JP2007131816A - ガスバリア材及び包装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスバリア性および耐熱水性に優れ、塗膜を低温短時間で硬化することができ、生産性にも優れたガスバリア材を提供することである。
【解決手段】ポリマー間の架橋部位にアミドエステル結合を有するポリカルボン酸系ポリマーであって、カーブフィッティング法により分離した、赤外吸収スペクトルにおける2931cm−1の吸光度に対する1411cm−1の吸光度の比が4.00以上であることを特徴とするガスバリア材。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマー間の架橋部位にアミドエステル結合を有するポリカルボン酸系ポリマーから成るガスバリア材に関するものであり、より詳細には、優れたガスバリア性、耐熱水性及び可撓性を有するガスバリア材及びかかるガスバリア材を用いて成る包装材に関する。
従来より、ガスバリア性樹脂としては種々のものが使用されており、特にポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、エチレンビニルアルコール共重合体等がガスバリア性樹脂として知られている。しかしながら、ポリ塩化ビニリデンやポリアクリロニトリルは、環境の問題からその使用を控える傾向があり、エチレンビニルアルコール共重合体においては、ガスバリア性の湿度依存性が大きく、高湿度条件下ではガスバリア性が低下するという問題があった。
包装材料にガスバリア性を付与する方法としては、基材の表面に無機物を蒸着したフィルムも知られているが、これらのフィルムはコストが非常に高く、しかも蒸着フィルムの可撓性や基材又は他の樹脂層との接着性に劣るという問題を有している。
このような問題を解決するために、基材に、水溶液高分子Aと水溶性または水分散性の高分子Bと、無機系層状化合物から成る被膜を形成したガスバリアフィルム(特許文献1)や、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコール類との混合物から成る成形物層の表面に金属化合物を含む層を塗工して成るガスバリア性フィルム(特許文献2)、或いはポリビニルアルコールとエチレン−マレイン酸共重合体と2価以上の金属化合物を含有するガスバリア性塗料(特許文献3)等が提案されている。
特開平9−151264号公報 特開2000−931号公報 特開2004−115776号公報
上記特許文献1乃至3に記載されたガスバリア材は、高湿度条件下におけるガスバリア性は改善されているとしても、包装材料としての多様な要求に耐え得るものではなく、未だ充分満足し得るものではない。
すなわち上記特許文献1に記載されたガスバリアフィルムにおいては、塗膜中に無機層状化合物が分散されているだけであるため、優れたガスバリア性を得るために無機層状化合物を多量に添加する必要があり、機械的強度が低下するという問題があると共に耐レトルト性にも劣っている。また上記特許文献2に記載されたガスバリア性フィルムでは、塗膜の硬化に高温且つ長時間の熱処理が必要であり、また上記特許文献3に記載されたガスバリア性塗料においても、短時間で塗膜の硬化を行う場合には高温で熱処理することが必要であり、特許文献2及び3に記載されたガスバリア材においてはプラスチック基体への影響が大きいと共に生産性の点で問題がある。
従って本発明の目的は、上述したような問題を生じることなく、ガスバリア性、耐熱水性、可撓性に優れ、塗膜を低温短時間で硬化することができ、生産性にも優れたガスバリア材を提供することである。
また本発明の他の目的は、上記ガスバリア材を用いてなる包装材を提供することである。
本発明によれば、ポリマー間の架橋部位にアミドエステル結合を有するポリカルボン酸系ポリマーであって、カーブフィッティング法により分離した、赤外吸収スペクトルにおける2931cm−1の吸光度に対する1411cm−1の吸光度の比が4.00以上であることを特徴とするガスバリア材が提供される。
本発明の上記ガスバリア材においては、架橋部位にアミドエステル結合が2個形成されていることが好適である。
本発明によればまた、上記ガスバリア材を多価金属化合物を含有する水で処理することにより、未反応カルボキシル基間に金属イオン架橋が形成されていることを特徴とするガスバリア材が提供される。
本発明によれば更に、上記ガスバリア材から成る層を、樹脂フィルムの表面或いは層間に備えて成ることを特徴とする包装材が提供される。
本発明の上記包装材においては、上記ガスバリア材から成る層が、アンカー層を介してプラスチック基体の表面或いは少なくとも一方の面がアンカー層を介してプラスチックの層間に設けられていることが好適である。
本発明のガスバリア材によれば、優れたガスバリア性及び耐熱水性を有し、レトルト殺菌のような高温湿熱条件下におかれた後も優れたガスバリア性を達成でき、耐レトルト性をも付与することが可能となる。
また本発明のガスバリア材においては、低温短時間の加熱で容易に架橋構造を形成することができるため、プラスチック基体に悪影響を与えることなく且つ生産性よく、優れたガスバリア材を形成することが可能となる。
更に本発明のガスバリア材は可撓性にも優れているため、可撓性の包装材に使用しても問題になるようなガスバリア材の損傷によるガスバリア性の低下がないと共に、プラスチック基材上に形成して多層予備成形体として更に加工を付すこともできる。
更にポリカルボン酸系ポリマー及び特定の官能基を有する架橋剤による架橋形成後未反応で残存するカルボキシル基間に金属イオン架橋構造を導入することにより、高湿度条件下におけるガスバリア性を顕著に改善することも可能となる。
本発明のガスバリア材は、ポリマー間の架橋部位にアミドエステル結合を有するポリカルボン酸系ポリマーであって、カーブフィッティング法により分離した、赤外吸収スペクトルにおける2931cm−1の吸光度に対する1411cm−1の吸光度の比が4.00以上であることが重要な特徴である。
下記式(1)に示すように、ポリマー間の架橋部位にアミドエステル結合を有するポリカルボン酸系ポリマーは、ポリカルボン酸系ポリマーのカルボキシル基と架橋剤が反応して、架橋部分にアミドエステル結合が形成された架橋塗膜として形成されるものであり、かかる架橋塗膜は優れたガスバリア性を呈するものであるが、本発明においては、かかる塗膜中に形成されるアミドエステル結合部位における架橋構造の拘束力が耐熱水性に関与すること、およびその拘束力は前項に記載した吸光度比と関係があることを見出した。すなわち前項に記載した吸光度比が4.00以上であることにより、優れた耐熱水性が得られることを見出したのである。
Figure 2007131816
赤外吸収スペクトルの測定には、フーリエ変換赤外分光光度計(Digilab社製 FTS7000series)を使用し、ゲルマニウムプリズムを用いた1回反射法により、4000〜700cm−1の波数領域で行った。2931cm−1及び1411cm−1の吸光度は、2931cm−1では3700cm−1付近と2200cm−1付近の最小値を結んだ線、1411cm−1では1815cm−1付近と700cm−1付近の最小値を結んだ線をベースラインとして、当該波数のピーク高さから算出している。脂肪族飽和炭化水素のメチレン基伸縮振動は、一般に2960cm−1〜2850cm−1の波数領域に特性吸収が存在する。本発明のガスバリア材の吸収スペクトルにおいては、2931cm−1のピークがポリマー鎖及びポリマー間の架橋部位に由来するメチレン基伸縮振動である。2931cm−1における当該ピークは、メチレン基伸縮振動の他にカルボキシル基の伸縮振動など複数の特性吸収帯であるため、従来公知のカーブフィッティング法を用いて2931cm−1におけるピークを分離して、メチレン基伸縮振動のみに由来するピーク高さを算出している。カーブフィッティング法とは、ピーク分離法、ピーク分割法、複数ピークのデコンボリューションなどの名称で知られ、数多くのソフトウェアが存在する。いずれも複数の基本関数の重ね合わせにより、複合したピーク形状を構成要素ごとに分別する技術である。またメチレン基変角振動は、1475cm−1〜1450cm−1の波数領域に特性吸収が存在するとされているが、メチレン基隣りの炭素に極性基乃至ハロゲン元素が存在する場合は、電子密度が隣接する炭素に影響を与えるため1400cm−1近傍までシフトすることが知られている。本発明のガスバリア材の吸収スペクトルにおいては、1411cm−1のピークがポリマー間の架橋部位に由来するメチレン基変角振動である。本発明は、2931cm−1に極大吸収を有するガスバリア材中のポリマー鎖及びポリマー間の架橋部位に由来するメチレン基の吸光度に対して、隣接する原子によってシフトする1411cm−1に極大吸収を有する架橋部分のメチレン基の吸光度を比較することにより、塗膜中に形成されるアミドエステル結合部位における架橋構造の拘束力と耐熱水性の関係を明らかにしたものである。
尚、機器や測定条件で上記ピーク位置は±1〜2程度ずれることがありえるが、本発明で対象となるピークは、ポリマー鎖及びポリマー間の架橋部位に由来するメチレン基伸縮振動及びポリマー間の架橋部位に由来するメチレン基変角振動である。
本発明のガスバリア材の作用効果は、後述する実施例の結果からも明らかである。すなわち、赤外吸収スペクトルにおける2931cm−1の吸光度に対する1411cm−1の吸光度の比が4.00以上である本発明のガスバリア材は、耐熱水性およびガスバリア性に優れていることが明らかである(実施例1〜11)。これに対して、実施例と同様ポリマー間の架橋部位にアミドエステル結合を有するポリカルボン酸系ポリマーであっても、上記吸光度比が4.00未満であるガスバリア材は、本発明のガスバリア材に比して耐熱水性の点で劣っていることが明らかである(比較例1)。
本発明のポリマー間の架橋部位にアミドエステル結合を有するポリカルボン酸系ポリマーから成るガスバリア材は、少なくとも2個のアミドエステル結合を有することが望ましく、このようなポリカルボン酸系ポリマーが、優れたガスバリア性を示す理由は以下の通りであると考えられる。
i)主成分であるポリマーがポリカルボン酸系ポリマーであるため、側鎖のカルボキシル基が高水素結合性を有し強い凝集力が働くため、優れたガスバリア性を有する基本構造を形成することができる。
ii)架橋部分にガスバリア性に有効な構造であるアミドエステル結合が形成されていること。
iii)架橋剤として、架橋形成に必要最小限の2個の環構造を有するものを用いることにより、架橋点の構造が3次元的に広がり難く、ガスバリア性に優れた緻密な架橋構造を形成することができる。
iv)主成分にポリカルボン酸系ポリマーを用いることにより、架橋に用いられなかった未反応のカルボキシル基を金属イオン架橋させて、高湿度条件下におけるガスバリア性を更に向上させることができ、高湿度条件下においても損なわれることのない優れたガスバリア性を付与することもできる。
また、ポリカルボン酸系ポリマーと架橋剤による架橋は、低温且つ短時間での加熱により形成可能であるため、ガスバリア材を形成すべきプラスチック基体に与える影響も少なく、また生産性にも優れているという利点もある。
更に、上述した架橋に使用されなかった、残余のカルボキシル基を更に金属イオン架橋することによって、高湿度条件下におけるガスバリア性を更に向上させることができ、高湿度条件下においても損なわれることのない優れたガスバリア性を付与することが可能となるのである。
赤外吸収スペクトルにおける2931cm−1の吸光度に対する1411cm−1の吸光度の比が4.00以上のガスバリア材においては、更に多価金属化合物を含有する水で処理し残余の未反応のカルボキシル基の間に金属イオン架橋を形成させた場合においても、上記吸光度の比が4.00未満になるようなことはない。
これは、塗膜中のカルボキシル基の間に金属イオン架橋を形成させることにより、高分子鎖同志および自己の鎖を拘束する方向に進むため、鎖間および自己の鎖内に存在するアミドエステル結合部位における架橋構造の拘束力を更に強固にする方向へ進めることになり、前記(0012)で述べたように上記吸光度比は増大することから明らかである。
[ポリカルボン酸系ポリマー]
本発明のガスバリア材に用いるポリカルボン酸系ポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、アクリル酸−メタクリル酸コポリマー等のカルボキシル基を有するモノマーの単独重合体又は共重合体、及びこれらの部分中和物を挙げることができ、好適には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸を用いることが好ましい。
上記ポリカルボン酸系ポリマーの部分中和物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化金属塩、アンモニア等により部分中和することができる。
上記部分中和物の中和度は、特に限定されないが、カルボキシル基に対するモル比で30%以下であることが好ましい。上記範囲よりも多いとカルボキシル基の水素結合性が低下してガスバリア性が低下する。
ポリカルボン酸系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、5000乃至1500000、特に10000乃至1000000の範囲にあることが好ましい。
[架橋剤]
本発明のガスバリア材において、ポリカルボン酸系ポリマーを架橋するための架橋剤としては、窒素との間に二重結合を形成する炭素にエーテル結合が形成され、該エーテル結合中の酸素を含んで成る環構造(b)、すなわち−N=C−O−基、或いは=C−O−部分を環内に持つエキソイミノ基を有する環構造を2個含有するものであることが特に好適である。
かかる環構造(b)としては、これに限定されないが下記の環構造を例示することができる。
Figure 2007131816
一方、下記式
Figure 2007131816
に示されるような、エーテル結合中の酸素を含まない環構造ではポリカルボン酸系ポリマーとアミドエステル結合を生成する架橋反応が起こらない。また、環構造が1個では架橋することができない。3個以上では架橋点の構造が3次元的に広がり、ガスバリア性に優れた緻密な架橋構造が形成できないため好ましくない。これらのことより、窒素と炭素が二重結合を形成していること、炭素がエーテル結合を形成していること、窒素との間に二重結合を形成する炭素にエーテル結合が形成されていること、それらの条件が単独で存在するだけではなく、窒素との間に二重結合を形成する炭素にエーテル結合が形成され、該エーテル結合中の酸素を含んで成る環構造(b)を2個含有すること、が重要である。
本発明のガスバリア材に用いる架橋剤は、上述したような環構造(b)を2個含有するものであることが好ましく、かかる環構造は同一の環構造が2個でもよいし、異なる環構造の組み合わせであってもよいが、少なくとも1個がオキサゾリン基又はその誘導体であることが好適である。
かかる環構造(b)を2個有する化合物としては、これに限定されないが、例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(5,5’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4,4’,4’−テトラメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−デカメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−3,3’−ジフェノキシエタンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等のビスオキサゾリン類:2,2’−メチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−エチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−プロピレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−ブチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−p−フェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−m−フェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−ナフチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−p・p’−ジフェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)等のビスオキサジン類を例示することができる。
本発明においては、機械的特性及び着色等の点から、ポリカルボン酸系ポリマーと架橋剤により形成される架橋部分が、脂肪族鎖により形成されていることが好適であることから、上記化合物の中でも芳香環を有しないものを好適に使用することができ、中でも2,2’−ビス(2−オキサゾリン)を特に好適に用いることができる。
[ガスバリア材の製造]
本発明のガスバリア材においては、ポリカルボン酸系ポリマー及び架橋剤の配合割合、並びに焼付け温度及び時間を調整することが、上述した赤外吸収スペクトルにおける2931cm−1の吸光度に対する1411cm−1の吸光度の比を4.00以上とする上で重要である。
すなわち、ポリカルボン酸系ポリマー及び架橋剤から成る塗料組成物を加熱硬化させる際に、塗膜を形成する基材や塗膜自体に悪影響を与えることのない100乃至200℃、特に110乃至170℃の温度で、上記吸光度比が4.00以上となるように架橋させるべく、用いるポリカルボン酸系ポリマー及び架橋剤の種類や配合量、及び焼付け温度までの昇温時間、焼付け温度での保持時間を適宜調整することが重要である。
ポリカルボン酸系ポリマー及び架橋剤の配合割合は、ポリカルボン酸系ポリマー100重量部に対して架橋剤は、2乃至60重量部、特に4乃至40重量部の量で含有することが好ましい。
また、上記範囲の焼付け温度における保持時間は、0秒乃至530分間、特に5秒乃至5分間の範囲であることが好ましい。用いる加熱機器により、焼付け温度までの昇温時間等に差異が生じるので、上記範囲内で適宜調整して加熱することが好ましい。
また、乾燥して塗膜から溶媒を蒸発させた後、70乃至140℃の範囲の温度雰囲気下に、10秒乃至7日間の範囲で更に曝露する処理であってもよい。
上記塗料組成物の調製は、ポリカルボン酸系ポリマー及び架橋剤の各成分を水に溶解させてもよいし、或いは各成分の水溶液を混合することによっても調製できる。また水以外にもアルコール等の溶剤、水/アルコール等の混合溶媒を用いることもできる。
また、ポリカルボン酸系ポリマーのカルボキシル基と、架橋剤の環構造(b)の反応を促進するために酸触媒を加えてもよい。酸触媒としては、酢酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、安息香酸、塩酸、パラトルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸等の一価の酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、ポリカルボン酸等の二価以上の酸を挙げることができる。
本発明のガスバリア材は、上記塗料組成物を直接シート状やフィルム状等にしてこれを加熱して架橋構造を形成してガスバリア材とすることもできるし、或いは上記塗料組成物を基体上に塗布したものを加熱して架橋構造を形成した後、基体から取外して単層のガスバリア材とすることもできるし、或いはプラスチック基体上にガスバリア層を形成して、多層のガスバリア材とすることもできる。
架橋構造が形成されたガスバリア材においては、架橋構造の形成に使用されなかった未反応のカルボキシル基が残存していることから、本発明においては更に、未反応で残存するカルボキシル基間に金属イオン架橋を形成させることが特に好ましく、これにより、未反応のカルボキシル基が低減して耐水性が顕著に向上すると共に、ポリカルボン酸系ポリマーの架橋構造に更にイオン架橋構造が導入されるため、より緻密な架橋構造が付与され、特に高湿度条件下におけるガスバリア性を顕著に向上させることが可能となるのである。
金属イオン架橋は、ガスバリア材中の少なくとも酸価100mg/gKOH以上の量に相当するカルボキシル基を金属イオンにより架橋することが好ましく、330mg/gKOH以上であることがより好ましい。
架橋構造が形成されたガスバリア材中の残余の未反応のカルボキシル基の間に金属イオン架橋を形成するには、ガスバリア材を多価金属化合物を含有する水で処理することにより容易に金属イオン架橋構造を形成することができる。
多価金属化合物を含有する水による処理としては、(i)多価金属化合物を含有する水中へのガスバリア材の浸漬処理、(ii)多価金属化合物を含有する水のガスバリア材へのスプレー処理、(iii)(i)乃至(ii)の処理後に高湿度下にガスバリア材を置く雰囲気処理、(iv)多価金属化合物を含有する水でレトルト処理(好ましくは、包材と熱水が直接接触する方法)、等を挙げることができる。
上記処理(iii)は、上記処理(i)〜(ii)後のエージング効果をもたらす処理であり、(i)〜(ii)処理の短時間化を可能にする。上記処理(i)〜(iii)の何れの場合も使用する処理水は冷水でも構わないが、多価金属化合物を含有する水がガスバリア材に作用しやすいように、多価金属化合物を含有する水の温度を20℃以上、特に40乃至100℃の温度とする。処理時間は、(i)〜(ii)の場合は、3秒以上、特に10秒乃至4日程度処理を行うことが好ましく、(iii)の場合は、(i)〜(ii)処理を0.5秒以上、特に1秒乃至1時間程度処理した後、高湿度下にガスバリア材を置く雰囲気処理を1時間以上、特に2時間乃至14日程度処理することが好ましい。上記処理(iv)の場合は、処理温度は101℃以上、特に120乃至140℃の温度であり、1秒以上、特に3秒乃至120分程度処理を行う。
また、多価金属化合物を予め溶解乃至分散させておいたコーティング液から形成したガスバリア材を、水乃至多価金属化合物を含有する水で同様に処理してもよい。
多価金属イオンとしては、前記樹脂が有するカルボキシル基を架橋可能である限り特に制限されず、2価以上、特に2〜3価であることが好ましく、好適にはマグネシウムイオンMg2+、カルシウムイオンCa2+等2価の金属イオンが使用できる。
上記金属イオンとしては、アルカリ土類金属(マグネシウムMg,カルシウムCa、ストロンチウムSr,バリウムBa等)、周期表8族金属(鉄Fe,ルテニウムRu等)、周期表11族金属(銅Cu等)、周期表12族金属(亜鉛Zn等)、周期表13族金属(アルミニウムAl等)等が例示できる。2価金属イオンとしては、マグネシウムイオンMg2+,カルシウムイオンCa2+,ストロンチウムイオンSr2+,バリウムイオンBa2+,銅イオンCu2+,亜鉛イオンZn2+等が例示でき、3価金属イオンとしては、アルミニウムイオンAl3+,鉄イオンFe3+等のイオンが例示できる。上記金属イオンは一種又は二種以上組み合わせて使用できる。上記多価金属イオンのイオン源である水解離性金属化合物としては、上記金属イオンを構成する金属の塩、例えば、ハロゲン化物(例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩化物)、水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、酸化物(例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等)、炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム)、無機酸塩、例えば、過ハロゲン酸塩(例えば、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸カルシウム等の過塩素酸塩等)、硫酸塩、亜硫酸塩(例えば、マグネシウムスルホネート、カルシウムスルホネート等)、硝酸塩(例えば、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム等)、次亜リン酸塩、亜リン酸塩、リン酸塩(例えば、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム等)、有機酸塩、例えば、カルボン酸塩(例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等の酢酸塩等)等が挙げられる。
これらの金属化合物は、単独又は二種以上組み合わせて使用できる。またこれらの化合物のうち、上記金属のハロゲン化物、水酸化物等が好ましい。
多価金属化合物は、水中に金属原子換算で0.125mmol/L以上であることが好ましく、0.5mmol/L以上であることがより好ましく、2.5mmol/L以上であることが更に好ましい。
また何れの処理の場合も、多価金属化合物を含有する水は、中性乃至アルカリ性であることが好ましい。
本発明のガスバリア材には、上記ガスバリア性樹脂の他に、無機分散体を含有することもできる。このような無機分散体は、外部からの水分をブロックし、ガスバリア性樹脂を保護する機能を有し、ガスバリア性や耐水性を更に向上させることができる。
かかる無機分散体は、球状、針状、層状等、形状は問わないが、ガスバリア性樹脂に対して濡れ性を有し、コーティング液中において、良好に分散するものが使用される。特に水分をブロックし得るという見地から、層状結晶構造を有するケイ酸塩化合物、例えば、水膨潤性雲母、クレイ等が好適に使用される。これらの無機分散体は、アスペクト比が30以上5000以下であることが層状に分散させ、水分をブロックするという点で好適である。
無機分散体の含有量はガスバリア性樹脂100重量部に対し、5乃至100重量部の量で含有していることが好ましい。
本発明のガスバリア材は、レトルト用包材として充分なガスバリア性能を有しており、レトルト後においても酸素透過量が10cc/m/day/atm(25℃−80%RHの環境下)以下という優れたガスバリア性及び耐熱水性を有している。
(包装材)
本発明の包装材は、上記ガスバリア材がプラスチック基体表面或いは、プラスチックの層間に形成されて成るものである。
プラスチック基体としては、熱成形可能な熱可塑性樹脂から、押出成形、射出成形、ブロー成形、延伸ブロー成形或いはプレス成形等の手段で製造された、フィルム、シート、或いはボトル状、カップ状、トレイ状、缶形状等の任意の包装材を挙げることができる
プラスチック基体を構成する樹脂の適当な例は、低−、中−或いは高−密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−共重合体、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のオレフィン系共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、メタキシリレンアジパミド等のポリアミド;ポリスチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系共重合体;ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート・エチルアクリレート共重合体等のアクリル系共重合体;ポリカーボネート等である。
これらの熱可塑性樹脂は単独で使用しても或いは2種以上のブレンド物の形で存在していてもよい、またプラスチック基体は、単層の構成でも、或いは例えば同時溶融押出しや、その他のラミネーションによる2層以上の積層構成であってもよい。
勿論、前記の溶融成形可能な熱可塑性樹脂には、所望に応じて顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等の添加剤の1種或いは2種類以上を樹脂100重量部当りに合計量として0.001部乃至5.0部の範囲内で添加することもできる。
また、例えば、この容器を補強するために、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維、カーボン繊維、パルプ、コットン・リンター等の繊維補強材、或いはカーボンブラック、ホワイトカーボン等の粉末補強材、或いはガラスフレーク、アルミフレーク等のフレーク状補強材の1種類或いは2種類以上を、前記熱可塑性樹脂100重量部当り合計量として2乃至150重量部の量で配合でき、更に増量の目的で、重質乃至軟質の炭酸カルシウム、雲母、滑石、カオリン、石膏、クレイ、硫酸バリウム、アルミナ粉、シリカ粉、炭酸マグネシウム等の1種類或いは2種類以上を前記熱可塑性樹脂100重量部当り合計量として5乃至100重量部の量でそれ自体公知の処方に従って配合しても何ら差支えない。
さらに、ガスバリア性の向上を目指して、鱗片状の無機微粉末、例えば水膨潤性雲母、クレイ等を前記熱可塑性樹脂100重量部当り合計量として5乃至100重量部の量でそれ自体公知の処方に従って配合しても何ら差支えない。
本発明によれば、最終フィルム、シート、或いは容器の表面に前述したガスバリア材を設けることもできるし、容器に成形するための予備成形物にこの被覆を予め設けることもできる。このような予備成形体としては、二軸延伸ブロー成形のための有底又は無底の筒状パリソン、プラスチック罐成形のためのパイプ、真空成形、圧空成形、プラグアシスト成形のためのシート、或いはヒートシール蓋、製袋のためのフィルム等を挙げることができる。
本発明の包装材において、ガスバリア材は一般に0.1乃至10μm、特に0.5乃至5μmの厚みを有することが好ましい。この厚みが前記範囲を下回ると酸素バリア性が不十分となる場合があり、一方この厚みが前記範囲を上回っても、格別の利点がなく、包装材のコストの点では不利となる傾向がある。勿論、このガスバリア材は単一の層として、容器の内面、容器の外面、及び積層体の中間層として設けることができ、また複数の層として、容器の内外面、或いは容器の内外面の少なくとも一方と積層体の中間層として設けることができる。
被覆予備成形体から最終容器への成形は、二軸延伸ブロー成形、プラグアシスト成形等のそれ自体公知の条件により行うことができる。また、コーティング層を設けたフィルム乃至シートを他のフィルム乃至シートと貼り合わせて、積層体を形成し、この積層体をヒートシール蓋、パウチや、容器成形用の予備成形体として用いることもできる。
(アンカー層)
本発明のガスバリア材を包装材として用いる場合に、ガスバリア材から成る層の少なくとも片面に、アンカー層を設けることが好ましく、これにより層間の密着性を更に高めることができ、容器の機械的強度や積層体の可撓性をより高めることが可能となる。ガスバリア材から成る層を容器の内外面、或いは積層体の最表層に用いる場合は、アンカー層を介してガスバリア材から成る層を形成すれば良く、積層体の中間層に用いる場合は、ガスバリア材から成る層の少なくとも片面にアンカー層を形成すれば良い。
本発明の包装材において、アンカー材は、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系、ポリエステル系等種々のポリマーから形成され得る。特にウレタン系ポリマーを含有することが好ましい。
また、アンカー材は主剤と硬化剤から構成されていても良く、硬化反応が完了していない状態の前駆体であっても、或いは硬化剤が過剰に存在している状態であっても良い。例えばウレタン系の場合、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール等のポリオール成分とポリイソシアネート成分から主に構成されており、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基数がポリオール成分中の水酸基数よりも過剰になるようにポリイソシアネート成分が存在していても良い。
ウレタン系ポリマー形成に使用されるポリオール成分としては、ポリエステルポリオールが好ましい。ポリエステルポリオールとしては、多価カルボン酸もしくはそれらのジアルキルエステルまたはそれらの混合物と、グリコール類もしくはそれらの混合物とを反応させて得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
多価カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸,シクロヘキサンジカルボン酸の脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。
グリコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオールなどが挙げられる。
前記ポリエステルポリオールのガラス転移温度は、−50℃乃至100℃が好ましく、−20℃乃至80℃がより好ましい。また、これらのポリエステルポリオールの数平均分子量は1000乃至10万が好ましく、3000乃至8万がより好ましい。
ウレタン系ポリマー形成に使用されるポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フエニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジ イソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、4−シクロヘキシレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、 上記ポリイソシアネート単量体から誘導されたイソシアヌレート、ビューレット、アロファネート等の多官能ポリイソシアネート化合物、あるいはトリメチロールプロパン、グリセリン等の3官能以上のポリオール化合物との反応により得られる末端イソシアネート基含有の多官能ポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。
本発明の包装材において、アンカー層はこれに限定されないが、例えば、上述したポリエステルポリオール100重量部に対してポリイソシアネートを、1乃至100重量部、特に5乃至80重量部の量で含有して成る塗料組成物を、用いるポリエステルポリオールやポリイソシアネートの種類や、或いは塗料組成物の塗工量にもよるが、60乃至170℃の温度で、2秒乃至5分間加熱することにより製造することができる。
上記塗料組成物の調製は、ポリエステルポリオール及びポリイソシアネートの各成分を、トルエン、MEK、シクロヘキサノン、ソルベッソ、イソホロン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶剤の単独或いは混合液に溶解させてもよいし、或いは各成分の溶液を混合することによっても調製できる。上記成分の外に、公知である硬化促進触媒,充填剤、軟化剤、老化防止剤、安定剤、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、無機フィラー、粘着付与性樹脂、繊維類、顔料等の着色剤、可使用時間延長剤等を使用することもできる。
アンカー層の厚みは、0.01乃至10μmであることが好ましく、0.05乃至5μmであることがより好ましく、0.1乃至3μmであることが更に好ましい。この厚みが前記範囲を下回ると、密着性におけるアンカー層の効果が発現しなくなる場合があり、一方この厚みが前記範囲を上回っても、格別の利点がなく、包装材のコストの点では不利となる傾向がある。
本発明を次の実施例により更に説明するが、本発明は次の例により何らかの制限を受けるものではない。
(酸素透過量)
得られたガスバリア材の酸素透過量を、酸素透過量測定装置(Modeern Control社製、OX−TRAN2/20)を用いて測定した。測定条件は環境温度25℃、相対湿度80%である。
(耐熱水性)
得られたガスバリア材の耐熱水性の評価は、50℃の水に30分間ガスバリア材を浸し、ガスバリア材の膜厚変化が処理前後で変化しなかった場合を耐熱性有りとする。
(実施例1)
ポリエステル(バイロン(東洋紡績(株)登録商標)200、Mn=17000、ポリオール系、Tg=67℃)を酢酸エチル/MEK=65/35混合溶媒に溶解したものにポリエステル60重量部に対して40重量部のポリイソシアネート(住友バイエルウレタン(株)製商品名、スミジュール
N3300)とポリエステル60重量部に対して0.5重量部の酸触媒(和光純薬工業(株)製商品名、ジラウリン酸ジブチル錫)を混合し、酢酸エチル/MEK=65/35混合溶媒にて調整し固形分約14.2重量%のアンカー層形成用コーティング液(I)を得た。
ポリカルボン酸系ポリマーとしてポリアクリル酸(和光純薬製、25%水溶液)を用い、これを減圧下で乾固させた後、メタノールに溶解して固形分21.5%の(メタノール/水)溶液(a)とした。溶媒組成は、重量比でメタノール/水=95.5/4.5である。一方カルボキシル基間の架橋剤として2,2’−ビス(2−オキサゾリン)(東京化成製)を用い、これを、メタノールに溶解し、固形分5%の溶液(b)とした。架橋剤がポリカルボン酸系ポリマーに対して10重量%になるように溶液(a)及び(b)を混合し、更にメタノールを添加して固形分が15%になるように調製した上でよく撹拌し、コーティング液(II)とした。
上記コーティング液(I)をバーコーターにより、厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(i)に塗布した。塗布後の上記フィルムを電気オーブンにより、ピーク温度80℃、ピーク温度保持時間0秒の条件で熱処理し、厚み0.5μmのアンカー層(ii)を有するポリエチレンテレフタレートフィルムとした。さらに当該アンカー層(ii)の上に、コーティング液(II)をバーコーターにより塗布した後、電気オーブンによりピーク温度140℃、ピーク温度保持時間180秒の条件で熱処理し、厚み2μmのコーティング層(iii)を形成し、図1に示すようなコーティングフィルム(iv)を得た。
50℃に暖めた水道水に、水道水1Lに対して塩化カルシウムを金属原子換算で3.75mmol添加し、上記フィルム(iv)を1日浸漬処理した。湯中から取り出し乾燥後、25℃80%R.H.の条件下で酸素透過量を測定した。
(実施例2)
実施例1において、架橋剤2,2’−ビス(2−オキサゾリン)がポリカルボン酸系ポリマーに対して5重量%になるように溶液(a)及び(b)を混合する以外は実施例1と同様の方法でガスバリア材を得た。
(実施例3)
実施例1において、架橋剤2,2’−ビス(2−オキサゾリン)がポリカルボン酸系ポリマーに対して20重量%になるように溶液(a)及び(b)を混合する以外は実施例1と同様の方法でガスバリア材を得た。
(実施例4)
実施例1において、コーティング層(iii)を厚み1μmにする以外は実施例1と同様の方法でガスバリア材を得た。
(実施例5)
実施例1において、コーティング層(iii)を形成する際、電気オーブン内の温度が160℃に到達すると同時に、コーティングフィルムをオーブンから取り出して熱処理する以外は実施例1と同様の方法でガスバリア材を得た。
(実施例6)
実施例1において、コーティング層(iii)を形成する際、電気オーブンによりピーク温度120℃、ピーク温度保持時間1080秒の条件で熱処理する以外は実施例1と同様の方法でガスバリア材を得た。
(実施例7)
実施例1において、電気オーブンの代わりガスオーブンを使用する以外は実施例1と同様の方法でガスバリア材を得た。
(実施例8)
実施例1において、コーティング層(iii)を形成する際、電気オーブンによりピーク温度140℃、ピーク温度保持時間120秒の条件で熱処理する以外は実施例1と同様の方法でガスバリア材を得た。
(実施例9)
実施例1において、コーティング層(iii)を形成する際、電気オーブン内の温度が150℃に到達すると同時に、コーティングフィルムをオーブンから取り出して熱処理する以外は実施例1と同様の方法でガスバリア材を得た。
(実施例10)
実施例1において、アンカー層(ii)を設けずに2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(i)にコーティング層(iii)を形成する以外は実施例1と同様の方法でガスバリア材を得た。
(実施例11)
実施例1において、浸漬処理を行わないこと、及び25℃60%R.H.の条件下で酸素透過量を測定すること以外は実施例1と同様の方法で処理した。
(比較例1)
実施例1において、コーティング層(iii)を形成する際、電気オーブン内の温度が140℃に到達すると同時に、コーティングフィルムをオーブンから取り出して熱処理すること、浸漬処理を行わないこと、及び25℃60%R.H.の条件下で酸素透過量を測定すること以外は実施例1と同様の方法で処理した。
上記実施例及び比較例で得られたガスバリア材の熱処理後の赤外吸収スペクトルにおける2931cm−1の吸光度に対する1411cm−1の吸光度の比および酸素透過量を表1に示す。
Figure 2007131816
実施例1で作製したガスバリア材の断面構造を示す図である。
符号の説明
i:厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
ii:厚み0.5μmのアンカー層
iii:厚み2μmのコーティング層
iv:ガスバリア材

Claims (5)

  1. ポリマー間の架橋部位にアミドエステル結合を有するポリカルボン酸系ポリマーであって、カーブフィッティング法により分離した、赤外吸収スペクトルにおける2931cm−1の吸光度に対する1411cm−1の吸光度の比が4.00以上であることを特徴とするガスバリア材。
  2. 前記架橋部位にアミドエステル結合が2個形成されている請求項1記載のガスバリア材。
  3. 請求項1又は2記載のガスバリア材を多価金属化合物を含有する水で処理することにより、未反応カルボキシル基間に金属イオン架橋が形成されていることを特徴とするガスバリア材。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載のガスバリア材から成る層を、プラスチック基体の表面或いはプラスチックの層間に備えて成ることを特徴とする包装材。
  5. 前記ガスバリア材から成る層が、アンカー層を介してプラスチック基体の表面或いは少なくとも一方の面がアンカー層を介してプラスチックの層間に設けられている請求項4記載の包装材。
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