JP2007133939A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】低ノイズを実現した記録媒体を提供する。
【解決手段】針状の超微粒子磁性体を用いて、この結晶子サイズと短軸長を適切な範囲におさめ、磁性粉の体積密度を高めることで実現した記録媒体による。
【選択図】なし

Description

本発明は、非磁性支持体上に非磁性層塗膜および磁性層塗膜を形成することにより得られる塗布型の磁気記録媒体に関し、記録容量、アクセス速度、転送速度が高い磁気記録媒体に関する。
磁気記録媒体の一つの磁気テープは、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピユーターテープなど種々の用途があるが、特にデータバックアップ用テープの分野ではバックアップ対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり数100GB以上の記憶容量のものが商品化されており、今後ハードディスクのさらなる大容量化に対応するためバックアップテープの高容量化は不可欠である。
磁気記録媒体の高容量化のためには記録波長を小さくすること、トラック幅を狭めることが必要である。しかしこのことによってSNRが低下し、十分な記録再生ができなくなってくる。このため短波長、狭トラック幅でもSNRが確保できるような磁気記録媒体、及び記録再生ヘッドが開発されてきた。特に磁気抵抗効果を利用したMRヘッドを実用化することで高い再生出力を得ることができ、SNRを高めることができる。
MRヘッドを用いるとアンプなどの電気回路依存のノイズを上げることなく、再生出力を高めることができる。このためSNRが高くなるのであるが、磁気記録媒体起因のノイズ(メディアノイズ)に関しては、出力が大きくなった分高くなってしまう。ところでトラック幅を狭める場合、MRヘッドの再生出力はトラック幅に比例して小さくなるが、メディアノイズはトラック幅の平方根に比例して小さくなる。ここでノイズもトラック幅に比例して小さくなればSNRとしては変化しないが、メディアノイズがトラック幅の平方根に比例するため、SNRはトラック幅の平方根に比例して小さくなってしまう。
このように高記録密度化をはかるためにMRヘッドを用いたとき、磁気記録媒体は高出力を実現することも重要であるが、上記したようなメディアノイズを低減することも必要となってくる。磁気記録媒体のメディアノイズは主に粒子性ノイズと変調ノイズとに大別できる。特に粒子性ノイズは広い周波数帯域に影響を及ぼし、メディアノイズの主成分となる。一般的に磁気記録媒体の最小単位は、外部磁場に対して同一の振る舞いをする磁気モーメントを持つつぶ(磁性粒)であり、大きさは数nm〜数μmである。前記の粒子性ノイズは、形成する磁性粒の大きさのばらつきに起因した統計的なノイズであり、ビット体積中の磁性粒の数を多くすることで下がることがわかっている。このためには磁性粒の最小単位を小さくすること、及び単位体積中の磁性粒の体積密度を高めることで実現できる。
蒸着やスパッタによって磁性層を形成する金属薄膜型の磁気記録媒体においては、材料や製造条件を最適化することで、最小単位の磁性粒を小さくしてきた。また主として強磁性磁性粉と結合剤を含むいわゆる塗布型の磁気記録媒体においては、この強磁性磁性粉を極限まで微粒子化することによって、最小単位の磁性粒を小さくすることができ、強磁性磁性粉に対するその他の部材の体積を小さくすることができる。
通常塗布型磁気記録媒体に用いる強磁性磁性粉は、鉄−コバルト合金を主成分とした金属微粒子粉が用いられるが、保磁力を確保するため、その形状を針状やスピンドル状といった異方性が付与できる形状にする必要があった。このような強磁性磁性粉を用いた塗布型磁気記録媒体は、特開2004−319838、特開2005−025936、特開2005−026603、特2005−032367等に記載され、超微粒子を使用した磁気記録媒体により、低い粒子性ノイズの実現を図ろうとしているが未だ十分とは言えなかった。
特開2004−319838 特開2005−025936 特開2005−026603 特開2005−032367 また特にMRヘッドを使用して再生を行う場合、磁気記録媒体の磁性層面に垂直な方向の磁気特性を十分に考慮する必要があるが、単位体積中の磁性粒の数を増やすために強磁性磁性粉を微粒化した場合ではこの考察が不十分であった。
以上のように超微粒子を使用する場合に低ノイズが実現できないひとつの理由として、磁性粉が微粒化した場合長軸長は小さくなるが、この場合の結晶子サイズが最適化出来ていない点がある。さらに与えられた結晶子サイズに対し短軸長をどの範囲におさめるのが最適であるかわからない点があった。これらが最適化できていない場合、強磁性磁性粉の形状異方性を保てず保磁力が確保できなくなったり、熱揺らぎによって磁性を失ってしまう(超常磁性)ことが起きる。
更に超微粒子を用いて磁性層を形成する場合、磁性層面に垂直な方向の残留磁束磁性層厚積Mptが適切な範囲に入らなくなる場合が発生し、MRヘッドで再生した場合の再生出力が低下してしまう場合がある。
本発明は、主として、磁気記録媒体における上記のような問題に対処するもので、その目的は、針状の強磁性磁性粉を用いつつ、超微粒化した場合にも保磁力やまして磁性を失わず、ヘッド方向に適切な残留磁束磁性層厚積を持たせることで高い再生出力を有して、高容量化に対応した高SNRを確保するための低粒子性ノイズを実現した磁気記録媒体を提供する。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、針状の超微粒子磁性体を用いて、従来は単に磁性粉末のサイズを小さくすることにとらわれていたが、この結晶子サイズと短軸長を適切な範囲におさめることによりはじめて、粒子性ノイズが低減できることを見出した。
さらに磁気記録において記録再生分解能を高めるためには、読み出しのMRヘッドのシールド−シールド間隔hが小さい方が適切である。MRヘッドのシールド−シールド間隔は誘導型ヘッドのヘッドギャップに相当し、間隔が狭いほど読み出し分解能を高くすることが出来る。この場合前記磁気記録媒体の磁性面に垂直な方向の残留磁束磁性層厚積Mptが大きいままであると、十分な再生出力を得ることが出来ず、そのため記録分解能を改善できない。そこで磁気記録媒体の磁性層面に垂直な方向の残留磁束磁性層厚Mptを適切な範囲におさめることによって、高記録密度に耐えうる記録分解能が実現できることを見出した。
本発明は、以上の知見をもとにして、完成されたものである。すなわち、本発明は可撓性支持体上に少なくとも磁性層を有する磁気記録媒体であって、前記磁性層は少なくとも強磁性磁性粉と結合剤とを含み、かつ前記強磁性磁性粉の結晶子サイズDxが5〜9nmで、前記強磁性磁性粉の短軸長rとの比Dx/rが0.8〜1.0の範囲にあり、前記磁気記録媒体のヘッド方向の残留磁束磁性層厚積Mptが2.5〜6.5Tnm(0.20〜0.52memu/cm)の範囲にあることを特徴とする磁気記録媒体(請求項1)と、前記磁気記録媒体が再生される再生ヘッドが磁気抵抗効果型(MR)ヘッドであり、該MRヘッドのシールド−シールド間隔hと前記磁気記録媒体のヘッド方向の残留磁束磁性層厚積Mptとが0.01T(0.0008memu/cm・nm)<Mpt/h<0.04T(0.0032memu/cm・nm)の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体(請求項2)と、前記強磁性磁性粉の長軸長dが10〜50nmであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の磁気記録媒体(請求項3)に関わるものである。
以上のように、本発明の請求項1に係る磁気記録媒体によれば、高容量化に対応した高SNRを確保するための高出力と低粒子性ノイズを実現した磁気記録媒体を得ることができる。
以下、本発明の磁気記録媒体の好ましい実施形態を説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。磁気記録媒体はデジタル記録用であり、可撓性磁性支持体の少なくとも一面上に上層磁性層が設けられている。とくに高記録密度が必要であるテープ媒体では、該可撓性支持体と該上層磁性層の間に隣接して下層非磁性層を設けることができる。また特に走行高信頼性が必要であるテープ媒体では、支持体の前記下層非磁性層と上層磁性層からなる表層塗布層の他面上に、バックコート層を設けることができる。以下に本発明を実施するための、非磁性支持体、下層非磁性層、上層磁性層、バックコート層について詳述する。
非磁性支持体の長手方向のヤング率が5.9GPa(600kg/mm)以上で、且つ幅方向のヤング率が3.9GPa(400kg/mm)以上であることが好ましく、さらに長手方向のヤング率が9.9GPa(1000kg/mm)以上、且つ幅方向のヤング率が7.9GPa(800kg/mm)以上がより好ましい。非磁性支持体の長手方向のヤング率が5.9GPa(600kg/mm)以上がよいのは、長手方向のヤング率が5.9GPa(600kg/mm)未満では、テープ走行が不安定になるためである。非磁性支持体の幅方向のヤング率が3.9GPa(400kg/mm)以上がよいのは、幅方向のヤング率が3.9GPa(400kg/mm)未満では、テープのエッジダメージが発生しやすくなるためである。
このような特性を満足する非磁性支持体には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、二軸延伸の芳香族ポリアミドベースフィルム、芳香族ポリイミドフィルム等がある。なお、非磁性支持体の厚さは、用途によって異なるが、通常2〜7μmのものが使用される。より好ましくは2.5〜4.5μmである。この範囲の厚さの非磁性支持体が使用されるのは、2μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、7μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記憶容量が小さくなるためである。また、非磁性支持体の磁性層形成面の表面中心線平均粗さ(Ra)は2.5nm以上20nm以下がより好ましい。20nm以下がより好ましいのは、20nm以下であれば、下層非磁性層を薄くしても下層非磁性層表面及び磁性層表面の凹凸が小さくなるためである。
下層非磁性層には、強度を高める目的で非磁性の無機質粉体を含み、この無機質粉体としては、金属酸化物、アルカリ土類金属塩等であることが好ましい。更に下層非磁性層に添加する無機質粉体としては、酸化鉄が好ましく、その粒径は50〜400nmがより好ましく、添加量は、全無機質粉体100重量部に対して35〜83重量部が好ましい。この範囲の粒径が好ましいのは、粒径50nm未満では均一分散が難しく、400nmを越えると下層非磁性層とその直上の層との界面の凹凸が増加するためである。また、この範囲の添加量が好ましいのは、35重量部未満では塗膜強度向上効果が小さく、83重量部を越えると反って塗膜強度が低下するためである。
下層非磁性層にはアルミナを添加することが好ましい。アルミナの添加量は、全非磁性粉体100重量部に対して2〜30重量部がより好ましく、8〜20重量部がさらに好ましく、11〜20重量部が一層好ましい。添加するアルミナの粒径は、100nm以下が好ましく、10〜100nmのアルミナ添加がより好ましく、30〜90nmがさらに好ましく、50〜90nmが一層好ましい。また、下層非磁性層のアルミナはコランダム相を主体とするアルミナが特に好ましい。上記範囲のアルミナ添加量が好ましいのは、2重量部未満では塗料流動性が不充分となり、30重量部を越えると下層非磁性層とその直上の層との凹凸が大きくなるためである。また、100nm以下のアルミナが良いのは、磁性層形成面の表面粗さが2.5nm以上の平滑度が低い非磁性支持体を使用し、下層非磁性層が1.5μm以下と薄い場合に、アルミナの粒径が100nmを越えると、下塗層表面の平滑効果が不充分になるためである。コランダム相を主体とするアルミナ(α化率:30%以上)が特に良いのは、σ、θやγアルミナ等を使用した場合に比べて少量で下塗層のヤング率が高くなり、テープ強度が増すためである。また、テープ強度も高くなることで、テープエッジの波打ち(エッジウイーブ)による出力のばらつきも改善される。
なお、上記粒径のアルミナと共に、全無機質粉体100重量部に対して3重量部未満の100〜800nmのαアルミナを添加することを排除するものではない。
下層非磁性層には、導電性向上を目的にカーボンブラック(CB)を添加する。添加するCBとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。粒径が5nm〜200nmのものが使用されるが、粒径10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、CBがストラクチャーを持っているため、粒径が10nm以下になるとCBの分散が難しく、100nm以上では平滑性が悪くなるためである。CB添加量は、CBの粒径によって異なるが、全非磁性粉体100重量部に対して15〜40重量部が好ましい。この範囲が好ましいのは、15重量部未満では導電性向上効果が乏しく、40重量部を越えると効果が飽和するためである。粒径15nm〜80nmのCBを15〜35重量部使用するのがより好ましく、粒径20nm〜50nmのCBを20〜30重量部用いるのがさらに好ましい。このような粒径・量のCBを添加することにより電気抵抗が低減され、静電ノイズの発生やテープ走行むらが小さくなる。
上層磁性層に用いる磁性粉には、強磁性磁性粉が使用される。保磁力は、135kA/m〜280kA/m(1700〜3500Oe)が好ましく、飽和磁化量は、100〜200A・m/kg(100〜200emu/g)が好ましく、120〜180A・m/kg(120〜180emu/g)がより好ましい。なお、この磁性層の磁気特性と、強磁性磁性粉の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場1.28MA/m(16kOe)での測定値をいうものである。
また、本発明の強磁性磁性粉の平均結晶子サイズとしては、5〜9nmが好ましく、6〜8nmがより好ましく、6〜7nmが更に好ましい。この範囲が好ましいのは、9nmより大きいと粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなり、SNR特性を向上させることが困難になる。また、結晶子サイズが5nm未満となると超常磁性を引き起こして熱揺らぎが支配的になり、磁性を保つことが困難になるためである。結晶子サイズの測定は一般的なX線回折法によって同定した。
本発明の強磁性磁性粉の平均長軸長としては、10〜50nmが好ましく、20〜40nmが更に好ましい。この範囲が好ましいのは、50nmより大きいと粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなり、SNR特性を向上させることが困難になる。また、平均長軸長が10nm未満となると保磁力が低下し、同時に磁性粉の凝集力が増大するため塗料中への分散が困難になるためである。
本発明の強磁性磁性粉の平均短軸長rとしては、5〜11nmが好ましく、6〜9nmが更に好ましい。この範囲が好ましいのは、11nmより大きいと粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなり、SNR特性を向上させることが困難になる。また、短軸長rが5nm未満となると超常磁性を引き起こして熱揺らぎが支配的になり、磁性を保つことが困難になるためである。
なお、上記の平均長軸長・平均短軸長は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した写真の粒子サイズを実測し、100個あたりの平均値により求めたものである。
ところで前記結晶子サイズDxと平均短軸長rとの比Dx/rは0.8〜1.0の範囲にあることが好ましく、0.9〜1.0の範囲にあることがより好ましい。この範囲にあることが好ましいのは、比Dx/rが0.8より小さくなると、粒子性ノイズが極端に上昇し、十分なSNRが確保できなくなる。また、この強磁性磁性粉のBET比表面積は、35〜85m2/gが好ましく、40〜80m2/gがより好ましく、50〜70m2/gが最も好ましい。
上層磁性層添加する研磨材としては、数平均粒径が5〜150nm、粒度分布が標準偏差で10nm以下であり、主としてモース硬度6以上のα−アルミナ、β−アルミナが単独または組み合わせで使用される。これらの中でもコランダム型のアルミナ(α化率:30%以上)が特に良いのは、σ、θやγアルミナ等を使用した場合に比べては高硬度で、少量の添加量でヘッドクリーニング効果に優れるため特に好ましい。さらにCVD法で作成した単結晶アルミナは粒度分布を狭くし、かつ焼結がないので特に好ましい。アルミナ研磨材の粒径としては、磁性層厚さにもよるが、通常平均粒径で20〜100nmとすることがより好ましく、粒径30〜90nmがさらに好ましい。添加量は強磁性磁性粉100重量部に対して5〜20重量部が好ましい。より好ましくは8〜18重量部である。
ここで粒径が150nm以下のアルミナがよいのは、粒径150nm以上のアルミナが磁性層に存在するとヘッド摩耗性が上がるためである。また粒径50nm以上のアルミナがよいのは、磁性層に存在するアルミナの粒径が50nm以下になると、耐久性・クリーニング性が悪くなるからである。更に粒度分布が標準偏差で10nm以下がよいのは、10nmより広い分布のアルミナを使用した場合、磁性層の大粒径アルミナが存在する部分的ではヘッド摩耗が高くなり、小粒径アルミナが存在する部分では耐久性・クリーニング性が悪くなってしまう。このように部分的な劣化が発生すると、特性にバラツキが生じ、最終的には十分な性能を出すことが出来なくなるためである。
アルミナ添加量が5重量部以上が好ましいのは、5重量部に満たない場合、磁性層の塗膜強度が落ちて耐久性が劣化するためである。また塗膜によるヘッドのクリーニング性も極端に悪くなるので、ヘッドに付着した汚れをかき落とせなくなるからである。また15重量部以下がよいのは、15重量部を超えてしまうとSNR特性が下がるためである。
さらに、本発明の上層磁性層には導電性向上と表面潤滑性向上を目的に従来公知のカーボンブラック(CB)を添加することができるが、これらのCBとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、等を使用できる。粒径が5nm〜200nmのものが使用されるが、粒径10nm〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、粒径が10nm以下になるとCBの分散が難しく、100nm以上では多量のCBを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、出力低下の原因になるためである。添加量は強磁性磁性粉100重量部に対して0.2〜5重量部が好ましい。より好ましくは0.5〜4重量部である。
下層非磁性層と上層磁性層に、役割の異なる潤滑剤を使用する。下層非磁性層には、全無機質粉体100重量部に対して0.5〜4.0重量部の高級脂肪酸を含有させ、0.2〜3.0重量部の高級脂肪酸のエステルを含有させると、テープと回転シリンダまたはヘッドアイランドとの摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の高級脂肪酸添加が好ましいのは、0.5重量部未満では、摩擦係数低減効果が小さく、4.0重量部を越えると下塗層が可塑化してしまい強靭性が失われる。また、この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.5重量部未満では、摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量部を越えると磁性層への移入量が多すぎるため、テープと回転シリンダまたはヘッドアイランドが貼り付く等の副作用があるためである。
上層磁性層には強磁性磁性粉100重量部に対して0.5〜3.0重量部の脂肪酸アミドを含有させ、0.2〜3.0重量部の高級脂肪酸のエステルを含有させると、テープと回転シリンダとの摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の脂肪酸アミドが好ましいのは、0.2重量部未満ではヘッド/磁性層界面での直接接触が起こりやすく焼付き防止効果が小さく、3.0重量部を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウトなどの欠陥が発生する。脂肪酸アミドとしてはパルミチン酸、ステアリン酸等のアミドが使用可能である。また、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量部未満では摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量部を越えるとテープと回転シリンダが貼り付く等の副作用があるためである。なお、磁性層の潤滑剤と下層非磁性層の潤滑剤の相互移動を排除するものではない。
下層非磁性層と上層磁性層に使用される高分子結合剤は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂、ニトロセルロースなどの中から選ばれる少なくとも1種と、ポリウレタン樹脂との組み合わせがある。中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂とポリウレタン樹脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどがある。これらの高分子結合剤は、磁性層では強磁性磁性粉、下層非磁性層では全非磁性粉体100重量部に対して、15〜50重量部、好ましくは20〜35重量部の範囲で用いられる。特に、高分子結合剤として、塩化ビニル系樹脂10〜35重量部と、ポリウレタン樹脂5〜25重量部とを、複合して用いるのが最も好ましい。
官能基としてCOOH、SOM、OSOM、P=O(OM)、O−P=O(OM)、[Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩] 、OH、NR、N[R、R、R、R、R は水素または炭化水素基]、エポキシ基を有する、高分子からなる結合剤が使用される。このような高分子結合剤を使用するのは、上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SOM基同士の組み合わせが好ましい。
これらの高分子結合剤とともに、高分子結合剤中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、高分子結合剤100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合で用いられる。より好ましくは15〜35重量部である。
これらの高分子結合剤と架橋剤を加えた全結合剤は、強磁性磁性粉100重量部に対して15〜40重量部の範囲にあることが好ましく、20〜25重量部の範囲にあることがより好ましい。この範囲が好ましいのは40を上回ると体積密度が下がってしまう。また15を下回ると磁性層中の空孔が極端に増加し、この場合も体積密度としては低下してしまうからである。
両層に用いられる有機溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等が単独、もしくは任意の比率で混合して使用できる。
表層塗布層の裏面に設けたバックコート層は、従来公知のものであり、走行性向上を目的としている。バックコート層の厚さは、0.2〜0.8μmが好ましい。この範囲が良いのは、0.2μm未満では、走行性向上効果が不充分で、0.8μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、1巻当たりの記憶容量が小さくなるためである。またバックコート層の塗布には、従来公知のグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、ダイ塗布装置などで行うことができる。
バックコート層に用いられるカーボンブラック(CB)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、等を使用できる。通常、小粒径カーボンと大粒径カーボンを使用する。小粒径カーボンには、粒径が5nm〜200nmのものが使用されるが、粒径10nm〜100nmのものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、粒径が10nm以下になるとCBの分散が難しく、粒径が100nm以上では多量のCBを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)原因になるためである。大粒径カーボン100重量部に対して、小粒径カーボンの5〜15重量部、粒径300〜400nmの大粒径カーボンを使用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。小粒径カーボンと大粒径カーボン合計の添加量は無機粉体重量を基準にして60〜98重量部が好ましく、70〜95重量部がより好ましい。表面粗さRaは3〜8nmが好ましく、4〜7nmがより好ましい。
また、バックコート層には、強度向上を目的に、粒径が100nm〜600nmの酸化鉄を添加するのが好ましく、200nm〜500nmがより好ましい。添加量は全無機粉体100重量部を基準にして2〜40重量部が好ましく、5〜30重量部がより好ましい。
磁性塗料の主な製造方法としては、次に示す方法が挙げられる。即ち、先ずニーダー、二軸連続式混練装置(エクストルーダ)等の如き強力な混練機を用いて、磁性粉と少量の高分子結合剤樹脂とを混練し、更に溶剤を加えて固形分濃度35〜45%(重量基準、以下同じ)にて攪拌してペースト状のミルベースを得る。上記混練工程において使用される二軸連続式混練機は、その混練部(バレル)に加熱・冷却可能な装置を装備し、該混練部の温度を、20〜50℃、好ましくは25〜35℃に制御することにより調整される。ここで、上記混練部の温度が20℃未満であると、混練物へのぬれ性アップが図れず、分散性向上もねらうことができず、また50℃を越えると、混練物の粘性が低下し、所望の剪断力を作用させることができなくなる。また、上記混練工程において混練する際の混練条件は、混練時間が2〜5分であるのが好ましく、混練物の供給速度が5〜15kg/hであるのが好ましい。次いで、サンドミル等により分散操作を行って、固形分の分散状態を向上させる。
上層磁性層の平均乾燥厚みを1nm〜100nmの任意の厚みで精度良く生産性良く塗布することは、前記上層磁性層の直下に下層非磁性層を、前記下層非磁性層が湿潤状態のうちに、前記上層磁性層を重畳して塗布する、ウェットオンウェット同時重層塗布方式を用いて設けることによって実現できる。塗布には塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つのダイ塗布ヘッドにより、下層非磁性層と上層磁性層をほぼ同時に塗布する。塗布の安定性をあげるために、下層非磁性層に用いる溶媒の表面張力が、上層磁性層に用いる溶媒の表面張力より高いことが好ましい。表面張力の高い溶媒としてはシクロヘキサノン、ジオキサンなどがある。
表層塗布層を塗布した後に、金属ロール同志でカレンダー処理することで、本発明の効果を引き上げることができる。また、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールをカレンダーロールとして使用することもできる。処理温度は、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上である。線圧力は好ましくは200kg/cm、さらに好ましくは300kg/cm以上、その速度は20m/分〜700m/分の範囲である。本発明の効果は80℃以上の温度で300kg/cm以上の線圧でより一層効果を上げることができる。
バックコート層は、表層塗布層の塗布とカレンダー処理の前後又は間のいずれかの工程で塗布する。また表層塗布層とバックコート層の塗布、及びカレンダー処理の後、表層塗布層、バックコート層の硬化を促進するために、40℃〜80℃のエージング処理を施してもかまわない。
磁性層の厚みは1nm以上200nm以下が好ましく、10nm以上90nm以下がより好ましい。この範囲が好ましいのは、磁性層が1nm未満では、これからの漏れ磁界が小さいためにヘッド出力が小さくなり、200nmを越えると、厚み損失によりヘッド出力が小さくなるためである。
上層磁性層の磁気記録媒体としての保磁力は、ヘッド走行方向で135kA/m〜280kA/m(1700〜3500Oe)、残留磁束密度はテープ長手方向で0.35T(3500G)以上が好ましい。この範囲が好ましいのは、保磁力が135kA/m未満では、反磁界によって出力が減少し、280kA/mを越えるとヘッドによる書き込みが困難になるためである。残留磁束密度が0.35T(3500G)以上が好ましいのは、0.35T未満では出力が低下するためである。保磁力が160kA/m〜240kA/m(2000〜3000Oe)、残留磁束密度が0.4T〜0.5T(4000〜5000G)のものはより好ましい。
MRヘッドを再生ヘッドとして用いるシステムに供する場合、上層磁性層の長手方向の残留磁束密度と磁性層膜厚との積であるMrt値が72Tnm(6.0memu/cm)以下であり、角形比が0.85以上であることが好ましい。Mrtが72Tnm以下が好ましいのは、72Tnm以上ではほとんどのMRヘッドを飽和させてしまうからである。角形比が0.85以上であることが好ましいのは、0.85以下であると熱擾乱による記録減磁が起こるからである。Mrtは2〜24Tnm(0.2〜2.0memu/cm)の範囲がより好ましく、角形比は0.90〜0.97の範囲がより好ましい。
また上層磁性層のヘッド方向の残留磁束密度と磁性層厚との積Mptは2.5〜6.5Tnm(0.20〜0.52memu/cm)の範囲にあることが好ましい。この範囲が好ましいのはMptが6.5Tnmを上回ると長手記録における自己減磁が増大して出力の低下を招く。また2.5Tnmを下回ると垂直方向の磁束成分が極端に落ち、出力が低下する。
さらにこの磁気記録媒体を再生するMRヘッドにおいて、シールド−シールド間隔hは記録分解能を決定する上で重要な値である。MRヘッドのシールドは磁束を遮蔽するためにMRヘッドの両側に近接して設置されており、シールドの間隙上に入った部分の磁気記録媒体から出てくる磁束のみ、MRヘッドは関知する。このhと前記磁気記録媒体の磁性層面に垂直な方向の残留磁束磁性層厚積Mptとが、0.01T(0.0008memu/cm・nm)<Mpt/h<0.04T(0.0032memu/cm・nm)の関係を満たすことが好ましい。この範囲が好ましいのはMpt/hが0.014Tを下回ると垂直方向の磁束成分が極端に落ち、出力が低下する。また0.016Tを上回ると長手記録における自己減磁が増大して出力の低下を招くからである。
下層非磁性層の厚みは、通常0.5〜3μmのものが使用される。より好ましくは1〜2μmである。この範囲の厚さの下層非磁性層が使用されるのは、0.5μm未満では塗布が難しく、生産性が悪いためであり、3μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記憶容量が小さくなるためである。また、非磁性支持体と下層の間に密着性向上のために、公知の下塗り層を設けてもかまわない。この厚みは0.01〜2μm、好ましくは0.05〜0.5μmである。
前記下層非磁性層と上層磁性層からなる表層塗布層のヤング率は、非磁性支持体の長手方向と幅方向のヤング率の平均値の40〜100%であることが好ましい。この範囲に塗布層のヤング率がすると、テープの耐久性が大きく、且つテープ-ヘッド間のタッチがよくなる。50〜100%の範囲がより好ましく、60〜90%の範囲がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは40%未満では塗布膜の耐久性が小さくなり、100%を越えるとテープ-ヘッド間のタッチが悪くなるためである。なお、本発明では下層非磁性層と上層磁性層からなる塗布層のヤング率を制御する方法の一つとしてカレンダー条件による制御法を用いた。
さらに、下層非磁性層のヤング率は、上層磁性層のヤング率の80〜99%が好ましい。下層非磁性層のヤング率が磁性層のそれより低い方がよいのは、下層非磁性層が、カレンダー処理時に一種のクッションの作用をするためである。
本発明の磁気記録媒体の表層塗布層面、及びその反対のバックコート層面のステンレス鋼に対する摩擦係数は、0.5以下、さらに0.3以下が好ましい。また表層塗布層の表面固有抵抗は104 〜1011オーム/sq、バックコート層の表面電気抵抗は103 〜109オーム/sq が好ましい。前記の要領で作成した媒体をテープに組み込んだカセットテープは、1巻当たりの容量が大きく、信頼性も高く、データバックアップ用テープとして、特に優れている。
以下に実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例の部は重量部を示す。
実施例1<<磁性層用塗料成分>>
(1) 強磁性磁性粉 100部
(Co/Fe:30at%、Y/(Fe+Co):8at%、
Al/(Fe+Co):5wt%、σs:125A・m/kg、
Hc:188kA/m、pH:9.5、長軸長:45nm、
短軸長:9.5nm、結晶子サイズ:8nm)
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 15部
(含有−SONa基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(含有−SO3Na基:1.0×10-4当量/g)
α−アルミナ 15部
(CVD製法、コランダム、中心粒径 100nm)
カ−ボンブラック 2部
(平均粒径:75nm、DBP吸油量:72cc/100g)
メチルアシッドホスフェート 2部
パルミチン酸アミド 1.5部
ステアリン酸n‐ブチル 1.0部
テトラヒドロフラン 65部
メチルエチルケトン 245部
トルエン 85部
(2) ポリイソシアネート 5部
シクロヘキサノン 167部

<<下層非磁性層用塗料成分>>
(1) 酸化鉄粉体(粒径:0.11×0.02μm) 68部
アルミナ(α化率:50%、粒径:70nm) 8部
カ−ボンブラック(粒径:25nm) 24部
ステアリン酸 2部
塩化ビニル共重合体 10部
(含有−SONa基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 4.5部
(Tg:40℃、含有−SONa基:1×10-4当量/g)
シクロヘキサノン 25部
メチルエチルケトン 40部
トルエン 10部
(2) ステアリン酸ブチル 1部
シクロヘキサノン 70部
メチルエチルケトン 50部
トルエン 20部
(3) ポリイソシアネート 4.5部
シクロヘキサノン 10部
メチルエチルケトン 15部
トルエン 10部
上記の磁性層用塗料成分(1)をニーダーで混練したのち、サンドミルでビーズ径0.5mmのジルコニアビーズを用いて滞留時間を45分として分散し、これに磁性層用塗料成分(2)を加え攪拌・濾過後、磁性層用塗料とした。これとは別に、上記の下層非磁性層用塗料成分において(1)をニーダーで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下層非磁性層用塗料とした。上記の下層非磁性層用塗料を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ6μm、MD=5.9GPa、TD=3.9GPa、東レ製)からなる支持体上に、乾燥、カレンダー後の厚さが1.1μmとなるように塗布、カレンダー処理し、この下層非磁性層上に、さらに磁場配向処理、乾燥、カレンダー処理後の磁性層の厚さが40nmとなるように、上記の磁性層用塗料と下層非磁性層を同時重層塗布し、磁場配向処理後、乾燥し、磁気シートを得た。なお、磁場配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(0.5T)を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmからN−N対抗磁石(0.5T)を2基50cm間隔で設置して行った。塗布速度は100m/分とした。
<<バックコ−ト層用塗料成分>>
カ−ボンブラック(粒径:25nm) 80部
カ−ボンブラック(粒径:370nm) 10部
酸化鉄(粒径:400nm) 10部
ニトロセルロ−ス 45部
ポリウレタン樹脂(SONa基含有) 30部
シクロヘキサノン 260部
トルエン 260部
メチルエチルケトン 525部
上記バックコ−ト層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネート15部を加えてバックコ−ト層用塗料を調整し濾過後、上記で作製した磁気シ−トの磁性層の反対面に、乾燥、カレンダー後の厚みが0.5μmとなるように塗布し、乾燥した。このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダーで、温度100℃、線圧150kg/cmの条件でカレンダー処理し、磁気シ−トをコアに巻いた状態で70℃で72時間エージングしたのち、1/2インチ幅に裁断し、これを200m/分で走行させながら磁性層表面をラッピングテープ研磨、ブレード研磨そして表面拭き取りの後処理を行い、磁気テ−プを作製した。この時、ラッピングテープにはK10000、ブレードには超硬刃、表面拭き取りにはトレシーを用い、走行テンション30gで処理を行った。上記のようにして得られた磁気テープを、カートリッジに組み込み、コンピュータ用テープを作製した。
実施例2
上層に使用する磁性粉を短軸長8.5nmの針状金属粉に変更したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作成した。
実施例3
上層に使用する磁性粉を長軸長60nmの針状金属粉に変更したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作成した。
実施例4
上層に使用する磁性粉を長軸長35nmの針状金属粉に変更したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作成した。
実施例5
上層に使用する磁性粉を結晶子サイズ6nmの針状金属粉に変更したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作成した。
実施例6
上層に使用する磁性粉をCo/Feの原子量比を40at%の針状金属粉に変更したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作成した。
実施例7
上層に使用する磁性粉をCo/Feの原子量比を25at%の針状金属粉に変更したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作成した。
比較例1
上層に使用する磁性粉を短軸長11.5nmの針状金属粉に変更したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作成した。
比較例2
上層に使用する磁性粉を短軸長10nmの針状金属粉に変更したことを除き、比較例1と同様にしてコンピュータ用テープを作成した。
比較例3
重層塗布後の磁場配向に用いるN−N対向磁石の磁場強度を0.2Tに変更したことを除き、実施例6と同様にしてコンピュータ用テープを作成した。
比較例4
重層塗布後の磁場配向に用いるN−N対向磁石の磁場強度を0.8Tに変更したことを除き、実施例7と同様にしてコンピュータ用テープを作成した。
比較例5
上層に使用する磁性粉を短軸長7.3nmの針状金属粉に変更したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用テープを作成した。
評価の方法は、以下のように行った。結果を表1に示した。磁性粉の粒径は、磁気記録媒体の記録面を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率50000倍で観察し、その写真撮影を行った。その後画像処理を行い、各磁性粒子の長軸長と短軸長を同定した。この長軸長と短軸長の平均値をそのアルミナの平均粒径とし、長軸長/短軸長の値を軸長比とした。さらに写真の視野を1.8×2.4μmとして、この視野においける粒径及び軸長比の統計分布を求めた。そして分布における平均粒径から+47.5%及び−47.5%に位置する粒子の粒径を、それぞれ便宜上最大粒径と最小粒径とした。また軸長比も同様に、最大軸長比から95%の大きさに相当する粒子の軸長比を持って最大軸長比とした。また結晶子サイズは、X線回析装置を用いて得られたプロファイルから(110)面に相当するピークの半価幅を求め、これをシェラーの式に代入して算出した。
テープの電磁変換特性測定には、ドラムテスターを用いた。ドラムテスターには電磁誘導型ヘッド(トラック幅25μm、ギャップ0.2μm)とMRヘッド(トラック幅5.5μm、シールド間隔0.40及び0.17μm)を装着し、誘導型ヘッドで記録、MRヘッドで再生を行った。両ヘッドは回転ドラムに対して異なる場所に設置されており、両ヘッドを上下方向に操作することで、トラッキングを合わせることができる。磁気テープはカートリッジに巻き込んだ状態から適切な量を引き出して廃棄し、更に60cmを切り出して回転ドラムの外周に巻き付けた。
出力及びノイズは、ファンクションジェネレータにより矩形波を記録電流発生アンプに入力制御し、波長0.17μmおよび20μmの信号を書き込み、MRヘッドの出力をプリアンプで増幅後、スペクトラムアナライザーに読み込んだ。0.17μmのキャリア値を高域出力Ch、20μmのキャリア値を低域出力Clとした。また0.34μmの信号を記録し、再生出力をスペクトラムアナライザーで読み込み、このときのキャリア出力をS、スペクトル成分のうち40μm〜0.17μmに対応し、キャリア成分を除いた範囲の周波数帯域で積分した値をノイズとして、両者の比を持ってSNRとした。
Figure 2007133939
結晶子サイズDxが5〜9nm
Dx/rが0.8〜1.0
Mptが2.5〜6.5Tnm
0.01T<Mpt/h<0.04T
表1に示す結果から明らかなように、実施例の磁気テープ(本発明品)は、比較例の磁気テープに比べて粒子性ノイズが低く、良好なSNRを実現していることが分かる。

Claims (3)

  1. 可撓性支持体上に少なくとも磁性層を有する磁気記録媒体であって、前記磁性層は少なくとも強磁性磁性粉と結合剤とを含み、かつ前記強磁性磁性粉の結晶子サイズDxが5〜9nmで、前記強磁性磁性粉の短軸長rとの比Dx/rが0.8〜1.0の範囲にあり、前記磁気記録媒体のヘッド方向の残留磁束磁性層厚積Mptが2.5〜6.5Tnm(0.20〜0.52memu/cm)の範囲にあることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記磁気記録媒体が再生される再生ヘッドが磁気抵抗効果型(MR)ヘッドであり、該MRヘッドのシールド−シールド間隔hと前記磁気記録媒体のヘッド方向の残留磁束磁性層厚積Mptとが0.01T(0.0008memu/cm・nm)<Mpt/h<0.04T(0.0032memu/cm・nm)の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 前記強磁性磁性粉の長軸長dが10〜50nmであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の磁気記録媒体。

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