JP7355019B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
本発明で用いる基材フィルムとしては、ナイロン4・6、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12等に代表されるポリアミド基材フィルム(以下「基材フィルム」と称することがある)を使用する。ポリアミド基材フィルムは、耐突刺し性を代表値とする強靭性の点で他の樹脂基材フィルムよりも優れている。本発明において使用されるポリアミド樹脂としては、たとえば、ε-カプロラクタムを主原料としたナイロン6を挙げることができる。また、その他のポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、ω-アミノ酸、二塩基酸とジアミン等の重縮合によって得られるポリアミド樹脂を挙げることができる。具体的には、ラクタム類としては、先に示したε-カプロラクタムの他に、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、ω-アミノ酸類としては、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、1,1-アミノウンデカン酸を挙げることができる。また、二塩基酸類としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸を挙げることができる。さらに、ジアミン類としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)-トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス-(4,4’-アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン等を挙げることができる。そして、これらを重縮合して得られる重合体またはこれらの共重合体、たとえばナイロン6、7、11、12、6.6、6.9、6.11、6.12、6T、6I、MXD6(メタキシレンジパンアミド6)、6/6.6、6/12、6/6T、6/6I、6/MXD6等を用いることができる。上記したポリアミド樹脂を単独で、あるいは、2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、科学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。上記の表面前処理は、各種の樹脂フィルムと金属酸化物の蒸着膜との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂フィルムの表面に、予め、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層、その他等を任意に形成して、被覆層とすることもできる。
本発明の積層フィルムは、前記ポリアミド基材フィルムの少なくとも片面に被覆層を有する。被覆層の形成による基材層と無機薄膜層との密着強度の向上には、コスト、衛生性の点からポリエステル樹脂の使用が好ましい。この様なポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸またはトリカルボン酸とグリコール類を重縮合することによって得られる。該重縮合に用いられる成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、トリメリット酸等の酸成分、及びエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、エチレングリコール変性ビスフェノールA等のグリコール成分が挙げられるが、勿論これらに限られるものではない。またこのポリエステル系樹脂として、アクリル系モノマーをグラフト共重合したアクリルグラフトポリエステル樹脂を使用することが、膜の硬化が進み、凝集力を向上させることができる点で好ましい。
本発明の積層フィルムは、前記被覆層の上方に無機薄膜層が積層されている。無機薄膜層は無機酸化物からなる薄膜である。本発明では、無機薄膜層表面の水接触角が20~45°である必要がある。より好ましくは、23~42°、さらに好ましくは25~40°である。水接触角を上記範囲にすることにより、膜がある程度の耐水性を有することになり、耐水接着性や水蒸気バリア性を向上させることができる。水接触角が20°未満である場合、膜が親水化するため水蒸気バリア性が悪化する恐れがある。さらに、親水表面によって後述する保護層中のウレタン樹脂との接着が悪くなるため、層間に水が入り込みやすくなり、耐水接着性が低下する傾向がある。一方、水接触角が45°より大きいと、疎水化により保護層中のウレタン樹脂との親和性が低くなり、層間密着性が低下するおそれがある。
酸化アルミニウムの膜中の含有率wa(%)、酸化ケイ素の膜中の含有量ws(%)は、酸化アルミニウムの単位面積当たりの付着量をMa(g/cm2)、酸化ケイ素の単位面積当たりの付着量をMs(g/cm2)とすると、各々下記式(1)、(2)で求められる。
wa=100×[Ma/(Ma+Ms)] ・・・式(1)
ws=100-wa ・・・式(2)
t=((Ma/(ρa×0.8)+Ms/(ρs×0.8))×107 ・・・式(3)
蛍光X線法で測定した膜厚の値は、TEMで実際に計測した膜厚と近いものであった。
本発明の積層フィルムは、前記無機薄膜層の上に保護層を有する。プラスチックフィルム上に積層した無機薄膜層は完全に密な膜ではなく、微小な欠損部分が点在している。無機薄膜層上に後述する特定の保護層用樹脂組成物を塗工して保護層を形成することにより、無機薄膜層の欠損部分に保護層用樹脂組成物中の樹脂が浸透し、結果としてガスバリア性が安定するという効果が得られる。加えて、保護層そのものにもガスバリア性を持つ材料を使用することで、積層フィルムのガスバリア性能も大きく向上することになる。
通常、基材上のバリア保護層は膜自体が硬くなり、また塗工時の熱や張力負荷により基材が脆化する傾向がある。その結果、基材が本来有する突刺し強度が低下するおそれがあった。これに対し、本発明では、保護層の組成・膜厚および製造方法等を制御することにより、コート加工後も良好な突刺し強度を維持できることを見出した。突刺し強度は、好ましくは0.65(N/μm)以上、より好ましくは0.70(N/μm)以上、さらに好ましくは0.75(N/μm以上であり、好ましくは1.0(N/μm)以下、より好ましくは0.95(N/μm)以下、さらに好ましくは0.90(N/μm)以下である。突刺し強度が0.60N/μm未満であると、屈曲や摩擦等の外的負荷がフィルムにかかった際に、ピンホールが発生しやすくなるおそれがある。一方、突き刺し強度が1.0(N/μm)より大きいと、フィルムに腰感がないためハンドリングが悪く、また手切れ性も悪化するおそれがある。
ウレタン樹脂(A)は、下記ポリイソシアネート成分(B)に下記ポリオール成分(C)を、通常の方法により反応させることにより得られる。さらに、ジオール化合物(例えば1,6-ヘキサンジオール等)やジアミン化合物(例えばヘキサメチレンジアミン等)等の2個以上の活性水素を有する低分子化合物を鎖延長剤として反応させることにより鎖延長することも可能である。
ウレタン樹脂(A)の合成に用いることのできるポリイソシアネート成分(B)としては、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が含まれる。ポリイソシアネート化合物としては、通常、ジイソシアネート化合物が使用される。
ポリオール成分(特にジオール成分)としては、低分子量のグリコールからオリゴマーまで用いることはできるが、ガスバリア性の観点から、通常、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール等の直鎖状または分岐鎖状C2-10アルキレングリコール)、(ポリ)オキシC2-4アルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)等の低分子量グリコールが使用される。好ましいグリコール成分は、C2-8ポリオール成分[例えば、C2-6アルキレングリコール(特に、エチレングリコール、1,2-または1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール)等]、ジまたはトリオキシC2-3アルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)であり、特に好ましいジオール成分はC2-8アルキレングリコール(特にC2-6アルキレングリコール)である。
ウレタン樹脂の酸価は10~60mgKOH/gの範囲内であるのが好ましい。より好ましくは15~55mgKOH/gの範囲内、さらに好ましくは20~50mgKOH/gの範囲内である。ウレタン樹脂の酸価が前記範囲であると、水分散液とした際に液安定性が向上し、また保護層は高極性の無機薄膜層上に均一に堆積することができるため、コート外観が良好となる。
本発明の積層フィルムを包装材料として用いる場合には、シーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層を含むことが必要となる。ヒートシール性樹脂層は通常、無機薄膜層側すなわち保護層面に設けられるが、基材フィルムの外側(被覆層形成面の反対側の面)に設けることもある。ヒートシール性樹脂層の形成は、通常押出しラミネート法あるいはドライラミネート法によりなされる。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-α-オレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂等を使用できる。ヒートシール性樹脂層の厚みは、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、好ましくは80μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは70μm以下である。厚みが20μm以下であると、生産性が悪くなる。一方、80μm以上であると、コストアップになり、また透明性も悪くなる。
本発明の積層フィルムには、無機薄膜層または基材フィルムとヒートシール性樹脂層との間またはその外側に、印刷層や他のプラスチック基材および/または紙基材を少なくとも1層以上積層していてもよい。
本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
実施例、比較例で得られた積層フィルム(薄膜積層後)について、蛍光X線分析装置((株)リガク製「ZSX100e」)を用いて、予め作成した検量線により膜厚組成を測定した。なお、励起X線管の条件として50kV、70mAとした。
実施例、比較例で得られた積層フィルム(薄膜積層後)について、接触角計(モデル:CAM200、販売会社:アルテックアルト株式会社、製造会社:フィランド国KSV Instruments社)で水を着滴し、その接触角を測定した。接触角は、水を着滴して5秒後の値を読み取った。解析ソフトは、FAMAS(協和界面科学株式会社)を使用した。測定の詳細条件は以下に示す。
温湿度:23℃、65%
測定方法:液適法(θ/2法)
液滴の大きさ:7.0μL
針の太さ:22G、内径0.4mm
実施例、比較例で得られた積層フィルムを5cm角にサンプリングし、株式会社イマダ製デジタルフォースゲージ「ZTS-500N」、電動計測スタンド「MX2-500N」及び突き刺し治具「TKS-250N」を用いて、JIS Z1707に準じてフィルムの突き刺し強度を測定した。単位はN/μmで示した。
実施例、比較例で得られた積層フィルムの保護層面に、ポリウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製TM569)を80℃乾燥処理後の厚みが3μmになるよう塗布した後、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡製L4102;厚み40μm;LLとする)を60℃に加熱した金属ロール上でドライラミネートし、40℃にて4日間エージングを施すことにより、評価用のラミネートガスバリア性積層体(以下「ラミネート積層体A」と称することもある)を得た。
上記(4)で作製したラミネート積層体Aについて、JIS-K7126 B法に準じて、酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX-TRAN(登録商標)1/50」)を用い、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で、常態の酸素透過度を測定した。なお、酸素透過度の測定は、ラミネート積層体の基材フィルム側からヒートシール性樹脂層側に酸素が透過する方向で行った。
上記(4)で作製したラミネート積層体Aについて、JIS-K7129 B法に準じて、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製「PERMATRAN-W(登録商標)3/33MG」)を用い、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で水蒸気透過度を測定した。なお、水蒸気透過度の測定はラミネート積層体のヒートシール性樹脂層側から基材フィルム側に水蒸気が透過する方向で行った。
上記(4)で作製したラミネート積層体Aを基材フィルムの幅方向(TD方向)と長さ方向(MD方向)に対してそれぞれ幅15mm、長さ200mmに切り出して試験片とし、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、テンシロン万能材料試験機(東洋ボールドウイン社製「テンシロンUMT-II-500型」)を用いてラミネート強度を測定した。なお、ラミネート強度の測定は、引張速度を50mm/分とし、実施例および比較例で得られた積層フィルム層とヒートシール性樹脂層との層間に水をつけて剥離角度90度で剥離させたときの強度を測定した。また、上記(4)で作製したラミネート積層体に対して、30℃×80%RHの条件下で2時間保持する湿熱処理を行い、未乾燥のままの状態で、同様にラミネート強度(湿熱処理後)を測定した。
上記(4)で作製したラミネート積層体Aを112inch×8inchの試料片とし、ゲルボフレックステスター(理学工業(株)社製MIL-B131H)に直径3(1/2)inchの円筒状にして装着し、両端を保持し、初期把持間隔7inchとし、ストロークの3(1/2)inchで、440度のひねりを加えるものでこの動作の繰り返し往復運動を40回/minの速さで25回、23℃、相対湿度65%の条件下で行った。得られた屈曲試験後のラミネート積層体について上記と同様にして酸素透過度(屈曲処理後)および水蒸気透過度(屈曲処理後)を測定した。
[ポリエステル樹脂(A)]
ポリエステル樹脂として、自己架橋性無水マレイン酸をグラフト鎖として含有する水分散性アクリルグラフトポリエステル樹脂である、竹本油脂社製「AGN201」(固形分25%)を用意した。
ウレタン樹脂として、市販のメタキシリレン基含有ウレタン樹脂のディスパージョン(三井化学社製「タケラック(登録商標)WPB341」;固形分30%)を用意した。このウレタン樹脂の酸価は25mgKOH/gであり、DSCで測定したガラス転移温度(Tg)は130℃であった。また、1H-NMRにより測定したポリイソシアネート成分全体に対する芳香族または芳香脂肪族ジイソシアネートの割合は、85モル%であった。
シランカップリング剤として、市販の信越化学社製「(登録商標)KBM903」;固形分100%)を用意した。
ウレタン樹脂として、市販のポリエステルウレタン樹脂のディスパージョン(三井化学社製「タケラック(登録商標)WS6021」;固形分30%)を用意した。このウレタン樹脂の酸価25mgKOH/gであり、DSCで測定したガラス転移温度(Tg)は40℃であった。
ウレタン樹脂として、市販のポリエステルウレタン樹脂のディスパージョン(三井化学社製「タケラック(登録商標)W605」;固形分30%)を用意した。このウレタン樹脂の酸価25mgKOH/gであり、DSCで測定したガラス転移温度(Tg)は100℃であった。
<エチレン-ビニルアルコール系共重合体溶液の調製>
精製水20.996部とn-プロピルアルコール(NPA)51部の混合溶媒に、エチレン-ビニルアルコール共重合体(商品名:ソアノール(登録商標)V2603、日本合成化学社製、エチレン-酢酸ビニル共重合体をケン化して得られた重合体、エチレン比率26モル%、酢酸ビニル成分のケン化度約100%、以下、EVOHと略記)15部を加え、更に濃度が30%の過酸化水素水13部とFeSO4の0.004部を添加して攪拌下で80℃に加温し、約2時間反応させた。その後冷却してカタラーゼを3000ppmになるように添加し、残存過酸化水素を除去し、これにより固形分15%のほぼ透明なエチレン-ビニルアルコール共重合体溶液(EVOH溶液)を得た。
<無機層状化合物分散液の調製>
無機層状化合物であるモンモリロナイト(商品名:クニピア(登録商標)F、クニミネ工業社製)4部を精製水96部中に攪拌しながら添加し、高圧分散装置にて圧力50MPaの設定にて充分に分散した。その後、40℃にて1日間保温し固形分4%の無機層状化合物分散液を得た。
<添加剤>
塩酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業社製、商品名;ジルコゾール(登録商標)ZC-20、固形分20%)
<塗工液(F)の調製>
混合溶剤A(精製水40%とn-プロピルアルコール60%からなる溶剤)62.30部に、EVOH溶液を31.75部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液5.95部を添加した。この混合液100部に対して、3部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。以上の操作から得られた混合液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97部に対して塩酸化ジルコニウム0.75部と、混合溶剤A2.25部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し、固形分5%の保護層用塗工液3を得た。
テトラエトキシシランを0.02mol/Lの塩酸で加水分解した溶液をけん化度99%、重合度2400のポリビニルアルコール樹脂(PVA)の5重量%水溶液に、重量比でSiO2/PVA=60/40となる割合で加え、ガスバリア性保護層溶液(G)とした。
(1)被覆層に用いる塗工液1の調製
下記の塗剤を混合し、塗工液1を作成した。ここでポリエステル樹脂(A)の固形分換算の質量比は表1に示す通りである。
水 30%
イソプロパノール 10%
ポリエステル樹脂(A) 60%
下記の塗剤を混合し、塗工液2を作成した。ここでウレタン樹脂(B)の固形分換算の質量比は表1に示す通りである。
水 41.61%
イソプロパノール 40.00%
ウレタン樹脂(B) 18.15%
シランカップリング剤(C) 0.24%
ポリカプロアミドをスクリュー式押出し機で260℃に加熱溶融し、Tダイよりシート状に押出し、次いで、この未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で、80℃で3.3倍縦延伸した。そして、得られた一軸延伸フィルムの片面に,上記塗布液1をファウンテンバーコート法により塗布した。次にテンターに導き、120℃で4.0倍横方向に延伸後、215℃で熱固定を行い、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムに0.075g/m2の被覆層が形成された積層フィルムを得た。
上記(3)で得られたフィルムの被覆層形成面に、無機薄膜層として二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物層を、電子ビーム蒸着法により形成した。蒸着源としては、3mm~5mm程度の粒子状のSiO2(純度99.9%)およびAl2O3(純度99.9%)を用いた。ここで複合酸化物層の組成は、SiO2/Al2O3(質量比)=60/40であった。またこのようにして得られたフィルム(無機薄膜層/被覆層含有フィルム)における無機薄膜層(SiO2/Al2O3複合酸化物層)の膜厚は13nmであった。このようにして被覆層および無機薄膜層を備えた蒸着フィルムを得た。得られたフィルムについて、上記の通り、膜厚・組成、水接触角をそれぞれ測定した。
上記(2)で調製した塗工液2をグラビアロールコート法によって(4)で得られた蒸着フィルムの無機薄膜層上に塗布し、180℃で乾燥させ、保護層を得た。乾燥後の塗布量は0.3g/m2(Dry)であった。
以上のようにして、基材フィルムの上に被覆層/無機薄膜層/保護層を備えた積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、上記の通り、突き刺し強度、屈曲処理前後の酸素透過度および水蒸気透過度、ラミネート強度を評価した。結果を表1に示す。
保護層形成用の塗工液を調製するにあたり、無期薄膜層の組成比、樹脂の配合量、付着量および種類を表1に示す通りとなるよう変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、突き刺し強度、屈曲処理前後の酸素透過度および水蒸気透過度、ラミネート強度を評価した。結果を表1に示す。
Claims (5)
- ポリアミド基材フィルムの少なくとも片面に被覆層を有し、前記被覆層はポリエステル樹脂を構成成分として含有する被覆層用樹脂組成物からなり、前記被覆層上に無機薄膜層を有すると共に、該無機薄膜層上に保護層を有する積層フィルムであって、前記無機薄膜層表面の水接触角が20~45°であり、前記保護層の付着量が0.10~0.40g/m2で、前記保護層はメタキシリレン基を有するウレタン樹脂とケイ素系架橋剤からなることを特徴とする積層フィルム。
- 前記積層フィルムの突き刺し強度が0.6~1.0(N/μm)であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記被覆層に含有されるポリエステル樹脂がアクリルグラフトポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記無機薄膜層が酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物からなることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記積層フィルムを厚さ40μmの直鎖低密度ポリエチレンフィルムとラミネートしたラミネート積層体において、酸素透過度が6(ml/m2・d・MPa)以下かつ水蒸気透過度が2.5(g/m2・d)以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の積層フィルム。
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