JP2007133803A - Icカードおよびicカード用icモジュール - Google Patents

Icカードおよびicカード用icモジュール Download PDF

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Abstract

【課題】 ICカードをATMで反復使用しても、金ワイヤと基板側パッドとの接触不良を生じないICカードとそれに使用するICカード用ICモジュールを提供する。
【解決手段】 本ICカード1は、矩形状の接触端子板を有するICカード用ICモジュール5を、カードの四辺に平行し、かつISO7816に規定する位置に装着したICカードにおいて、前記ICカードに用いられているICモジュール5は、ICチップ側パッドと接触端子背面のワイヤボンディング基板側パッド26とがワイヤ接続されたものであって、ワイヤボンディング基板側パッド26の貫通孔の外縁が封止樹脂の外周Qの左右辺から0.9mm〜2.0mmの範囲内に形成したことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

この発明はICカードおよびICカード用ICモジュールに関する。
詳しくは、接触型ICカードをATM(Automatic Teller Machine)に通して反復使用してもICモジュールのワイヤ接続部の接触不良を生じないようにしたICカードとそれに使用するICカード用ICモジュールに関する。
具体的には、ICカード用ICモジュールのICチップ側パッドと接続する基板側パッドの位置を、従来よりもICチップ側に接近させることにより、ワイヤの剥離や接触不良を防止したICカードとそれに使用するICカード用ICモジュールに関する。
従って、本発明の技術分野は、ICカードやICモジュールの製造および利用分野に関する。
接触型ICカードは、一般にはCOB(Chip On Board)、またはリール形状のフレキシブル基板を用いたCOT(Chip On Tape)の形態をとったICモジュールを搭載しており、ICモジュールの各端子と、R/W(リーダライタ)のコンタクト部とを接触させて電気的に接続して、I/Oラインを形成し、I/Oラインを通じて情報の読み出し書き込みが行われている。
このICカードに用いるICモジュールは、表面側の接触端子板とICチップ側のパッドとの接続を、接触端子板と絶縁材料を間にして裏側に形成された回路とをスルーホールを貫通させて行う場合もあるが、近年のICモジュールでは、接触端子板の背面になる絶縁材料に小さな貫通孔を開けてから銅箔とラミネートし、露出する銅箔の金属面をワイヤボンディング基板側パッドとし、当該基板側パッドとICチップの各パッド間をワイヤ接続して導通させる場合が多くなっている。従来法の場合は導通の信頼性に劣り、コスト高になることと、封止樹脂がスルーホールからしみ出しする問題があるからである。
しかし、このようにワイヤ接続したICモジュールをICカードに使用し、当該ICカードをATM等の搬送ローラ中を繰り返し通過させる場合、搬送ローラの押圧を受けて当該ワイヤ接続部分が剥離し接触不良になる場合がある。
この原因は、封止樹脂がATMの搬送によって、端子基板の絶縁材料、例えば、ガラスエポキシ基材から剥離する応力を受けることに起因すると考えられる。すなわち、ワイヤボンディング基板側パッドが封止樹脂の外周(封止樹脂がガラスエポキシ基材に接触している端縁)の左右辺に接近している場合、封止樹脂がガラスエポキシ基材から剥離すると、金ワイヤも接触端子板裏面の銅箔から封止樹脂と一緒に剥がれてしまうことが原因と考えられる。
ここで、ICカード用ICモジュールの上記形態についてさらに検討してみる。
図4は、従来のICカード用ICモジュール5jの説明図である。図4(A)は表面側接触端子板を、図4(B)は裏面側ボンディング状態を、示している。
図4(A)は、表面側接触端子板2を示す図であって、C1〜C8の8個の端子を有している。8個の端子は、C1がVcc(供給電圧)、C2がRST(リセット信号)、C3がCLK(クロック信号)、C5はGND(接地)、C6はVpp(可変供給電圧;プログラム供給電圧)、C7はI/O(データ入出力)、C4とC8はRFU(予備端子;Reserved for Future Use)であって現在は使用していない。
この外部端子はカード面の位置が、ISO/IEC7816−2(JISX6303)に規定されるものであり、本発明のICカードも当該要件を満たすものである。
ICカード用ICモジュールの裏面のボンディング状態は、例として、図4(B)のようになっている。C1,C2,C3,C5,C7端子背面の絶縁材料7には小さな貫通孔が開けられていて、当該孔部分から露出した銅箔金属面がワイヤボンディング基板側パッド26になっている。C4,C8端子は予備端子なので基板側パッド26を設けないか設けてもワイヤ接続はしない。C6のVppも使用しない場合が多い。
貫通孔部分は表面側端子の裏側金属面になるので、スルーホールを形成する必要はなく、当該基板側パッド26を介して、それぞれICチップ3側の該当パッドにボンディングワイヤ(以下、金ワイヤともいう。)27で接続されている。金ワイヤ接続後、ICチップ3やワイヤボンディング部分は封止樹脂により封止して樹脂モールド部17となる。図において、一点鎖線で示した封止樹脂の外周Qの内側が当該封止部分である。
通常、ワイヤボンディング基板側パッド26の位置は、その外縁(孔の外周であってICチップ3から遠方側の縁)gと封止樹脂の外周Qの左右辺からの距離rが0.25mm程度の位置になるようにされている。この場合、基板側パッド26用の孔は、通常0.5mm〜0.8mm程度の直径であるので、孔の中心は外周Qの左右辺から、0.5mm〜0.65mm程度に位置することになる。このように、ワイヤボンディング基板側パッド26の外縁gが封止樹脂の外周Qの左右辺に接近していると、封止樹脂がガラスエポキシ基材から剥離した場合、金ワイヤの接続部と共に剥離する傾向が強くなると考えられる。 そこで、本発明はワイヤボンディング基板側パッド26をできる限り、封止樹脂の外周Qの左右辺から離れた位置(ICチップ3により接近した位置)に形成することを検討するものである。
ここで、ICカードに対するATMの搬送ローラの通過域を検討してみる。
図6は、ATMの搬送ローラの通過域を示す図である。搬送ローラは、幅2mm〜5mmのテフロン(登録商標)やウレタンゴム等からなるローラが、カード表面に接して走行するようにされている。もっとも、実際に移動するのはICカードであり、固定して回転する複数組みの表裏ローラ間をICカード1が搬送されている。
カードの搬送方式は製造メーカによってタイプの違いがあって、搬送ローラの1本タイプ、2本タイプ、3本タイプとがある。1本タイプ(図6(A))は、カードのほぼ中心域(L1域)のみを表裏のローラがICカードを押さえて搬送する。
2本タイプ(図6(B))は、中心域L1とL2(またはL3)域を、3本タイプ(図6(C))は、L1、L2、L3の域を搬送ローラが押さえて搬送する。いずれの場合も、中心域(L1域)のローラを有している。従って、JISX6301規定のID−1型カードで、JISX6303(ISO7816−2)規定の位置に各端子を設置した場合、ICモジュールの接触端子板2のC4とC8端子の全域(ローラ幅によって全域でない場合もある。)とC3とC7端子の大半域を通過することになる。
このATMの中心域L1域搬送ローラの通過域は、JIS等として規定されてはいないが、数社あるメーカーのATMが、ほぼ同一の仕様にされている。ただし、ローラ幅により走行範囲の幅域は多少変動する。
ところで、ATMの中心搬送ローラの通過域4は、ICカード1のICモジュール5をISO7816に規定する位置に装着した場合、上端がICモジュールの接触端子板2の横中心線lmに1mmまでに接近し、ICカードの横中心線Lmに近い側を通過するようになっている(図1参照)。この搬送ローラの押圧が封止樹脂と絶縁材料の剥離を促進し、上記の接触不良の原因となる。搬送ローラの通過域4は、一部の端子域であってC3,C7端子が最も影響を受けるが、いずれかの端子が接触不良になればICカードは機能しなくなる。
本発明は、上記のように金ワイヤ接続部が封止樹脂と一緒に剥離する問題を解決しようとするものである。本願に直接関連する先行特許文献は検出されないが、端子基板の絶縁性材料にボンディング用貫通孔を形成したICモジュールについては、特許文献1が存在する。また、接触と非接触の両機能を備えるICモジュールについて、ワイヤボンディング基板側パッドを設ける技術は特許文献2等にも記載されている。
特許第2904785号公報 特開2004−355604号公報
ICカードをATMに反復使用した場合であっても、搬送ローラの押圧により、金ワイヤ接続部がモールド樹脂部と一緒に剥離しないように、ワイヤボンディング基板側パッドの位置を最適にしたICカード用ICモジュールと当該ICモジュールを使用したICカードを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決する本発明の要旨の第1は、矩形状の接触端子板を有するICカード用ICモジュールを、カードの四辺に平行し、かつISO7816に規定する位置に装着したICカードにおいて、当該ICモジュールは、ICチップ側パッドと接触端子板背面のワイヤボンディング基板側パッドとがワイヤ接続されたものであって、ワイヤボンディング基板側パッドの全ての貫通孔の外縁が封止樹脂の外周の左右辺から、0.9mm〜2.0mmの範囲内になるように形成したことを特徴とするICカード、にある。
本発明の要旨の第2は、矩形状の接触端子板を有するICカード用ICモジュールを、カードの四辺に平行し、かつISO7816に規定する位置に装着したICカードにおいて、当該ICモジュールは、ICチップ側パッドと接触端子板背面のワイヤボンディング基板側パッドとがワイヤ接続されたものであって、ワイヤボンディング基板側パッドのC3端子とC7端子の貫通孔の外縁が封止樹脂の外周の左右辺から、0.9mm〜2.0mmの範囲内になるように形成したことを特徴とするICカード、にある。
本発明の要旨の第3は、ICチップ側パッドと接触端子板背面のワイヤボンディング基板側パッドとがワイヤ接続されているICカード用ICモジュールであって、当該ワイヤボンディング基板側パッドの全ての貫通孔の外縁が封止樹脂の外周の左右辺から、0.9mm〜2.0mmの範囲内になるように形成したことを特徴とするICカード用ICモジュール、にある。
本発明の要旨の第4は、ICチップ側パッドと接触端子板背面のワイヤボンディング基板側パッドとがワイヤ接続されているICカード用ICモジュールであって、当該ワイヤボンディング基板側パッドのC3端子とC7端子の貫通孔の外縁が封止樹脂の外周の左右辺から、0.9mm〜2.0mmの範囲内になるように形成したことを特徴とするICカード用ICモジュール、にある。
本発明のICカードでは、ICモジュールのワイヤボンディング基板側パッドの外縁が、封止樹脂の外周の左右辺から0.9mm〜2.0mmの範囲内にされているので、搬送ローラの押圧による封止樹脂と絶縁性材料の剥離の影響を金ワイヤ接続部が受け難くされている。したがって、ATMで反復使用しても断線や接触不良が生じ難くなっている。
本発明のICカード用ICモジュールも上記の構成からなるため、搬送ローラの押圧による封止樹脂と絶縁性材料の剥離の影響を金ワイヤ接続部が受け難く、ICカード用ICモジュールとして好適に使用できる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明のICカードの平面図、図2は、本発明のICカード用ICモジュールの説明図、図3は、本発明のICカードのICモジュール部分の断面図、図4は、従来のICカード用ICモジュールの説明図、図5は、従来のICカードのICモジュール部分の断面図、である。
図1は、本発明のICカードの平面図であって、図1(A)は平面図、図1(B)はICモジュール5部分の拡大図である。本発明のICカード1は、通常の接触型ICカードであって、図1(A)のように外観的には従来の接触型ICカードと異なることはない。 ATMの中心域搬送ローラは、ICモジュール5の下半領域であって、ICカード1のほぼ中心線Lm上を通過するようにされている。この搬送ローラの通過により、封止樹脂と絶縁材料の剥離、それに起因して金ワイヤの基板側パッド(銅箔)からの剥離の問題が生じる。
図1(B)のように、ATMの中心域搬送ローラは、接触端子板のC3,C4,C7,C8領域の大半を通過するようになる。通過域4の上縁は、ほぼICモジュールの中心線lmに対して、約1mmの位置まで接近することになる。ただし、搬送ローラの幅の違いにより接近距離の多少の違いは生じる。
本発明のICカード1は、以上のように外観的には従来のICカードと異なることがないが、その特徴は使用するICモジュールにあるので、以下に説明する。
図2は、本発明のICカード用ICモジュール5の説明図である。図2(A)は表面側端子基板を、図2(B)は裏面側ボンディング状態を、示している。本発明のICカード用ICモジュール5の表面側端子基板は従来のものと同一パターン形状である。
図2(B)のように、C1,C2,C3,C5,C7端子がICモジュール基板側パッド26を介してICチップ3の各端子(パッド)とボンディングワイヤ27により接続されている。この状態は、従来のICモジュールと異なることはない。
本発明のICカード用ICモジュール5の特徴は、当該各ワイヤボンディング基板側パッド26の位置を、その外縁gが封止樹脂の外周Qの左右辺からの距離rが、0.9mm〜2.0mmの範囲内になるように形成されていることにある。このような基板側パッド26の位置は、搬送ローラの影響を強く受けることになるC3端子とC7端子だけについて変更してもよい。外周Qの左右辺とするのは、C1,C5端子は搬送ローラの通過域から離れその影響を受け難く、C4,C8端子は不使用だからである。封止樹脂の外周Qの上下辺からも離れていることが勿論好ましいが、C1,C5端子について当該位置を確保するのは実際上は困難である。
なお、封止樹脂の外周Qの左右辺とは、封止樹脂の外周Qであって、ICカード1の短辺に平行する部分のことをいう。また、「左右辺からの距離r」とは、正確に表現すると、ICモジュールの左側の基板側パッド26は、封止樹脂の外周Qの左辺から基板側パッド26の左側の外縁gまでの距離rをいい、右側の基板側パッド26は、封止樹脂の外周Qの右辺から基板側パッド26の右側の外縁gまでの距離rをいうことになる。
ただし、封止樹脂の外周Qから2.0mmを超える距離とする場合は、ICチップ3のサイズが大きい場合、ICチップ3に接近し金ワイヤがチップエッジに接触するおそれがあり、ワイヤ形状を特殊な形にする必要がある。
ICチップ3のサイズは、一定ではなく機能やメモリ容量により変動するが、近年のICカード用ICチップでは、メモリ容量の増大等により大サイズ化の傾向にあり、最大のものは、縦横5.0mm角程度で、厚みが、250μm程度となる。従って、2.0mmを超える距離とするのは実際上は困難であり、封止樹脂の外周Qの大きさやICチップ3のサイズにより変動するため、0.9mm〜2.0mmの範囲内の値が常に確保できるという意味でもない。また、外周Qからの距離が0.9mm未満では、剥離防止に顕著な効果が認められなくなる。
ICチップ3や金ワイヤ接続部は樹脂封止され樹脂モールド部17を形成する。上記のように、ICチップ3の大サイズ化により樹脂モールド部17の外形も大きくなってきているが、端子基板の接着領域を確保する必要があるため、大サイズ化にも限度がある。
通常は、横幅Lが、8.6mm〜9.0mm程度であり、最大でも9.1mm程度となる。平面形状は略矩形状等となることが多い。
金ワイヤ剥離の本来的な解決のためには、絶縁材料(ガラスエポキシ材料等)に対する食いつきの良い(接着力の高い)封止樹脂を選定することが必須であるが、現時点では良い材料も得難く、ワイヤボンディング基板側パッドをできる限り封止樹脂の外周Qの左右辺から遠ざけることによって、封止樹脂が絶縁材料から剥離した場合であっても、ボンディングワイヤが一緒に剥離するのを防止するのが本発明の目的となる。
従来のICカード用ICモジュール5jの背面図は、既に説明しているが図4(B)のようになる。ICモジュール基板側パッド26のC1,C2,C3,C5,C7端子とICチップ3の各端子がボンディングワイヤにより接続されている状態は本発明のICモジュールと同一である。ただし、従来のICカード用ICモジュール5jでは、各ワイヤボンディング基板側パッド26を、その外縁gが封止樹脂の外周Qの左右辺から0.25mm付近に形成されている。この程度の位置に外縁gがある場合では、金ワイヤ接続部の剥離が生じる危険性が大きい。
図5は、従来のICカードのICモジュール部分の断面図である。図5(A)は搬送ローラの押圧を受ける前の状態、図5(B)は搬送ローラの押圧を受け剥離した後の状態、を示している。従来のICモジュール5jの構成では、ワイヤボンディング基板側パッド26の外縁gが封止樹脂の外周Qの左右辺に接近しているので、封止樹脂が絶縁材料(ガラスエポキシ材料等)から少しでも剥離するとボンディングワイヤ27の銅箔との接続部がその応力に耐えきれず、一緒に剥離してしまい、図5(B)のように、剥離部kが生じるという問題があった。
図3は、本発明のICカードのICモジュール部分の断面図である。図3(A)、図3(B)は、図5と同様に搬送ローラの押圧を受ける前後の状態を示している。
本発明のICカードの場合は、ワイヤボンディング基板側パッド26の外縁gが封止樹脂の外周Qの左右辺から比較的に離れた位置(0.9mm以上)にあるので、封止樹脂が絶縁材料(ガラスエポキシ材料等)から多少剥離してもボンディングワイヤ27の銅箔との接続部が、その影響で一緒に剥離してしまうという問題が生じない(図3(B))。
このような効果は搬送ローラの影響を強く受けるC3端子とC7端子だけについて、その位置を従来と異なるものとしても、ある程度は得られる。
このような、金ワイヤ接続部の剥離現象は、封止樹脂と絶縁材料間に働く剥離応力と、ボンディングワイヤ接続部の破断強度等の力学的作用が関係すると考えられるが、詳しい仕組みは明確にされていない。ただし、ワイヤボンディング基板側パッド26の外縁gが封止樹脂の外周Qの左右辺から比較的に離れている場合、剥離が封止樹脂の端部から生じれば、単純に計算しても基板側パッド26部分の離間距離は小さくなる。またこのようにした場合、ワイヤ接続部の剥離が実際に生じ難いことが実験的に確認されている。
なお、ICカード基体10の構成は、各種の構成方法があるが中心層となる白色コアシート101,102と、その両面に透明なオーバーシート103,104を積層し密着一体にした形態のものが多い。ただし、白色コアシートは単一のシートであってもよい。
ICモジュール装着用凹部20は、ICモジュール5の端子基板8を嵌め込みする大きさと深さの第1凹部と、樹脂モールド部17を納める大きさと深さの第2凹部とから構成されている。
次に、ICモジュールおよびICカードの製造方法について説明する。
ICモジュールの製造は、端子形状をパターニングする接触端子板(銅箔)2と貫通孔7aが設けられた絶縁材料7を、まず準備する。この接触端子板2と絶縁材料7とをラミネートし、8個の端子形状をパターニングする。接触端子板2の端子面と貫通孔7a部分の銅箔には、下地ニッケルメッキ2μm、金めっき0.2μm程度のめっき処理を行う。なお、端子形状のパターニングは、絶縁材料とのラミネート前であってもよい。
貫通孔7aの形成は予め所定位置を一括して型抜きする抜き型を準備して行う。貫通孔7aの位置はその外縁gが、予定する封止樹脂の外周Qの左右辺から0.9mm〜2.0mmの範囲内、より好ましくは、0.9mm〜1.2mmの範囲内に位置するようにする。
めっき処理後、ICチップ3をエポキシ系ダイ接着剤により端子基板8にダイボンディングした後、ICチップ3の各端子(パッド)と基板側パッド26間のワイヤボンディングを行う。最後に、ICチップ3、ボンディングワイヤ27部分を封止して樹脂モールド部17とする。樹脂封止法には、ポッテイング法、トランスファーモールド法、印刷法、等の各種方法があるが、本発明の場合は、トランスファーモールド法が好ましく採用される。物理強度(点圧強度)が高く、高い寸法精度が得られることが理由である。最後に、接着シートをICモジュール5の底面にラミネートする。
ICカードの製造は、当該本発明のICカード用ICモジュールを使用することの以外は、通常のICカードと同様にして製造することができる。
まず、コアシート101,102とオーバーシート103,104を積層して熱圧をかけて融着し一体にする。カード基材が塩化ビニールと違って熱融着性でない材料の場合は、接着剤や接着シートを併用してもよい。シートの材質としては、塩化ビニルやポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G、ポリカーボネート、ABS、等が使用される。この工程までは多面付けの大判工程で行い、ICモジュール装着用凹部20の掘削とICモジュールの装着は、個々のカードサイズに打ち抜いた後に行うことが多い。
以下、具体的な実施例に基づいて説明する。
<ICモジュールの製造>
ICカード用ICモジュール5の絶縁材料7として、厚み110μmのガラスエポキシ材料を使用し、これに厚み35μmの表面側銅箔をラミネートして端子基板8として使用した。なお、ガラスエポキシ材料には、ワイヤボンディング基板側パッド26とするための円形(直径0.5〜0.8mm)の貫通孔をその外縁gが予定する封止樹脂の外周Qの左右辺から0.9mmの位置になるように、予め必要個数(8個)整列して打ち抜きしておいたものである。この端子基板8に対して、表面側端子群(C1〜C8)をフォトエッチングの工程で形成した。なお、端子基板8全体の大きさは、13.0mm×11.8mmとした。
レジスト剥離後、残存する銅箔層を電極として、表面側端子群と基板側パッド部分に対して下地ニッケルめっき2μm、及び金めっき0.2μm処理を行った。
ICカード用ICチップ(平面サイズ;横5.5mm×縦5.0mm、高さ;188μm)3をエポキシ系ダイ接着剤により端子基板8にダイボンディングし、ICチップ3の各端子(パッド)とワイヤボンディング基板側パッド(穴部)間のワイヤボンディングを行った。最後に、ICチップ3、ボンディングワイヤ27部分を、トランスファーモールド法で封止して樹脂モールド部17とし、ICカード用ICモジュール5を完成した。封止後の樹脂モールド部17は、平面サイズ;横8.6mm×縦8.3mm、高さ;600μmの略立方体状になった。
<ICカードの製造>
厚み360μmの白色硬質塩化ビニールからなるコアシート101,102を密着し、その両側に厚み50μmの透明塩化ビニールシートをオーバーシート103,104として積層し、熱圧をかけて一体のカード基体10にした。
プレス後は、多少圧縮されるので、カード基体10の全体厚みは、800μm〜810μm程度となった。
ICモジュール装着用凹部20の第1凹部が、大きさ13.1mm×11.9mm、深さ210μmとなるように掘削し、その中心部分に第2凹部を大きさ8.7mm×8.4mmで、樹脂モールド部17が納まる深さに掘削した。先に準備した接着シートラミネート済みのICモジュール5を、ICモジュール装着用凹部20に熱圧をかけて固定した。 以上の実施例1のICカードを10枚試作した。
<ICモジュールの製造>
ICカード用ICモジュール5の絶縁材料7および表面側銅箔には、実施例1と同一の材料を使用した。ただし、ガラスエポキシ材料には、ワイヤボンディング基板側パッド26とするための円形(直径0.5〜0.8mm)の貫通孔をその外縁gが予定する封止樹脂の外周Qの左右辺から1.2mmの位置になるように、予め必要個数(8個)整列して形成しておいたものを使用した。その他の条件は、実施例1と同一の条件にしてICモジュールを完成した。
<ICカードの製造>
カード基体10は、実施例と同一の条件で積層し、熱圧をかけて製造した。
ICモジュール装着用凹部20を実施例1と同一の条件で掘削した後、先に準備したICモジュール5を、ICモジュール装着用凹部20に熱圧をかけて固定した。
以上の実施例2のICカードを10枚試作した。
(比較例)
<ICモジュールの製造>
円形(直径0.5〜0.8mm)の貫通孔7aの外縁gが位置が、図4(B)のように、封止樹脂の外周Qの左右辺から0.25mmの位置になるように整列させた以外は、実施例1と同一の条件で、ICカード用ICモジュール5jを完成した。
<ICカードの製造>
カード基体10は、実施例と同一の条件で積層し、熱圧をかけて製造した。
ICモジュール装着用凹部20を実施例と同一の条件で掘削した後、先に準備した比較例用のICモジュール5jを、ICモジュール装着用凹部20に熱圧をかけて固定した。以上の比較例のICカードを10枚試作した。
実施例1、実施例2、および比較例のICカード各10枚につき、ATM挿抜試験(ATM機にICカードを挿入して抜き出す試験の繰り返し)を行ったところ、1000回の試験で、実施例1、実施例2のICカード1は、金ワイヤ接続部の剥離または接触不良に起因する動作不能を生じるカードを検出できなかった。一方、比較例のICカードでは、1000回の試験で1件の接触不能を検出した。
なお、試験に使用したATM装置は、一般的な銀行ATM機複数社のローラ配列、ローラ形状及び圧力を分析して、これに近似する条件を再現するように製作した試験機であり、その基本構成はISO10373−3:2001(E)AnnexAに記載されるとおりのものである。
本発明のICカードの平面図である。 本発明のICカード用ICモジュールの背面図である。 本発明のICカードのICモジュール部分の断面図である。 従来のICカード用ICモジュールの端子部を説明する図である。 従来のICカードのICモジュール部分の断面図である。 ATMの搬送ローラの通過域を示す図である。
符号の説明
1 ICカード
2 接触端子板
3 ICチップ
4 搬送ローラの通過域
5 ICカード用ICモジュール、ICモジュール
5j 従来のICカード用ICモジュール、ICモジュール
7 絶縁材料
8 端子基板
10 カード基体
17 樹脂モールド部
20 ICモジュール装着用凹部
26 ワイヤボンディング基板側パッド
27 ボンディングワイヤ、金ワイヤ
Q 封止樹脂の外周

Claims (4)

  1. 矩形状の接触端子板を有するICカード用ICモジュールを、カードの四辺に平行し、かつISO7816に規定する位置に装着したICカードにおいて、当該ICモジュールは、ICチップ側パッドと接触端子板背面のワイヤボンディング基板側パッドとがワイヤ接続されたものであって、ワイヤボンディング基板側パッドの全ての貫通孔の外縁が封止樹脂の外周の左右辺から、0.9mm〜2.0mmの範囲内になるように形成したことを特徴とするICカード。
  2. 矩形状の接触端子板を有するICカード用ICモジュールを、カードの四辺に平行し、かつISO7816に規定する位置に装着したICカードにおいて、当該ICモジュールは、ICチップ側パッドと接触端子板背面のワイヤボンディング基板側パッドとがワイヤ接続されたものであって、ワイヤボンディング基板側パッドのC3端子とC7端子の貫通孔の外縁が封止樹脂の外周の左右辺から、0.9mm〜2.0mmの範囲内になるように形成したことを特徴とするICカード。
  3. ICチップ側パッドと接触端子板背面のワイヤボンディング基板側パッドとがワイヤ接続されているICカード用ICモジュールであって、当該ワイヤボンディング基板側パッドの全ての貫通孔の外縁が封止樹脂の外周の左右辺から、0.9mm〜2.0mmの範囲内になるように形成したことを特徴とするICカード用ICモジュール。
  4. ICチップ側パッドと接触端子板背面のワイヤボンディング基板側パッドとがワイヤ接続されているICカード用ICモジュールであって、当該ワイヤボンディング基板側パッドのC3端子とC7端子の貫通孔の外縁が封止樹脂の外周の左右辺から、0.9mm〜2.0mmの範囲内になるように形成したことを特徴とするICカード用ICモジュール。

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