JP2007125528A - ハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】臭素酸イオン等のハロゲン酸化物イオンを水素酸化細菌により還元処理するに当たり、亜臭素酸イオンや次亜臭素酸イオン等の中間体の副生を防止して臭素イオン等のハロゲンイオンにまで効率的かつ確実に還元処理する。
【解決手段】ハロゲン酸化物イオン含有水を水素供与体の存在下に水素酸化細菌と接触させてハロゲン酸化物イオンを生物学的に還元処理する方法において、還元処理系内の水のpHを4.0〜6.0に調整する。
【選択図】図4
【解決手段】ハロゲン酸化物イオン含有水を水素供与体の存在下に水素酸化細菌と接触させてハロゲン酸化物イオンを生物学的に還元処理する方法において、還元処理系内の水のpHを4.0〜6.0に調整する。
【選択図】図4
Description
本発明はハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法及び処理装置に係り、特に水中の臭素酸イオン等のハロゲン酸化物イオンを、水素酸化細菌により生物還元処理するに当たり、中間体の副生を抑制して効率的な処理を行う方法と装置に関する。
臭素酸イオンは、臭素イオンを含む水、例えば海水や海水が混入した淡水などのオゾン処理によって生成することが知られている。例えば、水中のカビ臭除去目的でオゾン処理と生物活性炭処理の併用が普及しているが、このオゾン処理で有害な臭素酸イオンが副生することが知られている。
臭素酸は消防法で第1類に分類されているものであるが、このようにして生成した臭素酸は生物活性炭処理においても殆ど濃度を低減させることはできない。そこで臭素酸除去工程を生物活性炭処理の後段に設けて、その濃度を低減させるなどの試みがなされている。
従来、水中の臭素酸イオンの除去技術としては、臭素酸イオンを含有する水にエタノールを添加し、嫌気性生物を担持したカラムに通水して臭素酸イオンを臭素イオンにまで還元する技術があるが(非特許文献1)、有機物であるエタノールを還元剤として添加するため余剰生物汚泥が発生する;処理水が有機物で汚染される;などの問題点があった。
一方、水素酸化細菌による生物脱窒処理が知られており(特許文献1,2)、この方法をハロゲン酸化物イオンの処理に適用し、例えば水素を水素供与体として添加して独立栄養性細菌によって臭素酸イオンを還元処理することが考えられる。水素を用いる方法であれば、有機物を使用しないため余剰汚泥が発生しにくく、また処理水の汚染も少ないため、工業用水や飲料水中の臭素酸イオンの処理にも好適である。
特開2003−33776号公報
特許第2901323号公報
「嫌気性生物処理による臭素酸の除去に関する検討」(二見賢一他、第56回全国水道研究発表会要旨集、平成17年5月発行)
しかし、水素酸化細菌による還元処理方法を臭素酸イオン等のハロゲン酸化物イオンの処理に適用した場合、不適切なpH条件下では臭素酸イオンが還元されても臭素イオンにまで還元されず、亜臭素酸イオンや次亜臭素酸イオン等の中間体で反応が止まるという問題点があった。これらの中間体は水中の有機物と反応して有害なトリハロメタンを生成するため、その副生を極力抑える必要がある。また、水素供与体として用いられる水素の価格が高いため、水素を効率よく目的物の還元に使わなければ、処理コストが高くつくという問題点があった。
本発明は、臭素酸イオン等のハロゲン酸化物イオンを水素酸化細菌により還元処理するに当たり、亜臭素酸イオンや次亜臭素酸イオン等の中間体の副生を防止して臭素イオン等のハロゲンイオンにまで効率的かつ確実に還元処理するハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
本発明はまた、更に水素供与体として添加した水素をより効率的に利用し得るハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)のハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法は、被処理水中のハロゲン酸化物イオンを水素酸化細菌により生物学的に還元処理する方法において、該被処理水を水素供与体の存在下に水素酸化細菌と接触させる生物還元工程と、該生物還元工程の水のpHを酸性に調整するpH調整工程とを含むことを特徴とする。
請求項2のハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法は、請求項1において、前記水素供与体が水素ガスであることを特徴とする。
請求項3のハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法は、請求項1又は2において、前記pH調整工程において、前記生物還元工程の水のpHを4.0〜6.0に調整することを特徴とする。
請求項4のハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記pH調整工程において、炭酸ガス又は炭酸ガス溶解水を用いてpH調整することを特徴とする。
請求項5のハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法は、請求項2ないし4のいずれか1項において、前記被処理水と水素ガスとを膜を介して接触させる水素溶解工程を含むことを特徴とする。
本発明(請求項6)のハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理装置は、被処理水中のハロゲン酸化物イオンを水素酸化細菌により生物学的に還元処理する装置において、該被処理水を水素供与体の存在下に水素酸化細菌と接触させる生物還元手段と、該生物還元手段における水のpHを酸性に調整するpH調整手段とを含むことを特徴とする。
請求項7のハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理装置は、請求項6において、前記水素供与体が水素ガスであることを特徴とする。
請求項8のハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理装置は、請求項6又は7において、前記pH調整手段において、前記生物還元手段における水のpHを4.0〜6.0に調整することを特徴とする。
請求項9のハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理装置は、請求項6ないし8のいずれか1項において、前記pH調整手段は、pH調整剤として炭酸ガス又は炭酸ガス溶解水を添加する手段であることを特徴とする。
請求項10のハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理装置は、請求項7ないし9のいずれか1項において、前記被処理水と水素ガスとを膜を介して接触させる水素溶解手段を含むことを特徴とする。
本発明によれば、水素酸化細菌による生物還元処理に供する水をpH酸性に調整することにより、中間体の副生を抑制してハロゲン酸化物イオンをハロゲンイオンにまで確実に還元処理することができる。
即ち、本発明者らの研究により、水素酸化細菌によるハロゲン酸化物イオンの生物還元処理には、pH条件が重要であり、その生物還元処理に適したpHで処理を行わないと、亜臭素酸イオンや次亜臭素酸イオン等の中間体が副生してしまうが、pH条件を制御することにより、これらの中間体の副生を抑えて、ハロゲン酸化物イオンをほぼ完全にハロゲンイオンにまで還元できることを見出した。
本発明において、水素供与体としては、余剰汚染が発生しにくく、処理水の汚染の問題もないことから水素ガスを用いることが好ましい(請求項2,7)。
また、被処理水のpHは4.0〜6.0に調整することが好ましく(請求項3,8)、このpH調整は炭酸ガス又はガス溶解水を被処理水に添加して行うことが好ましい(請求項4,9)。
また、水素供与体としての水素ガスの添加方法としては、被処理水と水素ガスとを膜を介して接触させることにより被処理水中に水素を溶解させる方法が効率的である(請求項5,10)。
以下に本発明のハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法及び処理装置の実施の形態を詳細に説明する。
なお、以下においては、本発明を臭素酸イオンの生物還元処理に適用する場合を例示して説明するが、本発明は臭素酸イオンに限らず、他のハロゲン酸化物イオン、例えば、よう素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン等のハロゲン酸化物イオンの生物還元処理にも有効である。
本発明においては、臭素酸イオン含有水(原水)を水素酸化細菌により生物還元処理するに当たり、この生物還元処理系内が生物還元処理に適当なpH調整条件、好ましくはpH4.0〜6.0となるようにpH調整を行う。
このpHが6.0を超えても、4.0未満でも、臭素酸イオンは還元されるものの臭素イオンにまで還元されず、亜臭素酸イオンや次亜臭素酸イオン等の中間体の段階で還元反応が停止してしまう可能性がある。還元処理系内のpHは、特に4.5〜5.5となるようにpH調整することが好ましく、これにより、臭素酸イオンをほぼ完全に還元除去すると共に、その大部分を臭素イオンにまで還元することができる。
このpH調整のためのpH調整剤としては、各種の酸やアルカリを用いることができる。通常、原水となる臭素酸イオン含有水のpHは6.5〜8.5程度である。従って、このような原水をpH4.0〜6.0にpH調整するためには、酸が用いられるが、酸としては、炭酸ガス、炭酸ガス溶解水といった炭酸ガス系pH調整剤、或いはこのような炭酸ガス系pH調整剤と塩酸や硫酸等の鉱酸との組み合わせとすることが望ましい。
これは次の理由による。
即ち、工業用水や飲料水の処理では塩酸や硫酸でpH調整をすると、水中の塩類濃度が上昇する。そして、処理水のpHを再調整するためにアルカリも添加するため、さらに塩類濃度が上昇し、処理水質を悪化させる。炭酸ガスであれば、処理水を再曝気したり真空脱気したりするなどして水中から追い出せば、容易にpHを中性付近にまで戻すことができ、また水中の塩類濃度を大幅に増加させることもない。また、本発明の生物還元処理では、有機物が存在しなくても増殖可能な独立栄養細菌を増殖させて臭素酸イオンを還元処理する場合、炭素源として二酸化炭素を必要とするので、炭酸ガス添加は同時に独立栄養性の水素酸化細菌の炭素源の供給の役割も果たす。
即ち、工業用水や飲料水の処理では塩酸や硫酸でpH調整をすると、水中の塩類濃度が上昇する。そして、処理水のpHを再調整するためにアルカリも添加するため、さらに塩類濃度が上昇し、処理水質を悪化させる。炭酸ガスであれば、処理水を再曝気したり真空脱気したりするなどして水中から追い出せば、容易にpHを中性付近にまで戻すことができ、また水中の塩類濃度を大幅に増加させることもない。また、本発明の生物還元処理では、有機物が存在しなくても増殖可能な独立栄養細菌を増殖させて臭素酸イオンを還元処理する場合、炭素源として二酸化炭素を必要とするので、炭酸ガス添加は同時に独立栄養性の水素酸化細菌の炭素源の供給の役割も果たす。
ただし、経済性や処理水の許容塩類濃度などを考慮して炭酸ガスと、塩酸などの鉱酸と組み合わせて添加しても良い。なお、還元処理系内に生物の増殖及び反応に必要なリンが欠乏している場合は、リン酸を配合して添加しても良い。
pH調整剤は、生物還元処理を行う槽に添加しても良く、この生物還元処理槽に導入される原水に添加しても良い。
このようにしてpH調整を行うことにより、中間体の生成を防止して、臭素酸イオンを臭素イオンにまで効率的に還元処理することができるが、本発明においては、更に、水素ガスを用いて臭素酸イオンを還元処理するに当たり、水素利用効率を極力高め、また臭素酸イオンの還元以外の反応に水素ガスが浪費されるのを極力防止するために、次のような工夫を行うことが好ましい。
まず第一に精密濾過(MF)膜、限外濾過(UF)膜、ナノ濾過(NF)膜、散気管、エゼクタ等を用いて水素ガスを供給する際、極力処理水中の溶存水素濃度を低減し、処理系外への水素の流出を防ぐ必要がある。水素ガスの水への溶解度は室温・大気圧下で約1.6mg/Lと低いが、処理対象となる原水中の臭素酸イオンの濃度は通常10〜100μg/L程度であることを考慮すると、処理水中にわずか1.6mg/Lの水素が溶け出したとしても水素利用効率の悪化につながる。よって、処理水中の水素濃度が0mg/Lに近づくように、例えば0.1mg/L以下となるように生物還元処理する必要があるが、そのためには水素溶解工程と、溶存水素を利用して臭素酸イオンの生物還元を行う生物還元工程の二段階処理を行うことが好ましい。なお、この水素溶解工程において水素を添加した際に、予め原水に添加した炭酸ガスが一部気相中に移行し、pHが変動する可能性があるため、次の生物還元工程前でpHを再調整することが望ましい。
また、原水に添加した水素ガスは溶解しきれない分が一部気相中に逃げるため、これを再利用しなければ水素ガスの利用効率の低下につながる。そこで気相を循環して曝気やエゼクタで再び水素溶解工程に吹き込んで気相中の水素ガスを再溶解させることで気相に逃げた水素ガスを効率よく利用することが望ましい。この場合、循環ガスには原水由来の酸素、二酸化炭素、窒素等が混在し、ガス循環に伴い特に脱窒反応により発生する窒素の割合が高まるため、常に所定量のガスを排ガスとして抜き取ることが好ましい。
水素溶解工程と生物還元工程は単一の反応槽内で行っても良い。これらを単一の反応槽で行う場合、pH調整は水素溶解工程で行うのが望ましい。
また、水素溶解工程においては臭素酸イオンの生物還元が同時進行してもよい。この場合、水素溶解工程は、例えばMF膜、UF膜、又はNF膜の内側に水素ガスを加圧条件下で供給して膜外側に水素を移動させ、膜外側表面で水素を利用する生物群を含む生物膜を形成させて臭素酸イオンを還元する工程であってもよい。例えば、膜を介して原水と水素ガスとを接触させて水素ガスを原水中に移行させることにより、水素ガスを原水に溶解させる場合、この膜の原水流通側に水素酸化細菌を付着、増殖させておくことによって、膜表面でも臭素酸イオンの還元処理を行うことが可能となる。
また、水素溶解工程は、固定床又は流動床に水素ガスを曝気で供給し、担体表面で水素を利用する生物群を含む生物膜を形成させて臭素酸イオンを還元する工程であってもよい。また、これらを一体化した工程であっても良い。
ただし、いずれの場合も処理水中に溶存水素が残存するので、後段に残留水素を利用して生物的に臭素酸イオンを還元する工程を設け、水素利用効率を極力高めることが望ましい。
添加した水素を浪費する物質は臭素酸イオンと競合して水素還元される物質であり、例えば溶存酸素や硝酸性窒素などがある。これらの物質による水素の消費は臭素酸イオンの処理効率低下ならびにコストアップにつながるため、水素添加前に原水中から極力除去することが望ましい。ただし、溶存酸素については完全に除去すると極度な還元雰囲気になりやすく、硫酸還元などが起きる恐れがあるので、若干量残存させるのが望ましい。従って、水素添加に先立ち、原水中の溶存酸素濃度としては1〜3mg/L、硝酸性窒素濃度としては0〜2mg−N/L程度にまで低減するのが望ましい。ただし、原水から硝酸性窒素を除去するということは、生物の増殖に必要な窒素源をも奪うことになる。また、原水中に微量に残存する硝酸性窒素は殆どが水素による生物脱窒により窒素ガスにまで還元されてしまうため、結果として窒素源が不足してしまう。そこで、アンモニア性窒素を原水に添加することで窒素源不足を補うことが望ましい。この場合の添加濃度は0.1〜1mg−N/L程度でよい。もともと原水中にアンモニア性窒素が溶存する場合は添加する必要はない。
溶存酸素の低減手段としては、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウムなどの脱酸素剤を添加して溶存酸素を除去する方法や、真空脱気や膜脱気で除去する方法などがある。脱酸素剤と真空脱気や膜脱気を組み合わせて処理しても良い。
硝酸性窒素低減手段としては、アニオン交換樹脂、特に望ましくは硝酸選択性アニオン交換樹脂により除去する方法などがある。
ただし、原水の水質に応じてこれらいずれかの工程が必要ない場合は省略しても構わない。
前述の如く、処理対象とする原水中の臭素酸イオン濃度は通常10〜100μg/L程度の低濃度であり、その還元反応を起こさせるために添加する水素ガスの濃度もまた低濃度であるため、生物膜と水との接触効率を高める必要があり、処理水は循環させるのが望ましい。この場合、pHをモニタリングしながら処理水を循環することでより効率よく、かつ安定的に臭素酸イオンの還元処理を行える。このように処理水の循環を行う場合、原水流量に対する循環水量比は1:5〜1:100程度が望ましい。
以下に、本発明に好適な処理装置の実施の形態を示す図1〜6を参照してより具体的な処理方法及び処理装置を説明する。なお、図1〜6において、同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
図1は、水素溶解と生物還元処理とを単一槽で行うものであり、図1において、反応槽1は下半部に水素酸化細菌の固定床2が形成され、この固定床2の直上部に水素ガスの散気管3が設けられることにより反応槽1内の下半部が生物還元処理部、上半部が水素溶解部とされている。反応槽1の頂部には排ガスの循環配管4が設けられ、反応槽1の排ガスは、水素ガスの有効利用のためにブロワBにより散気管3側へ循環される。なお、排ガスのうちの一部は窒素等の共存ガスの蓄積を防止するために排出配管5より系外へ排出される。
原水は原水導入配管6より反応槽1の上部に導入される。この原水導入配管6にはpH計6Aと、このpH計6Aに連動するpH調整剤の添加手段6Bとが設けられており、原水が好適pHにpH調整される。また、反応槽1の固定床2の上部の水素溶解部には、反応槽1内の水を抜き出して再び反応槽1に戻す、ポンプPを有する循環配管7が設けられている。この循環配管7にはpH計7Aが設けられ、また、このpH計7Aに連動して反応槽1の水素溶解部にpH調整剤を添加するpH調整剤添加手段7Bが設けられている。8は処理水の排出配管である。
この装置では、原水はpH調整されて配管6から反応槽1に導入され、まず水素ガスと向流接触することにより水素ガスが溶解され、その後固定床2内で生物還元処理された処理水が配管8より排出される。この反応槽1内の水素溶解部では、水が抜き出されてそのpHが測定され、その測定値に基いてpH調整剤が添加されることにより、水素ガスの溶解によるpH変動が是正され、好適なpH条件の水が固定床2に導入されるようになるため、臭素酸イオンは確実に還元処理される。また、余剰の水素ガスを含む排ガスが循環配管4で循環再利用されることにより、水素ガスの利用効率も高い。
なお、pH計によるpHの測定は、反応槽1内の水に対して直接行っても良い。即ち、例えば反応槽1の水素溶解部にpH計を設け、このpH計の測定値に基いてpH調整剤添加手段7BによるpH調整剤の添加量を制御しても良い。
図2は、図1の装置において、反応槽1内の上部の水素溶解部にも固定床9を設け、水素溶解部においても固定床9の表面に付着した水素酸化細菌により生物還元処理を行うようにしたものである。
図3は中空糸膜モジュールを利用して水素ガスの溶解を行うものであり、膜モジュール槽11内に中空糸膜モジュール12が設けられ、水素ガスは、配管13より、膜モジュール槽11の底部よりこの中空糸膜モジュール12の内部に導入され、排ガスは膜モジュール槽11の頂部より配管14を経て排出される。なお、図1に示す如く、排ガスの循環配管を設け、この排ガスの一部を循環使用しても良い。15は内部に水素酸化細菌の固定床15Aが形成された固定床式生物反応槽である。
原水は原水導入配管16より反応槽11の上部に導入される。この原水導入配管16にはpH計16Aと、このpH計に連動するpH調整剤の添加手段16Bとが設けられており、原水が好適pHにpH調製される。
膜モジュール槽11の処理水は、ポンプPを備える配管17より排出され、次いで反応槽15に導入されて更に処理された後、配管18より系外へ排出される。配管17にはpH計17AとこのpH計17Aに連動するpH調整剤添加手段17Bが設けられている。
この装置では、原水はpH調整されて配管16から膜モジュール槽11に導入され、中空糸膜モジュール12の外側を流下する間に膜を透過した水素ガスが溶解する。この中空糸膜モジュール12の膜の外側面には、水素酸化細菌が付着して生物膜を形成しており、従って、この水素溶解と同時に原水中の臭素酸イオンの一部が還元処理される。
膜モジュール槽11の処理水は配管17より排出され、再度pH調整された後、固定床式生物反応槽15に導入されて更に生物還元処理され、処理水が配管18より排出される。
この装置では、膜モジュール槽11内で水素溶解と還元処理とが行われると共に、更に、固定床式生物反応槽15内で還元処理が行われることにより、より一層効率的かつ高度な臭素酸イオン除去を行える。
図4は、図3の装置において、配管18からの処理水の一部を膜モジュール槽11の上部に循環させる循環配管19を設けたものであり、処理水の循環を行うことにより、より一層良好な処理結果を得ることができる。
なお、この図4では、処理水を直接膜モジュール槽11に循環しているが、原水導入配管16に合流させて再びpH調整した後膜モジュール槽11に循環させるようにしても良い。
図5は、図3に示す装置において、膜モジュール槽11の代わりに内部に固定床22を設け、その下部に水素ガス導入のための散気管23を設けた水素溶解槽21を用い、また排ガスをブロワBを有する循環配管24で循環させるようにしたものであり、原水はpH調整されて配管16より水素溶解槽21に導入され、槽内を下降する間に散気管23からの水素ガスが溶解されると共に、固定床22に付着した水素酸化細菌で還元処理され、その後、配管17を経て更にpH調整された後固定床式生物反応槽15で還元処理され、処理水が配管18より系外へ排出される。また、水素溶解槽21の排ガスは一部が配管14より排出され残部が循環配管24より循環されて再利用される。
なお、この図5の装置においても、処理水の一部を循環処理しても良い。
図6は原水の前処理装置を示す系統図であり、図中、31は硝酸選択性アニオン交換樹脂31Aが充填された硝酸イオン除去塔、32は脱酸素塔、33はpH調整塔である。
34は脱酸素塔32に脱酸素剤を添加する配管であり、35は排ガス配管である。pH調整塔33には炭酸ガスの散気管36と、塩酸、硫酸、リン酸等の酸を添加する配管37と、アンモニウム塩を添加する配管38が設けられている。
また、原水の導入配管39には、pH計39Aと、このpH計39Aに連動するpH調整剤添加手段39Bが設けられている。
この装置では、原水は配管39よりpH調整された後硝酸イオン除去塔31に導入されて硝酸イオンが除去された後、配管40より脱酸素塔32に導入されて溶存酸素が除去され、その後、配管41よりpH調整塔33に導入されて炭酸ガスと鉱酸でpH調整されると共にアンモニウム塩が添加される。
このようにして前処理された原水は、例えば、図1,2に示す反応槽1、図3,4に示す膜モジュール槽11又は図5に示す水素溶解槽21等へ導入されて本発明に従って処理される。
このような本発明のハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理技術は、オゾン処理と生物活性炭処理の併用処理、海水のオゾン処理等の後段の高度処理として、或いは、冷却水中の臭素酸イオン除去など広範囲での適用が期待できる。特に、オゾン処理と生物活性炭処理との組み合わせにおいては、生物活性炭処理水の一部を引き抜いて臭素酸イオンを除去し、その処理水を再び生物活性炭処理工程に戻すことで、結果的に生物活性炭処理水中の臭素酸イオン濃度を低減できるだけでなく、臭素酸イオン除去工程でごく微量に発生しうる生物代謝物も生物活性炭で処理することができ、相乗効果が期待できる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1〜5、比較例1,2
図4に示す処理装置を用いて、臭素酸イオンを含む原水の還元処理を行った。
図4に示す処理装置を用いて、臭素酸イオンを含む原水の還元処理を行った。
膜モジュール槽11の親水性中空糸膜モジュール12としては(株)クラレ製「ラボモジュールK−8258A−1M」を用い、中空糸膜内側に水素ガスを加圧注入して供給した。その後段には直径3mmのポリスチレン担体を充填した固定床式反応槽15を設け、膜モジュール槽11からの流出水を通水した。pH調整は膜モジュール槽11と固定床式反応槽15との間で行った。固定床式反応槽15からの処理水は再び膜モジュール槽11に循環させ、原水流入量に応じて処理水を排出させた。
原水は、水道水に亜硫酸ナトリウムを添加して残留塩素を除去し、さらに空気曝気して余剰の亜硫酸ナトリウムを除去した後、硫酸アンモニウム、リン酸塩、微量金属、及び臭素酸ナトリウムを添加し、窒素と炭酸ガスで曝気して調製した。
原水の水質は表1に示す通りであり、通水条件は表2に示す通りとした。
まず、循環水のpHをモニタリングし、0.1N塩酸または0.1N水酸化ナトリウムを添加してpH6.5に調整しながら、2週間通水した。ただし、通水初日のみ、工業排水処理汚泥を植種した原水を通水した。2週間通水後に処理水中の臭素酸イオンならびに臭素イオンを測定した。
続いて循環水のpHを6.0,5.5,5.0,4.5,4.0,3.5に調整してそれぞれ2日ずつ通水し、それぞれのpH条件下での処理水中の臭素酸イオンならびに臭素イオンを測定した。
循環水pHと臭素酸イオン低減率ならびに臭素イオンへの転換率の関係を表3に示す。
表3より明らかなように、pH5.0で処理することにより、最も高い臭素酸イオン低減率ならびに臭素イオンへの転換率が得られた。
なお、このときの原水中の溶存酸素濃度と硝酸性窒素濃度はそれぞれ0.97mg/L、0.87mg−N/Lであり、低溶存酸素濃度、低硝酸性窒素濃度の条件下においても臭素酸イオンを効率よく還元処理できることがわかった。また、pH5における処理時の処理水中水素濃度を測定したところ、0.1mg/L以下であり、効率よく水中の水素が消費されていることが確認できた。
なお、上記実施例及び比較例では循環水のpHを測定しているが、循環水量は原水量の約10倍であり、循環水により原水が希釈されることから、この循環水のpHがほぼ生物還元処理系内の水のpHであるとみなすことができる。
参考例1
実施例3において、固定床式生物反応槽を設置しない他は同様に2週間通水試験し、その結果を実施例3の結果と共に表4に示した。表4より明らかなように、固定床式生物反応槽を設けない場合には、pH5.0における処理効率が低下し、さらに処理水中には0.3mg/Lの溶存水素が検出された。
実施例3において、固定床式生物反応槽を設置しない他は同様に2週間通水試験し、その結果を実施例3の結果と共に表4に示した。表4より明らかなように、固定床式生物反応槽を設けない場合には、pH5.0における処理効率が低下し、さらに処理水中には0.3mg/Lの溶存水素が検出された。
1 反応槽
2 固定床
3 散気管
11 膜モジュール槽
12 中空糸膜モジュール
15 固定床式生物反応槽
21 水素溶解槽
31 硝酸イオン除去塔
32 脱酸素塔
33 pH調整塔
2 固定床
3 散気管
11 膜モジュール槽
12 中空糸膜モジュール
15 固定床式生物反応槽
21 水素溶解槽
31 硝酸イオン除去塔
32 脱酸素塔
33 pH調整塔
Claims (10)
- 被処理水中のハロゲン酸化物イオンを水素酸化細菌により生物学的に還元処理する方法において、
該被処理水を水素供与体の存在下に水素酸化細菌と接触させる生物還元工程と、
該生物還元工程の水のpHを酸性に調整するpH調整工程と
を含むことを特徴とするハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法。 - 請求項1において、前記水素供与体が水素ガスであることを特徴とするハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法。
- 請求項1又は2において、前記pH調整工程において、前記生物還元工程の水のpHを4.0〜6.0に調整することを特徴とするハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記pH調整工程において、炭酸ガス又は炭酸ガス溶解水を用いてpH調整することを特徴とするハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法。
- 請求項2ないし4のいずれか1項において、前記被処理水と水素ガスとを膜を介して接触させる水素溶解工程を含むことを特徴とするハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法。
- 被処理水中のハロゲン酸化物イオンを水素酸化細菌により生物学的に還元処理する装置において、
該被処理水を水素供与体の存在下に水素酸化細菌と接触させる生物還元手段と、
該生物還元手段における水のpHを酸性に調整するpH調整手段と
を含むことを特徴とするハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理装置。 - 請求項6において、前記水素供与体が水素ガスであることを特徴とするハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理装置。
- 請求項6又は7において、前記pH調整手段において、前記生物還元手段における水のpHを4.0〜6.0に調整することを特徴とするハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理装置。
- 請求項6ないし8のいずれか1項において、前記pH調整手段は、pH調整剤として炭酸ガス又は炭酸ガス溶解水を添加する手段であることを特徴とするハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理装置。
- 請求項7ないし9のいずれか1項において、前記被処理水と水素ガスとを膜を介して接触させる水素溶解手段を含むことを特徴とするハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理装置。
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JP2005322401A JP2007125528A (ja) | 2005-11-07 | 2005-11-07 | ハロゲン酸化物イオン含有水の生物処理方法及び処理装置 |
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JP2012000586A (ja) * | 2010-06-18 | 2012-01-05 | Japan Organo Co Ltd | 過塩素酸イオン含有水の処理装置および過塩素酸イオン含有水の処理方法 |
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- 2005-11-07 JP JP2005322401A patent/JP2007125528A/ja active Pending
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