JP2007121845A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録紙Pを2次転写ニップ内で安定して搬送しつつ、トナー像の重ね合わせズレを抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】中間転写ベルト8における駆動ローラ12に対する掛け回し箇所に対しておもて面側から2次転写ローラ19を当接させて2次転写ニップを形成するとともに、中間転写ベルト8を張架する複数の張架ローラのうち、駆動ローラ12、及び、駆動ローラ12による掛け回し位置を通過した後のベルト箇所を始めに掛け回す駆動下流側ローラ13、とは異なる張架ローラであって、且つ中間転写ベルト8の無端移動に伴って従動回転する張架ローラである駆動下流側ローラ14を、エンコーダによる回転速度の被検ローラとし、その検知結果に基づいて駆動ローラ12の駆動速度を制御させるようにした。
【選択図】図9

Description

本発明は、無端移動せしめられるベルト部材の移動方向に沿って所定のピッチで並ぶ複数の記録手段により、可視像をベルト部材のおもて面に重ね合わせて記録する画像形成装置に関するものである。
従来、この種の画像形成装置としては、特許文献1や特許文献2に記載のものが知られている。特許文献1に記載の画像形成装置は、駆動ローラ及びその他の張架ローラによって張架した無端状のベルト部材を、駆動ローラの回転駆動によって無端移動せしめる。ベルト部材の上方には、ベルト移動方向に沿って所定のピッチで並ぶ4つの感光体を有しており、周知の電子写真プロセスによってこれら感光体の表面にそれぞれ互いに異なる色のトナー像を記録する。そして、これらトナー像を、ベルト部材のループおもて面にそれぞれ重ね合わせて転写して4色重ね合わせ像を得た後、ベルト部材の移動に伴って2次転写ニップ内に送り込む。この2次転写ニップは、ベルト部材に連れ回りながらそれを張架する従動張架ローラに対するベルト掛け回し箇所と、2次転写ローラとの当接によって形成したものである。2次転写ニップには、ベルト部材上の4色重ね合わせ像と同期させるように、記録部材たる記録紙を送り込む。そして、ベルト部材上の4色重ね合わせ像を記録紙に2次転写して、記録紙の白色と相まったフルカラー画像を得る。
また、特許文献2に記載の画像形成装置は、無端状のベルト部材の上方に、ベルト移動方向に沿って所定のピッチで並ぶ4つのトナー飛翔装置を有している。記録手段としてのこれらトナー飛翔装置は、それぞれドット状のトナー集合体をベルト部材に向けて複数飛翔させてベルト部材上に複数のドットを得るいわゆる直接記録方式により、互いに異なる色のトナー像をベルト部材上に重ね合わせて記録する。そして、このようにして4色重ね合わせ像を、2次転写ニップで記録紙に2次転写してフルカラー画像を得る。
これらの画像形成装置においては、ベルト部材を所定の速度で走行させていることを前提にして、各感光体に対するトナー像の形成タイミングや、各トナー飛翔装置からのトナー飛翔タイミングを決定している。このため、ベルト部材を設計上の速度よりも速く走行させたり、遅く走行させたりすると、トナー像の重ね合わせズレを引き起こしてしまう。
そこで、特許文献1の画像形成装置では、駆動ローラに対してベルト移動方向下流側で隣り合いながらベルト部材に連れ回る駆動下流側ローラにエンコーダを設けている。そして、このエンコーダによって駆動下流側ローラの回転速度を検知しながら、検知結果を駆動ローラの駆動速度にフィードバックすることで、ベルト部材を設計上の速度で走行させるようにしている。
特開平11−202576号公報 特開2002−307737号公報
しかしながら、この画像形成装置は、上述のように、ベルト部材に連れ回る従動張架ローラと、2次転写ローラとの間にベルト部材を挟み込んで、ベルト部材のおもて面と2次転写ローラとが当接する2次転写ニップを形成している。かかる構成では、記録紙を2次転写ニップ内に送り込むと、ニップ圧の上昇によって従動張架ローラの回転不良をきたして、ニップ内でのベルト移動速度を低下させることがある。このようなベルト移動速度の低下は、ニップ内における記録紙の搬送不良を引き起こしてしまう。
そこで、本発明者らは、4つの感光体からそれぞれベルト部材上に各色のトナー像を重ね合わせる構成に、次のような構成を採用したプリンタ試験機を試作した。即ち、ベルト部材との当接によって2次転写ニップを形成する2次転写ローラとの間にベルト部材を挟み込ませる張架ローラとして、ベルト部材に連れ回る従動張架ローラの代わりに、自らが回転駆動する駆動ローラを採用した構成である。
かかる構成のプリンタ試験機では、2次転写ニップに記録紙を送り込んでニップ圧を高めたとしても、ニップ裏側で自らが回転駆動する駆動ローラを良好に回転させる。そして、これにより、ニップ内でベルト部材を良好に移動させて、ベルト移動速度の低下によるニップ内での記録紙の搬送不良を抑えることができた。
ところが、このプリンタ試験機では、エンコーダによるローラ回転速度の検知結果を駆動ローラの駆動速度にフィードバックする制御を行っているにもかかわらず、トナー像の重ね合わせズレが発生してしまった。この重ね合わせズレは、1枚の記録紙だけに画像を形成する1枚プリント時には発生しなかったが、複数の記録紙に画像を連続して形成する連続プリント時において、2枚目以降の記録紙に発生した。
本発明者らは、かかる重ね合わせズレの原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことがわかった。即ち、プリンタ試験機では、ベルト部材を張架する複数の張架ローラのうち、駆動ローラにエンコーダを設け、これによる検知結果を駆動モータの駆動速度にフィードバックしていた。駆動ローラは、上述したように、2次転写ニップを形成する2次転写ローラとの間にベルト部材を挟み込んでいる。このような構成により、たとえ記録紙の送り込みによってニップ圧を高めても、自らが回転駆動する駆動ローラを確実に回転させて、記録紙をニップ内で安定して搬送することができたのである。ところが、かかる構成では、記録紙をニップ内に送り込んでいる間に、ベルト部材を駆動ローラ表面上で僅かにスリップさせてしまうことがわかった。連続プリントアウトにおいては、2枚目の記録紙に対応する各色トナー像をベルト部材に重ね合わせながら、これよりも先行してベルト部材上で得た1枚目用の4色重ね合わせ像を2次転写ニップ内で記録紙に2次転写する。このため、2枚目以降の4色重ね合わせ時に、ベルト部材を駆動ローラ上で僅かにスリップさせて、目標よりも僅かに遅い線速で走行させてしまう。このことが、2枚目以降の記録紙にトナー像の重ね合わせズレを引き起こす原因であった。駆動ローラを目標の線速で回転させていたとしても、ベルト部材を同じ線速で走行させているとは限らないのである。なお、ベルト部材をスリップさせてしまったのは、記録紙の進入に伴ってニップ圧を上昇させたり、紙の腰によって転写ローラ表面を変化させることに起因して駆動ローラに対するベルト巻き付き量を変化させたりしたためと考えられる。
そこで、本発明者らは、プリンタ試験機におけるエンコーダを、特許文献1に記載の画像形成装置と同様に、駆動下流側ローラに取り付けてみた。自らが回転駆動する駆動ローラではなく、ベルト部材に連れ回る駆動下流側ローラであれば、その表面上でベルト部材をスリップさせないと考えたからである。ところが、重ね合わせズレを改善するどころか、却って悪化させてしまった。重ね合わせズレの悪化は、次のような原因によるものであった。即ち、駆動ローラと駆動下流側ローラとの間のベルト展張箇所(以下、下流側展張箇所という)は、ベルト全周のうち、テンションの微妙なゆるみと張りとの繰り返しが最も顕著に現れる場所である。回転駆動する駆動ローラによるベルト送り出しに伴って、テンションにゆるみが起こったり、ゆるんだテンションが上流側のベルト箇所の移動に伴って元に戻ったりするからである。駆動下流側ローラは、このような下流側展張箇所におけるテンションのゆるみと張りとの繰り返しに起因して回転速度が不安定になってしまう。このような駆動下流側ローラの不安定な回転速度を駆動ローラの駆動速度にフィードバックしていたため、駆動ローラの回転速度、ひいては重ね合わせ位置におけるベルト部材の移動速度を却って不安定にしていた。そして、このことが、重ね合わせズレを悪化させた原因になっていた。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、記録部材を転写ニップ内で安定して搬送しつつ、可視像の重ね合わせズレを抑えることができる画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、無端状のベルト部材と、これを裏面で支えながら張架する複数の張架ローラと、これら張架ローラのうちの1つであり、駆動源からの駆動伝達によって回転駆動することで該ベルト部材を無端移動せしめる駆動ローラと、該複数の張架ローラのうちの1つにおける回転速度を検知する回転速度検知手段と、該回転速度検知手段による検知結果に基づいて該駆動源の駆動速度を制御する駆動速度制御手段と、該ベルト部材の移動方向に沿って所定の配設ピッチで並ぶ複数の記録手段により、該ベルト部材のおもて面にそれぞれ可視像を重ね合わせて記録する重ね合わせ手段と、該ベルト部材のおもて面に当接して転写ニップを形成する転写ニップローラと、該転写ニップ内に記録部材を送り込む送り込み手段とを備え、該重ね合わせ手段によって該おもて面に記録された重ね合わせ像を、該転写ニップ内で該記録部材に転写する画像形成装置において、上記ベルト部材における上記駆動ローラに対する掛け回し箇所に対しておもて面側から上記転写ニップローラを当接させて転写ニップを形成するとともに、上記複数の張架ローラのうち、上記駆動ローラ、及び、該駆動ローラによる掛け回し位置を通過した後の該ベルト部材を始めに掛け回す駆動下流側ローラ、とは異なる張架ローラであって、且つ該ベルト部材の無端移動に伴って従動回転する張架ローラを、上記回転速度検知手段による回転速度の被検ローラとしたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記複数の張架ローラのうち、上記駆動ローラに対してベルト移動方向上流側で隣り合いながら上記ベルト部材を掛け回して従動回転する駆動上流側ローラを、上記回転速度検知手段による回転速度の被検ローラとしたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記回転速度検知手段として、回転軸を中心にして回転方向に所定のピッチで並ぶ複数の被検部を有する円盤状の被検円盤と、回転する該被検円盤の被検部を検知する検知センサとを有するエンコーダを用い、該被検円盤を上記被検ローラに固定するとともに、全ての張架ローラを直接あるいは間接的に支持するように立設せしめられた立設板に、該被検ローラの回転軸部材を回転可能に受ける軸受けを固定したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記検知センサ及びこれを保持するセンサ保持体を上記立設板に固定したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、少なくとも、上記ベルト部材、複数の張架ローラ、及び回転速度検知手段を、1つのユニットとして共通の支持体に支持させて、画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたベルトユニットとして構成し、上記軸受け及び検知センサを、上記立設板たる該支持体の側板に固定したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記支持体における、互いに上記複数の張架ローラの反対側端部を支持するように所定の距離をおいて向かい合う第1側板及び第2側板のうち、少なくとも第2側板を、上記ベルト部材のループ内に納まる形状及び大きさにしたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5又は6の画像形成装置において、上記第1側板を鉛直方向下方に向けた姿勢での縦置きが可能になるように、上記ベルトユニットを構成したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記第1側板における周縁部の全域又は一部領域に、該第1側板と上記第2側板との対向領域とは反対側に向けて突出する突出部を設け、該突出部よりも該第1側板の重心寄りに、上記検知センサを固定し且つ上記被検円盤を位置させたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記被検ローラの回転軸部材に、大径部と、これよりも小径で且つ軸線方向の端部側に位置する小径部とを設け、上記被検円盤を、該大径部の端面に固定したことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れかの画像形成装置において、上記ベルト部材として、そのループ内周面における幅方向の両端部にそれぞれ、ベルト全周に渡って突出する寄り止め突起を設けたものを用いるとともに、上記被検ローラのローラ部の長さを、上記駆動ローラのローラ部よりも短くしたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10の何れかの画像形成装置において、上記被検ローラのローラ部の周長を、上記複数の記録手段の配設ピッチの整数倍、あるいは、整数倍分の1としたことを特徴とするものである。
これらの発明においては、駆動源からの駆動伝達によって回転駆動する駆動ローラに対するベルト掛け回し箇所に対し、転写ニップローラをおもて面側から当接させて転写ニップを形成することで、転写ニップに記録部材を送り込んでニップ圧を高めたとしても、ニップ裏側で駆動ローラを良好に回転させる。これにより、ニップ内でベルト部材を良好に移動させて、ベルト移動速度の低下によるニップ内での記録部材の搬送不良を抑える。よって、記録部材を転写ニップ内で安定して搬送することができる。
また、複数の張架ローラのうち、駆動ローラ及び駆動下流側ローラとは異なる張架ローラであって、且つベルト部材に連れ回る張架ローラの回転速度に基づいて、駆動源の駆動速度、ひいては駆動ローラの回転速度を制御する。この張架ローラは、ベルト部材の全域のうち、駆動ローラと駆動下流側ローラとの間にある下流側展張箇所に続く領域を自らの表面に巻き付けるものではないので、下流側展張箇所におけるテンションのゆるみと張りとの繰り返しによる回転速度の不安定化を起こし難い。このため、下流側展張箇所のテンションのゆるみと張りとの繰り返しに起因して回転速度が不安定になってしまう駆動下流側ローラに比べて、安定した速度で回転する。そして、ベルト部材の移動速度をより正確に反映する。更には、ベルト部材に連れ回る従動回転方式であることにより、自らが回転駆動する駆動ローラに比べて、表面上でのベルト部材のスリップを起こし難い。このため、駆動ローラよりも、ベルト部材の移動速度を正確に反映する。これらの結果、本プリンタでは、駆動下流側ローラや駆動ローラの回転速度に基づいて駆動ローラの回転速度を制御する場合に比べて、ベルト部材の移動速度を目標に近づけて、重ね合わせズレを抑えることができる。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色(Y,M,C,K)のトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスユニット6Yを例にすると、図2に示すように、潜像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、帯電装置4Y、現像装置5Y等を備えている。また、図示しない除電装置なども備えている。そして、プリンタ本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
上記帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーと磁性キャリアとを含有するY現像剤を用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、後述する中間転写ベルト8上に中間転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色のプロセスユニット(6M,C,K)においても、同様にして感光体(1M,C,K)上に(M,C,K)トナー像が形成されて、中間転写ベルト8上に重ね合わせて中間転写される。
上記現像装置5Yは、そのケーシングの開口から周面の一部を露出させるように配設された現像ロール51Yを有している。また、互いに平行配設された2つの搬送スクリュウ55Y、ドクターブレード52Y、トナー濃度センサ(以下、Tセンサという)56Yなども有している。
現像装置5Yのケーシング内には、磁性キャリアとYトナーとを含む図示しないY現像剤が収容されている。このY現像剤は2つの搬送スクリュウ55Yによって撹拌搬送されながら摩擦帯電せしめられた後、上記現像ロール51Yの表面に担持される。そして、ドクターブレード52Yによってその層厚が規制されてからY用の感光体1Yに対向する現像領域に搬送され、ここで感光体1Y上の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体1Y上にYトナー像が形成される。現像装置5Yにおいて、現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール51Yの回転に伴ってケーシング内に戻される。
2つの搬送スクリュウ55Yの間には仕切壁が設けられている。この仕切壁により、現像ロール51Yや図中右側の搬送スクリュウ55Y等を収容する第1供給部53Yと、図中左側の搬送スクリュウ55Yを収容する第2供給部54Yとがケーシング内で分かれている。図中右側の搬送スクリュウ55Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、第1供給部53Y内のY現像剤を図紙面に直交する方向の手前側から奥側へと搬送しながら現像ロール51Yに供給する。図中右側の搬送スクリュウ55Yによって第1供給部53Yの端部付近まで搬送されたY現像剤は、上記仕切壁に設けられた図示しない開口部を通って第2供給部54Y内に進入する。第2供給部54Y内において、図中左側の搬送スクリュウ55Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、第1供給部53Yから送られてくるY現像剤を図中右側の搬送スクリュウ55Yとは逆方向に搬送する。図中左側の搬送スクリュウ55Yによって第2供給部54Yの端部付近まで搬送されたY現像剤は、上記仕切壁に設けられたもう一方の開口部(図示せず)を通って第1供給部53Y内に戻る。
透磁率センサからなる上述のTセンサ56Yは、第2供給部54Yの底壁に設けられ、その上を通過するY現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤の透磁率は、トナー濃度と良好な相関を示すため、Tセンサ56YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。この制御部は、Tセンサ56Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefを格納したRAMを備えている。このRAM内には、他の現像装置に搭載された図示しないTセンサからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータも格納されている。Y用Vtrefは、後述するY用のトナー搬送装置の駆動制御に用いられる。具体的には、上記制御部は、Tセンサ56Yからの出力電圧の値をY用Vtrefに近づけるように、図示しないY用のトナー搬送装置を駆動制御して第2供給部54Y内にYトナーを補給させる。この補給により、現像装置5Y内のY現像剤中のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他のプロセスユニットの現像装置についても、M,C,K用のトナー搬送装置を用いた同様のトナー補給制御が実施される。
先に示した図1において、プロセスユニット6Y,M,C,Kの図中下方には、光書込装置7が配設されている。潜像形成手段たる光書込装置7は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスユニット6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体に向けて発射して感光体表面を露光走査する。これにより、感光体1Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込装置7は、光源から発したレーザ光(L)を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。
光書込装置7の図中下側には、紙収容カセット26、これらに組み込まれた給紙ローラ27など有する紙収容手段が配設されている。紙収容カセット26は、シート状の記録体たる記録紙Pを複数枚重ねて収納しており、それぞれの一番上の記録紙Pには給紙ローラ27を当接させている。給紙ローラ27が図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の記録紙Pが給紙路70に向けて送り出される。
この給紙路70の末端付近には、送り込み手段たるレジストローラ対28が配設されている。レジストローラ対28は、記録紙Pを挟み込むべく両ローラを回転させるが、挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、記録紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
プロセスユニット6Y,M,C,Kの図中上方には、ベルト部材たる中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。転写手段たる転写ユニット15は、中間転写ベルト8の他、2次転写ローラ19、ベルトクリーニング装置10などを備えている。また、4つの1次転写バイアスローラ9Y,M,C,K、駆動ローラ12、駆動下流側ローラ13、ニップ群上流ローラ80、駆動上流側ローラ14なども備えている。中間転写ベルト8は、これら8つの張架ローラに張架されながら、駆動ローラ12の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これらは中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する方式のものである。中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8上に4色重ね合わせ像(以下、4色トナー像という)が形成される。
中間転写ベルト8のループ外に配設された2次転写ローラ19は、駆動ローラ12に向けて押圧されながらベルトおもて面に当接して2次転写ニップを形成している。図示しない電源によって2次転写ローラ19に印加される2次転写バイアスと、接地された駆動ローラ12との間に位置する2次転写ニップには、2次転写電界が形成される。
中間転写ベルト8上に形成された可視像たる4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って2次転写ニップ内に進入する。2次転写ニップの下方に設けられたレジストローラ対28は、この進入に同期させるように、記録紙Pを2次転写ニップに向けて送り出す。2次転写ニップ内に送り込まれた記録紙Pの表面には、中間転写ベルト8上の4色トナー像が、上述の2次転写電界やニップ圧の作用によって2次転写される。そして、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト8を介して駆動下流側ローラ13に突き当たるベルトクリーニング装置10によってクリーニングされる。2次転写ニップで4色トナー像が一括2次転写された記録紙Pは、転写後搬送路71を経由して定着装置20に送られる。
定着装置20は、内部にハロゲンランプ等の発熱源を有する定着ローラ20aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ20bとによって定着ニップを形成している。定着装置20内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ20aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
定着装置20内でフルカラー画像が定着せしめられた記録紙Pは、定着装置20を出た後、排紙路72と反転前搬送路73との分岐点にさしかかる。この分岐点には、第1切替爪75が揺動可能に配設されており、その揺動によって記録紙Pの進路を切り替える。具体的には、爪の先端を反転前送路73に近づける方向に動かすことにより、記録紙Pの進路を排紙路72に向かう方向にする。また、爪の先端を反転前搬送路73から遠ざける方向に動かすことにより、記録紙Pの進路を反転前搬送路73に向かう方向にする。
第1切替爪75によって排紙路72に向かう進路が選択されている場合には、記録紙Pは、排紙路72から排紙ローラ対100を経由した後、機外へと配設されて、プリンタ筺体の上面に設けられたスタック50a上にスタックされる。これに対し、第1切替爪75によって反転前搬送路73に向かう進路が選択されている場合には、記録紙Pは反転前搬送路73を経て、反転ローラ対21のニップに進入する。反転ローラ対21は、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pをスタック部50aに向けて搬送するが、記録紙Pの後端をニップに進入させる直前で、ローラを逆回転させる。この逆転により、記録紙Pがそれまでとは逆方向に搬送されるようになり、記録紙Pの後端側が反転搬送路74内に進入する。
反転搬送路74は、鉛直方向上側から下側に向けて湾曲しながら延在する形状になっており、路内に第1反転搬送ローラ対22、第2反転搬送ローラ対23、第3反転搬送ローラ対24を有している。記録紙Pは、これらローラ対のニップを順次通過しながら搬送されることで、その上下を反転させる。上下反転後の記録紙Pは、上述の給紙路70に戻された後、再び2次転写ニップに至る。そして、今度は、画像非担持面を中間転写ベルト8に密着させながら2次転写ニップに進入して、その画像非担持面に中間転写ベルトの第2の4色トナー像が一括2次転写される。この後、転写後搬送路71、定着装置20、排紙路72、排紙ローラ対100を経由して、機外のスタック部50a上にスタックされる。このような反転搬送により、記録紙Pの両面にフルカラー画像が形成される。
上記転写ユニット15と、これよりも上方にあるスタック部50aとの間には、ボトル支持部31が配設されている。このボトル支持部31は、Y,M,C,Kトナーを収容するトナー収容部たるトナーボトル32Y,M,C,Kを搭載している。トナーボトル32Y,M,C,K内のY,M,C,Kトナーは、それぞれ図示しないトナー搬送装置により、プロセスユニット6Y,M,C,Kの現像装置に適宜補給される。これらのトナーボトル32Y,M,C,Kは、プロセスユニット6Y,M,C,Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
上述の反転搬送路74は開閉扉内に形成されており、この開閉扉は、外部カバー61と揺動支持体62とを有している。具体的には、開閉扉の外部カバー61は、プリンタ本体の筺体50に設けられた第1回動軸59を中心にして回動するように支持されている。この回動により、外部カバー61は、筺体50の図示しない開口を開閉する。また、開閉扉の揺動支持体62は、図3に示すように、外部カバー61が開かれることで外部に露出し、外部カバー61に設けられた第2回動軸63を中心にして回動するように外部カバーに支持されている。この回動により、図4に示すように、筺体50から開かれた状態にある外部カバー61に対して、揺動支持体62が揺動する。
先に示した図1において、開閉扉60は、揺動支持体62が外部カバー61に接触する第1位置で係止され、且つ、外部カバー61が筺体50に対して閉じられた状態になっている。このような状態にある開閉扉60は、揺動支持体62と、筺体50の本体側との間に、転写後搬送路71や、定着装置20から機外に至るまでの通紙路を形成している。開閉扉60が第1回動軸59を中心にして図中時計回りに回転せしめられて開かれると、筺体50の本体側と揺動支持体62とが大きく離間する。この離間により、先に図3に示したように、転写後搬送路71や、定着装置20から機外に至るまでの通紙路が外部に露出して、これら路内におけるジャム紙が容易に取り除かれる。
開閉扉内においては、外部カバー61と揺動支持体62との間に反転搬送路74が形成されている。この反転搬送路74は、先に図4に示したように、開閉扉60が開かれた状態で、揺動支持体62が外部カバー61から離間する第2位置に揺動せしめられることで、外部に露出する。この露出により、反転搬送路74内におけるジャム紙が容易に取り除かれる。
なお、開閉扉60が開かれても転写ユニット15の大部分は筺体50の本体側に残るが、揺動支持体62に支持されている転写ニップローラたる2次転写ローラ19だけは、開閉扉側に移動する。
図5は、本プリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、演算手段たる制御部200は、CPU201と、制御プログラムや各種データを記憶したROM202と、各種データを一時的に記憶するRAM203とを有している。この制御部200には、各周辺制御部との間で信号の授受を行うためのI/Oインターフェース204を介して光書込装置7、Tセンサ56Y,M,C,K、光書込装置7の制御を専用に司る光書込制御回路205、電源回路206、トナー補給回路207などが接続されている。また、第1端部フォトセンサ151、中央フォトセンサ152、第2端部フォトセンサ153、Yフォトセンサ154Y、Mフォトセンサ154M、Cフォトセンサ154C、Kフォトセンサ154K等を有する光学センサユニット150も接続されている。更には、後述するエンコーダ155やベルト駆動モータ156も接続されている。なお、上述の複数のフォトセンサは、何れも図示しない発光手段から発した光を被検対象面で反射せしめ、その反射光を図示しない受光手段で検知する反射型フォトセンサである。
光書込制御回路205は、制御部200からI/Oインターフェース204を介して入力される指令に基づいて光書込装置7を制御する。また、電源回路206は制御部200からI/Oインターフェース204を介して入力される指令に基づいて、各プロセスユニットの帯電装置に高電圧を印加するととも、各現像装置の現像ローラにそれぞれ現像バイアスを印加する。
トナー補給回路207は、制御部200からI/Oインターフェース204を介して入力される指令に基づいて、各色の図示しないトナー搬送装置を制御する。これにより、図示しない各色のトナーボトル(32Y,M,C,K)から各現像装置内の2成分現像剤へのトナー補給を制御する。
制御部200は各色毎のTセンサ56Y,M,C,Kの出力値に基づいて現像装置内の2成分現像剤のトナー濃度が基準レベルになるような指令をI/Oインターフェース204を介してトナー補給回路207へ出力する。
本プリンタは、以下のような作像能力調整処理を所定のタイミングで実施するように構成されている。即ち、光書込制御回路205が制御部200からI/Oインターフェース204を介して入力される指令に基づいて光書込装置7などを制御したり、制御部200が各プロセスユニットや転写ユニットの駆動を制御したりして、中間転写ベルト8上に作像能力検知用の基準トナー像群を形成する。より詳しくは、この作像能力検知用の基準トナー像群として、4つのY,M,C,K基準トナー像群を形成する。それぞれの基準トナー像群は、予め定められた画素パターンからなる14個のY,M,C,K基準トナー像からなっている。そして、それぞれ14個のY,M,C,K基準トナー像は、互いに異なるトナー付着量になるように形成される。
例えば、K基準トナー像群SKを例にすると、これは、図6に示すように、段階的にトナー付着量が徐々に増えていくY基準トナー像SK1、SK2・・・・SK13、SK14という14個のK基準トナー像から構成されている。これらK基準トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量は、光学センサユニット(150)のKフォトセンサ154Kによって検知される。この検知結果は、出力値Vpi(i=1〜14)として、I/Oインターフェース204を介してRAM203に送られる。Kと同様にして、Y,M,Cについても、それぞれ14個のM,C,K基準トナー像に対するトナー付着量の検知結果であるM,C,Kフォトセンサ154M,C,Kの出力値Vp1〜14がRAM203内に記憶される。
制御部200は、RAM203に記憶されたこれら出力値と、ROM202内に格納されているデータテーブルとに基づいて、それぞれの出力値を単位面積当りのトナー付着量に換算し、トナー付着量データとしてRAM203に格納する。
図7は、感光体の電位とトナー付着量との関係をxy座標にプロットしたグラフである。同図において、x軸には現像ポテンシャル(基準トナー像群作像時の現像バイアス電圧と感光体1K,Y,M,Cの表面電位との差:単位V)を割り振り、y軸には単位面積当りのトナー付着量(mg/cm)を割り振っている。
制御部200は、RAM203内に記憶されている電位データとトナー付着量データから、各色毎に、電位データとトナー付着量データとの関係(現像特性)が直線となる領域のものを選択し、これらのデータの平滑化処理を行う。そして、その平滑化処理後の電位データ及びトナー付着量データに対して最小自乗法を適用することによって各現像装置の現像特性の直線近似を行う。更に、各現像装置の現像特性の直線方程式y=ax+bを各色毎に求めた後、この直線方程式における傾きaに基づいて各プロセスユニット(6K,Y,M,C)における作像能力を調整する。
図6に示したように、作像能力調整処理においては、中間転写ベルト8の移動方向(副走査方向)に所定のピッチで並ぶ14個のK基準トナー像SK1、SK2・・・SK13、SK14からなるK基準トナー像群SKが形成される。また、このK基準トナー像群SKに対して主走査方向に隣り合うように、副走査方向に所定のピッチで並ぶ14個のY基準トナー像SY1、SY2・・・SY13、SY14からなるY基準トナー像群SYが形成される。また、このY基準トナー像群SYに対して主走査方向に隣り合うように、副走査方向に所定のピッチで並ぶ14個のM基準トナー像SM1、SM2・・・SM13、SM14からなるM基準トナー像群SMが形成される。また、このM基準トナー像群SMに対して主走査方向に隣り合うように、副走査方向に所定のピッチで並ぶ14個のC基準トナー像SC1、SC2・・・SC13、SC14からなるM基準トナー像群SCが形成される。
本プリンタは、これまで説明した作像能力調整処理の他に、以下に説明するようなレジストスキュー調整処理を所定のタイミングで行うようになっている。即ち、中間転写ベルト8における幅方向の両端付近及び中央付近に、図8に示すようなレジストスキュー検知用のパッチパターンを形成する。両端付近及び中央付近にそれぞれ形成されるこれら3つのパッチパターンは、それぞれ副走査方向に所定の間隔で並ぶ4つのY,M,C,K基準トナー像Sy、Sm、Sc、Skからなり、同色の基準トナー像がそれぞれ主走査方向に並ぶように形成される。
図中でベルト幅方向の手前側端部付近に形成されたパッチパターン内の各基準トナー像は、第1端部フォトセンサ151によって検知される。また、ベルト幅方向の中央付近に形成されたパッチパターン内の各基準トナー像は、中央フォトセンサ152によって検知される。また、ベルト幅方向の奥側端部付近に形成されたパッチパターン内の各基準トナー像は、第2端部フォトセンサ153によって検知される。各色の基準トナー像の形成タイミングが互いに適切であれば、各基準トナー像の検知間隔がそれぞれ等しくなるが、不適切であると、各色の基準トナー像の形成間隔が等しくなくなる。そして、検知間隔も等しくなくなる。また、光学系に光書込のスキューが生じていなければ、3つのパッチパターンの間において、それぞれ同色の基準トナー像が同じタイミングで検知されるが、スキューが生じていると検知タイミングが異なってくる。制御部200は、主走査方向や副走査方向における各色トナー像の検知間隔や検知タイミングのずれに基づいて、光学系を調整して、各色の重ね合わせずれや画像スキューを抑える。
なお、上述した基準トナー像群やパッチパターンを形成した際には、図1に示した2次転写ローラ19を中間転写ベルト8から離間させて、基準トナー像群やパッチパターンの2次転写ローラ19への転位を回避するようになっている。
以上の基本的な構成を備える本プリンタでは、各色のプロセスユニット6Y,M,C,Kと、1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kとの組合せが、それぞれ、ベルト部材たる中間転写ベルト8の移動方向に沿って所定の配設ピッチで並んでいる。そして、それぞれ記録手段として機能して、中間転写ベルト8のおもて面に可視像たるトナー像を重ね合わせて記録する。よって、4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kと、4つの1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kとの組合せが、本プリンタにおける重ね合わせ手段として機能している。
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
図9は、転写ユニット15を4つの感光体1Y,M,C,Kとともに示す拡大構成図である。なお、同図において、図紙面に直交する方向における手前側、奥側は、それぞれ、本プリンタにおける正面側(前側)、背面側(後側)となっている。中間転写ベルト8は、その無端移動に伴って、駆動ローラ12、駆動下流側ローラ13、ニップ群上流ローラ80、1次転写バイアスローラ9Y,M,C,K、駆動上流側ローラ14との接触位置を順次通過する。駆動下流側ローラ13、ニップ群上流ローラ80、駆動上流側ローラ14は、何れも中間転写ベルト8に連れ回る従動張架ローラとなっている。
図示のように、本プリンタは、中間転写ベルト8における駆動ローラ12に対する掛け回し箇所に対し、おもて面側から転写ニップローラたる2次転写ローラ19を当接させて2次転写転写ニップを形成している。かかる構成では、2次転写ニップに記録紙Pを送り込んでニップ圧を高めたとしても、自らが回転駆動する駆動ローラ12をニップ裏側で駆動ローラを良好に回転させて、記録紙Pを転写ニップ内で良好に搬送することができる。
8つの張架ローラに張架される中間転写ベルト8には、次に列記する8つの展張箇所がある。
・駆動ローラ12と駆動下流側ローラ13との間の展張箇所(下流側展張箇所)。
・駆動下流側ローラ13とニップ群上流ローラ80との間の展張箇所。
・ニップ群上流ローラ80とY用1次転写バイアスローラ9Yとの間の展張箇所。
・Y用1次転写バイアスローラ9YとM用1次転写バイアスローラ9Mとの間の展張箇所。
・M用1次転写バイアスローラ9MとC用1次転写バイアスローラ9Cとの間の展張箇所。
・C用1次転写バイアスローラ9CとK用1次転写バイアスローラとの間の展張箇所。
・K用1次転写バイアスローラ9Kと駆動上流側ローラ14との間の展張箇所。
・駆動上流側ローラ14と駆動ローラ12との間の展張箇所(上流側展張箇所)。
これら展張箇所のうち、駆動ローラ12と駆動下流側ローラ13との間の展張箇所である下流側展張箇所は、8つの展張箇所のうち、テンションのゆるみと張りとの繰り返しが最も大きく現れる箇所である。また、駆動上流側ローラ14と駆動ローラ12との間の展張箇所である上流側展張箇所は、8つの展張箇所のうち、テンションのゆるみと張りとの繰り返しが最も現れ難い箇所であり、ベルトは駆動ローラ12に向けて安定した速度で引っ張られる。
本プリンタでは、8つの張架ローラのうち、図示しないエンコーダを、駆動ローラ12に対してベルト移動方向上流側で隣り合い、且つ中間転写ベルト8に連れ回る駆動上流側ローラ14に設けている。周知の技術によって駆動上流側ローラ14の回転速度を検知するこのエンコーダのエンコーダセンサ155cは、先に図5に示したように、I/Oインターフェース204を介して制御部200に接続されている。本プリンタでは、エンコーダセンサ155cによる検知結果に基づいて、駆動ローラ12の回転駆動源であるベルト駆動モータ156の駆動速度を制御させるように、制御部200を構成している。
駆動上流側ローラ14は、中間転写ベルト8の全領域のうち、テンションのゆるみと張りとの繰り返しが最も現れ難い上流側展張箇所に続く領域を自らの表面に巻き掛けている。このため、下流側展張箇所のテンションのゆるみと張りとの繰り返しに起因して回転速度が不安定になる駆動下流側ローラ13に比べて、安定した速度で回転する。そして、中間転写ベルト8の移動速度をより正確に反映する。更には、2次転写ニップに記録紙Pが送り込まれるのに伴って表面上で中間転写ベルト8スリップさせてしまう駆動ローラ12よりも、中間転写ベルト8の移動速度を正確に反映する。これらの結果、駆動下流側ローラ13や駆動ローラ12の回転速度に基づいて駆動ローラ12の回転速度を制御する場合に比べて、中間転写ベルト8の移動速度を目標に近づけて、重ね合わせズレを抑えることができる。
図16は、上述のエンコーダに駆動ローラ12の回転速度を検知させるようにした場合と、駆動上流側ローラ14の回転速度を検知させるようにした場合とにおける経過時間と中間転写ベルト8の位置変動量(速度変動量)との関係を示すグラフである。このグラフにおいて、約10[sec]あたりに時点において、2次転写ニップに記録紙Pが送り込まれている。図示のように、エンコーダに駆動ローラ12の回転速度を検知させ、その検知結果に基づいて駆動ローラ12の回転速度、ひいては中間転写ベルト8の無端移動速度を制御するようにした場合、2次転写ニップに記録紙Pが挟み込まれると、ベルトが大きく位置変動(速度変動)してしまう。2次転写ニップに記録紙Pが挟み込まれると、駆動ローラ12上で中間転写ベルト8がスリップして速度を低下させてしまうにもかかわらず、駆動ローラ12が安定した速度で回転している、即ち、ベルトが安定した速度で走行している、と判断されるからである。これに対し、駆動上流側ローラ14の回転速度を検知させるようにすると、2次転写ニップに記録紙Pが挟み込まれても、中間転写ベルト8が安定した速度で走行している。2次転写ニップへの記録紙Pの進入に伴ってベルトの走行速度が遅くなると、それに伴って駆動上流側ローラ14の回転速度が遅くなって、駆動ローラ12、ひいては中間転写ベルト8の線速が適切に補正されたからである。
なお、図16は、記録紙Pとして、普通紙(TYPE6200)を用いた実験における結果を示している。かかる普通紙に代えて、厚紙(220kg紙)を用いると、図17に示すようにそれを2次転写ニップに進入させた場合における中間転写ベルト8の速度変動がより顕著になった。
また、エンコーダに駆動下流側ローラ13の回転速度を検知させた場合には、記録紙Pを2次転写ニップに進入させている、させていないにかかわらず、中間転写ベルト8の速度変動が非常に不安定になってしまった。1次転写ニップで中間転写ベルト8が安定した速度で走行していても、駆動下流側ローラ13の回転速度が不安定になってしまうからである。
図示の転写ユニット15は、その前側端部に図示しない第1側板たる後側板を備えているとともに、後側端部に図示しない第2側板たる後側板を備えている。そして、両側板の間に8つの張架ローラや中間転写ベルト8を位置させながら、両側板によってこれらを支持している。
これら前側板及び後側板は、図中矢印Aで示すように、第1ブラケット81を、回動軸81aを中心にして揺動可能に支持している。第1ブラケット81は、駆動下流側ローラ13を回転自在に支持しており、自らの揺動に伴って駆動下流側ローラ13を、図中実線に示す位置と、図中点線に示す位置との間で揺動させる。但し、第1ブラケット81は、転写ユニット15がプリンタ本体に対してセットされた状態では、図示しないロック機構によって図中実線に示す位置に係止されている。転写ユニット15をプリンタ本体から取り外す際には、作業者はこのロック機構による第1ブラケット81の係止を解除して、第1ブラケット81を図中時計回り方向に回動させる。これにより、中間転写ベルト8を、先に図1に示したベルトクリーニング装置10との当接位置から待避させる。
また、上記前側板及び後側板は、図9の矢印Bで示したように、第2ブラケット82を、回動軸82aを中心にして揺動可能に支持している。この第2ブラケット82は、4つの1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kのうち、Y,M,C用の3つの1次転写バイアスローラ9Y,M,Cと、ニップ群上流ローラ80とを、それぞれ回転自在に支持している。第2ブラケット82は、図示しないバネによって図中反時計回り方向に付勢されているとともに、図示しないモータによって回転駆動される偏心カムの周面に当接している。この偏心カムが第2ブラケット82に当接しながら回転することで、バネによって図中反時計回り方向に付勢される第2ブラケット82を図示の位置から図中時計回り方向に僅かに回転させたり、図示の位置まで逆方向に回転させたりする。そして、第2ブラケット82が図示の位置から図中時計回り方向に僅かに回転すると、それに伴って中間転写ベルト8がY,M,C用の3つの感光体1Y,M,Cから離間する。これにより、Y,M,C用の3つの1次転写ニップが形成されなくなる。2色以上の重ね合わせによるカラー画像を形成するカラープリントモードでは、第2ブラケット82が図中の位置まで回転せしめられて、Y,M,C,K用の4つの1次転写ニップが形成される。これに対し、Kトナー像だけからなるモノクロ画像を形成するモノクロプリントモードでは、第2ブラケット82が図示の位置よりも僅かに時計回り方向に回転せしめられて、中間転写ベルト8がY,M,C用の3つの感光体1Y,M,Cから離間する。これにより、モノクロプリントモードにおいて、3つの感光体1Y,M,Cを中間転写ベルト8に接触させることによるそれら感光体や中間転写ベルト8の無駄な摩耗を回避したり、無駄な負荷によるエネルギー消費を回避したりすることができる。
また、上述の前側板及び後側板は、図中矢印Cで示したように、第3ブラケット83を鉛直方向に移動可能に支持している。この第3ブラケット83は、駆動上流側ローラ14を回転自在に支持しており、自らの上下移動に伴って駆動上流側ローラ14を、図中に示す位置と、これよりも鉛直方向上方の位置との間で移動させる。但し、第3ブラケット83は、転写ユニット15がプリンタ本体に対してセットされた状態では、図示しないロック機構によって図中に示す位置に係止されている。転写ユニット15をプリンタ本体から取り外す際には、作業者はこのロック機構による第3ブラケット83の係止を解除して、第3ブラケット83を図中上方に移動させる。これにより、K用の1次転写バイアスローラ9Kを中間転写ベルト8の裏面から離間させて、K用の1次転写バイアスローラ9Kと感光体1Kとの間からの中間転写ベルト8の引き抜き、ひいては中間転写ユニット15の前側へのスライド移動を可能にする。
上述したエンコーダは、図10に示すような、回転方向に所定のピッチで並ぶ50個の被検部155bを有する円盤状の被検円盤155aと、これら被検部155bを検知する上述のエンコーダセンサ(図5の155c)とを有している。これらのうち、被検円盤155aについては、被検ローラたる駆動上流側ローラ14の回転軸部材に固定して、駆動上流側ローラ14とともに回転させている。このように回転する被検円盤155aの複数の被検部155bをそれぞれエンコーダセンサ155cによって検知させ、検知に基づくパルス電圧をエンコーダセンサ155cから出力させる。このパルス電圧の周期に基づいて、駆動下流側ローラ14の回転速度を把握することができる。よって、エンコーダは、駆動下流側ローラ14の回転速度を検知する回転速度検知手段として機能している。
本発明者らは、実験当初、第3ブラケット83として、図示のものよりも大きいものであって、K用の1次転写バイアスローラ9Kと、駆動下流側ローラ14との両方を支持させるようにしたものを用いていた。ところが、かかる構成では、1次転写バイアスローラ9Kや駆動下流側ローラ14の回転に伴う第3ブラケット83の振動により、駆動下流側ローラ14の回転軸部材に固定した被検円盤155aを振動させた。そして、この振動により、エンコーダセンサ155cによる被検部155bの検知パルスに、振動パルスを混入させてしまった。かかる振動パルスを駆動ローラ12の回転速度制御にフィードバックしてしまうと、駆動ローラ12の回転速度を却って不安定にしてしまう。この振動パルスの周波数は、60[Hz]程度であり、被検円盤155aの被検部155bの被検パルス(50個=50Hz)と近い値であるため、検知パルスと振動パルスとを区別することが困難であった。また、検知精度や被検円盤155aの大きさなどの理由から、被検円盤155aとして被検部155bをより多く又は少なくしたものを用いることも困難であった。
そこで、第3ブラケット83を図示のような比較的小さなサイズにし、これによってK用の1次転写バイアスローラ9Kだけを支持するようにした。この一方で、図11に示すように、転写ユニット(15)の前側板90に転がり軸受け91を設け、これによって駆動下流側ローラ14の一端部の回転軸部材14aを回転自在に支持させるようにした。また、図示を省略するが、転写ユニット(15)の後側板にも転がり軸受けを設け、これによって駆動下流側ローラ14の他端部の回転軸部材を回転自在に支持させるようにした。即ち、全ての張架ローラを、各ブラケットを介して間接的に支持するように立設せしめられた立設板たる後側板と前側板90とに、被検ローラたる駆動下流側ローラ14の回転軸部材を回転可能に受ける転がり軸受けを固定したのである。後側板や前側板90は、第3ブラケット83よりも大きく且つ加重がかかることから、ローラの回転等に伴う振動の周波数が、第3ブラケット83よりも高くなる。よって、駆動下流側ローラ14を後側板や前側板90に設けた転がり軸受けによって回転自在に受けることにより、上述の振動パルスを60[Hz]よりも高周波側に移動させることができた。これにより、エンコーダセンサ155cの出力パルスから、被検円盤155aの被検部155bの検知パルスだけを分離して、振動パルスを検知パルスとして誤検知することを回避した。そして、駆動下流側ローラ14の振動による振動パルスを被検部155bの検知パルスとして誤検知することによる駆動ローラ12の回転速度の不安定化、ひいては中間転写ベルト8の速度不安定化による重ね合わせズレを回避することができた。
また、エンコーダセンサ155cも、図9に示した第3ブラケット83に固定してしまうと、被検円盤155aと同様に、第3ブラケット83の約60[Hz]の振動によって振動パルスを混入させることになる。そこで、本プリンタでは、図11に示したように、検知センサたるエンコーダセンサ155c及びこれを保持する保持体たるエンコーダケース155dを、立設板たる前側板90に固定している。かかる構成では、エンコーダセンサ155cの振動による振動パルスを被検部155bの検知パルスとして誤検知することによる駆動ローラ12の回転速度の不安定化、ひいては中間転写ベルト8の速度不安定化による重ね合わせズレを回避することができる。
本プリンタの転写ユニット(15)においては、上述の前側板90、後側板、第1ブラケット81、第2ブラケット82、第3ブラケット83などにより、中間転写ベルト8、8つの張架ローラ、エンコーダなどを支持する支持体が構成されている。そして、この支持体における、互いに張架ローラの反対側端部を支持するように所定の距離をおいて向かい合う第1側板たる前側板90と、第2側板たる後側板とのうち、後側板を、中間転写ベルト8のループ内に納まる形状及び大きさにしている。これにより、かかる構成では、各張架ローラを支持体に取り付けたままで、中間転写ベルト8を転写ユニット15から取り外すことができる。具体的には、図12に示すように、プリンタにセットされた状態の転写ユニット15においては、中間転写ベルト8が所定のテンションで張架されている。この状態から、第1ブラケット81の係止を解き、回動軸81aを中心にして第1ブラケット81を回転させて、図13に示すように、中間転写ベルト8のテンションを緩める。すると、図14に示すように、中間転写ベルト8のベルトループ内に後側板92を通しながら、中間転写ベルト8を転写ユニット15から引き抜くことができる。
このような中間転写ベルト8の取り外しにおいては、第1側板たる前側板90を図示のように鉛直方向に向けた姿勢で転写ユニット15を立たせないと、作業が非常に困難になる。また、たとえかかる姿勢で立たせたとしても、前側板90の形状によっては、ユニットのバランスを上手く保てずに、転写ユニット15をすぐに転倒させてしまうことになる。そこで、本プリンタでは、前側板90を鉛直方向下方に向けた姿勢での縦置きが可能になるように、ベルトユニットたる転写ユニット15を構成している。かかる構成により、転写ユニット15からの中間転写ベルト8の取り外し作業を向上させることができる。
但し、前側板90には、上述したようにエンコーダを固定している。このエンコーダについては、前側板90に支持させた状態の駆動上流側ローラ14に対しての着脱を可能にしてそのメンテナンス性を向上させるという観点から、前側板90における後側板92との対向面とは反対側の外面に設けることが望ましい。すると、エンコーダを前側板90の外面から出っ張らせてしまうため、そのままでは、前側板90を鉛直方向下方に向けた転写ユニット15の縦置きができなくなる。そこで、本プリンタでは、先に図11に示したように、前側板90における周縁部の全域に、前側板90と後側板(92)との対向領域とは反対側に向けて突出する突出部90aを設け、この突出部90aよりも内側(前側板90の重心寄り)に、検知センサたるエンコーダセンサ155cを固定し、且つ、被検円盤155aを位置させている。かかる構成では、前側板90の周縁部に突出部90aを設けることで、エンコーダセンサ155cや被検円盤155aなどからなるエンコーダの前側板90から外側に向けての出っ張りを回避する。そして、突出部90aによって転写ユニット15を支えて、転写ユニット15の縦置きを可能にすることができる。なお、前側板90の周縁部の領域に突出部90aを設ける必要は必ずしもない。周縁部の一部領域だけに突出部90aを設けて、転写ユニット15を2点、あるいはこれよりも多い多点支持することも可能である。
図15は、駆動上流側ローラ14における軸線方向の前側端部を示す部分拡大図である。本プリンタでは、駆動上流側ローラ14のローラ部14bにおける両端面からそれぞれ突出している回転軸部材のうち、前側板(90)に支持される前側の回転軸部材14aについては、図示のように、段差を設けている。具体的には、回転軸部材14aに、大径部と、これよりも小径で且つ軸線方向の端部側に位置する小径部とを設け、互いに径の異なる両部によって段差を形成している。そして、被検円盤155aを、大径部の端面に、接着や両面テープ付けなどによって固定している。かかる構成では、被検円盤155aを回転軸部材14aの端面によって支持することで、被検円盤155aの回転に伴う厚み方向の撓みを抑える。これにより、被検円盤155aの厚み方向の撓みによるエンコーダ検知精度の悪化を抑えることができる。なお、駆動下流側ローラ14のローラ部14bの直径は、17.5[mm]程度である。
先に図11に示したように、中間転写ベルト8は、無端状のベルト基体8aと、そのループ内周面における幅方向の一端部に設けられたベルト全周に渡って突出する寄り止め突起8bとを有している。同図では、中間転写ベルト8の幅方向の一端部しか示していないが、他端部にも同様の寄り止め突起を有している。これら寄り止め突起8bは、その側面を張架ローラの端面に突き当たることで、中間転写ベルト8の張架ローラからの脱輪を回避するためのものである。但し、上述した8つの張架ローラのうち、エンコーダによって回転速度を検知している駆動上流側ローラ14の端面に寄り止め突起8bを突き当ててしまうと、中間転写ベルト8の移動速度にかかわらず、駆動上流側ローラ14の回転速度を不安定にしてしまう。そこで、本プリンタでは、被検ローラたる駆動上流側ローラ14のローラ部14bの軸線方向長さを、駆動ローラ12のローラ部よりも短くしている。これにより、寄り止め突起8bと駆動上流側ローラ14のローラ部14bの端面との突き当たりを回避する。そして、かかる突き当たりによって駆動上流側ローラ14の回転速度を不安定にしてしまうことによる重ね合わせズレを回避している。
本プリンタでは、先に図9に示したように、各感光体(プロセスユニット)のベルト移動方向における配設ピッチL1を、110[mm]にしている。そして、被検ローラたる駆動上流側ローラ14のローラ部14bの周長(17.5mm×π=54.95=55mm:小数点以下第2位で四捨五入)を、前述の配設ピッチL1の整数倍にしている。かかる構成では、各感光体の偏心による表面移動速度変動の位相と、駆動上流側ローラ14の遠心によるローラ部表面の移動速度変動の位相とを合わせて、両者の位相ずれによる各色トナー像の重ね合わせズレを回避することができる。なお、ローラ部14bの周長を配設ピッチl1の整数倍にする代わりに、整数倍分の1にしてもよい。
これまで、電子写真プロセスによって画像を形成するプリンタについて説明したが、特許文献2に記載の画像形成装置のように、直接記録方式によって画像を形成する画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、上述した8つの張架ローラのうち、駆動ローラ12に対してベルト移動方向上流側で隣り合いながらベルト部材たる中間転写ベルト8を掛け回して従動回転する駆動上流側ローラ14を、回転速度検知手段たるエンコーダによる回転速度の被検ローラとしている。かかる構成では、他の張架ローラを被検ローラにする場合に比べて、中間転写ベルト8の回転速度をより正確に検知することができる。
また、エンコーダとして、回転軸を中心にして回転方向に所定のピッチで並ぶ50個の被検部155bを有する円盤状の被検円盤155aと、その被検部155bを検知する検知センサたるエンコーダセンサ155cとを有するエンコーダを用いている。そして、被検円盤155aを被検ローラたる駆動上流側ローラ14の回転軸部材14aに固定するとともに、全ての張架ローラを直接あるいは間接的に支持するように立設せしめられた立設板たる前側板90及び後側板92に、駆動上流側ローラ14の回転軸部材14aを回転可能に受ける転がり軸受け91を固定している。かかる構成では、上述したように、駆動下流側ローラ14の振動による振動パルスを被検部155bの検知パルスとして誤検知することによる駆動ローラ12の回転速度の不安定化、ひいては中間転写ベルト8の速度不安定化による重ね合わせズレを回避することができる。
また、エンコーダセンサ155c及びこれを保持するセンサ保持体たるエンコーダケース155dを、立設板たる前側板90に固定している。かかる構成では、上述したように、エンコーダセンサ155cの振動による振動パルスを被検部155bの検知パルスとして誤検知することによる駆動ローラ12の回転速度の不安定化、ひいては中間転写ベルト8の速度不安定化による重ね合わせズレを回避することができる。
また、少なくとも、中間転写ベルト8、8つの張架ローラ、及びエンコーダを、1つのユニットとして共通の支持体に支持させて、プリンタ本体に対して一体的に着脱可能にしたベルトユニットたる転写ユニット15として構成している。そして、上記転がり軸受け91及びエンコーダセンサ155cを、立設板たる前側板90に固定している。かかる構成では、転写ユニット15をプリンタ本体に対して着脱可能にすることで、転写ユニット15のメンテナンス性を高めつつ、上記振動パルスを被検部155bの検知パルスとして誤検知することによる駆動ローラ12の回転速度の不安定化、ひいては中間転写ベルト8の速度不安定化による重ね合わせズレを回避することができる。
また、転写ユニット15の支持体における、互いに8つの張架ローラの反対側端部を支持するように所定の距離をおいて向かい合う第1側板たる前側板90と、第2側板たる後側板92とのうち、後側板92を、中間転写ベルト8のループ内に納まる形状及び大きさにしている。かかる構成では、上述したように、8つの張架ローラを取り付けたままの状態で、中間転写ベルト8を転写ユニット15に着脱することができる。そして、これにより、転写ユニット15のメンテナンス性を更に向上させることができる。
また、前側板90を鉛直方向下方に向けた姿勢での縦置きが可能になるように、転写ユニット15を構成している。かかる構成では、上述したように、転写ユニット15からの中間転写ベルト8の取り外し作業を向上させることができる。
また、前側板90における周縁部の全域に、前側板90後側板92との対向領域とは反対側に向けて突出する突出部90aを設け、この突出部90aよりも前側板90の重心寄りに、エンコーダセンサ155cを固定し且つ被検円盤155aを位置させている。かかる構成では、上述したように、エンコーダセンサ155cや被検円盤155aなどからなるエンコーダの前側板90から外側に向けての出っ張りを回避して、転写ユニット15の縦置きを可能にすることができる。
また、駆動上流側ローラ14の回転軸部材14aに、大径部と、これよりも小径で且つ軸線方向の端部側に位置する小径部とを設け、被検円盤155aを、大径部の端面に固定している。かかる構成では、上述したように、被検円盤155aの厚み方向の撓みによるエンコーダ検知精度の悪化を抑えることができる。
また、中間転写ベルト8として、そのループ内周面における幅方向の両端部にそれぞれ、ベルト全周に渡って突出する寄り止め突起8bを設けたものを用いるとともに、駆動上流側ローラ14のローラ部14bの長さを、駆動ローラ12のローラ部よりも短くしている。かかる構成では、上述したように、各張架ローラからの中間転写ベルト8の脱輪を回避しつつ、寄り止め突起8bを駆動上流側ローラ14のローラ部14bの端面に突き当てることによる駆動上流側ローラ14の回転速度を不安定化、ひいては重ね合わせズレを回避することができる。
また、駆動上流側ローラ14のローラ部14bの周長を、記録手段たるプロセスユニットの配設ピッチL1の整数倍にしている。かかる構成では、各感光体の偏心による表面移動速度変動の位相と、駆動上流側ローラ14の遠心によるローラ部表面の移動速度変動の位相とを合わせて、両者の位相ずれによる各色トナー像の重ね合わせズレを回避することができる。なお、整数倍にする代わりに、整数倍分の1にしてもよい。
実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。 同プリンタにおいけるY用のプロセスユニットを示す拡大構成図。 プリンタ本体の筺体に対して外部カバーを開いた状態の同プリンタにおける右側端部を示す拡大構成図。 同外部カバーに対して揺動支持体を開いた状態の同右側端部を示す拡大構成図。 同プリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図。 同プリンタの中間転写ベルト上に形成される基準トナー像群を示す斜視図。 同プリンタの感光体の電位とトナー付着量との関係をxy座標にプロットしたグラフ。 同中間転写ベルト上に形成されるパッチパターンを示す斜視図。 同プリンタの転写ユニットを4つの感光体とともに示す拡大構成図。 同転写ユニットのエンコーダの被検円盤を示す平面図。 同転写ユニットの駆動上流側ローラの後側端部とその周囲構成とを示す拡大構成図。 同転写ユニットを上方から示す平面図。 第1ブラケットをセット位置から待避させた状態の同転写ユニットを示す平面図。 中間転写ベルトを引き抜いた状態の同転写ユニットを示す平面図。 同駆動上流側ローラの後側端部を示す拡大構成図。 エンコーダに駆動ローラの回転速度を検知させるようにした場合と、駆動上流側ローラの回転速度を検知させるようにした場合とにおける経過時間と中間転写ベルトの位置変動量(速度変動量)との関係を示すグラフ(普通紙使用時)。 エンコーダに駆動ローラの回転速度を検知させるようにした場合と、駆動上流側ローラの回転速度を検知させるようにした場合とにおける経過時間と中間転写ベルトの位置変動量(速度変動量)との関係を示すグラフ(厚紙使用時)。
符号の説明
6Y,M,C,K:プロセスユニット(記録手段の一部)
8:中間転写ベルト(ベルト部材)
8a:ベルト基体
8b:寄り止め突起
9Y,M,C,K:1次転写バイアスローラ(張架ローラ、記録手段の一部)
12:駆動ローラ(張架ローラ)
13:駆動下流側ローラ(張架ローラ)
14:駆動上流側ローラ(張架ローラ)
14a:回転軸部材
14b:ローラ部
15:転写ユニット(ベルトユニット)
19:2次転写ローラ(転写ニップローラ)
28:レジストローラ対(送り込み手段)
90:前側板(立設板、第1側板)
90a:突出部
91:転がり軸受け(軸受け)
92:後側板(立設板、第2側板)
155a:被検円盤
155b:被検部
155c:エンコーダセンサ(検知センサ)
155d:エンコーダケース(センサ保持体)
200:制御部(駆動速度制御手段)
P:記録紙(記録部材)
L1:配設ピッチ

Claims (11)

  1. 無端状のベルト部材と、これを裏面で支えながら張架する複数の張架ローラと、これら張架ローラのうちの1つであり、駆動源からの駆動伝達によって回転駆動することで該ベルト部材を無端移動せしめる駆動ローラと、該複数の張架ローラのうちの1つにおける回転速度を検知する回転速度検知手段と、該回転速度検知手段による検知結果に基づいて該駆動源の駆動速度を制御する駆動速度制御手段と、該ベルト部材の移動方向に沿って所定の配設ピッチで並ぶ複数の記録手段により、該ベルト部材のおもて面にそれぞれ可視像を重ね合わせて記録する重ね合わせ手段と、該ベルト部材のおもて面に当接して転写ニップを形成する転写ニップローラと、該転写ニップ内に記録部材を送り込む送り込み手段とを備え、該重ね合わせ手段によって該おもて面に記録された重ね合わせ像を、該転写ニップ内で該記録部材に転写する画像形成装置において、
    上記ベルト部材における上記駆動ローラに対する掛け回し箇所に対しておもて面側から上記転写ニップローラを当接させて転写ニップを形成するとともに、
    上記複数の張架ローラのうち、上記駆動ローラ、及び、該駆動ローラによる掛け回し位置を通過した後の該ベルト部材を始めに掛け回す駆動下流側ローラ、とは異なる張架ローラであって、且つ該ベルト部材の無端移動に伴って従動回転する張架ローラを、上記回転速度検知手段による回転速度の被検ローラとしたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、
    上記複数の張架ローラのうち、上記駆動ローラに対してベルト移動方向上流側で隣り合いながら上記ベルト部材を掛け回して従動回転する駆動上流側ローラを、上記回転速度検知手段による回転速度の被検ローラとしたことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2の画像形成装置において、
    上記回転速度検知手段として、回転軸を中心にして回転方向に所定のピッチで並ぶ複数の被検部を有する円盤状の被検円盤と、回転する該被検円盤の被検部を検知する検知センサとを有するエンコーダを用い、該被検円盤を上記被検ローラに固定するとともに、全ての張架ローラを直接あるいは間接的に支持するように立設せしめられた立設板に、該被検ローラの回転軸部材を回転可能に受ける軸受けを固定したことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項3の画像形成装置において、
    上記検知センサ及びこれを保持するセンサ保持体を上記立設板に固定したことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項4の画像形成装置において、
    少なくとも、上記ベルト部材、複数の張架ローラ、及び回転速度検知手段を、1つのユニットとして共通の支持体に支持させて、画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたベルトユニットとして構成し、上記軸受け及び検知センサを、上記立設板たる該支持体の側板に固定したことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項5の画像形成装置において、
    上記支持体における、互いに上記複数の張架ローラの反対側端部を支持するように所定の距離をおいて向かい合う第1側板及び第2側板のうち、少なくとも第2側板を、上記ベルト部材のループ内に納まる形状及び大きさにしたことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項5又は6の画像形成装置において、
    上記第1側板を鉛直方向下方に向けた姿勢での縦置きが可能になるように、上記ベルトユニットを構成したことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項7の画像形成装置において、
    上記第1側板における周縁部の全域又は一部領域に、該第1側板と上記第2側板との対向領域とは反対側に向けて突出する突出部を設け、該突出部よりも該第1側板の重心寄りに、上記検知センサを固定し且つ上記被検円盤を位置させたことを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項8の画像形成装置において、
    上記被検ローラの回転軸部材に、大径部と、これよりも小径で且つ軸線方向の端部側に位置する小径部とを設け、上記被検円盤を、該大径部の端面に固定したことを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項1乃至9の何れかの画像形成装置において、
    上記ベルト部材として、そのループ内周面における幅方向の両端部にそれぞれ、ベルト全周に渡って突出する寄り止め突起を設けたものを用いるとともに、上記被検ローラのローラ部の長さを、上記駆動ローラのローラ部よりも短くしたことを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項1乃至10の何れかの画像形成装置において、
    上記被検ローラのローラ部の周長を、上記複数の記録手段の配設ピッチの整数倍、あるいは、整数倍分の1としたことを特徴とする画像形成装置。
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