このように、主体部の玉受け面は、その面上の遊技球が有する力学的エネルギー(運動エネルギー及び/又は位置エネルギー)に基づいて、一対の揺動支持部を交互に揺動中心とする揺動運動を行う。つまり、玉受け面を流動する遊技球の動きに、玉受け面の揺動運動が加わることによって、遊技球は複雑で予測困難な動きを呈するようになるので、従来のステージ(又はスロープ)にはない楽しみが付与され、興趣を向上させることができる。しかも、主体部(玉受け面)の揺動運動は遊技球が有する力学的エネルギーによって産み出され、主体部を作動させるための特別な動力を要しないので、簡素で安価な構造とすることができる。また、電動モータ等の駆動源を用いないので、例えば主体部の揺動範囲は一様に定まらず、遊技球が玉受け面に流入して(導入されて)から流出する(排出される)までの動きは遊技球1球毎に異なるようになって、一層複雑で予測困難となる。
さらに、一対の揺動支持部で主体部を回動可能に支持しているので、主体部は一対の揺動支持部を交互に揺動中心として、擬似的な(あるいは複合的な)シーソー状の揺動運動を行う。このため、単一の揺動支持部で主体部を回動可能に支持してシーソー状の揺動運動を行う場合(例えば特許文献1)に比べて主体部の揺動運動が収束しやすくなり、遊技球は長手方向への揺れ(移動)が収束してから主体部(玉受け面)外へ流出する(排出される)ことができる。したがって、例えば直下にスタートチャッカー(始動入賞口)が配置されている場合に、主体部から排出された遊技球は安定した状態でほぼ真下に落下するので、スタートチャッカーへの入賞確率が高くなり、遊技球の動きが複雑化されたことと相まって興趣を一層高めることができる。
なお、「流下方向」は、遊技盤の盤面に上下方向(例えば鉛直方向)からわずかな高低差をつけた水平方向まで所定の勾配を設けることにより、設定することができる。また、「盤面と交差する方向」(例えば直交する方向)から遊技者が対面することができる。
上記遊技球誘導構造においても、一対の揺動支持部で主体部を回動可能に支持しているので、主体部は一対の揺動支持部を交互に揺動中心とする揺動運動(擬似的シーソー運動)を行う。このため、単一の揺動支持部で主体部を回動可能に支持して揺動運動(シーソー運動)を行う場合に比べて主体部の揺動運動が収束しやすくなり、遊技球は長手方向への揺れが収束してから主体部外へ流出する。その際、玉受け面のうち一対の揺動支持部の間に位置する部分を排出案内面に形成して、主体部の玉受け面上で長手方向に沿って往復動を繰り返した後の遊技球を排出するための排出部を設けているので、排出部から排出された遊技球はさらに安定した状態でほぼ真下に落下する。これによって、例えば排出部から排出される遊技球のスタートチャッカーへの入賞確率がますます高くなり、遊技者の興趣もさらに高まる。また、一対の揺動支持部と排出部とはいずれも主体部と一体的に形成されているので、樹脂の一体成形等により製造が容易であり、遊技球の衝突や揺動運動の繰り返しに対して耐久性が高められる。
ところで、主体部の排出案内面は、玉受け面上で長手方向に沿って往復動を繰り返した後の遊技球が排出される側(前方側又は後方側)に向って低くなるように形成されていることが望ましい。このように、遊技球排出側(すなわち前方側又は後方側)に向って主体部の排出案内面を低く形成することによって、遊技球は排出案内面(排出部)から円滑に排出されるとともに、一層安定した状態で真下へ落下する。したがって、排出部から排出される遊技球のスタートチャッカーへの入賞確率等がさらに高められる。
また、主体部の排出案内面及び玉受け面は、遊技球流入前の中立状態において、前後方向から見たとき、一対の揺動支持部の長手方向中央位置を基準として左右対称形状に形成されていることが望ましい。これによって、主体部の揺動運動自体が安定化し、排出案内面(排出部)からの遊技球の排出もより円滑になる。
さらに、主体部の玉受け面には、幅方向における遊技球の排出側において、排出部を除く長手方向全体にわたり、長手方向中央位置側の排出案内面に向けて遊技球を案内するための案内壁を上面側に突出形成してもよい。このような案内壁を設けることによって、主体部が揺動運動する際に、玉受け面上の遊技球を排出部以外の部分から落下しないように案内壁で案内しながら、確実に排出案内面上に誘導できる。したがって、排出案内面(排出部)からの遊技球の排出がさらに円滑になり、上記した入賞確率等も向上する。
すなわち、主体部が一対の揺動支持部を交互に揺動中心とする揺動運動を行う際に、遊技球が位置している側の揺動支持部が揺動中心となり、反対側の揺動支持部が浮き上がるように回動する動作が交互に繰り返される。このように、主体部を一対の揺動支持部で回動可能に支持しているために、玉受け面上の遊技球によって、揺動支持部はあたかも両足を交互に踏みしめるように作動し、主体部は擬似的なシーソー運動を行う。これによって、玉受け面上の遊技球は、長手方向両端部間を円滑に往復移動できるようになり、遊技者の興趣を向上させることができる。
その具体例として、揺動支持部には、設置面側に形成される溝部に嵌まり込んだときに、その溝部と揺動軸線を共有する形で回動可能な揺動軸部を形成しておくことができる。揺動支持部が揺動中心となるときには、揺動軸部が溝部に嵌まり込んで回動可能となり、揺動支持部が浮き上がるように回動するときには、揺動軸部が溝部から抜け出しやすいので、主体部の揺動運動及び遊技球の往復動が円滑に行える。
そして、主体部が一対の揺動支持部を交互に揺動中心とする揺動運動を行うときに、外部に固定配置された規制部材に主体部及び/又は揺動支持部が接触することにより、主体部の揺動範囲を規制するようにしてもよい。主体部の揺動範囲を規制する規制部材を設けることによって、主体部が揺動して玉受け面が傾いたときに、玉受け面上の遊技球がその玉受け面の長手方向両端からこぼれ出て詰まりを生じたりすることを防止できる。しかも、流入してきた遊技球の運動エネルギーが大きかったり、設置面等に外力(振動)が加わったりしたときでも、玉受け面からの遊技球のこぼれを防止できる。
以上のような遊技球誘導構造では、主体部の玉受け面は、遊技球流入前の中立状態において、揺動軸線の方向から見たとき、長手方向中央位置側ほど低くなるように形成されていることが望ましい。このように、主体部の玉受け面を長手方向中央位置側ほど低く(例えば下向き凸形状に)形成することによって、玉受け面上の遊技球は、低位となる中央位置を挟んで長手方向両端部間を容易に往復動することができる。なお、主体部の玉受け面は、連続的又は断続的な傾きを有するように形成することができる。また、主体部の玉受け面は、平面的(断面で直線的)又は曲面的(断面で曲線的)な傾きを有するように形成することができる。
具体的には、主体部の玉受け面は、揺動全範囲において、揺動軸線の方向から見たとき、その傾きが長手方向基準面に対して正負反転しないように形成できる。このように、玉受け面の傾きが長手方向基準面(例えば水平面)に対して正負反転しないように形成すれば、主体部が揺動しても玉受け面の傾きは大きく変動しない。したがって、玉受け面上の遊技球がその玉受け面の長手方向両端からこぼれ出て詰まりを生じたりすることを防止できる。
さらに、一対の揺動支持部の長手方向の離間距離をL1とし、主体部の長手方向の寸法をL2としたとき、L2/10≦L1≦L2/2を満足するように構成することができる。このように、一対の揺動支持部の離間距離L1が主体部の長さ(長手方向の寸法)L2の10〜50%となるように構成することによって、主体部(遊技球誘導構造)は、排出案内面及び玉受け面の長手方向寸法がそれぞれ十分に確保でき、振動等の少ない安定した揺動運動ができるようになる。具体的には、玉受け面では遊技球に複雑で予測困難な動きを付与することができ、排出案内面では遊技球を安定した状態で排出・落下させることができる。
なお、一対の揺動支持部の離間距離L1が主体部の長さL2の10%未満となる場合には、主体部の揺動運動が不安定となったり、排出案内面が遊技球を通過・排出させるための長手方向寸法を確保できなくなるおそれがある。一方、一対の揺動支持部の離間距離L1が主体部の長さL2の50%超となる場合には、主体部の揺動範囲(揺動支持部の回動角)が小さくなって遊技球の動きに興趣を欠いたり、玉受け面に遊技球を流入する位置が制約を受けたりするおそれがある。
(実施例1)
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る遊技球誘導構造を備えたパチンコ機の一例を示す正面図、図2はその遊技球誘導構造を含むステージ部の一例を示す斜視図、図3は図2の平面図、要部正面図及びA−A断面図である。図1に示すように、パチンコ機100(遊技機)の遊技盤101の前面(以下、盤面という)101aには、ほぼ左半周が内外2本の発射レール102によって区画され、全体としてほぼ円形の遊技領域103が形成されている。
盤面101a(遊技領域103)のほぼ中央には、手前側(遊技者側)に開口する箱状の中央役物1(役物装置)が配設されている。この中央役物1は、箱型の下部(下辺)及び左右の側部(側辺)を構成する本体枠2aと、その上部(上辺)を構成する屋根状の上部枠2bとを有する。本体枠2a内の下部には床状のステージ部3が載置され、本体枠2a内の左右側部内面には上部枠2bとステージ部3とを連結する形で通路状のワープ部4L,4R(遊技球案内通路)が形成されている。そして、中央役物1の内側奥部(盤面101a側)には、複数(例えば3桁)の図柄表示領域を有する特別図柄表示部108が備えられている。一方、上部枠2bの中央頂部には、1又は複数(例えば2個)の図柄表示領域を有する普通図柄表示部107が備えられている。なお、ワープ部4L,4Rの上部又は中間部には、遊技領域103内を流下する遊技球を取り入れるためのワープ入口(図示せず)がそれぞれ開口している。また、ワープ部4L,4Rの下端部には、内部通路を流下した遊技球をステージ部3に向けて放出するためのワープ出口(図示せず)がそれぞれ開口している。
中央役物1の下方には、狭く開口し入賞困難な第一状態(閉鎖状態)と広く開口し入賞容易な第二状態(開放状態)とに開口態様が変化する一対の回動翼片105a,105aを有し、入賞に基づき特別図柄表示部108の図柄変動表示をスタートさせるスタートチャッカー105(始動入賞口)が配置されている。さらにその下方には、特別図柄表示部108が所定の図柄(例えば、「777」等の3桁のゾロ目)に揃ったときに開口するアタッカー106(大入賞口)が配置されている。また、中央役物1の左右斜め下方でスタートチャッカー105の左右には、入球(ゲート通過)に基づき普通図柄表示部107に所定の図柄(例えば〇×等)の変動表示をスタートさせるゲート状のスルーチャッカー104,104(通過ゲート)がそれぞれ配置されている。
なお、本実施例において、上下方向とは遊技盤101の盤面101aに沿う形で遊技球が流下する方向(例えば鉛直方向)を意味する。また、左右方向とは盤面101aに沿う形で上下方向と交差する方向(例えば水平方向)を意味し、遊技者側から見て左側、右側をいう。さらに、前後方向とは盤面101aと交差(例えば直交)する方向を意味し、前方側(手前側)が遊技者側、後方側(奥側)が盤面101a側となる。
図2に示すように、中央役物1のステージ部3は、盤面101aに固定される後方枠3bと、その後方枠3bに底枠3cを介して固定された前方枠3aと、それら前後の枠3a,3bに固定された左側支持枠3d,右側支持枠3eとによって、枠組構成されている。その枠組構成されたステージ部3の内部には、ステージ20(遊技球誘導構造)が取り付けられている。
図3に示すように、ステージ20は、下方に凸となる弓形湾曲形状に形成されたローリングステージ21(主体部)と、ローリングステージ21の下側に形成された左右一対の揺動軸部22L,22R(揺動支持部)と、ローリングステージ21の上側中央部に形成された排出通路部23(排出部)とを備えている。ローリングステージ21、一対の揺動軸部22L,22R及び排出通路部23は合成樹脂等で一体成形され、一対の揺動軸部22L,22Rが揺動可能に底枠3cに支持されている。
ローリングステージ21の上面側は、左右方向を長手方向とし、前後方向に所定の幅を有し、遊技球Bが左右方向に転動しながら揺動する玉受け面21aに形成されている。この玉受け面21aは、遊技球Bがローリングステージ21に載っていない中立状態において、正面視で長手方向中央位置側ほど低くなるように、連続的な曲面状の傾きにより下向き凸の左右対称湾曲形状に形成されている(図3(b)参照)。なお、ローリングステージ21の玉受け面21aは、前後方向に対しては、長手方向全体にわたり水平状となるように配設されている(図3(c)参照)。
一対の揺動軸部22L,22Rは、ローリングステージ21(玉受け面21a)の長手方向中間部において、長手方向に所定距離L1離間して前後方向に配置され、各々の揺動軸線OL,OR周りでステージ20全体を回動可能に支持する。この一対の揺動軸部22L,22Rの離間距離L1は、ローリングステージ21(玉受け面21a)の長手方向寸法L2に対して10%〜50%の範囲内(例えば20%)に設けられている。これによって、一対の揺動軸部22L,22R(揺動軸線OL,OR)を交互に揺動中心とする揺動運動(すなわち擬似的なシーソー運動)が、振動、騒音等の少ない安定した状態で行われる。
具体的には、図6(a)に示すように、底枠3cの上面側には、前後方向(ローリングステージ21の幅方向)に沿って左右一対の突出部3h1,3h2が設けられ、各突出部3h1,3h2には前後方向に沿って上方側に開口する円弧状の溝部3i1,3i2がそれぞれ形成されている。図3(c)に示すように、一対の揺動軸部22L,22Rは、ローリングステージ21の下部において前後方向に円柱状にそれぞれ突出形成されている。図6(a)に示す中立状態において、左側の揺動軸部22Lは左側揺動軸線OLを共有する形で左側の溝部3i1に嵌まり込み、右側の揺動軸部22Rは右側揺動軸線ORを共有する形で右側の溝部3i2に嵌まり込む。
したがって、図3〜図6に示すように、ローリングステージ21は、玉受け面21a上の遊技球Bが有する力学的エネルギー(運動エネルギー及び位置エネルギー)に基づいて、一対の揺動軸部22L,22Rを交互に揺動中心とする揺動運動を行う。
例えば、図3及び図6(a)のような中立状態において、遊技球Bが玉受け面21aの右端部側(右側揺動軸線ORよりも外側)に位置すると、図4及び図6(b)のように、ローリングステージ21は、右側揺動軸部22R(右側揺動軸線OR)を揺動中心として、左側揺動軸部22Lが左側の溝部3i1よりも浮上するように回動する。一方、遊技球Bが玉受け面21aの左端部側(左側揺動軸線OLよりも外側)に位置すると、図5及び図6(c)のように、ローリングステージ21は、左側揺動軸部22L(左側揺動軸線OL)を揺動中心として、右側揺動軸部22Rが右側の溝部3i2よりも浮上するように回動する。
このように、一対の揺動軸部22L,22Rはあたかも両足を交互に踏みしめるように(又は地団駄を踏むように、若しくは相撲の四股を踏むように)作動し、ローリングステージ21は擬似的なシーソー運動を行う。これによって、玉受け面21a上の遊技球Bは、長手方向両端部間を円滑に往復移動できるようになり、遊技者の興趣を向上させることができる。しかも、一対の揺動軸部22L,22Rを有することにより、単一のシーソー支点で構成する場合に比べて、ローリングステージ21(ひいては遊技球B)の揺動運動が早く収束しやすいので、玉受け面21a上の遊技球Bを安定した軌道で外部へ排出できる。
図3(b)及び図6(a)に示す中立状態において、前方枠3a及び後方枠3bには、右側揺動軸線ORを中心とする半径L1の円弧状の長孔3j1(規制部材)と、左側揺動軸線OLを中心とする半径L1の円弧状の長孔3j2(規制部材)とがそれぞれ形成されている。各長孔3j1,3j2には、一対の揺動軸部22L,22Rの前後端部がそれぞれ挿通されている。
したがって、ローリングステージ21が一対の揺動軸部22L,22Rを交互に揺動中心とする揺動運動を行うとき、前後枠3a,3bに形成された長孔3j1,3j2の内縁に揺動軸部22L,22Rが接触(接当)して揺動停止する。このように、長孔3j1,3j2と揺動軸部22L,22Rとが接当して、ローリングステージ21の揺動範囲が規制されている。
具体的には、右側揺動軸部22R(右側揺動軸線OR)を揺動中心として、左側揺動軸部22Lが左側の溝部3i1よりも浮上するように回動するときには、左側揺動軸部22Lが左側の長孔3j1の上縁に接当する(図4及び図6(b))。他方、左側揺動軸部22L(左側揺動軸線OL)を揺動中心として、右側揺動軸部22Rが右側の溝部3i2よりも浮上するように回動するときには、右側揺動軸部22Rが右側の長孔3j2の上縁に接当する(図5及び図6(c))。
ところで、図3(b)に示す中立状態において、左側支持枠3dには、ローリングステージ21の左側端部を上下に挟む形態で、ストッパ3k1(規制部材)が突出形成されている。また、右側支持枠3eにも、ローリングステージ21の右側端部を上下に挟む形態で、ストッパ3k2(規制部材)が突出形成されている。
したがって、ローリングステージ21が一対の揺動軸部22L,22Rを交互に揺動中心とする揺動運動を行うとき、支持枠3d,3eに形成されたストッパ3k1,3k2にローリングステージ21の端部が接触(接当)して揺動停止することにより、ローリングステージ21の揺動範囲が規制されている。
具体的には、右側揺動軸部22R(右側揺動軸線OR)を揺動中心として、左側揺動軸部22Lが左側の溝部3i1よりも浮上するように回動するときには、ローリングステージ21の左側端部が左側の上方ストッパ3k1に接当するか、又は右側端部が右側の下方ストッパ3k2に接当する(図4参照)。他方、左側揺動軸部22L(左側揺動軸線OL)を揺動中心として、右側揺動軸部22Rが右側の溝部3i2よりも浮上するように回動するときには、ローリングステージ21の右側端部が右側の上方ストッパ3k2に接当するか、又は左側端部が左側の下方ストッパ3k1に接当する(図5参照)。
なお、揺動軸部22L,22Rと長孔3j1,3j2との接当と、ローリングステージ21とストッパ3k1,3k2との接当とは、ローリングステージ21の揺動に対して同時に発生するように設定する。ただし、予め2つの接当位置をオフセットさせて(ずらせて)おき、規制部材として長孔3j1,3j2とストッパ3k1,3k2とのいずれを使用するかをローリングステージ21の形状や大きさに応じて定めてもよい。
いずれにしても、図3〜図6に表わされるように、これらの規制部材によって、ローリングステージ21の玉受け面21aは、揺動全範囲において、その傾きが水平面(長手方向基準面)に対して正負反転しないように形成されていることが望ましい。これによって、ローリングステージ21が揺動しても玉受け面21aの傾きは大きく変動しないから、玉受け面21a上の遊技球Bがその玉受け面21aの長手方向両端からこぼれ出て詰まりを生じたりすることを防止できる。
図2に戻り、排出通路部23は、玉受け面21aのうち一対の揺動軸部22L,22Rの間に位置する部分を排出案内面23aとして含む。排出案内面23aは、ローリングステージ21の玉受け面21a上で長手方向に沿って往復動を繰り返した後の遊技球Bが円滑に排出されるように、前方側に向って徐々に(連続的に)低くなるように形成されている。
図3に示すように、ローリングステージ21の玉受け面21aには、前方の排出側において、排出通路部23(排出案内面23a)を除く長手方向全体にわたり、案内壁21bが垂直状に起立形成されている。この案内壁21bは、玉受け面21a上の遊技球Bを、長手方向中央位置側の排出案内面23aに向けて案内する。また、図3(b)に示すように、ローリングステージ21(玉受け面21a及び排出案内面23a)は、遊技球B流入前の中立状態において、一対の揺動軸部22L,22Rの長手方向中央位置を基準として左右対称形状に形成されている。
再び図2に戻り、前方枠3aには、排出案内面23aと対応する位置に、玉排出口3fが切欠き状に形成されている。玉排出口3fは、スタートチャッカー105(回動翼片105a,105a)の真上に位置している(図1参照)ので、玉排出口3fから排出された遊技球Bは、スタートチャッカー105に入賞しやすくなる。なお、左右の支持枠3d,3eは左右方向の中央側に開口する樋状形態を有し、その内面がローリングステージ21の玉受け面21aに遊技球Bを導入案内するための導入案内面3d’,3e’に形成されている。
ここで、図1を用いて、パチンコ機100における遊技の流れ(遊技盤101上の遊技状態の変化)について概要を説明する。遊技球がスルーチャッカー104,104をゲート通過すると、遊技盤101は普通入賞状態となり、普通図柄表示部107が変動表示(例えば〇×表示を各別に照射するランプを交互に点灯する等)した後停止する。このとき、停止図柄が外れ(例えば×のランプ表示)の場合には普通入賞状態はそのまま終了するが、停止図柄が当たり(例えば〇のランプ表示)の場合には、スタートチャッカー105の回動翼片105a,105aが所定時間(例えば0.5秒間)にわたり開放状態(上記第二状態)となる。
遊技球がスタートチャッカー105に入賞すると、乱数を用いた当否判定(抽選)が行われる。この当否判定において大当たり判定がなされると、特別図柄表示部108の3桁の図柄が変動表示した後所定の順序で停止表示し、停止図柄が一列状に所定の同一図柄(例えば、「777」のゾロ目)で揃って「大当たり状態(特別遊技状態)」となる。すると、アタッカー106が開き、遊技球がきわめて入り易い状況をもたらす。そして、アタッカー106に所定数(例えば10個)の入賞又は所定時間(例えば30秒間)の経過によってアタッカー106は一旦閉じられるが、その間にアタッカー106内の特定領域(図示せず)に入賞すると、再びアタッカー106が開いて入賞し易くする。このようなアタッカー106の開閉は予め決められたラウンド回数(例えば最高16回)まで繰り返されるので、このような大当たり状態の間に遊技者は多数の賞球を得ることができる。
ところで、上記した遊技中において、スタートチャッカー105の回動翼片105a,105aが閉鎖状態(第一状態)のままであるか開放状態(第二状態)に態様変化したかにかかわらず、遊技球Bは、中央役物1のワープ部4L,4Rから導入案内面3d’,3e’を通り、ステージ20(ローリングステージ21)の玉受け面21aに流入することができる(図2参照)。このような遊技球Bは、既述の通り、玉受け面21a上で長手方向に沿って往復動を繰り返した後排出案内面23aから前方側へ排出され、前方枠3aの玉排出口3fを経て排出される場合がある(図2参照)。このように、ステージ部3の玉排出口3fから排出される遊技球Bは、真下に位置する回動翼片105a,105aが閉鎖状態であっても、スタートチャッカー105への入賞確率がきわめて高くなるので、当否抽選回数を増やすことができる。
(実施例2)
図7は本発明に係る遊技球誘導構造を含むステージ部の他の例を示す斜視図である。図7に示すステージ部3の内部には、上段ステージ110と下段ステージ120(遊技球誘導構造)とが各々取り付けられている。
このうち、上段ステージ110は、左右の支持枠3d,3eに固定された前後方向の第一回動軸113L,113R(第一軸線O1,O1)周りで上端部が回動可能に保持された左右一対の回動アーム111L,111R(回動体)と、各回動アーム111L,111Rの下端部に固定された前後方向の第二回動軸114L,114R(第二軸線O2,O2)周りで左右の各端部が回動可能に保持されたスイングステージ112(揺動体)とを備えている。一対の回動アーム111L,111Rは、上端部において第一軸線O1,O1が左右方向に距離L11離間し、かつ下端部において第二軸線O2,O2が左右方向に距離L12離間して配置され、遊技球B1がスイングステージ112に載っていない中立状態では、それぞれ下側に垂下した形態で静止する(図8(b)参照)。
スイングステージ112の上面は、左右方向を長手方向とし、前後方向に所定の幅を有し、遊技球Bが左右方向に転動しながら揺動する玉載せ面112aに形成されている。この玉載せ面112aは、中立状態(図8(b)参照)において、正面視で長手方向中央位置側ほど低くなるように、連続的な曲面状の傾きにより下向き凸の左右対称湾曲形状に形成されている。そして、玉載せ面112aは、長手方向(左右方向)両端部側において、上記したワープ出口から流入する(導入される)遊技球B1を受け止める受止案内面112b,112bを形成する。また、玉載せ面112aは、長手方向中央部側において、長手方向に沿って往復動を繰り返した後の遊技球B1が、幅方向(前後方向)の後方側から流出する(排出される)流出案内面112cを形成する。流出案内面112cは、遊技球B1が円滑に流出するように、後方側に向って徐々に(連続的に)低くなるように形成されている。
具体的には、第一回動軸113L,113R周りで各回動アーム111L,111Rが回動し、第二回動軸114L,114R周りでスイングステージ112と各回動アーム111L,111Rとがそれぞれ相対回動する。これによって、例えば、左右いずれかの受止案内面112bに導入された遊技球B1は、長手方向両端部間の玉載せ面112a上で往復移動した後、徐々にその移動ストロークを小さくしつつ往復動を繰り返し、やがて流出案内面112cから流出する。
他方、各回動アーム111L,111Rは、左右方向の中央側に開口する樋状形態を有し、その内面がスイングステージ112の受止案内面112bに遊技球B1を導入案内するための導入案内面111aに形成されている。このように、上段ステージ110を形成する一対の回動アーム111L,111R、スイングステージ112、第一回動軸113L,113R、第二回動軸114L,114R等によって、玉載せ面112a上の遊技球B1を揺動運動させるための構造が構成されている。
図7に示すように、下段ステージ120は上段ステージ110の下方に位置している。この下段ステージ120は、実施例1のステージ20(図2参照)と同様に、下方に凸となる弓形湾曲形状に形成されたローリングステージ21(主体部)と、ローリングステージ21の下側に形成された左右一対の揺動軸部22L,22R(揺動支持部)と、ローリングステージ21の上側中央部に形成された排出通路部23(排出部)とを備えている。ローリングステージ21、一対の揺動軸部22L,22R及び排出通路部23は合成樹脂等で一体成形され、一対の揺動軸部22L,22Rが揺動可能に底枠3cに支持されている。
ローリングステージ21の上面は、スイングステージ112の玉載せ面112aとほぼ平行状で、玉載せ面112aよりも後方側へ若干幅広の玉受け面21aに形成されている(図8(a)参照)。玉載せ面112a(流出案内面112c)から流出する遊技球B1は、玉受け面21aで受け止められ、玉受け面21a上で長手方向に沿って往復動(又は転動)する。また、玉受け面21aは、長手方向中央部側において、長手方向に沿って往復動を繰り返した後(又は転動後)の遊技球B2が、幅方向の前方側から流出する(排出される)排出案内面23aを形成する。排出案内面23aは、遊技球B2が円滑に排出されるように、前方側に向って徐々に(連続的に)低くなるように形成されている。
次に、図8は上下段のステージがともに中立の状態を示し、図9は上下段のステージがともに右側へ揺動した状態、図10は上下段のステージがともに左側へ揺動した状態をそれぞれ示す。図8に示すように、一対の第一軸線O1,O1(第一回動軸113L,113R)の左右方向の離間距離をL11とし、一対の第二軸線O2,O2(第二回動軸114L,114R)の左右方向の離間距離をL12としたとき、L11>L12となるように設定されている。つまり、図8(b)に表わされるように、中立状態にある各々の回動アーム111L,111Rは、第一軸線O1(第一回動軸113L又は113R)と第二軸線O2(第二回動軸114L又は114R)とを結ぶ線分Xが逆ハの字形を形成するように左右対称に配置されている。なお、左側回動アーム111Lと右側回動アーム111Rとは、第一軸線O1と第二軸線O2との間の距離(すなわち回動アーム長さ)がほぼ等しくなるように設定されている。
したがって、図9(右側揺動状態)や図10(左側揺動状態)に表わされる作動状態では、スイングステージ112は、玉載せ面112a上の遊技球B1が有する力学的エネルギー(ここでは、運動エネルギー及び位置エネルギーを意味する)に基づき、回動アーム111L,111Rの第一軸線O1,O1(第一回動軸113L,113R)周りでの回動により長手方向(左右方向)及び流下方向(上下方向)への動きが合成された揺動運動を行う。また、玉受け面21a上の遊技球B2が有する力学的エネルギー(同様に、運動エネルギー及び位置エネルギーを意味する)に基づき、ローリングステージ21は、一対の揺動軸部22L,22Rを交互に揺動中心とする揺動運動を行う。
これによって、例えば図8のように、スイングステージ112の左側の受止案内面112bに導入された遊技球B1は、右側の端部(図9参照)と左側の端部(図10参照)との玉載せ面112a上で往復移動した後、徐々にその移動ストロークを小さくしながら往復動を繰り返す。一方、ローリングステージ21の右側の玉受け面21aに導入された遊技球B2は、右側の端部(図9参照)と左側の端部(図10参照)との玉受け面21a上で長手方向に沿って往復移動した後、徐々にその移動ストロークを小さくしながら往復動を繰り返す。
その際、上段ステージ110(スイングステージ112)と下段ステージ120(ローリングステージ21)とは互いに独立して揺動運動を行う。したがって、例えばこのうちの一方が右側揺動状態で他方が左側揺動状態となる場合や、一方が中立状態で他方が右側揺動状態となる場合等、図8〜図10以外の作動の組み合わせも発生し得る。このように、作動の組み合わせが多様化することによって、一層興趣を高めることができる。
このようなステージ部3の作動について、下段ステージ120(ローリングステージ21)の作動の様子は、実施例1の図3〜図6と同様である。そこで、ここでは上段ステージ110(スイングステージ112)の作動の様子を、図11に示す模式図によりさらに詳しく説明する。図11では、中立状態を実線で表わし、その中立状態におけるスイングステージ112(玉載せ面112a)を水平線により簡略化して表わしてある。
例えば、図11(a)の中立状態において、左端部側の回動アーム111L(案内導入面111a)から遊技球B1が導入されると、その遊技球B1の接触(運動エネルギー)や自重(位置エネルギー)により上段ステージ110のバランスが崩れ、スイングステージ112は右端部側への揺動運動を行う。このとき、図11(a)に仮想線で示すように、左側の第二回動軸114L(第二軸線O2)は、中立位置Pよりも高位置P’に移動する。また、右側の第二回動軸114R(第二軸線O2)は、中立位置Qから、左側の第二回動軸114Lの移動後の位置P’よりも低位置Q’に移動する。これによって、スイングステージ112の玉載せ面112aの傾きは、移動前(中立状態)の水平状態から移動後(右側揺動状態)の右下傾状態に変化するので、左端部側に流入した遊技球B1を右端部側に誘導案内しやすくなる。
他方、図11(b)の中立状態において、右端部側の回動アーム111R(案内導入面111a)から遊技球B1が導入されると、その遊技球B1の接触や自重により上段ステージ110のバランスが崩れ、スイングステージ112は左端部側への揺動運動を行う。このとき、図11(b)に仮想線で示すように、右側の第二回動軸114R(第二軸線O2)は、中立位置Qよりも高位置Q”に移動する。また、左側の第二回動軸114L(第二軸線O2)は、中立位置Pから、右側の第二回動軸114Rの移動後の位置Q”よりも低位置P”に移動する。これによって、スイングステージ112の玉載せ面112aの傾きは、移動前(中立状態)の水平状態から移動後(左側揺動状態)の左下傾状態に変化するので、右端部側に流入した遊技球B1を左端部側に誘導案内しやすくなる。
このように、スイングステージ112は、中立状態で左右対称になるように、一対の回動アーム111L,111Rによりハンモック状に吊り下げられ、回動アーム111L,111Rの回動に伴って、玉載せ面112aは揺動先頭側が低くなるように傾けられる。これによって、スイングステージ112の左右いずれかの端部側から導入された遊技球Bは、玉載せ面12a上で左右方向に沿って円滑に往復動を繰り返すことになる。したがって、スイングステージ112の長手方向の長さを短く、かつスイングステージ112の揺動範囲を小さく設定した場合でも、遊技球B1に複雑で予測困難な動きを付与することができる。そして、一対の回動アーム111L,111Rの回動アーム長さをほぼ等しく設定してあるので、回動角が小さくても玉載せ面112aを揺動先頭側で低くなるように大きくかつ左右均等に傾けることができる。
なお、図11に示す通り、第二回動軸114L,114R(第二軸線O2,O2)が機構学的な死点や思案点とならないように、回動アーム111L,111Rの回動角が所定値(例えば30°)を超えない範囲に設定する。回動アーム111L,111Rの回動角は、スイングステージ112や回動アーム111L,111Rの重量(慣性)と遊技球B1の重量や流入速度(力学的エネルギー)とに基づき、第一回動軸113L,113R及び第二回動軸114L,114Rでの摩擦等を勘案して定められる。回動アーム111L,111Rの回動角を規制(抑制)するために、ステージ部3の支持枠3d,3e(図7参照)にストッパを設置する場合もある。
図8(c)に戻り、スイングステージ112の玉載せ面112aは、長手方向全体にわたり、後方側(遊技球B1の流出側)が前方側よりも低くなるように形成されているので、玉載せ面112a全面からの遊技球B1の流出が可能である。さらに、玉載せ面112aは、幅方向(前後方向)に連続的な曲面状の傾きを有し、かつ幅方向中間部が最も低くなるように鍋底状に形成されている。したがって、遊技球B1は、玉載せ面112a上で長手方向に沿って往復動を繰り返した後流出案内面112cから後方側へ流出しやすくなり、受止案内面112bからいきなり後方側に流出しにくくなる。
図7に示すように、後方枠3bの前面側中央部には、下段ステージ120(ローリングステージ21)の排出案内面23aの真上に位置して、リング状(めがね構造)の玉通過部3gが固定配置されている。この玉通過部3gは、流出案内面112cから流出する遊技球B1を内部通過させて、排出案内面23aへ流下案内する。図8(a),図9(a),図10(a)に示すように、スイングステージ112が揺動運動を行っても、玉通過部3gは、スイングステージ112の流出案内面112c及びローリングステージ21の排出案内面23aと左右方向において常に重なりを生じている。したがって、流出案内面112cからスイングステージ112の後方側に流出し、玉通過部3gを通過した遊技球B1は、排出案内面23aからローリングステージ21の前方側に排出され、玉排出口3fを通ってスタートチャッカー105に入賞する確率がきわめて高くなる。このように、スイングステージ112やローリングステージ21の揺動運動に伴い、遊技球B1が玉通過部3gを通過する確率や遊技球B2が玉排出口3fを通る確率に変動を生じさせることによって、一層興趣を向上させることができる。
つまり、この実施例では、上段ステージ110(スイングステージ112)のハンモック的な揺動運動によって、スイングステージ112(玉載せ面112a)上の遊技球B1が、左右に大きく往復動しつつ下段ステージ120側へ流出する。そして、下段ステージ120(ローリングステージ21)の擬似的なシーソー運動によって、ローリングステージ21(玉受け面21a)上の遊技球B2が、左右に往復動した後中央部側の排出通路部23(排出案内面23a)から排出される。このように、上段ステージ110では主として遊技球B1の動きに多様性を付加し、また、下段ステージ120では主として遊技球B2の動きを収束し排出しやすくしてスタートチャッカー105への入賞確率を高めることによって、ステージ部3での興趣がさらに高められている。
なお、この実施例では、下段ステージ120(ローリングステージ21)の揺動範囲を規制するためのストッパ3k1,3k2が、上段ステージ110(スイングステージ112)の揺動範囲を規制する機能を兼備している。すなわち、図9(b)に示すように、スイングステージ112が右端部側へ揺動したとき、右側の上方ストッパ3k2にスイングステージ112の右側端部下面が接当して停止する。また、図10(b)に示すように、スイングステージ112が左端部側へ揺動したとき、左側の上方ストッパ3k1にスイングステージ112の左側端部下面が接当して停止する。
以上の実施例2(図7〜図11)において、実施例1(図1〜図6)と共通する機能を有する部分には同一符号を付して説明を省略する。
以上の実施例では、上下方向を鉛直方向とし、左右方向を水平方向とする場合について述べたが、上下方向には斜め上下方向を含み、左右方向には斜め左右方向を含む。また、遊技盤101(盤面101a)が鉛直方向に配置される場合のみについて説明したが、鉛直状以外(例えばほぼ水平状)に配置されていてもよい。なお、遊技球誘導構造に係るローリングステージ21(主体部)において、遊技球B(又はB2)を玉受け面21aの両端部側、中央部側のいずれに導入(流入)してもよい。