JP2007118022A - プレス成形品と部品との配置方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 プレス成形品内に部品を配置する際に、両者間に発生する無駄な空間を小さくする。
【解決手段】 プレス成形した成形品に他の部品を前記成形品のパンチ当接面側に近接配置する部品配置方法であって、前記成形品は、余り吸収用の突出形状成形部を設けたダイ1を用いて、成形初期段階にブランク材料が拘束されない範囲をつくり、前記突出形状成形部へのブランク材料の流入を誘発させ、前記ブランク材料の余りを前記突出形状成形部にて吸収して成形する。プレス成形品と部品との間に発生する無駄な空間をできるだけ少なくしてスペース効率を向上させることができる。部品間の空間が有効利用でき、ユニットの小型化、軽量化を図ることができる。
【選択図】 図2

Description

この発明は、深絞りパネルなどの配置に適用されるプレス成形品と他の部品との配置方法に関するものである。
深絞りパネルの成形では、ダイとパンチとを用いた絞り成形が採用されている。この成形では、図7(a)に示すように、ダイ10に対し、材料(板12)をブランクホルダ13で押さえ、ダイ10のキャビティ11内にパンチ14を圧入可能に設置する。この図では、ダイ下降型の装置が示されている。この装置を用いてプレス加工を行うと、図7(b)に示すように、成形途中では、パンチ14で押し込まれる板12がブランクホルダ13からパンチ14に向けて流れ込むこと(以下:材料流入)と板12自身の変形(伸びと縮み)により、絞り形状が形成される(図7(c))。図8は、上記成形過程を経て絞り深さHで得られたプレス成形品15を示すものであり、成形品15には割れ、しわ等の不具合対策からコーナ曲率半径Rからなるコーナ部16が設けられている。
ところで、コーナ部16は、図9(a)(b)に示すように、断面方向の伸びと外周方向の縮みが混在しており、成形が難しくなっている。そこで、絞り深さHが深くなると、深くなった形状分をカバーするための対策の一つとして、断面方向の板自身の変形量を多くするか、材料流入量を多くするかの手段が考えられる。しかし、板自身の変形には限界があり、伸びの限界を超えると、破断(ワレ)が発生し不具合となる。一方、材料流入量を多くすると、外周方向の縮みに影響を与え、図9(a)に示すように、2辺の方向から材料がコーナ部16の中心に向かって流れ込むことにより、材料の流入が難しく、また、材料を流入させ過ぎると、コーナ部16に余りジワが発生し、そのシワの影響で材料と金型の間に抵抗が発生し、材料流入が少なくなりワレ不具合が発生する。そのため、従来は、コーナの外周方向の縮み量を少なくするため、コーナ部の曲率半径Rを大きくする対策が採られている。
また、フランジを有するパネルをプレス成形する際に発生する折りじわを防止するために、フランジ面に凹部を形成したプレス成形方法も提案されている(特許文献1参照)。
特開平11−277156号公報
成形品のコーナ部の曲率半径Rを大きくする従来の成形方法では、コーナ部のワレ、シワ等の不具合対策から、絞り深さHが深くなればなる程、コーナ部のRを大きくすることが必要とされる。ところで、図10に示すように、この成形品の内部に他の部品17を配置する場合、コーナ部16を避けて配置することが必要になるため、成形品15と他の部品17との間には、無駄な空間18が発生する。この場合、コーナ部のRが大きくなると、成形品15と内部に配置する他の部品17との間に発生する無駄な空間18が大きくなってスペース効率が悪くなるという問題がある
また、前記した折りじわを防止する前記成形方法は、製品内でのしわ防止を意図するものであり、上記空間18を小さくするという要請に応えることはできない。
本願発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、成形品とその内部に配置する他の部品との間に生じる無駄な空間を小さくしてスペース効率を向上させることができるプレス成形品と部品との配置方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明のプレス成形品と部品との配置方法のうち、請求項1記載の発明は、プレス成形した成形品に他の部品を前記成形品のパンチ当接面側に近接配置する部品配置方法であって、前記成形品は、余り吸収用の突出形状成形部を設けたダイを用いて、成形初期段階にブランク材料が拘束されない範囲をつくり、前記突出形状成形部へのブランク材料の流入を誘発させ、ブランク材料の余りを前記突出形状成形部にて吸収して成形したものであることを特徴とする。
また、請求項2記載のプレス成形品と部品との配置方法の発明は、請求項1記載の発明において、成形品をプレス方向上面から見た場合の突出形状中心軸線と、成形品長手方向中心軸線に直角に交わる方向の線とがなす平面角度を、0度〜90度にしたことを特徴とする。
本発明のプレス成形品と部品との配置方法によれば、成形品に形成された突出形状部に、材料の流入の余りが誘発されてダイの突出形状成形部に余りが吸収されているので、成形品に形成するコーナ部などのRを小さくするなどして余分な部分を小さくでき、したがって、内部に配置する他の部品との間に生じる無駄な空間を小さくすることができる。
また、ダイに設ける突出形状成形部の数は特に限定されるものではなく、例えば余肉部形成用のキャビティの両側のコーナ部に設けることができる。
また、上記突出形状成形部をダイのコーナ部に設けるものとすれば、コーナ部のRを小さくしてシワを誘発し、発生したシワをシワ吸収形状である突出形状成形部で吸収することとなる。上記により絞り深さが大きい場合にもコーナRなどを小さくして、内部に配置する他の部品との間の空間を小さくすることができる。
以上、説明したように本発明のプレス成形品と部品との配置方法によれば、プレス成形した成形品に他の部品を前記成形品のパンチ当接面側に近接配置する部品配置方法であって、前記成形品は、ブランク材料余り吸収用の突出形状成形部を設けたダイを用いて、成形初期段階にブランク材料が拘束されない範囲をつくり、前記突出形状成形部へのブランク材料の流入を誘発させ、ブランク材料の余りを前記突出形状成形部にて吸収して成形したものであるので、成形品のパンチ当接面側とその内部に配置する部品とを近接して配置することができ、無駄な空間の発生をできるだけ少なくしてスペース効率を向上させることができる。したがって、部品間の空間が有効利用でき、さらにユニットの小型化、軽量化を図ることができる。
以下に、本発明の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
先ず、本発明の成形品の成形に用いるプレス成形装置について説明する。該成形装置は、プレス成形品20の形状と余肉幅に合わせたキャビティ2を有するダイ1を有しており、該ダイ1は、2つのコーナ部に、それぞれ外側に突出する突出形状成形部3、3が形成されている。
該突出形状成形部3のパンチライン3aは、キャビティ2の深さ方向に対し、30度の傾きでキャビティ2の底部側から開放側にかけて外側に傾斜している。また、該突出形状成形部3は、プレス成形品20の長手方向を形成するキャビティ2の中心軸線と直角に交わる方向の線Lに対し、45度で交差する方向に形成されている。
突出形状成形部3、3が設けられたコーナ部は曲率半径R1で形成されており、従来のコーナ部の曲率半径Rに対し、顕著に小さくなっている。
また、上記ダイ1に対し配置される材料である板5は、ブランクホルダ6によってダイ1の表面に押さえられる。該ブランクホルダ6は、ダイ1のキャビティ2の輪郭に略沿ってパンチライン形状を有しており、ダイ1の突出形状成形部3に合わせて窪み形状部7を有している。
また、上記ダイ1のキャビティ2内に圧入されるパンチ8は、キャビティ2の内周面に対し成形品の厚みの分のクリアランスを有して該内周面に沿った外周形状を有しており、したがってダイ1の突出形状成形部3に合わせてパンチ突出形状部9を有している。
次に、上記プレス成形装置を用いたプレス成形方法を説明する。
ダイ1におけるキャビティ2の開放面を下側にし、該開放面を覆うようにしてダイ1の表面に板材5を配置しブランクホルダ6にて該板材5をダイ1側に押さえ付ける。このダイ1の下方側にキャビティ2の形状に沿うようにポンチ8が配置される。(図2(a))。
上記設置状態で、ダイ1およびブランクホルダ6を下降させると、パンチ8が板材5に押し当たり絞り成形が開始される。この絞り成形により、ブランクホルダ6にて押さえられている板材5がダイ1のキャビティ2側に流入し、成形初期段階では、ダイ1の突出形状成形部3付近で材料余りが発生し、突出形状成形部3側にしわが発生する(図2(b))。成形初期段階においては、ブランクホルダ6の窪み形状部7の範囲で、板材5は、ブランクホルダ6及びパンチ8、ダイ1、すべてに非接触な範囲が発生しているので、成形初期に上記しわは容易に発生し、そのまま突出形状成形部3に吸収される。絞り成形を引き続き行うと、図3に示すように、ダイ1のキャビティ2の形状に沿って絞り深さHのプレス成形品20が得られ、突出形状成形部3に吸収された材料余り形状は、ダイ1の突出形状成形部3とパンチ6のパンチ突出形状部9によって突出形状部が形成され、該突出形状部がコーナ部21となる。
該プレス成形品20は、上記成形により両端に曲率半径R1のコーナ部21、21を有している。コーナ部21は、図4に示すように、2辺の方向から流れ込む材料が吸収されており、該コーナ部21が材料余りとして機能している。さらに、コーナ部の曲率半径R1も従来の成形品15の曲率半径Rに比べて大幅に小さくなっている。したがって、このプレス成形品20のパンチ当接面側に、図3に示すように他の部品17を近接配置する際に、プレス成形品20のコーナ部21を有する側のパンチ当接面と部品17との間の無駄な空間19が小さくなる。
上記配置方法およびプレス成形方法によれば、絞り深さが大きい場合にも破断(ワレ)の発生を招くことなく、上記した無駄な空間を小さくしてスペース効率を向上させることができる。
なお、上記実施形態では、ダイ1の突出形状成形部3を、深さ方向に対し、30度の角度で傾斜したパンチラインを有するものとしたので、プレス成形品20におけるコーナ部21のコーナ線21aは、図5に示すように鉛直方向に対する角度θが30度となっている。しかし、本願発明としては、このコーナ部21の鉛直方向傾斜角度θは特に限定されるものではなく、0°<θ<90°の範囲で任意に設定可能である。ただし、材料の流入を円滑にして吸収するものとしては30±5°が好適である。
また、上記実施形態では、ダイ1の突出形状成形部3は、プレス成形品20の長手方向を形成するキャビティ2の中心軸線と直角に交わる方向の線Lに対し、45度で交差する方向に形成されている。したがって、プレス成形品20におけるコーナ部21のコーナ線21aは、図6(a)に示すように水平方向において、プレス成形品20の長手方向と直角に交わる方向の基準線L0に対する角度αが45度となっている。しかし、本願発明としては、このコーナ部21の水平方向角度は特に限定されるものではなく、図6(b)および(c)に示すように0°≦α≦90°の範囲で任意に設定可能である。ただし、材料の流入を円滑にして吸収するものとしては45±5°が好適である。
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。
本発明の一実施形態の成形品の成形に用いるプレス成形装置の底面図(図a)および図aのb−b線断面図(図b)である。 同じく、プレス成形過程を示す図である。 同じく、得られたプレス成形品および他の部品の配置手順を示す図である。 同じく、成形時の材料の流れ及び変形状態を示す図である。 同じく、コーナ部の傾斜角θを説明する図であり、図aは一部斜視図、図bは図aのb−b線断面図である。 同じく、コーナ部の水平角度αの変更例を示す図である。 従来の成形方法における材料の成形過程を示す図である。 同じく、成形されたプレス成形品を示す図である。 同じく、成形時の材料の流れ及び変形状態を示す図である。 同じく、従来のプレス成形品に他の部品の配置する手順を示す図(図a)、コーナ部の一部拡大斜視図(図b)、コーナ部の一部平面図(図c)およびb図のd−d線断面図(図d)である。
符号の説明
1 ダイ
2 キャビティ
3 突出形状成形部
3a パンチライン
5 板材
6 ブランクホルダ
7 窪み形状部
7a パンチライン
8 パンチ
9 パンチ突出形状部
20 プレス成形品
21 コーナ部
21a コーナ線

Claims (2)

  1. プレス成形した成形品に他の部品を前記成形品のパンチ当接面側に近接配置する部品配置方法であって、前記成形品は、ブランク材料余り吸収用の突出形状成形部を設けたダイを用いて、成形初期段階にブランク材料が拘束されない範囲をつくり、前記突出形状成形部へのブランク材料の流入を誘発させ、前記ブランク材料の余りを前記突出形状成形部にて吸収して成形したものであることを特徴とするプレス成形品と部品との配置方法。
  2. 成形品をプレス方向上面から見た場合の突出形状中心軸線と、成形品長手方向中心軸線に直角に交わる方向の線とがなす平面角度を、0度〜90度にしたことを特徴とする請求項1記載のプレス成形品と部品との配置方法。
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