JP4452674B2 - ジョークラッシャ用歯板、ジョークラッシャ、及び自走式破砕機 - Google Patents
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Description
ここで、破砕面の波形を構成する歯のピッチは、ジョークラッシャの破砕効率、破砕された破砕粒の粒径等を決定する上で重要な役割を有しており、例えば、歯のピッチを大きくすると、被破砕物に作用するせん断力が大きくなるため破砕効率は向上するが、破砕粒の粒径は大きくなってしまい、歯のピッチを小さく設定すると、供給直後の大きな石塊を効率よく破砕できないという問題がある。
また、歯板の反転後の破砕効率低下を防止するために、歯板の一部を全体的に膨出させた動歯板が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、細長い処理物を出さないようにするために、歯板端部出口付近の歯の山の高さを他の部分よりも大きくした歯板がジョークラッシャが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、前記特許文献2に開示される歯板の構造では、すべての山に対して山の高さを同じように高くしているため、歯板の破砕面形状そのものによる破砕効率の向上は望めない。
さらに、前記特許文献3に開示される歯板の構造では、出口部分の一部の波形の山に膨らみをつけると、噛み合わせの距離が変化してしまい、最終的にジョークラッシャから排出される製品の粒径を維持することができないという問題がある。
第3発明に係るジョークラッシャ用歯板は、第1発明または第2発明において、前記波形を構成する前記第1歯部の断面形状は、略三角形状とされていることを特徴とする。
第5発明に係るジョークラッシャ用歯板は、第4発明において、前記第1歯部の頂点を結んだ線による波形の正弦波曲線は、前記第1歯部の並びによる波形の3倍の周期に設定されていることを特徴とする。
第8発明に係るジョークラッシャ用歯板は、第7発明において、前記一部の破砕面における突出する歯の稜線は、当該歯板の端部から仰角3deg〜5.5degの線を接線とする円弧形状であることを特徴とする。
第11発明に係るジョークラッシャ用歯板は、第9発明において、前記固定歯及び前記可動歯のいずれも第1発明乃至第8発明のいずれかに記載のジョークラッシャ用歯板であることを特徴とする。
また、歯の一部が突出していない他の一部の破砕面が被破砕物供給方向の端部の領域に形成されることにより、歯板の略中央で破砕された被破砕物を、被破砕物供給方向に沿った下流側端部で小さなピッチの歯でさらに細かく破砕することができ、破砕効率が一層向上し、製品粒径を均一にすることができる。
さらに、歯板の上下を反転して使用しても同様に破砕効率が損なわれることがない。
第2発明によれば、各歯の頂点を結んだ線が波形状に形成され、この波形が各歯の並びによる波形の周期の整数倍に設定されることにより、突出した歯の変化が周期的となるので、断面長方形等の扁平な被破砕物に対しても、前記と同様にせん断力に近い力で被破砕物の破砕を行うことができる。
第4発明によれば、歯の並びが正弦波状に形成されることで、岩塊等の硬い被破砕物を破砕する際に、歯の稜線部分の摩耗を少なくすることが可能となるので、歯の耐久性が向上する。
ができ、かつピッチも合うので、歯板を製造するための鋳型等の加工製作を容易にすることができる。
また、第6発明によれば、ジョークラッシャのフィーダから供給される大きな被破砕物を歯板中央の略1/3の領域で効率的に破砕することができ、好適である。
〔第1実施形態〕
(1)全体構成
図1は、本実施形態に係る自走式破砕機1を示す左側面図、図2は、自走式破砕機1に搭載されたジョークラッシャ30を示す断面図である。
なお、本実施形態のジョークラッシャ30では、スイングフレーム34が固定歯板100の破砕面101に対して上方から下方に削ぎ取るようにスイングするよう、反力受リンク機構36がいわゆるアップスラストタイプになっているが、下方から上方に押し上げるいわゆるダウンスラストタイプであってもよい。
前述した固定歯板100及び可動歯板110は、それぞれの破砕面101に形成された歯が互いに噛み合うように、図3及び図4に示されるように、正面視で同様の破砕面101とされている。
固定歯板100及び可動歯板110は、図3に示されるように、正面視略長方形の鋼製板状体から構成され、長辺方向がジョークラッシャ30に装着されたときの被破砕物供給方向とされている。固定歯板100及び可動歯板110の表面には破砕面101が形成され、この破砕面101には、被破砕物供給方向に沿って延びる突条が形成されている。尚、図3において、実線部分は突条の稜線を表し、破線部分は突条間の谷の底部分を表している。
そして、本実施形態では、破砕面101の被破砕物供給方向に沿った長さをLとしたときに、同方向の第1歯部102の長さL1は、L1=0.3L〜0.4Lに設定され、同方向の第2歯部103の長さL2は破砕面101の端部から、L2=0.2L〜0.3Lに設定され、残りの長さが2箇所の遷移部104とされている。尚、このように第1歯部102を破砕面101の略中央の領域に形成し、上下両端に第2歯部103を形成したのは、ジョークラッシャ30に装着した後、下流側に配置された第2歯部103が摩耗したら、反転して再度使用できるようにしたためである。
歯102Aは、歯102A及び歯102B間の谷の底部102Cから高さ寸法H1だけ破砕面101の面外方向に突出し、歯102Bは、この歯102Aよりも高さ寸法H2だけ低くなっている。そして、谷の一部には、歯102Aの突出寸法に併せて通常の谷の底部102Cよりも深く設定された底部102Dが形成されている。
このような第1歯部102を有する固定歯板100、可動歯板110を互いに向き合わせた場合、固定歯板100側の左端の歯102Aは、可動歯板110側の底部102Dと噛合し、固定歯板100の歯102Bが可動歯板110の底部102Cと噛合するようになる。従って、波形線C1の周期T2を歯102A、102Bの周期T1の整数倍とすることにより、同じ破砕面101を固定歯板100及び可動歯板110の双方に形成しても、両者が互いに噛み合うような構成することができる。
遷移部104は、第1歯部102及び第2歯部103の中間部分に形成され、図3のZ−Z線における断面図である図6に示されるように、第1歯部102の歯102Aの端部及び第2歯部103の歯103Aの稜線間を結ぶ傾斜直線状の稜線となるように形成されている。
次に、前述した本実施形態の作用について説明する。
まず、ホッパ25に供給された岩塊等の被破砕物S1は、グリズリフィーダ23によって移動され、ジョークラッシャ30のV字状空間内に供給される。
供給された被破砕物S1は、図7に示されるように、固定歯板100の第1歯部102及び可動歯板110の第1歯部102の間で粗破砕される。具体的には、図8に示されるように、被破砕物S1は、他の歯102Bよりも第1歯部102の破砕面よりも面外方向に突出した歯102Aに当接し、被破砕物S1には、可動歯板110が接近することにより圧縮荷重が作用する。
第1歯部102で破壊された被破砕物S1は、図9に示されるように、より小さな破砕物S2とされ、この被破砕物S2は、第1歯部102よりも間隔の小さい供給方向下流側の第2歯部203の部分に供給される。
第2歯部103では、図9に示されるように、高さの揃えられた歯103Aが当接し、小さくなった被破砕物S2は、略圧縮に近い状態で力が作用し、さらに小さい粒径の破砕物とされ、製品として下端の出口隙間Wの部分から製品として排出される。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同一の部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
前述の第1実施形態では、第1歯部102の歯102A、歯102Bの頂点は波形線C1を描くように規則的に配列されていた。
これに対して、本実施形態に係る第1歯部202は、図10に示されるように第1歯部202における面外方向に突出した歯202Aが突出していない歯202Bと交互に配列され、歯202A、202Bの頂点を結んだ正弦波状の波形線C2の周期T3が、歯202A、202Bの配列による波形の周期T1の2倍に設定されている点が相違する。
これに対して、本実施形態では、図11に示されるように、第2歯部202は、可動歯板210のみに形成されている点が相違する。
このような本実施形態では、第1実施形態の場合よりも第2歯部202における破砕効率が低下するが、基本的には、第1実施形態と同様に作用するので、従来と比較すると被破砕物S1の破砕効率は向上する。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
前述の第1実施形態では、歯板100、110の第2歯部102の各歯102A、102Bは、波形の正弦波形状の断面として構成されていた。
これに対して、本実施形態に係る固定歯板300又は可動歯板310の第2歯部302を構成する歯302A、302B、302Cは、図12に示されるように、断面三角形状に構成されている点が相違する。
この断面三角形状の歯302A、302B、302Cは、硬い岩塊等の被破砕物に対しては、歯302A、302B、302Cの頂点が摩耗しやすいので、あまり向かないが、粘土質、アスファルト等の粘性のある被破砕物を破砕する際には、前述したせん断力の他に、歯302A、302B、302Cの頂点部分で被破砕物を切削することも可能であるため、粘性のある被破砕物の破砕に好適である。
これに対して、本実施形態では、他の歯302Cよりも面外方向に突出する歯302A、302Bがランダムに配列され、しかも、歯302A、302Bそれぞれの突出寸法も異なっている点が相違する。
本発明は、本実施形態のように、ランダムに他の歯302Cから歯302A、302Bを突出させることも含むが、その際、図10に示されるように歯302B、歯302Cの間に形成される谷部分の角θ6が60deg以上となるようにするのが好ましい。角θ6が60deg未満だと、破砕に伴うズリ等が詰まりやすくなり、破砕効率が落ちる可能性があるからである。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、種々の変形を含むものである。
前記第1実施形態では、自走式破砕機1に搭載されたジョークラッシャ30に本発明に係る第1歯部102、第2歯部103を備えた歯板100、110を採用していたが、本発明はこれに限られない。すなわち、定置式のジョークラッシャに本発明を採用してもよい。
前記第1実施形態では、歯板100、110は1枚で形成されていたが、複数の歯板部材を組み合わせて歯板となるようにしてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
(1)試験体構成
図3における歯板100、110において、歯102A、102Bの並び方向に沿った幅寸法1180mm、T1=70mm、H1=50mm、H2=20〜25mmの歯板を2種類試作した。
試験体1は、図3に示されるように、波形線C1が歯のピッチT1の3倍周期のもの、試験体2は、図10に示されるように、波形線C2が歯のピッチT1の2倍周期のものである。
作製した試験体1、試験体2、及び従来の歯板(同じ突出寸法の歯を配列した破砕面を有するもの)を適宜組合せ、実施例1〜実施例3を構成し、従来の歯板を組合せて従来例を構成した。実施例1〜実施例3及び従来例の組合せについて、以下の表1に示す。
試験体1、2及び従来の歯板を実施例、比較例に応じて組合せて、小松製作所製自走式破砕機BR550JGに歯板を装着し、これに被破砕物となる岩塊を投入して実際に破砕を行った。尚、被破砕物は、径400mmの安山岩の玉石であり、一軸圧縮強度σc=1953.2(kgf/cm2)、圧裂引張強度σt=104.4(kgf/cm2)のものを使用した。
(3)評価方法
従来例、実施例1〜実施例3における被破砕物の破砕時間を測定し、従来例による破砕時間を1としたときの各実施例における破砕時間の時間比を算出して評価を行った。
(4)試験結果
試験結果を表2に示す。
表2に示すように、可動歯に試験体1又は試験体2を使用した実施例1〜実施例3はいずれも従来例よりも破砕効率がアップしていることが確認された。特に、実施例3のように固定歯及び可動歯のいずれにも試験体1を使用した場合の破砕効率の向上が著しく、又、歯のピッチT1の2倍周期の試験体1よりも、3倍周期の試験体2の方が効率がよいことも確認された。
Claims (12)
- 固定歯及び可動歯により形成されるV字状空間内に被破砕物が供給され、前記可動歯板が前記固定歯板に対して揺動運動することで前記被破砕物が破砕されるジョークラッシャの前記固定歯及び前記可動歯の少なくともいずれかに装着されるジョークラッシャ用歯板であって、
前記固定歯及び前記可動歯の少なくともいずれかに装着されたときに、前記被破砕物が当接する破砕面には、前記被破砕物供給方向に直交する方向に沿って複数の歯が並ぶ波形状に形成され、
前記破砕面の少なくとも一部の破砕面の波形を構成し、かつ一部の歯が他の歯よりも面外方向に突出した第1歯部と、
前記一部の破砕面以外の他の一部の破砕面の波形を構成する第2歯部とを備え、
前記第2歯部は、同じ高さの複数の歯が並んで形成されるとともに、前記他の一部の破砕面の前記被破砕物供給方向の両端のいずれにも形成されている
ことを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項1に記載のジョークラッシャ用歯板において、
前記第1歯部の一部の歯が他の歯よりも面外方向に突出する破砕面は、各歯の頂点を結んだ線が波形状に形成され、
この各歯の頂点を結んだ線による波形は、前記各歯の並びによる波形の周期の整数倍に設定されている
ことを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項1又は請求項2のいずれかに記載のジョークラッシャ用歯板において、
前記波形を構成する前記第1歯部の断面形状は、略三角形状とされている
ことを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項2に記載のジョークラッシャ用歯板において、
前記第1歯部の並びによる波形が正弦波曲線状に形成され、
前記第1歯部の頂点を結んだ線による波形が正弦波曲線状に形成されている
ことを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項4に記載のジョークラッシャ用歯板において、
前記第1歯部の頂点を結んだ線による波形の正弦波曲線は、前記第1歯部の並びによる波形の3倍の周期に設定されている
ことを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項1に記載のジョークラッシャ用歯板において、
前記他の一部の破砕面は、破砕面の端部から前記被破砕物供給方向に沿って略1/3の長さの領域に形成され、
前記第1歯部の一部の歯が面外方向に突出する前記一部の破砕面は、2つの前記他の一部の破砕面に挟まれた略中央の領域に形成されている
ことを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項6に記載のジョークラッシャ用歯板において、
前記一部の破砕面は、突出する歯の前記被破砕物供給方向に沿った稜線が弓形状に形成されている
ことを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 請求項7に記載のジョークラッシャ用歯板において、
前記一部の破砕面における突出する歯の稜線は、当該歯板の端部から仰角3deg〜5.
5degの線を接線とする円弧形状である
ことを特徴とするジョークラッシャ用歯板。 - 固定歯及び可動歯により形成されるV字状空間内に被破砕物が供給され、前記可動歯板が前記固定歯板に対して揺動運動することで前記被破砕物が破砕されるジョークラッシャであって、
固定歯及び可動歯の少なくともいずれかが、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のジョークラッシャ用歯板とされている
ことを特徴とするジョークラッシャ。 - 請求項9に記載のジョークラッシャにおいて、
前記可動歯は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のジョークラッシャ用歯板であり、
前記固定歯は、波形を構成する複数の歯の高さが変わらない平歯である
ことを特徴とするジョークラッシャ。 - 請求項9に記載のジョークラッシャにおいて、
前記固定歯及び前記可動歯のいずれも請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のジョークラッシャ用歯板である
ことを特徴とするジョークラッシャ。 - 走行装置と、この走行装置上に被破砕物を供給する供給装置と、この供給装置により供給された被破砕物を破砕する破砕装置とを備えた自走式破砕機であって、
前記破砕装置は、請求項9乃至請求項11のいずれかに記載のジョークラッシャである
ことを特徴とする自走式破砕機。
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