JP2007131946A - フレキシブル銅張積層板、そのフレキシブル銅張積層板を用いて得られるフレキシブルプリント配線板、そのフレキシブル銅張積層板を用いて得られるフィルムキャリアテープ、そのフレキシブル銅張積層板を用いて得られる半導体装置、フレキシブル銅張積層板の製造方法及びフィルムキャリアテープの製造方法 - Google Patents

フレキシブル銅張積層板、そのフレキシブル銅張積層板を用いて得られるフレキシブルプリント配線板、そのフレキシブル銅張積層板を用いて得られるフィルムキャリアテープ、そのフレキシブル銅張積層板を用いて得られる半導体装置、フレキシブル銅張積層板の製造方法及びフィルムキャリアテープの製造方法 Download PDF

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Hiroaki Kurihara
宏明 栗原
Naoya Yasui
直哉 安井
Noriaki Iwata
紀明 岩田
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Abstract

【課題】従来市場に供給されてきた低プロファイル電解銅箔と比べ、更に低プロファイル且つ高強度の電解銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板等を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するため、樹脂フィルムと電解銅箔とを積層状態に構成したフレキシブル銅張積層板において、前記電解銅箔の析出面が、表面粗さ(Rzjis)が1.5μm以下で、且つ、光沢度(Gs(60°))が400以上の低プロファイル光沢表面を備え、その析出面と樹脂フィルムとを張り合わせたことを特徴とするフレキシブル銅張積層板等を採用する。そして、このフレキシブル銅張積層板を用いることで、形成した回路が35μmピッチ以下のファインピッチ回路を備えるCOFテープ等のフィルムキャリアテープ状のフレキシブルプリント配線板の製造が容易となる。
【選択図】なし

Description

本件発明は、フレキシブル銅張積層板及びそのフレキシブル銅張積層板を用いて得られるフレキシブルプリント配線板に関する。特に、当該フレキシブル銅張積層板を構成する銅層に、析出面側が低プロファイルであることを特徴とする電解銅箔を用いたものであり、3層TABテープ、COFテープと称する微細回路配線が求められ、電子部品の表面実装可能なフレキシブルプリント配線板(フィルムキャリアテープを含む)に関する。
従来から、電解銅箔はプリント配線板の基礎材料として広く使用されてきた。そして、プリント配線板が多用される電子及び電気機器には、小型化、軽量化等の所謂軽薄短小化が求められている。従来、このような電子及び電気機器の軽薄短小化を実現するためには、信号回路を可能な限りファインピッチ化するため、より薄い銅箔を採用し、エッチングによって回路を形成する際のオーバーエッチングの設定時間を短縮し、形成する回路のエッチングファクターを向上させることが求められてきた。
即ち、小型化、軽量化される電子及び電気機器には、高機能化の要求も同時に行われる。従って、限られた基板面積の中で、可能な限り部品実装面積を確保する観点からも、回路のエッチングファクターを良好にすることが求められる。特に、ICチップ等の直接搭載を行う3層のテープ オートメーティド ボンディング基板(3層TABテープ)、チップ オン フィルム基板(COFテープ)には、通常のプリント配線板以上の低プロファイル電解銅箔が求められて、回路上面の面積を可能な限り確保することが要求される。なお、低プロファイルとは、銅箔の基材樹脂との接合界面における凹凸が小さいという意味で用いている。
上述の3層TABテープ及びCOFテープを含むフレキシブルプリント配線板では、表面実装する半導体部品の小型化に伴い、回路(リード)間のピッチを小さくしたファインピッチ回路でありながら、回路間の短絡が無いと言う絶縁信頼性を確保することが同時に求められる。このフレキシブルプリント配線板は、ポリイミド樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム等に代表される樹脂フィルム層の上に導電層を備えるフレキシブル銅張積層板をエッチング加工して得られるものである。そして、このフレキシブル銅張積層板には、2種類のタイプが存在する。
即ち、一つのタイプは、3層TABテープに代表される樹脂フィルム層と導電層との間に接着剤層を介して積層した3層構造を備えるフレキシブル銅張積層板であり、所謂「3層フレキシブル銅張積層板」と称されるもので、ポリイミド樹脂フィルム等のベースフィルム上に接着剤層を設け、この接着剤層に金属箔を張り合わせることで製造されるのが一般的である。従って、ここで用いる金属箔の厚さを薄くするには一定の限界があり、その結果として、一定レベル以上のファインピッチ回路の形成が困難であった。これに対し、もう一つのタイプは、COFテープ等の製造に用いるものであって、3層フレキシブル銅張積層板の接着剤層を省略したタイプで、所謂「2層フレキシブル銅張積層板」と称され、所定の厚さの金属箔の表面にポリイミド前駆体ワニスを塗布し、加熱することでイミド化反応を起こさせポリイミド樹脂層を形成させるキャスティング法、又はポリイミド樹脂フィルムの表面に、スパッタリング蒸着等の手段で薄いシード層を形成し、当該シード層上に電解法で銅層等を所定厚さで形成するメタライジング法を採用して得られるものである。メタライジング法は、その製造方法故に、導電層の厚さを薄く均一に形成できるため、ファインピッチ回路の形成に好適なものである。しかし、樹脂フィルム層と金属層との界面は平滑で、ファインピッチ回路の形成は容易であるが、樹脂フィルムと金属層との密着性が低く、使用可能な範囲が狭いという問題がある。また、良好な耐マイグレーション性を確保するためには、ニッケル等の成分を用いたシード層を、銅パターン形成時のエッチングで取り除く必要があるため、工程の増加に繋がり、生産性の低下を招く。
このキャスティング法による2層フレキシブル銅張積層板の製造で、電解銅箔等の電解金属箔を用いることが一般的に行われる。この電解金属箔は、ドラム形状をした回転陰極の表面に金属成分を電析させ箔状態とし、それを連続して引き剥がして巻き取って得られる。この段階の金属箔は、以下「析離箔」と称する。
この析離箔の回転陰極と接触した状態から引き剥がされた面は、鏡面仕上げされた回転陰極表面の形状が転写したものとなり、光沢を持ち滑らかな面であるため光沢面と称する。但し、回転陰極から析出した金属箔の脱落の無いように一定の粗さに管理されている。これに対し、析出サイドであった方の析離箔の表面形状は、析出する銅の結晶成長速度が結晶面ごとに異なるため、山形の凹凸形状を示すものとなり、これを粗面と称する。この粗面が銅張積層板を製造する際の絶縁材料との張り合わせ面となるのである。以上及び以下において、析離箔を用いる場合の説明では、「粗面」という用語を用いている。
次に、この析離箔は、表面処理工程により、粗面への粗化処理と防錆処理とが施される。従って、微細銅粒を析出付着させた粗面のことを「粗化面」と称する。なお、ここで言う粗化処理及び防錆処理は任意であり、電解銅箔の使用状況及びフレキシブルプリント配線板の基材種別に応じて任意に施されるものである。続いて、表面処理工程では、銅箔の表裏に、防錆処理が行われ、乾燥して、巻き取ることでプリント配線板の製造に用いる電解銅箔が完成するのである。当業者間では、これを一般に「表面処理箔」と区別して称するが、市場では表面処理したものを電解銅箔と称している。従って、本件明細書では、粗化処理、表面処理の有無に拘わらず、電解銅箔と称することを明確にしておく。
以上のことから分かるように、フレキシブル銅張積層板の場合の、電解金属箔と樹脂フィルムとを張り合わせる際の電解金属箔の張り合わせ面(粗面又は粗化面)は、一定の凹凸を持つ。従って、当該電解金属箔をエッチング加工して回路形状を形成しようとすると、その凹凸をエッチング除去するため、回路形状にするためのエッチング時間以上のオーバーエッチングタイムが必要となる。その結果、回路のサイドエッチングが起き、エッチングファクターが劣化し、回路ピッチ35μm以下の微細回路配線の形成は極めて困難と考えられてきた。
従って、フレキシブルプリント配線板の分野では、このような問題を解決すべく、電解銅箔の粗面の粗度を、より光沢面粗度に近づけ、オーバーエッチングタイムの短縮化が図られてきた。このような観点から考えた場合、フレキシブルプリント配線板の製造に好適な電解銅箔として複数の製品が存在する。例えば、特許文献1には、硫酸酸性銅めっき液の電気分解により製造される電解銅箔であって、その絶縁基材との張り合わせ面の粗度(析出面粗さ)が、厚さ10μmの場合でRz=1.0±0.5μm程度の低プロファイル(粗度)電解銅箔がある。特許文献2には、特定骨格を有するアミン化合物と有機硫黄化合物を添加剤として含む銅電解液を用いることで、表面粗さRzが0.90〜1.23μmの範囲の低プロファイルの電解銅箔が開示されている。更に、特許文献3には、未処理銅箔の析出面の表面粗度Rzが該未処理銅箔の光沢面の表面粗度Rzと同じか、それより小さい箔の析出面上に粗化処理を施したことを特徴とする電解銅箔を開示している。
以上に述べてきた特許文献1〜特許文献3に開示の製造方法を用いて、電解銅箔を製造すると、確かに優れた低プロファイルの粗面(以下、「析出面」と称する場合もある。)が形成され、低プロファイル電解銅箔としては、極めて優れたエッチング性能を示し、フレキシブル銅張積層板の構成材料として用いることで、35μmピッチ以下の回路を含むファインピッチフレキシブルプリント配線板の生産歩留まりの向上に寄与してきた。
特開2004−35918号公報 特開2004−107786号公報 特開平9−143785号公報
しかしながら、近年のフラットディスプレイパネル(TFTパネル、プラズマディスプレイパネル等)の大画面化は急激な速度で進行している。そして、大画面化と同時に地上波デジタル放送へのシフトに伴い、ハイビジョン化による映像の高精細化が行われる。その結果として、電子回路、プリント配線板に対しても小型化、高機能化が求められ回路のファインピッチ化が要求されるのは当然である。
また、電子又は電気機器の代表であるパーソナルコンピュータのクロック周波数も急激に上昇し、演算速度が飛躍的に速くなっている。そして、従来はコンピュータとしての本来の役割である単なるデータ処理に止まらず、コンピュータ自体をAV機器と同様に使用する機能も付加されており、音楽再生機能に止まらず、DVDの録画再生機能、TV受像録画機能、テレビ電話機能等が次々に付加されている。
これに伴い、パーソナルコンピュータのモニタも、単なるデータモニタではなく、映画等の画像を写しても長時間視聴に耐えるだけの画質が要求され、このような品質のモニタを安価に且つ大量に供給することが求められる。そして、現在の当該モニタには液晶モニタが多用されており、この液晶パネルのドライバには、前記テープ オートメーティド ボンディング基板(3層TABテープ)やチップ オン フィルム基板(COFテープ)を用いるのが一般的であり、モニタのハイビジョン化を図るためには、前記ドライバにもよりファインな回路の形成が求められるようになる。
以上のことから、従来市場に供給されてきた低プロファイル電解銅箔と比べて、更に低プロファイル且つ高強度の電解銅箔に対する要求が存在し、その銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板、フィルムキャリアテープ等に対する要求が存在したのである。
そこで、本件発明者等は、鋭意研究の結果、ある一定の条件で製造した電解銅箔が、従来の低プロファイル銅箔を超えるものとなることを見いだし、これをフレキシブル銅張積層板に用いることで、回路ピッチ30μm以下のファインピッチ回路を含むフレキシブルプリント配線板の製造歩留まりが飛躍的に向上することに想到したのである。以下、本件発明に関して説明する。
本件発明に係るフレキシブル銅張積層板: 本件発明に係るフレキシブル銅張積層板は、樹脂フィルムと電解銅箔とを積層状態に構成したフレキシブル銅張積層板において、前記電解銅箔の析出面が、表面粗さ(Rzjis)が1.5μm以下で、且つ、光沢度(Gs(60°))が400以上の低プロファイル光沢表面を備え、その析出面と樹脂フィルムとを張り合わせたことを特徴とするものである。
また、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板は、前記電解銅箔に、常態引張り強さが33kgf/mm以上、加熱後(180℃×60分、大気雰囲気)引張り強さが30kgf/mm以上であるものを用いる事が好ましい。
更に、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板は、前記電解銅箔に、常態の伸び率が5%以上、加熱後(180℃×60分、大気雰囲気)の伸び率が8%以上であるものを用いる事が好ましい。
そして、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板は、前記電解銅箔に、硫酸系銅電解液中に4級アンモニウム塩ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロライドを含有させて電解することにより得られるものを用いる事が好ましい。
また、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板は、前記電解銅箔として、その析出面に粗化処理、防錆処理、シランカップリング剤処理のいずれか一種又は二種以上の表面処理を行ったものを用いる事も可能である。
そして、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板は、前記電解銅箔の表面処理後の析出面の表面粗さ(Rzjis)が、5μm以下の低プロファイルとして用いることが好ましい。
本件発明に係るフレキシブルプリント配線板: 以上に述べた本件発明に係るフレキシブル銅張積層板を用い、高品質のフレキシブルプリント配線板を得ることが可能となる。
本件発明に係るフレキシブルプリント配線板においては、フレキシブルプリント配線板製造プロセスを経た後の電解銅箔の引張り強さが25kgf/mm以上で、且つ、伸び率が10%以上であるものを用いることが好ましい。
特に、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板を用いることで、フレキシブルプリント配線板の中でも、回路ピッチが35μm以下のファインピッチ回路を備えるフィルムキャリアテープ状のフレキシブルプリント配線板を容易に製造することが可能となる。
そして、前記フィルムキャリアテープにおいて、前記回路は、表面粗さ(Rzjis)が1.5μm以下で、且つ、光沢度(Gs(60°))が400以上の電解銅箔の低プロファイル析出面と樹脂フィルムとを積層状態とし、エッチング加工して得られるものである。
本件発明に係る半導体装置: 上述のフレキシブル銅張積層板を用いることで、高品質の半導体装置の提供が可能となる。
フレキシブル銅張積層板の製造方法: 本件発明に係るフレキシブル銅張積層板の製造方法は、表面粗さ(Rzjis)が1.5μm以下で、且つ、光沢度(Gs(60°))が400以上の低プロファイル光沢表面に対し樹脂フィルム層を形成することを特徴とするものである。
フィルムキャリアテープの製造方法: 本件発明に係るフィルムキャリアテープの製造方法は、電解銅箔の表面粗さ(Rzjis)が1.5μm以下で、且つ、光沢度(Gs(60°))が400以上の低プロファイル光沢表面に対し樹脂フィルム層を形成しテープ状のフレキシブル銅張積層板とし、その後、当該電解銅箔層を回路形状にエッチング加工してフィルムキャリアテープとすることを特徴とするものである。
本件発明に係るフレキシブル銅張積層板は、従来市場に供給されてきた低プロファイル電解銅箔に比べ、更に低プロファイルで良好な光沢のある析出面を、樹脂フィルムに張り合わせたものである。従って、その析出面に上記表面処理を施しても、従来の製品よりは低プロファイルの銅箔となる。これらの電解銅箔は、回路に良好なエッチングファクターを要求するテープ オートメーティド ボンディング基板(3層TABテープ)やチップ オン フィルム基板(COFテープ)等のファインピッチ回路の形成に特に適している。
また、電解銅箔として見ると、その両面の粗さが極めて小さい電解銅箔であるため、耐折試験を行ったときの折り曲げ応力の集中箇所となる凹凸部が少ない。従って、当該電解銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板又はフレキシブルプリント配線板としたときの耐折特性も向上することになる。
そして、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板を用いて得られるフレキシブルプリント配線板は、電解銅箔層がエッチング特性に優れるため、安定して回路ピッチ35μm以下のファインピッチ回路を備えるものとすることができる。従って、フレキシブルプリント配線板の中でも、テープ状の製品として知られるテープ オートメーティド ボンディング基板(3層TABテープ)やチップ オン フィルム基板(COFテープ)等の用途に好適である。
本件発明に係るフレキシブル銅張積層板の形態: 本件発明に係るフレキシブル銅張積層板は、樹脂フィルムと電解銅箔とを積層状態に構成したフレキシブル銅張積層板において、前記電解銅箔の析出面が、表面粗さ(Rzjis)が1.5μm以下で、且つ、光沢度(Gs(60°))が400以上の低プロファイル光沢表面を備え、その析出面と樹脂フィルムとを張り合わせたことを特徴とするものである。なお、「樹脂フィルムと電解銅箔とを積層状態に構成した」とは、その製造方法を問わず、結果として、樹脂フィルムと電解銅箔とを積層した状態にするという意である。従って、電解銅箔上にキャスティング法で樹脂フィルム層を設ける場合が含まれることを明記しておく。
最初に、ここで用いる電解銅箔に関して説明する。厳密な意味で言えば、電解銅箔の析出面の粗さは、電解銅箔の厚さによって変動する概念である。しかし、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板に用いる電解銅箔の表面粗さ及び光沢度の概念は、電解銅箔として生産可能な450μm厚さ以下の厚さの電解銅箔箔において、その析出面側の表面粗さ(Rzjis)が1.5μm以下の低プロファイルであり、且つ、当該析出面の光沢度(Gs(60°))が400以上という条件を満たすものである。そして、好ましくは当該析出面側の表面粗さ(Rzjis)が1.2μm以下、より好ましくは1.0μm以下である。当該析出面が、上記範囲の光沢度を備え、その表面粗さ(Rzjis)の値が小さくなるほど、ファインピッチ回路の形成が容易となる。
本件発明に係るフレキシブル銅張積層板に用いる電解銅箔に対する理解を容易にするため、ここで電解銅箔の製造手順に関して、再度説明する。「電解銅箔」とは、何ら表面処理を行っていない状態のものであり「未処理銅箔」、「析離箔」等と称するのが一般的である。しかし、本件明細書では、粗化処理、表面処理の有無に拘わらず、単に「電解銅箔」と称する。
この電解銅箔は、一般的に連続生産法が採用され、ドラム形状をした回転陰極と、その回転陰極の形状に沿って対向配置する鉛系陽極又は不溶性陽極(DSA)との間に、硫酸銅系溶液を流し、電解反応を利用して銅を回転陰極のドラム表面に析出させ、この析出した銅が箔状態となり、回転陰極から連続して引き剥がして巻き取ることにより生産される。この段階では、防錆処理等の表面処理は何ら行われていない状況であり、電析直後の銅は活性化した状態にあり空気中の酸素により、非常に酸化しやすい状態にある。
この電解銅箔の回転陰極と接触した状態から引き剥がされた面は、鏡面仕上げされた回転陰極表面の形状が転写したものとなり、光沢を持ち滑らかな面であるため光沢面と称する。これに対し、析出サイドであった方の表面形状は、析出する銅の結晶成長速度が結晶面ごとに異なるため、山形の凹凸形状を示すものとなり、これを粗面又は析出面(本件明細書では以下「析出面」を用いる。)と称する。この析出面が銅張積層板を製造する際の絶縁層との張り合わせ面となる。そして、この析出面の粗さ(粗度)が小さいほど、優れた低プロファイルの電解銅箔と言う。更に、本件発明に係る電解銅箔では、この析出面の粗度が一般的な電解ドラムを使用して製造された銅箔の光沢面より平滑となるため粗面という用語は使用せず、単に「析出面」と称する事とする。
そして、この電解銅箔は、表面処理工程により、析出面への粗化処理と防錆処理とが施されるのが通常である。析出面への粗化処理とは、硫酸銅溶液中で、いわゆるヤケメッキ条件の電流を流し、析出面に微細銅粒を析出付着させ、直ちに平滑メッキ条件の電流範囲で被せメッキする事で、微細銅粒の脱落を防止するものである。従って、微細銅粒を析出付着させた析出面のことを「粗化処理面」と称する。続いて、表面処理工程では、電解銅箔の表裏に、亜鉛、亜鉛合金、クロム系のメッキ等により防錆処理が行われ、乾燥して、巻き取ることで製品としての電解銅箔が完成するのである。
一般的に、上記特許文献1〜特許文献3に開示の製造方法をトレースして、粗化処理を行わない状態の電解銅箔を製造してみると、析出面側の粗度(Rzjis)の値が1.2μmを超えるレベルである。これに対して、本件発明に係る電解銅箔は、実施例に示すとおり、条件最適化により析出面側の表面粗さ(Rzjis)が0.6μm以下の低プロファイルを得ることも可能となる。ここで特に下限値を限定していないが、粗度の下限は経験的に0.1μm程度である。
また、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板に用いる電解銅箔の析出面の滑らかさを示す指標として、光沢度を用いることにより、従来の低プロファイル電解銅箔との差異を明瞭に捉えることが出来る。本件発明で用いた光沢度の測定は、電解銅箔の流れ方向(MD方向)に沿って、当該銅箔の表面に入射角60°で測定光を照射し、反射角60°で跳ね返った光の強度を測定したものであり、日本電色工学株式会社製光沢計VG−2000型を用いて、光沢度の測定方法であるJIS Z 8741−1997に基づいて測定した。その結果、上記特許文献1〜特許文献3に開示の製造方法をトレースして、12μm厚さの電解銅箔を製造し、その析出面の光沢度[Gs(60°)]を測定すると、250〜380程度の範囲に入る。これに対し、本件発明に係る電解銅箔は、光沢度[Gs(60°)]が400を超え、より滑らかな表面をもつことが分かる。更に、実施例に示すとおり、条件の最適化により光沢度[Gs(60°)]500以上も可能となる。なお、ここでも、光沢度の上限値を定めていないが、経験的に780程度が上限となるようである。
このように滑らかな析出面に対して、後述する表面処理を施して粗化処理を行い、防錆処理等を行っても従来の低プロファイル表面処理銅箔よりも、更に低プロファイルの粗化処理面を備える表面処理銅箔が得られる。そして、この表面処理銅箔を用いて樹脂フィルムに張り合わると、物理的なアンカー効果を適度に得ることが可能で、界面の凹凸も軽減されるため、当該界面でのエッチング液等のしみ込みが小さく、耐薬品性劣化が小さくなる。
そして、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板で用いる電解銅箔は、常態の引張り強さが33kgf/mm以上、加熱後(180℃×60分、大気雰囲気)の引張り強さが30kgf/mm以上という高い機械的特性を備える。上記特許文献1〜特許文献3に開示の製造方法をトレースして、12μm厚さの電解銅箔を製造し、その引張り強さを測定すると、殆どのものは常態の引張り強さが33kgf/mm未満、加熱後(180℃×60分、大気雰囲気)の引張り強さが30kgf/mm未満という物性を示す。この引張り強さから、常態の引張り強さも大きな値ではなく、プリント配線板に加工する際の標準的加熱プロセス180℃×60分の加熱を受けただけで、引張り強さが20kgf/mm台に軟化するものもあり、フライングリードの形成が必要となる3層TABテープ製品には不向きである。即ち、一旦加熱を受け、その後引張り応力を受けると破断しやすくなるからである。
これに対し、本件発明に係る電解銅箔は、常態の引張り強さが33kgf/mm以上、より好ましくは37kgf/mm以上を備え、加熱後(180℃×60分、大気雰囲気)の引張り強さが30kgf/mm以上、より好ましくは33kgf/mm以上という高い機械的特性を備える。更に、実施例に示すとおり、条件の最適化により、常態の引張り強さが38kgf/mm以上、加熱後(180℃×60分、大気雰囲気)の引張り強さが35kgf/mm以上という更に高い機械的特性を備え得る。従って、デバイスホールを備える3層TABテープのICチップ実装部となるインナーリード(フライングリード)に好適である。即ち、3層TABテープのインナーリード(フライングリード)の存材を考えれば、常態及び加熱後の引張り強さが高いほど好ましい。常態の引張り強さが33kgf/mm以上、加熱後の引張り強さが30kgf/mm以上あれば、実装部品の一般的なボンディングに対応できる。しかしながら、当該電解銅箔の常態の引張り強さが37kgf/mm以上で且つ加熱後の引張り強さが33kgf/mm以上、更には、常態の引張り強さが38kgf/mm以上で且つ加熱後の引張り強さが35kgf/mm以上になると、臨界的に実装部品のボンディング圧力を段階的に上昇させることができる。
更に、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板で用いる電解銅箔は、常態の伸び率が5%以上、加熱後(180℃×60分、大気雰囲気)の伸び率が8%以上という良好な機械的特性を備える。上記特許文献1〜特許文献3に開示の製造方法をトレースして、12μm厚さの電解銅箔を製造し、その引張り強さを測定すると、殆どのものは常態の伸び率が5%未満、加熱後(180℃×60分、大気雰囲気)の伸び率が7%未満という物性を示す。確かに、この程度の伸び率であっても、プリント配線板に加工し、メカニカルドリルによるスルーホール形成を行う際のフォイルクラック防止の役割を果たすには十分である。しかしながら、ポリイミド樹脂フィルム、アラミド樹脂フィルム、PETフィルム等のフレキシブル基材に、電解銅箔を張り合わせてフレキシブルプリント配線板とし、折り曲げ使用するときの折り曲げ部に位置する回路のクラック発生の防止を考えると不十分である。本件発明に係るフレキシブル銅張積層板に用いる電解銅箔は、常態の伸び率が5%以上、加熱後(180℃×60分、大気雰囲気)の伸び率が8%以上という良好な機械的特性を備えるため、フレキシブルプリント配線板の折り曲げ使用にも十分に耐えうる伸び率を達成出来ている。
そして、本件発明に係るフレキシブルプリント配線板では、上記引張り強さ及び伸び率の電解銅箔を用いて製造するが、フレキシブルプリント配線板製造プロセスを経た後、当該フレキシブルプリント配線板から分離採取した電解銅箔の常態引張り強さが25kgf/mm以上で、且つ、常態伸び率が10%以上であることが好ましい。この物性を満たせば、フレキシブルプリント配線板としても良好な耐折性能等を確保できるからである。
そして、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板に用いる電解銅箔であって、硫酸系銅電解液中に4級アンモニウム塩ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロライドを含有させて電解することにより得られるものが最も適している。
ここで、この硫酸系銅電解液中に、環状構造を持つ4級アンモニウム塩ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロライドを含有させて電解する方法に関して述べておく。そして、より好ましくは、環状構造を持つ4級アンモニウム塩ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロライドと、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸と塩素とを添加して得られた硫酸系銅電解液を用いることが好ましい。この組成の硫酸系銅電解液を用いることで、安定して本件発明で用いる低プロファイルの電解銅箔の製造が可能となる。硫酸系銅電解液に、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸、環状構造を持つ4級アンモニウム塩ポリマー、塩素の3成分が存在することが最も好ましく、いずれの成分が欠けても低プロファイル電解銅箔の製造歩留まりが不安定化する。
本件発明に係るフレキシブル銅張積層板に用いる電解銅箔製造に用いる硫酸系銅電解液中の3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸濃度は、3ppm〜50ppmである事が好ましく、より好ましくは4ppm〜30ppm、更に好ましくは4ppm〜25ppmである。この3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸濃度が3ppm未満の場合には、電解銅箔の析出面が粗くなり、低プロファイル電解銅箔を得ることが困難となる。一方、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸濃度が50ppmを越えても、得られる電解銅箔の析出面が平滑化する効果は向上せず、むしろ電析状態が不安定化するのである。なお、本件発明で言う3−メルカプトー1−プロパンスルホン酸とは、3−メルカプトー1−プロパンスルホン酸塩をも含む意味で使用しており、濃度の記載値は、ナトリウム塩としての3−メルカプトー1−プロパンスルホン酸ナトリウム換算の値である。なお、3−メルカプトー1−プロパンスルホン酸の濃度とは、3−メルカプトー1−プロパンスルホン酸の他、3−メルカプトー1−プロパンスルホン酸の2量体等の電解液中での変性物も含む濃度である。
そして、本件発明で用いる電解銅箔の製造方法に用いる硫酸系銅電解液中の4級アンモニウム塩ポリマーは、当該濃度が1ppm〜50ppmである事が好ましく、より好ましくは2ppm〜30ppm、更に好ましくは3ppm〜25ppmである。ここで、4級アンモニウム塩ポリマーとして、種々のものを用いることが可能であるが、低プロファイルの析出面を形成する効果を考えると、4級アンモニウムの窒素原子が5員環構造の一部に含まれる化合物、特にジアリルジメチルアンモニウムクロライドを用いることが最も好ましい。
そして、このジアリルジメチルアンモニウムクロライドの硫酸系銅電解液中の濃度は、上述の3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸濃度との関係を考慮して、1ppm〜50ppmである事が好ましく、より好ましくは2ppm〜30ppm、更に好ましくは3ppm〜25ppmである。ここで、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドの硫酸系銅電解液中の濃度が1ppm未満の場合には、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸濃度を如何に高めても電解銅箔の析出面が粗くなり、低プロファイル電解銅箔を得ることが困難となる。ジアリルジメチルアンモニウムクロライドの硫酸系銅電解液中の濃度が50ppmを超えても、銅の析出状態が不安定になり、低プロファイル電解銅箔を得ることが困難となる。
更に、前記硫酸系銅電解液中の塩素濃度は、5ppm〜60ppmである事が好ましく、更に好ましくは10ppm〜20ppmである。この塩素濃度が5ppm未満の場合には、電解銅箔の析出面が粗くなり低プロファイルを維持出きなくなる。一方、塩素濃度が60ppmを超えると、電解銅箔の粗面が粗くなり、電析状態が安定せず、低プロファイルの析出面を形成出来なくなる。
以上のように、前記硫酸系銅電解液中の3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸とジアリルジメチルアンモニウムクロライドと塩素との成分バランスが最も重要であり、これらの量的バランスが上記範囲を逸脱すると、結果として電解銅箔の析出面が粗くなり低プロファイルを維持出きなくなる。
なお、本件発明に言う硫酸系銅電解液の銅濃度は50g/l〜120g/l、フリー硫酸濃度が60g/l〜250g/l程度の溶液を想定している。
そして、上記硫酸系銅電解液を用いて電解銅箔を製造する場合には、液温20℃〜60℃とし、電流密度30A/dm〜90A/dmで電解することが好ましい。液温が20℃〜60℃、より好ましくは40℃〜55℃である。液温が20℃未満の場合には析出速度が低下し伸び及び引張り強さ等の機械的物性のバラツキが大きくなる。一方、液温が60℃を超えると蒸発水分量が増加し液濃度の変動が速く、得られる電解銅箔の析出面が良好な平滑性を維持出来ない。また、電流密度は30A/dm〜90A/dmで、より好ましくは40A/dm〜70A/dmである。電流密度が30A/dm未満の場合には銅の析出速度が小さく工業的生産性が劣る。一方、電流密度が90A/dmを超える場合には、得られる電解銅箔の析出面の粗さが大きくなり、従来の低プロファイル銅箔を超えるものとは出来ない。
そして、本件発明に係る電解銅箔は、その粗面に粗化処理、防錆処理、シランカップリング剤処理のいずれか一種又は二種以上を行い表面処理を施した電解銅箔として用いることも可能である。
ここで、粗化処理とは、電解銅箔の表面に微細金属粒を付着形成させるか、エッチング法で粗化表面を形成するか、いずれかの方法が採用される。ここで、前者の微細金属粒を付着形成する方法として、銅微細粒を粗面に付着形成する方法に関して例示しておく。この粗化処理工程は、電解銅箔の粗面上に微細銅粒を析出付着させる工程と、この微細銅粒の脱落を防止するための被せメッキ工程とで構成される。
電解銅箔の粗面上に微細銅粒を析出付着させる工程では、電解条件としてヤケメッキの条件が採用される。従って、一般的に微細銅粒を析出付着させる工程で用いる溶液濃度は、ヤケメッキ条件を作り出しやすいよう、低い濃度となっている。しかしながら、本件発明に於いて用いる電解銅箔は、その析出面が従来の低プロファイル銅箔以上に平坦且つ低プロファイルであるため、このヤケメッキを施しても、物理的な突起等の電流集中箇所が少ないため、極めて微細且つ均一な状態で微細銅粒の付着形成が行える。このヤケメッキ条件は、特に限定されるものではなく、生産ラインの特質を考慮して定められるものである。例えば、硫酸銅系溶液を用いるのであれば、濃度が銅5〜20g/l、硫酸50〜200g/l、その他必要に応じた添加剤(α−ナフトキノリン、デキストリン、膠、チオ尿素等)、液温15〜40℃、電流密度10〜50A/dmの条件とする等である。
そして、微細銅粒の脱落を防止するための被せメッキ工程では、析出付着させた微細銅粒の脱落を防止するために、平滑メッキ条件で微細銅粒を被覆するように銅を均一析出させるための工程である。従って、ここでは前述のバルク銅の形成槽で用いたと同様の溶液を銅イオンの供給源として用いることができる。この平滑メッキ条件は、特に限定されるものではなく、生産ラインの特質を考慮して定められるものである。例えば、硫酸銅系溶液を用いるのであれば、濃度が銅50〜80g/l、硫酸50〜150g/l、液温40〜50℃、電流密度10〜50A/dmの条件とする等である。
次に、防錆処理層を形成する方法に関して説明する。この防錆処理層は、銅張積層板及びプリント配線板の製造過程で支障をきたすことの無いよう、電解銅箔層の表面が酸化腐食することを防止するためのものである。防錆処理に用いられる方法は、ベンゾトリアゾール、イミダゾール等を用いる有機防錆、若しくは亜鉛、クロメート、亜鉛合金等を用いる無機防錆のいずれを採用しても問題はない。電解銅箔の使用目的に合わせた防錆を選択すればよい。有機防錆の場合は、有機防錆剤を浸漬塗布、シャワーリング塗布、電着法等の手法を採用することが可能となる。無機防錆の場合は、電解で防錆元素を電解銅箔層の表面上に析出させる方法、その他いわゆる置換析出法等を用いることが可能である。例えば、亜鉛防錆処理を行うとして、ピロ燐酸亜鉛メッキ浴、シアン化亜鉛メッキ浴、硫酸亜鉛メッキ浴等を用いることが可能である。例えば、ピロ燐酸亜鉛メッキ浴であれば、濃度が亜鉛5〜30g/l、ピロ燐酸カリウム50〜500g/l、液温20〜50℃、pH9〜12、電流密度0.3〜10A/dmの条件とする等である。
防錆処理の種類は、上述のように限定はないが、本件発明で用いる電解銅箔の粗化処理を行うことなく用いようとする場合には、樹脂フィルムと銅箔表面との濡れ性を可能な限り向上させ、密着性を高めるため、以下の防錆処理を用いることが好ましい。即ち、防錆処理層としてニッケル−亜鉛合金を用いることが好ましい。特に、防錆処理層を構成するニッケル−亜鉛合金は、不可避不純物を除き、ニッケルを50wt%〜99wt%、亜鉛を50wt%〜1wt%含有する組成のものを用いることが好ましいのである。防錆処理層におけるニッケルの存在が、基材の構成樹脂に対する密着性を改善する傾向が顕著であるためである。このニッケル−亜鉛合金で形成した防錆処理層は、ニッケル含有量が50wt%未満であると各種基材との密着性の向上効果が期待できなくなる。また、ニッケル含有量が99wt%を越えるとエッチング後に残留する傾向が強くなり好ましくない。本発明者らの研究によると、本発明に係る樹脂層を備えたキャリア箔付電解銅箔では、ニッケル及び亜鉛の防錆処理層を形成する場合、ニッケル及び亜鉛のトータル付着量を20mg/m〜100mg/mの範囲にすることが望ましい。特に、このニッケル−亜鉛合金による防錆処理層を形成しておくと、密着強度が確保しづらい特殊基板に接着した際に、その接着界面から容易に電解銅箔が剥がれることなく、耐薬品特性、耐湿特性或いは半田耐熱特性に優れたものとなる。トータル付着量が20mg/m未満であると、均一な厚さの防錆処理層を得ることが出来ず密着強度のバラツキが大きくなる。一方、トータル付着量が100mg/mを超えると、導体回路形成のエッチング時にニッケル成分のエッチング残を生じる傾向があり好ましくない。
そして、ニッケル量の多い方が密着強度、耐薬品特性、耐湿特性、半田耐熱特性を向上させる傾向となり、亜鉛量が増えてくると耐薬品特性や半田耐熱性を低下させる傾向となることを確認している。そして、ニッケル−亜鉛合金による防錆処理層を形成する場合、ニッケルと亜鉛の総付着量を20〜100mg/mにした際、そのニッケルと亜鉛との比率を、ニッケル:亜鉛=6:4〜8:2の範囲とすることが実用上好適なものであることが判明した。ニッケル比率が80wt%を超えると、回路形成した際にエッチング残を生じる傾向がある。また、亜鉛比率が40wt%を超えると、耐薬品特性や半田耐熱特性が低下する傾向となる。
また、防錆処理層をニッケル−亜鉛合金層と後述するクロメート層とで構成することも好ましい。クロメート層が存在することで、耐食性が向上すると同時に、樹脂層との密着性も同時の向上する傾向にあるのである。このときのクロメート層の形成には、定法に従い置換法、電解法のいずれの方法を採用しても良いのである。
そして、シランカップリング剤処理とは、粗化処理、防錆処理等が終了した後に、絶縁層構成材との密着性を化学的に向上させるための処理である。ここで言う、シランカップリング剤処理に用いるシランカップリング剤として、特に限定を要するものではなく、使用する絶縁層構成材、プリント配線板製造工程で使用するメッキ液等の性状を考慮して、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤等から任意に選択使用することが可能となる。
より具体的には、プリント配線板用にプリプレグのガラスクロスに用いられると同様のカップリング剤を中心にビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を用いることが可能である。
そして、その析出面に上記所望の表面処理を施した表面処理銅箔は、その樹脂フィルム基材との張り合わせ面が、表面粗さ(Rzjis)=5μm以下の低プロファイルを備えることを特徴とする。このような低プロファイルの粗化処理面を備えることで、樹脂フィルム層に張り合わせたときの実用上支障のない密着性を確保すると共に良好なエッチング性能を確保し、基板として実用上支障のない耐熱特性、耐薬品性、引き剥がし強さを得ることが可能である。
フレキシブル銅張積層板の製造形態: 以上に述べてきた電解銅箔を用いて、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板を製造する。本件明細書に言うフレキシブル銅張積層板とは、上述の3層フレキシブル銅張積層板若しくは2層フレキシブル銅張積層板のいずれも含む概念として記載している。そして、これらのフレキシブル銅張積層板の製造方法として、特段の限定はない。公知の方法のいずれかを採用すればよい。
即ち、3層フレキシブル銅張積層板の場合には、樹脂フィルムの表面に接着剤層を設け、この接着剤層を半硬化状態として、この接着剤層を加熱して再流動化させ、ここに電解銅箔をラミネートして、キュアリングをさせることで、電解銅箔層/接着剤層/樹脂フィルム層の状態の3層フレキシブル銅張積層板とする。
そして、2層フレキシブル銅張積層板の場合であって、キャスティング法を用いる場合を例示する。電解銅箔の析出面にポリイミド系ワニスを、ダイコーター、ロールコーター、ロータリーコーター、ナイフコーター、ドクターブレード等の公知の塗布手段で直接塗布した後、当該ワニスを加熱乾燥させることで得られる。ここで用いる、ポリイミド系ワニスは、特段の限定は要さない。一般的に、ジアミン系薬剤と酸無水物とを反応させて得られるポリアミック酸ワニス、ポリアミック酸を溶液の状態で化学反応若しくは加熱することでイミド化したポリイミド樹脂ワニス等を広く使用することが出来ことができる。即ち、酸無水物は、加熱乾燥により所望の組成のポリイミド系樹脂が得られる限り、適宜成分選択を行えばよいのであり、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等を使用するが、特段の限定は要さないと考える。そして、ジアミン系薬剤としては、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエ−テル等の1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。また、これらのワニスには、フレキシブルプリント配線板としたときの要求品質を満たす限りポリアミドイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を添加したポリイミド系複合ワニスをも含むものであることを明確にしておく。
本件発明に係るフレキシブルプリント配線板: 以上に述べた本件発明に係るフレキシブル銅張積層板を用い、高品質のフレキシブルプリント配線板を得ることが可能となる。なお、ここで言うフレキシブルプリント配線板は、フィルムキャリアテープを含む概念として記載している。
フレキシブル銅張積層板からフレキシブルプリント配線板への加工方法には、特段の限定はない。公知のエッチング加工プロセスを用いれば足りるのである。従って、ここでの詳細な説明は省略する。このように公知のエッチングプロセスを用いても、特に、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板を用いることで、フレキシブルプリント配線板の中でも、回路ピッチが35μm以下、好ましくは30μm以下のファインピッチ回路を備えるフィルムキャリアテープ状のフレキシブルプリント配線板の製造歩留まりが飛躍的に向上する。
ここで、フレキシブルプリント配線板の製造方法の一例として、念のためフィルムキャリアテープの製造方法に関して説明しておく。回路形状の形成を行ったフィルムキャリアテープは、樹脂フィルムと、この表面に形成された回路パターンと、この回路パターンに端子部分が露出するように配置されたソルダーレジスト層あるいはカバーレイ層などの絶縁性樹脂保護層とからなる。
樹脂フィルムとしては、ポリイミドフィルム、ポリイミドアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、フッ素樹脂フィルムおよび液晶ポリマーフィルム等を用いる。即ち、これらの樹脂フィルムは、エッチングの際に使用されるエッチング液、あるいは、洗浄の際に使用されるアルカリ溶液などによって侵食されない程度の耐薬品性を有し、さらに電子部品を実装する等の際の加熱による熱変形が起こらない程度の耐熱性を有する。こうした特性を有する樹脂フィルムとしては、特に、ポリイミドフィルムの使用が好ましい。
このような樹脂フィルムは、通常は5〜150μm、好ましくは5〜125μm、特に好ましくは25〜75μmの平均厚さを有している。上記のような樹脂フィルムに、パンチングにより、スプロケットホール、デバイスホール、折り曲げスリット、位置合わせ用孔等の必要な貫通孔又は貫通領域が形成されている。
そして、回路パターンは、上記のような樹脂フィルムの表面に配置された銅層(本件発明では電解銅箔層)をエッチングすることにより形成される。上記の銅層の厚さは、通常は2〜70μm、好ましくは6〜35μmの範囲にある。
上記のような電解銅箔層は、接着剤を使用せずに樹脂フィルムの表面に配置することもできるが、接着剤層を形成して粘着することもできる。導電性金属箔の接着に使用される接着剤層は、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、ポリイミド樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤等を用いて形成できる。このような接着剤層の厚さは、通常は1〜30μm、好ましくは5〜20μmの範囲内にある。
そして、回路パターンは、樹脂フィルムの表面に上記のようにして形成された電解銅箔層をエッチング加工することにより形成する。即ち、電解銅箔層の表面にUV感光性のエッチングレジスト液を塗布して70℃〜130℃で、1分〜10分間乾燥して、エッチングレジスト層を形成し、このエッチングレジスト層にエッチングレジストパターンを露光し、現像することにより、所望のレジストパターンを形成して、このレジストパターンをマスキング材として電解銅箔層を選択的にエッチングすることにより回路パターンを形成することができる。なお、念のために記載しておくが、回路パターンが形成されていない領域には、一般的に種々の目的で、電気的に接続されていないダミーパターンを設けることがある。また、2層フレキシブル銅張積層板を用いるCOFテープの場合、一般的に、スプロケットホール周囲の電解銅箔層をエッチング除去せず、補強を目的として、そのまま残す「銅残し」と称する製造方法を採用している。
こうして樹脂フィルム表面に形成された回路パターンは、端子部分が露出するように樹脂保護層で被覆する。そして、必要に応じて樹脂保護層を形成する前に、酸化防止等を目的として、形成した回路パターンを被覆するようにメッキ処理(「先メッキ処理」と称する場合有り)を施してもよい。
ここで、前記メッキ層の形成を行う場合には、スズメッキ層、金メッキ層、ニッケル−金メッキ層、ハンダメッキ層、鉛フリーハンダメッキ層、鉛メッキ層、ニッケルメッキ層、亜鉛メッキ層、および、クロムメッキ層等を選択的に用いることが好ましい。また、これらのメッキ層は、複数のメッキ層を積層した複合メッキ層であってもよい。特に本件発明では、スズメッキ層、金メッキ層、ニッケルメッキ層、ニッケル−金メッキ層が好ましい。電子部品の表面実装を行う際の接合安定性に優れるからである。
このようなメッキ層の厚さは、メッキの種類によって適宜選択することができるが、通常は0.005〜5.0μm、好ましくは0.005〜3.0μmの範囲内の厚さに設定される。なお、スズメッキ後には、一般的に70℃〜200℃×0.3時間〜3.0時間のキュアリングが行われる。また、回路の全面にメッキをし(以下、「第1メッキ処理」と称する。)、端子部分を露出させて樹脂保護層を形成した後、さらに樹脂保護層から露出する部分である端子部分に、再度第1メッキ処理と同一又は異種の金属メッキ処理(第2メッキ処理)を行ってもよい。このメッキ層の形成方法としては、電解法、無電解法のいずれを用いても構わない。
以上のようなメッキ層を必要に応じて形成した後、回路パターンの端子部分を残して回路パターン及びこの回路パターンの間にある樹脂フィルム層を覆うように樹脂保護層を形成する。この樹脂保護層は、例えば、スクリーン印刷技術を利用して、エポキシ系、ウレタン系、ポリイミド系等のソルダーレジストインクを所望の部分に塗布し、100℃〜180℃で30分〜300分間キュアリングすることで形成することもできるし、さらに接着剤層を有する樹脂フィルム(カバーレイフィルム)予め打ち抜き加工等により所望の形状として、この樹脂フィルムを熱圧着することにより形成することもできる。
そして、先メッキしていない場合には、このようにして樹脂保護層を形成した後、この樹脂保護層から露出した回路(リード)表面にメッキ層(以下、「バンプメッキ層」と称する。)を形成する。このメッキ処理(「後メッキ処理」と称する場合有り)は、このフィルムキャリアテープに電子部品を実装する際に電子部品に形成されたバンプ電極等と当該フィルムキャリアテープの端子との電気的接続を容易にさせるものであり、更に、この電子部品が実装されたフィルムキャリア(半導体装置)を、電子機器に組み入れる際に、フィルムキャリアと他の部材との電気的接続を得るためのものである。
このバンプメッキ層の形成には、スズメッキ層、金メッキ層、銀メッキ層、ニッケル−金メッキ層.ハンダメッキ層、鉛フリーハンダメッキ層、パラジウムメッキ層、ニッケルメッキ層、亜鉛メッキ層、および、クロムメッキ層等を選択的に用いることができる。また、このメッキ層は、上記メッキ層の単層であって、複数のメッキ層を積層した複合メッキ層でもよい。また、上記のようなバンプメッキ層は、事後的に加熱等を受けると積層状態にある金属(回路を構成する銅成分、下地メッキを構成する金属成分)との拡散を起こすこともあることを明記しておく。
ここで言うバンプメッキ層は、先のメッキ層と同様に電解法あるいは無電解メッキ法等の通常のメッキ法を用いて形成されるものである。そして、このバンプメッキ層の平均厚さは、製品仕様、メッキ層を構成する金属の種類によって、適正な厚さが異なるが、通常は0.3μm〜12μmの範囲内にある。上述のスズメッキ及び先メッキの場合と同様に、後メッキの後でもキュアリングを行う。なお、複数のメッキ層として構成する場合には、上記の平均厚さは、形成後のメッキ層のトータル厚さを意味する。以上のようにして、フィルムキャリアテープの製造が完了する。本件発明の場合、このようにして製造したフィルムキャリアテープからポリイミドエッチング剤等の化学薬品を用いて樹脂層を除去し、ダミーパターン又は銅残しの部分から、幅2.0mm〜5.0mm、長さ80mm〜100mmの銅層或いはメッキされた銅層を採取した。そして、この銅層の引張り試験を行ったところ、引張り強さは25kgf/mm〜30kgf/mm、伸び率は10%〜15%の範囲にあった。なお、スズメッキされた銅層に関しては、市販のアルカリ性スズメッキ剥離剤を用いてメッキ層を除去した銅層として引張り試験を実施している。
以下、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板を製造し、ピッチ30μmの回路を含むCOFテープを製造した実施例を示す。そして、従来の低プロファイル銅箔を製造し、これを用いて同様のCOFテープを製造した場合の製造歩留まりを対比することとする。
ここで、COFテープに関して、少し詳しく説明しておく。従来から、ファインピッチ回路を形成し、IC等のチップ部品を実装するフレキシブルプリント配線板が要求されており、三層TAB(テープオートメイティッドボンディング)テープ、ASIC(アプリケーションスペシフィックインテクレーティドサーキット)テープ等のフィルムキャリアテープが採用されてきた。この中で、電子機器の狭小スペースに搭載可能で、ダウンサイジングに対応する技術として、チップ オン フィルム(COF)が注目されてきた。このCOFタイプのフィルムキャリアテープは、三層TABテープのようにデバイスホールを形成する必要がないために、フライングリード(インナーリード)が存在しない。つまり、回路の全ての部位が基材である樹脂フィルムで支持された状態になっている。従って、部品実装領域の回路の支持体として樹脂フィルムがあるため、部品実装部の回路をファイン化しても、チップ部品のボンディングを行う際の要求回路強度の確保が可能で、回路全体のファインピッチ化が容易になるという特徴を備えるものである。
本件発明に係る半導体装置の形態: 本件発明に係る半導体装置は、上述のフレキシブル銅張積層板を用いて得られるフレキシブルプリント配線板又はフィルムキャリアテープにIC等のチップ部品を実装し、樹脂封止を行ったものであり、配線の耐折性に優れた高品質の半導体装置の提供ができる。
電解銅箔の製造: この実施例では、硫酸系銅電解液として、硫酸銅溶液であって、銅濃度80g/l、フリー硫酸140g/l、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸濃度4ppm、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド濃度(センカ(株)製ユニセンスFPA100Lを使用)3ppm、塩素濃度10ppm、液温50℃の溶液を用いて、電流密度60A/dmで電解し、12μm厚さの電解銅箔を得た。この電解銅箔の片面は、チタン製電極の表面形状の転写した光沢面(Ra=1.02μm)であり、他面側の析出面の粗度はRzjis=0.53μm,Ra=0.09μm、光沢度[Gs(60°)]669、常態引張り強さ39.9kgf/mm、加熱後引張り強さ35.2kgf/mm、常態伸び率7.6%、加熱後伸び率14.3%であった。
そして、上述の電解銅箔の表面処理として、当該粗面に、微細銅粒を析出付着させて、粗化処理面を形成した。この粗化処理面の形成の前に、当該電解銅箔の表面を酸洗処理して、清浄化を行った。この酸洗処理条件は、濃度100g/l、液温30℃の希硫酸溶液を用い、浸漬時間30秒とした。
そして、酸洗処理が終了すると、次には電解銅箔の粗面に微細銅粒を形成する工程として、粗面上に微細銅粒を析出付着させる工程と、この微細銅粒の脱落を防止するための被せメッキ工程とを施した。前者の微細銅粒を析出付着させる工程では、硫酸銅系溶液であって、濃度が銅7g/l、硫酸100g/l、液温25℃、電流密度10A/dmの条件で、10秒間電解した。
そして、粗面に微細銅粒を付着形成すると、微細銅粒の脱落を防止するための被せメッキ工程として平滑メッキ条件で微細銅粒を被覆するように銅を均一析出させた。ここでは平滑メッキ条件として、硫酸銅溶液であって、濃度が銅60g/l、硫酸150g/l、液温45℃、電流密度15A/dmの条件とし、20秒間電解した。
上述した粗化処理が終了すると、次には当該銅箔の両面に防錆処理を施した、ここでは以下に述べる条件の無機防錆を採用した。硫酸亜鉛浴を用い、硫酸濃度70g/l、亜鉛濃度20g/lとし、液温40℃、電流密度15A/dmとし、亜鉛防錆処理を施した。
更に、本実施例の場合、前記亜鉛防錆層の上に、電解でクロメート層を形成した。このときの電解条件は、クロム酸5.0g/l、pH 11.5、液温35℃、電流密度8A/dm、電解時間5秒とした。
以上のように防錆処理が完了すると水洗後、直ちにシランカップリング剤処理槽で、粗化した面の防錆処理層の上にシランカップリング剤の吸着を行った。
シランカップリング剤処理が終了すると、最終的に、電熱器により箔温度が140℃となるよう、雰囲気温度を調整加熱した炉内を4秒かけて通過し、水分をとばし、シランカップリング剤の縮合反応を促進し、完成した電解銅箔とした。この表面処理後の粗化処理した面の粗度は、Rzjis=4.6μmであった。
フレキシブル銅張積層板の製造:前記電解銅箔の粗化処理した表面に、市販のポリアミック酸溶液を含むポリイミド前駆体ワニスを塗布し、加熱することでポリイミド化させ、40μm厚のキャスティング法によるポリイミド樹脂フィルム層を形成した。その結果、約12μm厚の電解銅箔層と40μm厚さのポリイミド樹脂フィルム層(ベースフィルム層)とからなる2層フレキシブル銅張積層板を製造した。
COFテープの製造: 所定の幅を備え、テープ状とした前記フレキシブル銅張積層板に、打ち抜き加工によりスプロケットホール及び必要に応じて貫通孔を形成した(以下、説明上、これを「テープ状フレキシブル銅張積層板」と称する。)。
リールに卷回したテープ状フレキシブル銅張積層板を巻き出して、COFテープ製造のエッチングラインで回路パターン形成及びスプロケットホール周囲に補強のため銅残し部を形成した。ここでは、銅箔表面に液体レジストを用い100℃でキュアリングし、銅エッチングレジスト層を形成した。そして、このエッチングレジスト層に露光パターンを焼き付け、現像してレジストパターンを形成した。このときの露光パターンは、回路の一部分がリード幅15μm、リードピッチ30μm(L/S=15/15)の回路形成を予定したものである。これは、リード幅がリードピッチの50%に相当する回路である。
その後、定法に従い塩化銅溶液で銅エッチングを行い、レジストパターンの剥離を行い、十分な水洗を施した。次いで、配線及び銅残し部にスズの無電解メッキを行い、0.45μm厚さのスズメッキ層を形成して、135℃で熱処理した。そして、図1に示すように、スクリーン印刷法でソルダーレジスト液を回路の上部領域に塗布し、120℃でキュアリングした。このようにして、電子部品実装用フィルムキャリアテープ(COFテープ)を得た。試験用COFテープ試料1は、ポリイミド樹脂基材2の表面に端子部3から電気的に導通した櫛形回路4を備え、その櫛形回路4の上部領域をソルダーレジスト5で被覆したものである。
COFテープの評価結果: その結果、いずれの製品に於いてもエッチング残部の確認は出来ず、15μm幅の回路が形成され、30±0.001μmの回路ピッチが得られていた。そして、一般的な工程内で起こりうる製造バラツキを反映して、製品歩留まりは96%であった。また、自動検査装置(AOI)によるポリイミド樹脂フィルム層の光透過性も良好であった。
更に、このCOFテープの耐折特性を調べるため、図2に示すMIT耐折試験器を用いて、荷重100gfを負荷して、図1に示す試料の折り曲げ位置6(ソルダーレジスト層5の存在する位置)で所定回数の屈曲(繰り返し曲げ)を行い、櫛形回路4の配線での破断状況を確認した。その結果、R(0.5mm)の場合で、平均屈曲回数は53回であった。ここで、MIT耐折試験器10に関して、簡潔に述べておく。ブランジャ11の先端に荷重負荷の可能な試料固定部12が取り付けられる。そして、この試料固定部12で、図1に示す短冊状の測定試料1の中間部を狭持して固定する。このとき、測定試料1の端子部3のある先端側が、試料固定部12から外部に突出し、この端子部3と導線14とを接続し、電気的に破断時を検出する。一方、測定試料1の他端側は、折り曲げ装置取付台15に固定配置した折り曲げ装置16で固定する。このときの折り曲げ装置16は、平面的に見れば円弧状であり、その中心部から分離可能に構成され測定試料1を挟み込んで固定するためのスリット17を構成する。この折り曲げ装置取付台15が左右に均等の角度で回転することで、見かけ上、折り曲げ装置が左右に均等の角度でスイングして、測定試料1に引張り荷重が負荷された状態で、折り曲げ負荷を加える。なお、折り曲げ装置16の先端部のRのレベル、測定時の荷重により、折り曲げ試験としての厳しさが変化する。
また、市販のポリイミドエッチング剤を用いて、ポリイミド樹脂フィルム層を除去して、COFテープの銅残し部からスズメッキされた幅2.0mm、長さ80mmの銅箔を採取した。そして、この銅箔から、市販のスズメッキ剥離剤を用いてスズメッキ層を除去し、引張り試験を実施した。その結果、引張り強さが27kgf/mm、伸び率が12%であった。
この実施例では、実施例1の電解銅箔の製造にあたって、粗化処理を省略し、防錆処理層に、以下に述べる亜鉛−ニッケル合金防錆層を採用した。このときの亜鉛−ニッケル合金メッキ処理の条件は、硫酸ニッケルを用いニッケル濃度が0.3g/l、ピロリン酸亜鉛を用いて亜鉛濃度が2.5g/l、ピロリン酸カリウム100g/l、液温40℃の条件で電解し、ニッケルを65wt%、亜鉛を35wt%(トータル付着量が36mg/m)含有する亜鉛−ニッケル合金メッキ層を形成した。そして、実施例1と同様にクロメート処理を施した。以下の工程は実施例1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
COFテープの評価結果: この実施例で得られた電子部品実装用フィルムキャリアテープ(COFテープ)の評価を行った。その結果、いずれの製品に於いてもエッチング残部の確認は出来ず、15μm幅の回路が形成され、30±0.001μmの回路ピッチが得られていた。そして、一般的な工程内で起こりうる製造バラツキを反映して、製品歩留まりは98%であった。また、自動検査装置(AOI)によるポリイミド樹脂フィルム層の光透過性も良好であった。
更に、このCOFテープの耐折特性を調べるため、実施例1と同様にして、その結果、R(0.5mm)の場合で、平均屈曲回数は56回であった。また、実施例1と同様にして測定した、引張り強さは28kgf/mm、伸び率が14%であった。
比較例
[比較例1]
電解銅箔の製造: 特許文献1に開示の実施例1のトレース実験として、硫酸銅(試薬)と硫酸(試薬)とを純水に溶解し、硫酸銅(5水和物換算)280g/l、フリー硫酸濃度90g/lとし、ジアリルジアルキルアンモニウム塩と二酸化硫黄との共重合体(日東紡績株式会社製、商品名PAS−A−5、重量平均分子量4000:4ppm)とポリエチレングリコール(平均分子量1000:10ppm)と3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸(1ppm)とを添加し、更に塩化ナトリウムを用いて塩素濃度を20ppmに調製して、硫酸酸性銅めっき液を調製した。
そして、陰極としてチタン板電極を用い、表面を2000番の研磨紙を用いて研磨を行った。表面粗さをRaで0.20μmに調整した。そして、陽極には鉛板を用い、上記の電解液を液温40℃、電流密度50A/dmで電解を行い、12μm厚さの電解銅箔を得た。この電解銅箔の片面は、チタン製電極の表面形状の転写した光沢面(Ra=1.02μm)であり、他面側の析出面の粗度はRzjis=0.85μm,Ra=0.16μm、光沢度[Gs(60°)]283、常態引張り強さ36.2kgf/mm、加熱後引張り強さ32.4kgf/mm、常態伸び率4.0%、加熱後伸び率5.6%であった。
その後、実施例1と同様にして粗化処理及び防錆処理を施した電解銅箔とした。この表面処理後の粗化処理した面の粗度は、Rzjis=4.5μmであった。
以下、実施例1と同様にしてフレキシブル銅張積層板を製造し、30μmピッチの回路パターン形成を行い、電子部品実装用フィルムキャリアテープ(COFテープ)を得た。
COFテープの評価結果: この比較例で得られた電子部品実装用フィルムキャリアテープ(COFテープ)の評価を行った。その結果、いずれの製品に於いてもエッチング残部の確認は出来なかった。そして、一般的な工程内で起こりうる製造バラツキを反映して、製品歩留まりは80%であった。また、自動検査装置(AOI)によるポリイミド樹脂フィルム層の光透過性に関しての問題はなかった。
更に、このCOFテープの耐折特性を調べるため、実施例1と同様にして、その結果、R(0.5mm)の場合で、平均屈曲回数は29回であった。また、実施例1と同様にして測定した、引張り強さは22kgf/mm、伸び率が7%であった。
[比較例2]
電解銅箔の製造: この比較例では、硫酸系銅電解液として、硫酸銅溶液であって、銅濃度80g/l、フリー硫酸140g/l、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド濃度4ppm(センカ(株)製ユニセンスFPA100Lを使用)、塩素濃度15ppm、液温50℃の溶液を用いて、電流密度60A/dmで電解し、12μm厚さの電解銅箔を得た。この電解銅箔の片面は、チタン製電極の表面形状の転写した光沢面(Ra=1.02μm)であり、他面側の析出面の粗度はRzjis=3.6μm,Ra=0.55μm、光沢度[Gs(60°)]0.7、常態引張り強さ40.5kgf/mm、加熱後引張り強さ39.5kgf/mm、常態伸び率3.6%、加熱後伸び率4.4%であった。
その後、実施例1と同様にして粗化処理及び防錆処理を施した電解銅箔とした。この表面処理後の粗化処理した面の粗度は、Rzjis=8.2μmであった。
以下、実施例1と同様にしてフレキシブル銅張積層板を製造し、回路パターン形成を行い、電子部品実装用フィルムキャリアテープ(COFテープ)を得た。
COFテープの評価結果: この比較例で得られた電子部品実装用フィルムキャリアテープ(COFテープ)の評価を行った。その結果、いずれの製品に於いてもエッチングが良好に行えておらず、回路幅のバラツキが大きく製品化可能なレベルでの30μmピッチの回路形成は困難であった。但し、自動検査装置(AOI)によるポリイミド樹脂フィルム層の光透過性に関しての問題はなかった。
更に、このCOFテープの耐折特性を調べるため、実施例1と同様にして、その結果、R(0.5mm)の場合で、平均屈曲回数は13回であった。また、実施例1と同様にして測定した、引張り強さは25kgf/mm、伸び率が5%であった。
[比較例3]
電解銅箔の製造: この比較例では、硫酸系銅電解液として、硫酸銅溶液であって、銅濃度80g/l、フリー硫酸140g/l、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド濃度4ppm(センカ(株)製ユニセンスFPA100Lを使用)、低分子量膠(数平均分子量1560:6ppm)、塩素濃度15ppm、液温50℃の溶液を用いて、電流密度60A/dmで電解し、12μm厚さの電解銅箔を得た。この電解銅箔の片面は、チタン製電極の表面形状の転写した光沢面(Ra=1.02μm)であり、他面側の析出面の粗度はRzjis=3.59μm,Ra=0.54μm、光沢度[Gs(60°)]1.0、常態引張り強さ38.6kgf/mm、加熱後引張り強さ37.4kgf/mm、常態伸び率4.6%、加熱後伸び率4.8%であった。
その後、実施例1と同様にして粗化処理及び防錆処理を施した電解銅箔とした。この表面処理後の粗化処理した面の粗度は、Rzjis=8.0μmであった。
以下、実施例1と同様にしてフレキシブル銅張積層板を製造し、回路パターン形成を行い、電子部品実装用フィルムキャリアテープ(COFテープ)を得た。
COFテープの評価結果: この比較例で得られた電子部品実装用フィルムキャリアテープ(COFテープ)の評価を行った。その結果、いずれの製品に於いてもエッチングが良好に行えておらず、回路幅のバラツキが大きく製品化可能なレベルでの30μmピッチの回路形成は困難であった。但し、自動検査装置(AOI)によるポリイミド樹脂フィルム層の光透過性に関しての問題はなかった。
更に、このCOFテープの耐折特性を調べるため、実施例1と同様にして、その結果、R(0.5mm)の場合で、平均屈曲回数は15回であった。また、実施例1と同様にして測定した、引張り強さは24kgf/mm、伸び率が6%であった。
<実施例と比較例との対比>
以上の実施例及び比較例とを対比する。各比較例と実施例とを対比した結果を以下に示す。
実施例と比較例との対比: 最初に、実施例と比較例とで用いた電解銅箔の差異に関して述べる。実施例と比較例との析出面粗度を対比すると、実施例に記載した本件発明に係る電解銅箔の析出面粗度と、比較例1の電解銅箔の析出面粗度との差は、大きなものではない。そして、粗化処理を施した電解銅箔として比較しても、実施例と比較例1との粗度の差は殆ど無い。即ち、触針式の粗度計を用いて測定したプロファイル(例えば、Rzjis)から判断する限り、比較例1の電解銅箔も極めて良好な低プロファイル化が出来ている。しかしながら、ここで光沢度を見るに、比較例1の光沢度が283であるのに対し、各実施例の光沢度は669という全く異なる値を示している。このことから、比較例1の電解銅箔と比べ、実施例で用いた電解銅箔は、より平坦で鏡面に近い析出面を備えると言える。そして、物性的に見ても、比較例1の電解銅箔と比べ、実施例の各電解銅箔は、より優れた物性を備える事が分かる。
そして、比較例2で用いた電解銅箔は、その製造に用いる銅電解液に3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸が無い場合の効果を見るためのものである。上記結果から分かるように、銅電解液中に3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸を含ませない場合には、電解銅箔の低プロファイル化が達成出来ないことが分かる。そして、光沢度に到っては、ほぼ艶消し状態となるため極めて低くなり、物性面では、伸び率が低くなっていることが分かる。そして、この物性は、電子部品実装用フィルムキャリアテープ製品の製造には全く不向きであることが理解できる。
更に、比較例3は、銅電解液に3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸の代わりに低分子膠を添加した場合の効果を見ている。上記結果から明らかに分かるように、銅電解液中に3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸の代わりに低分子膠を含ませても、電解銅箔の低プロファイル化が達成出来ないことが分かる。そして、光沢度に到っては、ほぼ艶消し状態となるため極めて低くなり、物性面では、伸び率が低くなっていることが分かる。
以上のようにフレキシブル銅張積層板の製造に用いる電解銅箔の差により、フレキシブルプリント配線板に加工したときの回路のエッチング性、回路の伸び率、耐折性が顕著に異なることが、実施例と比較例との対比より明らかとなる。最初に、実施例同士を比較してみると、実施例1は粗化処理を施した電解銅箔で2層フレキシブル銅張積層板を製造している。実施例2は、粗化処理を省略した電解銅箔で2層フレキシブル銅張積層板を製造している。実施例1と実施例2とを対比すると、粗化処理を省略した実施例2の方がCOFテープ製造歩留まりが高く、僅かであるが耐折性も良くなっている。
そして、各比較例に関するCOFテープ等の製造歩留まりを見るに、各実施例以下の製造歩留まりを示し、35μmピッチ以下のファインピッチ回路の形成能力が、実施例と比べると劣ることが分かる。特に、比較例2及び比較例3に到っては、工業的に採算の取れる生産性を発揮できないことが分かる。
本件発明に係るフレキシブル銅張積層板は、その導電層の構成に、従来市場に供給されてきた低プロファイル電解銅箔に比べ、更に低プロファイルで、且つ、高強度の機械的物性を備えた電解銅箔を適用した点に特徴を有する。その電解銅箔は、その析出面に粗化処理及び防錆処理を施した場合でも、従来に無いレベルの低プロファイルの表面処理銅箔となり、樹脂フィルム等のベースフィルムとの良好な密着性の制御が可能となる。従って、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板は、35μm以下の回路ピッチを備えるテープ オートメーティド ボンディング基板(3層TABテープ)やチップ オン フィルム基板(COFテープ)のファインピッチ回路の形成に好適である。また、本件発明に係るフレキシブル銅張積層板で用いる電解銅箔は、その粗面の粗さが光沢面の粗さ以下となり、両面共に光沢のある平滑面を備えうる。従って、耐折試験を行った場合にも、良好な特性を示すことが創造でき、使用の場において折り曲げた状態で使用するフレキシブルプリント配線板等の分野で有用である。
試験用COFテープ試料の形状を表す模式図である。 MIT耐折試験器の構成概要を示す模式図である。
符号の説明
1 試験用COFテープ
2 ポリイミド樹脂基材
3 端子部
4 櫛形回路
5 ソルダーレジスト
10 MIT耐折試験器
11 ブランジャ
12 試料固定部
14 導線
15 折り曲げ装置取付台
16 折り曲げ装置16
17 スリット

Claims (13)

  1. 樹脂フィルムと電解銅箔とで積層状態に構成したフレキシブル銅張積層板において、
    前記電解銅箔の析出面が、表面粗さ(Rzjis)が1.5μm以下で、且つ、光沢度(Gs(60°))が400以上の低プロファイル光沢表面で、その析出面と樹脂フィルムとを張り合わせたことを特徴とするフレキシブル銅張積層板。
  2. 前記電解銅箔は、常態引張り強さが33kgf/mm以上、加熱後(180℃×60分、大気雰囲気)引張り強さが30kgf/mm以上であるものを用いた請求項1に記載のフレキシブル銅張積層板。
  3. 前記電解銅箔は、常態の伸び率が5%以上、加熱後(180℃×60分、大気雰囲気)の伸び率が8%以上であるものを用いた請求項1又は請求項2に記載のフレキシブル銅張積層板。
  4. 前記電解銅箔は、硫酸系銅電解液中に4級アンモニウム塩ポリマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロライドを含有させて電解することにより得られるものを用いた請求項1〜請求項3のいずれかに記載のフレキシブル銅張積層板。
  5. 前記電解銅箔は、その析出面に粗化処理、防錆処理、シランカップリング剤処理のいずれか一種又は二種以上の表面処理を行ったものを用いた請求項1〜請求項4のいずれかに記載のフレキシブル銅張積層板。
  6. 前記電解銅箔の表面処理後の析出面の表面粗さ(Rzjis)が、5μm以下の低プロファイルであることを特徴とする請求項5に記載のフレキシブル銅張積層板。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のフレキシブル銅張積層板を用いて得られることを特徴としたフレキシブルプリント配線板。
  8. 請求項7で得られたフレキシブルプリント配線板において、フレキシブルプリント配線板製造プロセスを経た後の電解銅箔の引張り強さが25kgf/mm以上で、且つ、伸び率が10%以上であることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
  9. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のフレキシブル銅張積層板を用いて得られるフレキシブルプリント配線板において、
    形成した回路が35μmピッチ以下のファインピッチ回路を備えることを特徴としたフィルムキャリアテープ。
  10. 請求項9に記載のフィルムキャリアテープにおいて、
    前記回路は、表面粗さ(Rzjis)が1.5μm以下で、且つ、光沢度(Gs(60°))が400以上の電解銅箔の低プロファイル析出面と樹脂フィルムとを積層状態とし、エッチング加工して得られるフィルムキャリアテープ。
  11. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のフレキシブル銅張積層板を用いて得られることを特徴とする半導体装置。
  12. 請求項1に記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法であって、
    電解銅箔の表面粗さ(Rzjis)が1.5μm以下で、且つ、光沢度(Gs(60°))が400以上の低プロファイル光沢表面に対し樹脂フィルム層を形成することを特徴とするフレキシブル銅張積層板の製造方法。
  13. 請求項8又は請求項9に記載のフィルムキャリアテープの製造方法であって、
    電解銅箔の表面粗さ(Rzjis)が1.5μm以下で、且つ、光沢度(Gs(60°))が400以上の低プロファイル光沢表面に対し樹脂フィルム層を形成しテープ状のフレキシブル銅張積層板とし、その後、当該電解銅箔層を回路形状にエッチング加工してフィルムキャリアテープとすることを特徴とするフィルムキャリアテープの製造方法。
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