JP2004105517A - イオン発生素子、イオン発生素子の製造方法、イオン発生装置およびそれを備えた電気機器 - Google Patents

イオン発生素子、イオン発生素子の製造方法、イオン発生装置およびそれを備えた電気機器 Download PDF

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世古口 美徳
Ryoichi Sugioka
杉岡 亮一
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漆崎 正人
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    • B03SEPARATION OF SOLID MATERIALS USING LIQUIDS OR USING PNEUMATIC TABLES OR JIGS; MAGNETIC OR ELECTROSTATIC SEPARATION OF SOLID MATERIALS FROM SOLID MATERIALS OR FLUIDS; SEPARATION BY HIGH-VOLTAGE ELECTRIC FIELDS
    • B03CMAGNETIC OR ELECTROSTATIC SEPARATION OF SOLID MATERIALS FROM SOLID MATERIALS OR FLUIDS; SEPARATION BY HIGH-VOLTAGE ELECTRIC FIELDS
    • B03C2201/00Details of magnetic or electrostatic separation
    • B03C2201/10Ionising electrode has multiple serrated ends or parts

Abstract

【課題】イオン発生素子2における、正負両イオン間での発生量のバラツキを低減するとともに、消費電力を低減する。
【解決手段】誘電体3の表面に形成される放電電極4を形成する一方、放電電極4と対向するように誘電体3の内部に誘導電極5を形成する。そして、誘電体3上の放電電極4を覆うようにコーティング層8を誘電体3上に形成する。このとき、放電電極4の非形成領域におけるコーティング層8の厚さが、放電電極4の厚さよりも小さくなるように、コーティング層8を形成する。これにより、放電電極4付近の電界集中度(電界強度)が高くなり、低電圧でも放電電極4付近で安定して正負両イオンを発生させることが可能となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、空気中の浮遊細菌を殺菌、除去したり、空気中の有害物質を除去するための正負両イオンを発生するイオン発生素子、イオン発生素子の製造方法、イオン発生装置およびそれを備えた電気機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、事務所や会議室など、換気の少ない密閉化された部屋では、部屋内に人が多いと、呼吸により排出される二酸化炭素やタバコの煙、ホコリなどの空気汚染物質が増加するため、人間をリラックスさせる効能を有する負イオンが空気中から減少する。特に、タバコの煙によって負イオンが多量に失われ、通常の1/2〜1/5程度にまで減少することがある。そこで、空気中に負イオンを補給するため、種々のイオン発生装置がこれまで市販されている。
【0003】
しかし、いずれの装置も、直流高電圧方式で負イオンのみを発生させるものであり、空気中に負イオンを補給することはできるものの、空気中の浮遊細菌や有害物質を積極的に除去するものではなかった。
【0004】
そこで、近年では、正イオンおよび負イオンの両イオンを発生させるイオン発生素子が開発されており、それを搭載した空気清浄機が既に実用化されている。この空気清浄機は、円筒状ガラス管の誘電体を挟んで外側に網状電極を配設する一方、内側に板状電極を配設した構造となっている。
【0005】
これら両電極間を放電させることにより、正負両イオンが発生して空気中に放出される。これらの正負両イオンが空気中の浮遊細菌や有害物質表面に付着すると、化学反応を起こして過酸化水素や水酸基ラジカルなどの活性種が発生する。この活性種の分解作用により、空気中の浮遊細菌や有害物質が除去されるようになっている。
【0006】
また、従来から、図12に示す構成の電界装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電界装置では、誘電体基板101の表面に複数の線状放電電極102が設けられており、かつ、線状放電電極102に対して誘電体基板101を介して平板状の面状誘導電極103が設けられている。そして、線状放電電極102は、膜厚が1〜40μmのアルミナ被膜104で覆われている。
【0007】
この構成では、高湿度雰囲気で線状放電電極102と面状誘導電極103との間で放電を行うことによってNOxが発生し、それが硝酸を生成しても、アルミナ被膜104は硝酸によって侵されることがなく、電界装置の耐久性が向上するものとなっている。
【0008】
【特許文献1】
特公平2−56793号公報(実施例、発明の効果の欄、第3図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献に記載の電界装置においては、線状放電電極102を覆うアルミナ被膜104は、線状放電電極102の形成領域、非形成領域に関係なく、誘電体基板101表面からの距離が一定となるような膜厚で形成されており、線状放電電極102の非形成領域におけるアルミナ被膜104の膜厚が、線状放電電極102の厚さよりも大きいものとなっている。このため、線状放電電極102と面状誘導電極103との間の放電により、アルミナ被膜104が誘電分極したときに、線状放電電極102付近での電界集中度が悪くなる。その結果、正負両イオン間でその発生量に大きなバラツキが生じるとともに、線状放電電極102と面状誘導電極103との間の放電電圧を上げなければ、所望のイオン量を得ることができないという問題が生ずる。
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、正負両イオン間での発生量のバラツキを低減するとともに、消費電力を低減することができるイオン発生素子、イオン発生素子の製造方法、イオン発生装置およびそれを備えた電気機器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のイオン発生素子においては、放電電極と誘導電極との間の電位差に基づいて放電(例えば放電電極近傍でのコロナ放電)が起こる際、誘電体上の保護層表面で誘電分極が起こる。このとき、放電電極に近い位置にある保護層(例えば放電電極上の保護層)の表面電位は、放電電極の極性と同極性に分極し、放電電極から離れた位置にある保護層(例えば誘電体上で放電電極の非形成領域にある保護層)の表面電位は、放電電極の極性と逆極性に分極する。
【0012】
このとき、放電電極と誘導電極とを結ぶ電気力線は、放電電極に近づけば近づくほど密となるが、本発明のように、放電電極の非形成領域における保護層の厚さ(t1)が放電電極の厚さ(t2)よりも小さいときは、t1がt2と同等もしくはそれ以上の場合に比べて電気力線が密なところで、保護層表面の電位が分極するようになる。
【0013】
これにより、放電電極付近の電界集中度(電界強度)が高くなるので、放電電極付近で安定して正負両イオンを発生させることができる。その結果、正負両イオン間での発生量のバラツキを低減することができ、イオンバランスを良好に保つことができる。
【0014】
また、放電電極付近の電界強度が高くなることにより、放電電極と誘導電極との間の電位差(線間電圧)を小さくしても、上記放電により、放電電極付近にて所望の量の正負両イオンを発生させることができる。これにより、素子における消費電力を低減することができる。
【0015】
本発明のイオン発生素子においては、上記の誘電体は平板状(面状)であるほうが好ましい。これは、誘電体に設けられる放電電極および誘導電極をどちらも平板状(格子状やU字状を含む)とすることができ、誘電体を円柱状などで構成する場合に比べて、誘電体ひいてはイオン発生素子の生産性を向上させることができるからである。
【0016】
また、本発明のイオン発生素子の製造方法によれば、放電電極の非形成領域における保護層の厚さが放電電極の厚さよりも小さくなるように、第1の誘電体上に保護層が形成され、この第1の誘電体と誘導電極の形成された第2の誘電体とが貼り合わされてイオン発生素子が構成されるので、上記両電極間の電位差に基づいて放電(例えば放電電極付近でのコロナ放電)が起こる際に、放電電極付近での電界強度を高めることができる。これにより、上記と同様の効果を得ることができる。
【0017】
また、本発明のイオン発生素子と、このイオン発生素子の放電電極と誘導電極との間に電圧を印加する電圧印加手段とでイオン発生装置を構成しても、上述の効果を得ることができる。さらには、上記のイオン発生装置と、このイオン発生装置にて発生したイオンを空気中に送出する送出手段とで各種の電気機器(例えば空気調節装置、冷蔵庫、掃除機など)を構成した場合でも、上述の効果を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。図1(a)は、本発明に係るイオン発生装置1の概略の構成を示す平面図であり、図1(b)は、イオン発生装置1の一側面図であり、図1(c)は、イオン発生装置1の他の側面図である。
【0019】
本発明のイオン発生装置1は、イオン発生素子2と、電圧印加回路9(電圧印加手段)とを有して構成されている。
【0020】
イオン発生素子2は、誘電体3と、放電電極4と、誘導電極5と、放電電極接点6と、誘導電極接点7と、コーティング層8(保護層)とを有しており、放電電極4と誘導電極5との間の電位差に基づいて発生する放電(例えば放電電極4付近でのコロナ放電)により、正負両イオンを発生させるものである。
【0021】
誘電体3は、略直方体形状の上部誘電体3a(第1の誘電体)と下部誘電体3b(第2の誘電体)とを貼り合わせた平板状で構成されている。誘電体3の材料としては、有機物であれば耐酸化性に優れた材料が好適であり、例えばポリイミドまたはガラスエポキシ等の樹脂を使用することができる。また、誘電体3の材料として無機物を選択するのであれば、純度の高いアルミナ、結晶化ガラス、フォルステライト、ステアタイト等のセラミックを使用することができる。
【0022】
なお、耐食性の面を考えれば、誘電体3の材料として無機系のもののほうが望ましく、さらに、成形性や後述する電極形成の容易性を考えれば、セラミックを用いて成形するのが好適である。また、放電電極4と誘導電極5との間の絶縁抵抗が均一であることが望ましいため、材料内部の密度バラツキが少なく、誘電体3の絶縁率が均一であればあるほど好適である。
【0023】
誘電体3の形状は、円板や楕円板、多角形板等の他の形状であってもよく、さらには円柱状であってもよいが、生産性を考えると、図1(a)(b)(c)に示すように平板状(円板状、直方体状も含む)とするのが好適である。
【0024】
放電電極4は、誘電体3(上部誘電体3a)の表面に誘電体3と一体的に形成されている。放電電極4の材料としては、例えばタングステンのように導電性を有するものであれば、特に制限なく使用することができるが、放電によって溶融する等の変形を起こさないものであることが条件となる。放電電極4は、誘電体3の表面からの深さ(誘電体3の表面より誘導電極5側に放電電極4を設ける場合)あるいは厚み(誘電体3の表面より突出して放電電極4を設ける場合)が均一であるほうが望ましい。
【0025】
放電電極4の形状は、面状、格子状、線状等のいずれの形状であってもよいが、格子状や線状のように、誘導電極5との電界集中が起こりやすい形状とするほうが、放電電極4と誘導電極5との間に印加する電圧が低くても、上記両電極間を放電させることができるので、できればそのほうが望ましい。
【0026】
本実施形態では、放電電極4の形状は格子状もしくは櫛刃状となっているが、その詳細については後述する。
【0027】
誘導電極5は、誘電体3の内部(上部誘電体3aと下部誘電体3bとの間)に形成され、放電電極4と対向して配置されている。これは、放電電極4と誘導電極5との間の絶縁抵抗は均一であることが望ましく、放電電極4と誘導電極5とは平行であることが望ましいからである。このような配置により、放電電極4と誘導電極5との距離(以下、電極間距離と称する)が一定となるので、放電電極4と誘導電極5との間の放電状態が安定し、正負両イオンを好適に発生させることが可能となる。
【0028】
また、誘電体3を円柱状に形成した場合は、放電電極4を円柱の外周表面に形成する一方、誘導電極5をその円柱の軸状に設けることによって、上記電極間距離を一定とすることができる。
【0029】
誘導電極5の材料としては、放電電極4と同様に、例えばタングステンのように導電性を有するものであれば、特に制限なく使用することができる。
【0030】
本実施形態では、誘導電極5の形状は、U字状となっているが、その詳細については後述する。
【0031】
放電電極接点6は、放電電極4と同一形成面に設けられる接続端子23を介して、放電電極4と導通する接点である。銅線からなるリード線の一端を放電電極接点6に接続し、他端を電圧印加回路9と接続することにより、放電電極4と電圧印加回路9とを導通させることができる。なお、リード線の上記他端を接地するようにしてもよい。
【0032】
放電電極接点6は、リード線との接続の容易性から、誘電体3の表面であればどこに設けられてもよい。ただし、放電電極接点6は放電電極4と同電位となるため、安定した放電状態を得るためには、誘導電極5と放電電極接点6との距離が上記電極間距離よりも遠くなるように、放電電極接点6を誘電体3の表面に設けることが望ましい。
【0033】
誘導電極接点7は、誘導電極5と同一形成面に設けられる接続端子13を介して、誘導電極5と導通する接点である。銅線からなるリード線の一端を誘導電極接点7に結線し、他端を電圧印加回路9に接続することにより、誘導電極5と電圧印加回路9とを導通させることができる。なお、リード線の上記他端を接地するようにしてもよい。
【0034】
誘導電極接点7は、リード線との接続の容易性から、誘電体3の表面であればどこに設けられてもよい。ただし、誘導電極接点7は誘導電極5と同電位となるため、安定した放電状態を得るためには、放電電極4と誘導電極接点7との距離が上記電極間距離よりも遠くなるように、誘導電極接点7を誘電体3の表面に設けることが望ましい。
【0035】
また、放電電極接点6と誘導電極接点7との距離が上記電極間距離よりも遠くなるように、放電電極接点6と誘導電極接点7とを誘電体3の表面に形成すれば、より安定した放電状態を得ることができるので、このほうが望ましい。
【0036】
さらに、放電電極接点6および誘導電極接点7を両方とも、誘電体3における放電電極4を設けた面(以下、上面と称する)以外の面に設けることが望ましい。これは、誘電体3における放電電極4を設けた面にリード線等の配線が配置されないため、別途に送風機を設けるなどして、放電電極4を設けた面に空気を送風した場合に、リード線によって空気の流れが乱れるのを回避できるからである。これにより、放電電極4にて発生する正イオンおよび負イオンを確実に空気の流れに乗せて素子外部に放出することができる。
【0037】
以上のことを考慮して、本実施形態では、放電電極接点6および誘導電極接点7を両方とも、誘電体3における放電電極4を設けた面と相対する面(以下、下面と称する)に設けている。
【0038】
また、本実施形態では、誘導電極5に接続される接続端子13および誘導電極接点7は、誘導電極5と放電電極4との対向領域の外側に形成されている。これにより、放電開始時に接続端子13と放電電極4との間で電界集中が起こることによる放電ムラを確実に回避することができる。つまり、放電開始直後から、誘導電極5と放電電極4との間での放電を、場所によらず均一にすることができる。その結果、安定した量のイオンを放出することができる。
【0039】
また、本実施形態では、放電電極4に接続される接続端子23および放電電極接点6についても、誘導電極5と放電電極4との対向領域の外側に形成されている。これにより、上記と同様の効果を得ることができる。すなわち、放電開始時に接続端子23と誘導電極5との間で電界集中が起こることによる放電ムラを確実に回避して、安定した量のイオンを放出することができる。
【0040】
コーティング層8は、放電電極4を覆うように、誘電体3上に形成されるものであり、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)で形成されている。
【0041】
本発明は、誘電体3上の放電電極4が形成されていない領域(放電電極4の非形成領域)におけるコーティング層8の厚さが、放電電極4の厚さよりも小さくなるように、コーティング層8を形成した点に特徴があるが、この点については後述する。
【0042】
電圧印加回路9は、イオン発生素子2の放電電極4と誘導電極5とのうち少なくとも一方に電圧を供給するものである。例えば、放電電極4と誘導電極5とをともに電圧印加回路9に接続した場合は、電圧印加回路9により、これら両電極に電圧が印加される。また、放電電極4をグランドに接続して接地電位とし、誘導電極5を電圧印加回路9に接続した場合は、電圧印加回路9により、誘導電極5にのみ電圧が印加される。一方、誘導電極5をグランドに接続して接地電位とし、放電電極4を電圧印加回路9に接続した場合は、電圧印加回路9により、放電電極4にのみ電圧が印加される。
【0043】
ところで、イオン発生素子2が1個の場合、イオン発生素子2から正負両イオンを発生させるために、電圧印加回路9によって放電電極4と誘導電極5との間に印加される電圧は、交番電圧であることが必要である。この交番電圧は、一般的に商用電源に用いられているような正弦波状の交番電圧(以下、正弦波状の交番電圧を交流電圧と称する)に限られず、矩形波状の交番電圧であってもよく、また、他の波形を用いて交番電圧を印加してもよい。
【0044】
上記の構成において、電圧印加回路9を動作させ、放電電極4と誘導電極5との間に交流高電圧を印加すると、放電電極4と誘導電極5との間の電位差に基づいて、放電電極4近傍でコロナ放電が起こる。これにより、放電電極4の周辺の空気がイオン化され、例えばH(HO)(mは任意の自然数)からなる正イオンと、例えばO (HO)(nは任意の自然数)からなる負イオンとが発生し、これら両イオンが装置外部に放出される。
【0045】
これら両イオンが空気中の浮遊細菌または有害物質の表面に付着すると、化学反応を起こして、活性種である過酸化水素(H)または水酸基ラジカル(・OH)がそれぞれ生成される。これら活性種の分解作用により、空気中の浮遊細菌または有害物質が破壊されることとなる。また、これらの正負両イオンには、脱臭作用があることも確認できている。
【0046】
このような構成のイオン発生装置1は、様々な電気機器に適用可能である。このような電気機器としては、例えば、空気調節装置、空気調和機(エアーコンディショナー)、除湿機、加湿器、空気清浄機、冷蔵庫、ファンヒーター、電子レンジ、洗濯乾燥機、掃除機、殺菌装置等が挙げられる。このような電気機器は、主に、家屋の室内、ビル内の一室、病院の病室若しくは手術室、車内、飛行機内、船内、倉庫内、冷蔵庫の庫内等に配置される。
【0047】
ここで、図2は、本発明のイオン発生装置1を掃除機40に適用した例を示している。この掃除機40は、イオン発生装置1と送風機41とを備えている。送風機41は、イオン発生装置1にて発生した正負両イオンを空気中に送出する送出手段を構成している。この送風機41は、ファン42と、モータ43と、モータ駆動回路44とで構成されている。また、イオン発生装置1と送風機41との間には、微粒子を除去するためのフィルタ45が配置されている。
【0048】
この構成により、モータ駆動回路44によってモータ43が駆動されと、ファン42が回転し、空気の流れが生じる。イオン発生装置1にて発生した正負両イオンは、この空気の流れにのって、掃除機40の排出口46から外部に放出される。これにより、掃除機40を使用している部屋の空気の汚れや、掃除機40の使用によって生じる空気の汚れを除去することができる。
【0049】
また、掃除機40によって吸引した空気を、直接、送風機41に送り込む構成としてもよい。この場合、吸引した空気は送風機41によってイオン発生装置1に運ばれ、イオン発生装置1が発生する正負両イオンにより、空気中の浮遊物質および有害物質が除去され、清浄化された空気が掃除機40の外部に放出される。したがって、このような構成とすれば、掃除機40の使用に伴う空気の汚れを効果的に除去することができる。
【0050】
また、図3は、本発明のイオン発生装置1を冷蔵庫50に適用した例を示している。この冷蔵庫50は、イオン発生装置1と、上述の掃除機40に適用したのと全く同様の構成の送風機41とを備えている。
【0051】
この構成により、モータ駆動回路44によってモータ43が駆動されと、ファン42が回転し、空気の流れが生じる。イオン発生装置1にて発生した正負両イオンは、この空気の流れにのって、冷蔵庫50の庫内送出口51から冷蔵庫50内部の空間に放出される。これにより、冷蔵庫50に収容された被冷蔵物から生じる異臭を冷蔵庫50の収容室内にて除去することができる。
【0052】
なお、冷蔵庫50内の空気を吸引して、この吸引した空気を送風機41に直接送り込む構成としてもよい。この場合、冷蔵庫50の内部に正負両イオンを送り込む前段階で空気を清浄化することとなるが、この場合であっても、清浄化した空気を冷蔵庫50の内部に送り込むことができるので、やはり、上記と同様に、冷蔵庫50内の異臭を除去することができる。
【0053】
次に、イオン発生素子2の誘導電極5の形状の詳細について説明する。
図4は、誘導電極5が形成された下部誘電体3bの平面図である。誘導電極5は、放電電極4(図1(a)参照)との対向面内で屈曲して下部誘電体3b上に形成されている。
【0054】
より詳しく説明すると、誘導電極5は、誘電体3(下部誘電体3b)の長手方向に平行に延びる2本の長手部11と、各長手部11の一方の端部同士を連結する連結部12と、この連結部12と一体的に形成される上述の接続端子13とで構成されており、全体として平面視でU字状に形成されている。そして、下部誘電体3bの短手方向の各側辺の中点同士を結んだ軸が誘導電極5における線対称の軸Bと一致するように、誘導電極5が下部誘電体3b上に形成されている。
【0055】
これら各部材のサイズは、例えば以下の通りである。各長手部11は、幅(下部誘電体3bの短手方向の長さ)が1mmで、長さ(下部誘電体3bの長手方向の長さ)が23.75mmで形成されている。連結部12は、幅(下部誘電体3bの長手方向の長さ)が1.5mmで、長さ(下部誘電体3bの短手方向の長さ)が2.5mmで形成されている。すなわち、各長手部11間の距離は、2.5mmであり、各長手部11の最外辺同士の距離は、各長手部11の幅が1mmであることから4.5mmである。また、接続端子13は、半径1.5mmの半円状で形成されており、その弦となる部分が連結部12の長辺と一致するように形成されている。
【0056】
なお、上述した各部材のサイズはあくまでも一例であり、これらの数値に限定されるものではないことは勿論のことである。また、本実施形態では、誘導電極5をU字状で形成しているが、例えばS字状やW字状のような形状で形成してもよい。
【0057】
このように、誘導電極5を屈曲させる構成により、誘導電極5がはまる矩形の領域全体にわたって誘導電極5を板状で形成する場合に比べて、誘導電極5における放電面積を小さくすることができる。その結果、素子における放電音を低く抑えることができるとともに、放電に伴って発生する、人体に有害なオゾンの量を低減することができ、安全性の高い素子を提供することができる。
【0058】
次に、イオン発生素子2の放電電極4の形状について説明する。
図5は、放電電極4が形成された上部誘電体3aの平面図である。放電電極4は、上部誘電体3a上において格子状に形成されている。
【0059】
より詳しく説明すると、放電電極4は、上部誘電体3aの長手方向に平行に延びる2本の長手部21と、各長手部21の延設方向に対して垂直方向に設けられ、各長手部21をそれぞれ異なる位置で連結する複数の連結部22とを有している。したがって、2本の長手部21と、隣接する2本の連結部22とで囲まれた部分が1つの格子を形成することになる。
【0060】
本実施形態では、放電電極4は、上部誘電体3aの長手方向に4つの格子が連続して並んだ形状となっている。そして、連続して並んでいる3つの格子は、略正方形の形状をなしている一方、残りの1個の格子は、略長方形の形状となっている。この長方形形状の格子の1側辺であって、放電電極4の外周の一部を構成する連結部22には、その中心が連結部22上に位置するように、円形の接続端子23が一体的に設けられている。
【0061】
そして、さらに、放電電極4における各格子には、格子内部に向かって突出する複数の先鋭部24が形成されている。より詳しくは、3つの略正方形状の各格子においては、各格子を構成する4つの側辺のほぼ中点から格子内部に向かう方向に突出する4つの三角形状の先鋭部24が形成されているとともに、各格子の4つの頂点から格子内部に向かう方向に突出する4つの先鋭部24が形成されている。一方、略長方形状の格子においては、接続端子23が形成された連結部22と対向する連結部22の中点から格子内部に向かって突出する1つの先鋭部24と、上記連結部22と隣り合う長手部21との各交点から格子内部に向かう方向に突出する2つの先鋭部24とが形成されている。
【0062】
ここで、上記した格子内部に向かう方向とは、例えば、各格子における2本の対角線の交点に向かう方向を想定することができるが、この方向に限定されるわけではなく、後述するように先鋭部24の先端部分24a(図6参照)がU字状の誘導電極5と重畳するような方向であれば、上記格子の形成面内においてどのような方向であってもよい。以上の構成により、放電電極4には、合計27個の先鋭部24が形成されていることになる。
【0063】
本実施形態では、放電電極4は、同一形成パターンの格子を複数(図5では、略正方形状の格子を3個)有している。このように格子パターンが均一であることにより、放電電極4と誘導電極5との間の電界が均一になる。その結果、イオンバランスを向上させることができる(発生する正負イオン量をほぼ同量にすることができる)。
【0064】
このような格子形状を有する放電電極4は、全体として、長手部21の延設方向と平行な方向の軸Cを中心として線対称となる形状となっており、上部誘電体3aの短手方向の各側辺の中点同士を結んだ軸が放電電極4における線対称の軸Cと一致するように、上部誘電体3a上に形成されている。
【0065】
放電電極4が非線対称パターンで形成されていると、放電電極4に対する空気の当て方(空気が放電電極4に当たる方向)によって、放電電極4近傍にて発生するイオン量が正負間で大きくばらつく。しかし、本実施形態のように、放電電極4が線対称パターンで形成されていることにより、放電電極4近傍にて発生する正負両イオンの量が、空気流れの影響を受けて変化するのを極力抑えることができ、放電電極4への空気の当て方によらず、正負両イオンのバランスを良好に保つことができる。
【0066】
これら各部材のサイズは、例えば以下の通りである。各長手部21は、幅(上部誘電体3aの短手方向の長さ)が0.5mmで、長さ(上部誘電体3aの長手方向の長さ)が23.625mmで形成されている。連結部22は、接続端子23が形成されているもので、幅(上部誘電体3aの長手方向の長さ)が0.5mmであり、それ以外のもので幅が0.25mm、長さ(上部誘電体3aの短手方向の長さ)が6mmで形成されている。すなわち、各長手部21間の距離は、6mmであり、各長手部21の最外辺同士の距離は、各長手部21の幅がそれぞれ0.5mmであることから7mmである。接続端子23は、半径3mmの円状で形成されている。
【0067】
また、長手部21の延設方向に隣接する各連結部22間の距離は、6mmとなっている。したがって、上記隣接する各連結部22の中点同士を結んだ距離は、連結部22の幅が0.25mmであることから、6.25mmとなる。以下では、この距離のことをピッチと称することとする。したがって、放電電極4における各格子も、6.25mm間隔で形成されることとなる。
【0068】
なお、上述した各部材のサイズ、格子の数、先鋭部24の数は、あくまでも一例であって、これらの数値に限定されるものではないことは勿論のことである。
【0069】
また、本実施形態では、図6に示すように、放電電極4の各先鋭部24は、その先端部分24aが上述した誘導電極5と重畳するように形成されている。これにより、放電電極4の先鋭部24と誘導電極5との間で電界が集中しやすくなり、低電圧でも上記両電極間で容易に放電を発生させることができるとともに、放電開始電圧を低く抑えても、安定した放電を行うことができる。その結果、消費電力を確実に低減することができる。
【0070】
さらに、長手部21の延設方向における、各先鋭部24の先端部分24a同士の距離が一定(例えば2mm)となるように、各先鋭部24が形成されている。これにより、放電電極4の各先鋭部24と誘導電極5との重畳部分が、上記延設方向に均等に並ぶので、放電電極4と誘導電極5との間における電界集中が均一に起こる。その結果、イオン発生素子2から正負両イオンがバランスよく発生するものとなる。
【0071】
ところで、放電電極4の形状としては、上述の格子状のほかに、例えば櫛刃状を考えることもできる。図7は、櫛刃状の放電電極4を有するイオン発生素子2の平面図である。この放電電極4は、線状の長手部31を少なくとも1本有しており、本実施形態では3本有している。各長手部31の一端は、連結部32により連結されており、この連結部32には、その中心が連結部32上に位置するように、上述の円形の接続端子23が一体的に設けられている。
【0072】
そして、各長手部31には、誘導電極5との対向面内で各長手部31の延設方向とは異なる方向(例えば各長手部31の延設方向に対して垂直方向)に突出する複数の突出部33が形成されている。以下では、長手部31の延設方向に隣接する各突出部33間の距離のことをピッチと称することとする。
【0073】
このように櫛刃状の放電電極4を適用する場合でも、放電電極4の各突出部33の先端部分33aは、上述した誘導電極5と重畳するように形成される。この構成により、放電電極4の各突出部33と誘導電極5との間で電界が集中しやすくなり、低電圧でも上記両電極間で放電が発生しやすくなる。その結果、消費電力を確実に低減することができる。
【0074】
次に、本発明のイオン発生素子2およびイオン発生装置1の製造方法について説明する。
【0075】
まず、厚さ0.45mmの純度の高いアルミナのシートを所定の大きさ(例えば、幅15mm×長さ37mm)に切断し、2つの略同一の大きさを有するアルミナの基材を形成し、これらを上部誘電体3a(第1の誘電体)および下部誘電体3b(第2の誘電体)とする。なお、アルミナの純度は90%以上であればよいが、ここでは92%の純度のアルミナを用いている。
【0076】
次に、上部誘電体3aの上面に、格子状または櫛刃状にタングステンをスクリーン印刷し、放電電極4および接続端子23を上部誘電体3aと一体形成する。一方、下部誘電体3bの上面に、U字状にタングステンをスクリーン印刷し、誘導電極5を下部誘電体3bと一体形成するとともに、下部誘電体3bの下面に、放電電極接点6および誘導電極接点7をスクリーン印刷して形成する。
【0077】
さらに、上部誘電体3aの表面に、放電電極4を覆うようにアルミナのコーティング層8を形成して、放電電極4を絶縁コートする。このとき、後述する理由により、放電電極4の非形成領域におけるコーティング層8の厚さが、放電電極4の厚さよりも小さくなるように、コーティング層8を形成する。
【0078】
そして、上部誘電体3aを介して放電電極4と誘導電極5とが対向するように、上部誘電体3aの下面と下部誘電体3bの上面とを重ね合わせた後、圧着、真空引きを行う。その後、これらを炉に入れて1400〜1600℃の非酸化性雰囲気で焼成する。このようにして、本発明のイオン発生素子2を容易に製造することができる。
【0079】
そして、イオン発生素子2の放電電極4と誘導電極5との間に電圧を印加する構成とすべく、別途に設ける回路等(不図示)のグランド電位と放電電極接点6とをリード線で接続し、誘導電極接点7と電圧印加回路9とをリード線で接続すれば、イオン発生装置1が完成する。
【0080】
次に、本発明の特徴部分である、コーティング層8の厚さと放電電極4の厚さとの関係について説明する。
【0081】
図8は、誘電体3上にコーティング層8が形成されていない場合において、放電電極4に正の電圧が印加されており、誘導電極5(図4参照)に負の電圧が印加されている場合の、放電電極4から誘導電極5に向かう電気力線を示している。なお、放電電極4の厚さは20μmとする。
【0082】
放電電極4と誘導電極5との間の電位差に基づいて、放電電極4近傍でコロナ放電が起こる際、同図に示すように、誘電体3表面の電位は、電気力線に沿って分極し、負の電位となる。その強さは誘電体3の誘電率が大きいほど大きく、誘電体3がない場合に比べて電気力線は密となる(電気力線の密度が高くなる)。この結果、あたかも、誘導電極5が放電電極4に近づいたような電界となる。
【0083】
つまり、この現象は、誘電体3がない場合の電気力線(図8よりも密度の小さい電気力線)によって引き起こされるものであるから、そのときの電気力線の密度が高いほど、誘電体3がある場合の電気力線の密度も高くなる。電気力線の密度は、すなわち電界の強さを示すものである。
【0084】
以上の前提のもとで、次に、誘電体3上にコーティング層8が形成されている場合における、コーティング層8での誘電分極について説明する。図9ないし図11は、誘電体3上にコーティング層8が形成されている場合において、放電電極4に正の電圧が印加されており、誘導電極5に負の電圧が印加されている場合の、放電電極4から誘導電極5に向かう電気力線を示している。
【0085】
ただし、誘電体3上における放電電極4の非形成領域にあるコーティング層8の厚さt1は、図9では11μm、図10では22μm、図11では50μmであり、放電電極4の厚さt2はいずれも20μmであるとする。また、ここで言う「誘電体3上における放電電極4の非形成領域にあるコーティング層8」には、放電電極4の端面を覆うコーティング層8は含まれないものとする。
【0086】
放電電極4と誘導電極5との間の電位差に基づいて、放電電極4近傍でコロナ放電が起こる際、コーティング層8表面で誘電分極が起こる。このとき、放電電極に近い位置にあるコーティング層8(例えば放電電極4上のコーティング層8)の表面電位は、図9ないし図11に示すように、放電電極4の極性と同極性に分極して正となる。一方、放電電極4から離れた位置にあるコーティング層8(例えば誘電体3上で放電電極4の非形成領域にあるコーティング層8)の表面電位は、図9ないし図11に示すように、放電電極4の極性と逆極性に分極して負となる。
【0087】
このとき、放電電極4と誘導電極5とを結ぶ電気力線は、放電電極4に近づけば近づくほど密となるが、t1がt2よりも小さいときは、t1がt2と同等(図10の場合)もしくはそれ以上の場合(図11の場合)に比べて電気力線が密なところで、コーティング層8表面の電位が分極するようになる。
【0088】
つまり、図9ないし図11において、コーティング層8表面における最も電界の強いところ(電気力線の最も密なところ)をそれぞれP、Q、Rとすると、電界強度は大きい順でP>Q>Rとなる。したがって、コーティング層8を有するこのような構造では、t1がt2よりも大きくなると、コーティング層8表面側の電界強度が極端に弱くなることがわかる。
【0089】
ここで、図9ないし図11のようにコーティング層8の厚さを変えた試作品で、出力電圧(放電電極4と誘導電極5との間の電圧で、線間電圧とも言う)と正負両イオンの発生量との関係を調べた。その結果を表1に示す。なお、入力電圧(電圧印加回路9に印加する電圧)の変化範囲は55〜100V、出力電圧の変化範囲は2.62〜4.2kV、周波数は約40kHzとした。
【表1】
Figure 2004105517
【0090】
この実験結果より、t1をt2よりも小さくすることで、正負両イオン間での発生量のバラツキを低減することができ、イオンバランスを良好に保つことができると言える。これは、t1をt2よりも小さくすることで、放電電極4付近の電界集中度(電界強度)が高くなり、放電電極4付近で安定して正負両イオンを発生させることができているからである。
【0091】
また、t1をt2よりも小さくすることで放電電極4付近の電界強度が高くなるので、放電電極4と誘導電極5との間の電位差(線間電圧)を小さくしても、放電電極4付近にて所望の量の正負両イオンを発生させることができる。これにより、素子における消費電力を低減することができる。
【0092】
なお、本発明のイオン発生素子は、放電電極の非形成領域における保護層の厚さが、放電電極上の保護層の厚さよりも小さい構成であってもよい。
【0093】
なお、本発明は、正イオンあるいは負イオンのいずれかを発生させるイオン発生素子にも適用することができる。
【0094】
【発明の効果】
本発明のイオン発生素子においては、放電電極の非形成領域における保護層の厚さt1が放電電極の厚さt2よりも小さいときは、t1がt2と同等もしくはそれ以上の場合に比べて電気力線が密なところで、保護層表面の電位が分極するようになる。
【0095】
それゆえ、放電電極付近の電界集中度(電界強度)が高くなるので、放電電極付近で安定して正負両イオンを発生させることができる。その結果、正負両イオン間での発生量のバラツキを低減することができ、イオンバランスを良好に保つことができるという効果を奏する。
【0096】
また、放電電極付近の電界強度が高くなることにより、放電電極と誘導電極との間の電位差(線間電圧)を小さくしても、放電電極付近にて所望の量の正負両イオンを発生させることができる。これにより、素子における消費電力を低減することができるという効果を奏する。
【0097】
また、本発明のイオン発生素子の製造方法によれば、第1の誘電体上における放電電極の非形成領域にある保護層の厚さが放電電極の厚さよりも小さいイオン発生素子が得られるので、放電電極と誘導電極との間の電位差に基づいて放電(例えば放電電極付近でのコロナ放電)が起こる際に、上記と同様の理由で放電電極付近での電界強度を高めることができ、その結果、上記と同様の効果を得ることができる。
【0098】
また、本発明のイオン発生素子と、このイオン発生素子の放電電極と誘導電極との間に電圧を印加する電圧印加手段とでイオン発生装置を構成しても、上述の効果を得ることができる。さらには、上記のイオン発生装置と、このイオン発生装置にて発生したイオンを空気中に送出する送出手段とで各種の電気機器を構成した場合でも、上述の効果を得ることができるという効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明に係るイオン発生装置の概略の構成を示す平面図である。(b)は、上記イオン発生装置を一側面から見たときの側面図である。(c)は、上記イオン発生装置を他の側面から見たときの側面図である。
【図2】上記イオン発生装置を備えた掃除機の概略の構成を示す説明図である。
【図3】上記イオン発生装置を備えた冷蔵庫の概略の構成を示す説明図である。
【図4】上記イオン発生装置のイオン発生素子が備える誘導電極の概略の構成を示す平面図である。
【図5】上記イオン発生素子が備える放電電極の概略の構成を示す平面図である。
【図6】図1(a)中のA部分を拡大して示す平面図である。
【図7】上記放電電極とは異なる構成の放電電極を備えたイオン発生素子の概略の構成を示す平面図である。
【図8】上記イオン発生素子の誘電体上にコーティング層が形成されていない場合において、放電電極に正の電圧が印加されており、誘導電極に負の電圧が印加されている場合の、放電電極から誘導電極に向かう電気力線を示す説明図である。
【図9】上記誘電体上にコーティング層が形成されており、かつ、放電電極の非形成領域にあるコーティング層の厚さが上記放電電極の厚さよりも小さい場合において、放電電極に正の電圧が印加されており、誘導電極に負の電圧が印加されている場合の、放電電極から誘導電極に向かう電気力線を示す説明図である。
【図10】上記誘電体上にコーティング層が形成されており、かつ、放電電極の非形成領域にあるコーティング層の厚さが上記放電電極の厚さと同等である場合において、放電電極に正の電圧が印加されており、誘導電極に負の電圧が印加されている場合の、放電電極から誘導電極に向かう電気力線を示す説明図である。
【図11】上記誘電体上にコーティング層が形成されており、かつ、放電電極の非形成領域にあるコーティング層の厚さが上記放電電極の厚さよりも大きい場合において、放電電極に正の電圧が印加されており、誘導電極に負の電圧が印加されている場合の、放電電極から誘導電極に向かう電気力線を示す説明図である。
【図12】従来の電界装置の概略の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1  イオン発生装置
2  イオン発生素子
3  誘電体
3a 上部誘電体(第1の誘電体)
3b 下部誘電体(第2の誘電体)
4  放電電極
5  誘導電極
8  コーティング層(保護層)
9  電圧印加回路(電圧印加手段)
24  先鋭部
24a 先端部分
40  掃除機(電気機器)
41  送風機(送出手段)
50  冷蔵庫(電気機器)

Claims (7)

  1. 誘電体の表面に形成される放電電極と、
    前記誘電体の内部に形成され、前記放電電極と対向して配置される誘導電極と、
    前記放電電極を覆うように、前記誘電体上に形成される保護層とを備え、前記両電極間の電位差に基づいて発生する放電により、イオンを発生するイオン発生素子において、
    前記放電電極の非形成領域における前記保護層の厚さが、前記放電電極の厚さよりも小さいことを特徴とするイオン発生素子。
  2. 前記誘導電極は、前記放電電極との対向面内で屈曲して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生素子。
  3. 前記放電電極は、格子状に形成されており、
    各格子には、格子内部に向かって突出する先鋭部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のイオン発生素子。
  4. 前記先鋭部は、その先端部分が前記誘導電極と重畳するように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のイオン発生素子。
  5. 第1の誘電体上に放電電極を形成する工程と、
    第2の誘電体上に誘導電極を形成する工程と、
    前記放電電極を覆うように、前記第1の誘電体上に保護層を形成する工程と、
    前記第1の誘電体を介して前記放電電極と前記誘導電極とが対向するように、前記第1の誘電体と前記第2の誘電体とを貼り合わせる工程とを有し、
    前記保護層の形成工程では、前記放電電極の非形成領域における保護層の厚さが、前記放電電極の厚さよりも小さくなるように、前記保護層を形成することを特徴とするイオン発生素子の製造方法。
  6. 請求項1ないし4のいずれかに記載のイオン発生素子と、
    前記イオン発生素子の前記放電電極と前記誘導電極とのうち少なくとも一方に電圧を供給する電圧印加手段とを備えていることを特徴とするイオン発生装置。
  7. 請求項6に記載のイオン発生装置と、
    前記イオン発生装置にて発生したイオンを空気中に送出する送出手段とを備えていることを特徴とする電気機器。
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