JP2007113096A - 焼結容器、希土類磁石の製造方法 - Google Patents

焼結容器、希土類磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】脱ワックス処理によって放出される炭素に起因する成形体の変形を抑制し、歩留まりを向上させることのできる焼結容器、希土類磁石の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】焼結容器10の容器本体11を覆う下蓋12、上蓋13に孔14、15を形成し、脱ワックス処理時に成形体100から放出されるガスを、孔14、15を通して焼結容器10の外部に放出するようにした、また、成形体100を焼結するときに、孔14、15を通して焼結容器10の外部から侵入する焼結炉内の雰囲気ガスに含まれる不純物成分を、下蓋12と上蓋13の間にセットした不純物除去材20によって吸着するようにした。このとき、下蓋12の孔14と、上蓋13の孔15は互いにオフセット配置し、上蓋13の孔15から侵入したガスが下蓋12の孔14に向かって流れる際、不純物除去材20に確実に接触するようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、希土類磁石の焼結工程で用いる焼結容器、および希土類磁石の製造方法に関する。
希土類磁石の1種として知られているR−Fe−B系焼結磁石は、種々の永久磁石の中で最も高い磁気エネルギー積を示し、価格も比較的安いため、各種電子機器へ積極的に採用されている。ここで、Rは希土類元素の1種又は2種以上、Bはホウ素である。
希土類磁石は、希土類合金を粉砕して得た合金粉末を磁界中で加圧成形することによって成形体を作製し、この成形体を焼結炉において所定温度に所定時間保持することによって作製されている。しかし、焼結炉内に成形体を暴露した状態で焼結すると、炉内の酸素や水蒸気などの不純物ガスと成形体とが接触する。例えば、R−Fe−B系焼結磁石に含まれるNdなどの希土類元素が酸化すると、磁石の特性は大きく劣化する。したがって、密閉型の焼結容器内に収納された状態で焼結が施されている。
成形体を焼成する際には、成形体を形成するときに用いるワックス(潤滑剤)を除去するため、一定条件下での熱処理が行われる(いわゆる脱ワックス処理)。この熱処理の際、成形体からワックスに含まれる炭素が放出され、この炭素が希土類金属と反応して炭化物を生成し、これが焼結体の変形やクラック等の原因となることが知られている。
脱ワックス処理によって放出される炭素に起因して変形の生じた成形体(焼結体)は、変形の程度が大きいと製品として扱うことができず、歩留まりを低下させる。また、変形の程度が小さい場合には表面を加工することにより製品として扱うことができるが、加工能力の低下や加工工数の増加によって製品コストを上昇させる。
このため、容器内に、ゲッターと称される、ガスに含まれる不純物を吸着する吸着物を置き、成形体から放出される炭素を吸着させることで、成形体への付着を防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、このゲッターは、外部から容器内に侵入するガスに含まれる、焼成炉内の不純物ガスを吸着することにも用いられる(例えば、特許文献1、2参照。)。
特開2002−20803号公報 特開平6−145711号公報
しかしながら、ゲッターを用いたとしても、放出された炭素等を完全に吸着できるものではなく、上記の問題の有効な解決には至っておらず、依然として改善の余地が残されている。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、脱ワックス処理によって放出される炭素に起因する成形体の変形を抑制し、歩留まりを向上させることのできる焼結容器、希土類磁石の製造方法を提供することを目的とする。
脱ワックス処理によって放出される炭素を有効に処理するには、放出された炭素を含むガスを容器外に放出するのが好ましい。その一方で、焼結炉内に成形体を暴露した状態で焼結すると、炉内の不純物を含んだガスと成形体とが接触するため、この不純物の容器内への侵入を確実に防止する必要がある。
このように、相反する要求を満足すべくなされた本発明は、希土類磁石の焼結に用いられる焼結容器であって、有底状で上方に開口し、所定組成の合金粉末からなる成形体を収容する容器本体と、容器本体に対し着脱自在に設けられ、容器本体の開口を塞ぐ蓋体と、蓋体に、その表裏を貫通するよう形成され、蓋体を容器本体に装着した状態で容器本体の内外を連通する連通部と、連通部の近傍に配置され、成形体に対しての不純物を除去する不純物除去材と、を備えることを特徴とする。
このような焼結容器では、ワックスを除去するための熱処理を行った際に成形体から放出される炭素を含んだガスは、連通部から焼結容器の外部に放出される。そして、その後の焼結工程においては、外部から連通部を通して焼結容器内に侵入してくるガスに含まれる不純物を、不純物除去材で除去することができる。このように、成形体から放出される炭素は確実に焼結容器外に放出しつつ、焼結時における外部からの不純物の侵入を抑えることができるのである。これによって、成形体を焼結したときに、炭素や不純物との反応による成形体(成形体を焼結することで得られる焼結体)の変形を有効に抑制することができる。
ここで、不純物除去材は、例えば成形体と同材料で形成するのが好ましい。成形体(焼結体)の不良品等を用いるのが好ましい。このような不純物除去材には、ガスに含まれる炭素や不純物が付着し、付着した炭素や不純物は、その後の焼結時における高温下で反応を生じることで除去される。
上記連通部は、容器本体の開口面積に対し、10〜65%の占積率で形成するのが好ましい。これにより、成形体の変形抑制効果を、より顕著なものとすることができる。占積率のさらに好ましい範囲は、20〜55%である。
ところで、蓋体は、容器本体の開口を塞ぐ第一の蓋体と、第一の蓋体を覆うように設けられる第二の蓋体とから構成される二重構造とすることができ、この場合、第一の蓋体、第二の蓋体のそれぞれに連通部を形成する。そして、不純物除去材は、第一の蓋体と第二の蓋体の間に保持することができる。これにより、不純物除去材の交換等を容易に行うことが可能となる。
さらに、第一の蓋体に形成された連通部と、第二の蓋体に形成された連通部とは、いかなる位置関係で形成しても良いが、互いにオフセットした位置に形成するのが好ましい。そして、不純物除去材は、第一の蓋体に形成された連通部と第二の蓋体に形成された連通部とを結ぶ経路上に配置、つまり第一の蓋体に形成された連通部と第二の蓋体に形成された連通部との間に配置することで、第一の蓋体に形成された連通部と第二の蓋体に形成された連通部を通るガスの流路上に不純物除去材を位置させる。これによって、焼結容器に対して出入りするガスと不純物除去材との接触を、より確実に行うことができる。
本発明は、所定組成の合金粉末からなる成形体を焼結することで希土類磁石を得る希土類磁石の製造方法であって、内外を連通する連通部と、連通部の近傍に配置され、成形体に対しての不純物を除去する不純物除去材と、を備えた焼結容器内に成形体を収容する工程と、焼結容器に収めた成形体を加熱し、成形体に含まれるワックスを除去する工程と、焼結容器に収めた成形体を焼結する工程と、を備えることを特徴とする希土類磁石の製造方法とすることができる。
このとき、不純物除去材は、ワックスを除去する工程および成形体を焼結する工程を所定回数繰り返した時点で交換するのが好ましい。
また、連通部は、焼結容器の上面の表面積に対し、10〜65%の占積率で形成するのが好ましい。
本発明によれば、成形体から放出される炭素は確実に焼結容器外に放出しつつ、焼結時における外部からの不純物の侵入を抑えることができる。これによって、成形体を焼結したときに、炭素や不純物との反応による成形体(成形体を焼結することで得られる焼結体)の変形を有効に抑制することができ、歩留まりを向上させることが可能となる。
以下、本発明を適用したR−Fe−B系焼結磁石の製造方法について説明する。
R−Fe−B系焼結磁石は、通常、原料合金作製、原料合金の粉砕、粉砕された粉末の磁場中成形、成形体の焼結という基本的な工程を経て作製される。
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。
原料合金は粉砕工程に供される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行うことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行うことが効果的である。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末を、平均粒径2.5〜6μm、好ましくは3〜5μmとする。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
微粉砕前後又はその両方にて、有機物を構成要素とするワックスを0.01〜0.5wt%程度添加することにより、次の磁場中成形時に配向性の高い微粉を得ることができる。また、微粉砕前にワックスを添加した場合には、微粉砕工程において所望の粒径の微粉末を効率よく製造することができる。このワックスとしては、脂肪酸又は脂肪酸の誘導体、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等を用いることができる。
以上のようにして得られた微粉末は磁場中成形に供される。この磁場中成形は、800〜1360kA/m(10〜17kOe)の磁場中で、50〜200MPa(0.5〜2ton/cm)前後の圧力で行えばよい。
以上で得られた成形体は、次いで焼結工程に供される。
焼結工程は、その昇温過程においてワックス除去の熱処理(以下、これを脱ワックス処理と称することとする。)を行うことになる。つまり、焼結温度までの昇温過程において、所定温度に所定時間保持することによりワックスを除去することができる。この所定温度は、200〜600℃とすることが望ましい。200℃未満ではワックス除去の効果を十分得ることができないためであり、一方、600℃を超えると効果が飽和するためである。ここで、200〜600℃の温度範囲に保持する、とは当該温度範囲の一定温度に成形体を保持する場合に限らず、所定時間だけ当該温度範囲のいずれかの温度に成形体が加熱されていればよい。
ワックス除去のための保持時間は、短いとワックス除去の効果が不十分であり、一方保持時間が長すぎてもワックス除去の効果が飽和してしまう。したがって、加熱処理の保持時間は、0.5〜10時間とすることが望ましく、さらには1〜3時間とすることが望ましい。
脱ワックス処理は、真空又は不活性ガス雰囲気にて行うことができる。不活性ガスとしては、Arガス、Hガス、Heガスを用いることができる。
以上の脱ワックス処理が施された成形体は、焼結温度まで昇温される。焼結は、真空又は不活性ガス雰囲気中、望ましくは真空中で行われる。焼結条件は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1100℃の温度で1〜10時間程度保持すれば緻密な焼結体を得ることができる。
本発明は、この焼結工程で成形体を収容する焼結容器に特徴を有している。以下、この焼結容器について説明する。
図1は、焼結容器10を用いて焼結を行っている様子を示す図である。図1に示すように、焼結炉1には、例えば加熱ヒータ3が配設されており、この加熱ヒータ3により焼結容器10内に置かれた成形体を焼結温度まで加熱する。焼結容器10は、焼結炉1内に配設された架台4に載置された状態で焼結に供される。
図2および図3は、焼結容器10の構成を示す図である。
この図2、図3に示すように、焼結容器10は、有底状で上方に開口した容器本体11と、この容器本体11の上面に載置される下蓋(蓋体、第一の蓋体)12と、下蓋12を覆うようにセットされる上蓋(蓋体、第二の蓋体)13とから構成されている。
容器本体11内には、図4に示すように、所定数の成形体(焼結体)100が整列してセットされるようになっている。
下蓋12、上蓋13は、それぞれ容器本体11に対して着脱自在にセットできるようになっている。
下蓋12は、全体として平板状で、その表裏を貫通する所定寸法の孔(連通部)14が所定数形成されている。この下蓋12は、容器本体11の上面に、外周部の底面が接した状態となるようにセットされる。
上蓋13は、例えば断面略コ字状をなし、容器本体11にセットした状態で、下蓋12に対向する上面部13aと、上面部13aの外縁部から下方に延びる支持部13bとから形成されている。上蓋13は、支持部13b、13bを例えば架台4上に接地させることで、上面部13aが、下蓋12と所定寸法の間隙を隔てた状態で対向するようになっている。支持部13bは、例えば、容器本体11の外側面から側方に突出するように設けられる凸部(図示無し)によって支持されるようにしても良い。また逆コ字状ではなく、上面部13aの四辺から支持部13bが下方に延びるような形状としても良い。この場合、上蓋13を容器本体11にセットした状態で、上蓋13と容器本体11との間にクリアランスが形成されるようにするのが好ましい。
上蓋13には、下蓋12と同様、上面部13aに、その表裏を貫通する所定寸法の孔(連通部)15が所定数形成されている。これらの孔15は、下蓋12、上蓋13を容器本体11にセットした状態で、下蓋12のそれぞれの孔14に対し、その位置がオフセットし、全体として孔14、15が千鳥状に配置されるように形成するのが好ましい。
これら容器本体11、下蓋12、上蓋13は、ステンレス鋼、Mo等の金属材料を用いて形成することができる。また、セラミックス焼結体を用いても良い。ただし、焼結過程で焼結に悪影響を与えるガス等を放出するものの使用は避けるべきである。
さて、上記のようにして、下蓋12、上蓋13を容器本体11にセットした状態で、成形体100を焼結する際には、下蓋12と上蓋13との間に、不純物除去材20がセットされる。不純物除去材20は、互いにオフセット配置された下蓋12の孔14と上蓋13の孔15とを結ぶ経路上に位置するようにセットするのが好ましい。上蓋13の孔15から侵入したガスが下蓋12の孔14に向かって流れる際、その経路上で不純物除去材20に確実に接触するようにするためである。
不純物除去材20は、脱ワックス処理時に成形体100から放出されるガスに含まれる炭素や、焼結時に焼結容器10の外部から進入するガスに含まれる不純物成分を除去できる材料で形成するのが好ましい。例えば、欠けや変形等によって不良品となった焼結体等である。
この不純物除去材20は、その不純物除去性能の低下を回避するため、定期的に交換するのが好ましい。
上記のような焼結容器10によれば、下蓋12、上蓋13に孔14、15を形成したので、脱ワックス処理時には、成形体100から放出されるガスを、孔14、15を通して焼結容器10の外部に放出することができる。また、その際には、下蓋12、上蓋13の間に配置された不純物除去材20によって、ガスに含まれる炭素を除去することもでき、炭素除去効果は高い。
一方、さらに昇温し、成形体100を焼結するときには、孔14、15を通して焼結容器10の外部から焼結炉1内の雰囲気ガスが焼結容器10内に侵入するが、上蓋13の孔15から侵入したガスに含まれる不純物成分は、不純物除去材20によって除去され、これによって、下蓋12の孔14から容器本体11の内部までの不純物成分の侵入は防止できる。このとき、下蓋12の孔14と、上蓋13の孔15は互いにオフセット配置して、全体として千鳥状に配置するようにしたので、上蓋13の孔15から侵入したガスが下蓋12の孔14に向かって流れる際、不純物除去材20に確実に接触し、これによって前記の不純物成分の除去を確実に行うことができる。
さらに、上蓋13と下蓋12とからなる二重構造とし、これらの間に不純物除去材20をセット・保持するようにした。これにより、不純物除去性能の低下に伴う不純物除去材20の交換が容易となる。
本発明はR−Fe−B(Rは希土類元素の1種又は2種以上)で示される焼結磁石について適用することができる。
R−Fe−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、RはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−Fe−B系焼結磁石の主相となるRFe14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるRFe14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%である。
また、本発明が適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を4.5wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明が適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、Coを5.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜3.0wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上などに効果がある。
本発明が適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Al、Cu、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を8000ppm以下、さらには5000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
本発明は、以上のR−Fe−B系焼結磁石に限らず、Sm−Co系等の他の希土類焼結磁石に適用することができることはいうまでもない。
水素粉砕された原料合金にワックスとしてオレイン酸アミドを0.1wt%加え、ジェットミルを用いて粉砕した。なお、原料合金の組成は、31wt%Nd−0.2wt%Al−0.5wt%Co−0.07wt%Cu−1.0wt%B−残部Feである。粉砕粉を磁界中で配向成形し(磁界:1200kA/m、加圧力:150MPa)、幅40mm、長さ70mm、厚さ10mmの成形体を作製した。
得られた成形体100を、合計100個、図4に示したように、5個×20列に整列して焼結容器10に収容し、真空中で焼結を行った。また、焼結は、400℃まで80℃/分の速度で昇温し、その後1.5時間保持し、さらに1030℃まで80℃/分の速度で昇温して4時間保持するというパターンで行った。なお、ワックスを除去するために、400℃において1.5時間保持している。
このとき、焼結容器10は、容器本体11の内寸を、幅300mm、長さ400mm、高さ100mmとし、下蓋12には、内径62mmの孔14を、マトリックス状に8個形成した。
そして、上蓋13は、下蓋12に対し、20mmの間隔を隔てて対向するようにセットし、下蓋12と上蓋13の間には、大きさ約20mm×20mm×20mmの不純物除去材20を30個セットした。
この上蓋13には、図5に示すように、内径62mmの孔15を、2、3、4、8、20、24、30個形成したものを用意し、それぞれの上蓋13を用いて焼結を行った(実施例1〜7)。
また、比較のため、図6に示すように、上蓋13に孔15を形成しないもの(比較例1)、図7に示すように上蓋13を用いないもの(比較例2)を用意し、同様にして焼結を行った。比較例1、2は、いずれも不純物除去材20を用いていない。
上記のようにして得られた焼結体の幅方向と長さ方向を含む面の長さ方向40mmの長さにおいて中間部のふくらみを図8に示すように測定し、その値を変形量とした。100個の焼結体のうち、成形体100の最大射影面100aが容器本体11の内周面に対向する、5個×2列の合計10個の変形量を測定し、その平均値を求め、図9および表1に示した。
ここで、図9は、上蓋13に形成した孔15の数に応じて決まる、上蓋13に形成した孔15の上面部13a全体に対する占積率と変形量との関係を示すものである。比較例1は、孔15の形成されていない上蓋13によって焼結容器10の内外が遮断されているため、占積率が0%であり、従来一般の焼結容器構造に相当した構成となっている。
また、実施例1、比較例1、比較例2については、成形体100のカーボン量を燃焼赤外線吸収法によって測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2007113096
その結果、上蓋13に孔15を形成した実施例1〜7では、従来一般の焼結容器構造に相当した構成の比較例1と同等以下の変形量に留まっており、特に孔15の数が増え、占積率が10〜75%となると変形量が少なくなる傾向がある。これにより、孔15の数が少ない場合には、脱ワックス処理時に成形体100から発生する炭素を含んだガスを焼結容器10の外部に放出する効果が十分に発揮されておらず、孔15の数が増えることで、炭素を含んだガスの焼結容器10の外部へ放出する効果が高まることがわかる。これは、表1において、実施例1の炭素量が比較例1よりも大幅に低くなっていることからも確認できる。
特に、占積率が、10〜65%であるときには、変形量が0.3mm以下となり、比較例1に対して半減することがわかる。さらに、孔15の占積率が20〜55%であるときには成形体100の変形量は0.1mm以下となり、変形が大幅に改善されることが確認された。
ところで、上蓋13を用いない比較例2では、成形体100の変形量が大幅に増加している。この比較例2は、上蓋13の全面が開口した占積率100%に相当する。この比較例2では、脱ワックス処理時に成形体100から発生する炭素を含んだガスについては、焼結容器10の外部に放出できるものの、その後の焼結工程において、焼結容器10の外部から、焼結炉1内の不純物や、脱ワックス処理時に焼結容器10外に放出したガスに含まれる炭素等を含んだガスが侵入してしまったためと推察できる。これは、表1において、比較例2の炭素量が、比較例1よりは少ないものの実施例1より大幅に高くなっていることからも確認できる。
孔15の位置に着目すると、孔15を2個形成した実施例1、4個形成した実施例3では、容器本体11内でガスが滞留しやすいと考えられる容器本体11の隅部に孔15を形成し、これに対し孔15を3個形成した実施例2では、ガスが滞留しにくいと考えられる容器本体11の中央部付近に孔15を形成した。しかし、これら実施例1〜3では有意な差は見受けられなかった。
さらに、孔15を4個形成した実施例3の変形例として、図10に示すように、4個の孔15を上蓋13の幅方向に一列に並べたり(実施例3−2)、長手方向に一列に並べたり(実施例3−3)、対角線方向に一列に並べたり(実施例3−4)したが、その変形量は0.24〜0.28mmであり、特に有意な差は認められなかった。
したがって、孔15の位置よりも、上記孔15の占積率の方が、成形体100の変形量、すなわち脱ワックス処理時や焼結工程時における不純物の成形体100への吸着防止に対する寄与度が高いと言える。
また、実施例5では、図11(a)に示すように、下蓋12の孔14と、上蓋13の孔15は互いにオフセット配置するようにしたが、これら下蓋12の孔14と、上蓋13の孔15を、図11(b)に示すように、オフセット配置とせず、同軸上に位置させて、上記と同様にして焼結を行った(実施例5−2)。
その結果、下蓋12の孔14と、上蓋13の孔15を互いにオフセット配置した実施例5では、変形量が0.05mmであったのに対し、下蓋12の孔14と、上蓋13の孔15を同軸上に配置した実施例5−2では、変形量が0.3mmと大幅に大きくなっている。
これにより、下蓋12の孔14と上蓋13の孔15をオフセットし、ガスの経路上に不純物除去材20を配置することによって、成形体100の変形量の抑制効果が高いことが確認された。
さらに、実施例4の焼結容器10を用い、上記と同様の脱ワックス処理〜焼結という一連の工程を繰り返したところ、20サイクル目あたりから成形体100の変形量が大きくなった。すなわち、不純物除去材20の機能低下が生じ始めた。したがって、不純物除去材20を定期的に交換する必要があることが確認された。
なお、上記実施の形態では、上蓋13、下蓋12をはじめとして焼結容器10の具体的構成を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、適宜他の構成を採用することが可能である。また、脱ワックス処理や焼結の条件は、上記したものに限るものではない。
これ以外にも、同様に、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
焼結容器を用いて焼結を行っている様子を示す図である。 焼結容器の構成を示す斜視展開図である。 焼結容器の断面図である。 容器本体内に成形体を整列させて収容した状態を示す図である。 実施例における上蓋に形成した孔の位置と数を示す図である。 比較例1の焼結容器の構成を示す図である。 比較例2の焼結容器の構成を示す図である。 成形体の変形量の計測方法を示す図である。 上蓋に形成した孔の占積率と変形量の関係を示す図である。 実施例3で孔の位置を異ならせた場合の構成を示す図である。 実施例5で、上蓋と下蓋における孔のオフセットの有無を示す図である。
符号の説明
10…焼結容器、11…容器本体、12…下蓋(蓋体、第一の蓋体)、13…上蓋(蓋体、第二の蓋体)、13a…上面部、13b…支持部、14、15…孔(連通部)、20…不純物除去材、100…成形体(焼結体)

Claims (7)

  1. 希土類磁石の焼結に用いられる焼結容器であって、
    有底状で上方に開口し、所定組成の合金粉末からなる成形体を収容する容器本体と、
    前記容器本体に対し着脱自在に設けられ、前記容器本体の開口を塞ぐ蓋体と、
    前記蓋体に、その表裏を貫通するよう形成され、前記蓋体を前記容器本体に装着した状態で前記容器本体の内外を連通する連通部と、
    前記連通部の近傍に配置され、前記成形体に対しての不純物を除去する不純物除去材と、
    を備えることを特徴とする焼結容器。
  2. 前記連通部は、前記容器本体の開口面積に対し、10〜65%の占積率で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の焼結容器。
  3. 前記蓋体は、前記容器本体の開口を塞ぐ第一の蓋体と、前記第一の蓋体を覆うように設けられる第二の蓋体とから構成されて、前記第一の蓋体、前記第二の蓋体のそれぞれに前記連通部が形成され、
    前記不純物除去材は、前記第一の蓋体と前記第二の蓋体の間に保持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の焼結容器。
  4. 前記第一の蓋体に形成された前記連通部と、前記第二の蓋体に形成された前記連通部とは、互いにオフセットした位置に形成され、
    前記不純物除去材は、前記第一の蓋体に形成された前記連通部と前記第二の蓋体に形成された前記連通部とを結ぶ経路上に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の焼結容器。
  5. 所定組成の合金粉末からなる成形体を焼結することで希土類磁石を得る希土類磁石の製造方法であって、
    内外を連通する連通部と、前記連通部の近傍に配置され、前記成形体に対しての不純物を除去する不純物除去材と、を備えた焼結容器内に前記成形体を収容する工程と、
    前記焼結容器に収めた前記成形体を加熱し、前記成形体に含まれるワックスを除去する工程と、
    前記焼結容器に収めた前記成形体を焼結する工程と、
    を備えることを特徴とする希土類磁石の製造方法。
  6. 前記不純物除去材は、前記ワックスを除去する工程および前記成形体を焼結する工程を所定回数繰り返した時点で交換することを特徴とする請求項5に記載の希土類磁石の製造方法。
  7. 前記連通部は、前記焼結容器の上面の表面積に対し、10〜65%の占積率で形成することを特徴とする請求項5または6に記載の希土類磁石の製造方法。
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