JP2007116656A - スピーカ用ダンパーとそれを用いたスピーカ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明はスピーカに用いられるダンパーに関し、スピーカの歪みを抑制することを目的とするものである。
【解決手段】そして、この目的を達成するために本発明は、フレーム5と、このフレーム5に支持された磁気回路1と、この磁気回路1に設けられた磁気ギャップ8に対して可動可能に配置されたボイスコイル体2と、外周端部が前記フレーム5に接続され、内周端部が前記ボイスコイル体2に接続された振動板3とを備えたスピーカの前記ボイスコイル体2を支持するスピーカ用ダンパーであって、内周端部が前記ボイスコイル体2に接続され、かつ第1の弾性率を有するダンパー10と、このダンパー10の外周端部に設けられ、かつ前記第1の弾性率とは異なる第2の弾性率を有するエッジ11とを有する構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、スピーカ用ダンパーとそれを用いたスピーカに関するものである。
一般にスピーカは、図4に示されるように磁気回路1Aに可動可能に配置されたボイスコイル体2Aを振動板3Aの内周端に接続し、振動板3Aの外周端をエッジ4Aを介してフレーム5Aに接続していた。
また、このボイスコイル体2Aとフレーム5Aをダンパー6Aで接続した構造となっていた。
従来のダンパー6Aはウレタン、発泡ゴム、SBRゴムや布などの材料を波板状のコルゲート構造にしたものであり、コルゲート構造とすることで所定の弾性率を確保し、ボイスコイル体2Aの駆動時におけるローリングを抑制するものである。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開平11−150791号公報(図8)
上記ダンパー6Aは、コルゲート構造としたことにより、ボイスコイル体2Aの振幅量が小さい間は、このダンパー6Aがボイスコイル体2Aの振幅に対して大きな負荷になることはないが、ボイスコイル体2Aの振幅量が大きくなるにしたがって、このダンパー6Aがボイスコイル体2Aの振幅に対して大きな負荷になり、このことによりスピーカのパワーリニアリティが非直線性を示すようになり、その結果としてスピーカの歪みの原因となっていた。
そこで、本発明は、スピーカの歪みを低減させるスピーカ用ダンパーを提供することを目的とする。
そして、この目的を達成するために本発明は、フレームと、このフレームに支持された磁気回路と、この磁気回路に設けられた磁気ギャップに対して可動可能に配置されたボイスコイル体と、外周端部が前記フレームに接続され、内周端部が前記ボイスコイル体に接続された振動板とを備えたスピーカの前記ボイスコイル体を支持するスピーカ用ダンパーであって、内周端部が前記ボイスコイル体に接続され、かつ第1の弾性率を有する第1の支持部と、この第1の支持部の外周端部に設けられ、かつ前記第1の弾性率とは異なる第2の弾性率を有する第2の支持部とを有する構成としたものである。
この構成により、ボイスコイル体の振幅量が大きくなってもこのスピーカ用ダンパーがボイスコイル体の振幅に対して大きな負荷となることはなく、この結果としてスピーカの歪みを低減できることになる。
図1は本発明のスピーカを示す断面図であり、すり鉢状のフレーム5の底部中央に配置された磁気回路1は、円板状マグネット1a、円板状プレート1b、円筒状のヨーク1cを組み合わせて接着することにより形成され、ヨーク1cの側壁部分の内周側面とプレート1bの外周側面間により、磁気回路1における上面側に向けて開口した磁気ギャップ8が形成されている。
また、ボイスコイル体2は円筒状の本体2aの外周部にコイル2bが巻き付けられた構造であり、磁気ギャップ8に対して上下方向に可動可能に配置され、ボイスコイル体2の上部外周部分に接続された振動板3を振動させる構造となっている。なお、ボイスコイル体2の上端部分には防塵対策としてのダストキャップ9が設けられている。
振動板3はスピーカの発音源となる部分であり、高い剛性と内部損失を両立したパルプおよび樹脂を主な材料としたもので、その外周端部分が上方に突出したエッジ4を介してフレーム5の開口端部分に接続され、内周端部分がボイスコイル体2に固定されている。なお、エッジ4は振動板3に可動負荷を加えないようウレタン、発泡ゴム、SBRゴムや布などの材料で形成されている。
スピーカ用ダンパー12は、円板状コルゲート構造のダンパー10(支持部の一例)の外周端部にエッジ11(支持部の一例)を接続して構成したものである。
このスピーカ用ダンパー12を構成するコイルゲート構造のダンパー10の内周端部分は、ボイスコイル体2の振動板3固定部よりも磁気回路1側に接続され、またダンパー10の外周端部分が、下方に突出したエッジ11を介してフレーム5に接続されている。
なお、ダンパー10は波板状のリング構造となっており、ボイスコイル体2の可動に対応して伸縮する構造とするとともに、振動板3に設けられたエッジ4と同様に振動板3に可動負荷を加えないようウレタン、発泡ゴム、SBRゴムや布などの材料で形成されている。
以上の構成においてボイスコイル体2のコイル2bに音声信号を印加すると、磁気ギャップ8の磁界と反応してボイスコイル体2が上下方向に可動し、この可動により振動板3が振動してスピーカから音が発信されるものである。特に、ダンパー10の外周端部分にエッジ11を設けてスピーカ用ダンパー12を構成することにより、スピーカの歪みが抑制され、さらにスピーカの駆動効率が高められたものとなっている。
スピーカ用ダンパー12は、本来、その両端がフレーム5とボイスコイル体2に接続されて、ボイスコイル体2の可動時におけるローリングを抑制するものであり、ボイスコイル体2の可動に追従し易くするため波板状とし弾性をもたせている。
コルゲート構造のダンパー10は、ボイスコイル体2の振幅量が小さい時は、ボイスコイル体2の可動に大きな負荷となることは少ないが、ボイスコイル体2の振幅量が大きくなるにしたがって負荷が大きく(変形できず負荷が大きくなる)なってしまう。
そこで、本実施形態では、ダンパー10の外周部をエッジ11を介してフレーム5に接続したものであり、この様にすればボイスコイル体2の可動幅が大きくなり、ダンパー12が負荷となってきた時にエッジ11に応力が加わり、この応力の大きさに応じてエッジ11が弾性変形することになる。
このためこの様にボイスコイル体2の振幅量が大きくなってきた時にもスピーカ用ダンパー12によりその振幅が阻害されにくくなり、駆動効率の低下が抑制されることになる。また、エッジ11が変形をはじめる場合、このエッジ11とエッジ4はその突出方向を逆方向としているので、振動板3が上下に振動することに対する負荷に大きな差異はないことになる。そしてこの様にダンパー12にエッジ11を設けて振動負荷の増大を抑制したことと、エッジ4、11が両者間を境に逆方向に突出させて上下方向の振動負荷に差が出にくくしたことにより、低歪みのスピーカとすることができる。
なお、このようにスピーカ用ダンパー12を、エッジ11を介してフレーム5に接続する構成としたものにおいては、上述したようにボイスコイル体2の可動幅がある程度大きくなるまでは波板状のダンパー10によりパワーリニアリティの直線性が確保でき、ボイスコイル体2の可動幅が所定以上となりその直線性が確保しにくくなった場合にエッジ11の弾性によりその直線性を補なうものであることから、エッジ11の弾性率はコルゲート構造のダンパー10の弾性率より大きく(硬く)設定することが望ましい。
また、コルゲート構造のダンパー10と、エッジ11はそれぞれ異なる弾性率を有し、ボイスコイル体2の可動幅に応じて両者が独立して機能するように設定することが望ましく、そのためにはダンパー10とエッジ11との間、より具体的にはダンパー10とエッジ11との接続領域の弾性率を、ダンパー10およびエッジ11の弾性率より大きく(硬く)設定し、これにより両者の独立性を確保するようにしている。
なお、ダンパー10とエッジ11との接続領域の弾性率を、ダンパー10およびエッジ11の弾性率より大きく(硬く)設定するためには、例えばエッジ11とダンパー10を接着する接着剤の種類としてアクリル系などの硬質接着剤を用いたり、エッジ11とダンパー10をインサートモールドにより一体化しその部分の厚みを大きくしたり、接続領域に補強材料を貼り付けたりする。
また、スピーカの発音領域となる振動板3のパワーリニアリティの直線性を確保しようとした場合、先に述べたダンパー10とエッジ11の複合体を最適化するだけではなく、さらに、ダンパー10とエッジ11を複合したスピーカ用ダンパー12と、振動板3に設けられたエッジ4との関係を規定することが望ましい。
すなわち、この関係において重要となるのはスピーカの実質的な発音源となる振動板3が如何に自由に上下に均等に振動できるかという点であり、この点を考慮した場合には振動板3における直線性を最大限活用するためにダンパー10とエッジ11を複合したスピーカ用ダンパー12の弾性率を、振動板3に設けられたエッジ4の弾性率に略同等に設定することが望ましい。
そのため本実施形態では、エッジ11は図1のごとくエッジ4よりも小さくしている。
すなわち、ダンパー10はコルゲート構造で弾性率が小さい(やわらかい)ので、エッジ11をエッジ4より小さくすることでその弾性率を大きく(硬く)し、これによりエッジ11とダンパー10の複合体の弾性率を、エッジ4と少しでも近づけるようにしている。
また、上下エッジ4、11間に囲まれた領域に位置する振動板3、ボイスコイル体2およびスピーカ用ダンパー12は一体化された剛体と見なせることから、エッジ4、11の間隔を大きくすればボイスコイル体2のローリングを抑制し、歪みを低減できるようになる。このため、このエッジ4、11の間隔を確保するため、エッジ4をダンパー12とは反対側に突出させ、エッジ11を振動板3とは反対側に突出させることで、その間隔を確保し、ボイスコイル体2のローリングを抑制し、歪みを低減できるようにしている。
図2、図3は本発明の他の実施形態を示し、この実施形態では、図1のエッジ11に代え、エッジ11a(支持部の一例)を設けたものである。
すなわち、この実施形態のエッジ11aも振動板3に設けられたエッジ4と同様、振動板3に可動負荷を加えないようウレタン、発泡ゴム、SBRゴムや布などの材料で形成されているため、その形状が図1のもののように断面形状が半円形とはなっていない。
つまり、上述のごとくスピーカの実質的な発音源となる振動板3が自由に上下に均等に振動できるようにするためには、ダンパー10とエッジ11aを複合したスピーカ用ダンパー12aの弾性率を、振動板3に設けられたエッジ4の弾性率と近づけることが望ましい。その場合、この実施形態のごとくエッジ11aを断面半円形形状ではないものにする方が、結論としてダンパー10とエッジ11aを複合したスピーカ用ダンパー12aの弾性率を、振動板3に設けられたエッジ4の弾性率と近づけることができることになる場合がある。
本発明は、スピーカにおいて、スピーカの歪みを低減させることができるとともに、駆動効率を改善することができ、特に小型のスピーカに有用である。
本発明の一実施形態におけるスピーカの断面図 本発明の他の実施形態におけるスピーカの断面図 本発明の他の実施形態におけるスピーカの拡大断面図 従来のスピーカの断面図
符号の説明
1 磁気回路
2 ボイスコイル体
3 振動板
4 エッジ
5 フレーム
8 磁気ギャップ
10 ダンパー
11 エッジ
11a エッジ
12 スピーカ用ダンパー

Claims (5)

  1. フレームと、このフレームに支持された磁気回路と、この磁気回路に設けられた磁気ギャップに対して可動可能に配置されたボイスコイル体と、外周端部が前記フレームに接続され、内周端部が前記ボイスコイル体に接続された振動板とを備えたスピーカの前記ボイスコイル体を支持するスピーカ用ダンパーであって、内周端部が前記ボイスコイル体に接続され、かつ第1の弾性率を有する第1の支持部と、この第1の支持部の外周端部に設けられ、かつ前記第1の弾性率とは異なる第2の弾性率を有する第2の支持部とを有する構成としたスピーカ用ダンパー。
  2. 第2の弾性率を第1の弾性率より大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載のスピーカ用ダンパー。
  3. 第1の支持部と第2の支持部との接続部分の弾性率を、第1、第2の支持部の弾性率より大きくしたことを特徴とする請求項1に記載のスピーカ用ダンパー。
  4. 第1の支持部はコルゲート構造のダンパーにより構成し、第2の支持部はエッジにて構成した請求項1〜3のいずれか一つに記載のスピーカ用ダンパー。
  5. フレームと、このフレームに支持された磁気回路と、この磁気回路に設けられた磁気ギャップに対して可動可能に配置されたボイスコイル体と、外周端部が前記フレームに接続され、内周端部が前記ボイスコイル体に接続された振動板とを備え、前記ボイスコイル体に、請求項1〜4のいずれか一つに記載のスピーカ用ダンパーの第1の支持部を接続し、このスピーカ用ダンパーの第2の支持部をフレームに接続したスピーカ。
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