JP7287814B2 - 樹脂膜 - Google Patents
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Description
前記樹脂組成物中の前記無機充填剤の含有量は、前記ポリシラザン100質量部に対して、100質量部~300質量部であってもよい。
前記無機充填剤は、球形粉体および不定形粉体の少なくとも一方であってもよい。
前記無機充填剤は、シリカ、石英粉、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、ダイヤモンド粉、マイカ、フッ素樹脂粉およびジルコン粉からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
前記無機充填剤の平均粒子径は1μm~10μmであってもよい。
前記樹脂膜の表面の粗さRaが0.5~1または前記樹脂膜の表面の粗さRzが3~10であってもよい。
前記樹脂膜は、静電チャック装置の中間層に用いられてもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物の一態様は、ポリシラザンと、無機充填剤と、を含む。前記樹脂組成物がポリシラザンと、無機充填剤と、を含むことにより、前記樹脂組成物に溶射材を強固に接着させることができる。
無機充填剤は、シリカ、石英粉、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、ダイヤモンド粉、マイカ、フッ素樹脂粉およびジルコン粉からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。この中でも特に、溶射材と接着性が高いアルミナがより好ましい。
無機充填剤が上記の材料であることにより、耐プラズマ性および耐電圧性を向上させることができる。
これらの材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
無機充填剤の平均粒子径が上記範囲内であれば、溶射材の粉末が無機充填剤粒子間にくいこみやすく、無機充填剤粒子間に溶射材を強固に接着させることができる。無機充填剤の平均粒子径は、レーザー回折法で測定することができる。
無機充填剤が球形粉体の場合、その直径(外径)を粒子径とし、無機充填剤が不定形粉体の場合、その形状の最も長い箇所を粒子径とする。
無機充填剤の累積粒度分布における50%粒子径が上記範囲内であれば、溶射材の粉末が無機充填剤粒子間にくいこみやすく、無機充填剤粒子間に溶射材を強固に接着させることができる。
樹脂組成物中の無機充填剤の含有量が上記範囲内であれば、樹脂組成物または樹脂組成物を含む塗料の硬化物である樹脂膜表面に無機充填剤粒子が凹凸を形成することができるため、溶射材の粉末が無機充填剤粒子間にくいこみやすく、前記樹脂膜表面に溶射材を強固に接着させることができる。
樹脂組成物に含まれるポリシラザンとしては、例えば、当該分野で公知のものが挙げられる。ポリシラザンは有機ポリシラザンであってもよく、無機ポリシラザンであてもよい。
これらの材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
樹脂組成物中のポリシラザンの含有量が上記範囲内であれば、樹脂組成物または樹脂組成物を含む塗料の硬化物である樹脂膜表面に無機充填剤粒子が凹凸を形成することができるため、溶射材の粉末が無機充填剤粒子間にくいこみやすく、前記樹脂膜表面に溶射材を強固に接着させることができる。
樹脂組成物は、ポリシラザン及び無機充填剤のみを含んでいてもよいし、ポリシラザン及び無機充填剤以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、繊維状充填剤が挙げられる。繊維状充填剤は、植物繊維、無機繊維および繊維化された有機樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。植物繊維としては、パルプ等が挙げられる。無機繊維としては、アルミナからなる繊維等が挙げられる。繊維化された有機樹脂としては、アラミドやテフロン(登録商標)等からなる繊維が挙げられる。
本実施形態に係る塗料の一態様は、前記樹脂組成物を含む。
塗料は、例えば、ポリシラザン、無機充填剤及び溶媒を含む混合物である。
ポリシラザン及び無機充填剤としては、例えば、本実施形態に係る樹脂組成物に含まれるものと同様のものを用いることができる。
溶媒としては、例えば、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、1-メチル-2ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、2-ブタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤等が挙げられる。これらの中でも特に、ポリシラザン及び無機充填剤を良好に分散できる酢酸ブチルがより好ましい。
塗料中の溶媒量が上記範囲内であれば、ポリシラザン及び無機充填剤を良好に分散することができ、塗布も容易に行える。
次に、本実施形態に係る塗料の製造方法について説明する。
塗料は、例えば、前記ポリシラザン、前記無機充填剤及び前記溶媒を混合して得ることができる。
本実施形態に係る樹脂膜の一態様は、前記樹脂組成物または前記塗料の硬化物である。
図1に示すように、本実施形態の樹脂膜1は、例えば、ポリシラザンの硬化物(以下、「ポリシラザン硬化物」と称する。)2と、ポリシラザン硬化物2内に含まれる無機充填剤3とを有する。すなわち、本実施形態の樹脂膜1では、ポリシラザン硬化物2の中に無機充填剤3が分散している。
溶射材としては、例えば、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化マグネシウム(MgO)、イットリア(Y2O3)、ジルコニア(ZrO2)、アルミナ-ジルコニア(Al2O3-ZrO2)、スピネル(MgAl2O4)、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Y3Al5O12)等が挙げられる。この中でも特に、無機充填剤と接着性が高いアルミナ(Al2O3)がより好ましい。
これらの材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
溶射材の平均粒子径は、5μm~80μmが好ましく、2~20μmがより好ましい。
溶射材の平均粒子径が上記下限値以上であれば、前記樹脂膜表面に溶射材を強固に接着させることができる。溶射材の平均粒子径が上記範囲内であれば、溶射材からなるセラミックス層の空隙を減少させ、セラミックス層の耐電圧を向上させることができる。
次に、本実施形態に係る樹脂膜の製造方法について説明する。
樹脂膜1は、公知の塗工方法やスプレー方法等により、本実施形態に係る樹脂組成物をポリイミドフィルム等の被塗料部材に塗布するか、あるいは、本実施形態に係る塗料をポリイミドフィルム等の被塗料部材に塗布した後、例えば、乾燥等で硬化させることにより形成することができる。
溶射法は、金属、セラミックス等の粉末材料を、燃焼フレームやプラズマフレーム中に供給して、これらを軟化又は溶融した状態にし、基材の表面に高速で吹き付けることによって、その表面に溶射皮膜を形成する表面処理技術である。溶射機としては、アーク溶射法又はプラズマ溶射法などの方法で溶射する市販の溶射機であればよく、特に限定されない。
本実施形態に係る静電チャック装置の一態様は、複数の内部電極と、前記内部電極の厚さ方向の両面側に設けられた絶縁性有機フィルムと、少なくとも前記内部電極および前記絶縁性有機フィルムを含む積層体の厚さ方向の上面に中間層を介して積層されたセラミックス層と、を備え、前記中間層は、本実施形態に係る前記樹脂膜である。
セラミックス層600が、セラミックス下地層610と、セラミックス下地層610の上面610aに形成され、凹凸を有するセラミックス表層620と、を有することにより、吸着力を向上することができる。
ここで、表面粗さRaとは、JIS B0601-1994に規定される方法により測定した値を意味する。
したがって、少なくとも積層体20の厚さ方向の上面20a側において、耐プラズマ性および耐電圧性が向上し、使用中の異常放電を抑制することができる。そのため、本実施形態に係る静電チャック装置10は、吸着性にも優れる。
図2を参照して、本実施形態に係る静電チャック装置10の製造方法を説明する。
第1の絶縁性有機フィルム410の表面(第1の絶縁性有機フィルム410の厚さ方向の上面)410aに、銅等の金属を蒸着して、金属の薄膜を形成する。その後、エッチングを行って、金属の薄膜を所定の形状にパターニングして、第1の内部電極210と第2の内部電極220を形成する。
中間層500を形成する方法は、積層体20の外面全面を覆うように中間層500を形成することができれば、特に限定されない。中間層500を形成する方法としては、例えば、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等が挙げられる。
セラミックス下地層610を形成する方法は、例えば、セラミックス下地層610を構成する材料を含むスラリーを中間層500の外面全面に塗布し、焼結してセラミックス下地層610を形成する方法、セラミックス下地層610を構成する材料を中間層500の外面全面に溶射してセラミックス下地層610を形成する方法等が挙げられる。
ここで、溶射とは、被膜(本実施形態では、セラミックス下地層610)となる材料を加熱溶融後、圧縮ガスを用いて被処理体へ射出することにより成膜する方法のことである。
セラミックス表層620を形成する方法は、例えば、セラミックス下地層610の上面610aに、所定の形状のマスキングを施した後、セラミックス表層620を構成する材料をセラミックス下地層610の上面610aに溶射してセラミックス表層620を形成する方法、セラミックス表層620を構成する材料をセラミックス下地層610の上面610a全面に溶射してセラミックス表層620を形成した後、そのセラミックス表層620を、ブラスト処理により削って、セラミックス表層620を凹凸形状に形成する方法等が挙げられる。
<塗料>
ポリシラザン(サンワ化学製、品番:HTT1800)100質量部とアルミナからなる無機充填剤(平均粒子径:3μm、フジミインコーポレッド製、品番:WA#4000)200質量部とを希釈媒体としての酢酸ブチルに混合し、更に超音波分散機(UT-106(商標名)、シャープ社製)により無機充填剤を均一に分散させて本発明の塗料を作製した。
ポリイミドフィルム(宇部興産製、品番:ユーピレックス)上にエポキシ樹脂を主体とした接着剤層を形成した後、アルミ材からなる基板に接着剤層面を貼着させた。
図3は、下から、基板、接着剤、ポリイミドフィルム、樹脂膜および溶射材がこの順に積層された状態を示す写真である。
図4は、図3を拡大した写真であり、下から、ポリイミドフィルム、樹脂膜および溶射材がこの順に積層された状態を示す写真である。
図5は、図4における溶射材をさらに拡大した写真である。
図6は、図4における樹脂膜をさらに拡大した写真である。
図5及び図6から、樹脂膜表面に無機充填剤粒子が凹凸を形成しており、溶射材の粉末が無機充填粒子間にくいこんでいることが分かる。
鋼球落下衝撃試験を行うことにより、前記溶射皮膜被覆部材の耐衝撃性を評価した。
実施例1における塗料から無機充填剤を除いたこと以外は、実施例1と同様にして比較用の塗料を作製した。その後、実施例1と同様に、溶射皮膜の作製、および耐衝撃性の評価を行った。
2 ポリシラザン硬化物
3 無機充填剤
7 溶射皮膜
10 静電チャック装置
20 積層体
100 基板
200 内部電極
210 第1の内部電極
220 第2の内部電極
300 接着剤層
310 第1の接着剤層
320 第2の接着剤層
400 絶縁性有機フィルム
410 第1の絶縁性有機フィルム
420 第2の絶縁性有機フィルム
500 中間層
600 セラミックス層
610 セラミックス下地層
620 セラミックス表層
Claims (7)
- 溶射被膜を形成するための樹脂膜であって、
前記樹脂膜は、
ポリシラザンと、
無機充填剤と、を含む樹脂組成物の硬化物または前記樹脂組成物を含む塗料の硬化物であり、
前記樹脂膜の表面は、無機充填剤の粒子が凹凸を形成している、樹脂膜。 - 前記樹脂組成物中の前記無機充填剤の含有量が、前記ポリシラザン100質量部に対して、100質量部~300質量部である、請求項1に記載の樹脂膜。
- 前記無機充填剤が、球形粉体および不定形粉体の少なくとも一方である、請求項1または2に記載の樹脂膜。
- 前記無機充填剤が、シリカ、石英粉、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、ダイヤモンド粉、マイカ、フッ素樹脂粉およびジルコン粉からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂膜。
- 前記無機充填剤の平均粒子径が1μm~10μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂膜。
- 前記樹脂膜の表面の粗さRaが0.5~1または前記樹脂膜の表面の粗さRzが3~10である、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂膜。
- 静電チャック装置の中間層に用いられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂膜。
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