JP2007129944A - 飛翔虫捕獲器 - Google Patents

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Abstract

【課題】
室内でも就寝を妨げないほどに静かに、まぶしくなく、簡便手ごろで、毒性がなく、安全に飛翔昆虫を捕獲する装置を提供すること。
【解決手段】
飛翔虫の捕獲空間を画成する捕虫器本体および前記捕獲空間の一部に配置される捕獲部を有する飛翔虫の捕獲器は、前記捕獲空間に飛翔虫を誘導する飛翔虫誘導部を具備し、前記飛翔虫誘導部は、前記捕獲空間と外部空間との間に配置される開口部と、前記捕獲空間から前記開口部を介して外方に延在する第1誘導面と、前記捕獲空間から前記開口部を介して前記第1誘導面と交差する方向に外方に延在する第2誘導面とを具備すること、または、前記捕獲空間から前記開口部を介して外方に延在する第1可動誘導面であって前記開口部の主軸方向と交差する方向に移動するものとを具備することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は移動可能な飛翔虫捕獲器に関する。
虫を捕獲する方法として、殺虫剤、忌避剤などの化学剤による防虫方法、ゴキブリや蝿などを捕獲のための粘着シートによる捕獲方法、フェロモンやCO2、乳酸などの代謝物様物質などの誘引剤の利用、光を好む虫を捉える光トラップ方法や、光や誘引剤に寄ってきた虫をファン吸引する方法や電撃で殺虫するタイプなどが知られている。
特願平9−155569 特願平11−61292 池庄司敏明著、「蚊」、東京大学出版会、1993年2月10日発行
しかしながら、蚊などの飛翔虫を捕獲する従来の方法には、次のような欠点があった。
殺虫剤、忌避剤などの化学剤は、人体に有毒で、そのため、長期使用による蓄積され、後に中毒症状が現れる場合もある。特に、最近のアレルギー体質の子供への影響や、肝機能が低下している場合には臓器への悪影響が懸念される。さらに、DDT使用の先例からも、虫が耐性を有し、全く薬が効かなくなる事態も生じるという問題となる。また、蚊取り線香は、煙臭い、部屋や衣服への臭いが吸着するといった問題がある。一方、化学剤を用いない方法として粘着剤で捕獲する方法があるが、ゴキブリ目用の粘着捕獲器は、床等の面を這う昆虫類の捕獲のために設計されているため、面に拘束されずに3次元の空間を飛翔する昆虫類等を捕獲することは難しい。いわゆる蝿取り紙により飛翔虫を捕獲する方法は、粘着剤がむき出しであり、髪や手が触れやすく取扱いが面倒である上に飛翔虫の偶然の飛来に依存するため捕獲率が低いという問題があった。
虫は光に集まる習性があるものが多いので、光トラップというライトを用いる方法もよく使われている。しかし、一般にその方法は白熱電球、蛍光灯、紫外線ランプを使用しているため、人間にとって光がまぶしかったり、眼に紫外線が入る可能性があり、人の居るそばに捕獲器を設置することは難しい。また、本来光に強く惹かれない虫の他、虫が人を刺してくる場合、逃避する場合や時間帯により暗がりを求める場合といった虫のモード(以下、活動モード)により、光に関心を示さないこともある。また、ライトで誘引し高電圧で捕獲する方法は、高電圧部に指が触れると感電の危険があるため、厳重な保護部材を設置する必要がある。その保護部材が障害物に敏感な飛翔虫を侵入を妨げ、捕獲率が下がる。さらに、電撃による衝撃音がうるさい、虫がこげる臭いが不快感を与える問題や、埃が溜まると火災の危険もある。
吸引捕獲するファン吸引方法は、高速にファンを回転させ、虫の飛翔速度より速い気流を発生させ、強力に吸引する方法である。そのため、気圧の勾配差や、不連続性が発生し、気流の変化に敏感な飛翔虫に察知されやすい。飛翔速度より速い気流を得るように、吸入口の口径をあまり大きくすることはできないため、飛翔虫の侵入口が小さくなり、吸引力単独では、高い捕獲率を確保することは困難である。そのため、CO2や光などの誘引作用のある他の方法と組合せ、吸入口に飛翔虫をおびき出す必要がある。ファン吸引方法は、高速にファンを回転させる必要があるため、室内で使用する場合、回転音がうるさく、発生した風が埃を巻き上げたり、特に就寝中は、風が肌に当たり気になる場合もあり、室内に使用するには不向きである。また、ファンに手が触れると危険である。手が触れないように防護の部材が必要になり、障害物に敏感な飛翔虫を侵入を妨げている。さらに、ファン吸引方式はライトや誘引剤による誘引の補助を必要とする。捕獲率を高めるように、吸入口を大きくした場合は、大型のファンを使う必要があるため、空気の排気量も増え、室内の風も激しくなる。駆動力用のモータも大きくする必要もあり、安全のための防護部材も増やす必要がある。
吸血の性質がある虫は、CO2に集まるという性質があるものが多いので、CO2トラップ方法が使われている。しかし、CO2を発生させる手段が手ごろでなく、炭酸ガスボンベやドライアイスの入手や充填も面倒であり、密閉空間での使用は酸欠の危険がある。さらに、プロパン燃焼タイプの捕獲器は大型とならざるをえず、移動や室内での使用は難しいという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明によれば、仕切られた空間である部屋の中で就寝中にも使用でき、人に刺激を与えないほどに静かであって、簡便手ごろで、毒性がなく、安全確実に飛翔昆虫を捕獲する方法および装置を提供することができる。また、本発明は、屋内のみならず野外で使用した場合にも有効で、特に光、誘引剤の使用や人が近くに居る場合に効果が高まる。
本発明の第1の技術的側面によれば、飛翔虫の捕獲空間を画成する捕虫器本体および捕獲空間の一部に配置される捕獲部を有する飛翔虫の捕獲器は、捕獲空間に飛翔虫を誘導する飛翔虫誘導部を具備し、飛翔虫誘導部は、捕獲空間と外部空間との間に配置される開口部と、捕獲空間から開口部を介して外方に延在する第1誘導面と、捕獲空間から開口部を介して第1誘導面と交差する方向に外方に延在する第2誘導面とを具備することを特徴とする。
本発明の第2の技術的側面によれば、飛翔虫の捕獲空間を画成する捕虫器本体および捕獲空間の一部に配置される捕獲部を有する飛翔虫の捕獲器は、捕獲空間に飛翔虫を誘導する飛翔虫誘導部を具備し、飛翔虫誘導部は、捕獲空間と外部空間との間に配置される開口部と、捕獲空間から開口部を介して外方に延在する第1可動誘導面であって開口部の主軸方向と交差する方向に移動するものとを具備することを特徴とする。
生き物の行動パターンは、本来持っている習性、記憶に基づいて、環境の情報を取り入れながら、決まってくる。蚊などの飛翔昆虫を捕獲には、特に習性と飛翔環境との関連に基づく行動パターンの研究が有効である。発明者らは、鋭意努力の結果、虫の捕獲領域への誘導のための周辺環境との連続性(後述)、家屋内では空間は床面、壁面、天井あるいは家具等の拘束面で囲まれた空間での行動パターンの積極的利用が、飛翔虫の捕獲に重要であることを見出した。
以下に、本発明で用いられる用語を説明する。
(1)環境連続性
本発明では“環境連続性”すなわち、“力学的連続性”と“視覚的連続性”が、飛翔虫をトラップに誘導するために極めて重要である。
本明細書において、“力学的連続性”とは、動物の体表、触覚等の力学センサーから感受できる力学的刺激の連続性、すなわち、感受される力学的刺激の変化量が、飛翔パターンに著しい影響を与えない範囲に収まっていることをいう。例えば、床面や壁面の段差が少ない、進行方向に対する障害物の面の傾きが小さい、滑らかさに大きな差がない、気流の変化が少ない等、周辺の力学的環境に虫の進行に大きな影響を与える程の著しい不連続性がないということである。
“視覚的連続性”とは、眼、複眼、体表から感受できる光などの電磁波刺激の連続性、すなわち、感受される電磁波刺激の変化量が、飛翔パターンに大きな影響を与えない程度に収まっているこという。例えば、明るさ、色、温度、模様等の差が、周辺の力学的環境に進行に大きな影響を与える程の著しい不連続性がないということである。
力学的連続性または視覚的連続性があると動物にとっての環境連続性が実現する。本発明は環境連続性を積極的に利用して誘引物質を用いなくても対象動物を誘導することが可能であることを特徴とする。
(2)拘束面
床面、壁面、天井あるいは家具等といった飛翔虫の飛翔経路を制限する面。家屋内では壁面などの拘束面によって飛翔虫の飛翔経路が制限される。このような拘束面を有する空間におかれた飛翔虫は、壁や天井付近に向かい、逃げ道を探すように、拘束面である壁や天井付近を飛翔することが観察され、特に、壁面と天井の境界や隅などの拘束面が変化する領域付近に集まり滞在する確率が高いことを見出した。
(3)ホッピング飛翔
壁などの拘束面としての壁に阻まれた蚊は、進行方向前方の壁に触れたら、弧を描くように後ろに飛び返り、また壁方向に進み、再び壁に触れたら、弧を描くように後ろに飛び返ることを繰り返し、壁伝いにほぼ水平方向に移動する傾向がある。以下の説明ではこの行動パターンを“ホッピング”と呼ぶ(図5参照)。
(4)全接触
閉鎖空間内での飛翔は、上述したように拘束面沿いの飛翔が多く、壁伝いで移動してきたり、ホッピングで移動してきた場合に、他の拘束面との間に数mmの段差や間隙があると、そこに触れることにより、引き返したり、大きく飛び越えるような飛翔パターンを示す。そこで、捕獲器を設置する場合に、拘束面との隙間を、飛翔パターンが大きく変わらない程度にして力学的連続性を保つことが要求される。本明細書では、この力学的連続性を満たすように、壁等の拘束面と捕獲器の一部が接触するか、飛翔昆虫が間隙を通過できない程度に近接させるように構成することを“全接触”と呼ぶ。
(5)誘導面または誘導板
飛翔虫を、捕獲器内部の捕獲領域に導く面またはこの面を規定する板部材であって、飛翔虫の視覚触覚等の特性に作用して飛翔虫自ら捕獲領域に近づく傾向を誘発するものをいう。
(6)可動誘導面
誘導面をその面と交叉する方向に動かすことで、捕獲器本体へ侵入する場合の誘導面の等価的な入射角が小さくなり誘導効果を高まる。逆に捕獲器内部から外部へ逃げ出す場合の誘導面の等価的な角度が大きくなり遮蔽効果が高まる。この場合には、気流等の変化に敏感な蚊などの飛翔虫を捕らえるように、気流の環境連続性を満たした動きが必要である。
なお、従来のファン方式の捕獲器の捕獲原理は、飛翔虫の最高飛翔速度より十分に大きい吸引速度で捕獲することにある。そのため、ファンが高速で回転させ、気流が乱れて気圧が不連続的に変化するため、飛翔虫に察知され、逃げられやすい欠点がある。また、ファンが高速回転であるため虫がファンの羽根に衝突して潰れ不衛生であり、就寝には音がうるさく部屋の空気の流れが気になるといった欠点がある。強力な光や二酸化炭素や吸引物質と併用のタイプが多く、室内向きでない。これに対して、本発明に係る誘導面は、気流の吸引作用で捕獲するのではなく、環境連続性を満たしつつ、可動誘導板の誘導効果や遮蔽効果を利用して飛翔虫を誘導する結果として効率的にかつ安全に捕獲するものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態に係る捕獲器の構成を図1および図2に基づいて詳細に説明する。本実施形態に係る捕獲器10、すなわち飛翔虫の捕獲空間を画成する捕虫器本体10は、飛翔昆虫を捕獲器本体10の内部11に誘導する誘導面を規定する誘導板21、22、23を有する誘導部20と本体内部11に誘導された飛翔昆虫を捕獲する捕獲部30とを備える。より具体的には捕獲空間と外部空間との間に配置される開口部S20と、誘導部20は本体10の奥面を規定する第1誘導板21すなわち捕獲空間から開口部S20を介して外方に延在する第1誘導板21と、第1誘導板の仮想平面に交差する方向に本体内部11から外方に延在する2枚の第2誘導板22、23すなわち捕獲空間から開口部を介して第1誘導面と交差する方向に外方に延在する第2誘導面を規定する第2誘導板22、23とを備える。また、第1誘導板21や第2誘導板22,23は捕獲器本体の一部であってもよい。なお、第1誘導板と第2誘導板は相対的であり、第1誘導板21,22,23、第2誘導板22,23,21と表記することも可能である。
空間を飛翔する飛翔虫を捕獲する場合と床や壁を這う虫を捕獲する場合の大きな相違点は這う虫の行動範囲は平面に拘束されていることである。本実施例においては外方空間に延在する誘導板によって画成される開口は飛翔虫にとっては連続する空間である。したがって、複数の誘導板を有することで空間を飛翔する飛翔虫を第1の誘導板で第2誘導板に誘導し、または第2の誘導板で第1誘導板に誘導するというように誘導板が協調的に捕獲部に誘導し、効率よく飛翔虫を捕獲することができる。
本実施例の捕獲器は第1誘導面を規定する第1誘導板21、第1誘導面に漸近する第2誘導面を規定する第2誘導板22,23および捕獲部30を具備するものであって、特に飛翔虫を閉じこめる空間を必要とせず捕獲器全体がほぼ捕獲空間である。第1誘導板および第2誘導板によって空間が仕切られることによって外方に通じる第1開口S24、第2開口S25および第3開口S26が画成される。第2誘導板は外方から第2誘導板の内方端部22i,23iに漸近するほどに第1誘導板21に漸近するように構成され、内方端部22i,23iにおいて最も第1誘導板に漸近しその間隙はW3である。本実施例の捕獲器は図2(a)(b)に示すように、第1誘導板と第2誘導板によって内部空間11が画成されており、さらに内部空間は外方に通じる3つの開口S24〜26を有する。捕獲器10に進入する飛翔虫の視点から見ると、捕獲器の内部空間11のいずれの位置からも外方を望むことが可能である。換言すれば、内部空間において、第1誘導面および第2誘導面のいずれの面上の位置からもいずれかの開口を介して外方を望むことが可能であるように第1誘導面および第2誘導面が構成されるので、内部空間は外方と外方を連通する飛翔虫の通過通路(3次元に分布)である。その結果外方空間と捕獲器の環境連続性が満たされ、飛翔虫は捕獲器を飛翔して通り抜けることが可能であるという認識をもって行動することができるため特に誘引剤等を用いなくても飛翔虫を捕獲器内部に誘導することが可能である。
飛翔虫の飛翔通路としての内部空間の一部が内方端部22i,23iによって飛翔通過可能でありながら狭く構成されて飛翔通路のくびれ部W3を構成しているので通路壁としての内方端部22i,23iの周辺や第1誘導板に接触しやすくなる。飛翔虫が飛翔通路を飛翔通過する途中でこのようなくびれた領域で通路壁に接触するとそこで反射して対向する壁面に接触しやすくなるため対向する壁面の間で接触と反射を繰り返しやすい。そこで、第1誘導面および第2誘導面を規定する第2誘導板の内方端部22i,23iの近傍に漸近する部分を含むように粘着シート等の捕獲部30を配置すると飛翔虫の捕獲が容易になる。捕獲部30がなければ飛翔虫が捕獲器を通り抜けることができる程度の飛翔通路が形成されているので、捕獲器内部に進入して誘導面により飛翔経路が拘束されても前方の外方空間に向かって飛翔するという行動形態を利用している。すなわち、飛翔虫が飛翔通過しうるような環境連続性を維持することで捕獲器への進入と飛翔通過が容易となり、飛翔虫が通過する可能性の高い領域に捕獲部30を設けるので容易に捕獲できる。また動力を一切必要としない。
本実施例の捕獲器は図2に示すように、誘導板支持部材41、42は誘導板の互いの位置関係を固定する。第1誘導板の幅をW1、第2誘導板22,23が形成する第3開口S26の最大開口の幅をW2、第1誘導板と第2誘導板が形成する第1開口S24、第2開口S25における最小開口幅をW3、及び最大の幅をW4となるように、位置関係を固定する(図2(a))。
図2(b)に示すように、捕獲部30としての粘着シート(幅W5)が第1誘導板21上に設置される。誘導板に直接粘着剤を塗布して捕獲部30としてもかまわない。捕獲部30は第1誘導板と環境連続性を満たすことが好ましいため、薄くかつ面状に拡がりをもつ粘着シートが好適である。また、第2誘導板にも同様に捕獲部を設置してもよい。図3に示すように、捕獲部30として粘着剤付きの棒状または線状の部材を第1誘導板21と第2誘導板の間に設置してもよい。
図4は交換可能な粘着シートを上部の粘着シート挿入部C10から着脱可能に取り付けて誘導板支持部材43を構成した変更実施例である。また、蓋を開けるように、第1誘導板と第2誘導板が離れ開き、粘着シートが交換できるようにしてもよい。壁等の拘束面に吊り下げることができるように捕獲器本体を加工したり吊り下げ部材C11を取り付けてもよい。また、捕獲器本体を長手方向に積み上げることができるように誘導板支持部材41,42を相互に係合する形状とするか部位C12を設けることもできる。積み上げることで、壁等の拘束面に捉えられた飛翔虫を効率よく捕獲することができる。第1誘導板21の裏面に第2誘導板22,23をあわせるようにすると、開口部が広くなり捕獲率を高めることができる。
<第1誘導板と第2誘導板の位置>
本実施例において、捕獲空間において第2誘導面を規定する第2誘導板22、23はその一部である一端部22i,23iに漸近するほどに捕獲空間において第1誘導面を規定する第1誘導板21に漸近する。第1誘導板と第2誘導板の端部において飛翔虫が飛翔通過できる程度の間隙W3を有するように離隔している。その結果この領域で環境連続性が満たされ飛翔虫は捕獲器を通過するつもりで進入する。ところが飛翔経路がわずかに変位しただけで誘導板に接触しうるので間隙W3の周辺において飛翔虫が粘着層に接触する可能性が高く容易に捕獲しうる。
具体的には、第1誘導板21と第2誘導板22、23の間隔W3は、第1開口S24または第25を通過する飛翔虫を粘着剤等で捕獲する場合、粘着層に飛翔虫が接触し得る距離に基づいて決めることができる。すなわち、左右2枚の平行にむき合わせた板を立てた場合を想定し、その間隙を飛翔虫を通過させ、接触せず通過できた2枚の板の間の距離に基づいて通過できるが接触し得る間隔W3を決める。すなわち、その間に飛翔虫が誘導された場合、向きあった板の少なくとも一方に粘着剤などの捕獲部があると確実に捕獲できる。ゴキブリなどのように面を這う虫の脚の身動きをとれなくすることと違い、飛翔虫の翅はデリケートであるため、捕獲部とのわずかな接触で捕獲できるからである。なお、間隔W3は、羽を拡げて飛翔している飛翔虫に対して規定されるものであり、飛翔していない状態で隙間を潜り抜ける場合ではないので、体長と等しいとは限らない。
また、第1誘導板と第2誘導板との間の距離W3を設けることで、第1誘導板に対する第2誘導板の角度ψ1を広げることなく、第1誘導板と第2誘導板との距離W4を広げることができ、開口部が広がり、飛翔虫が捕獲器内部11に侵入しやすくなる。誘導板での衝突の前後では、入射角に対し跳ね返る反射角がほぼ等しいので、角度ψ1が広げすぎると、飛翔虫が、第2誘導板に衝突したとき、捕獲部30がある第1誘導板に誘導されにくくなるからである。また、飛翔虫が侵入してきた経路とは反対方向に、開口部を設けることができたり、反対側の開口部が明るい景色である場合において、誘導板に光透過性がなくても、飛翔虫は、間隙を通過しようとするため、捕獲部に誘導しやすい。
本実施例では、飛翔虫誘導部20の第2誘導面は分離した第1の面22および第2の面23を有し、それぞれの内方端部22i,23iに漸近するほどに相互に漸近し、内方端部においては第1誘導面21に最も漸近するとともに内方端部同士も最も漸近するように構成されている。したがって2つの面22,23は第3開口S26を画成して飛翔虫の内部への誘導を可能にしている。なお2つの内方端部22i,23iは係合して図7(b)に示すように一体の形状としてもよい。
<行動パターンと全接触>
飛翔中の蚊は進行方向前方の壁に触れると、弧を描くように後ろに飛び返り、また壁方向に進み、再び壁に触れたら、弧を描くように後ろに飛び返ることを繰り返し、壁伝いにほぼ水平方向に移動する“ホッピング”(図5)という飛翔パターンを示した。蚊で観察されたホッピング間隔Whは常に一定ではないが、およそ1cmから3cmであり大型のアカイエカなどは、5cmぐらいの場合もあった。また、ホッピング間隔Whは活動モードにより異なるが、元気な蚊で飛翔速度が速いほど大きくなる傾向がある。ホッピングにおける飛翔高度は、ほぼ水平に保っていることが多い。また、前足を壁に触れながら、徐々に壁伝いに移動してく飛翔パターンもある。このように、飛翔虫が、壁伝いで移動してきたり、ホッピングで移動してきた場合に、捕獲器と壁などの拘束面との間に数mmの段差や間隙があると、そこに触れることにより、引き返したり、大きく飛び越えるような飛翔パターンを示す。そこで、捕獲器を設置する場合に、拘束面との隙間を、飛翔パターンが大きく変わらない程度にして力学的連続性を保つことが好ましい。
従って、本実施形態に係る捕獲器10は図6(a)に示すように壁等の屋内の拘束面50と第1誘導板21の外方端部61b、61cにおいて接触するか、飛翔昆虫が通過できない程度に近接させて全接触とすることが好ましい。
<設置方法>
図6(b)の設置方法は、図6(a)に比べて、侵入経路が1つ減るが、第1誘導板に壁との力学的連続性が確保するのが難しい場合に有効である。壁などの拘束面と床との間にある建築上の構造物、コード類などのように捕獲器と拘束面との全接触を妨げるケースが多く、第1誘導板を拘束面に設置した図6(a)の設置方法の場合、第1誘導板の面全体を隙間なく拘束面に全接触させることが難しい場合もある。そのため、拘束面との間に数mmの段差や間隙があると、そこに蚊が接触し、飛び超えたり、引き返す確率が増加する。この場合には、本実施例の捕獲器10を図6(b)に示すように設置して、少なくとも第2誘導板の端部62や63のみを接触させれば、全接触させることができる。また幅W1がW2より長い台形構造である場合、端部62、63で蚊が接触して飛び超えようとしても、迫り出した第1誘導板にぶつかって、捕獲される確率が高くなる。
なお、拘束面である壁に家具などの物が設定してある場合、拘束面が凸凹状になり、捕獲器本体を設置しづらい場合もある。このような場合は、スクリーン状のものを置き、そこに、捕獲器本体を設置して捕獲してもよい。
光透過性のある誘導板を用いて窓ガラス等の明るい拘束面に設置した場合、明るさに誘引された飛翔虫が捕獲器に向かってくる。そのとき、図6(a)に示すように第2誘導板22と23による開口S26を設けておくと、光に誘引された飛翔虫を第2誘導板でその隙間に導き捕獲することができる。
なお、本実施例の捕獲器は周辺環境との環境連続性を有することから飛翔虫の他に蜘蛛やカツオブシムシなどの壁を這う虫も捕獲することができる。
本実施例にかかる捕獲器は実施例1の捕獲器に対してさらに飛翔虫の視覚的連続性を利用する。
<視覚的連続性と捕獲器の色>
明度や色の変化などの視覚の変化は飛翔パターンに影響を及ぼす重要な環境連続性のパラメータである。すなわち、壁が明領域と暗領域の境界付近で、引き返したり、小さなホッピングで飛翔してきたものが大きく飛び越えるような飛翔パターンを示し、より暗い領域に向かう場合は境界付近に止まりに行く場合が多い。このことから、凹凸のない平面であっても明領域と暗領域の境界付近を障害物と認識していることを示していることがわかる。
上記のことを確認するため、誘導板として1枚の板を用い、色のみを変更して黒色、白色または透明(半透明も含む)色や明度の違いの影響を調べる実験を行った。50×30×30cmのケースで昼間の部屋の自然光もとでメスのヒトスジシマカとアカイエカを用いた(以下の実験もメスの蚊を用いた)。壁などの拘束面が白色で、黒色の誘導板の場合、端部で引き返したり、誘導面を飛び越える飛翔を示し、黒色の領域に入ったところで止まることが多かった。拘束面が白色で、誘導板の色が白色または透明の場合は、全接触させずに数ミリの段差がある場合と、そこに接触し引き返したり、飛び越える傾向が観察され、全接触させると、飛翔パターンに変化が認められずそのまま通過して行った。拘束面が透明で誘導板が白色または黒色の場合、誘導板端部で引き返したり、飛び越える飛翔を示し、境界を過ぎたところで止まることが多かった。拘束面が透明で誘導板が透明の場合、全接触していると飛翔パターンに変化なく通過した。拘束面が黒色で誘導板が白色の場合、端部で大きく飛翔パターンが変わることがなかった。全般的にアカイエカは、明度や色の変化に敏感であった。
すなわち、一方、暗い色の誘導板は障害物と認識して避ける飛翔パターンを示したが、誘導板が視覚的連続性を満たすと捕獲器本体内部のより奥まで誘導できる。
従って、捕獲器の内部へ虫を誘導する場合には、壁などの拘束面などの周りの環境と捕獲器内への入口における空間的な明度変化または不連続を抑えて、明度分布がなだらかにすることが重要であり、飛翔虫の誘導には明度に関する視覚連続性が要求されることを見出した。
<光透過性>
上述したように障害物が光透過性を有し透明や半透明(以下、透明という)である場合、障害物に向かって飛翔してきた虫は障害物を認識できず衝突しやすい。さらに、そこから跳ね返る飛翔パターンを示すことがあり、しかも障害物と衝突する角度の向きによりその後の飛翔パターンが異ることを見出した。この性質を利用するにより、光透過性のある障害物により、虫の飛翔方向のコントロールが可能となり、障害物が誘導面の役割を果たす。
光透過性のある障害物(以下、誘導面)での衝突の前後では、入射角度θ1に対し跳ね返る反射角度θ2がほぼ等しく、誘導面の構成によりその後の行動パターンに影響を与える。飛翔高度をほぼ一定に維持する水平飛翔に対しては、飛翔方向に対し誘導面の法線方向を水平面内で45度ほどになるように誘導面を設置すると(図8(a))、ほぼ直角に飛翔方向を変えることができた。誘導面の法線方向から衝突すると、引き返すこともあるが、そこから横に誘導面方向に移動することが多く、ホッピング飛翔になることもある(図8(b))。
上述したように、蚊は明度の変化に敏感に反応することから、本実施例の捕獲器は、第1誘導板等または第2誘導板のいずれかが光透過性を有し半透明または透明にした捕獲器であって、他の構成は実施例1と同様である。
本発明にかかる捕獲器は移動可能であるため設置場所を選ばない。しかし周辺環境の色彩的な環境は捕獲器との環境連続性に影響を与える。そこで外方空間と接する誘導面が光透過性を有することによって周辺環境の色彩が誘導面を通して反映されるため視覚的連続性が満たされて飛翔虫をさらに容易に捕獲器に誘導することが可能となる。
<実験>
昼間の部屋の自然光のもと50×30×30cmのケースで本実施例の捕獲器を用いて実験を行った。3種類の色の第1、第2誘導板で実験を行った。すなわち、透明のもの、白色のもの、または銀色のもの(アルミ箔)を用いた。粘着剤を用いず捕獲器への内部侵入性と通過性を観察した。第1誘導板は、横10cm×高さ22cm、第2誘導板は、横4.5cm×高さ22cm。第1誘導板と第2誘導板との距離W3は1.3cm、開口部W4で4.5cm、第2誘導板どうしの距離は、0.8cm。捕獲部の幅W5は、7cmとした。
誘導板が白色や銀色の場合、内部は暗くなり、周りの明るさに対して不連続になる。そのため、蚊は、壁伝いに移動してきても、捕獲器を飛び越えたり、手前で引き返すことがほとんどであった。
一方、誘導板が透明の場合は、蚊が壁伝いに移動してきたときは、ほぼ、本体内部に侵入し、第1誘導板と第2誘導板との衝突を繰り返し通過して行った。誘導面に衝突をして通過したということは、粘着層がある場合にそこで捕獲されることを意味する。また、第2誘導板の形状として、直線、凹面カーブのタイプを比較すると、凹面カーブの方が奥まで侵入しやすかった(図7(a))。図7(b)に示すように第2誘導板を1つの曲面を規定する形状としても、図2に示したものと同様の効果が得られた。
本発明の捕獲器は拘束面との環境連続性を利用することにより捕獲率をさらに高めることができる。しかしながら、壁などの拘束面50は、壁の出っ張り、壁と床との境界にある板の出っ張り、または、コード類などが存在するため、捕獲器本体10の第1誘導板や第2誘導板の端部を拘束面50に全接触させることが難しい場合がある。この場合、第1誘導板や第2誘導板と拘束面に段差や隙間が生じ、数ミリの段差があるため、そこにぶつかり引き返したり、隙間の中に入ることがあり、本体内部11への侵入の妨げになる。
本実施例の捕獲器はさらに誘導板が本体の外方に拡張した先端部を有する(図9、10)。すなわち、第1誘導板21が拘束面50と全接触しやすいように、第1誘導板21が第1誘導板基部21aとそこから外方に拡張した第1誘導板先端部21b、21cとを有する。第2誘導板22、23も同様に、第2誘導板基部22a、23aとそれを外方に延在させた第2誘導板先端部22b、23bとを有するように構成してもよい。
誘導板先端部の材質は拘束面50との視覚的連続性を高める光の透過性のあるものが好ましい。また、全接触させ、力学的連続性を高めるためと外部にせり出した先端部に対する安全性を確保するため、先端部は可撓性がある材質が好ましい。また、第1誘導板基部21aに対して第1誘導板先端部21b、21cが開閉するように可動にしてもよい。誘導板先端部に水平方向に切れ目があると、壁と床との境界に出っ張りがあるような垂直方向に段差がある場合でも、全接触しやすくなる。
誘導板先端部がないと、壁から捕獲器を離した場合にその隙間に入ったり、段差により引き返すことが多い。しかし、誘導板先端部により全接触が実現しやすくなって連続性が高まり、捕獲器本体内部11への侵入を誘導板先端部が補助する作用がある。
また、壁との角度が45度以上になると、壁伝いに来た蚊がその面に接触すると、壁に対して垂直方向に移動し(図8(a))、捕獲器本体内部11に至らないケースが、度々見られた。そのため、壁などの拘束面との角度が45度以下になるように設置することが好ましい。誘導板先端部部22b、23bが可撓性を有するか曲面形状を有すると実質的に拘束面との角度が45度以下にすることができる。さらに、誘導板先端部(21b、21c、22b、23b)は、開口部の間口W4を拡張する作用もあるため、虫が捕獲されやすくなる。
本実施形態に係る捕獲器10は、前実施例1乃至3において、さらに光源を具備したものである(図11、12)。図11に示しように、捕獲部30の一部に照射光が照射されるように指向性を有する光源81が設置される。第1誘導板と捕獲部30が光透過性な材質である場合、捕獲部30の裏側から光が当たるようにしてもよい。
従来の捕獲器は、光源として蛍光灯等を用いていたため、捕獲器内部全体をほぼ一様に照らすので、捕獲部の明度はほぼ一様となるため、光に強く引かれる飛翔虫は別として、光に関心を示す程度の虫の場合には開口部付近までくるが、捕獲器内部まで入らないことが多い。また、従来の捕獲器は捕獲器外部に放射される光量が多いため、就寝時使用する場合には明るすぎる欠点がある。
本実施形態では、捕獲部30の一部に光源81から光が当てられるため、虫が捕獲器の奥まで誘導されやすく、捕獲率がさらに高まる。また、捕獲器から外に漏れる光量が少ないので就寝時にも使用できる。
<複数光源による捕獲効率の向上>
図12は、第1誘導板21上にある捕獲部30の面に対して直角でない方向から照射するように第2の光源82を設けた変更実施例である。例えば、図12に示すように、光源82を捕獲器上部に設置した場合、捕獲器本体10に侵入してきた飛翔虫は開口部付近で光源82がよく見えるので、そこから光源82を目指し上昇する飛翔をするため、捕獲部30付近での飛翔パスの長さと滞在時間が長くなり捕獲率が向上する。光軸の向きが異なる複数の指向性を有数する光源を利用すると飛翔の方向をコントロールでき、光により捕獲器の内部構造を構成できる。
実施例1から3の捕獲器に適用する場合には指向性を有する第1光源81及び第2光源82を具備し当該光源81と第2光源82の光束の主軸すなわち光軸が平行ではない異なる方向を向くように配置することが好ましい。例えば、光源81に惹かれ捕獲器に向かって飛翔してきた場合、捕獲器の開口部近くで光源82が上方に見えると上方に向う傾向がある。この性質を利用することによって、1)捕獲器の奥まで虫を誘導すること、2)捕獲部付近での飛翔をコントロールすることで捕獲部30付近での飛翔パスの長さと滞在時間が長くなり捕獲率が向上すること、3)捕獲領域を有効利用できる。捕獲領域を有効利用できるとは、粘着剤を使う捕獲では、捕獲領域に光源のスポットが当たる部分に捕獲された虫が集中し捕獲能力が早く低下しやすいが、第2の光源で分散化できるということである。
また、光源の強度や波長を選択することで、より飛翔方向がコントロールしやすくなる。例えば、飛翔している虫に人間の目に無害の波長や強さの光を認識できるようにしておき、捕獲器内では紫外線など虫の捕獲に有効だが直接人間の目に入ると有害である光源を使用することができ、人間の目にも安全である。
<光源として用いられるもの>
光源の波長は、それぞれの飛翔虫の性質により赤外線から紫外線を選択して用いる。虫の3原色は黄色、青色、紫外であり、とりわけ、紫から紫外の波長が虫の捕獲に用いられている。そのため、蛍光灯やブラックライトが良く用いられているが、室内で使用する場合、眼に感じにくい紫外線が直接眼に入ったりすると危険である。特に就寝時使用には周囲が明るいと眼障りであるため、室内で使用する捕獲器は、このことを考慮する必要がある。
光源として例えば、LEDが好ましい。他に、電球(豆球、麦球など)、蛍光灯、紫外線ランプ、ネオン、ナトリウムランプ、水銀ランプ、ハロゲンランプ、プラズマ、有機EL、蓄光剤、化学反応による発光等を用いて指向性を有する光源を構成してもよい。
<実験>
実施例1と2の捕獲器において光源を捕獲器本体にセットし、50×30×30cmのケースでの実験で侵入実験を行った。捕獲器本体が白色で光透過性を有していない場合でも、光源81を備えることで捕獲器本体の内部11まで誘導できた。捕獲器を壁側に設置した場合の方が頻繁に内部に侵入した。光源を捕獲器に設置する位置により違いがあり、捕獲器内部に付近に来て初めて光源が直接見えるように光源を設置すると、光源が急に見えたところで、引き返した。これは、光の連続性が満たされていないためと考えられる。捕獲器内部11全体を明るくするより捕獲部30の一部に光を照射するように捕獲器に光源を設取り付けると、捕獲器内部の奥まで誘導できた。誘導板が銀色の場合の方が白色の場合より誘導効果が高かった。銀色の場合、開口部の奥部に向けて光源を取り付けた場合、反射の効果により捕獲器内部の奥まで誘導できた。
黄色のLEDを白色の捕獲器本体に取り付けた場合、ヒトスジシマカを捕獲することができた。緑色のLEDでも同様であった。一般にはUV成分を含むライトが使われるが、ほのかな黄色・緑色のLEDでも捕獲できる。設置場所として、部屋の隅や、壁側が適していた。なお、緑色は眼の緊張を和らげる働きがあり人間に対する刺激性も少ない。
捕獲器本体の上部に図12のように光源82をセットした場合は、捕獲器内部に侵入した後上向き飛翔方向を変え、光源82を目指す傾向が見られた。光源81と組み合わせると特にアカイエカにも有効であった。
人間が感知できる程度の微弱な気流であっても蚊などの飛翔虫は敏感に反応して飛翔態様が変わる。また、気流の速い流れに乗ると視覚的に背景の変化をもたらす場合がある。
しかし、従来のファン方式の捕獲器の場合にはファンが高速で回転して吸引するため、ファンの羽根の付近では、気流が乱れて気圧勾配やその変化も大きい。飛翔速度より速い気流を得るように吸入口の口径をあまり大きくすることはできないため、飛翔虫の侵入口が小さくなり、吸引のみで高い捕獲率を確保することは困難である。そのため、光、CO2または臭い物質などの誘引作用のある方法と組合せて吸入口に飛翔虫を誘引することが不可欠である。そのため、たとえば寝室に捕獲器を置くと就寝時にまぶしい、酸欠、臭いといった問題がある。
また、吸引されることを飛翔虫が視覚、加速度等によって事前に異常を察知し最大飛翔速度で逃避しまう場合もある。そのため、気流の変化に敏感である飛翔虫を吸引により捕獲するためには、最大飛翔速度より早い吸引風速が発生するようにファンを回転させる必要がある。
さらにファンの回転音や風切り音が発生し吸気した大量の空気の排気も必要であるためたとえば寝室に捕獲器を置くと就寝時にはファンの動作音が不快感を与え、部屋の空気の流れが気になるといった問題もある。そのため、捕獲率を高めるために吸入口の口径を大きくしファンを大きくするとこのような問題が顕著になる。そのため吸引ファンを用いた捕獲器は通常は居室以外の場所か野外で使用する。
また、吸引ファンの高速移動するブレードの縁部により飛翔虫を損傷して非衛生的である。また、手が誤ってファンに触れると危険であり、手が触れないようにファンを覆う構造物が必要となり、それが飛翔虫の侵入を妨げることにもなる。
以上の問題点を解決するためには、気流に関する環境連続性も取り入れた構成が必要となる。ここでの気流に関する環境連続性とは、空気の流れを滑らかにするなど気流の変化を最小限に抑えるという気流の力学的連続性及び、飛翔虫に感受される背景などの視覚的刺激の変化量が飛翔パターンに大きな影響を与えない程度に収まっている視覚的連続性を意味する。従来の吸引ファンによる捕獲する方式ではファン周辺での気圧勾配の形成が不可欠であるため環境連続性を満たすことは不可能である。本実施形態の捕獲器は開口部に可動部を有するが環境連続性を満たしながら飛翔虫を捕獲器内方に誘導することができる。
以下に本実施形態の捕獲器の構成について詳細に説明する。
本実施例にかかかる捕獲器は、図13等に示すように、飛翔虫の捕獲空間CSを画成する捕獲器本体10および捕獲空間の一部に配置される捕獲部30を有する飛翔虫の捕獲器10であって、捕獲空間に飛翔虫を誘導する飛翔虫誘導部20を具備し、飛翔虫誘導部20は、捕獲空間と外部空間との間に配置される開口部512と、捕獲空間から開口部を介して本体内部から外方に延在する可動誘導板521を具備する。さらに、可動誘導板521はモータなどの駆動部530により仮想軸RCのまわりを低速で回転する。
可動誘導板521の動きは、開口部512に向う方向DI(飛翔虫FMが侵入する方向DB)飛翔虫の飛翔速度より速い空気の流れを生じないように制御され、空気の流れを滑らかするなど気流の変化を最小限に抑える気流の環境連続性を満たすような十分小さい回転速度(以下、低速)で回転する。すなわち、可動誘導板の低速の移動は飛翔虫を傷つけない程度であり、かつ可動誘導板の移動により発生する空気の流れが飛翔虫の飛翔を阻害しない程度の低速の移動である。
本実施例の捕獲器による飛翔虫の捕獲原理は飛翔速度より速い気流の発生が不要であるため、捕獲器本体の開口部を大きくしても排気による空気の流れの問題はなく、また、可動誘導板の移動は低速であって風を積極的に発生する必要がないので、人の手などが接触することを防止するために防護柵を設ける必要がない。従って、開口部を広くすることができ、飛翔虫の侵入を妨げる防護柵が少なくなり、捕獲率を高めることができる。また可動誘導板は飛翔虫を誘導するだけでよいので可撓性のある材料を使用することができる。これより、光や誘引物資の補助なしでも十分に捕獲ができる。また飛翔虫を損傷しないで捕獲することが可能であるため衛生的である。
なお、ファンにより吸引する方式は、安全上またはライトなどの誘引作用があるものと組み合わせる必要から、捕獲器本体と外部空間との間の開口部内の空間にファンを設置することは不可能であり、当該開口部に可動誘導板を設置する本実施例と構造が全く異なる。
<静止仮想面と仮想的飛翔通路>
可動誘導板521は実施例1の誘導板に対応し、図14に示すように、可動誘導板521aおよび521bが回転などより移動することは飛翔虫FMが進入する方向DBと交差する方向DAに移動することと等価である。図14は飛翔虫FMが飛翔方向DBに一定の速さで可動誘導板の移動空間を飛翔通過する場合を模式的に表現したものである。すなわち可動誘導板521aおよび521bが方向DAに向かって移動し、そこを飛翔虫FMが飛翔通過するときに、時刻i(i=1,2,3)における可動誘導板521の位置をti、飛翔虫の方向DBに沿っての位置をmiとしたとする。
また、可動誘導板のDA方向の移動速度をvb(≧0)、飛翔虫の侵入方向DBの飛翔の速さをvm、可動誘導板の現実の傾斜角度をθとする。図14において、時間経過i=1、2、3とともに可動誘導板521aがt1、t2、t2の位置に移動し、これに伴い飛翔虫FMは方向250にm1、m2、m3の位置に移動する。時間経過の単位を単位時間とすれば、たとえばm2−m1=vm、t2−t1=vbとなる。
このとき各位置において飛翔虫から可動誘導板と位置miとの相対位置をみると見かけ上、
tanφ=tanθ − vb/vm (1)
を満たす傾斜角φをもつ仮想的な静止面561aが見えることになる。
可動誘導板が静止している場合には可動誘導板と仮想面は一致しφ=θである。同様にして移動する可動誘導板521bは飛翔虫FMから見かけ上傾斜角φを持つ仮想的な静止面561bが見えることになる。したがって、2つの仮想的な静止面561a,561bに挟まれた空間は飛翔虫が飛翔通過できる一時的な静止空間であり仮想的飛翔通路S211と呼ぶことにする。
仮想面の傾斜角φはその定義からφ≦θ(θ>0°)であり、図15に示すように仮想通路S211のうち飛翔虫が仮想面に接触せずに直進的に飛翔して素通りできる範囲S216が静止している場合(vb=0)の範囲S214に比べて増大してより内部に誘導されることを意味する。静止している場合と比較して飛翔虫が可動誘導板の移動空間を最短距離で飛翔通過できる通路幅S214がS216のように拡がることは注目すべきである。
また仮想的飛翔通路の幅dのうち直進的に飛翔して素通りできる領域S216以外の領域では飛翔虫が第1の仮想面561aに接触しうるが、第1の仮想面561aは以下に説明するように一定条件の下に飛翔虫を内方に誘導する作用がある。
可動誘導板521a(521b)は第1面520fと第2面520rを規定し、第1面520fがその作用において実施例1の誘導板に対応する。仮想的な飛翔通路S211の境界面を成す第1の仮想面561aは第1面520fの軌跡でもあるので飛翔虫が第1の仮想面561aに接触することは実際には移動している可動誘導板521a(521b)の第1面520fに接触することに対応する。
この場合には、飛翔虫が第1面520fを追いかける位置関係にあるので経路251に沿って飛翔し可動誘導板に接触して離反する時には図14の251に模式的に示すように第1の仮想面561aに対して角度φ(入射角90゜−φ)で入射し、反射角(90゜−φ)である方向r2に向かって飛翔する。可動誘導板521aが静止している場合にr1方向に飛翔方向を変更する場合と比べ見かけ上外方にいる飛翔虫がより侵入しやすい傾斜を持つ仮想面となるため飛翔虫をより内部に誘導する効果が高まる。
本実施形態では可動移動板の移動速度vbが十分に小さく仮想面の傾斜角φがθ<φ≦0°、すなわち0<vb≦vm×tanθを満たすように可動誘導板の移動が制御されることが好ましい。
より具体的には飛翔虫の飛翔速度を代表的飛翔速度(当該飛翔虫の最大飛翔速度)vm0として移動速度vbを
vb≦vm0×tanθ (第1条件)
を満たすように設定することが好ましい。
また、上記条件で可動誘導板の移動空間に侵入した飛翔虫が可動誘導板521bに接触する場合には飛翔虫が可動誘導板521bによって掬い入れられるように内方に誘導される。可動誘導板の移動速度が小さいので飛翔虫が空気流に流されるのではなく可動誘導板521bによって内方に誘導される。
本発明に係る可動誘導板が飛翔虫を吸引するのではなく飛翔虫の行動態様を利用して捕獲器内部に誘導するものであることは実施例1と何ら変わるものではない。図14に示す静止仮想面561a,561bは可動誘導板521a,521bの移動速度が小さく、飛翔虫の侵入方向DBの飛翔の速さと比較して際だって大きくない場合である。また、可動誘導板が移動する方向DAは可動誘導板の外方端部520eが内方端部520iよりも先行して移動する方向である。
なお、可動誘導板は典型的には図13に示すように複数のブレードを備えて回転により移動するので可動誘導板521aと521bの物理的配置間隔dは可動移動板が移動する円周の長さ以下となる。1枚のブレードでらせん状の可動誘導板を構成することも可能であって、第1周目のブレードが可動誘導板521aであり第2周目のブレードが可動誘導板521である。この場合には可動誘導板の傾斜角θがかなり大きくなるので仮想的飛翔通路の幅dが回転する円周の長さに等しくなり直進的に飛翔して素通りできる領域S216が存在しない場合もありうるが上述したように回転移動によって仮想的静止面561aの傾斜角φが静止時の傾斜角θより小さくなるため飛翔虫を内方に誘導する効果を奏する。また後述するように外方へ脱出しようとする飛翔虫の飛翔を遮蔽する効果も奏する。
可動誘導板は外方端部520eが内方端部520iに先行して第2面520rが向く方向に移動し、飛翔虫が外方空間から捕獲器内方に向かって可動誘導板の移動空間を飛翔通過しうるように(第1条件)移動が制御されることが好ましい。より好ましくは、可動誘導板は、飛翔虫が外方空間から捕獲器内方に向かって可動誘導板の移動空間を直進通過(250)しうるように移動が制御される。
さらに第1条件における等号、すなわちφ=0゜の場合は誘導板に接触せず自由に通過できる飛翔通過領域が最大に広がって可動誘導板の間隔dに等しくなったときである。このときには、飛翔虫が外部空間から捕獲器内方(捕獲空間)に向かって最短距離を代表的速度で飛翔する場合に相対的に形成される仮想面のよる自由通過領域が最大になるように前記可動誘導板の移動が制御される。
<負の傾斜角の仮想面>
可動移動板の移動速度が飛翔虫の速度vmを大きく上回ってvb>tanθ×vmすなわちφ<0°となる場合を図16に示す。この場合には、φ≧0°の場合と異なってDB方向に飛翔通過しようとする飛翔虫FMが仮想的飛翔通路S211の境界である第2の静的仮想面563bに接触する場合がある。
一般に吸引式のファンを用いた場合にはファンの回転が遅い場合でも見かけ上はφ<−70°程度は傾斜しているので飛翔虫か第2の仮想面563bに接触する確率が非常に高い。吸引のためにはファン周辺の空気魂を内方に排除しなければならないのでごく自然な結果である。飛翔虫が第2の仮想面563bに接触することは可動誘導板の第2面521bと衝突に近い状況で接触することを意味する。この状況は見かけ上飛翔虫が脱出する場合の遮蔽効果に類似しているが大きく異なる。第2の仮想面563bの実体は可動誘導板であってこの場合には飛翔速度より極めて速い速度で回転移動するので、飛翔虫が第2の仮想面563bに接触するときには可動誘導板の端部(縁部)に接触する可能性が高く飛翔虫が損傷を受けやすい。
また縁部でなく第2面520rに接触した場合であっても飛翔虫の飛翔方向斜め後方から不意に衝突する可能性が高く飛翔虫が第2面520r上で反射行動をとることができず、その衝撃力が非常に大きいため吸引とともに撃力により内部にたたき込まれることになり本発明が特徴とする誘導効果は全く期待できない。
本発明の可動誘導板はvb≦vm×tanθを満たすように可動誘導板の移動条件が設定される結果、仮想面の傾斜φが静止時の傾斜角θより小さくなるため飛翔虫の空間連続性を増大して内方への誘導効果が高まるとともに、仮想的な飛翔通路S211の傾斜角φが0°を下回らないため飛翔虫を不意打ちにより損傷を与えることがないため誘導効果を維持することができる。したがってこの条件は飛翔虫が仮想的な飛翔通路S211を素通りすることができるかまたは第1の仮想面561aに接触して誘導されるための条件であり、通過領域が最大になったときの限界値となる移動速度vb=vm×tanθを自由通過限界速度と呼ぶ。換言すれば、本実施例の捕獲器は飛翔虫が外部空間から捕獲空間に向かって前記可動誘導板の移動空間を飛翔通過する間に可動誘導板の第2面520rが飛翔虫に接触しないように移動が制御されることに特徴がある。
このような作用を実現するためにはすでに説明したように飛翔虫の環境連続性に対する感受能力、認識能力を利用できる程度に可動誘導面の移動速度を低く設定しなければならないことに留意しなければならない。たとえば吸引ファン方式の捕獲器のファン近傍では圧力勾配が大きく飛翔虫を強制的に吸引するために飛翔速度を上回る程度以上の風速が発生している必要があるが、このような状況ではφ<0°となって上述したような第1面520fの移動により飛翔虫を誘導することは不可能である。したがって、本実施例では結果的に発生する空気の流れの速さは吸引ファン方式によるものよりもはるかに小さくしなければならない。
<飛翔反射可能限界速度>
本発明による飛翔虫の誘導は、誘導板に衝突前後の飛翔パターンの性質を利用したものであり、ファンのように飛翔パターンを無視して強制的に引き込んでいるわけではない。したがって、衝突によるショックで飛翔虫が飛翔不可能な状態にするものではない。
一般に飛翔虫は自己の飛翔速度によって障害物に衝突しても飛翔を続け飛翔虫のボディが簡単に損傷しないので、φ<0°の状態で移動する可動誘導板521に自己の代表的飛翔速度で衝突した場合であっても一定の条件を満たせば飛翔可能状態の維持は可能であると考えられる。
飛翔虫の進行方向DBに対して傾きθを有しφ<0°の状態でDA方向にvbで移動する可動誘導板521に飛翔速度vmの飛翔虫が侵入してきた場合には、飛翔虫は可動誘導板521bの520rの面に追いかけられる状況になる。可動誘導板が飛翔虫に接近する速さはvb×cosθとなり、飛翔虫はvm×sinθで可動誘導板から遠ざかろうとする。ゆえにvb×cosθ−vm×sinθの値が代表的飛翔速度(当該飛翔虫の最大飛翔速度)vm0を超えたら、可動誘導板に代表飛翔速度以上で衝突したことになる。
ここで、衝突許容係数としてα(α≧1)を導入すると、vb×cosθ−vm×sinθ<αvm0より、vb<vm×tanθ+vm0×α/cosθとなる。これがvmの飛翔速度で侵入してきた場合の可動誘導板に衝突しても飛翔可能状態が維持できる可動誘導板の速度vbの限界値として評価される。
また、飛翔速度ゼロの場合、vb<vm0×α/cosθとなる。これは飛翔していない飛翔虫に可動誘導板が衝突とした場合の可動誘導板の速度vbの限界値となる。すなわち、可動誘導板の裏面部520rに押し込まれる形になるが、代表飛翔速度vm0よりもゆっくり飛翔している飛翔虫が可動誘導板に接触しても反射飛翔が可能な限界値となる。
ここで、α≧1、0≦cosθ≦1であるので、vm×tanθ(自由通過限界速度)<vm0×α/cosθ(飛翔反射可能限界速度)<vm×tanθ+vm0×α/cosθ(一部飛翔反射可能領域限界速度)という関係がなりたつ。係数αは安全を考慮すると典型的にはα=1としてよい。
したがって、衝突によるショックで飛翔虫が飛翔不能にならないようにするためには、可動誘導板の移動速度vbをvm0×1/cosθ以下、また少なくとも、vm×tanθ+vm0×1/cosθ以下にすることが好ましい。すなわち、可動誘導板のいかなる部分においてもその部分の移動速度をvbとしたときに
vb≦vm0×1/cosθ (第2条件)
または
vb≦vm×tanθ+vm0×1/cosθ (第3条件)
であることが要求される。
換言すると、可動誘導板は、外方端部520eが内方端部520iに先行して第2面520rが向く方向に移動し、飛翔虫が可動誘導板の第1面520fまたは第2面520rにおいて飛翔反射可能な状態で接触できるように移動が制御されることが好ましい。すなわち、可動誘導板の移動は、可動誘導板に接触しても前記可動板の移動空間を通過する飛翔虫の飛翔を妨げないように制御される。
ファンによる吸引方式のブレードは移動速度が大きく上述した条件の領域外であるため、飛翔虫が一旦ブレードに衝突すると飛翔不能となり、飛翔虫自体が壊れ体液が漏れ出し汚れや不衛生の原因ともなる。また、蛾の場合はボディが破損せずとも鱗粉が散乱し、特に毒蛾は鱗粉にも毒性があるため危険である。
<誘導効果と遮断効果>
本発明は飛翔虫を捕獲するためには、捕獲器内部へ飛翔虫を誘導することがまず肝要であり、その後は飛翔虫を粘着剤に固定すればよい。飛翔虫が捕獲器内部から外方に脱出しようとする場合には図14において可動移動板がDA方向とは反対のDA2方向に移動する場合と同じである。
また可動移動板の位置は時間とともにt3、t2、t1の位置に移動すると置き換えればよい。すなわち、可動誘導板521a,521bがDA方向に移動するときには仮想面561a,561bの傾斜角φは静止時の傾斜角θよりも大きくなって移動速度の増加とともに90°に収束することが理解されるであろう。したがって図15に示すように可動移動板の移動に伴って仮想面562a,562bが脱出しようとする飛翔虫と正面衝突に近い傾斜となって飛翔虫が捕獲空間に反射する行動をとるので、飛翔虫が可動誘導板の移動空間を最短距離で飛翔通過できる幅S215が狭くなる。したがって風が発生していなくても一定の遮蔽効果が生じ飛翔虫の脱出をより困難にする効果を奏する。
より詳細には、捕獲器内部から飛翔虫が速度vmで脱出する場合、すなわち、可動誘導板が方向DA2に移動するときの速度をvc(≧0)とすると、仮想的飛翔通路の傾斜角φは、
tanφ=tanθ+vc/vm (2)
となる。
表現(2)は表現(1)と表裏の関係にあり同一の可動誘導板についてvb=vcであるから、vc/vmの傾斜角φに対する寄与が逆になっている。すなわち、可動誘導板の移動は外方から侵入するときには仮想的飛翔通路の傾斜がφ<θ(たとえば561)となるが、一端内部に侵入して脱出しようとすると仮想的飛翔通路の傾斜がφ>θ(たとえば562)となる。したがって上述した条件を満たすように制御された可動誘導板の移動により誘導効果と遮蔽効果が両立することができる。
ここで、飛翔虫が可動誘導板に接触せずには飛翔通過できない全遮断条件を求めるために隣接する可動誘導板の間隔をd、可能誘導板の移動空間の厚さをwとする。このとき飛翔虫の直進通過を妨げる幅S215はw×tanφとなるのでこの幅が間隔d以上となると全遮断となる。すなわち全遮断条件はwtanφ≧dであって表現(2)より、
vc≧(d/w−tanθ)vm=−Δ×vm (3)
と表すことができる(第4条件)。ここでΔ≡tanθ−d/wである。
また、飛翔虫が全速力で飛翔する場合(vm=vm0)を全遮断限界とする。Δ≧0の場合は、可動誘導面の外方端部520eが隣の可動誘導面の内方端部520iとDB方向に対して重なりが生じる場合である。可動誘導板の速度が、−Δvmより速い場合には仮想飛翔通路を直進通過することはできなくなって全遮断となる。本発明においては全遮断条件は絶対条件ではなく、全遮断限界より移動速度vbが小さくても実際は飛翔虫を捕獲空間に閉じ込めることができ、脱出するまえに、粘着剤等で固定すれば捕獲できる。
上述したように本発明では誘導効果と遮断効果が両立することが要求される。すなわち、有効な誘導効果を有するためには、飛翔虫が直進的に飛翔して素通りして侵入することができ(第1条件)、または飛翔虫が第1の誘導面により内方に誘導される(第2条件)ことが要求され、有効な遮断効果を奏するためには飛翔虫が直進的に飛翔して外方に脱出することができない(第4条件)が要求される。したがって、有効な誘導効果と遮断効果が両立するための必要条件は、d/w<2tanθ、または、d/w<tanθ+1/cosθとなる。これが可動誘導板の移動による誘導効果と全遮断を両立させるための必要条件である。
したがって、可動誘導板は、外方端部520eが内方端部520iに先行して第2面520rが向く方向に移動し、自由通過限界以下および全遮断限界以上になるように移動が制御されることが好ましい。
なお、透過性の材質で捕獲器本体または可動誘導板が構成されている場合には、可動誘導板がこれらの移動条件を満たさなくても、視覚的連続性により飛翔虫を捕獲することが可能である。
<本実施例における限界値の例>
作成した捕獲器の寸法は縦25cm、横25cm、奥行き17cmで、可動誘導板には4枚のブレードを備え、各ブレードの可動誘導板の法線方向はブレードの主軸方向からみて回転軸に対してほぼ30°傾斜(θ=60°)したものの場合、外部空間の開口部S12近傍の風速は、可動誘導板の回転が80rpmのときには10cm/s、120rpmのときには14cm/s、240rpmのときには23cm/s程度であり、この範囲で風速は回転数にほぼ比例した。
ヤブカの飛翔速度は時速8k(222cm/s)でこれ以上の風速であると風に向って飛べなくなり(金鳥ホームページhttp://www.kincho.co.jp/gaichu/ka.html)、コダカアカイエカの群飛で146cm/sである(“蚊”、池庄司敏明著、東京大学出版会p94)。したがって、これらの蚊の飛翔速度に比べて、本実施形態に係る可動誘導板の回転によって形成される風速ははるかに小さい。
さらに、移動速度vbを250cm/s、代表的飛翔速度vmを222cm/sとした場合に、最大回転数240rpmの場合であっても仮想面の傾斜角φは約40°である。したがって、飛翔虫が外部空間から捕獲器内方に向かって可動誘導板の移動空間を飛翔通過する間に可動誘導板の第2面520bが飛翔虫に接触しないように移動が制御されていることが理解されるであろう。
また、飛翔不能にならないための可動誘導板の移動速度vbの限界値は、θ=60°、α=1とすると自由通過限界速度が384cm/s、飛翔反射可能限界が444cm/sと一部飛翔反射可能限界が828cm/sとなり、本実施形態の可動誘導板の移動速度はこれらの値を下回っている。また完全遮断限界速度は、θ=60゜、L=1.5cm(ブレードの幅3cm)、4枚のブレード(d=10cm)または8枚のブレード(d=4cm)の場合それぞれ1095cm/s、210cm/sとなる。4枚のブレードの場合、移動速度vbを250cm/sでは完全に遮断はされていない。しかし、粘着剤を塗布した板を捕獲器内部に設置しておくと蚊を捕獲することができた。完全遮断限界を満たしている場合は、粘着剤がなくても蚊を捕獲できる。
可動誘導板を回転により移動する場合には、例えば30rpm〜240rpm(0.5〜4Hz)のゆっくりした回転でよく、指を入れても安全である。換言すれば、ブレードの存在が目視できる程度の回転数であれば可動誘導板の誘導促進・遮蔽効果を奏する。ゆっくりした回転なので、音が静かであり枕元にも設置できる。空気の流れもわずかで気になりにくく、第1可動誘導板側はほとんど空気の流れは体感で気にならない。
<第1変更実施例>
本発明の捕獲器は、図17に示すように、本体の開口部512以外に、気流の乱れが起きないように、また、捕獲された飛翔虫が逃げないようにネットなどで空気が抜ける排出部540を備えるものであってもよい。
可動誘導板は、捕獲器内部の奥まで飛翔虫を誘導できるため、粘着剤などを使った捕獲部を奥に配置することができ、捕獲部に手が触れることを防ぐこともできる。捕獲部は、内壁の側面、底面、天井面などに備えることができる。捕獲器内に進入した飛翔虫は、開口部の反対側に向かいやすいので、裏面に捕獲部を配置し側面から空気が抜けるようにしてもよい。線状・棒状または格子状にした捕獲部を可動誘導板の後ろに設置しても良い。
捕獲器本体と可動誘導板は、光や誘引剤で誘導したり暗所で使用する場合は透明でなくてもよいが、昼間使用する場合は透明な材質が好ましい。本実施例の実験において、本体はポリプロピレン、可動誘導板は塩化ビニールを用いた。
図17における可動誘導板521は、図13に比べてブレードの幅や枚数を変更したものであるが、隙間があっても上述した誘導・遮蔽効果が発揮される。ブレードの大きさや枚数等に応じて回転数等の動作条件を決定する。
捕獲した飛翔虫が可動誘導板521との本体10の内側の壁面513との間に隙間から逃げ出しにくくするため、反し550を備える。この場合内部構造を四角にすることができ、粘着シートの設置が容易になる。
また、捕獲器本体内部10に飛翔速度を減速させるための部材を備えても良い。これには全遮断限界を下げる効果がある。捕獲器本体を透明な材質で製作してある場合は、視覚的連続性を満たすために前記の部材は透明な材質が好ましく、空気の流れが閉ざされないようにするため、かつ、見えにくくするため、透明な糸状のものを5mm間隔ぐらいで張ったものなどが好ましい。
<第2変更実施例>
図18は、実施例5の捕獲器にさらに第2可動誘導板522を付加したものである。第1開口部512に対向する位置に第2開口部513を設け、第1可動誘導板521と同様に第2可動板が取り付けられて移動する。本実施例では、第1開口部512を介して空気が流入し第2開口部を介して空気が流出するように構成される。具体的には、第2可動誘導板522の長さを短く構成し第2可動誘導板の移動領域では空気が流入するが第2可動誘導板の外側(端部側)が空気の逃げ道となる。すなわち、本発明の捕獲器はすでに説明したように積極的に圧力勾配により風を発生させる必要がないため第2可動誘導板の移動速度を十分に小さく設定することができ、わずかに発生する内方から外方への空気の流れと外方から内方への空気の流れが第2開口部で併存することが可能である。
また、捕獲器本体の上面または側面から空気が抜けるようにしてもよい。従来のファン方式では排出する空気量が多いため、飛翔虫が侵入口する複数の開口部を設けると排出する空気により発生する風による室内の空気の流れの影響が大きいが、本発明は空気の排出がわずかであるため、影響が少ない。図18のように空気の排出通路と侵入通路が併存するように第2開口部を設けると、人間等から排出された二酸化炭素や臭粒子が第1開口部を介して流入し第2可動誘導板のある側から流れ出ることによって室内に拡散して蚊をおびき寄せ、第1可動誘導板または第2可動誘導板から侵入させることができる。臭い物質の拡散を促すために、第2可動誘導板522の先端部522bの誘導板の傾きを基部で逆にして先端部から積極的に空気を流出拡散させることもできる。また本発明は空気流による風速を発生させることは目的ではないが結果として発生する空気の流れの連続性を高めることによって空気抵抗がより小さくすることができる。
可動誘導板の移動の態様はプロペラのような回転運動に限られるものではなく、エスカレータのようなリニアな移動や回転寿司のように平行移動しながら循環する態様で誘導板を動かしてもよい。また、移動の動力源として、モータ等の回転アクチュエータの他に、人工筋肉などのリニアアクチュエータ、電気等により駆動する機能プラスチックを用いてもよい。
本発明の捕獲対象として、蚊、蝿、アブ、ブユなどの双翅類、蛾などの鱗翅類、蜂などの膜翅類、ウンカ、ヨコバイなどの半翅類、テントウムシなどの鞘翅類等といった有翅昆虫亜綱といった飛翔昆虫が主であるが、昆虫以外の虫、鳥類、哺乳類でもよい。
なお、本発明の誘導板、可動誘導板は、明るいところで使用する場合は、視覚の連続性を満たすために、光透過性がある材質が望ましい。例えば、プラスチック、強化プラスティク、ABS樹脂、セロファン、セルロイド、セルロースエステル、ビニール、アクリル、塩化ビニール、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ガラス、紙、油紙、トレーシングペーパ等である。誘導板支持部材も透光性を有するものが望ましいが、色つきの半透明材質を用いても良い。また、捕獲部は粘着シートに誘引剤を混ぜたり、塗布することで、より効率的に虫を捕獲することもできる。
発明の効果
以上のように本発明の環境連続性を満たす誘導板や可動誘導板を使用することにより効率よく飛翔虫の飛翔習性を利用することができ、殺虫剤などの化学剤の使用不要で環境にもやさしく飛翔虫を捕獲できる。目に有害な紫外線を使用しなくてもよく、たとえ光を使用する場合であっても微弱な光で飛翔虫を捕獲することができる。また、高速で回転するファンが不要なため騒音がなく安全ありで、部屋でも就寝を妨げることなく使用できる。
また、拘束面と第1誘導板の一部が全接触することによって飛翔虫に感受される力学的刺激の変化量を飛翔パターンに著しい影響を与えない範囲に収めることが可能となり(力学的連続性)、飛翔虫を強制的に吸引するのではなく捕獲器内部まで誘導させることができる。
実施例4のように光源を用いる場合、環境連続性を満たす誘導板を使っているため、光は補助に過ぎず、微弱な光でよいため、就寝を妨げることなく使用できる。光源の効果として、捕獲部の奥まで飛翔虫を誘導でき、指向性を有する光源を複数用いることで、光源による内部構造が実現できさらなる捕獲率向上を図ることができる。
実施例5のように、気流の環境連続性を満たすような可動誘導板を用いることで、静かに飛翔虫を捕獲することができ、ファン吸引の排気による気流が気になりにくい。また、光やCO2などの誘引剤が不可欠でなく、光によるまぶしさや紫外線による害がなく、締め切った部屋で使用しても酸欠等の心配がなく安全である。従って、就寝時も使用できるというメリットもある。さらに、可動誘導板はゆっくり動くので、手が誤って入っても怪我の心配がなく、飛翔虫が可動誘導板に衝突しても潰れることがなく安全衛生的であり、学術調査のため飛翔虫のカウントや個体の確認ができる。
可動誘導板はゆっくり動くので誤って手などが入らないようにする防護柵が不要であり、防護柵により飛翔虫の侵入を妨げるととがなく効率よく飛翔虫を捕獲することができる。捕獲の効率を上げる方策として粘着剤を塗布した捕獲部を大きくすることが考えられるが、粘着剤が塗布された捕獲部の交換が面倒になる。しかし、可動誘導板を用いる実施例は、捕獲部に比較して開口部が広くできるので、効率よく飛翔虫を捕獲できる。空気が漏れ出るよう排出されるので、可動誘導板を複数具備することができ、開口部を増やして効率よく飛翔虫を捕獲することもできる。
産業上の利用可能性
本発明は屋内または野外で使用する飛翔虫捕獲器として利用可能である。また家畜等の動物の飼育において利用することも可能である。
実施例1に係る捕獲器の斜視図である。 (a)は図1の捕獲器の横断面図であり、(b)は捕獲部を備えた場合の捕獲器の横断面図である。 実施例1における捕獲部の変更実施例である。 実施例1の変更実施例である。 飛翔虫のホッピングの模式図である。 (a)捕獲器を第1誘導板を拘束面に接するように設置した場合、(b)捕獲器を第2誘導板の端部を拘束面に接するように設置した場合を示す図である。 実施例1における第2誘導板の変更実施例である。 (a)透明な障害物に斜めに衝突した場合の飛翔態様、(b)透明な障害物にほぼ正面から衝突した場合の飛翔態様を表す図である。 実施例3の斜視図である。 図9の捕獲器の横断面図である。 第1光源を有する実施例4の斜視図である。 第2光源を有する実施例4の斜視図である。 (a)実施例5に係る捕獲器の斜視図、(b)側面図である。 静止仮想面と仮想的誘導通路の概念図である。 可動誘導板の移動の向きと静止仮想面の関係を表す図である。 可動誘導板が高速移動する場合の仮想的誘導面の概念図である。 (a)第1変更実施例の斜視図、(b)側面図である。 (a)第2変更実施例の斜視図、(b)側面図である。
符号の説明
10……捕獲器
11……捕獲器内部または飛翔通路
CS……捕獲空間
20……誘導部
21……第1誘導板
22、23……第2誘導板
21i,22i,23i……誘導板の内方端部
21a……第1誘導板基部
21b、21c……第1誘導板先端部
22a、23a……第2誘導板基部
22b、23b……第2誘導板先端部
30……捕獲部
41、42、43……誘導板支持部材
50……拘束面
61b、61c……第1誘導板の端部
62b、62c、63b、63c……第2誘導板の端部
71、72、73……光透過性を有する障害物
81……第1光源
82……第2光源
C10……粘着シート挿入部
C11……吊り下げ部材または連結部材
C12……連結部材
S20……開口部
S24……第1開口
S25……第2開口
S26……第3開口
W1……第1誘導板の幅
W2……第2誘導板22、23が形成する第3開口S26の最大開口の幅
W3……第1誘導板と第2誘導板が形成する第1開口S24、第2開口S25における最小開口幅
W4……第1誘導板と第2誘導板が形成する第1開口S24、第2開口S25における最大の幅
W5……捕獲部の幅
n……誘導面の法線方向
z……垂直方向
512……第1開口部
513……第2開口部
520……可動誘導面
521……可動誘導板
522……第2可動誘導板
530……駆動部
540……排出部
550……反し
561a、561b、562a、562b、563a、563b……静止仮想面
DA……可動誘導板の進行方向
DB……飛翔虫の侵入方向
E……空気の排出方向
FM……飛翔虫
250、251……飛翔虫の経路
S211……仮想的飛翔通路
i1……入射方向
r1、r2……反射方向
ψ1……第1誘導板に対する第2誘導板の傾斜角度
θ……可動誘導板の傾斜角度
φ……静止仮想面の傾斜角度
θ1……入射角度
θ2……反射角度
d……可動誘導板の間隔
L……可能誘導板移動空間の厚さ

Claims (19)

  1. 第1誘導板と、
    前記第1誘導板に位置固定された第2誘導板であってその一部に漸近するほどに前記第1誘導板に漸近するものと、
    前記第1誘導板および前記第2誘導板によって画成される内部空間であって前記内部空間は外方に通じる開口を有するものと、
    前記内部空間内に位置固定された捕獲部であってその一部が前記第2誘導板の一部の近傍に位置するものと
    を具備することを特徴とする移動可能な飛翔虫捕獲器。
  2. 第1誘導板および第2誘導板によって画成される飛翔虫の飛翔通路であって前記飛翔通路のすべての端部が外方空間に開口するものと、
    前記飛翔通路の中間に設けられるくびれ部であって飛翔虫が飛翔通過可能であるものと、
    前記くびれ部の近傍に配置される捕獲部と
    を具備することを特徴とする移動可能な飛翔虫捕獲器。
  3. 前記第1誘導板は前記捕獲器本体の内面の一部を構成することを特徴とする請求項1記載の飛翔虫捕獲器。
  4. 前記内部空間において、前記第1誘導板および前記第2誘導板のいずれの面上の位置からも外方を望むことが可能であるように前記第1誘導板および第2誘導板が構成されることを特徴とする請求項1記載の飛翔虫捕獲器。
  5. 前記第2誘導板はその一部において前記第1誘導板に最も漸近し、前記第1誘導板と前記第2誘導板は前記第2誘導板の一部において前記飛翔虫が飛翔通過できる程度の間隙を有することを特徴とする請求項1または2記載の飛翔虫捕獲器。
  6. 前記捕獲部は前記第1誘導板または前記第2誘導板上に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の飛翔虫捕獲器。
  7. 前記第2誘導板は分離した2枚の誘導板を有し前記2枚の誘導板のそれぞれの内方端部は相互に漸近することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項記載の飛翔虫捕獲器。
  8. 前記第1誘導板はその外方端部において前記飛翔虫の飛翔拘束面と全接触可能であることを特徴とする請求項1または2記載の飛翔虫捕獲器。
  9. 前記第1誘導板または前記第2誘導板のすくなくとも一部が光透過性を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の飛翔虫捕獲器。
  10. 指向性を有する光源であって照射光が捕獲部に照射されるものを具備することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の飛翔虫捕獲器。
  11. 飛翔虫の捕獲空間を画成する捕虫器本体および前記捕獲空間の一部に配置される捕獲部を有する移動可能な飛翔虫捕獲器であって前記捕獲空間と外部空間との間に配置される開口部と、前記捕獲空間から前記開口部を介して外方に延在する可動誘導板であって第1面と第2面を規定するものとを具備し、
    前記可動誘導板の外方端部が内方端部に先行して前記第2面が向く方向に移動し、
    前記飛翔虫が前記第1面または第2面において飛翔反射可能な状態で接触しうるように前記可動誘導板の移動が制御されることを特徴とする飛翔虫捕獲器。
  12. 前記飛翔虫が外部空間から前記捕獲空間に向かって前記可動誘導板の移動空間を飛翔通過する間に前記第2面が前記飛翔虫に接触しないように前記可動誘導板の移動が制御されることを特徴とする請求項11記載の飛翔捕獲器。
  13. 前記可動誘導板は飛翔虫の飛翔速度より速い空気の流れを生じないように移動することを特徴とする請求項11または12記載の飛翔虫捕獲器。
  14. 前記可動誘導板の移動は前記可動板の移動空間を通過する飛翔虫の飛翔を妨げないように制御されることを特徴とする請求項11または12記載の飛翔虫捕獲器。
  15. 前記可動誘導板のすくなくとも一部が光透過性を有することを特徴とする請求項11または12記載の飛翔虫捕獲器。
  16. 前記捕獲器本体のすくなくとも一部が光透過性を有することを特徴とする請求項11または12記載の飛翔虫捕獲器。
  17. 前記可動誘導板は前記開口部に固定された仮想軸方向のまわりの回転により移動することを特徴とする請求項11乃至16記載の飛翔虫捕獲器。
  18. 前記捕獲空間と外部空間との間に配置される第2開口部と、
    前記捕獲空間から前記第2開口部を介して外方に延在する複数の可動面を有する第2可動誘導部であって前記第2可動移動面は飛翔虫の飛翔速度より速い空気の流れを生じないように移動するものとをさらに具備することを特徴とする請求項11乃至17記載の飛翔虫捕獲器。
  19. 前記第1開口部を介して空気が流入し前記第2開口部を介して空気が流出するように、前記第1可動誘導部および前記第2可動誘導部の可動移動面の移動が制御されることを特徴とする請求項18記載の飛翔虫捕獲器。

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