倍であり、導通抵抗が1Ωのポイントで比較するとこの発明の可変共振器の挿入損失が0.1dBで在るのに対して、0.35dBと従来の可変共振器の損失の方が大きい。
これは、この発明の可変共振器が第1と第2の共振器を並列に接続した構成であることによる。図2(b)に示した従来の可変共振器では、高周波数共振器スイッチ22がオン時において、高周波数共振器スイッチ22から共振器先端方向(L1の先端)の部分は、無いものと等しくなり、共振周波数における高周波数共振器スイッチ22が接続される点におけるインピーダンスは、その抵抗によって定められる。このために、スイッチ抵抗の影響がそのまま挿入損失に現れる。
一方、この発明の可変共振器では、スイッチ素子7がオン時に第1と第2共振器が並列接続されるため、抵抗の並列接続と同じようにスイッチ抵抗の影響が軽減される。したがって、低損失な特性となる。このように、この発明による可変共振器によれば、可変周波数範囲が広く、且つ損失の少ない可変共振器が実現できる。
次にこの発明の可変共振器の具体例をいくつか示す。図3に第1共振器4と第2共振器6の線路長を5GHzの波長λ5Gに対して四分の一の波長、移相にして90°の長さにした場合の例を示す。図3(a)にスイッチ素子7がオフの時、図3(b)にオン時の共振周波数を、入出力線路3に入力した信号が反射して戻って来る割合を表すSパラメータS11(dB)で示している(縦軸)。横軸は周波数でありここでは0から15GHzまでを示す。
11が小さい周波数が共振周波数を表している。スイッチ素子7がオフ状態では、図3(a)に示すように、15GHzまでの範囲においては、2.5GHz、7.5GHz、12.5GHzで共振する。スイッチ素子7がオン状態では、図3(b)に示すように15GHzまでの範囲では、5.0GHzと10.0GHzで共振する。これらの共振周波数になる理由は、スイッチ素子7がオフの時は、上記した式(6)で表せる第1共振器4と第2共振器6の合成アドミッタンスがゼロになる周波数で共振する。スイッチ素子7がオンの時は、式(2)で表せる合成アドミッタンスがゼロになる周波数で共振する。
この関係を整理して図3(c)に示す。この例では、第1及び第2共振器4,6を構成する線路長の物理的な長さLa及びLbを、La=λ5G/4、Lb=λ5G/4に設計している。したがって、この線路の2.5GHzにおける電気長βLは、移相45°に相当する。このように周波数によって、電気長が変化するのでアドミッタンスも変化する。
スイッチ素子7がオフ状態から説明すると、今、La=Lbなので、この移相角における第1共振器4と第2共振器6のアドミッタンスが等しくなって合成アドミッタンスがゼロになる周波数で共振する。この例の場合、合成アドミッタンスがゼロになる周波数は、2.5GHz、7.5GHz、12.5GHzの3つである。このように、2.5GHzの奇数倍の周波数において合成アドミッタンスがゼロになる。
次にスイッチ素子7をオンさせると、合成アドミッタンスを表す式が上記した式(2)の関係になり、今度は第1共振器4と第2共振器6のアドミッタンスがそれぞれゼロになる周波数で共振する。その周波数はcotβLがゼロになる5.0GHzと15.0GHzである。こちらも、スイッチ素子7がオフの場合と同様に、5.0GHzの奇数倍の周波数においてcotβLがゼロになる。
このように、図3(a)の例の場合、15GHzまでの周波数範囲においては、スイッチ素子7をオフで2.5GHz、7.5GHz、12.5GHzの3つの周波数で共振し、オンで5.0GHzと15.0GHzの2つの周波数で共振する可変共振器となる。
次にLa=5λ5G/18、Lb=2λ5G/9に設計した場合に得られる共振周波数を図4(a)〜(c)に示す。図4(a)、(b)の共振周波数を示す図の横軸と縦軸の関係は、図3(a)と(b)と全く同じである。この例では、第1共振器4の線路長Laを5λ5G/18、第2共振器6の線路長Lbを2λ5G/9と、異なる長さに設計したことにより、スイッチ素子7をオン状態にしたときの高調波(スプリアス周波数)の出方が変わって来る。
スイッチ素子7がオン状態におけるLa及びLbのアドミッタンスは、式(1)で示したようにY・cotβLで決まる。したがって、cot・βLaとcot・βLbのアドミッタンスの極性が反対で絶対値が等しくなる周波数である5.0GHz、10.0GHz、15.0GHzにおいて、第1,第2共振器4,6の合成アドミッタンスがゼロとなり共振する。
スイッチ素子7がオフの時は、第2共振器6のアドミッタンスがY・tanβLbで決まるので、tanβLbとcotβLaの値が等しくなる周波数で共振する。この例の場合は、図3(a)と変わらず、2.5GHz、7.5GHz、12.5GHzの3つの周波数で共振する。
他の例を図5に示す。図5(a)は、La=λ5G/3、Lb=λ5G/6に設計した場合に、スイッチ素子7がオフ状態で得られる共振周波数を示している。図5(a),(b)の横軸と縦軸の関係は、図3及び図4(a),(b)と同じである。また、図5(c)も図4(c)と同じ関係を整理した図である。
この例の場合、スイッチ素子7をオフにした時の図5(a)に示す共振周波数が、先に説明した図3(a)、図4(a)と異なっている。La=λ5G/3は、2.5GHzにおいてλ2.5G/6であり、移相角度で表すと60°に相当する。Lb=λ5G/6は、λ2.5G/12であり、移相角度で表すと30°である。今、スイッチ素子7がオフであるので、LbのアドミッタンスがtanβLbで決まり、その値は0.57である。Laのアドミッタンスは、cotβLaで決まり、移相角60°における値は0.57である。このように2.5GHzにおいてLaとLbのアドミッタンスが等しくなるので、その合成アドミッタンス(式(6))がゼロになって共振する。このように、基本周波数は2.5GHzで先に示した例と等しい。
図3(a)及び図4(a)で共振していた7.5GHzについて見てみると、La=λ5G/3は、7.5GHzにおいてλ7.5G/2であり、移相角度で表すと180°に相当する。
Lb=λ5G/6は、7.5GHzにおいてλ7.5G/4であり、移相角度で表すと90°に相当する。
Laのアドミッタンスは、cotβLaで決まり、移相角180°における値はマイナス無限大である。LbのアドミッタンスはtanβLbで決まり、移相角90°における値はマイナス無限大である。その結果、合成アドミッタンスが不定となるため、周波数7.5GHzにおいては、共振しなくなる。
このように、La及びLbの線路長を適切に選ぶことで、基本周波数及びスプリアス周波数を制御することが出来る。スイッチ素子7をオン状態にした時の、図5(b)に示す共振周波数は、図4(b)で示した周波数と同じである。共振条件は同じであるので、図5(a)〜図5(c)の説明は省略する。図5(c)を参照されたい。
このようにこの発明の可変共振器を例えば無線装置に利用する場合に、その無線システムにおいて必要の無い共振周波数について、第1共振器の線路長La及び第2共振器の線路長Lbを適切に設計することで削除することが可能である。
スイッチ素子7のオン/オフに伴う共振周波数の組み合わせの選択肢を増やすための他の方法を、図6に示して説明する。共振器の共振線路の特性インピーダンスを線路の途中で変化させることで、線路の物理的な長さによる移相量によって決まる共振周波数を変化させることが可能である。
図6(a)は、スイッチ素子7によって線路先端が接地されるか、開放される第2共振器6だけを示した図である。第1共振器6の線路長を5GHzの四分の一の長さに設計し、スイッチ素子7をオンさせた場合の入力信号の反射の割合を表すSパラメータのS11と、スイッチ素子7をオフさせた場合の入力信号が伝達する割合を表すSパラメータS21とを、図6(b)に示す。
図6(b)の横軸は周波数、縦軸はS11とS21をdBで表す。スイッチ素子7をオンさせた状態では、5GHzにおいてS11が小さくなり共振する。スイッチ素子7をオフさせた状態では、同じ5GHzにおいてS21が小さくなり信号が出力側に伝達しないこと示している。いわゆる直列共振状態になっている。
このように、信号の入出力で見ると、スイッチ素子7がオン状態で信号が良く伝達する帯域通過フィルタであり、スイッチ素子7がオフで入力信号が出力に伝わらない帯域阻止フィルタとして動作する。スイッチ素子7のオン/オフで動作は正反対であるが、その周波数は5GHzで変わりが無い。このように図6(a)に示すように第2共振器6の線路幅を一定にすると、スイッチ素子7のオン/オフによって共振周波数は変化しない。
図6(c)に線路の特性インピーダンスを線路の途中で変えた例を示す。入出力線路3に接続される側の線路60の特性インピーダンスを例えば45Ω、その先のスイッチ素子7が接続される側の線路61の特性インピーダンスを例えば90Ωとしている。このような線路は特性インピーダンスが階段状に変化することからステップインピーダンスレゾネータと呼ばれる。線路60と61を合わせた長さを或る長さに設計した時の、スイッチ素子7がオン時のS11と、スイッチ素子7がオフ時のS21とを図6(d)に示す。ここで、線路長を或る長さとしているのは、図6(c)が線路をステップインピーダンスレゾネータ構造としたときのスイッチ素子7の影響を説明するための図であるからである。図6(c)の説明において線路60と線路61を合わせた合計の線路長に、この説明では意味を持たせていない。
まずスイッチ素子7がオフ状態におけるS21が急激に減少する直列共振周波数は、7.5GHzである。スイッチ素子7をオンさせると、先ほどの図6(b)と異なり共振周波数が5GHzに変化している。このように、スイッチ素子7のオン/オフによる共振周波数と直列共振周波数とが異なっている。この理由は、線路をステップインピーダンスレゾネータ構造としたためである。
スイッチ素子7がオフの場合、線路61の先端のインピーダンスは開放となる。この時、入出力線路3に向けてインピーダンスは下がって行き、線路60と入出力線路3との交点から線路61側を見たインピーダンスは直列共振周波数においてゼロとなる。
インピーダンスが高い部分には電界エネルギーが集中し、インピーダンスが低い部分には磁界エネルギーが集中する。このため、インピーダンスが高い領域は容量性が強く、低い領域では誘導性が強くなる。線路で決まる共振周波数fは線路の持つリアクタンス成分である容量成分Cと誘導成分Lとで、良く知られた式(8)で近似することができる。
f=1/(2π√LC) (8)
スイッチ素子7がオフの場合、線路60と入出力線路3との交点付近では誘導性が強く、スイッチ素子7側の線路61の先端付近では容量性が強い。図6(c)では、この場合、誘導性が強くなる入出力線路3側の線路60の線路幅が広いので、誘導性リアクタンスが小さくなる。また、容量性の強いスイッチ素子7側の線路61の先端の線路幅は細いので容量性リアクタンスも小さくなる。この結果、図6(a)に示すような均一な線路幅で形成された共振器に対して、スイッチ素子7がオフ時の共振周波数を高くすることが出来る。
逆にスイッチ素子7がオンの場合、線路60と入出力線路3との交点付近では容量性が強く、スイッチ素子7側の線路61の先端付近では誘導性が強くなる。容量性が強い部分の線路幅を広くすると容量性リアクタンスを大きくすることが出来る。また、誘導性の強い部分で線路幅を細くすると誘導性リアクタンンスを大きくすることが出来る。したがって、図6(C)の線路形状の場合、線路幅が均一な共振器に対してスイッチ素子7をオンさせた時の共振周波数を低くすることが出来る。
このように、共振器の線路構造をステップインピーダンスレゾネータ構造にすることでも、共振周波数を制御することが可能である。
基本周波数のすぐ隣の高調波は、このような可変共振器を無線システムに利用した際に問題になることがある。隣の高調波とは、図3(a)の基本周波数2.5GHzに対する3倍高調波の7.5GHz、または、図5(b)の基本周波数5.0GHzに対する10.0GHzなどであり、利用される無線システム側の都合で、無い方が好ましい場合がある。このような基本周波数のすぐ隣の高調波を無くす目的で、例えばステップインピーダンスレゾネータ構造を用いることが出来る。
例えば、図5(a)で示した第1共振器4の電気長120°(5GHz)と、第2共振器6の電気長60°(5GHz)の組み合わせにおける基本周波数は2.5GHzであり、その隣の高調波は12.5GHzであって、3倍の7.5GHzではない。
また、スイッチ素子7がオン状態において2倍の高調波が存在しない例は、図3(b)に示した。この時に必要な第2共振器6の電気長は90°(5GHz)である。同じ5GHzにおいてスイッチ素子7がオン状態で、第2共振器6の電気長を30°延長する必要がある。
この場合、第2共振器6をステップインピーダンスレゾネータ構造にすることで、1個の線路でその二つを兼用することが可能になる。上記した原理によって、スイッチ素子7がオフ状態における電気長を60°、オン状態における電気長を見掛け上90°にすることが、ステップインピーダンスレゾネータ構造を用いることで実現可能である。もちろん、この場合、第1共振器4の線路長は、スイッチ素子7がオン状態では、120°→90°(5GHz)に短縮する切換えが必要になる。このような切換えが一部に必要になるが、線路をステップインピーダンスレゾネータ構造にすることで、1個の線路の電気長を周波数によって見掛け上変え、少ない切換え部で複数の共振周波数を得ることが可能になる。
尚、図6に示した例では、入出力線路3に接続される側の線路幅を大きくした例を示したが、この逆でも良い。この場合は、均一な線路幅で形成された共振器に対して、スイッチ素子7がオフの時の共振周波数を低く、スイッチ素子7がオンしたときの共振周波数を高く、上記した例と逆方向に変化させることも可能である。
以上述べたようにこの発明によれば、可変周波数範囲を広く、且つ損失の少ない、また、共振周波数も自由に設定できる可変共振器が実現できる。
なお、図1に示したこの発明の可変共振器は、マイクロストリップ線路構造を用いた例を示したが、この発明による可変共振器は、線路構造がマイクロストリップ線路に限定されない。コプレーナ線路や同軸線路でも構成可能である。図7に図1に示したこの発明の可変共振器をコプレーナ線路で構成した場合の例を示す。誘電体基板2の一方の面、全面に形成されていた地導体1が無くなり、第1,第2共振器4,6が形成される面と同じ誘電体基板2の表面に地導体70aと70bが形成されている。
地導体70a,70bは、入出力線路3及び、第1共振器4と第2共振器6の共振線路にギャップ71の間隔を空けて近接して配置されている。入出力線路3と各共振器との接続点に近い地導体70a,70bの各角部同士は、地導体70a,70bを高周波的に同電位にする目的でボンディングワイヤー72によって電気的に接続されている。
このようにコプレーナ線路でもこの発明の可変共振器を実現することができる。
〔第2の実施の形態〕
上記した第1の実施の形態では、可変周波数範囲が広い可変共振器が実現できたが、その共振周波数は、基本周波数の整数倍(奇数)と言った比較的に周波数間隔が大きいものであった。第2の実施の形態として、可変共振周波数の分解能が高く(可変周波数が細かく変えられる)て、且つ周波数可変範囲も広い可変共振器の実施例を示す。
まず、第2の実施の形態の説明の前に、これに利用している表皮効果について説明する。
共振線路を伝わる電気信号は、周波数が高くなればなるほど、共振線路の外縁部に集中する特徴を有する。これは高周波信号の表皮効果によるもので、導体中を信号が伝播する場合、電気信号が線路の幅方向に侵入する深さは、表皮深さ(Skin Depth)と呼ばれ式(9)で表される。
Skin Depth=1/√(πfσμ) (9)
ここで、fは周波数、σは導体の導電率、μは導体の透磁率である。
図8に線路の導体に例えば銀を用いた場合のマイクロストリップ線路の電流密度分布を示す。図8(a)では、図22で説明した従来の可変共振器の第1線路225の一部分だけを拡大して示している。図からわかるように線路の縁の部分に最も電流が集中している。図8(b)は、第1線路225の一部と第2線路226a〜226bの部分を示している。このように線路幅が変わっていると、電流は線路の最短経路(線α)を通らず外縁部に集中して流れ、結果的に最短経路より長い経路を伝播している。これは、電気信号が線路の内部を表皮深さ(Skin Depth)より中に入り込もうとせず外側を流れようとするためである。この効果を利用することで、共振器を小型にすることができる。また、共振周波数を細かく可変可能な可変共振器が実現できる。
[実施例1]
この表皮効果をこの発明の可変共振器に応用し、共振周波数の可変分解能を高めた実施例を図9に示す。
平面形状が短冊状の誘電体基板90上の長辺のほぼ中央部分から、入出力線路3が短辺に平行に延長されている。入出力線路3のほぼ中央に対して直交する方向の一方に第1共振器4が配置され、他方に第2共振器6が配置されている。
この実施例1では、第1,第2共振器4,6の線路形状に表皮効果が応用され、共振周波数分解能が高められた構成になっている。第1共振器4の共振線路は、入出力線路3とほぼ同じ幅のW1の線路幅で長さがL1の第1線路91と、第1線路91と直交する向きに配置される幅Tで長さがLbの第2線路R11と、の2つの線路が組み合わさって構成されている。
入出力線路3と第1線路91の一端との交点から、Laの間隔を空けて第2線路R11が第2線路R11の中心を第1線路91の幅の中心に合わせて第1線路91に直交する向きに配置されている。すなわち、第2線路R11の両端は、第1線路91の幅の中央部を中心に対称であり、第1線路91に直交する方向にLbの長さ張り出している。
第2線路R11の入出力線路3と反対側には、第1線路91の延長方向にLcの間隔を空けて第2線路R11と同一形状の第2線路R12が配置されている。以降同じ間隔Lcを空けて4つの第2線路R13、R14、R15、R16、が配置され、第2線路R16の入出力線路3と反対側には第1線路91の他端を長さLc突出させている。第1線路91の他端はViaホール5によって地導体1に接地されている。
以上のように共振線路が構成されている。説明の都合で、共振線路が第1線路81と第2線路Rと言った2つの部分から構成されるように説明を行なったが、実際は一体のものである。
一体である共振線路の線路長は、第1線路91と第2線路R11〜R16で形成される共振線路の外縁部の長さに凡そ等しくなる。これは図9に示すように線路幅が変わっている場合、線路を流れる電流が表皮効果の影響により線路の最短経路を通らずに線路の外縁部に集中して流れ、最短経路よりも長い経路を電流が流れるようになるからである。この例の場合の線路長は、L1より長く、La+n(2Lb+T)+nLcよりも短い線路長になる。Lc及びTをSkin Depth以上の大きさにすることにより、線路長をLa+n(2Lb+T)+nLcの長さに近づけることが可能である。nはこの例の場合6である。2nLbの部分が、第1線路91に沿って配列形成された複数個の第2線路R11〜R16によって線路が延長された分である。
この実施例では、可変共振器の共振周波数の分解能を高める目的で、隣接する第2線路R11〜R16の両端をそれぞれ接続する複数の第3スイッチ素子が設けられている。第2線路R11の両端の入出力線路3側の端と、第2線路R12の両端の入出力線路3側の端との間に、第3スイッチ素子R11aと第3スイッチ素子R11bとがそれぞれ配置されている。以降同様に、第2線路R12とR13との間に第3スイッチ素子R12a,R12b、第2線路R13とR14との間に第3スイッチ素子R13a,R13b、第2線路R14とR15との間に第3スイッチ素子R14a,R14b、第2線路R15とR16との間に第3スイッチ素子R15a,R15b、が配置されている。
第2線路R11〜R16の両端に接続される第3スイッチ素子R11a,R11b〜R15a,R15b(以下、第3スイッチ素子の全部を意味する時はR***と表記する)は、同時にオン/オフするように制御される。例えば、第3スイッチ素子R11aと第3スイッチ素子R11bとをオンさせると、共振線路の線路長を2Lb分短くすることができる。すなわち、第3スイッチ素子R***を全てオフで共振線路長は最大で、上記したようにLa+n(2Lb+T)+nLcの長さであり、第3スイッチ素子Rを全てオンすると共振線路長は最小で、La+T+Lb+Lcの長さになる。この最大と最小の間を第3スイッチ素子R***のペアをオンにする数によって、2Lb分のステップで線路長を可変することが出来る。
以上述べたように第1線路91と第2線路R11〜R16と第3スイッチ素子R***とによって第1共振器4が形成されている。第1共振器4の入出力線路3を挟んで反対側には、第2共振器6を形成する第1線路92を中心に、第2線路R21〜R26と第3スイッチ素子R21a,R21b〜R25a,R25bが配置されている。
第2共振器6は第1共振器4と全く同じ構成であり、上記した第1共振器4を入出力線路3を中心に180°回転させた位置に配置されている。詳細な構成については、第1共振器4と同じであるので説明を省略する。図9(a)を参照されたい。第2共振器6が第1共振器4と唯一異なっている点は、第1線路92の他端がスイッチ素子7を介して地導体1に接地されるようになっている。
以上述べたように実施例1に示す可変共振器を構成する第1共振器4と第2共振器6の線路長が、第3スイッチ素子R***によって細かく切替えられるようになっている。
スイッチ素子7及び第3スイッチ素子R***は、例えばMEMS(Micro Electromechanical Systems)技術を用いた機械的なスイッチで実現することが可能である。もちろん、電界効果型トランジスタ(FET)やPINダイオード等の半導体素子によるスイッチ素子でも作ることが可能である。図8(a)の中のVIII−VIII切断線で見た断面図を図8(b)に示す。第2線路R15の両端表面に第3スイッチ素子R15aとR15bが形成されている様子が分かる。
図9に示した構成のこの発明の可変共振器のスイッチ素子7及び第3スイッチ素子R***をオン/オフさせた時の共振周波数変化の一例を図10に示す。図10の横軸は周波数GHzであり、縦軸はS11(dB)である。
図10中の太線で示す特性が、スイッチ素子7がオフで第3スイッチ素子R***も全てオフの時の特性である。約2.3GHzと7.0GHzで共振している。細線で示す特性が、スイッチ素子7をオフのまま、第3スイッチ素子Rを全てオンにした時の特性である。約2.3GHzが2.8GHz(7.0→8.5GHz)に変化している。これは、第3スイッチ素子Rを全てオンしたことにより、共振線路長が最も短くなり、共振周波数が高くなった状態を示している。図10では図示していないが、図9に示したように第3スイッチ素子R1**とR2**がそれぞれ5組用意されていれば、この2.3GHzと2.8GHzの間に5つの共振周波数を得る事が出来る。
破線に示す特性は、スイッチ素子7がオンで第3スイッチ素子Rも全てオフの時の特性である。約4.8GHzで共振している。一点鎖線で示す特性が、スイッチ素子7をオンのまま、第3スイッチ素子Rを全てオンにした時の特性である。約4.8GHzが5.9GHzに変化している。この変化は同様に第3スイッチ素子Rを全てオンしたことにより、共振線路長が最も短くなったことによる変化である。したがって、こちらも4.8GHzと5.9GHz間で5つの共振周波数を得ることが出来る。
このように図9の構成にすると、スイッチ素子7のオン/オフによって大きく共振周波数を変化させ、第3スイッチ素子R***によってその共振周波数近傍で細かく共振周波数を変えることができる可変共振器となる。第3スイッチ素子R***によって細かく共振周波数が変えられる具体例を示さないが、共振周波数の数及び周波数間隔は、図9の説明で明らかなように、要求仕様に合わせて適宜設計されるものである。
なお、第3スイッチ素子R11a,R11b〜R15a,R15bの各一組ずつを同時にオン/オフするように説明したが、その制御は必ずしも同時に行わなくても良い。例えばR11aだけ、又は、R11bだけ、単独でオンさせるようにしてもよい。その場合は、一組を同時にオンさせた時の周波数変化量よりもその変化量が小さくなるが、共振周波数は変化する。
以降、図9に示した可変共振器を変形した実施例を示す。
〔実施例2〕
図11は同一の共振周波数で帯域幅の異なる可変共振器を実現した例を示す。以降、可変共振器が形成される誘電体基板は省略して示す。第1及び第2共振器4,6の基本構成は、図9で説明した例と同一である。図11は、図9の第2共振器6と入出力線路3との間に第2スイッチ素子110を配置している点が異なる。第2スイッチ素子110をオフにした場合、当然ながら共振周波数は第1共振器4によって決定される。その共振周波数は、スイッチ素子7がオン状態に在っては、第2スイッチ素子110がオンされても変わらない。上記したように、スイッチ素子7をオンすると同一形状で形成された第1共振器4と第2共振器6の線路長の和の1/2になるからである。
したがって、スイッチ素子7がオン状態における第2スイッチ素子110のオン/オフによって、共振周波数は同一であるが、入出力線路3から見た共振周波数以外の周波数におけるインピーダンスを変化させることが出来る。この結果、共振周波数が同一で帯域幅の異なる共振器を実現することが出来る。
帯域幅は、第2スイッチ素子110をオンさせた時の方が広くなる。帯域幅は、要求仕様に合わせて、第2スイッチ素子110のインピーダンス及び第2共振器6の特性インピーダンスによって変えることが可能である。
〔実施例3〕
図12は、共振周波数の自由度を向上させた例を示す図である。第1及び第2共振器4,6の基本構成は、図9で説明した例と同一である。図12(a)は、図9のスイッチ素子7を一極三投スイッチ(Single pole three throw switch、以下SP3Tと称す)120にしたものである。第1線路92の他端(先端)に一極端子120pが接続され、各三投端子は一投端子120aが地導体1に接地され、二投端子120bが開放、三投端子120cに追加線路121の一端が接続されている。
一極端子120pが接地又は開放されるときは、上記した説明済みの動作になり、一極端子120pが三投端子120cに接続されると第2共振器6の線路長が追加線路121の長さ分延長されるので、一極端子120pが開放時の共振周波数よりも低い共振周波数にすることができる。
図12(b)は、図12(a)のSP3T120を一極一投スイッチ(Single pole single throw switch、以下SPSTと称す)2個に置き換えたものである。SPST122と123の一極端子122p及び123pは、第1線路92の他端に接続され、SPST122の一投端子122aは接地され、SPST123の一投端子123aに追加線路121の一端が接続されている。
SPST122が開放(オフ)時に、SPST123をオンさせることでSPST122がオフ時の共振周波数よりも低い共振周波数にすることができる。
〔実施例4〕
図13に周波数間隔を空けて(飛び飛びの周波数)得られる共振周波数の数を増やした実施例を示す。図13は図9に対して、第2共振器6の第2線路R23と第2線路R24の第3スイッチ素子R23bとR24bが接続される側のそれぞれの遊端部に、遊端部を接地させる第4スイッチSPST130と131が接続されている点が異なる。
第4スイッチSPST130と131は、第2共振器6の線路長を大幅に短縮する働きをする。第2共振器6側の第3スイッチ素子R2**が全てオフの条件で、スイッチ素子7及び
第4スイッチSPST130,131がそれぞれ独立にオンされた時の線路長を比較すると、スイッチ素子7の場合は上記したように最長でLa+6(2Lb+T)+6Lcの長さになる。第4スイッチSPST130がオンした時の線路長は、La+5Lb+2T+2Lcと短くなる。第4スイッチSPST131がオンした時の線路長は、それよりも2Lb+T+Lcだけ長い線路長になる。
このように第2共振器6の線路長を第4スイッチSPST130,131によって大きく変えることが出来る。この結果、図10に示した比較的大きな周波数間隔で変化する共振周波数の数を2個増やすことができる。
もちろん、第4スイッチSPST130をオンさせた場合に、有効な第3スイッチ素子R2**の数が減るので図13の例では、その共振周波数近傍で可変できる共振周波数の数も減少するが、その共振周波数近傍で細かく周波数を可変する仕様も容易に設計することが可能である。
このように第4スイッチ素子を設けることで、飛び飛びに大きく共振周波数を変えたい要求に答える事が可能である。
〔実施例5〕
図14に示す実施例5は、図9に示した第1共振器4の第1線路91の他端を第5スイッチ素子140を介して接地するようにしたものである。こうすることで、入出力線路3から第1共振器4を見たインピーダンスを180°変更することが可能になる。
スイッチ素子7と第5スイッチ素子140を両方共にオンした状態では、第1線路91及び第1線路92の他端(先端)におけるインピーダンスがゼロであり、共振時における一端側(入出力線路3との接続点)のインピーダンスは開放となる。逆にスイッチ素子7と第5スイッチ素子140とが両方共にオフ状態では、第1線路91及び第1線路92の他端(先端)におけるインピーダンスが開放になり、共振時における一端側(入出力線路3との接続点)のインピーダンスがゼロになる。
この時のフィルタとしての動作は、図6で示したように同一の周波数で、両スイッチ素子がオンで帯域通過、オフで帯域阻止として動作する。このように第5スイッチ素子140を設けることで共振器としての動作態様を正反対に変えることができる。
〔実施例6〕
実施例5までに示した実施例は、入出力線路3を中心に同一形態の共振器を2つ配置して可変共振器を構成した例を示して来たが、それらの構成を入出力線路3を中心に非対称としてもよい。その例を図15に示す。図15(a)は、説明済みの図9と全く同じものを示している。
図15(b)は、第1共振器4の第2線路R11〜R16を延長し、第1線路91に直交する方向に張り出している長さを長くした例である。このようにすることで、第3スイッチ素子R***のオン/オフによる共振周波数の変化幅を大きくすることが出来る。
図15(c)は、第1線路91の他端側を延長したあと、入出力線路3と平行する方向に一定の長さ延長した後、入出力線路3側に屈曲され、その後、第1線路91に近着く方向に屈曲し、その先端が地導体に接地されている。更にその接地された線路先端と第1線路91との間にその間を導通させる第6スイッチ素子160aと160bが配置されている。このように構成することで、第1共振器4の共振周波数を低くしても入出力線路3と直交する方向の大きさを小さくすることが出来る。
図15(d)は、図15(a)の第1線路91の他端を二股に分け、一方は延長第1線路161として一定の長さ第1線路91をそのまま延長し先端を接地している。その延長第1線路161を中心に第2線路R17,R18,R19が形成され、その両端には、入出力線路3に近い部分の第1線路91と第2線路R11などと同じように第3スイッチ素子R16a,R16bとR17a,R17bが形成されている。すなわち、第1共振器4が同一形状で延長されている。
二股部の他方は、第7スイッチ素子162を介して、一方に延長された共振器と同一形状の共振器が、延長第1線路163と第2線路R17 ,R18 ,R19 と第3スイッチ素子R16a ,R16b とR17a ,R17b とで形成されている。
第7スイッチ素子162をオンさせると、図6で説明済みの効果によって、誘導性が強い部分において共振線路面積が増えるので、誘導性リアクタンスが小さくなる効果が働き、共振周波数を高くすることが出来る。
第7スイッチ素子162をオンさせ、共振周波数を高くした後に、第3スイッチ素子R***で共振周波数を細かく可変することが可能である。このような形状に共振線路を形成することも出来る。
図15(e)は、図15(a)のスイッチ素子7の接地されている端子に、更に追加線路161を設け、その先端を接地させたものである。このように構成すると、スイッチ素子7をオンさせたときの共振周波数を追加線路164の線路分の長さ、低くすることが出来る。
図15(f)は、図15(a)の第2共振器6の第1線路93を図6で説明したステップインピーダンスレゾネータ構造165にしたものである。このように構成すると、均一な線路幅の第1線路93にした場合に対して、スイッチ素子7をオフにしたときの共振周波数を高く、スイッチ素子7をオンしたときの共振周波数を低くすることが出来る。
以上述べたように第1共振器4と第2共振器6とを異なる形態に構成してもよい。このような構成は、先に説明した基本周波数のすぐ隣の、例えば2.5GHzに対する7.5GHz、5.0GHzに対する10GHzの共振周波数を削除するのに有効である。
〔実施例7〕
ここまでに示した実施例は何れも入出力線路3を中心に一方に第1共振器4、他方に第2共振器6が構成される形態で説明を行って来たが、この発明はこの形態に限定されない。入出力線路3を中心に一方に第1共振器4、他方に第2共振器6を形成すると、入出力線路3に直交する方向の幅が大きくなってしまう。
そこで、図16に示すように、この発明の可変共振器は入出力線路3の一方側に第1共振器4と第2共振器6を形成しても同様な動作を行うことが出来る。したがって、この発明の可変共振器は、入出力線路3に直交する方向の大きさを小さくした形状でも形成することが可能である。
〔実施例8〕
この発明の可変共振器を小型化する実施例を図17に示す。図17に示す実施例は、図9に示したこの発明の可変共振器を、導電膜180を挟んで2枚の短冊状の誘電体基板171と172とで構成した例である。図17(a)が誘電体基板171と172を重ねて可変共振として完成された状態の外観を示す斜視図である。図17(b)は誘電体基板170の一方の面に形成される導電膜170の表面を示す図、図17(c)は図17(b)の反対側の面を示す図、図17(d)は誘電体基板172の誘電体基板171との対接面と反対側の面を示す図である。
短冊状の誘電体基板171,172と同形状の導電膜170には、コプレーナ線路構造で入出力線路3が形成されている。つまり、入出力線路3を挟んで同一面の両側に地導体170aと170dが形成されている。入出力線路3の線路延長方向の略中央にはViaホール170cが形成されている。
導電膜170を中心に一方側の誘電体基板171を挟んで誘電体基板171の反対側の面には、第1共振器4が形成されており、第1共振器4の第1線路91の一端がViaホール170cを介して入出力線路3と接続されている。第1線路91の他端はViaホール170dによって地導体170bに接地されている。
導体膜170を中心に他方側の誘電体基板172を挟んで誘電体基板172の反対側の面には、第2共振器6が形成されており、第2共振器6の第1線路92の一端がViaホール172aを通じで入出力線路3のViaホール170cの位置に接続されている。第1線路92の他端は、スイッチ素子7とViaホール172bを介して地導体170bに接地されている。
このような構成にすることで、入出力線路3の延長方向に対して直交する方向の大きさを小さくすることが出来る。
図18は、第1共振器4及び第2共振器6それぞれに対向する位置に遮蔽用地導体181a,181bを配置した例である。図18(a),(b),(c)は、図17と同じ面を表す図である。図18(e)は遮蔽用地導体181aの誘電体基板171と反対側の面を示す、図18(f)は遮蔽用地導体181bの誘電体基板172と反対側の面を示す、図18(g)は図18(a)の中央縦断面を示す図である。
第1共振器4の他端が導体柱180aを介して第1共振器4に対向する位置に配置された遮蔽用地導体181aに接続されている。第2共振器6の他端がViaホール172bの替わりに導体柱180bを介して第2共振器6に対向する位置に配置された遮蔽用地導体181bに接続されている。
このように構成することで、マイクロストリップ線路で構成された両共振器4,6に挟まれた導体膜170を誘電体基板171(172)の全面に形成する必要が無くなる。図19に示すように地導体170bの面積が小となっている。図17の地導体170bに対して小さくなった部分に他の回路を形成してもよい。また、第1共振器4及び第2共振器6が露出しなくなるので、雑音余裕度を向上させることが可能である。要するに、地導体181a,181bがシールド板として機能するので、雑音の放射や雑音の飛び込みのレベルを低減することが可能になる。
〔実施例9〕
図18に示したこの発明の可変共振器を更に小型化した実施例を図19に示す。図19は、四枚の誘電体基板を積み重ねた構造でこの発明の可変共振器を構成することで、入出力線路3の延長方向の共振器の大きさも小型にしたものである。図19(a)〜図19(g)は、図18(a)〜図18(g)と同じ部分を示す図である。
誘電体の二層目191と三層目192の対接面の導電膜170の上に入出力線路3がコプレーナ線路で形成され、誘電体の一層目190と二層目191の対接面の一方に第1共振器4の第1線路91が形成されている。第1線路91の一端は2層目191に空けられたViaホール170cを介して入出力線路3に接続され、第1線路91の他端も第2層目191に空けられたViaホール170cを介して入出力線路3に接続される。第1共振器4の第1線路91の両側に線路に沿って一層目190の誘電体層に形成された配線層間接続194a〜194fが複数配列形成されている。一層目190の誘電体層の外面において隣接する配線層間接続同士を接続することができる第3スイッチR11a〜R15aが設けられている。つまり第1線路91の両側に線路に沿って形成された配線層間接続が第2線路を形成している。
同様に三層目192と四層目193の対接面の一方に第2共振器6の第1線路92が形成され、第1線路92の一端は三層目192に空けられたViaホール172aを介して入出力線路3に接続され、第1線路92の他端も三層目192に空けられたViaホール172bを介して地導体170bに接続される。第2共振器6の第1線路92の両側に線路に沿って三層目192の誘電体層に形成された配線層間接続195a〜195fが複数配列形成されている。四層目193の誘電体層の外面において隣接する配線層間接続同士を接続することができる第3スイッチR11b〜R15bが設けられている。この配線層間接続の部分で第2線路を形成している。
このように構成することで、第2線路を導電膜170に対して垂直方向に形成できるので、入出力線路3の線路延長方向の大きさを小さくすることが可能である。
〔応用例〕
この発明による可変共振器の応用例を図20と図21に示す。図20は、この発明の可変共振器を2段、210と211とを電界結合により直列接続したものである。入出力ポート212と1段目の可変共振器210の入出力線路210aとは、同じ線路幅でギャップ300の間隔を空けて対向している。1段目の可変共振器210と2段目の可変共振器211及び、2段目の可変共振器211と入出力ポート213との間も、ギャップ301及び302の間隔をそれぞれ空けて対向している。これらのギャップ300〜302の間隔及び対向する部分の線路形状は結合の度合いにより設計されるものである。
図21は、図20と同じ構成を磁界結合で直列に接続したものである。入出力ポート220が可変共振器210の第1共振器4と第2共振器6に沿う形で、間隔D1を空けて配置されている。可変共振器210と211も間隔D2を空けて平行に配置されている。入出力ポート220と同一形状の入出力ポート221が、可変共振器211と間隔D3を空けて配置されている。入出力ポート220、可変共振器210,211、と入出力ポート221のそれぞれの間は磁界で結合する。
以上説明して来たように、この発明の可変共振器は、入出力線路に対して、第1共振器と第2共振器を並列に接続する構成とし、共振周波数を可変したい場合に第2共振器の入出力線路と反対側の端をスイッチで接地することで大きく共振周波数を変化させることが出来る。この発明の場合、そのスイッチの接触抵抗が並列で効くので、従来技術に対してスイッチの抵抗の影響を小さくすることが出来る。したがって、可変周波数範囲が広く、且つ損失の少ない可変共振器が実現できる。
更に、共振線路の形状を工夫し、線路長を細かく可変することで、上記大きく変化させた共振周波数の近傍で細かく共振周波数を可変可能にした可変共振器が実現できる。
この発明によるマイクロストリップ線路を用いた可変共振器を示す図である。図1(a)がその平面図、図1(b)がI−I切断線で見た断面図である。 この発明の可変共振と従来の可変共振器の挿入損失の差を説明する図である。図2(a)は従来の可変共振器を示し、図2(b)は挿入損失を比較したグラフを示す図である。 この発明の可変共振器の具体例を示す図である。図3(a)はスイッチ素子がオフ時の共振周波数の周波数特性を示す図である。図3(b)はスイッチ素子がオフ時の共振周波数の周波数特性を示す図である。図3(c)は、共振周波数を整理して示す図である。 この発明の可変共振器の具体例を示す図である。図4(a)はスイッチ素子がオフ時の共振周波数の周波数特性を示す図である。図4(b)はスイッチ素子がオフ時の共振周波数の周波数特性を示す図である。図4(c)は、共振周波数を整理して示す図である。 この発明の可変共振器の具体例を示す図である。図5(a)はスイッチ素子がオフ時の共振周波数の周波数特性を示す図である。図5(b)はスイッチ素子がオフ時の共振周波数の周波数特性を示す図である。図5(c)は、共振周波数を整理して示す図である。 スイッチ素子7のオン/オフに伴う共振周波数の組み合わせの選択肢を増やすための他の方法を示す図である。図6(a)は、線路幅を均一に形成した第2共振器を示す図である。図6(b)は、図6(a)の周波数特性を示す図である。図6(c)はステップインピーダンスレゾネータ構造で第2共振器を構成した例を示す図である。図6(d)は、図6(c)の周波数特性を示す図である。 この発明による可変共振器をコプレーナ線路で構成した例を示す図である。図7(a)がその平面図、図7(b)がVII−VII切断線で見た断面図である。 表皮効果を説明する図である。図8(a)が線路幅が均一な部分における電流密度分布を示す図、図8(b)が線幅が変化する部分における電流密度分布を示す図である。 表皮効果を利用して周波数分解能を高めたこの発明の可変共振器の実施例を示す図である。 図9に示した可変共振器の周波数特性を示す図である。 この発明の実施例2を示す図である。 この発明の実施例3を示す図である。 この発明の実施例4を示す図である。 この発明の実施例5を示す図である。 この発明の実施例6を示す図である。 この発明の実施例7を示す図である。 この発明の可変共振器を小型化する実施例8を示す図である。図17(a)は誘電体基板171と172を重ねて可変共振として完成された状態の外観を示す斜視図、図17(b)は誘電体基板170の一方の面に形成される導電膜170の表面を示す図、図17(c)は図17(b)の反対側の面を示す図、図17(d)は誘電体基板172の誘電体基板171との対接面と反対側の面を示す図である。 図17に示した可変共振器の雑音余裕度を向上させた実施例を示す図である。図18(a)は遮蔽用地導体181aと181bを設けた可変共振器の外観を示す斜視図、図18(b)は誘電体基板170の一方の面に形成される導電膜170の表面を示す図、図18(c)は図18(b)の反対側の面を示す図、図18(d)は誘電体基板172の誘電体基板171との対接面と反対側の面を示す図、図18(e)は遮蔽用地導体181aの誘電体基板171と反対側の面を示す、図18(f)は遮蔽用地導体181bの誘電体基板172と反対側の面を示す、図18(g)は図18(a)の中央縦断面を示す図である。 入出力線路の延長方向の大きさも小さくした実施例を示す図である。図19(a)は4枚の誘電体基板190〜193を重ねて可変共振として完成された状態の外観を示す斜視図、図19(b)は二層目191の一方の面に形成される導電膜170の表面を示す図、図19(c)は図19(b)の反対側の面を示す図、図19(d)は三層目192の導電膜170と反対側の面を示す図、図19(e)は二層目と対接しない方の一層目の面を示す図、図19(f)は三層目と対接しない方の四層目の面を示す図、図19(g)は図19(a)の中央縦断面を示す図である。 この発明の共振器を2段直列に接続した応用例を示す図である。 図20を磁界結合で接合させた例を示す図である。 従来の可変共振器の一例を示す図である。

Claims (10)

  1. 誘電体基板と
    その誘電体基板上に形成された入出力線路と、
    上記入出力線路に一端が接続され、他端が接地された第1共振器と、
    上記第1共振器の上記一端と上記入出力線路の接続点に、一端が接続され他端がスイッチ素子を介して接地される第2共振器と、
    を備えたことを特徴とする可変共振器。
  2. 請求項1に記載の可変共振器において、
    上記第2共振器の一端側の線路幅が他端側の幅と異なっていることを特徴とする可変共振器。
  3. 請求項1又は2に記載の可変共振器において、
    上記第2共振器の上記一端側が第2スイッチ素子を介して上記第1共振器の上記一端と上記入出力線路の接続点に接続されることを特徴とする可変共振器。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の可変共振器において、
    上記第1及び第2共振器がそれぞれ第1線路と、上記第1線路に沿って配列接続された複数個の第2線路と、から構成されることを特徴とする可変共振器。
  5. 請求項4に記載の可変共振器において、
    上記隣接された第2線路の同一側の遊端同士を、それぞれ接続することができる第3スイッチ素子が設けられていることを特徴とする可変共振器。
  6. 請求項5に記載の可変共振器において、
    上記第2線路の遊端側を接地することができる第4スイッチ素子が設けられていることを特徴とする可変共振器。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の可変共振器において、
    上記第1共振器の上記他端を接地することができる第5スイッチ素子が設けられていることを特徴とする可変共振器。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の可変共振器において、
    上記誘電体基板は導電膜を介し誘電体層が積層されて構成され、上記導電膜層に上記入出力線路がコプレーナ線路で形成され、上記第1共振器及び上記第2共振器が、上記積層誘電体基板の両外側に形成され、これら第1共振器及び第2共振器は誘電体層を介して上記コプレーナ線路と接続されていることを特徴とする可変共振器。
  9. 請求項8に記載の可変共振器において、
    上記第1及び第2の共振器が形成された導体膜部分の全体に渡って対向する位置にそれぞれ遮蔽用地導体が配置されていることを特徴とする可変共振器。
  10. 請求項4乃至7の何れかに記載の共振器において、
    上記誘電体基板は四層の誘電体層よりなり、
    これら誘電体の二層目と三層目の対接面の導電膜に上記入出力線路がコプレーナ線路で形成され、
    上記誘電体層の一層目と二層目の対接面の一方に第1共振器の第1線路が形成され、その第1経路は2層目の誘電体層を介して上記コプレーナ線路と接続され、
    第1共振器の第1線路の両側にこれらに沿って一層目の誘電体層に形成された上記第2線路の少なくとも一部を構成する配線層間接続が複数配列形成され、
    一層目の誘電体層の外面において上記配線層間接続の隣接するものを接続することができる上記第3スイッチ素子が設けられ、
    上記誘電体層の三層目と四層目の対接面の一方に第2共振器の第1線路が形成され、その第1経路は四層目の誘電体層を介して上記コプレーナ線路と接続され、
    第2共振器の第1線路の両側にこれらに沿って三層目の誘電体層に形成された上記第2線路の少なくとも一部を構成する配線層間接続が複数配列形成され、
    四層目の誘電体層の外面において上記配線層間接続の隣接するものを接続することができる第2共振器の第3スイッチ素子が設けられていることを特徴とする可変共振器。
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