JP2018167505A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】無機薄膜層を備えたガスバリア性積層フィルムとした際に、良好なバリア性・耐水接着性かつ十分な手切れ性を有し、しかも製造が容易で経済性にも優れた積層フィルムを提供することを課題として掲げた。【解決手段】ポリアミド基材フィルムの少なくとも片面に、被覆層、無機薄膜層および保護層が、他の層を介して又は介さずにこの順に積層されてなる積層フィルムであって、前記被覆層はポリエステル樹脂を含んでおり、前記保護層はメタキシリレン基を含有するウレタン樹脂を含有し、ヒートシール性樹脂層前記積層フィルムと直鎖状低密度ポリエチレンフィルムをポリウレタン系接着剤を介してラミネートしたラミネート積層体を水中に10秒間浸漬後、水中より取り出して引張り試験機にて5mm引裂いたときの試験力(P1)および30mm引裂いたときの試験力(P2)が以下の式[1]を満たすことを特徴とする積層フィルム。【数1】【選択図】なし

Description

本発明は、食品、医薬品、工業製品等の包装分野に用いられる積層フィルムに関する。詳しくは、基材フィルム、被覆層、無機薄膜層、及び保護層を備えた積層フィルムであって、良好なガスバリア性と耐水密着性(ラミネート強度)、手切れ性を発現させうる積層フィルムに関する。
食品、医薬品等に用いられる包装材料は、蛋白質、油脂の酸化抑制、味、鮮度の保持、医薬品の効能維持のために、酸素や水蒸気などのガスを遮断する性質、すなわちガスバリア性を備えることが求められている。また、太陽電池や有機EL等の電子デバイスや電子部品等に使用されるガスバリア性材料は、食品等の包装材料以上に高いガスバリア性を必要とする。
従来、水蒸気や酸素などの各種ガスの遮断を必要とする食品用途においては、プラスチックからなる基材フィルムの表面に、アルミニウム等からなる金属薄膜、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機酸化物からなる無機薄膜を形成したガスバリア性積層体が、一般的に用いられている。中でも、酸化ケイ素や酸化アルミニウム、これらの混合物などの無機酸化物の薄膜(無機薄膜層)を形成したものは、透明であり内容物の確認が可能であることから、広く使用されている。
しかしながら、上記のガスバリア性積層体は、形成工程において局部的に高温となりやすいため、基材に損傷が生じたり、低分子量の部分あるいは可塑剤などの添加剤の部分で分解や脱ガスなどが起こり、それに起因して無機薄膜層中に欠陥やピンホール等が発生し、ガスバリア性が低下したりする場合がある。さらに、印刷、ラミネート、製袋など包装材料の後加工の際に無機薄膜層がひび割れてクラックが発生し、ガスバリア性が低下するといった問題もあった。
無機薄膜層を形成したガスバリア性積層体の欠点を改善する方法として、無機薄膜層の上にさらにガスバリア性を有する保護層を設ける試みがなされている。例えば、エチレンービニルアルコール系共重合体からなるガスバリア性樹脂と無機層状化合物と添加剤とからなるガスバリア性樹脂組成物を積層する方法がある(たとえば特許文献1)。この方法では、無機薄膜層の欠点やガスバリア性が大きく改善される。
しかしながら、上記方法では、保護層に耐水性がないことに起因して、層間接着性が低下する。層間接着性が低下したフィルムは、屈曲負荷や液体の内容物によって剥離が生じ、バリア性が劣化したり、内容物が漏れ出たりする問題があった。また、保護層自体に耐水性がないと、液体の内容物を充填したフィルムを消費者が手でカットする際に、切れ難いという実用上の問題も生じていた。
これらの問題に対し、無機薄膜層上に、水溶性高分子と無機層状化合物および金属アルコキシドあるいはその加水分解物をコートして、ゾルゲル法により無機薄膜層上に無機層状化合物を含有する無機物と水溶性高分子との複合体を形成させる方法が提案されている(たとえば特許文献2)。この方法によれば、優れたバリア性に加えて、耐水性に関しても優れた特性を示すが、コートに供する液の安定性が低いため、コートの開始時と終了時(例えば、工業的に流通するロールフィルムとした場合であればロール外周部分と内周部分)で特性が異なったり、フィルム幅方向における乾燥や熱処理の僅かな温度の違いにより特性が異なったり、製造時の環境により品質の違いが大きく生じる、といった問題を抱えていた。さらには、ゾルゲル法によりコートされた膜は柔軟性に乏しいため、フィルムに折り曲げや衝撃が加わると、ピンホールやクラックが発生しやすく、ガスバリア性が低下することがあるといった問題も指摘されている。
このような背景のもと、ゾルゲル反応などを伴わないコート法、すなわち樹脂を主体としコート時には架橋反応を伴う程度のコート法で、無機薄膜層上に樹脂層を形成させうる改良が望まれていた。このような改良がなされたガスバリア性積層体としては、無機薄膜上にシランカップリング剤を含むバリア性樹脂をコートしたガスバリア性積層体(たとえば特許文献3)、無機薄膜上にメタキシリレン基含有ポリウレタンをコートした積層体(たとえば特許文献4)が挙げられる。
特許第5434341号 特開2000−43182号公報 特許第3441594号 特許第4524463号
しかしながら、上述したいずれの方法でも、製造時の生産安定性および経済性に優れ、かつ良好なバリア性・耐水接着性を有し、かつ水が存在する湿潤状態において十分な手切れ性を有するガスバリアフィルムは得られていないのが現状であった。
上記特許文献3では、手揉み前後のバリア性の向上について検討されており、良好な結果が得られているが、耐水接着性や手切れ性の向上については検討されていなかった。また特許文献4では、酸素透過度の湿度依存性について検討されており、それぞれ良好な値を示したが、同じく耐水接着性や手切れ性の向上については検討されていなかった。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、基材フィルムの少なくとも片面に、特定の被覆層、無機薄膜層および保護層を設けることにより、良好なバリア性・耐水接着性を有し、かつ水が存在する湿潤状態において十分な手切れ性を有する積層フィルムを見出し、本発明を完成した。
前記課題を解決してなる本発明のガスバリア性積層フィルムは、以下の態様を有する。
(1)ポリアミド基材フィルムの少なくとも片面に、被覆層、無機薄膜層および保護層が、他の層を介して又は介さずにこの順に積層されてなる積層フィルムであって、前記被覆層はポリエステル樹脂を含んでおり、前記保護層はメタキシリレン基を含有するウレタン樹脂を含有し、前記積層フィルムと直鎖状低密度ポリエチレンフィルムをポリウレタン系接着剤を介してラミネートしたラミネート積層体を水中に10秒間浸漬後、水中より取り出して引張り試験機にて5mm引裂いたときの試験力(P1)および30mm引裂いたときの試験力(P2)が以下の式[1]を満たすことを特徴とする積層フィルム。
(2)前記保護層がケイ素系架橋剤またはカルボジイミドの少なくともいずれかを含有することを特徴とする前記(1)に記載の積層フィルム。
(3)前記被覆層に含有されるポリエステル樹脂がアクリルグラフトポリエステル樹脂であることを特徴とする前記(1)または(2)のいずれかに記載の積層フィルム。
(4)前記無機薄膜層が、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物からなる層である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
本発明によれば、被覆層、無機薄膜層および保護層を備えたガスバリア性積層フィルムとした際に、優れた耐水接着性を有するため、屈曲負荷や水系の内容物によっても剥離が生じず、バリア性が劣化したり、内容物が漏れ出たりする問題がない。また、強固な凝集力を有する被覆層、保護層で無機薄膜層を挟んでおり、かつ層間の密着性が良好で耐水接着性も良好なため、内容物を充填したフィルムを消費者が手でカットする際に、応力伝搬がしやすく、水系の内容物が存在する場合においても十分な手切れ性を発現できる。しかも、本発明の積層フィルムは加工工程が少なくかつ容易に製造できるので、経済性と生産安定性の両方に優れており、均質な特性のガスバリア性フィルムを提供することができる。
本発明の積層フィルムは、ポリアミド基材フィルムの片面または両面に、被覆層と、無機薄膜層と、保護層とが、他の層を介して又は介さずにこの順に積層されてなり、前記積層フィルムと直鎖状低密度ポリエチレンフィルムをポリウレタン系接着剤を介してラミネートしたラミネート積層体を水中に10秒間浸漬後、水中より取り出して引張り試験機にて5mm引裂いたときの試験力(P1)および30mm引裂いたときの試験力(P2)が以下の式[1]を満たすことを特徴とする積層フィルムである。
上記式[1]は、引裂き開始直後および一定距離を引裂いた時において、どれぐらい引裂く力が変化したかを表している。式[1]が上記範囲であることにより、引裂くときに必要な力が一定に保たれているため、実際に消費者が手で引き裂いた際に、各層間における応力伝搬がしやすく、安定した力で引裂くことができ、結果として手切れ性の良好なフィルムが得られる。式[1]の好適範囲は、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.7以下である。1以上であると、各層間の応力伝搬がされにくく、引裂くにつれて応力がよりかかり、手切れ性が悪くなるおそれがある。
本発明者らは、積層フィルムの引裂性(以下、手切れ性と称する場合がある)について、常態下と水が存在する湿潤状態下において、引裂性が大きく異なる場合があることに着目した。特に、常態下では引裂性が良好であるにもかかわらず、水が存在する湿潤状態下で引裂性が悪化する場合があり、実用上問題となる。従来は、積層フィルムの構成において最も厚い基材フィルムの引裂性が、積層フィルムの引裂性を決定づけると考えられてきたが、上記の水が存在する湿潤状態下で引裂性が悪化する現象を本発明者らが鋭意検討の結果、水が存在する湿潤状態下では積層フィルムの層間の接着力が弱くなり、引裂力が各層間で伝播しにくくなることが原因であることを新たに見出した。さらに本発明者らは、積層フィルムの基材フィルム以外の各層の凝集力を高めることも引裂性を改良する効果があることを見出して本発明を完成するに至った。
以下、基材フィルムおよびこれに積層する各層について順に説明する。
[基材フィルム]
本発明で用いる基材フィルム(以下「基材フィルム」と称することがある)としては、ナイロン4・6、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12等に代表されるポリアミド基材フィルムを使用する。ポリアミド基材フィルムは、耐破袋性、耐ピンホール性の点で他の樹脂基材フィルムよりも優れている。本発明において使用されるポリアミド樹脂としては、たとえば、ε−カプロラクタムを主原料としたナイロン6を挙げることができる。また、その他のポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、ω−アミノ酸、二塩基酸とジアミン等の重縮合によって得られるポリアミド樹脂を挙げることができる。具体的には、ラクタム類としては、先に示したε−カプロラクタムの他に、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、ω−アミノ酸類としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、1,1−アミノウンデカン酸を挙げることができる。また、二塩基酸類としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2 ,6−ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸を挙げることができる。さらに、ジアミン類としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル) メタン、メタキシリレンジアミン等を挙げることができる。そして、これらを重縮合して得られる重合体またはこれらの共重合体、たとえばナイロン6、7、11、12、6.6、6.9、6.11、6.12、6T、6I、MXD6(メタキシレンジパンアミド6)、6/6.6、6/12、6/6 T、6/6I、6/MXD6等を用いることができる。加えて、本発明の蒸着前のポリアミド樹脂積層フィルムロールを製造する場合には、上記したポリアミド樹脂を単独で、あるいは、2種以上を混合して用いることができる。
基材フィルムとしては、機械強度、透明性など所望の目的や用途に応じて任意の膜厚のものを使用することができ、その膜厚は特に限定されないが、通常は5〜100μmであることが推奨され、包装材料として用いる場合は8〜60μmであることが望ましい。基材フィルムの透明度は、特に限定されるものではないが、透明性が求められる包装材料として使用する場合には、50%以上の光線透過率をもつものが望ましい。
ポリアミド基材フィルムは、機械的強度を付与する観点より、縦方向あるいは横方向の少なくとも1方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましく、縦方向および横方向の2方向に延伸された2軸延伸フィルムであることがより好ましい。2軸延伸フィルムの延伸方式は、同時2軸延伸や逐次2軸延伸等の任意の延伸方式を採用することができる。逐次2軸延伸における延伸方法の好ましい一様態として、未延伸フィルムをロール式延伸機により70℃〜90℃の温度下で縦方向に3.0倍から4.5倍の延伸倍率で縦方向に延伸し、次いでテンター式延伸機により110℃〜140℃の温度下で3.5倍から5.5倍の延伸倍率で延伸し、延伸後に180℃〜230℃の温度で熱処理を施す方法を挙げることができる。また、後述の被覆層を形成する工程としてインラインコート法を採用する場合には、前記の逐次2軸延伸の工程において、縦方向に延伸後のフィルムに被覆層をコートして、次いで連続的にテンター式延伸機にフィルムを導いて横方向の延伸および熱処理を施すことができる。
基材フィルムは、ポリアミド樹脂からなる単層型フィルムであってもよいし、ポリアミド樹脂層と他のプラスチックフィルム(2種以上であってもよい)が積層された積層型フィルムであってもよい。積層型フィルムとする場合の積層体の種類はポリアミド樹脂層がある限り、積層数、積層方法等は特に限定されず、目的に応じて公知の方法から任意に選択することができる。
また本発明において、無機薄膜層とポリアミド基材との層間密着性を改善するために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができるものである。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、科学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。上記の表面前処理は、各種の樹脂フィルムと金属酸化物の蒸着膜との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂フィルムの表面に、予め、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層、その他等を任意に形成して、被覆層とすることもできる。
[被覆層]
被覆層の形成による基材層と無機薄膜層との密着強度の向上には、コスト、衛生性の点からポリエステル樹脂の使用が好ましい。この様なポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸またはトリカルボン酸とグリコール類を重縮合することによって得られる。該重縮合に用いられる成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、トリメリット酸等の酸成分、及びエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、エチレングリコール変性ビスフェノールA等のグリコール成分が挙げられるが、勿論これらに限られるものではない。またこのポリエステル系樹脂は、アクリル系モノマーをグラフト共重合したものにすることにより、膜の硬化が進み、凝集力を向上させることができる。
本発明においては、被覆層の付着量を0.010〜0.200g/mとすることが好ましい。これにより、被覆層を均一に制御することができるため、結果として無機薄膜層を緻密に堆積させることが可能になる。また、被覆層内部の凝集力が向上し、基材フィルム−被覆層−無機薄膜層の各層間の密着性も高くなるため、被覆層の耐水接着性および手切れ性を高めることができる。被覆層の付着量は、好ましくは0.015g/m以上、より好ましくは0.020g/m以上、さらに好ましくは0.025g/m以上であり、好ましくは0.190g/m以下、より好ましくは0.180g/m以下、さらに好ましくは0.170g/m以下である。被覆層の付着量が0.200g/mを超えると、被覆層内部の凝集力が不充分となり、良好な手切れ性を発現できない場合がある。また、被覆層の均一性も低下するため、無機薄膜層に欠陥が生じて、ガスバリア性が低下するおそれがある。しかも、製造コストが高くなり経済的に不利になる。一方、被覆層の膜厚が0.010g/m未満であると、基材を十分に被覆することが出来ず、充分なガスバリア性および層間密着性が得られないおそれがある。
なお、被覆層用樹脂組成物には、必要に応じて、本発明を損なわない範囲で、静電防止剤、滑り剤、アンチブロッキング剤等の公知の無機、有機の各種添加剤を含有させてもよい。
被覆層の形成方法は、特に限定されるものではなく、例えばコート法等従来公知の方法を採用することができる。コート法の中でも好適な方法としては、オフラインコート法、インラインコート法を挙げることができる。例えば基材フィルムを製造する工程で行うインラインコート法の場合、コート時の乾燥や熱処理の条件は、コート厚みや装置の条件にもよるが、コート後直ちに直角方向の延伸工程に送入し延伸工程の予熱ゾーンあるいは延伸ゾーンで乾燥させることが好ましく、そのような場合には通常50〜250℃程度の温度とすることが好ましい。
[無機薄膜層]
本発明の積層フィルムは、前記被覆層の上方に無機薄膜層が積層されている。無機薄膜層は無機酸化物からなる薄膜である。無機薄膜層を形成する材料は、薄膜にできるものなら特に制限はないが、ガスバリア性の観点から、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物(複合酸化物)等の無機酸化物が好ましく挙げられる。特に、薄膜層の柔軟性と緻密性を両立できる点からは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物が好ましい。この複合酸化物において、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合比は、金属分の質量比でAlが20〜70%の範囲であることが好ましい。Al濃度が20%未満であると、バリア性が低くなる場合があり、一方、70%を超えると、無機薄膜層が硬くなる傾向があり、印刷やラミネートといった二次加工の際に膜が破壊されてバリア性が低下する虞がある。なお、ここでいう酸化ケイ素とはSiOやSiO2等の各種珪素酸化物又はそれらの混合物であり、酸化アルミニウムとは、AlOやAl23等の各種アルミニウム酸化物又はそれらの混合物である。
無機薄膜層の膜厚は、通常1〜100nm、好ましくは5〜50nmである。無機薄膜層の膜厚が1nm未満であると、満足のいくガスバリア性が得られ難くなる場合があり、一方、100nmを超えて過度に厚くしても、それに相当するガスバリア性の向上効果は得られず、耐屈曲性や製造コストの点でかえって不利となる。
無機薄膜層を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理蒸着法(PVD法)、あるいは化学蒸着法(CVD法)など、公知の蒸着法を適宜採用すればよい。以下、無機薄膜層を形成する典型的な方法を、酸化ケイ素・酸化アルミニウム系薄膜を例に説明する。例えば、真空蒸着法を採用する場合は、蒸着原料としてSiO2とAl23の混合物、あるいはSiO2とAlの混合物等が好ましく用いられる。これら蒸着原料としては通常粒子が用いられるが、その際、各粒子の大きさは蒸着時の圧力が変化しない程度の大きさであることが望ましく、好ましい粒子径は1mm〜5mmである。加熱には、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱、レーザー加熱などの方式を採用することができる。また、反応ガスとして酸素、窒素、水素、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を採用することも可能である。さらに、被蒸着体(蒸着に供する積層フィルム)にバイアスを印加したり、被蒸着体を加熱もしくは冷却するなど、成膜条件も任意に変更することができる。このような蒸着材料、反応ガス、被蒸着体のバイアス、加熱・冷却などは、スパッタリング法やCVD法を採用する場合にも同様に変更可能である。
[保護層]
本発明においては、前記無機薄膜層の上に保護層を有する。プラスチックフィルム上に積層した無機薄膜層は完全に密な膜ではなく、微小な欠損部分が点在している。無機薄膜層上に後述する特定の保護層用樹脂組成物を塗工して保護層を形成することにより、無機薄膜層の欠損部分に保護層用樹脂組成物中の樹脂が浸透し、結果としてガスバリア性が安定するという効果が得られる。加えて、保護層そのものにもガスバリア性を持つ材料を使用することで、積層フィルムのガスバリア性能も大きく向上することになる。さらに、保護層の凝集力および接着性を向上させることで、手切れ性に優れたフィルムとすることができる。
本発明においては、保護層の付着量を0.10〜0.60g/mとすることが好ましい。これにより、塗工において保護層を均一に制御することができるため、結果としてコートムラや欠陥の少ない膜となる。また保護層自体の凝集力が向上し、無機薄膜層−保護層間の密着性も強固になり、手切れ性を高めることができる。保護層の付着量は、好ましくは0.13g/m以上、より好ましくは0.16g/m以上、さらに好ましくは0.19g/m以上であり、好ましくは0.57g/m以下、より好ましくは0.54g/m以下、さらに好ましくは0.51g/m以下である。保護層の付着量が0.600g/mを超えると、ガスバリア性は向上するが、保護層内部の凝集力が不充分となり、また保護層の均一性も低下するため、コート外観にムラや欠陥が生じたり、ガスバリア性・接着性・手切れ性を充分に発現できない場合がある。一方、保護層の膜厚が0.10g/m2未満であると、充分なガスバリア性および層間密着性が得られないおそれがある。
本発明では、保護層にウレタン樹脂を用いる。ウレタン樹脂は、極性を有するウレタン結合部分が存在することで、無機薄膜層との密着が良好であり、欠損部分に樹脂が浸透しやすい。また、ウレタン結合同士の水素結合による凝集力が高い結晶部が存在するため、安定したガスバリア性能が得られる。さらに、柔軟性の高い非晶部も同時に存在するため、非晶部と結晶部の比率を制御することで、表面硬さを前記所定範囲内とすることができる。ウレタン樹脂としては、極性が高く無機薄膜層に対する濡れ性が良好である水分散系のものが好ましい。また、樹脂の硬化型としては、熱硬化樹脂が、生産安定性の観点から望ましい。
(ウレタン樹脂(A))
ウレタン樹脂(A)は、下記ポリイソシアネート成分(B)に下記ポリオール成分(C)を、通常の方法により反応させることにより得られる。さらに、ジオール化合物(例えば1,6−ヘキサンジオール等)やジアミン化合物(例えばヘキサメチレンジアミン等)等の2個以上の活性水素を有する低分子化合物を鎖延長剤として反応させることにより鎖延長することも可能である。
(B)ポリイソシアネート成分
ウレタン樹脂(A)の合成に用いることのできるポリイソシアネート成分(B)としては、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が含まれる。ポリイソシアネート化合物としては、通常、ジイソシアネート化合物が使用される。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4'−ジフェニルシイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4'−、2,4'−、または2,2'−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4'−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4'−ジフェニルエーテルシイソシアネート等が例示できる。芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω'−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン等が例示できる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート、IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4'−、2,4'−または2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート))(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチルー2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルー2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)(水添XDI)等を挙げることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンダメチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカフェート等を挙げることができる
(C)ポリオール成分
ポリオール成分(特にジオール成分)としては、低分子量のグリコールからオリゴマーまで用いることはできるが、ガスバリア性の観点から、通常、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール等の直鎖状または分岐鎖状C2-10アルキレングリコール)、(ポリ)オキシC2-4アルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)等の低分子量グリコールが使用される。好ましいグリコール成分は、C2-8ポリオール成分[例えば、C2-6アルキレングリコール(特に、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール)等]、ジまたはトリオキシC2-3アルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)であり、特に好ましいジオール成分はC2-8アルキレングリコール(特にC2-6アルキレングリコール)である。
これらのジオール成分は単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。さらに必要に応じて、芳香族ジオール(例えば、ビスフェノールA、ビスヒドロキシェチルテレフタレート、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、1,3−または1,4−キシリレンジオールもしくはその混合物等)、脂環族ジオール(例えば、水添ビスフェノールA、キシリレンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等)等の低分子量ジオール成分を併用してもよい。さらに、必要により、3官能以上のポリオール成分、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等のポリオール成分を併用することもできる。ポリオール成分は、少なくともC2-8ポリオール成分(特に、C2-6アルキレングリコール)を含むのが好ましい。ポリオール成分100質量%中のC2-8ポリオール成分(特に、C2-6アルキレングリコール)の割合は、50〜100質量%程度の範囲から選択でき、通常、70質量%以上100質量%以下が好ましく、より好ましくは80質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
本発明においては、ガスバリア性向上および凝集力向上の面から、芳香族または芳香脂肪族ジイソシアネート成分を主な構成成分として含有するウレタン樹脂を用いることがより好ましい。その中でも、メタキシリレンジイソシアネート成分を含有することが特に好ましい。上記樹脂を用いることで、芳香環同士のスタッキング効果によりウレタン結合の凝集力を一層高めることができ、結果として良好なガスバリア性および手切れ性が得られる。
前記ウレタン樹脂は、無機薄膜層との親和性向上の観点から、カルボン酸基(カルボキシル基)を有することが好ましい。ウレタン樹脂にカルボン酸(塩)基を導入するためには、例えば、ポリオール成分として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボン酸基を有するポリオール化合物を共重合成分として導入すればよい。また、カルボン酸基含有ウレタン樹脂を合成後、塩形成剤により中和すれば、水分散体のウレタン樹脂を得ることができる。塩形成剤の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等のN−アルキルモルホリン類、N−ジメチルエタノールアミン、N−ジエチルエタノールアミン等のN−ジアルキルアルカノールアミン類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(ウレタン樹脂の特性)
ウレタン樹脂の酸価は10〜60mgKOH/gの範囲内であるのが好ましい。より好ましくは15〜55mgKOH/gの範囲内、さらに好ましくは20〜50mgKOH/gの範囲内である。ウレタン樹脂の酸価が前記範囲であると、水分散液とした際に液安定性が向上し、また保護層は高極性の無機薄膜層上に均一に堆積することができるため、コート外観が良好となる。
本発明のウレタン樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることが好ましく、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上である。Tgを100℃以上にすることで、樹脂の凝集力が向上し、水が存在する湿潤状態下での手切れ性に優れる。
本発明のウレタン樹脂には、膜の凝集力向上および耐水接着性を向上させる目的で、ガスバリア性を損なわない範囲で、各種の架橋剤を配合してもよい。架橋剤としては、例えば、ケイ素系架橋剤、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物等が例示できる。その中でも、無機薄膜層との耐水接着性の向上の観点から、ケイ素系架橋剤またはカルボジイミド化合物が特に好ましい。
ケイ素系架橋剤としては、無機物と有機物との架橋という観点から、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤としては、加水分解性アルコキシシラン化合物、例えば、ハロゲン含有アルコキシシラン(2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシランなど)、エポキシ基を有するアルコキシシラン[2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジルオキシC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等のグリシジルオキシジC2-4アルキルジC1-4アルコキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン等の(エポキシシクロアルキル)C2-4アルキルトリC1-4アルコキシシラン等]、アミノ基を有するアルコキシシラン[2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のアミノジC2-4アルキルジC1-4アルコシシラン、2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシラン等の(2−アミノC2-4アルキル)アミノC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジエトキシシラン等の(アミノC2-4アルキル)アミノジC2-4アルキルジC1-4アルコキシシラン等]、メルカプト基を有するアルコキシシラン(2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプトジC2-4アルキルジC1-4アルコキシシラン等)、ビニル基を有するアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルトリC1-4アルコキシシラン等)、エチレン性不飽和結合基を有するアルコキシシラン[2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシジC2-4アルキルジC1-4アルコキシシラン等)等が例示できる。これらのシランカップリング剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのシランカップリング剤のうち、アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤は保護層中に、0.25〜3.00質量%添加することが好ましく、より好ましくは0.5〜2.75質量%、さらに好ましくは0.75〜2.50質量%である。添加量が3.00質量%を超えると、膜の硬化が進み凝集力が向上するが、一部未反応部分も生じ、層間の接着性は低下するおそれがある。一方、添加量が0.25質量%未満であると、十分な凝集力が得られないおそれがある。
カルボジイミド化合物としては、モノカルボジイミド化合物やポリカルボジイミド化合物が挙げられる。モノカルボジイミド化合物としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等を挙げることができる。
ポリカルボジイミド化合物としては、従来公知の方法で製造したものを使用することができる。例えば、ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応によりイソシアネート末端ポリカルボジイミドを合成することにより製造することができる。
ポリカルボジイミド化合物の合成原料であるジイソシアネートとしては、例えばトルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類が挙げられる。黄変の問題から、芳香族脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類が好ましい。
また、上記ジイソシアネートは、モノイソシアネート等の末端イソシアネートと反応する化合物を用いて分子を適当な重合度に制御して使用しても差し支えない。このようにポリカルボジイミドの末端を封止してその重合度を制御するためのモノイソシアネートとしては、例えばフェニルイソシアネート、トルイレンイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。また、この他にも末端封止剤としてOH基、NH2基、COOH基、SO3H基を有する化合物を使用することができる。
ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応は、カルボジイミド化触媒の存在下に進行する。触媒としては、例えば1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドや、これらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドなどが挙げられ、反応性の面から3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好ましい。なお、上記触媒の使用量は触媒量とすることができる。
上記したモノ又はポリカルボジイミド化合物は、水性塗料への配合時に均一な分散状態に保たれることが望ましく、このために適切な乳化剤を用いて乳化加工して乳濁液として使用したり、ポリカルボジイミド化合物の分子構造内に親水性のセグメントを付加して自己乳化物の形態で、あるいは自己溶解物の形態で塗料に配合することが好ましい。
ポリカルボジイミド化合物の重合度(n)としては、2〜10が好ましく、より好ましくは、3〜7である。重合度が小さい場合は架橋反応率が悪くなり、機能層との密着性が低下し、大きい場合は、樹脂との相溶性が悪くなり、ヘイズが上昇する場合がある。
本発明で用いられるカルボジイミド化合物は、水分散性、水溶性が挙げられる。他の水溶性樹脂との相溶性がよく、塗布層の透明性や架橋反応効率を向上させることから、水溶性が好ましい。
カルボジイミド化合物を水溶性にするためには、イソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応によりイソシアネート末端ポリカルボジイミドを合成した後、更にイソシアネート基との反応性を有する官能基を持つ親水性部位を付加することにより製造することができる。
親水性部位としては、(1)ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩やジアルキルアミノアルキルアミンの四級アンモニウム塩など、(2)反応性ヒドロキシル基を少なくとも1個有するアルキルスルホン酸塩など、(3)アルコキシ基で末端封鎖されたポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(プロピレンオキサイド)、ポリ(エチレンオキサイド)とポリ(プロピレンオキサイド)との混合物などが挙げられる。エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドの繰り返し単位は3〜50が好ましく、より好ましくは、5〜35である。繰り返し単位が小さい場合は、樹脂との相溶性が悪くなり、ヘイズが上昇し、大きい場合は、耐水接着性が低下する場合がある。カルボジイミド化合物は上記親水性部位を導入した場合は(1)カチオン性、(2)アニオン性、(3)ノニオン性となる。なかでも、他の水溶性樹脂のイオン性に関係なく、相溶できるノニオン性が好ましい。また、耐水性を向上させるためにも、イオン性の親水基を導入する必要がないノニオン性が好ましい。
前記カルボジイミド化合物は保護層中に5質量%以上30質量%以下含有することが好ましい。より好ましくは10質量%以上25質量%以下、さらに好ましくは15質量%以上20質量%以下である。カルボジイミド化合物の含有量が5質量%未満の場合、充分に保護層の凝集力及び耐水接着性が向上しないおそれがある。逆に、含有量が30質量%以上の場合には、ガスバリア性が低下するおそれがあり、また未架橋部分が増えることで保護層の凝集力が低下し、手切れ性が悪化する恐れがある。
保護層用樹脂組成物により保護層を形成する場合、前記ポリウレタン樹脂及びイオン交換水、水溶性有機溶剤からなる塗工液(塗布液)を用意し、基材フィルムに塗布、乾燥すればよい。水溶性有機溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類等から選択される単独または混合溶剤を使用することができ、塗膜加工および臭気の観点からはIPAが好ましい。
保護層用樹脂組成物の塗工方式は、フィルム表面に塗工して層を形成させる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、ダイコーティング等の通常のコーティング方法を採用することができる。
保護層を形成する際には、保護層用樹脂組成物を塗布した後、加熱乾燥することが好ましく、その際の乾燥温度は110〜190℃が好ましく、より好ましくは130〜190℃、さらに好ましくは150〜190℃である。乾燥温度が110℃未満であると、保護層に乾燥不足が生じたり、保護層の造膜が進行せず凝集力および耐水接着性が低下し、結果として手切れ性が低下するおそれがある。一方、乾燥温度が190℃を超えると、フィルムに熱がかかりすぎてしまいフィルムが脆くなったり、収縮して加工性が悪くなったりする虞がある。特に、150℃以上好ましくは160℃以上で乾燥することにより、保護層の造膜が効果的に進行し、保護層の樹脂と無機薄膜層における接着面積がより大きくなるために耐水接着性を向上することができる。また、乾燥とは別に、追加の熱処理(例えば、150〜190℃)を加えることも、保護層の造膜を進行させるうえで、さらに効果的である。
[ヒートシール性樹脂層との積層]
本発明の積層フィルムを包装材料として用いる場合には、シーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層を含むことが必要となる。ヒートシール性樹脂層は通常、無機薄膜層側すなわち保護層面に設けられるが、基材フィルムの外側(被覆層形成面の反対側の面)に設けることもある。ヒートシール性樹脂層の形成は、通常押出しラミネート法あるいはドライラミネート法によりなされる。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂等を使用できる。ヒートシール性樹脂層の厚みは、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、好ましくは80μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは70μm以下である。厚みが20μm以下であると、生産性が悪くなる。一方、80μm以上であると、コストアップになり、また透明性も悪くなる。
[その他の層]
本発明の積層フィルムには、無機薄膜層または基材フィルムとヒートシール性樹脂層との間またはその外側に、印刷層や他のプラスチック基材および/または紙基材を少なくとも1層以上積層していてもよい。
印刷層を形成する印刷インキとしては、水性および溶媒系の樹脂含有印刷インキが好ましく使用できる。ここで印刷インキに使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂およびこれらの混合物が例示される。印刷インキには、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、消泡剤、架橋剤、耐ブロッキング剤、酸化防止剤などの公知の添加剤を含有させてもよい。印刷層を設けるための印刷方法としては、特に限定されず、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの公知の印刷方法が使用できる。印刷後の溶媒の乾燥には、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線乾燥など公知の乾燥方法が使用できる。
他方、他のプラスチック基材や紙基材としては、充分な積層体の剛性および強度を得る観点から、紙、ポリエステル樹脂および生分解性樹脂等が好ましく用いられる。また、機械的強度の優れたフィルムとする上では、二軸延伸ポリエステルフィルムなどの延伸フィルムが好ましい。
本発明の積層フィルムは、23℃×65%RH条件下における酸素透過度が5ml/m2・d・MPa以下となり、良好なガスバリア性を発現する。さらに、前述の保護層成分・付着量を制御することで、好ましくは4ml/m2・d・MPa以下、より好ましくは3ml/m2・d・MPa以下とすることができる。酸素透過度が5ml/m2・d・MPa以上であると、高いガスバリア性が要求される用途に対応することが難しくなる。
本発明の積層フィルムは、23℃×65%RH条件下における水付けラミネート強度が1.5N/15mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.0N/15mm以上、さらに好ましくは2.5N/15mm以上である。ラミネート強度が1.5N/15mm以下であると、屈曲負荷や液体の内容物によって剥離が生じ、バリア性が劣化したり、内容物が漏れ出たりするおそれがある。さらに、手切れ性が悪化するおそれもある。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は当然以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
・ 評価用ラミネート積層体の作製
実施例、比較例で得られた積層フィルムの保護層面に、ポリウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製TM569)を80℃乾燥処理後の厚みが3μmになるよう塗布した後、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡製L4102;厚み40μm;LLとする)を60℃に加熱した金属ロール上でドライラミネートし、40℃にて4日間エージングを施すことにより、評価用のラミネートガスバリア性積層体(以下「ラミネート積層体A」と称することもある)を得た。
・ 酸素透過度の評価方法
上記(1)で作製したラミネート積層体Aについて、JIS−K7126 B法に準じて、酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX−TRAN(登録商標)1/50」)を用い、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で、酸素透過度を測定した。なお、酸素透過度の測定は、ラミネート積層体の基材フィルム側からヒートシール性樹脂層(低密度ポリエチレン)側に酸素が透過する方向で行った。
・ ラミネート強度の評価方法
上記(1)で作製したラミネート積層体Aを基材フィルムの幅方向(TD方向)と長さ方向(MD方向)に対してそれぞれ幅15mm、長さ200mmに切り出して試験片とし、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、テンシロン万能材料試験機(東洋ボールドウイン社製「テンシロンUMT−II−500型」)を用いてラミネート強度を測定した。なお、ラミネート強度の測定は、引張速度を200mm/分とし、実施例および比較例で得られた積層フィルム層とヒートシール性樹脂層との層間に水をつけて剥離角度90度で剥離させたときの強度を測定した。
・ 引裂き強度の評価方法
上記(1)で作製したラミネート積層体Aを基材フィルムの幅方向(TD方向)と長さ方向(MD方向)に対してそれぞれ幅25mm、長さ300mmに切り出して試験片とし、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、テンシロン万能材料試験機(東洋ボールドウイン社製「テンシロンUMT−II−500型」)を用いて引裂き強度を測定した。なお、引裂き強度の測定は、引裂き速度を50mm/分とし、巾12.5mm位置に長さ方向に10mmの切込みを入れ、測定直前に水に10秒間浸した後に強度測定を行った。
・ 手切れ性
上記(1)で作製したラミネート積層体Aを幅25mm、長さ300mmに切り出して試験片とし、巾12.5mm位置に長さ方向に10mmの切込みを入れ、測定直前に水に10秒間浸した後に切り込みから手で引裂いた。その際、引っ掛かりがなく容易に引裂けるものを手切れ性○、一部引っ掛かりがあるが引裂けるものを手切れ性△、引裂けずフィルムが伸びてしまうものを手切れ性×とした。
各実施例、比較例において被覆層、保護層の形成に用いた各材料は以下のようにして調製した。
<被覆層または保護層形成に用いた各材料の調製>
[ポリエステル樹脂(A)]
ポリエステル樹脂として、自己架橋性無水マレイン酸をグラフト鎖として含有する水分散性アクリルグラフトポリエステル樹脂である、竹本油脂社製「AGN201」(固形分25%)を用意した。
[ウレタン樹脂(B)]
ウレタン樹脂として、市販のメタキシリレン基含有ウレタン樹脂のディスパージョン(三井化学社製「タケラック(登録商標)WPB341」;固形分30%)を用意した。このウレタン樹脂の酸価は25mgKOH/gであり、DSCで測定したガラス転移温度(Tg)は130℃であった。また、1H−NMRにより測定したポリイソシアネート成分全体に対する芳香族または芳香脂肪族ジイソシアネートの割合は、85モル%であった。
[シランカップリング剤(C)]
シランカップリング剤として、市販の信越化学社製「(登録商標)KBM603」;固形分100%)を用意した。
[ウレタン樹脂(D)]
ウレタン樹脂として、市販のポリエステルウレタン樹脂のディスパージョン(三井化学社製「タケラック(登録商標)W605」;固形分30%)を用意した。このウレタン樹脂の酸価25mgKOH/gであり、DSCで測定したガラス転移温度(Tg)は100℃であった。また、1H−NMRにより測定したポリイソシアネート成分全体に対する芳香族または芳香脂肪族ジイソシアネートの割合は、55モル%であった。
[ガスバリア性エチレン−ビニルアルコール系樹脂組成物塗工液(E)]
<エチレン−ビニルアルコール系共重合体溶液の調製>
精製水20.996部とn−プロピルアルコール(NPA)51部の混合溶媒に、エチレン−ビニルアルコール共重合体(商品名:ソアノール(登録商標)V2603、日本合成化学社製、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られた重合体、エチレン比率26モル%、酢酸ビニル成分のケン化度約100%、以下、EVOHと略記)15部を加え、更に濃度が30%の過酸化水素水13部とFeSO4の0.004部を添加して攪拌下で80℃に加温し、約2時間反応させた。その後冷却してカタラーゼを3000ppmになるように添加し、残存過酸化水素を除去し、これにより固形分15%のほぼ透明なエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液(EVOH溶液)を得た。
<無機層状化合物分散液の調製>
無機層状化合物であるモンモリロナイト(商品名:クニピア(登録商標)F、クニミネ工業社製)4部を精製水96部中に攪拌しながら添加し、高圧分散装置にて圧力50MPaの設定にて充分に分散した。その後、40℃にて1日間保温し固形分4%の無機層状化合物分散液を得た。
<添加剤>
塩酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業社製、商品名;ジルコゾール(登録商標)ZC−20、固形分20%)
<塗工液(E)の調製>
混合溶剤A(精製水40%とn−プロピルアルコール60%からなる溶剤)62.30部に、EVOH溶液を31.75部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液5.95部を添加した。この混合液100部に対して、3部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。以上の操作から得られた混合液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97部に対して塩酸化ジルコニウム0.75部と、混合溶剤A2.25部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し、固形分5%の保護層用塗工液3を得た。
[カルボジイミド系架橋剤(F)]
カルボジイミド系架橋剤として、市販の日清紡社製「カルボジライト(登録商標)SV−02」;固形分40%)を用意した。
実施例1
(1)被覆層に用いる塗工液1の調製
下記の塗剤を混合し、塗工液1を作成した。ここでポリエステル樹脂(A)の固形分換算の質量比は表1に示す通りである。

水 33%
イソプロパノール 7%
ポリエステル樹脂(A) 60%
(2)保護層に用いる塗工液2の調製
下記の塗剤を混合し、塗工液2を作成した。ここでウレタン樹脂(B)の固形分換算の質量比は表1に示す通りである。

水 30%
イソプロパノール 30%
ウレタン樹脂(B) 40%
(3)ポリアミド基材フィルムの製造および塗工液1のコート(被覆層の積層)
ポリカプロアミドをスクリュー式押出し機で260℃に加熱溶融し、Tダイよりシート状に押出し、次いで、この未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で、80℃で3.3倍縦延伸した。そして、得られた一軸延伸フィルムの片面に,上記塗布液1をファウンテンバーコート法により塗布した。次にテンターに導き、120℃で4.0倍横方向に延伸後、215℃で熱固定を行い、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムに0.075g/m2の被覆層が形成された積層フィルムを得た。
(4)無機薄膜層の形成
上記(3)で得られたフィルムの被覆層形成面に、無機薄膜層として二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物層を、電子ビーム蒸着法により形成した。蒸着源としては、3mm〜5mm程度の粒子状のSiO2(純度99.9%)およびAl23(純度99.9%)を用いた。ここで複合酸化物層の組成は、SiO/Al23(質量比)=70/30であった。またこのようにして得られたフィルム(無機薄膜層/被覆層含有フィルム)における無機薄膜層(SiO/Al複合酸化物層)の膜厚は13nmであった。このようにして被覆層および無機薄膜層を備えた蒸着フィルムを得た。
(5)蒸着フィルムへの塗工液2のコート(保護層の積層)
上記(2)で調製した塗工液2をグラビアロールコート法によって(4)で得られた蒸着フィルムの無機薄膜層上に塗布し、190℃で乾燥させ、保護層を得た。乾燥後の塗布量は0.27g/m2(Dry)であった。
以上のようにして、基材フィルムの上に被覆層/無機薄膜層/保護層を備えた積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、上記の通り、酸素透過度、ラミネート強度、引裂き強度、および手切れ性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2〜7、比較例1〜4)
保護層形成用の塗工液を調製するにあたり、樹脂の配合量、付着量および種類を表1に示す通りとなるよう変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、酸素透過度、ラミネート強度、および引裂き強度、および手切れ性を評価した。結果を表1に示す。
本発明により、被覆層、無機薄膜層および保護層を備えたガスバリア性積層フィルムとした際に、ガスバリア性および耐水接着性に優れることがわかった。これにより、屈曲負荷や水系の内容物によっても剥離が生じず、バリア性が劣化したり、内容物が漏れ出たりする問題がない。また、引裂き強度および手切れ性の結果より、内容物を充填したフィルムを消費者が手でカットする際に、応力伝搬がしやすく、十分な手切れ性を発現できることもわかった。しかも、本発明の積層フィルムは加工工程が少なくかつ容易に製造できるので、経済性と生産安定性の両方に優れており、均質な特性のガスバリア性フィルムを提供することができる。

Claims (4)

  1. ポリアミド基材フィルムの少なくとも片面に、被覆層、無機薄膜層および保護層が、他の層を介して又は介さずにこの順に積層されてなる積層フィルムであって、前記被覆層はポリエステル樹脂を含んでおり、前記保護層はメタキシリレン基を含有するウレタン樹脂を含有し、前記積層フィルムと直鎖状低密度ポリエチレンフィルムをポリウレタン系接着剤を介してラミネートしたラミネート積層体を水中に10秒間浸漬後、水中より取り出して引張り試験機にて5mm引裂いたときの試験力(P1)および30mm引裂いたときの試験力(P2)が以下の式[1]を満たすことを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記保護層がケイ素系架橋剤またはカルボジイミド系架橋剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記被覆層に含有されるポリエステル樹脂がアクリルグラフトポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の積層フィルム。
  4. 前記無機薄膜層が、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物からなる層である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
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