JP2007117931A - ジョークラッシャ用歯板、ジョークラッシャ、及び自走式破砕機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固定歯及び可動歯により形成されるV字状空間内に被破砕物が供給され、可動歯板が固定歯板600に対して揺動運動することで被破砕物が破砕されるジョークラッシャの固定歯及び可動歯の少なくともいずれかに装着されるジョークラッシャ用歯板であって、固定歯及び可動歯の少なくともいずれかに装着されたときに、破砕面601は、該被破砕物供給方向に直交する方向に沿って波形状に形成され、波形を構成する歯のピッチが被破砕物の供給方向上流側から下流側に向かって小さくなる部分を有する。
【選択図】図3
Description
ここで、破砕面の波形を構成する歯のピッチは、ジョークラッシャの破砕効率、破砕された破砕粒の粒径等を決定する上で重要な役割を有しており、例えば、歯のピッチを大きくすると、被破砕物に作用するせん断力が大きくなるため破砕効率は向上するが、破砕粒の粒径は大きくなってしまい、歯のピッチを小さく設定すると、供給直後の大きな石塊を効率よく破砕できないという問題がある。
さらに、異なったピッチの歯を有する2つの歯板が使用され、被破砕物供給方向の上流側にピッチの大きな歯板が、下流側にピッチの小さな歯板が取り付けられるジョークラッシャも提案されている(例えば、特許文献3参照)。このジョークラッシャは、ピッチの異なる複数の歯板を組み合わせることにより、破砕粒の粒径と破砕効率のバランスを図ろうとするものである。
特許文献3に記載のジョークラッシャ用歯板では、歯のピッチが異なることで歯板の境界部分に段差が形成されるため、破砕粒の流れが阻害されるとともにこの部分に破砕粒やズリが溜まって破砕効率が低下するという問題がある。また、この段差部分で被破砕物を噛みこんでしまうことによりフレームやトグルプレートに過度の負担をかけるため、場合によってはこれらを破損してしまう恐れがある。
第2発明によれば、歯を直線形状としつつ被破砕物の供給方向上流側から下流側に向かって歯のピッチが小さくなる部分を設けることができるため、高い破砕効率が実現するとともに、破砕粒の排出部分で破砕粒やズリが溜まって破砕効率が低下するのを防ぐことができる。
第4発明によれば、破砕効率に特に影響を与える部分である歯のピッチの遷移部分を含む上流側で、歯のピッチが破砕物よりも大きくなるため、歯と歯との間すなわち谷への破砕粒の入り込みが防止され、より大きなせん断力による破砕効率の向上が可能となる。
第6発明によれば、被破砕物の供給方向下流側の歯が磨耗した場合でも、歯板の上下を反転させて使用することで、使用時に破砕効率が低下するのを防ぐことができる。
第8発明によれば、固定歯板の破砕面と可動歯板の破砕面とが平行に近くなるため、被破砕物のスリップアップを防止するとともに、被破砕物に加える力を大きくすることができ、破砕効率を向上させることが可能となる。
〔第1実施形態〕
〔1−1〕自走式破砕機の全体構成、及びジョークラッシャの構成
図1は、本実施形態に係る自走式破砕機1を示す左側面図、図2は、自走式破砕機1に搭載されたジョークラッシャ30を示す断面図である。
なお、本実施形態のジョークラッシャ30では、スイングフレーム34が固定歯板600の破砕面601に対して上方から下方に削ぎ取るようにスイングするよう、反力受リンク機構36がいわゆるアップスラストタイプになっているが、下方から上方に押し上げるいわゆるダウンスラストタイプであってもよい。
固定歯板600は、図3に示されるように、当接された被破砕物を破砕する破砕面601を有している。
破砕面601は、略中央部分において、被破砕物の供給方向と直交する左右方向に波形状に複数の歯が配列された第1歯部602と、上下方向端部にこの第1歯部602よりも小さなピッチで波形状に複数の歯が配列された第2歯部603とを備えている。
第2歯部603は、図3のY−Y線における断面図である図5に示されるように、第1歯部602の歯602Aよりも少し低い山形状の歯603Aが複数配列された構成で、各歯603Aのピッチは、第1歯部602の歯602Aのピッチの略半分となっている。尚、図3において、実線で示された部分は、歯602A,603Aの山の稜線部分を表し、破線で示された部分は、隣接する歯602A,603Aの谷の底の部分を表している。
つまり、固定歯板600と同様に、破砕面611は、第1歯部612及び第2歯部613を備えている。
そして、第1歯部612の波形を構成する歯612Aは、固定歯板600の第1歯部602の隣接する歯602A間に形成される谷部分と噛み合うような形で構成されている。また、第2歯部613の波形を構成する歯613Aは、固定歯板600の第2歯部603の隣接する歯603A間に形成される谷部分と噛み合うような形で構成されている。
遷移部614は、固定歯板600の角錐側面状の遷移部604と噛み合うような凹面部として形成され、可動歯板610のすべての部分で固定歯板600の破砕面601とすべて噛合するようになっている。
但し、岩塊で挟み込む空間が確保されていれば、必ずしもすべてが噛み合う必要はなく、必須の条件ではない。
そして、ジョークラッシャ30に取り付けた際の各歯板600,610及びその各破砕面601,611の幾何学的な関係は、図8(A)に示すように、第1歯部602,612の歯のピッチをλ2、第2歯部603,613の歯のピッチをλ1、その遷移部604,614の上部で破砕しようとする被破砕物の径をR1、第1歯部602,612の下部で破砕しようとする被破砕物の径をR2とすると、各々がλ1≦R1≦λ2≦R2を満たす関係となっている。
次に、一次破砕が行われた径R2の岩塊は、遷移部604で縮径されつつ、第2歯部603,613に供給され、径R1に縮径された岩塊は、さらに、第2歯部603,613における小さなピッチの歯603A,613Aにより、せん断力が作用してさらに細かい岩石片に破砕され、排出される。
以下、本発明の第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同一の部分等については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態では、図9に示すように、歯板の第1歯部の歯のピッチは第2歯部の歯のピッチの整数倍には構成されておらず、又、一方の歯板の第1歯部を構成する歯は対向する歯板の第1歯部の隣接する歯間に形成される谷部分と噛み合うような形では構成されていない点が、前述した第1実施形態とは異なる。
一方、可動歯板の破砕面は、固定歯板700の破砕面701と構成が同じである。
従って、固定歯板700の第1歯部702の歯702Aは、可動歯板の第1歯部に形成される谷部分とは噛み合わない。なお、固定歯板700の第2歯部703の波形を構成する歯703Aは、第1実施形態と同様に、可動歯板の第2歯部に形成される谷部分と噛み合うような形で構成されている。
なお、ジョークラッシャ用歯板についてのその他の特徴、及び自走式破砕機、ジョークラッシャについては、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
前述した第1実施形態及び第2実施形態では、各歯板の破砕面は、波形状の歯のピッチが2段階で変化する第1歯部及び第2歯部を備えて構成されていた。
これに対し、本実施形態では、例えば固定歯板800について図10に示すように、歯のピッチが3段階で変化する点が異なる。
つまり、固定歯板800の破砕面801は、略中央部に設けられ歯のピッチが最も大きい第1歯部802と、第1歯部802よりも歯のピッチが小さく端部側に設けられた第2歯部803と、第2歯部803よりもさらに歯のピッチが小さく最も端部側に設けられた第3歯部804とを備えている。
なお、その他の部分については、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
以下、本発明の第4実施形態について説明する。
前述した第1実施形態〜第3実施形態では、各歯板は一体成形された1つの板で構成されていた。
これに対し、本実施形態では、図11に示すように、歯板が2つの歯板部材に分割されている点が、第1実施形態と異なる。
つまり、固定歯板は、図3において固定歯板をX−X線で分割した形の構成、可動歯板は、図7において可動歯板をZ−Z線で分割した形の構成となる。従って、この場合であっても、各歯板部材の分割位置における歯のピッチ及び歯の高さが同じであるため、分割部でも段差が発生しづらく、この部分に破砕粒やズリが溜まるのを防ぐことができる。
まず、図11(A)に示すように、スイングフレーム34に設けられた孔341に角ボルト342を挿入し、スイングフレーム34の背面からナットで締めて固定する。そして、スイングフレーム34の下端部に設けられた受部343に下部側歯板部材910Bを押し当てた状態で、下部側歯板部材910Bの背面に設けられた凹部920Bを角ボルト342の頭部に嵌合させ、下部側歯板部材910Bの位置を固定する。
そして、図11(C)に示すように、上部側歯板部材910Aの上端部分とスイングフレーム34の上端の張り出し部分との間の空間にウェッジ344を挿入する。その後、ウェッジ344に設けられた孔345とスイングフレーム34に設けられた孔346とに角ボルト347を挿入し、スイングフレーム34の背面からナットで締め、上部側歯板部材910Aを固定する。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
すなわち、図12に示されるように、第1歯部602及び第2歯部603の連続部分は、第2歯部603の歯603Aを第1歯部602の谷部分に交わる部分で斜めに切り落とした形状、つまりひし形面状の遷移部605が形成されている。
このような構成を採用することにより、前記第1実施形態に比べ歯板の製造、加工を容易に行うことができる。
このような構成を採用することにより、前記第1実施形態に比べ遷移領域にズリが滞留するのをより効果的に防止することができる。
すなわち、図13に示されるように、歯板100は、その破砕面101が第1歯部102及び第2歯部103から構成され、第1歯部102では、端部から中央に向かって次第に連続的に歯のピッチが増大し、第2歯部103では、中央から端部に向かって次第に連続的に歯のピッチが小さくなっている。ジョークラッシャに装着する際は、第1歯部102又は第2歯部103をクラッシャの下流部分に向くように装着することにより、中央から供給方向下流側に向かって次第に歯のピッチが小さくなっていく構造とすることができる。
このような構成を採用することにより、より大きな径の被破砕物を破砕可能なジョークラッシャにおいては、破砕を供給方向の上流側から効果的に実現することができる。
すなわち、各歯板の破砕面は、被破砕物の供給方向に沿った断面の歯の先端形状が直線状に構成されたものであってもよい。
このような構成を採用することにより、前記各実施形態に比べ歯板の製造、加工を容易に行うことができる。
すなわち、固定歯板又は可動歯板のどちらか一方のみに本発明の歯板を使用し、他方に従来の歯板を使用する組み合わせであってもよい。
このような組み合わせにより、従来の歯板の効率的な利用が可能であるとともに、本発明の歯板による破砕効率の向上が期待できる。
Claims (11)
- 固定歯及び可動歯により形成されるV字状空間内に被破砕物が供給され、前記可動歯板が前記固定歯板に対して揺動運動することで前記被破砕物が破砕されるジョークラッシャの前記固定歯及び前記可動歯の少なくともいずれかに装着されるジョークラッシャ用歯板であって、
前記固定歯及び前記可動歯の少なくともいずれかに装着されたときに、前記被破砕物が当接する破砕面は、該被破砕物供給方向に直交する方向に沿って波形状に形成され、
波形を構成する歯のピッチが、被破砕物の供給方向上流側から下流側に向かって小さくなる部分を有することを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項1に記載のジョークラッシャ用歯板において、
前記歯のピッチは、前記被破砕物の供給方向上流側から下流側に向かって段階的に変化していることを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項2に記載のジョークラッシャ用歯板において、
大きい歯のピッチが小さい歯のピッチの整数倍に構成されていることを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項2又は請求項3のいずれかに記載のジョークラッシャ用歯板において、
小さい歯のピッチをλ1、大きい歯のピッチをλ2、大きいピッチの歯から小さい歯のピッチへの遷移部分の上部で破砕される被破砕物の径をR1、下部で破砕される被破砕物の径をR2とすると、
λ1≦R1≦λ2≦R2
を満たすことを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項2〜請求項4のいずれかに記載のジョークラッシャ用歯板において、
前記段階的に変化する部分を滑らかに連続させたことを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のジョークラッシャ用歯板において、
前記被破砕物の供給方向上流側端部及び下流側端部が小さなピッチの歯とされ、略中央部が大きなピッチの歯とされ、前記被破砕物の供給方向中心で該供給方向に直交する方向に延びる軸を中心として略対称に構成されていることを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のジョークラッシャ用歯板において、
複数の歯板部材に分割され、
各歯板部材の分割位置における歯のピッチが同じであることを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項1〜請求項7のいずれかに記載のジョークラッシャ用歯板において、
前記被破砕物の供給方向に沿った断面の歯の先端形状が略弓形に構成されていることを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 固定歯及び可動歯により形成されるV字状空間内に被破砕物が供給され、前記可動歯板が前記固定歯板に対して揺動運動することで前記被破砕物が破砕されるジョークラッシャであって、
請求項1〜請求項8のいずれかに記載のジョークラッシャ用歯板が、前記固定歯及び可動歯の少なくともいずれかに装着されていることを特徴とするジョークラッシャ。 - 請求項9に記載のジョークラッシャにおいて、
前記固定歯及び可動歯の双方に、請求項1〜請求項8のいずれかに記載のジョークラッシャ用歯板が装着されていることを特徴とするジョークラッシャ。 - 走行装置と、この走行装置上に被破砕物を供給する供給装置と、この供給装置により供給された被破砕物を破砕する破砕装置とを備えた自走式破砕機であって、
前記破砕装置は、請求項9又は請求項10に記載のジョークラッシャであることを特徴とする自走式破砕機。
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