JP2005159239A - 高周波用銅箔、それを用いた銅張積層板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 片面または両面における面内の長手方向とそれに直交する方向につき、JIS Z 8741で規定する方法4で鏡面光沢度を測定したときに、いずれの方向においても、45度鏡面光沢が250以上である高周波用銅箔。
【選択図】 なし
Description
このファインパターン化にとって重要な問題は、銅箔表面の平滑性を確保しながらも形成された導体回路が絶縁基板から剥離しないように、銅箔と絶縁基板との接着性を高めることである。
その場合、銅箔の粗化面の粗度(凹凸の程度)が大きければ大きいほどアンカー効果は有効に発現する。しかしながら、導体回路のファインパターン化の実現という問題との関係では、銅箔表面の粗度が大きいことは、逆に、導体回路のファインパターン化を阻害することになる。
例えば、銅箔として電解銅箔を用い、その表面にコブ付け処理を行って銅電着物を結成することにより、表面粗度(Rz)を1.5〜2.0μmにした銅箔である(特許文献1を参照)。
一方、現在、携帯電話の小型化・多機能化が急速に進み、またパソコンを中心としたネットワークシステムの構築が進められているが、それは、導体回路のファインパターン化という問題と並んで、短時間で大容量の情報を伝送することを促進している。
しかしながら、導体回路に高周波信号が流れると、その周波数が高くなればなるほど、導体の表層部に電流分布が集中して、電流密度は導体の表面から深い位置ほど小さくなるという表皮効果が発現する。
なお、電流密度が表面の値の1/e(eは自然対数)となるまでの深さをスキンデプス(skin depth)と呼んでおり、このスキンデプスは信号が高周波数化すればするほど小さい値になる。
このような問題に対処することを目的として、例えば導体回路の粗化面における凹凸の頂角を大きくすることにより、表面の凹凸をなだらかにし、それを表面長さ率というファクタを用いて特定した銅箔が提案されている(特許文献2を参照)。
したがって、銅箔の製造・出荷に際しては、上記したような表面凹凸となるように、当該銅箔の製造・管理をすることが要求される。
しかしながら、実際の銅箔の表面凹凸は3次元形状をしているので、2次元の直線上で測定される上記した指標は、3次元形状をしている凹凸の状態を正しく表現しているか否かという点で信頼性に欠けるという問題がある。
したがって、上記した指標が適正な値として計測された銅箔であったとしても、その銅箔が、実際に、絶縁基板との良好な接着性と高周波信号の伝送損失の増大の抑制機能を両立させる銅箔であるのか否かということは不明確である。
また、本発明においては、前記銅箔1の前記片面または両面に、粒径0.1〜7μmの銅粒子が付与されていることを特徴とする高周波用銅箔(以下、銅箔2という)が提供され、更に、前記銅箔1の前記片面または両面に、銅酸化物の皮膜が形成されていることを特徴とする高周波用銅箔(以下、銅箔3という)が提供される。
45度鏡面光沢の値が小さいということは、光沢度の測定時に入射した光束の散乱が大きくなって、受光器で測定される光量が少ないということ、すなわち、銅箔の表面は大きな光束散乱を起こすほどに3次元形状の凹凸が大きく存在しているということである。
圧延銅箔の場合は、厚みが100μm程度の例えばC1100(タフピッチ銅)の銅条を冷間圧延して例えば厚み9〜35μmの銅箔として製造される。
なお、本発明では、このような圧延銅箔の製造時における圧延方向を銅箔の長手方向と呼ぶ。
すなわち、得られた銅箔の表面の任意箇所で、長手方向(圧延方向)とそれに直交する方向(銅箔の幅方向)につき、JIS Z 8741で規定する方法4に基づいて鏡面光沢度を測定したときに、長手方向、幅方向のいずれの方向においても、45度鏡面光沢(Gs45°)が250以上となるように、圧下率や圧延速度が制御される。
電解銅箔の場合は、電解めっき液として硫酸銅と硫酸の混合溶液を用い、これに銅析出形状を整えるために例えばにかわやゼラチンのような添加剤を適量添加し、チタンまたはステンレス鋼の回転ドラムをカソードとし、対極に鉛や酸化イリジウムで被覆したチタンから成る不溶性アノードを用い、両極間に直流電流を通電することにより、一定厚みの電解銅箔を連続的に製造することができる。
なお、電解銅箔の析出面(M面)は、上記した添加剤を適宜選択して析出銅の形状を調整することにより、その表面凹凸を極小にすることができる。すなわち、S面の表面凹凸を小さくすることにより、M面の表面凹凸も小さくすることが可能である。
なお、本発明では、得られた電解銅箔において、回転ドラムの回転方向を銅箔の長手方向という。
このようにして、本発明の銅箔1が製造されるが、この銅箔1の表面(片面または両面)は、その長手方向とそれに直交する方向のいずれにおいても、Gs45°値が250以上の光沢度になっている。
本発明の銅箔2は、銅箔1の表面に銅粒子を一層ないしは層状に付与することにより、絶縁基板との接着性を銅箔1に比べて高めた銅箔である。
銅箔表面へのこの銅粒子の付与は、例えば次のようにして実施される。
銅箔3は、銅箔1の表層部を銅酸化物から成る皮膜に化成することにより、その皮膜の働きで絶縁基板との接着性を高めた銅箔である。
この銅箔3の場合、銅箔2が銅粒子の付与で接着性を高めているのに対し、銅箔1の表面凹凸を変化させることなく、その表層部を銅酸化物に転化して形成した酸化皮膜で接着性を高めているので、高周波信号の伝送損失の増大の抑制効果は銅箔1の場合と略同等になる。
本発明の銅張積層板は、上記した銅箔1、銅箔2、銅箔3を、例えば、Bステージ状態にある低誘電率のガラス繊維−エポキシ樹脂から成る絶縁基板と重ね合わせたのち全体を熱圧プレスして製造されたものである。
1.銅箔の製造
圧下率と圧延速度を変化させてC1100(タフピッチ銅)を冷間圧延し、寸法形状は長さ540mm、幅540mm、厚み35μmであり、両面のGs45°値は表1で示した値になっている各種の圧延銅箔を用意した。
これらの銅箔に対しては、表1で示したように、次のような表面処理を行った。なお、圧延銅箔の場合は、表面処理に先立ち、エタノールを用いて脱脂処理を施した。
皮膜形成:銅箔の片面をマスキングした状態にして、NaClO2 50g/dm3、Na3PO4 10g/dm3、NaOH 15g/dm3の混合溶液(液温90℃)の中に銅箔を3分間浸漬した。
(1)絶縁基板との接着性
次のようにしてピール強度を測定した。
上記したようにして銅粒子を付与した圧延銅箔(540mm×540mm×35μm)を2枚用意し、MCL−LX67(商品名、日立化成(株)製のプリプレグ)の上・下に圧延銅箔を重ねた。このとき、銅箔の表面処理剤をプリプレグと合わせるようにした。
得られた銅張積層板から、幅10mmの試験片を切り出し、その引き剥がし強さ(kN/m)をピール試験器で測定した。測定温度は25℃とした。
表面処理が施された各銅箔(厚みはいずれも35μm)を幅120μmの短冊状に切り出して銅箔試料とし、それを、図1で示したように、低誘電率のガラス繊維−エポキシ樹脂から成る2枚のプリプレグ材で挟み込み、更に、各プリプレグ材の表面に厚み35μmの銅箔を配置し、全体を熱圧プレスして、厚み280μmの絶縁層の厚み中心位置に銅箔試料が埋め込まれているストリップラインを製造した。ライン長は1mとした。このストリップラインの特性インピーダンスは50Ωになっている。
以上の結果を一括して表1に示した。
(1)実施例1〜7の群と比較例1〜3の群を対比して明らかなように、圧延銅箔と電解銅箔のいずれにおいても、45度鏡面光沢が250以上になっている実施例銅箔は、それを満たしていない比較例銅箔に比べると、伝送損失が小さい。しかも、高周波域にいくほど小さくなっている。また、比較例3の場合、ピール強度は高くなっているが、高周波域での伝送損失は大幅に増大している。
(2)また、実施例1〜7において、表面処理に関しては、酸化銅皮膜を形成した銅箔と銅粒子を付与した銅箔を比較すると、前者は伝送損失を低減させているがピール強度は、実用強度を維持しているものの、やや低く、逆に後者はピール強度は高いが伝送損失は前者ほど低減していない。
(3)銅粒子を付与する場合、比較例4から明らかなように粒子径が8μmになると、銅箔の45度鏡面光沢は250以上になっていても、ピール強度は高くなるとはいえ伝送損失は大幅に増大する。このようなことから、銅粒子の粒径は7μm以下にすべきである。
したがって、この銅箔は、最近の高周波信号で駆動する各種の電気・電子機器に組み込まれるプリント配線板用の銅箔として工業的価値は大である。
Claims (4)
- 片面または両面における面内の長手方向とそれに直交する方向につき、JIS Z 8741で規定する方法4で鏡面光沢度を測定したときに、いずれの方向においても、45度鏡面光沢が250以上であることを特徴とする高周波用銅箔。
- 請求項1の高周波用銅箔の前記片面または両面に、粒径0.1〜7μmの銅粒子が付与されていることを特徴とする高周波用銅箔。
- 請求項1の高周波用銅箔の前記片面または両面に、銅酸化物の皮膜が形成されていることを特徴とする高周波用銅箔。
- 請求項2または3の高周波用銅箔の前記片面または両面に、絶縁基板が接着されていることを特徴とする銅張積層板。
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