JP2007134208A - イオン発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラックを発生させることなく、所定の膜厚で形成することができるとともに、薄い膜厚で耐スパッタ性能を向上させることが可能な電極被覆層を備えたイオン発生装置を提供することである。
【解決手段】イオン発生装置1は、下部電極13と、下部電極13の上に形成された誘電体層15と、誘電体層15の上に形成された上部電極12と、上部電極12の表面を覆うように形成された保護膜14とを備え、保護膜14は、酸化チタンを含み、かつ、分子量が600以上の有機チタン化合物を塗布し焼成することによって形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般的にはイオン発生装置に関し、特定的には誘電体を挟む2つの電極の間に交互電圧を印加して放電させることにより、正負イオンを発生するイオン発生装置に関するものである。
イオンを発生させる方法しては、水に衝撃を与えることによってレナード効果によりイオンを発生させる方法と、電極に高電圧を印加することによって電気的にイオンを発生させる方法がある。
レナード効果によりイオンを発生させる方法は、負イオンを発生させることができるが、正イオンを発生させることができない、イオンの発生により空気が加湿される、装置が大型になるという欠点がある。
電極に高電圧を印加することによって電気的にイオンを発生させる方法としては、針状電極と対向電極との間に高電圧を印加することによってイオンを発生させることができる。この高電圧印加方式においては、空気に与える放電エネルギーを調節することによって、発生するイオン種の生成量を変化させることができるという利点がある。
また、誘電体層を挟んで形成した2つの電極の間に電圧を印加することによって放電させる沿面放電方式は、誘電体を使用しているため、空気中の電極間に電圧を印加する方法に比べて、一般的に低電圧でイオンを発生させることができるという利点がある。
しかし、沿面放電方式は、イオンの衝突によって発生する電極のスパッタリング現象により電極が消失するのを防止するために、イオンと衝突する部分の電極表面を保護膜で覆う必要がある。
たとえば、特開平10−186803号公報(特許文献1)に記載されているように、外面側に位置する電極を覆うように高融点フィラーを含有するガラスペーストからなる保護層をスクリーン印刷法等の厚膜印刷方法によって形成することが提案されている。この保護層を形成することにより、放電により発生したイオンが保護層に衝突しても、保護層が損傷し難く、保護層に含有されているフィラーによって電極の耐久性は向上するが、空気中に印加される電界強度が小さくなる可能性がある。このため、発生するイオン量が減少するという問題、また、イオンを発生させるために最低限必要な印加電圧が高くなり、消費電力が増大するという問題、耐圧性能の高い部品を使用する必要があるためにイオン発生装置が大型化する、コストが高くなるという欠点がある。
このような問題を解消するために、イオン発生電極の耐久性が損なわれない範囲で、保護膜の厚みをできるだけ薄くする必要がある。しかし、厚膜印刷方法によれば、ガラス系の保護膜は5〜15μmの厚みで形成されるので、より薄い厚みの保護膜を得ることが困難である。
そこで、イオン発生電極の外面を覆うように薄い保護膜を形成する方法として、たとえば、特開2001-93647号公報(特許文献2)では、ディップ法やCVD法を用いて、単層あたりの膜厚を100nm以下にしてシリカまたはジルコニアと酸化タンタルとの多層膜からなる保護層を形成することが提案されている。しかし、この方法によっても、イオン発生量等のイオン発生装置としての性能を確保するとともに、薄い膜でイオン衝撃に対する耐スパッタ性能を向上させるには限度があり、さらに耐スパッタ性能を向上させる必要があるという課題があった。
特開平10‐186803号公報 特開2001‐93647号公報
これらの対策として保護膜として酸化チタン膜を使用することによって、薄い膜厚で高い耐スパッタ性能が得られる。
純粋な酸化チタン膜を得るためにはスパッタ法や有機チタン化合物の塗布・焼成による方法がある。
スパッタ法においては真空室で成膜を行う必要があり、かつ成膜速度が遅いため、高コストになるという欠点があった。
また、有機チタン化合物の塗布・焼成による方法においては、有機チタン化合物の塗布・焼成により形成可能な膜厚は、一般的に0.1μm程度で、厚い膜厚が得られないため塗布・焼成を繰り返す必要があった。たとえば、電極の耐久性を考慮して、1μmの膜厚を得るためには、塗布・焼成を10回程度繰り返す必要がある。このため、製造に時間がかかり、高コストになるという欠点があった。
一方、有機チタン化合物は、一般に有機溶剤で希釈して使用するが、膜厚を厚くするために有機チタン化合物の濃度を高くする必要があった。しかし、濃度を高くすると基板に厚く塗布することができるが、焼成後、膜にクラックが発生し、基材から剥離する可能性があるため、膜厚を厚くすることができないという問題があった。
そこで、この発明の目的は、クラックを発生させることなく、所定の膜厚で形成することができるとともに、薄い膜厚で耐スパッタ性能を向上させることが可能な電極被覆層を備えたイオン発生装置を提供することである。
この発明に従ったイオン発生装置は、第1の電極と、この第1の電極の上に形成された誘電体と、この誘電体の上に形成された第2の電極と、第1の電極または第2の電極のいずれかの電極の表面を覆うように形成された被覆層とを備え、この被覆層は、酸化チタンを含み、かつ、分子量が600以上の有機チタン化合物を塗布し焼成することによって形成されている。
この発明に従ったイオン発生装置においては、被覆層を形成するために有機チタン化合物を1回で塗布することが可能な厚みを0.2μm以上にすることができ、一定の膜厚の被覆層を得るための塗布・焼成の回数を減らすことができる。有機チタン化合物の分子量を大きくすることによって、膜厚を厚くした際に問題となる焼成後のクラックが発生することなく、膜厚を厚くすることができる。また、被覆層は酸化チタンを含むので、薄い膜厚で耐スパッタ性能を向上させることができる。
この発明に従ったイオン発生装置においては、有機チタン化合物は、ポリヒドロキシチタンステアレートであるのが好ましい。
この場合、この有機チタン化合物の平均分子量は600以上であるため、一定の膜厚の被覆層を得るために、厚い膜厚で基材に対して塗布・焼成を行うことができる。
また、この発明に従ったイオン発生装置においては、有機チタン化合物の塗布は、スピンコート法によって行われるのが好ましい。
有機チタン化合物は、一般的にディップ法により、形成される。しかし、分子量が600以上の有機チタン化合物は比較的粘性が高いため、薬液に基板を浸漬して引き上げるディップ法で塗布した場合、基板表面を薬液が十分流れきる前に乾燥してしまい、膜厚ムラが発生しやすいという欠点がある。一方、スピンコート法で塗布する場合は、基板に薬剤を滴下した後、基板の回転によって瞬時に基板全面に薬剤を広げるため、分子量の大きい有機チタン化合物を均一な膜厚で塗布して形成するのに適している。
さらに、この発明に従ったイオン発生装置においては、被覆層の厚みは1〜4μmであり、誘電体の厚みは25〜50μmであるのが好ましい。
この場合、沿面放電式のイオン発生装置において、誘電体の膜厚を薄くし、被覆層の膜厚を薄くすることによって、放電させるのに必要な最小限の電圧を低くすることができ、消費電力を小さくし、電源回路を小さくすることができるという利点が得られる。
この発明に従ったイオン発生装置は、発生する正イオンがH(HO)、負イオンがO (HO)であるのが好ましい。
この場合、これらのイオンを空気中に発生させることにより、細菌やウイルスの不活化、アレルゲンの失活を行うことができる。また、これらのイオンは、森林等の自然界に存在するイオンと同種であり、人体に対して無害である。これらのイオンを発生させるためには、空気に印加されるエネルギーを調整することによって可能である。
上記のイオン発生装置は、正イオンと負イオンとが化学反応することによって過酸化水素(H)、二酸化水素(HO)およびヒドロキシラジカル(・OH)からなる群より選ばれた少なくとも1種を生成するのが好ましい。
以上のようにこの発明によれば、クラックを発生させることなく、所定の膜厚で被覆層を形成することができるとともに、被覆層が酸化チタンを含むので、薄い膜厚で耐スパッタ性能を向上させることが可能である。
以下、この発明の一つの実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の一つの実施の形態として沿面放電方式のイオン発生装置の構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、イオン発生装置1では、絶縁性の基板11の表面上に第1の電極としての下部電極13が形成されている。誘電体として、下部電極13の表面を覆うようにガラス等の酸化物からなる誘電体層15が形成されている。誘電体層15の上には、第2の電極として上部電極12が形成されている。上部電極12の一部領域が誘電体層15を介して下部電極13の平面領域に対向するように形成されている。誘電体層15を挟む下部電極13と上部電極12の間に交互電圧を印加することができるように高周波電源である駆動電源16が半田付け端子部分18に接続されている。
誘電体層15と上部電極12の外表面を覆う被覆層としての保護膜14は酸化チタンを含む。保護膜14は、分子量が600以上の有機チタン化合物を塗布し焼成することによって形成されている。
上部電極12および下部電極13と外部回路としての駆動電源16とを接続するための半田付け端子部分18は、イオン発生部の側と反対側の表面としての基板11の裏面上に形成されている。半田付け端子部分18は、スルーホール部17を介して上部電極12および下部電極13のそれぞれに接続されている。
下部電極13と上部電極12の間に交互電圧を印加して放電させることにより、イオン発生電極としての上部電極12から正負イオンを発生させることができる。
図2は、この発明のもう一つの実施の形態として沿面放電方式のイオン発生装置の構成を模式的に示す図である。
図2に示すように、イオン発生装置2では、誘電体の基板21の下に第1の電極としての下部電極23が形成されている。誘電体の基板21の上には、第2の電極として上部電極22が形成されている。上部電極22の一部領域が誘電体の基板21を介して下部電極23の平面領域に対向するように形成されている。誘電体の基板21を挟む下部電極23と上部電極22の間に交互電圧を印加することができるように高周波電源である駆動電源26が下部電極23と上部電極22に接続されている。
誘電体の基板21と上部電極22の外表面を覆う被覆層としての保護膜24は酸化チタンを含む。保護膜24は、分子量が600以上の有機チタン化合物を塗布し焼成することによって形成されている。
下部電極23と上部電極22の間に交互電圧を印加して放電させることにより、イオン発生電極としての上部電極22から正負イオンを発生させることができる。
以上のようにイオン発生装置1と2が構成されているので、耐スパッタ性能の高い材料である酸化チタン膜をイオン発生電極としての上部電極12、22の保護膜14、24として使用しており、その形成用材料として、分子量が600以上の有機チタン化合物を用いているため、塗布・焼成時の膜厚を厚くすることができ、高効率で保護膜を形成することができる。
また、イオン発生電極として上部電極12、22の表面を酸化チタンからなる膜厚4μm以下の保護膜で覆うと同時に誘電体の膜厚を50μm以下にすることによって、低電圧かつ低消費電力でイオンを発生させることができる。その結果、イオン発生装置1、2の駆動回路を小さくすることができる。
さらに、保護膜14、24が酸化チタンを含んでいるため、シリカを用いて保護膜を形成する場合に比べて耐久性に優れ、長期間にわたって信頼性を維持することができる。
この発明のイオン発生装置1、2は、イオン発生電極として上部電極12、22の表面の保護膜14、24を、分子量が600以上の有機チタン化合物を含む溶液を塗布・焼成することによって形成している。このため、1回で塗布できる膜厚を0.2μm以上にすることができ、一定の膜厚を得るための塗布・焼成の回数を減らすことができる。分子量を大きくすることによって、膜厚を厚くした際に問題となる焼成後のクラックが発生することなく、膜厚を厚くすることができる。
一般的に、膜厚を厚くしたときに問題となるクラックの発生は、次のメカニズムが考えられる。有機チタン化合物が焼結する際に、膜内部で収縮応力が発生する。このため、膜と基板の界面で剥離が発生する。
分子量を大きくすることによって、クラックが発生しなくなるメカニズムは、明確ではないが次のメカニズムが考えられる。
分子量を大きくすることによって、焼成時の焼結速度が遅くなるため、膜内部で発生する応力の急激な上昇が抑えられる。その結果、膜と基材の界面部分で剥離を起こすことなく、厚い膜を形成することができる。
また、保護膜14、24の膜厚や誘電体15、21の膜厚を薄くすることによって、放電開始電圧を低減することができることは、従来より知られていたが、発明者らの検討の結果、次の点が明らかになった。
誘電体15、21の膜厚を薄くしても保護膜14、24の膜厚が約10μm程度の場合、放電開始電圧はほとんど低減されないが、保護膜14、24の膜厚を4μm以下にした場合、誘電体15、21の膜厚を薄くすることによって、放電開始電圧を低減することができる。
酸化チタンの保護膜14、24の膜厚は、耐スパッタ性を考慮すると1μm程度必要で、必要な信頼性に応じて膜厚を厚くする必要がある。膜厚を約4μmにすることによって、1μmの場合に比べて放電開始電圧は100V程度高くなるが、誘電体を50μm以下にすることによって、放電開始電圧を1kV以下にすることができる。本発明によるイオン発生装置1、2によれば、たとえば、誘電体15、21の膜厚が200μm、保護膜14、24の膜厚が8〜9μmのイオン発生装置1、2の放電開始電圧が1.5kV程度であるのに対し、低電圧でイオンを発生させることができる。なお、保護膜14、24を分子量が600以上の有機チタン化合物を用いて形成しているため、一回の塗布・焼成で形成することができる酸化チタン膜の膜厚を厚くすることができ、高効率で保護膜を形成することができる。
この発明の一つの実施の形態としてのイオン発生装置において、発生する正イオンがH(HO)、負イオンがO (HO)であるのが好ましい。これらのイオンを空気中に発生させることにより、細菌やウイルスの不活化、アレルゲンの失活を行うことができる。また、これらのイオンは、森林等の自然界に存在するイオンと同種であり、人体に対して無害である。なお、これらのイオンは、空気に印加されるエネルギーを調整することによって発生させることが可能である。
また、上記のイオン発生装置において、正イオンと負イオンとが化学反応することによって、高い分解能力を持つ過酸化水素H、二酸化水素HO、またはヒドロキシラジカル・OHの少なくとも1種を生成するものが好ましい。これらは、下記の反応により得られる。
+ O → ・OH + H
+ O →HO+ H
以下、本発明のイオン発生装置を作製した実施例を比較例とともに図1と図2に基づいて詳細に説明する。
(実施例1)
有機チタン化合物の1種であるポリヒドロキシチタンステアレート(松本交商製TPHS、分子式〔Ti(OCOC1735)-O〕n)を粉砕し、キシレンで溶解することにより、有機チタン化合物溶液を作製した。このとき、重量比で、ポリヒドロキシチタンステアレート20%に対し、キシレン80%になるように濃度を調整した。ガラス基板上に作製した溶液を滴下し、回転速度 約2200rpmにて1分間回転することによってガラス基板上に均一な膜を塗布した。その後、焼成炉にて温度500℃で1時間焼成することによって、膜を焼成した。スピンコートによる塗布と焼成を10回繰り返すことによって、10層の膜を形成した。
(実施例2)
有機チタン化合物溶液を実施例1と同じ方法で作製した。その後、ガラス基板を上記の溶液に浸漬し、引き上げることによって塗布を行った。その後、温度500℃で1時間焼成を行い、膜を焼成した。本サイクルを10回繰り返すことによって、10層の膜を形成した。
(比較例1)
有機チタン化合物として、チタンオクタンジオレート(松本交商製TC200、分子式(C17O)-Ti-(C17)を使用し、ブタノールで10倍に希釈した。ガラス基板を上記の溶液に浸漬し、引き上げることによって塗布を行った。その後、温度500℃で1時間焼成を行い、膜を焼成した。本サイクルを10回繰り返すことによって、10層の膜を形成した。
(比較例2)
有機チタン化合物として、チタンオクタンジオレート(松本交商製TC200、分子式(C17O)-Ti-(C17)を使用し、ブタノールで5倍に希釈した。ガラス基板を上記の溶液に浸漬し、引き上げることによって塗布を行った。その後、温度500℃で1時間焼成を行い、膜を焼成した。本サイクルを10回繰り返すことによって、10層の膜を形成した。
(比較例3)
有機チタン化合物として、チタントリエタノールアミネート(松本交商製TC400、分子式(C14N)-Ti-(CO))を使用し、ブタノールで10倍に希釈した。ガラス基板を上記の溶液に浸漬し、引き上げることによって塗布を行った。その後、温度500℃で1時間焼成を行い、膜を焼成した。本サイクルを10回繰り返すことによって、10層の膜を形成した。
(比較例4)
有機チタン化合物として、チタントリエタノールアミネート(松本交商製TC400、分子式(C14N)-Ti-(CO))を使用し、ブタノールで5倍に希釈した。ガラス基板を上記の溶液に浸漬し、引き上げることによって塗布を行った。その後、温度500℃で1時間焼成を行い、膜を焼成した。本サイクルを10回繰り返すことによって、10層の膜を形成した。
実施例1と比較例1〜4のサンプルの外観を調べるとともに基板を分断し、断面を顕微鏡撮影することによって、被膜の膜厚を調べた。結果を表1に示す。
Figure 2007134208
有機チタン化合物として、チタンオクタンジオレート(TC200、分子量596)とチタントリエタノールアミネート(TC400、分子量462)を使用し、10倍に希釈した溶液を使用し、膜を形成した比較例1、3のサンプルにおいては、膜の形成状態は良好であるが、1層当たりの膜厚が0.1μmしか得られておらず、1μmの膜厚を得るために、10層塗布する必要がある。保護膜の耐久性を向上させるために、膜厚を厚く、たとえば、4μmにする場合、40回塗布・焼成を繰り返す必要があり、製造の効率が悪く、製造コストが高くなるという問題がある。塗布膜厚を厚くするために、塗布する有機チタン化合物の濃度を高くしたサンプルである比較例2、4においては、形成時に膜が剥離し、保護膜を形成することができないという問題がある。
一方、有機チタン化合物として、ポリヒドロキシチタンステアレート(TPHS)を使用した実施例1と2においては、1層当たりの膜厚が0.3μmまたは0.35μmである。また、被膜形成時にディップ法にて形成を行った実施例2においては、一部膜厚にムラが見られるが、スピンコートを行った実施例1においては、膜厚ムラが発生することなく、均一な膜が得られている。
本発明の実施例として使用しているポリヒドロキシチタンステアレートは、分子式〔Ti(OCOC1735)-O〕nで表され、nの数値としてある一定の範囲を持った分子が混合した状態で分布している。nの値によって分子量が異なるが、室温で固体であることから少なくとも大部分がn=2以上であると推定される。したがって、平均分子量は、694以上であると推定される。
一方、比較例で使用した有機チタン化合物は、チタンオクタンジオレート(TC200)の分子量は596、チタントリエタノールアミネート(TC400)の分子量は462であり、分子量が600以下となっている。
本発明による有機チタン化合物は、分子量が大きいために焼結時に膜の内部で発生する応力の上昇が小さく、1層当たりの膜厚をより厚くすることができるものと推定される。
(実施例3)
図1に示すように、重量比率でアルミナを96%含み、厚みが0.635mmの基板11に、厚膜用銀パラジウム(AgPd)を印刷し、焼成することにより、下部電極13と半田付け端子部分18を形成した。なお、銀パラジウム(AgPd)を印刷する際に、裏面より吸引を行い、基板11に形成された貫通穴に電極を塗布し、表面と裏面を導通させるためのスルーホール部17を形成した。その後、誘電体層15として結晶化ガラスを印刷し、焼成することにより形成した。なお、誘電体層15の膜厚は、印刷焼成を3回繰り返すことにより、膜厚が50μmとなるように調整した。次に、上部電極12として銀パラジウム(AgPd)を印刷し、焼成することにより形成した。このとき、銀パラジウム(AgPd)の印刷時、裏面より吸引を行い、スルーホール部17の形成を行った。
次に、上部電極12と誘電体層15、基板11を覆うように保護膜14を形成した。基板11の裏面に形成した半田付け端子部18を覆うように、マスキング用粘着テープを貼り付けた後、オーバーコート材料として、有機チタン化合物(松本製薬製TPHSを粉砕し、1−ブタノールで希釈しTPHS20%溶液としたもの)を基板11上に滴下した後、回転数2200rpmにて基板11を回転することにより、塗布した。マスキングテープを剥がした後、有機チタン化合物を塗布した基板11を温度700℃で1時間焼成した。
マスキングテープ貼り付け、スピンコートによる塗布、マスキングテープの剥離、焼成を4回繰り返し、厚みが約1μmの保護膜14を得た。
(実施例4)
実施例3と同様の方法、材料により、イオン発生装置を作製した。ただし、保護膜14は、実施例3と同じ方法で、13層で形成し、膜厚が4μmになるように膜の形成を行った。
(実施例5)
実施例3と同様の方法、材料により、イオン発生装置を作製した。ただし、誘電体層15は、2層で形成し、膜厚が25μmになるように印刷条件の調整を行った。また、実施例3と同じ方法で、保護膜14は4層で形成し、膜厚が1μmになるように膜の形成を行った。
(実施例6)
実施例3と同様の方法、材料により、イオン発生装置を作製した。ただし、誘電体層15は、2層で形成し、膜厚が25μmになるように印刷条件の調整を行った。また、実施例3と同じ方法で、保護膜14を13層で形成し、膜厚が4μmになるように膜の形成を行った。
(比較例5)
実施例3と同じ方法で、イオン発生装置を作製した。ただし、保護膜14は、厚膜印刷法によりガラスペーストを印刷し、温度500℃で焼成することにより膜の形成を行った。焼成後の膜厚は8〜9μmとなった。
(比較例6)
図1に示す層構成を一般的なグリーンシート積層法により、形成を行った。基板11としてアルミナグリーンシートを用い、タングステン電極を印刷法により形成した。誘電体層15も、基板11と同様にアルミナグリーンシートを用い、イオン発生電極として上部電極12と下部電極13とを形成後、積層プレスにより所定の層構成になるように、積層化・焼成を行った。なお、保護膜14としてアルミナを厚膜印刷法によって膜形成を行った。焼成後の誘電体層15の膜厚は200μmで、保護膜14の膜厚は8〜9μmであった。
(比較例7)
図2に示すように、厚みが400μmのアルミナからなる基板21の裏面と表面のそれぞれに、銀パラジウム(AgPd)からなる上部電極22、下部電極23を厚膜印刷・焼成法によって所定のパターンで形成した。その後、電極の半田付け端子部を覆うようにマスキング用粘着テープを貼り付けた後、オーバーコート材料として、有機チタン化合物(松本製薬製TPHSを粉砕し、1−ブタノールで希釈しTPHS20%溶液としたもの)を基板21上に滴下した後、回転数2200rpmにて基板21を回転することにより、塗布した。マスキングテープを剥がした後、有機チタン化合物を塗布した基板21を、温度700℃で1時間焼成した。
マスキングテープ貼り付け、スピンコートによる塗布、マスキングテープの剥離、焼成を4回繰り返し、約1μmの保護膜24を得た。
実施例3〜6と比較例5〜7の上部電極と下部電極との間に、図1の駆動電源16または図2の駆動電源26を接続し、20kHzの高周波電圧を印加し、電圧とイオン発生量の相関関係を調べた。
正イオンの測定結果を図3と図4に示す。
図3に示すように、誘電体の膜厚を200μmから50μmに薄くしても、保護膜が8〜9μmであれば、放電開始電圧は、いずれも1.25〜1.5kVであり、ほとんど変わらない(比較例5、6)。
一方、誘電体の膜厚を50μmとし、かつ保護膜を1μmまたは4μmとした実施例3、4では、放電開始電圧は1.0kV以下となっている。
また、図4には、保護膜の膜厚を1μmにしたまま、誘電体の膜厚を400μmから25μmまで薄くした結果が示されている。この結果から、保護膜を薄くした場合は、誘電体の膜厚を薄くすることによって、放電開始電圧を低減することができる。誘電体の膜厚を25μmまで薄くすることによって、放電開始電圧は、ゼロ-ピーク電圧で約0.6kVまで低減することができる。また、放電時間が長く、より耐久性が要求される用途向けに、耐スパッタ性能を向上させるため、保護膜を4μm程度に厚くした場合においても、放電開始電圧は0.7kV程度と小さく、0.8kVの電圧印加によって約30万個/ccのイオンを発生させることができる。
なお、この発明のイオン発生装置では、保護膜として耐スパッタ性能の高い酸化チタンを使用しているため、薄い膜厚で高い耐久性が得られ、また、保護膜の形成時に分子量が600以上の高分子量の有機チタン化合物を使用しているため、膜厚を厚くすることができ、高効率で保護膜を形成することができる。
また、本発明によるイオン発生装置は、低電圧でイオンを発生させることができ、低消費電力であるとともに、駆動回路用部品として、より小型のものを使用することができる。
以上に開示された実施の形態や実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態や実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
本発明のイオン発生装置は、たとえば、空気清浄機、空気調節機、冷蔵庫、加湿器、除湿機等において、イオンにより、細菌やウイルスの不活化処理を行うこと、またはイオンにより快適性を増加させることを目的として利用することができる。
この発明の一つの実施の形態として沿面放電方式のイオン発生装置の構成を模式的に示す図である。 この発明のもう一つの実施の形態として沿面放電方式のイオン発生装置の構成を模式的に示す図である。 イオン発生装置における印加電圧とイオン発生量との相関に関する一つの測定結果を示す図である。 イオン発生装置における印加電圧とイオン発生量との相関に関するもう一つの測定結果を示す図である。
符号の説明
1,2:イオン発生装置、11,21:基板、12,22:上部電極:、13,23:下部電極、14,24:保護膜、15:誘電体層、17:スルーホール部、18:半田付け端子部分。

Claims (6)

  1. 第1の電極と、
    この第1の電極の上に形成された誘電体と、
    この誘電体の上に形成された第2の電極と、
    前記第1の電極または前記第2の電極のいずれかの電極の表面を覆うように形成された被覆層とを備え、
    この被覆層は、酸化チタンを含み、かつ、分子量が600以上の有機チタン化合物を塗布し焼成することによって形成されている、イオン発生装置。
  2. 前記有機チタン化合物は、ポリヒドロキシチタンステアレートである、請求項1に記載のイオン発生装置。
  3. 前記有機チタン化合物の塗布は、スピンコート法によって行われる、請求項1または請求項2に記載のイオン発生装置。
  4. 前記被覆層の厚みは1〜4μmであり、前記誘電体の厚みは25〜50μmである、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
  5. 発生する正イオンがH(HO)、負イオンがO (HO)である、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
  6. 正イオンと負イオンとが化学反応することによって過酸化水素(H)、二酸化水素(HO)およびヒドロキシラジカル(・OH)からなる群より選ばれた少なくとも1種を生成する、請求項5に記載のイオン発生装置。
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