JP2007126775A - パルプ漂白助剤およびパルプ漂白方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】過酸化水素を活性化させて漂白反応効率を実用レベルまで向上させるパルプ漂白助剤およびパルプ漂白方法を提供することである。
【解決手段】過酸化水素によるパルプ漂白工程において、過酸化水素の活性化触媒として使用するパルプ漂白助剤であって、下記一般式(1)および明細書に記載した一般式(2)〜(4)で表される金属錯体のうちの少なくとも一つであるパルプ漂白助剤。過酸化水素によるパルプ漂白工程において、パルプに前記パルプ漂白助剤および過酸化水素を接触させることにより、該パルプを漂白するパルプ漂白方法である。
【化14】
(式中、R1〜R6、M1、X1、Y1およびn1は、明細書に記載の通りである。)
【選択図】なし
【解決手段】過酸化水素によるパルプ漂白工程において、過酸化水素の活性化触媒として使用するパルプ漂白助剤であって、下記一般式(1)および明細書に記載した一般式(2)〜(4)で表される金属錯体のうちの少なくとも一つであるパルプ漂白助剤。過酸化水素によるパルプ漂白工程において、パルプに前記パルプ漂白助剤および過酸化水素を接触させることにより、該パルプを漂白するパルプ漂白方法である。
【化14】
(式中、R1〜R6、M1、X1、Y1およびn1は、明細書に記載の通りである。)
【選択図】なし
Description
本発明は、製紙原料であるクラフトパルプ等のパルプの漂白反応を促進するためのパルプ漂白助剤、およびこれを用いたパルプ漂白方法に関するものであり、さらに詳しくは、過酸化水素によるパルプの漂白において、過酸化水素を活性化して漂白効果を増大させるためのパルプ漂白助剤およびパルプ漂白方法に関するものである。
従来から、クラフトパルプ等のパルプの漂白には、安価で漂白力が高くかつ反応中のパルプ繊維の損傷が小さいという特性を持つ塩素が使用されてきた。しかし、近年になって漂白時の副生成物である有機塩素化合物の排出が環境上問題視されるようになってきたため、塩素のかわりに酸素、過酸化水素、二酸化塩素を用いたECF型(Elemental Chlorine Free)の漂白システムへの切り替えが急速に進められている。
さらに、塩素系漂白剤を全て酸素系漂白剤に変更するTCF型(Total Chlorine Free)の漂白システムの研究も進められている。一方、酸素系漂白剤は塩素系漂白剤と比べて副生物の毒性が低いという利点があるが、漂白効果が小さいという大きな問題があるため、酸素系漂白剤の漂白効果の向上が要望されている。
現在、酸素系漂白剤の一つである過酸化水素が広く使用されているが、その漂白力は塩素や二酸化塩素などと比べて弱いため、過酸化水素はクラフトパルプ等のパルプの漂白反応において、補助的な役割で使用されるに留まっている。過酸化水素の反応性向上は、ECF型漂白、さらにはTCF型漂白を実現する上で達成すべき大きな課題となっている。
過酸化水素を活性化するための触媒として、金属錯体を用いた研究結果が報告されている。例えば、サレン錯体を触媒に用いることにより、過酸化水素による固体表面の洗浄効果および殺菌効果が促進されるという報告がある(特許文献1および特許文献2)。また、過酸化水素を金属錯体で活性化させて、クラフトパルプの漂白反応を行うことにより、漂白処理後のκ価(カッパー価)を減少させたという報告がある(特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7)。
しかしながら、特許文献3〜7の報告で用いられた金属錯体触媒は、漂白後のクラフトパルプのκ価の測定結果より、パルプ中の有機不純物の分解に効果があることは確認できているものの、クラフトパルプの白色度向上レベルの点では、実用上未だ不十分である。
本発明の課題は、過酸化水素を活性化させて漂白反応効率を実用レベルまで向上させるパルプ漂白助剤およびパルプ漂白方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、過酸化水素によるパルプ漂白工程において、過酸化水素の活性化触媒として使用するパルプ漂白助剤が特定の(遷移)金属錯体である場合には、該パルプの漂白効率が実用レベルまで向上するという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のパルプ漂白助剤は、過酸化水素によるパルプ漂白工程において、過酸化水素の活性化触媒として使用するものであって、下記一般式(1)〜(4)で表される金属錯体のうちの少なくとも一つであることを特徴とする。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。M1は、3価の金属イオンまたは2価の金属イオンであり、X1は、アルカリ金属イオンまたはテトラフェニルホスホニウムイオンであり、Y1は水分子または1価のアニオンである。n1は、M1が3価の金属イオンでY1が水分子の場合は1であり、M1が3価の金属イオンでY1が1価のアニオンの場合は2であり、M1が2価の金属イオンでY1が水分子の場合は2であり、M1が2価の金属イオンでY1が1価のアニオンの場合は3である。)
(式中、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。M2は、3価の金属イオンまたは2価の金属イオンであり、X2は、アルカリ金属イオンまたはテトラフェニルホスホニウムイオンであり、Y2は水分子または1価のアニオンである。n2は、M2が3価の金属イオンでY2が水分子の場合は1であり、M2が3価の金属イオンでY2が1価のアニオンの場合は2であり、M2が2価の金属イオンでY2が水分子の場合は2であり、M2が2価の金属イオンでY2が1価のアニオンの場合は3である。)
(式中、R15、R16、R17およびR18は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。R19は、水素原子、低級アルキル基またはアリール基を表す。M3は、3価の金属イオンまたは2価の金属イオンであり、X3は、アルカリ金属イオンまたはテトラフェニルホスホニウムイオンであり、Y3は水分子または1価のアニオンである。n3は、M3が3価の金属イオンでY3が水分子の場合は1であり、M3が3価の金属イオンでY3が1価のアニオンの場合は2であり、M3が2価の金属イオンでY3が水分子の場合は2であり、M3が2価の金属イオンでY3が1価のアニオンの場合は3である。)
(式中、R20、R21およびR22は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。R23は、水素原子、低級アルキル基またはアリール基を表す。M4は、3価の金属イオンまたは2価の金属イオンであり、Y4は、M4が3価の金属イオンの場合は1価のアニオンであり、M4が2価の金属イオンの場合は水分子である。)
本発明のパルプ漂白助剤は、パルプの漂白性に優れるので、前記パルプがクラフトパルプであるのが好ましい。
本発明のパルプ漂白方法は、過酸化水素によるパルプ漂白工程において、パルプに前記したパルプ漂白助剤および過酸化水素を接触させることにより、該パルプを漂白することを特徴とする。
本発明のパルプ漂白方法は、前記パルプがクラフトパルプであるのがよい。また、確実にパルプを漂白する上で、溶媒中でパルプに前記パルプ漂白助剤および過酸化水素を接触させるのがよい。さらに、白色度により優れたパルプを得る上で、前記溶媒に水酸化ナトリウムを添加し、該溶媒中でパルプに前記パルプ漂白助剤および過酸化水素を接触させるのが好ましい。
本発明によれば、過酸化水素によるパルプ漂白工程において、上記一般式(1)〜(4)で表される(遷移)金属錯体を過酸化水素の活性化触媒として使用するので、該パルプの漂白効率が向上し、白色度に優れたパルプを得ることができるという効果がある。しかも、これらの金属錯体は過酸化水素を活性化させるので、過酸化水素の使用量を節約することができる。さらに、漂白するパルプがクラフトパルプである場合には、本発明にかかるパルプ漂白助剤およびパルプ漂白方法の有用性がより向上する。
<パルプ漂白助剤>
本発明のパルプ漂白助剤は、過酸化水素によるパルプ漂白工程において、過酸化水素の活性化触媒として使用するものであり、上記一般式(1)〜(4)で表される(遷移)金属錯体のうちの少なくとも一つである。これらの金属錯体は、過酸化水素の活性化触媒として高い機能を有するので、該金属錯体を過酸化水素の活性化触媒として使用すると、過酸化水素が活性化し、パルプを所定の白色度に漂白することができる。
本発明のパルプ漂白助剤は、過酸化水素によるパルプ漂白工程において、過酸化水素の活性化触媒として使用するものであり、上記一般式(1)〜(4)で表される(遷移)金属錯体のうちの少なくとも一つである。これらの金属錯体は、過酸化水素の活性化触媒として高い機能を有するので、該金属錯体を過酸化水素の活性化触媒として使用すると、過酸化水素が活性化し、パルプを所定の白色度に漂白することができる。
[一般式(1)で表される金属錯体]
前記したように、一般式(1)中、R1〜R6は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。
前記したように、一般式(1)中、R1〜R6は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。
前記低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐した低級アルキル基が挙げられ、アリール基としては、例えばフェニル基等の炭素数6〜16のアリール基が挙げられ、低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐した低級アルコキシ基が挙げられ、アルキルオキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられ、アリールオキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、アリーロキシ基としては、例えばフェノキシ基等が挙げられ、
アシロキシ基としては、例えばアセトキシ基等が挙げられ、アシル基としては、例えばアセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
アシロキシ基としては、例えばアセトキシ基等が挙げられ、アシル基としては、例えばアセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
また、一般式(1)中、M1は3価の金属イオンまたは2価の金属イオンであり、X1はアルカリ金属イオンまたはテトラフェニルホスホニウムイオンであり、Y1は水分子または1価のアニオンである。さらにn1は、M1が3価の金属イオンでY1が水分子の場合は1であり、M1が3価の金属イオンでY1が1価のアニオンの場合は2であり、M1が2価の金属イオンでY1が水分子の場合は2であり、M1が2価の金属イオンでY1が1価のアニオンの場合は3である。
前記M1の3価の金属イオンとしては、例えばマンガン、鉄(Fe)、コバルト、ルテニウム等の3価金属のイオンが挙げられ、2価の金属イオンとしては、例えばニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛等の2価金属のイオンが挙げられる。前記X1のアルカリ金属イオンとしては、例えばリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属イオンが挙げられる。前記Y1の1価アニオンとしては、例えば水酸化物イオン、酢酸イオン、過塩素酸イオンまたはハロゲン化物イオンが挙げられ、前記ハロゲン化物イオンとしては、例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンが挙げられる。特に、本発明では、前記M1はニッケル(Ni)、銅(Cu)であるのが好ましい。
前記一般式(1)で表される金属錯体は、例えば下記のようにして得ることができる。まず、一般式(1)で表される金属錯体の配位子を合成する。該配位子は、下記一般式(1a)で表され、前記R1〜R6で表される置換基を有する1,8−ジアミノナフタレンと、クロログリオキシル酸エチルエステルとを、テトラヒドロフラン等の溶液中で混合し、生成物を濃水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液中で脱エステル化反応させて合成する。
ついで、還流状態のアルコール溶液中で、該配位子と金属塩とを、水酸化ナトリウム等のアルカリを共存させて反応させた後、溶液を減圧除去して前記一般式(1)で表される金属錯体を得ることができる。なお、前記配位子と金属塩とは等モル量、アルカリは4モル量であるのがよい。
[一般式(2)で表される金属錯体]
前記したように、一般式(2)中、R7〜R14は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。
前記したように、一般式(2)中、R7〜R14は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。
前記低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基としては、前記一般式(1)におけるR1〜R6で例示したものと同様の置換基が挙げられる。
また、一般式(2)中、M2は3価の金属イオンまたは2価の金属イオンであり、X2はアルカリ金属イオンまたはテトラフェニルホスホニウムイオンであり、Y2は水分子または1価のアニオンである。さらにn2は、M2が3価の金属イオンでY2が水分子の場合は1であり、M2が3価の金属イオンでY2が1価のアニオンの場合は2であり、M2が2価の金属イオンでY2が水分子の場合は2であり、M2が2価の金属イオンでY2が1価のアニオンの場合は3である。
前記M2の3価の金属イオンとしては、例えばマンガン、鉄、コバルト、ルテニウム等の3価金属のイオンが挙げられ、2価の金属イオンとしては、例えばニッケル、銅、亜鉛等の2価金属のイオンが挙げられる。前記X2のアルカリ金属イオンとしては、例えばリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属イオンが挙げられる。前記Y2の1価アニオンとしては、例えば水酸化物イオン、酢酸イオン、過塩素酸イオンまたはハロゲン化物イオンが挙げられ、前記ハロゲン化物イオンとしては、例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンが挙げられる。
前記一般式(2)で表される金属錯体のうち、マンガン錯体[一般式(2)中、M2がマンガン]については、例えば国際公開第04/00986号パンフレットに記載されている方法等で得ることができる。また、マンガン錯体以外の金属錯体については、マンガン錯体の合成方法に準じて得ることができる。なお、一般式(2)で表される金属錯体の配位子は、下記一般式(2a)で表される。
[一般式(3)で表される金属錯体]
前記したように、一般式(3)中、R15〜R18は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。
前記したように、一般式(3)中、R15〜R18は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。
前記低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基としては、前記一般式(1)におけるR1〜R6で例示したものと同様の置換基が挙げられる。
また、一般式(3)中、R19は、水素原子、低級アルキル基またはアリール基を表し、前記低級アルキル基、アリール基としては、前記一般式(1)におけるR1〜R6で例示したものと同様の置換基が挙げられる。
さらに、一般式(3)中、M3は3価の金属イオンまたは2価の金属イオンであり、X3はアルカリ金属イオンまたはテトラフェニルホスホニウムイオンであり、Y3は水分子または1価のアニオンである。さらにn3は、M3が3価の金属イオンでY3が水分子の場合は1であり、M3が3価の金属イオンでY3が1価のアニオンの場合は2であり、M3が2価の金属イオンでY3が水分子の場合は2であり、M3が2価の金属イオンでY3が1価のアニオンの場合は3である。
前記M3の3価の金属イオンとしては、例えばマンガン、鉄、コバルト、ルテニウム等の3価金属のイオンが挙げられ、2価の金属イオンとしては、例えばニッケル、銅、亜鉛等の2価金属のイオンが挙げられる。前記X3のアルカリ金属イオンとしては、例えばリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属イオンが挙げられる。前記Y3の1価アニオンとしては、例えば水酸化物イオン、酢酸イオン、過塩素酸イオンまたはハロゲン化物イオンが挙げられ、前記ハロゲン化物イオンとしては、例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンが挙げられる。
前記一般式(3)で表される金属錯体は、例えば下記のようにして得ることができる。まず、一般式(3)で表される金属錯体の配位子を合成する。該配位子は、下記一般式(3a)で表され、例えばTetrahedron Lett. 1997,38,2377-2380.に記載されている方法等で合成することができる。
ついで、還流状態のアルコール溶液中で、該配位子と金属塩とを、水酸化ナトリウム等のアルカリを共存させて反応させた後、溶液を減圧除去して前記一般式(3)で表される金属錯体を得ることができる。なお、前記配位子と金属塩とは等モル量、アルカリは4モル量であるのがよい。
[一般式(4)で表される金属錯体]
前記したように、一般式(4)中、R20、R21およびR22は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。
前記したように、一般式(4)中、R20、R21およびR22は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。
前記低級アルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、アリーロキシ基、アシロキシ基、アシル基としては、前記一般式(1)におけるR1〜R6で例示したものと同様の置換基が挙げられる。
また、一般式(4)中、R23は、水素原子、低級アルキル基またはアリール基を表し、前記低級アルキル基、アリール基としては、前記一般式(1)におけるR1〜R6で例示したものと同様の置換基が挙げられる。
さらに、一般式(4)中、M4は3価の金属イオンまたは2価の金属イオンであり、Y4は、M4が3価の金属イオンの場合は1価のアニオンであり、M4が2価の金属イオンの場合は水分子である。
前記M4の3価の金属イオンとしては、例えばマンガン、鉄、コバルト、ルテニウム等の3価金属のイオンが挙げられ、2価の金属イオンとしては、例えばニッケル、銅、亜鉛等の2価金属のイオンが挙げられる。また、前記Y4の1価のアニオンとしては、例えば水酸化物イオン、酢酸イオン、過塩素酸イオンまたはハロゲン化物イオンが挙げられ、前記ハロゲン化物イオンとしては、例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンが挙げられる。
前記一般式(4)で表される金属錯体は、例えば下記のようにして得ることができる。まず、一般式(4)で表される金属錯体の配位子を合成する。該配位子は、下記一般式(4a)で表され、例えばJournal of Molecular Structure 2000, 554, 211 - 223.に記載されている方法に従い、合成することができる。ついで、金属塩に酢酸化合物等を用い、前記配位子と共にアルコール中で加熱還流を行うことで、前記一般式(4)で表される金属錯体を得ることができる。
前記一般式(1)〜(4)で表される金属錯体は、パルプ固形分総量に対して0.1〜1000ppm、好ましくは50〜100ppmの割合で使用するのが好ましい。これにより、確実に過酸化水素を活性化させることができる。これに対し、前記金属錯体が0.1ppmより少ないと、過酸化水素を十分に活性化できないおそれがあり、1000ppmより多いと、必要以上に使用することになり、コストが上がるので好ましくない。
パルプ漂白工程において、前記過酸化水素はパルプ固形分総量に対して0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜3.0重量%の割合であるのが好ましい。本発明では、過酸化水素の活性化触媒として使用するパルプ漂白助剤が前記一般式(1)〜(4)で表される金属錯体であるので、この範囲内の過酸化水素量で、白色度に優れたパルプを得ることができる。これに対し、過酸化水素が0.1重量%より少ないと、パルプの白色度が低下するおそれがあり、5.0重量%より多いと、過酸化水素のロスが増加するので好ましくない。
本発明のパルプ漂白助剤は、上述の通りパルプの漂白性に優れるので、例えばクラフトパルプ等の化学パルプ、サーモメカニカルパルプ等の機械パルプ等のパルプに好適に使用することができる。特に、本発明では、前記パルプがクラフトパルプであるのが好ましい。
<パルプ漂白方法>
本発明のパルプ漂白方法は、過酸化水素によるパルプ漂白工程において、パルプに前記したパルプ漂白助剤、すなわち前記一般式(1)〜(4)で表される金属錯体と、過酸化水素とを接触させることにより、該パルプを漂白する。前記パルプ漂白方法は、パルプの漂白性に優れるので、前記パルプはクラフトパルプであるのが好ましい。
本発明のパルプ漂白方法は、過酸化水素によるパルプ漂白工程において、パルプに前記したパルプ漂白助剤、すなわち前記一般式(1)〜(4)で表される金属錯体と、過酸化水素とを接触させることにより、該パルプを漂白する。前記パルプ漂白方法は、パルプの漂白性に優れるので、前記パルプはクラフトパルプであるのが好ましい。
また、前記パルプ漂白工程は、溶媒中でパルプに前記パルプ漂白助剤および過酸化水素を接触させるのが好ましい。これにより、効率よく過酸化水素を活性化させることができる。前記溶媒としては、本発明方法の効果を損なわない限りにおいて、特に限定されるものではなく、例えば水等が挙げられる。
具体的には、まず、パルプを溶媒に分散させて反応用パルプ溶液を調製する。この際、前記パルプは、溶媒およびパルプ固形分総量に対して1〜30重量%、好ましくは10〜25重量%の割合で分散させるのが好ましい。ついで、この溶液に前記パルプ漂白助剤および過酸化水素を添加し、パルプ(パルプ繊維)に前記パルプ漂白助剤および過酸化水素を接触させればよい。前記接触は、均一接触であるのが好ましい。また、パルプにパルプ漂白助剤および過酸化水素を接触させる際には、前記溶媒は攪拌してもよく、静置したままでもよい。
パルプ漂白助剤および過酸化水素がパルプに接触する際の該パルプの温度は20〜90℃、好ましくは50〜70℃に保つのがよい。また、パルプ漂白助剤および過酸化水素がパルプに接触している時間は30分〜180分、好ましくは60分〜120分であるのがよい。この温度または時間範囲内でパルプ漂白助剤および過酸化水素をパルプに接触させると、確実にパルプを所定の白色度に漂白することができる。
また、前記溶媒に水酸化ナトリウムを添加し、該溶媒中でパルプにパルプ漂白助剤および過酸化水素を接触させるのが好ましい。これにより、白色度により優れたパルプを得ることができる。該水酸化ナトリウムの添加量は、パルプ固形分総量に対して0.1〜1.0重量%、好ましくは0.5〜0.8重量%であるのがよい。
なお、上記の説明では、まずパルプを溶媒に分散させる場合について説明したが、パルプ漂白助剤および過酸化水素を溶媒に添加した後に、パルプを溶媒に分散させてもよい。また、パルプ漂白助剤および過酸化水素の添加は、確実に過酸化水素をパルプに接触させる上で、パルプ漂白助剤、過酸化水素の順に添加するのが好ましいが、本発明方法はこれに限定されるものではなく、過酸化水素、パルプ漂白助剤の順であってもよい。さらに、溶媒に水酸化ナトリウムを添加する場合には、まず、パルプを溶媒に分散して反応用パルプ溶液を調製し、この溶液に水酸化ナトリウムおよびパルプ漂白助剤、過酸化水素の順に添加するのが好ましく、特に過酸化水素を最後に添加するのが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例で使用した金属錯体は、以下の7種類である。
<一般式(1)で表される金属錯体の合成例>
[(1)−Niの合成]
(配位子の合成)
1,8−ジアミノナフタレン2.0gをテトラヒドロフラン中に溶かし、2モル量のクロログリオキシル酸エチル3.5gを滴下しながら反応させた。滴下終了後、30分間加熱還流した後、析出物をろ過し、テトラヒドロフランをロータリーエバポレーターで留去して赤茶色析出物を得た。この析出物を2.0モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に溶かし、65℃に加熱しながら1時間撹拌を行った。ついで、2.0モル/L塩酸水溶液で反応液のpHを3.0に調整した後、ロータリーエバポレーターで溶液を濃縮して目的の配位子を得た(収率66%)。
<一般式(1)で表される金属錯体の合成例>
[(1)−Niの合成]
(配位子の合成)
1,8−ジアミノナフタレン2.0gをテトラヒドロフラン中に溶かし、2モル量のクロログリオキシル酸エチル3.5gを滴下しながら反応させた。滴下終了後、30分間加熱還流した後、析出物をろ過し、テトラヒドロフランをロータリーエバポレーターで留去して赤茶色析出物を得た。この析出物を2.0モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に溶かし、65℃に加熱しながら1時間撹拌を行った。ついで、2.0モル/L塩酸水溶液で反応液のpHを3.0に調整した後、ロータリーエバポレーターで溶液を濃縮して目的の配位子を得た(収率66%)。
(金属錯体の合成)
前記配位子1.0gと等モル量の酢酸ニッケル(II)四水和物0.83g、4モル量の水酸化ナトリウム0.53gを水に溶かし、加熱還流を30分間行って反応させた。反応後の溶液をロータリーエバポレーターで濃縮することにより、目的の金属錯体(1)−Ni[一般式(1)で表される構造式中、M1=Ni(II)、X1=Na+、R1〜R6=H(水素原子)、Y1=水分子、n1=2]を淡緑色粉末として得た(収率60%)。
前記配位子1.0gと等モル量の酢酸ニッケル(II)四水和物0.83g、4モル量の水酸化ナトリウム0.53gを水に溶かし、加熱還流を30分間行って反応させた。反応後の溶液をロータリーエバポレーターで濃縮することにより、目的の金属錯体(1)−Ni[一般式(1)で表される構造式中、M1=Ni(II)、X1=Na+、R1〜R6=H(水素原子)、Y1=水分子、n1=2]を淡緑色粉末として得た(収率60%)。
その他の一般式(1)で表される金属錯体(1)−Fe、(1)−Cuについても、(1)−Niと同様の方法で合成した。すなわち、(1)−Fe[一般式(1)で表される構造式中、M1=Fe(III)、X1=Na+、R1〜R6=H、n1=1]の合成は、前記酢酸ニッケル(II)四水和物0.83gに代えて、塩化鉄(III)六水和物0.90gを用いた以外は、(1)−Niと同様の方法で合成した。
また、(1)−Cu[一般式(1)で表される構造式中、M1=Cu(II)、X1=Na+、R1〜R6=H、Y1=水分子、n1=2]の合成は、前記酢酸ニッケル(II)四水和物0.83gに代えて、塩化銅(II)二水和物0.57gを用いた以外は、(1)−Niと同様の方法で合成した。
<一般式(2)で表される金属錯体の合成例>
[(2)−Niの合成]
(配位子の合成)
1,2−ジアミノベンゼン2.0gをテトラヒドロフラン中に溶かし、2モル量のクロログリオキシル酸エチル5.1gを滴下した。滴下後30分間加熱還流した後、析出物をろ過で取り除き、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮して白色析出物を回収した。この析出物を再度トルエンに溶かし、1,2−ジアミノベンゼン2.0gを加えて24時間加熱環流した。放冷後、目的の配位子を緑白色析出物として得た(収率30%)。
[(2)−Niの合成]
(配位子の合成)
1,2−ジアミノベンゼン2.0gをテトラヒドロフラン中に溶かし、2モル量のクロログリオキシル酸エチル5.1gを滴下した。滴下後30分間加熱還流した後、析出物をろ過で取り除き、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮して白色析出物を回収した。この析出物を再度トルエンに溶かし、1,2−ジアミノベンゼン2.0gを加えて24時間加熱環流した。放冷後、目的の配位子を緑白色析出物として得た(収率30%)。
(金属錯体の合成)
アルゴン雰囲気下、前記配位子1.0gを無水テトラヒドロフランに溶かし、溶液を−100℃に冷却した。ここに1.6モル/Lのn−ブチルリチウム溶液を7.7ml(配位子に対して4モル量)滴下し、配位子中のアミンの脱プロトン化を行った。その後、無水塩化ニッケル(II)を0.40g添加し、溶液の温度を徐々に室温まで上昇させ、22時間撹拌した。ついで、溶媒をロータリーエバポレーターで濃縮して、目的のニッケル錯体(2)−Ni[一般式(2)で表される構造式中、M2=Ni(II)、X2=Na+、R7〜R14=H、Y2=水分子、n2=2]を析出物として得た(収率70%)。
アルゴン雰囲気下、前記配位子1.0gを無水テトラヒドロフランに溶かし、溶液を−100℃に冷却した。ここに1.6モル/Lのn−ブチルリチウム溶液を7.7ml(配位子に対して4モル量)滴下し、配位子中のアミンの脱プロトン化を行った。その後、無水塩化ニッケル(II)を0.40g添加し、溶液の温度を徐々に室温まで上昇させ、22時間撹拌した。ついで、溶媒をロータリーエバポレーターで濃縮して、目的のニッケル錯体(2)−Ni[一般式(2)で表される構造式中、M2=Ni(II)、X2=Na+、R7〜R14=H、Y2=水分子、n2=2]を析出物として得た(収率70%)。
その他の一般式(2)で表される金属錯体(2)−Feについても、(2)−Niと同様の方法で合成した。すなわち、(2)−Fe[一般式(2)で表される構造式中、M2=Fe(III)、X2=Na+、R7〜R14=H、Y2=水分子、n2=1]の合成は、前記無水塩化ニッケル(II)0.40gに代えて、無水塩化鉄(II)0.39gを用い、前記方法にて室温で22時間攪拌後、さらに2時間空気を吹き込んで鉄(II)を鉄(III)へ酸化させた以外は、(2)−Niと同様の方法で合成した。
<一般式(3)で表される金属錯体の合成例>
[(3)−Niの合成]
(配位子の合成)
[(3)−Niの合成]
(配位子の合成)
1,2−ジアミノベンゼン2.0gをテトラヒドロフラン中に溶かし、2モル量のクロログリオキシル酸エチル5.1gを滴下した。滴下後、30分間加熱還流した後、析出物をろ過で取り除き、溶媒をロータリーエバポレーターで濃縮して褐色析出物を回収した。この析出物を再度エタノールに溶かし、メチルアミン40%水溶液4.3gを加えて65℃に加熱しながら30分間撹拌した。反応後、溶媒および過剰のメチルアミンをロータリーエバポレーターで留去して、目的の配位子を白色粉末として得た(収率85%)。
(金属錯体の合成)
前記配位子1.0gと等モル量の酢酸ニッケル(II)四水和物0.91g、4モル量の水酸化ナトリウム0.58gを水/メタノール1:1溶液中で混合し、加熱還流を2時間行って反応させた。反応後の溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、目的の金属錯体(3)−Ni[一般式(3)で表される構造式中、M3=Ni(II)、X3=Na+、R15〜R19=H、Y3=水分子、n3=2]を緑色粉末として得た(収率73%)。
前記配位子1.0gと等モル量の酢酸ニッケル(II)四水和物0.91g、4モル量の水酸化ナトリウム0.58gを水/メタノール1:1溶液中で混合し、加熱還流を2時間行って反応させた。反応後の溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、目的の金属錯体(3)−Ni[一般式(3)で表される構造式中、M3=Ni(II)、X3=Na+、R15〜R19=H、Y3=水分子、n3=2]を緑色粉末として得た(収率73%)。
<一般式(4)で表される金属錯体の合成例>
[(4)−Niの合成]
(配位子の合成)
2,6−ピリジンジカルボン酸クロリド2.0gを溶媒であるジクロロメタンに溶かし、2モル量のメチルアミン水溶液0.61gを滴下した。溶液を30分間室温下で撹拌した後、溶媒をロータリーエバポレーターで除き、目的の配位子を得た(収率99%)。
[(4)−Niの合成]
(配位子の合成)
2,6−ピリジンジカルボン酸クロリド2.0gを溶媒であるジクロロメタンに溶かし、2モル量のメチルアミン水溶液0.61gを滴下した。溶液を30分間室温下で撹拌した後、溶媒をロータリーエバポレーターで除き、目的の配位子を得た(収率99%)。
(金属錯体の合成)
前記配位子1.0gと等モル量の酢酸ニッケル(II)四水和物をメタノールに溶かし、1時間加熱環流した。反応終了後、溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、目的の金属錯体(4)−Ni[一般式(4)で表される構造式中、M4=Ni(II)、Y4=水分子、R20〜R23=H]を緑色沈澱として得た(収率70%)。
前記配位子1.0gと等モル量の酢酸ニッケル(II)四水和物をメタノールに溶かし、1時間加熱環流した。反応終了後、溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、目的の金属錯体(4)−Ni[一般式(4)で表される構造式中、M4=Ni(II)、Y4=水分子、R20〜R23=H]を緑色沈澱として得た(収率70%)。
[実施例1〜7]
上記で合成した各金属錯体[(1)−Ni、Fe、Cu、(2)−Ni、Fe、(3)−Niおよび(4)−Ni]を表1に示す組み合わせで用いて、以下の条件でクラフトパルプの過酸化水素による漂白反応を行った。
上記で合成した各金属錯体[(1)−Ni、Fe、Cu、(2)−Ni、Fe、(3)−Niおよび(4)−Ni]を表1に示す組み合わせで用いて、以下の条件でクラフトパルプの過酸化水素による漂白反応を行った。
(クラフトパルプの漂白実験条件)
パルプ : O2段処理後のクラフトパルプ
金属錯体添加量 : 100ppm(対クラフトパルプ固形分総量)
過酸化水素添加量 : 3.0重量%(対クラフトパルプ固形分総量)
水酸化ナトリウム添加量 : 0.5重量%(対クラフトパルプ固形分総量)
パルプ濃度 : 25重量%(対水道水およびクラフトパルプ固形分総量)
反応温度 : 60℃
反応時間 : 90分
なお、上記「O2段処理後」とは、「酸素による漂白が行われた後」を意味する。
パルプ : O2段処理後のクラフトパルプ
金属錯体添加量 : 100ppm(対クラフトパルプ固形分総量)
過酸化水素添加量 : 3.0重量%(対クラフトパルプ固形分総量)
水酸化ナトリウム添加量 : 0.5重量%(対クラフトパルプ固形分総量)
パルプ濃度 : 25重量%(対水道水およびクラフトパルプ固形分総量)
反応温度 : 60℃
反応時間 : 90分
なお、上記「O2段処理後」とは、「酸素による漂白が行われた後」を意味する。
(クラフトパルプの漂白実験操作)
絶乾パルプ30gと水道水90gを混合し、濃度25重量%の反応用パルプ溶液を調製した。パルプ溶液は60℃の温水で加熱を行い、一定の温度に保持した。このパルプ溶液に、水酸化ナトリウム、上記で合成した各金属錯体、そして過酸化水素の順に薬品を添加し、60分間反応を行った。
絶乾パルプ30gと水道水90gを混合し、濃度25重量%の反応用パルプ溶液を調製した。パルプ溶液は60℃の温水で加熱を行い、一定の温度に保持した。このパルプ溶液に、水酸化ナトリウム、上記で合成した各金属錯体、そして過酸化水素の順に薬品を添加し、60分間反応を行った。
漂白反応終了後のパルプは水道水で洗浄し、日本工業規格JIS−P−8222で規定された抄紙方法に基づいて抄紙を行い、白色度測定およびκ価測定用のサンプル紙片を作成した(パルプ固形分として3.00g使用。坪量は150g/m2)。
作成したサンプル紙片の白色度は、日本工業規格JIS−P−8222で規定されたISO白色度の測定法に基づき、(有)東京電色製のERP−80WXを用いて測定した。
漂白反応終了後パルプのκ価は、前記方法にて作成したサンプル紙片を使用し、日本工業規格JIS−P−8211で規定されたκ価の測定法に準じて、以下の方法で測定した。すなわち、前記方法にて作成したサンプル紙片を白色度測定後、70℃の乾燥機中で完全に乾燥させた(絶乾状態)。絶乾状態のサンプル紙片のうち約1.5g使用し、2Lビーカー中で800mlの水を加えてパルプを離解させた。ついで、0.02モル/L過マンガン酸カリウム溶液100mlと、2.00モル/L硫酸溶液100mlを加えて溶液温度を25℃に保ち、10分間撹拌した。そして、1.00モル/Lヨウ化カリウム溶液を添加して反応を停止させ、速やかに0.20モル/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した。κ価は下記式(A)にて算出した。
[比較例1〜3]
比較例として、漂白反応を行う前のパルプを用いて作成したサンプル紙片(比較例1)、金属錯体触媒を用いずに過酸化水素のみで漂白を行ったパルプのサンプル紙片(比較例2)、および公知の方法(特許文献1および特許文献2)として下記式(5)に示すMn−サレン錯体をクラフトパルプ固形分に対して100ppm添加して漂白を行ったパルプのサンプル紙片(比較例3)についても、上記実施例1〜7と同様にして白色度およびκ価を測定した。
比較例として、漂白反応を行う前のパルプを用いて作成したサンプル紙片(比較例1)、金属錯体触媒を用いずに過酸化水素のみで漂白を行ったパルプのサンプル紙片(比較例2)、および公知の方法(特許文献1および特許文献2)として下記式(5)に示すMn−サレン錯体をクラフトパルプ固形分に対して100ppm添加して漂白を行ったパルプのサンプル紙片(比較例3)についても、上記実施例1〜7と同様にして白色度およびκ価を測定した。
表1から明らかなように、実施例1〜7の金属錯体は比較例1〜3に対して、反応後のパルプの白色度に優れているのがわかる。特に、実施例1および実施例3が最も白色度の向上効果とκ価の低減効果に優れていた。この結果から、一般式(1)で表した構造を持つNi(II)およびCu(II)錯体が過酸化水素を活性化する触媒効果が最も高いことが確認された。
一方、Mn−サレン錯体を使用した比較例3は、κ価の大きな減少を示したにもかかわらず、白色度は金属錯体無添加の比較例2に劣る結果であった。
一方、Mn−サレン錯体を使用した比較例3は、κ価の大きな減少を示したにもかかわらず、白色度は金属錯体無添加の比較例2に劣る結果であった。
Claims (6)
- 過酸化水素によるパルプ漂白工程において、過酸化水素の活性化触媒として使用するパルプ漂白助剤であって、下記一般式(1)〜(4)で表される金属錯体のうちの少なくとも一つであることを特徴とするパルプ漂白助剤。
- 前記パルプがクラフトパルプである請求項1記載のパルプ漂白助剤。
- 過酸化水素によるパルプ漂白工程において、パルプに請求項1記載のパルプ漂白助剤および過酸化水素を接触させることにより、該パルプを漂白することを特徴とするパルプ漂白方法。
- 前記パルプがクラフトパルプである請求項3記載のパルプ漂白方法。
- 溶媒中でパルプに請求項1記載のパルプ漂白助剤および過酸化水素を接触させる請求項3または4記載のパルプ漂白方法。
- 前記溶媒に水酸化ナトリウムを添加し、該溶媒中でパルプに請求項1記載のパルプ漂白助剤および過酸化水素を接触させる請求項5記載のパルプ漂白方法。
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JP2005319568A JP2007126775A (ja) | 2005-11-02 | 2005-11-02 | パルプ漂白助剤およびパルプ漂白方法 |
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JP2013010006A (ja) * | 2009-05-28 | 2013-01-17 | Gp Cellulose Gmbh | 化学的クラフト繊維由来の修飾セルロース、ならびにそれを作製および使用する方法 |
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2005
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KR101728910B1 (ko) | 2009-05-28 | 2017-04-20 | 게페 첼루로제 게엠베하 | 화학적 크래프트 섬유로부터의 변형된 셀룰로즈 및 이들을 제조 및 사용하는 방법 |
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