JP4894144B2 - 絶縁皮膜形成用材料、この材料を使用してフラットパネルディスプレイ用部品を製造する方法、及びフラットパネルディスプレイ用部品 - Google Patents
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Description
「円形ディスプレイ」(株)テクノタイムズ,2004年6月号、P34
金属材料の表面に塗布し、焼成して電気絶縁性皮膜を形成する材料であって、溶媒と、この溶媒に溶解したシリコン系材料と、この溶媒に分散された粉体とからなり、前記シリコン系材料がポリシラザンであり、前記粉体の直径が5μm以上10μm以下であることを特徴とする絶縁皮膜形成用材料である。
。また、粉体は、皮膜中で熱緩衝効果を発揮して、前記シリコン系材料自体又は生成した電気絶縁性シリカ皮膜自体の内部応力を緩和し、以って焼成によるクラックの発生を防止し、電気絶縁性シリカ皮膜本来の高い絶縁耐圧の確保を実現する。
また、この請求項1に記載の発明によれば、前記粉体の直径5μm〜10μmであるため、厚さ30μmまでの厚膜の電気絶縁性シリカ皮膜の形成が可能となり、一層高い絶縁耐圧を得ることが可能となる。
前記粉体の熱軟化温度又は融点が550℃以上であること特徴とする絶縁皮膜形成用材料である。
絶縁皮膜形成用材料として、請求項1〜4のいずれかの絶縁皮膜形成用材料を使用することを特徴とするフラットパネルディスプレイ用部品の製造方法である。
本発明に係る金属材料は、その表面に電気絶縁性シリカ皮膜を設けて、例えば、PDPの隔壁として使用するものである。このため、高いアスペクト比で、厚さのばらつきが10μm以下の均一な厚みの金属平板に貫通孔を設けたものが好適に使用できる。なお、この貫通孔は、PDPの放電セルを構成するものである。貫通孔の代わりに貫通していない孔、すなわち、凹部を有する金属平板を利用することもできる。
(シリコン系材料)
シリコン系材料は、焼成によて電気絶縁性シリカ皮膜を構成する作用を有するものである。この理由から、ポリシラザンを利用することが望ましい。ポリシラザンは(SiH2−NH)nを基本とする無機ポリマーで、分子量が600から1000である事が好ましい。ポリシラザンを選択した理由は以下の通りである。
(1)表面に塗布し、300℃から500℃の温度で焼成することで非結晶である緻密な高
純度シリカが得られる。
(2)ポリシラザンのSiO2は(SiH2−NH)n中に炭素を含有していないため、金 属セラミックスやガラスあるいは金属材料との密着性が良く、ゾルゲル法のように熱分 解中に膜の収縮や残留炭素の問題がなくクラックが比較的発生しにくい。
(3)塗布し、大気焼成が可能なため、真空環境などの特殊な装置、成膜条件を用いること
なく連続加工ができる。
(4)ポリシラザンを塗布し基板表面が露出無くコートされた状態で焼成するため、金属板
表面の酸化の問題がない。
(5)鉛などの環境を害する物質を使用しない。
(粉体)
粉体は、電気絶縁性シリカ皮膜中で熱緩衝効果を発揮して、前記シリコン系材料自体又は生成した電気絶縁性皮膜自体の内部応力を緩和し、以って焼成によるクラックの発生を防止する作用を有するものである。
(溶媒)
溶媒は、シリコン系材料を溶解し、粉体を分散して、塗布可能な材料を形成するものである。このような溶媒としては、例えば、キシレン、ターペン、ソルベッソ、ジブチルエーテルなどがあり、ポリシラザン(SiH2−NH)nなどのシリコン系材料を重量比で0.5〜25%溶解させ、粉体を重量比で0.5〜25%分散させて使用する。
(塗布)
本発明に係る絶縁皮膜形成用材料は、スプレー法、ディッピング法などで塗布することが可能である。なお、貫通孔又は凹部の深さが深いときは、半乾燥した吐液を金属表面に均一厚さの膜として形成することができるスプレー噴射法が有利である。更に、貫通孔又は凹部の壁面に絶縁物を的確に塗布するために、静電塗装を用いることも効果的である。(焼成)
本発明に係る焼成工程は、塗布された絶縁皮膜形成用材料中のシリコン系材料を電気絶縁性シリカに変えるものであり、乾燥した大気中または水蒸気を含有する雰囲気中で350〜550℃で焼成すれば良い。膜を緻密にして絶縁耐性を増大するため、400℃以上の高温で焼成することが好ましい。なお、ポリシラザンを大気中で焼成してシリカ(SiO2)皮膜を得る反応は次式で示される。
察すると、図1の様な形状となり、凹部の側壁104では5μm、隔壁のトップ平坦部105では15.6μmの膜が形成されていることが確認できた。絶縁耐圧測定装置にて、金属隔壁上部に測定端子平板を接触させ、平坦部105の絶縁耐圧を測定したところ1050Vとなり、十分な絶縁耐圧を示した。また、誘電率は6.5であった。
厚み500μmのFe―42Ni合金(熱膨張係数;110×10-7/℃)の平板をアルカリ脱脂し、膜厚20μmの市販のドライフイルムレジスト基板表面に貼り合わせた。。次いで、ピッチ270×810μmで、100×620μmが開孔しているスロットパターンのフォトマスクで露光し、アルカリ水溶液のスプレー現像で、前記金属平板に、フォトマスクと同寸法のフォトレジストパターンを形成した。次いで、塩化第二鉄エッチング液でスプレーエッチングし、ドライフイルムレジストを残したハーフエッチング金属平板を作製した。次にドライフィルムを苛性ソーダ水溶液にて剥離後、ポジ型電着フォトレジストのゾンネEDUV P−500(関西ペイント製)をハーフエッチング金属平板上に均一な膜厚でコーティングした。次いでポジ用フォトマスクの位置合わせを行って露光し、炭酸ソーダ水溶液でスプレー現像してゾンネEDUV P−500をパターニングした。最後に、二回目のエッチング工程として、塩化第二鉄エッチング液をスプレーエッチングし、苛性ソーダ水溶液をスプレーしてフォトレジストを剥膜し、板厚500μmで、ピッチ270×810μmで、220×760μmが開孔しているスロットパターンの貫通孔を有する金属平板を作製した。
102…シリカ
103…粉体
104…凹部の側壁
105…隔壁のトップ平坦部
201…金属平板
202…シリカ
203…粉体
204…貫通孔の側壁
205…貫通孔のない平坦部
Claims (5)
- 金属材料の表面に塗布し、焼成して電気絶縁性皮膜を形成する材料であって、溶媒と、この溶媒に溶解したシリコン系材料と、この溶媒に分散された粉体とからなり、
前記溶媒がキシレンであり、
前記粉体が平均直径2μmのアルミナ粉末あるいは平均直径5.7μmのNa 2 O-B 2 O 3 -SiO 2 系の粉末ガラスであり、
前記シリコン系材料がポリシラザンであり、
前記キシレンに対して前記シリコン系材料が10重量%溶解しており、
前記キシレンに対して前記粉体が20重量%分散しており、
前記粉体の熱膨張係数が前記シリコン系材料より大きく、かつ、前記金属材料よりも小さく、
前記粉体の熱軟化温度又は融点が550℃以上であり、
前記粉体の誘電率が10以下である
ことを特徴とする絶縁皮膜形成用材料。 - 貫通孔又は凹部を有する金属平板の表面に絶縁皮膜形成用材料を塗布して前記貫通孔の内壁又は凹部を含む表面全体を前記材料で被覆し、次に、この金属平板を大気中で350〜550℃の温度で焼成して電気絶縁性皮膜を形成するフラットパネルディスプレイ用部品の製造方法において、
絶縁皮膜形成用材料として、請求項1の絶縁皮膜形成用材料を使用することを特徴とするフラットパネルディスプレイ用部品の製造方法。 - 前記金属平板が、Ni、Cr、Coから選ばれる1種又は2種以上の金属元素を含むFe系合金であることを特徴とする請求項2記載のフラットパネルディスプレイ用部品の製造方法。
- 絶縁皮膜形成用材料を0.5〜15μmの厚みに塗布することを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載のフラットパネルディスプレイ用部品の製造方法。
- 請求項2〜4のいずれかの方法で製造されたフラットパネルディスプレイ用部品。
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