JP2007132782A - 加振型カンチレバーホルダ及び走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 試料に対向配置され、先端に探針3aを有すると共に基端側が本体部3bに片持ち状態に支持されたカンチレバー3を固定するものであって、カンチレバーを試料に対して所定角度傾けた状態で本体部を載置して固定する載置台10と、該載置台に固定され、所定の波形信号に応じた位相及び振幅で振動する第1の加振源11と、該第1の加振源が固定されたホルダ本体12と、該ホルダ本体の少なくとも1箇所に固定され、第1の加振源から載置台及びホルダ本体に伝わった振動を、相殺させる振動を発生させる第2の加振源13とを備えている加振型カンチレバーホルダ2を提供する。
【選択図】図2
Description
即ち、通常カンチレバーを振動させるには、カンチレバーホルダに取り付けられた加振源に所定の電圧を印加して振動させ、該振動をカンチレバーに伝えることでカンチレバーを所定の振動数及び振幅で振動させている。ところが、この加振源の振動は、カンチレバー以外の周辺構造物にも伝わってしまい、これらを振動させてしまうものであった。そのため、カンチレバーの振動特性に影響を与えてしまい、理想的な振動状態とは異なった振動特性になってしまっていた。
また、探針を試料に接近させる際に、カンチレバーへの共振特性に影響を与えてしまい、最適な測定条件が変化して測定領域まで接近させることができなかったり、接近させすぎて衝突を招いたりする場合があった。
更には、走査中に、カンチレバーへの共振特性に影響を与えてしまい、最適な測定条件が変化して安定した正確な測定を持続することが困難な場合があった。
本発明の加振型カンチレバーホルダは、試料に対向配置され、先端に探針を有すると共に基端側が本体部に片持ち状態に支持されたカンチレバーを固定する加振型カンチレバーホルダであって、前記カンチレバーを前記試料に対して所定角度傾けた状態で前記本体部を載置して固定する載置台と、該載置台に固定され、所定の波形信号に応じた位相及び振幅で振動する第1の加振源と、該第1の加振源が固定されたホルダ本体と、該ホルダ本体の少なくとも1箇所に固定され、前記第1の加振源から前記載置台及び前記ホルダ本体に伝わった振動を、相殺させる振動を発生させる第2の加振源とを備えていることを特徴とするものである。
また、カンチレバーのみの振動特性を確実に得ることができるので、従来とは異なり、探針を試料に接近させる際に、所望する測定領域まで正確に近づけることができる。このことからも、測定精度を向上することができる。更に、走査中にカンチレバーの共振特性が変化しないので、安定した測定を持続して行うことができる。
なお、ホルダ本体に第2の加振源を複数固定しても構わない。
なお、位相と共に振幅を適時調整して第2の加振源を振動させても構わない。また、調整した結果、第1の加振源に入力された信号と同じ信号の場合も考えられる。
このように、第2の加振源の固定位置を自由に選択可能であるので、設計の自由度を向上することができる。
特に、第2の加振源に入力する波形信号は、特別に調整した信号ではなく、第1の加振源に入力する信号と同じ信号であるので、複雑な動作制御が不要であり、構成の簡略化を図ることができる。
また、カンチレバーのQ値制御にて、Q値を高くし、感度を向上させる手法を用いる場合には、カンチレバーの振動以外は、測定誤差を増加させる要因となるため、通常以上に向上させることができる。
これにより、第1の加振源からカンチレバー以外の周辺構造物に伝わった不要な振動を、より確実に打ち消すことができる。従って、カンチレバーの共振特性をより正確に識別することができ、測定精度をさらに向上することができる。
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡1は、図1に示すように、加振型カンチレバーホルダ2と、先端に探針3aを有すると共に基端側が本体部3bに片持ち状態に支持され、該本体部3bを介して加振型カンチレバーホルダ2に固定されるカンチレバー3と、探針3aに対向配置された試料Sを載置するステージ4と、探針3aと試料Sとを、試料表面S1に平行なXY方向に相対的に走査させると共に、試料表面S1に垂直なZ方向に相対的に移動させる移動手段5と、カンチレバー3の振動状態の変位を測定する測定手段6と、該測定手段6による測定結果に基づいて、走査時に探針3aと試料表面S1とを、カンチレバー3の振動状態が一定となるように移動手段5を制御すると共に、観測データを採取する制御手段8とを備えている。なお、本実施形態では制御手段8が、カンチレバー3の振動振幅が一定となるように移動手段5を制御する場合を例にして説明する。
上記加振源11は、第1の面12aに固定されており、図1に示す加振電源7から入力された波形信号に基づいて、所定の位相及び振幅で振動するようになっている。
また、斜面ブロック10は、載置面10aを試料S側に向けた状態で加振源11の下面に固定されている。そして、この載置面10aにカンチレバー3の本体部3bが載置され、図示しないワイヤ等を利用して固定されている。
更に、本実施形態の加振型カンチレバーホルダ2は、対向加振源13をホルダ本体12に向けて押し付ける錘部14を備えている。この錘部14は、斜面ブロック10と同一形状、且つ、同一重量となるように形成されており、対向加振源13上に取り付けられている。
これらXYスキャナ20及びZスキャナ21は、例えば、ピエゾ素子であり、それぞれXY駆動部22及びZ駆動部23から電圧を印加されて、それぞれの方向に微小移動するようになっている。即ち、これらXYスキャナ20、Zスキャナ21、XY駆動部22及びZ駆動部23は、上記移動手段5を構成している。
即ち、これらZ電圧フィードバック回路31、制御部32は、上記制御手段8を構成している。なお、この制御手段8は、上記各構成品を総合的に制御する機能を有している。
まず始めに、測定を行うための初期設定を行う。即ち、測定対象物である試料Sに応じて最適なカンチレバー3を選択し、該カンチレバー3を加振型カンチレバーホルダ2に固定する。次いで、ステージ4上に試料Sを載置した後、カンチレバー3の反射面に確実にレーザ光Lが入射するように、また、反射したレーザ光Lが光検出部28に確実に入射するように、光照射部26及び光検出部28の位置や、カンチレバー3の取付状態等を調整する。
即ち、試料Sの測定表面と、探針3aとの距離を、振幅が一定になるように制御した状態で、XY駆動部22よりXYスキャナ20を移動させて、試料Sの走査を行う。この際、試料表面S1の凹凸に応じてカンチレバー3の振幅が増減しようとするので、光検出部28に入射するレーザ光L(反射面で反射したレーザ光)の振幅が異なる。光検出部28は、この振幅に応じたDIF信号をプリアンプ29に出力する。出力されたDIF信号は、プリアンプ29によって増幅されると共に、交流−直流変換回路30によって直流変換された後、Z電圧フィードバック回路31に送られる。
また、カンチレバー3のみの振動特性を確実に得ることができるので、探針3aを試料Sに接近させる際に、所望する測定領域まで探針3aを正確に近づけることができる。このことからも、測定精度を向上することができる。更に、走査中にカンチレバー3の共振特性が変化しないので、安定した測定を持続して行うことができる。
また、錘部14が対向加振源13をホルダ本体12に向けて重力により押し付けているので、力が伝わり易くなり、対向加振源13が発生する振動を効率良くホルダ本体12側に伝えることができる。つまり、振動の伝わりが促進されるので、より確実に加振源11からカンチレバー3以外に伝わる不要な振動を相殺することができる。従って、カンチレバー3の振動特性を正確に得やすい。
第1実施形態と第2実施形態との異なる点は、第1実施形態では、加振源11に対向配置されるように、対向加振源13をホルダ本体12の第2の面12b上に固定したが、第2実施形態の走査型プローブ顕微鏡40は、図4に示すように、対向加振源13が加振源11に対して対向配置されていない加振型カンチレバーホルダ41を備えている点である。
また、第1実施形態と同様に錘部42を備えているので、対向加振源13が発する振動を効率良くホルダ本体12側に伝えることができる。
特に、本実施形態の加振型カンチレバーホルダ41によれば、対向加振源13の固定位置を自由に選択できるので、設計の自由度を向上することができる。
第2実施形態と第3実施形態との異なる点は、第2実施形態では、予め少なくとも位相が調整された信号を対向加振源13に入力したが、第3実施形態の走査型プローブ顕微鏡50は、カンチレバー3の振動以外の振動を測定し、この測定結果に基づいて対向加振源13を振動させる点である。
従って、カンチレバー3の共振特性をより正確に識別することができ、測定精度をさらに向上することができる。
この場合には、光照射部26から照射されたレーザ光Lは、ホルダ本体12の第2の面12bに垂直に入射してカンチレバー3の反射面に入射する。そして、該反射面で反射したレーザ光Lは、ホルダ本体12の第1の面12aに斜めに入射して、屈折を繰り返しながら光検出部28に向けて出射する。このように、光学的に透明な材料でホルダ本体12を構成することで、開口部12cをなくすことができるので、開口部12cを形成する手間を省くことができる。
例えば、図9に示すように、走査型プローブ顕微鏡60は、加振型カンチレバーホルダ2が図示しない架台を介してXYスキャナ20の下面に固定されている。また、このXYスキャナ20は、Zスキャナ21の下面に固定されている。一方、試料Sは、固定されたステージ4上に載置されている。これにより、XY駆動部22及びZ駆動部23によって、XYスキャナ20及びZスキャナ21を作動させることで、探針3aと試料Sとを、3次元方向に対して相対的に移動させることができるようになっている。
更に、XYスキャナ20の下面には、光照射部26及び光検出部28が加振型カンチレバーホルダ2と共に固定されている。これにより、レーザ光Lを常にカンチレバー3の反射面に入射させることができるようになっている。
なお、試料S側及びカンチレバー3側を共に、3次元方向に移動できるように構成しても構わない。
S1 試料表面
1、40、50、60 走査型プローブ顕微鏡
2、41 加振型カンチレバーホルダ
3 カンチレバー
3a 探針
3b 本体部
4 ステージ
5 移動手段
6 測定手段
7 加振電源
8 制御手段
10 斜面ブロック(載置台)
11 加振源(第1の加振源)
12 ホルダ本体
12a 第1の面
12b 第2の面
13 対向加振源(第2の加振源)
14、42 錘部
51 カットフィルタ(検出部)
Claims (8)
- 試料に対向配置され、先端に探針を有すると共に基端側が本体部に片持ち状態に支持されたカンチレバーを固定する加振型カンチレバーホルダであって、
前記カンチレバーを前記試料に対して所定角度傾けた状態で前記本体部を載置して固定する載置台と、
該載置台に固定され、所定の波形信号に応じた位相及び振幅で振動する第1の加振源と、
該第1の加振源が固定されたホルダ本体と、
該ホルダ本体の少なくとも1箇所に固定され、前記第1の加振源から前記載置台及び前記ホルダ本体に伝わった振動を、相殺させる振動を発生させる第2の加振源とを備えていることを特徴とする加振型カンチレバーホルダ。 - 請求項1に記載の加振型カンチレバーホルダにおいて、
前記第2の加振源は、前記第1の加振源との相対位置関係及び第1の加振源に入力された前記所定の波形信号に基づいて、少なくとも位相が調整された波形信号を受けて振動することを特徴とする加振型カンチレバーホルダ。 - 請求項1又は2に記載の加振型カンチレバーホルダにおいて、
前記第2の加振源を、前記ホルダ本体に向けて押し付ける錘部を備えていることを特徴とする加振型カンチレバーホルダ。 - 請求項1に記載の加振型カンチレバーホルダにおいて、
前記ホルダ本体は、互いに対向する第1の面及び第2の面を有する平板状に形成され、
前記第1の加振源と前記第2の加振源とは、前記ホルダ本体を挟んで対向配置されるように、前記第1の面及び前記第2の面にそれぞれ固定され、
前記第2の加振源は、前記第1の加振源と同じ前記所定の波形信号を受けて振動することを特徴とする加振型カンチレバーホルダ。 - 請求項4に記載の加振型カンチレバーホルダにおいて、
前記第2の加振源を、前記ホルダ本体に向けて押し付ける錘部を備えていることを特徴とする加振型カンチレバーホルダ。 - 請求項5に記載の加振型カンチレバーホルダにおいて、
前記錘部は、前記載置台と同一形状及び同一重量であることを特徴とする加振型カンチレバーホルダ。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の加振型カンチレバーホルダと、
先端に探針を有すると共に基端側が本体部に片持ち状態に支持され、該本体部を介して前記加振型カンチレバーホルダに固定されるカンチレバーと、
前記探針に対向配置された試料を載置するステージと、
前記探針と前記試料とを、試料表面に平行な方向に相対的に走査させると共に、試料表面に垂直な方向に相対的に移動させる移動手段と、
前記カンチレバーの振動状態の変位を測定する測定手段と、
該測定手段による測定結果に基づいて、前記走査時に前記探針と前記試料表面との距離を、前記カンチレバーの振動状態が一定となるように前記移動手段を制御すると共に、観測データを採取する制御手段とを備えていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 請求項7に記載の走査型プローブ顕微鏡において、
前記測定手段による測定結果から、前記カンチレバーの振動以外の振幅及び位相で振動する他の波形信号を検出する検出部と、
該検出部で検出された前記他の波形信号を相殺するように、少なくとも振幅及び位相が調整された調整信号を前記第2の加振源に入力する加振電源とを備えていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
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