JP2007112988A5 - - Google Patents

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易表面賦形性シート積層体、それを用いた表面賦形方法及び成形品
本発明は、表面への賦形が容易なシート材料、特に超高精細、高アスペクト比などの多種多様な形状を表面に容易に賦形可能なシート材料、および該シート材料を用いる表面賦形方法並びにその成形品に関するものである。
近年、光学分野、半導体分野などの各種分野で、微細構造を形成する技術の重要性が高まっている。光学分野では高精度な微細構造形成技術が、また半導体分野においては高精度な微細構造形成技術に加えて、半導体集積回路の集積度向上のために加工寸法の微細化が要求されている。
そのため、微細加工の代表的技術であるフォトリソグラフィーにおいても、解像度を上げて微細寸法を高精度で制御しなければならなくなっており、露光波長の短波長化の試み等が検討され、現在までにArFレーザーを用いて最小線幅100nmの解像度が達成されている。更には、電子線、X線を用いた数10nmの解像度、いわゆるナノ構造体の形成技術も実用化が近づいている。
しかしながら、露光波長の短波長化による解像度の向上は、露光機自体の初期費用や、使用するマスク価格の高騰を招き、その結果、コスト面で非常に不利となる。また照射スポット径が小さいため、大面積で微細構造を形成するには生産性が低いのが現状である。
そこで、近年、微細構造を容易に賦形する技術としてインプリントリソグラフィーがチョウ(Chou)らによって提唱されている(非特許文献1参照)。インプリントリソグラフィーとは、金型上のパターンを樹脂に転写する技術であり、熱式と光式の二種類の方式がある。熱式とは熱可塑性樹脂をガラス転移温度Tg以上融点Tm未満に加熱して、そこに凹凸形状のパターンを有する金型を押し付けることで、また、光式とは、光硬化性樹脂に金型を押し付けた状態で光を照射して硬化させることで金型上のパターンを樹脂に転写する技術である。これらの技術は、金型作製のための初期費用はかかるものの、一つの金型から微細構造体を多数複製することができるので、結果としてフォトリソグラフィーと比べて安価に微細構造を賦形できる技術である。
そのため、近年、このインプリントリソグラフィーを駆使して、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイ用部材(特許文献1)、光通信に用いる光導波路(2特許文献2)などの光学素子や、細胞培養素子等のバイオ素子(特許文献3)などの各種分野でプラスチック製素子の開発が進められている。
これらプラスチック製素子を具現化する上で、樹脂材料には数百μmオーダーから数十nmオーダーの幅広い範囲の寸法や、低アスペクト比から高アスペクト比まで幅広い高さと、多種多様な形状を自在に賦形できることが望まれる。また、具現化した素子を使用する上では、賦形した形状が安定に存在できること、賦形したシート自体の機械的強度が高いことなども求められる。さらには、光学素子に対しては、上述の用件に加えて、可視光領域の透過率が大きいことや、成形による残留歪みが小さいことなども求められる。
チョウら(S.Y.Chou et al.),「アプライド・フィジックス・レター(Appl.Phys.Lett.)」,米国,アメリカ物理学会,1995年,第67巻,第21号,p.3314 特開2005−168494号公報(全頁) 特開2005−140822号公報(全頁) 特開2005−168495号公報(全頁) 特開2005−140822号公報(全頁) 特開2005−168495号公報(全頁)
しかしながら、従来より検討されているポリメチルメタアクリレート(PMMA)や、ポリカーボネート(PC)などの樹脂では、上述の要件をすべて満たすことができない。例えば、PMMAでは、分子量を低下させることで高精細高アスペクト比構造の形成が可能といった例があるが、機械的強度が乏しく、シートとしては脆くて実用に向かない。また、PCでは耐熱性に優れるが、成形性が悪く、高精細なパターンの成形が困難であるうえ、成形後に光学歪みが残る等の問題がある。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、超高精細、高アスペクト比などの多種多様な形状を表面に容易に賦形でき、かつ取り扱いに優れ易表面賦形性シート積層体、それを用いた表面賦形方法及び成形品を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の易表面賦形性シートは、少なくともフルオレン骨格を有する繰り返し単位を共重合成分として含むポリエステル樹脂を主たる成分としてなるシートであって、下記(A)〜(C)の要件を満たす易表面賦形性シートを支持体となる基材の表面の少なくとも片側に積層してなる易表面賦形性シート積層体である。
(A)示差走査熱量測定(以下、DSC)により得られる、昇温過程(昇温速度:2℃/min)における結晶化エンタルピーΔHccが1J/g以下であること。
(B)動的粘弾性測定(以下、DMAと称す)により得られる25℃での動的貯蔵弾性率E1’が0.1×10〜2.5×10Paであること。
(C)DMAにより得られる、ガラス転移温度(以下、Tg)+30℃での動的貯蔵弾性率E2’が1×10〜5×10Paであること。
また、本発明の表面賦形方法は、上述の易表面賦形性シート、または易表面賦形性シート積層体を加熱(加熱温度:T1)して金型を用いてプレス(プレス温度:T1)し、次いで冷却してプレス圧力を開放(プレス圧力開放温度:T2)後に金型を離型する(離型温度:T3)ことにより、金型形状が転写された成形品を形成する表面賦形方法であって、T1,T2およびT3が下記式(1)〜(5)を満たすことを特徴とするものである。
Tg≦T1≦Tg+50℃ (1)
T1<Tm (2)
Tg−20≦T2≦Tg+20℃ (3)
T2<T1 (4)
20℃≦T3≦T2 (5)
(ただし、ここでTgは易表面賦形性シート、もしくは易表面賦形性シート積層体の表面層のガラス転移温度、Tmは易表面賦形性シート表層の融点)。
また、本発明の成形品は、上述の表面賦形方法によって得られる表面に凹凸形状を有する成形品であって、該凹凸形状の凸部のアスペクト比H’/S’が0.1〜15であることを特徴とするものである。
本発明によれば、超高精細、高アスペクト比などの多種多様な形状を表面に容易に賦形できる易表面賦形性シートが得られ、これを用いることによりシート表面に超高精細、高アスペクト比パターンを大面積で賦形することが可能となる。
本発明は、前記課題、つまり超高精細、高アスペクト比などの多種多様な形状を表面に容易に賦形でき、かつ取り扱いに優れた易表面賦形性シートについて、鋭意検討し、特定の組成、および物性を有する材料を選定した特定なポリエステル樹脂を、特に表層に配置させてみたところ、上記課題を一挙に解決し、表面への転写性および離型性に優れたシート(以下、易表面賦形性シート)が形成できることを究明し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明に用いられる易表面賦形性シートは、少なくともフルオレン骨格を有する繰り返し単位を共重合成分として含むポリエステル樹脂を主たる成分としてなるシートであって、下記(A)〜(D)の要件を満たすところに特徴を有するものである。
すなわち、
(A)示差走査熱量測定(以下、DSC)により得られる、昇温過程(昇温速度:2℃/min)における結晶化エンタルピーΔHccが1J/g以下であること。
(B)動的粘弾性測定(以下、DMAと称す)により得られる25℃での動的貯蔵弾性率E1’が0.1×10〜2.5×10Paであること。
(C)DMAにより得られる、ガラス転移温度(以下、Tg)+30℃での動的貯蔵弾性率E2’が1×10〜5×10Paであること。
本発明に用いられる易表面賦形性シートは、特定な共重合成分、つまりフルオレン骨格を有する繰り返し単位を共重合成分として含むポリエステル樹脂を主たる成分としてなるシートであることが重要であるが、一般にポリエステル樹脂は共重合するモノマー種の多様性、およびそれによって材料物性の調整が容易であるなどの理由から、好適に用いることができる。特にジカルボン酸、もしくはそのエステル形成性誘導体とジオールの共重合物が、重合が容易であることなどから好適に用いられる。
かかるポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体などが代表例としてあげらるがこれらに限定されない。分子中に二つのカルボキシル基を有する化合物を適宜選択して使用する。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
また、上述のジカルボン酸類のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、およびその誘導体、そのオキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたジカルボキシ化合物も好ましく用いられる。
また、かかるポリエステル樹脂を構成するジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、などの芳香族ジオール類等のジオールなどが代表例としてあげらるがこれらに限定されない。分子中に二つのヒドロキシル基を有する化合物を適宜選択して使用する。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
また、上述のジオール類のヒドロキシ末端にジオール類を付加させたジヒドロキシ化合物も好ましく用いられる。用いられるジオール類としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等の脂肪族ジオール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノールなどの芳香族ジオール類などがあげられる。これらのジオール類は、フルオレン骨格を有するジオールの二つのヒドロキシ末端にそれぞれ異なるジオールが付加されていてもよく、さらには、ジオール類が複数個連なっていてもよい。複数個連なっている場合、異なるジオールが混在していてもよい。
本発明に用いられる易表面賦形性シートを構成するポリエステル樹脂は、上述のジカルボン酸成分と、ジオール成分を適宜選択して、共重合させることにより得られるが、かかる共重合成分として、フルオレン骨格を有する繰り返し単位を含ませることが、本発明において最も重要であり、かかるフルオレン骨格を有する繰り返し単位を共重合成分として含ませることによって、高い透明性、および、光学歪みを低減させることができるのである。
ポリエステル樹脂にフルオレン骨格を導入するためには、ジオール成分としてフルオレン骨格を有するジオールや、その誘導体を共重合させることによって得ることができる。また、フルオレン骨格を有するジカルボン酸や、その誘導体を共重合させることによっても得ることができる。
かかるフルオレン骨格を有するジオールの例として、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの他に、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−エチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−ジ−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソブチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ビス(1−メチルプロピル)フェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−ベンジルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジベンジルフェニル)フルオレン等があげられる。
また、上述のフルオレン骨格を有するジオールのヒドロキシ末端にジオール類を付加させたジヒドロキシ化合物も好ましく用いられる。用いられるジオール類としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等の脂肪族ジオール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノールなどの芳香族ジオール類などがあげられる。これらのジオール類は、フルオレン骨格を有するジオールの二つのヒドロキシ末端にそれぞれ異なるジオールが付加されていてもよく、さらには、ジオール類が複数個連なっていてもよい。複数個連なっている場合、異なるジオールが混在していてもよい。
また、フルオレン骨格を有するジカルボン酸の例として、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレンの他に、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3、5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3、5−エチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3−プロピルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3,5−ジプロピルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3−ジ−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3,5−ジイソブチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3,5−ビス(1−メチルプロピル)フェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3,5−ジフェニルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3−ベンジルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−カルボキシ−3,5−ジベンジルフェニル)フルオレン等があげられる。
また、上述のフルオレン骨格を有するジカルボン酸のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、およびその誘導体、そのオキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたジカルボキシ化合物も好ましく用いられる。
本発明に用いられる易表面賦形性シートを構成するフルオレン骨格を有する共重合成分を含んで構成されるポリエステル樹脂は、上述のジカルボン酸とジオール、フルオレン骨格を有するジカルボン酸、フルオレン骨格を有するジオールを適宜選択して共重合させることによって得ることができる。その重合方法としては、エステル交換法、直接重合法、溶液重合法、界面重合法など、公知の技術を用いて得ることができる。
ここで、本発明に用いられる易表面賦形性シートを構成するフルオレン骨格を有する共重合成分を含んで構成されるポリエステル樹脂において、全ジオール成分100mol中に含まれるフルオレン骨格を有するジオールのモル量をn1、その他ジオールのモル量をn3、全ジカルボン酸成分100mol中に含まれるフルオレン骨格を有するジカルボン酸のモル量をn2、その他ジカルボン酸のモル量をn4とした場合、全ジオール成分100mol中に含まれるフルオレン骨格を有するジオールのモル量n1、全ジカルボン酸成分100mol中に含まれるフルオレン骨格を有するジカルボン酸のモル量n2の和n1+n2が20≦n1+n2≦160であるのが好ましい。より好ましくは30≦n1+n2≦150、最も好ましくは40≦n1+n2≦140である。この範囲に満たないと、ポリエステル樹脂が結晶性を有して、賦形前のシートを長期保存時において、経時的に結晶化が進行したり、また表面に賦形する際の昇温時にシートを構成する樹脂が素早く結晶化して、成形性が低下したり、成形できたとしても、ポリエステル樹脂の複屈折が大きくなり、成形後に歪みが残ったりすることがあったりするため好ましくなく、またこの範囲を超えると、シート自体が脆くなり、機械的強度が低下することがあるため好ましくない。
本発明に用いられる易表面賦形性シートを構成するフルオレン骨格を有する共重合成分を含んで構成されるポリエステル樹脂は、全ジオール成分100mol中に含まれるフルオレン骨格を有するジオールのモル量n1、全ジカルボン酸成分100mol中に含まれるフルオレン骨格を有するジカルボン酸のモル量n2の和n1+n2を上述の割合とすることによって、良好な成形性を得るだけでなく、成形品の光学歪みの低減と、機械的強度の両立を達成することができるものとなる。
また、本発明に用いられる易表面賦形性シートを構成するフルオレン骨格を有する共重合成分を含んで構成されるポリエステル樹脂において、全ジオール成分100mol中に含まれるフルオレン骨格を有するジオールのモル量をn1と、その他ジオールのモル量n3の比n1/n3はn1/n3=20/80〜100/0が好ましい。より好ましくは30/70〜100/0、最も好ましくは、40/60〜100/0である。この範囲を下回ると、ポリエステル樹脂の複屈折が大きくなり、成形後に歪みが残ったりすることがあったりするため好ましくない。本発明に用いられる易表面賦形性シートを構成するフルオレン骨格を有する共重合成分を含んで構成されるポリエステル樹脂において、全ジオール成分100mol中に含まれるフルオレン骨格を有するジオールのモル量をn1と、その他ジオールのモル量をn3の比n1/n3を上述の範囲とすることによって、成形品の光学歪みの低減させることができる。また、これらのフルオレン骨格を有するジオールの中で、重合反応時の反応性、および成形品の機械特性の点から、共重合成分として、フルオレン骨格を有するジオールのヒドロキシ末端にジオール類を付加させたジヒドロキシ化合物を少なくとも含むのが好ましい。この場合、フルオレン骨格を有するジオール100molのうち、ヒドロキシ末端にジオール類を付加させたもののモル量をn1’、ジオール類を付加させていないもののモル量n1”としたときに、その比n1’/n1”が50/50〜100/0であることが好ましい。より好ましくは60/40〜100/0、最も好ましくは70/30〜100/0である。
また、本発明に用いられる易表面賦形性シートを構成するフルオレン骨格を有する共重合成分を含んで構成されるポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸成分100mol中に含まれるフルオレン骨格を有するジカルボン酸のモル分率をn2と、その他ジカルボン酸のモル分率をn4の比n2/n4は任意ではあるが、好ましくは0/100〜60/40、より好ましくは0/100〜50/50、最も好ましくは0/100〜40/60である。この範囲を上回ると、重合が困難になったり、重合できたとしてもシート自体が脆くなり、機械的強度が低下することがあるため好ましくない。本発明に用いられる易表面賦形性シートを構成するフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸成分100mol中に含まれるフルオレン骨格を有するジカルボン酸のモル量をn2と、その他ジカルボン酸のモル量をn4の比n2/n4を上述の範囲とすることによって、ポリエステル樹脂に機械的強度を付与することが可能となる。
ここで、本発明に用いられる易表面賦形性シートを構成するフルオレン骨格を有する共重合成分を含んで構成されるポリエステル樹脂において、その他ジカルボン酸成分100mol%中、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸のモル量をn4’、脂環式ジカルボン酸以外のその他ジカルボン酸のモル分率をn4”としたときに、その比n4’/n4”が50/50〜100/0であることが好ましいことを示す。より好ましくは60/40〜100/0、最も好ましくは70/30〜100/0である。この範囲を下回ると、成形品の光学歪みが多くなるため好ましくない。
本発明に用いられる易表面賦形性シートを構成するフルオレン骨格を有する共重合成分を含んで構成されるポリエステル樹脂おいて、その他ジカルボン酸成分100mol%中の脂環式ジカルボン酸のモル分率をn4’と脂環式ジカルボン酸以外のその他ジカルボン酸のモル分率をn4”の比を上述の値とすることによって、高速で賦形できるだけではなく、より高い透明性、および、光学歪みをより低減させることができるため好ましい。
また、本発明に用いられる易表面賦形性シートを構成するフルオレン骨格を有する共重合成分を含んで構成されるポリエステル樹脂において、下記関係式(1)〜(3)を満たすように共重合率を制御することが好ましい。
30≦n1+n2≦150 (1)
n1/n3=30/70〜100/0(ただしn1+n3=100) (2)
n2/n4=(任意) (ただしn2+n4=100) (3)
より好ましくは、
40≦n1+n2≦150 (1)
n1/n3=40/60〜100/0(ただしn1+n3=100) (2)
n2/n4=(任意) (ただしn2+n4=100) (3)
最も好ましくは
40≦n1+n2≦150 (1)
n1/n3=40/60〜100/0(ただしn1+n3=100) (2)
n2/n4=0/100〜50/50(ただしn2+n4=100) (3)
である。本発明において、この関係式を満たすことによって、良好な成形性を得るだけでなく、成形品の光学歪みをより低減させることと、機械的強度の両立を達成することができる。
また、本発明に用いられる易表面賦形性シートを構成するフルオレン骨格を有する共重合成分を含んで構成されるポリエステル樹脂には、本発明の効果が失われない範囲内で、重合時もしくは重合後に各種の添加剤を加えることができる。添加配合することができる添加剤の例としては、例えば、有機微粒子、無機微粒子、分散剤、染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、離型剤、増粘剤、可塑剤、pH調整剤および塩などが挙げられる。特に、離型剤として、長鎖カルボン酸、もしくは長鎖カルボン酸塩、などの低表面張力のカルボン酸やその誘導体、および、長鎖アルコールやその誘導体、変性シリコーンオイルなどの低表面張力のアルコール化合物等を重合時に少量添加することが好ましく行われる。重合時に上述の化合物を添加することでポリエステル骨格の末端に低表面張力成分を導入することができ、それにより、離型剤のブリードアウトなく、金型への樹脂の密着が低減させ離型性を向上させることができるために好ましく行われる。
本発明に用いられる易表面賦形性シートは、上述により得られた少なくともフルオレン骨格を有する繰り返し単位を共重合成分として含むポリエステル樹脂を主たる成分として、シート状に加工することによって得ることができる。ここで、主たる成分とは、上述の少なくともフルオレン骨格を有する繰り返し単位を共重合成分として含むポリエステル樹脂が好ましくは50重量%以上から成ることを示し、より好ましくは60%以上、最も好ましくは70%以上である。
本発明に用いられる易表面賦形性シートにおいて、前記ポリエステル樹脂は固有粘度が0.3〜0.65dl/gであるのが好ましい。より好ましくは0.32〜0.62、更に好ましくは0.35〜0.60である。ここでいう固有粘度とは、オルトクロロフェノール100mlに樹脂を溶解させ(溶液濃度C=1.2g/ml)、その溶液の25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定した値と、同様に溶媒の粘度を測定した値とを用いて、下記式の[η]として求められる値である。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)
固有粘度が上記範囲より大きい場合は、賦形する際にシートの変形が起こりにくなり、金型への樹脂の充填が途中から進行しなくなって金型の形状を十分に転写できなかったり、できたとしても、賦形速度が遅かったり、成形品に残留応力が残って形状安定性が低下する傾向にある。そのため、荷重を大きくしてプレス圧力を高くしたり、加圧時間を長くする等を行う必要があるが、効率的ではなく好ましくない。また、荷重を大きくすると金型への負荷が大きく、くり返し使用耐久性が低下することもあり好ましくない。また、上記範囲に満たない場合は、成形品の機械的強度が大きく低下したりして、離型時にパターンの破断が起こったり、離型できたとしても、離型時に変形してパターン倒れが起こったり、変形なく離型できたとしても、その形状の長期保存時の経時安定性、耐衝撃性等が悪くなるため好ましくない。本発明に用いられる易表面賦形性シートにおいて、容易にシートを構成する樹脂組成物の固有粘度をこの範囲とすることで、高速で賦形すること可能なシートとすることができる。
また、本発明に用いられる易表面賦形性シートは、示差走査熱量測定(以下、DSC)により得られる、昇温過程(昇温速度:2℃/min)における結晶化エンタルピーΔHccが1J/g以下であることが重要である。
ここでいう結晶化エンタルピーΔHccとは、JIS K7122(1999)に準じて求められた値であり、すなわち、昇温速度2℃/minで走査した時に得られる示差走査熱量測定チャートにおいて、結晶化に伴う発熱ピークの面積より求めた値である。なお、本発明にかかる結晶化エンタルピーΔHccは、履歴を消さない1回目の昇温における値のことである。好ましくは結晶化エンタルピーΔHccが0.1J/g以下、より好ましくは0J/gの非晶性樹脂がよい。かかる結晶化エンタルピーΔHccが上述の範囲より大きいと、シートを長期保存時において、経時的に結晶化が進行したり、また表面に賦形する際の昇温時にシートを構成する樹脂が素早く結晶化して、賦形しにくくなる。そのため、高精細のパターンや、高アスペクト比パターンの大面積賦形時に金型への樹脂の充填が不十分となって転写精度が低下したり、面内に圧力不均衡が生じて転写の面内均一性が低下したりする等の理由のため好ましくない。本発明において、結晶化エンタルピーΔHccを上述の範囲とすることで、高アスペクト比パターンの賦形時であっても良好な転写性および面内均一性を得ることができる。
また、本発明に用いられる易表面賦形性シートは、動的粘弾性測定(以下、DMAと称す)により得られる25℃での動的貯蔵弾性率E1’が0.1×10〜2.5×10Paであることを特徴とするものである。好ましくは0.5×10〜2×10Pa、より好ましくは1.0×10〜2×10Paである。
ここでいう動的貯蔵弾性率E’は、JIS K−7244に準じた方法により、引張モード、試料動的振幅速さ(駆動周波数)は1Hz、チャック間距離5mm、歪振幅10μm、力振幅初期値100mN、昇温速度2℃/minでの測定条件にて温度依存性(温度分散)を測定した時に得られる値である。25℃での動的貯蔵弾性率E1’がこの範囲を上回ると、樹脂の剛性が高くなり、高精細のパターンや、高アスペクト比パターンの大面積賦形時に金型からの離型が困難となるため好ましくない。またこの範囲に満たないと、成形品の機械的強度が低下し、離型時に変形が起こったり、離型できたとしても形状の経時安定性、耐衝撃性等が悪くなるため好ましくない。25℃での動的貯蔵弾性率E1’をこの範囲とすることで、高精細のパターンや、高アスペクト比パターンの大面積賦形時の離型性と、成形品の機械的強度を両立することができる。
また、本発明に用いられる易表面賦形性シートは、ガラス転移温度Tg+30℃での動的貯蔵弾性率E2’が1×10〜5×10Paであることが重要である。好ましくは1×10〜2.0×10Pa、より好ましくは0.5×10〜2×10、最も好ましくは1×10〜3×10である。ここでいうガラス転移温度Tgとは、JIS K−7244に準じた方法により、試料動的振幅速さ(駆動周波数)は1Hz、引張モード、チャック間距離5mm、昇温速度2℃/minでの温度依存性(温度分散)を測定した時に、tanδが極大となる温度のことである。Tg+30℃での動的貯蔵弾性率E2’がこの値より高いと、賦形する際にシートの変形が起こりにくくなる。そのため、荷重を大きくしてプレス圧力を非常に高くする必要があるが、高精細のパターンや、高アスペクト比パターンの大面積賦形時には金型への樹脂の充填が不十分となって転写精度が低下したり、面内に圧力不均衡が生じて転写の面内均一性が低下したりする等の理由のため好ましくない。また、荷重が大きくなるほど金型への負荷が大きく、くり返し使用耐久性が低下するため好ましくない。また、この値より低いとプレス時の樹脂の流動性が高くなりすぎて、プレス時に金型内に樹脂が充填せずに流れてしまうため好ましくない。Tg+30℃での動的貯蔵弾性率E2’をこの範囲とすることで、高精細のパターンや、高アスペクト比パターンの大面積賦形時であっても良好な転写精度、面内均一性を得ることができる。
また、本発明に用いられる易表面賦形性シートは、上述の条件でのDMA測定により得られる25℃での動的貯蔵弾性率E1’が0.1×10〜2.5×10Paであり、かつTg+30℃での動的貯蔵弾性率E2’が1×10〜5.0×10Paであることを特徴とするものである。より好ましくは、25℃での動的貯蔵弾性率E1’が0.5×10〜2×10Pa、かつTg+30℃での動的貯蔵弾性率E2’が1.0×10〜2×10Paであるのがよい。かくすることによって、高アスペクト比パターンの大面積賦形時の離型性、転写精度、面内均一性および成形品の機械的強度を得ることができる。
また、本発明に用いられる易表面賦形性シートは、DMAにより得られるTg+30℃での動的損失弾性率E2”が1×10〜1.8×10Paであることが好ましい。より好ましくは1×10〜1.5×10Pa、最も好ましくは0.1×10〜1.5×10である。Tg+30℃での動的損失弾性率E2”がこの値より高いと、賦形する際にシートの変形が起こりにくくなる。そのため、荷重を大きくしてプレス圧力を非常に高くする必要があるが、高精細のパターンや、高アスペクト比パターンの大面積賦形時には金型への樹脂の充填が不十分となって転写精度が低下したり、面内に圧力不均衡が生じて転写の面内均一性が低下したりする等の理由のため好ましくない。また、荷重が大きくなるほど金型への負荷が大きく、くり返し使用耐久性が低下するため好ましくない。また、この値より低いとプレス時の樹脂の流動性が高くなりすぎて、プレス時に金型内に樹脂が充填せずに流れてしまうため好ましくない。Tg+30℃での動的損失弾性率E2”をこの範囲とすることで、高精細のパターンや、高アスペクト比パターンの大面積賦形時であっても良好な転写精度、面内均一性を得ることができる。
また、本発明に用いられる易表面賦形性シートは、25℃での光弾性係数kが50×10−12Pa−1以下であることが好ましい。より好ましくは、40×10−12Pa−1以下、最も好ましくは30×10−12Pa−1以下である。
ここでいう光弾性係数kとは、25℃、65RH%の雰囲気下、厚みd(nm)のシートに無張力の時の位相差Γ1(nm)、張力F(Pa)を加えたときに生じる位相差をΓ2(nm)としたときに、
k=(Γ2−Γ1)/(d×F)
で定義される値のことである。なお、位相差Γの測定は、フィルムに1kg/mm(9.81×10Pa)の張力をかけた状態で直交ニコルを備えた偏光顕微鏡を用いて行い、25℃の雰囲気下、光源としてはナトリウムD線(波長589nm)を用いて行う。
光弾性係数kがこの値より大きいと、加工時に光学歪みが残り、成形品面内において光学特性が変化して色調のムラなどが発生したりすることがあるため、好ましくない。本発明に用いられる易表面賦形性シートにおいて、光弾性係数kを上述の範囲とすることによって、加工時に光学歪みが残ることなく、成形品面内において均一な光学特性を得ることができる。
本発明に用いられる易表面賦形性シートのガラス転移温度Tgは、100〜160℃の範囲であるのが好ましい。より好ましくは110〜150℃である。ガラス転移温度Tgがこの範囲を下回ると、高精細パターンや高アスペクト比パターンの成形の離型時にパターンが変形したり、また、離型できたとしても成形品の耐熱性が低く、形状が経時変化するため好ましくない。またこの範囲を上回ると、賦形温度が高くエネルギー的に非効率であり、またシートの加熱/冷却時の体積変動が大きくなりシートが金型に噛み込んで離型できなくなったり、また離型できたとしてもパターンの転写精度が低下したり、部分的にパターンが欠けて欠点となる等の理由により好ましくない。本発明に用いられる易表面賦形性シートにおいて、シートのガラス転移温度Tgをこの範囲とすることで良好な転写性、離型性を得ることができる。
本発明に用いられる易表面賦形性シートのガラス転移温度Tg、動的貯蔵弾性率E’、動的損失弾性率E”、光弾性係数などは、シートを構成する樹脂のモノマー種を適宜共重合させることによって調整可能である。例えば、その他ジオール成分として、ビスフェノール−Aや、スピログリコールのような剛直な骨格を導入することによって、ガラス転移温度Tg、動的貯蔵弾性率E’が上昇する。また、ポリエチレングリコールのような柔軟な骨格を導入するとガラス転移温度Tg、動的貯蔵弾性率E’が低下する。
また、可塑剤や架橋剤などの導入によっても、ガラス転移温度Tg、動的貯蔵弾性率E’、動的損失弾性率E”、などを制御することができる。可塑剤の場合、その種類、添加量によって制御することができる。すなわち可塑剤の量が多くなるほどガラス転移温度Tg、動的貯蔵弾性率E’ガラス転移温度Tg、動的貯蔵弾性率E’、動的損失弾性率E”は低下し、破断伸度などは向上する。また架橋剤の場合、その添加量を多くしたり、架橋の進行度を高くすると、ガラス転移温度Tg、動的貯蔵弾性率E’、動的損失弾性率E”が向上し、破断伸度が低下する。これらも勘案して、適宜調整して添加することによって、前述の条件範囲に満たすようにシート化することもできる。
また、本発明に用いられる易表面賦形性シートには、電磁波照射により硬化する成分などを添加しても構わない。この場合、金型から転写した成形品に電磁波を照射して硬化させることで、成形品の機械強度、熱的安定性を向上させることができる。
また、本発明に用いられる易表面賦形性シートは、本発明の効果が失われない範囲内で、各種の添加剤を加えることができる。添加配合することができる添加剤の例としては、例えば、有機微粒子、無機微粒子、分散剤、染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、重合禁止剤、離型剤、増粘剤、pH調整剤および塩などが挙げられる。
本発明に用いられる易表面賦形性シートは積層体の少なくとも表面に上述の易表面賦形性シートを設ける必要がある。かかる積層体の場合、単体シートと比べて、易滑性や、耐摩擦性などの表面特性や、機械的強度、耐熱性を付与することができる。このように複数の樹脂層からなる積層体とした場合は、シート全体が前述の要件を満たすことが好ましいが、シート全体としては前述要件を満たしていなくても、少なくとも前述の要件を満たす層が表層に形成されていれば容易に表面を賦形することができる。
また、本発明に用いられる易表面賦形性シートは、一軸、または二軸方向に延伸されていても構わない。しかしながら用いる材料によっては、高倍率の延伸によって配向結晶化が進む結果、ガラス転移温度Tg,動的貯蔵弾性率E’ 、及び動的損失弾性率E”の上昇を伴い、成形性が低下することがあるため、物性値の変化に併せて適宜制御しながら延伸を行う。
本発明の易表面賦形性シート積層体とは、支持体となる基材の表面の少なくとも片側に前記易表面賦形性シートを表面層として設けたものである該易表面賦形性シートが表面層として形成されているため、容易に表面を賦形することができる。
かかる支持体となる基材とは、賦形の際にその形状が変化しないシート状のものを示し、好ましくは該易表面賦形性シートの表面層のガラス転移温度(以下、Tg1)+30℃において、動的粘弾性測定(以下、DMA)により得られる基材のE3’が、5×10Pa以上であることが好ましく、より好ましくは1.0×10Pa以上である。DMAによって得られる基材のE3’がこの値に満たないと、成形のために圧力印加した際において、支持体も変形してしまい表面層に十分に圧力がかからなくなり、パターンの精度が低くなるため好ましくない。 本発明の易表面賦形性シート積層体において、該易表面賦形性シートの表面層のガラス転移温度(以下、Tg1)+30℃において、動的粘弾性測定(以下、DMA)により得られる基材のE3’を上述の範囲とすることによって、表面層を精度よく成形可能なシートとすることができる。
また、本発明の易表面賦形性シート積層体は、該基材と表面層との剥離強度Fが50mN/cm以上であることが好ましい。より好ましくは70mN/cm以上、最も好ましくは100mN/cm以上である。
ここでいう剥離強度Fとは、本発明の易表面賦形性シート積層体の表面層を基材に対して180°方向に剥離したときの剥離強度Fであり、剥離力のSSカーブの立ち上がり部分を除いた剥離長さ50mm以上の平均剥離力T(N)から、剥離強度F(N/cm)=T/W(ここで、T(N):平均剥離力、W(cm):サンプル幅)で求められる値である。
該基材と表面層との剥離強度がこの値未満であると、本発明の表面賦形性シート積層体の表面に金型を押し当てた後、離型しようとしても、基材と表面層間で剥離が起こり、離型ができないため好ましくない。本発明の易表面賦形性シート積層体において、基材と表面層との剥離強度を上述の値以上とすることによって、高精細のパターンや、高アスペクト比のパターン成形時においても、基材と表層間で剥離が起こることなく離型することができる。
本発明の易表面賦形性シート積層体に用いる基材の例としては、ポリエステル樹脂、二軸延伸ポリエステルフィルム、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂等の有機フィルム基材や、シリコン、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鋼、チタン等の金属基材およびコンクリート等の無機基材などが適用可能であるが、より好ましくは可撓性を有する基材を用いることが、取り扱い性や、軽量化の点からよい。さらに好ましくは二軸延伸したポリエステルフィルムが取り扱い性と機械強度を兼ね備えているだけでなく、他の機能を容易に付与させることができるという点から好ましい。また、さらに他の機能をもった基材との複合体としての構成も好ましい構成である。
本発明の易表面賦形性シート積層体において、表面層の屈折率N1と基材の屈折率N2の差ΔN=|N1−N2|はできるだけ小さくすることが好ましく、好ましくは屈折率差ΔNを0〜0.10、より好ましくは0〜0.08、さらに好ましくは0〜0.06である。なお、基材が方向によって屈折率が異なる、すなわち複屈折性を有する場合は、最も屈折率の高い方向の屈折率N2maxと、最も屈折率の低い方向の屈折率N2minの平均値でもって、基材の屈折率N2とする。屈折率差ΔNが上述の範囲を外れると、成形品を光学用途に用いた場合、基材との屈折率差に由来する薄膜干渉により、色ムラとなって現れて色均一性が低下したりすることがあるため好ましくない。本発明の易表面賦形性シート積層体において、表面層の屈折率N1と基材の屈折率N2の差ΔN=|N1−N2|を上述の範囲とすることによって、色均一性に優れたシートとすることができる。具体的には、易表面賦形性シート積層体の基材として二軸延伸したポリエステルフィルムを用いた場合、表面層の屈折率N1は1.58〜1.7が好ましく、より好ましくは1.59〜1.68である。表面層の屈折率N1がこの範囲を外れると、基材ポリエステルフィルムとの屈折率差ΔNが大きくなり、薄膜干渉による色均一性が低下するため好ましくない。本発明に用いられる易表面賦形性シートにおいて、表面層の屈折率N1を上述の範囲とすることによって、良好な色均一性を有するシートを得ることができる。
かかる基材には、本発明の効果が失われない範囲内で、各種の添加剤を加えることができる。添加配合することができる添加剤の例としては、例えば、有機微粒子、無機微粒子、分散剤、染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、重合禁止剤、離型剤、増粘剤、pH調整剤および塩などが挙げられる。
本発明に用いられる易表面賦形性シートの好ましい厚さ(厚み、膜厚)としては10μm〜5mmの範囲であるのがよい。より好ましくは20μm〜2mmである。また、易表面賦形性シート積層体の場合は、基材上に0.1μm〜5mmの範囲の厚さのシートを設けるのが好ましい。より好ましくは、0.2μm〜2mmである。なお、この場合、基材の厚さは特に限定されない。
本発明に用いられる易表面賦形性シートの形成方法としては、例えば単体シートの場合、シート形成用材料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)が挙げられる。その他の方法として、シート形成用材料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等も使用することができる。
また、積層体の製造方法としては、二つの異なる熱可塑性樹脂を二台の押出機に投入し、溶融して口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)、単膜で作製したシートに被覆層原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、単膜で作製したシートと易表面賦形性シートをそれぞれ別々に単膜作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して張り合わせる方法(接着法)、その他、シート形成用材料を溶媒に溶解させ、その溶液をシート上に塗布する方法(コーティング法)等が使用することができる。
また、本発明の易表面賦形性シート積層体の製造方法としては、上述の溶融ラミネート法、熱ラミネート法、接着法、コーティング法等を用いることができる。かかる基材は、易接着層などの下地調整材や下塗り材などの処理が施されたものが表面層との接着力の点で好ましく用いられる。この場合、下地調整材や下塗り材としては、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、など用いる基材に応じて適宜選択して用いられるが、基材として二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた場合は接着性の点からポリエステル系が好ましく用いられる。これら、下地調整材や下塗り材の基材への処理方法としては、基材の製膜中に塗設するインラインコーティング法、製膜後の原反に塗設するオフラインコーティング法があげられ、どちらでも用いることが出来るが、より好ましくは基材製膜と同時にできて効率的であり、かつ下地調整材や下塗り材の基材への接着性が高いという理由からインラインコーティング法が好ましく用いられる。また、塗設する際には濡れ性向上、接着力向上の観点からコロナ処理なども好ましく行われる。
また、本発明の易表面賦形性シート積層体の基材として二軸延伸ポリエステルフィルムを選択した場合、製造方法として、上述の溶融ラミネート法、熱ラミネート法、コーティング法等の方法の他に、二台の押出機にシート形成用材料と、基材用のポリエステル材料をそれぞれ投入し、溶融して口金から冷却したキャストドラム上に共押出して、二軸延伸した後、熱処理を施す方法(共押出二軸延伸法)も好ましく行われる。
二軸延伸する方法としては、長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法や、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらであっても構わない。
また、熱処理工程における熱処理温度Taは、表層の融点(もしくは軟化点)をTm1、基材の融点をTm2とした時に、Tm2>Ta>Tm1とすることが好ましい。この温度範囲で熱処理を行うことで、基材を熱固定して機械的強度を付与すると同時に、表層を溶融させて均一化し、易成形性を付与することができる。
本発明に用いられる易表面賦形性シート、および易表面賦形性シート積層体を用いてパターンを形成する方法の例を図1を用いて説明する。
本発明に用いられる易表面賦形性シート(または易表面賦形性シート積層体)1と、転写すべきパターンと反転した凹凸を有する金型2とを、シートのガラス転移温度Tg(または易表面賦形性シート積層体の表面層のガラス転移温度Tg1、以後これらをあわせてTgと称す)以上融点Tm未満の温度範囲内に加熱し(図1(a))、本発明に用いられる易表面賦形性シート(または易表面賦形性シート積層体)1と金型2を接近させ、そのまま所定圧力でプレス、所定時間保持する(図1(b))。次にプレスした状態を保持したまま降温する。最後にプレス圧力を解放して金型2からシートを離型する(図1(c))。
また、本発明の表面賦形方法としては、図1に示したような平版をプレスする方法(平版プレス法)の他に、表面に凹凸を形成したロール状の金型を用いて、ロール状シートに成形し、ロール状の成形体を得るロールtoロールの連続成形であってもよい。ロールtoロール連続成形の場合、生産性点で平版プレス法より優れている。
本発明の表面賦形方法において、加熱温度、およびプレス温度T1はTg℃〜Tg+50℃の範囲内であることが好ましい。この範囲に満たないと、動的貯蔵弾性率E’、動的損失弾性率E”が十分に低下していないため、金型をプレスしたときの変形が起こりにくくなり、成形に必要な圧力が非常に高くなる。またこの範囲を上回ると、加熱温度、およびプレス温度T1が高くエネルギー的に非効率であり、また、金型とシートの加熱/冷却時の体積変動量の差が大きくなりすぎて、シートが金型に噛み込んで離型できなくなったり、また離型できたとしてもパターンの精度が低下したり、部分的にパターンが欠けてしまう等の理由により好ましくない。本発明の表面賦形方法においては、加熱温度、およびプレス温度T1をこの範囲とすることで、良好な成形性と、離型性を両立することができる。
本発明の表面賦形方法において、プレス圧力は、プレス温度T1での動的貯蔵弾性率E’、動的損失弾性率E”の値に依存するが、0.5〜50MPaが好ましい。より好ましくは1〜30MPaである。この範囲に満たないと金型内への樹脂の充填が不十分となりパターン精度が低下する。またこの範囲を超えると、必要とする荷重が大きくなり、金型への負荷が大きく、くり返し使用耐久性が低下するため好ましくない。プレス圧力をこの範囲とすることで、良好な転写性を得ることができる。
本発明の表面賦形方法において、 プレス圧力保持時間は、プレス温度T1での動的貯蔵弾性率E’、動的損失弾性率E”の値と成形圧力に依存するが、10秒〜10分が好ましい。この範囲に満たないと金型内への樹脂の充填が不十分となりパターン精度が低下したり、面内均一性が低下する。またこの範囲を超えると、樹脂の熱分解による劣化などが起こり成形品の機械的強度が低下する可能性があるため好ましくない。本発明の表面賦形方法においては、保持時間をこの範囲とすることで良好な転写性と、成形品の機械的強度の両立ができる。
また本発明の表面賦形方法において、プレス圧力開放温度T2はTg−20℃〜Tg+20℃の温度範囲内で、プレス温度T1より低いのが好ましい。より好ましくはTg−10℃〜Tg+20℃である。この範囲に満たないと、プレス時の樹脂の変形が残留応力として残り、離型時にパターンが崩壊したり、離型できたとしても成形品の熱的な安定性が低下するため好ましくない。またこの範囲を上回ると、圧力解放時の樹脂の流動性が高いため、パターンが変形したりして転写精度が低下したりするため好ましくない。本発明の表面賦形方法においては、プレス圧力開放温度T2をこの範囲とすることによって、良好な転写性と離型性とを両立することができる。
また本発明の表面賦形方法において、離型温度T3は25〜T2℃の温度範囲内であることが好ましい。より好ましくは20〜Tg℃の温度範囲である。この範囲を上回ると、離型時の樹脂の流動性が高いため、パターンが変形したりして精度が低下するため好ましくない。本発明の表面賦形方法においては、離型時の温度をこの範囲とすることによって、パターン精度よく離型することができる。
本発明の表面賦形方法に用いる金型の横断面図を図2(a)〜(f)に例示する。図2の横断面にて観察される金型凸部11の形状としては、矩形(図2(a))、台形(図2(b))、三角形(図2(c))、これらが変形したもの(図2(d)、(e)、(f))、およびこれらの混在したもの等が好ましく用いられるが、これら以外の形状も用いることができる。すなわち、横断面図において金型凸部11の側面が、ほぼシート面に対して垂直な図2(a)等の他にも、図2(b)〜(f)のような形態も含まれる。図2では隣接する金型凸部11間に平坦部が形成されている例を示したが、隣接する金型凸部11間が平坦でなくてもよく、さらには隣接金型凸部11の裾が連結していてもよい。また、金型凹部12の形状についても、上記金型凸部11と同様に、矩形、台形、三角形、釣鐘型、またはこれらが変形したもの等の形状を好ましく用いることができる。
図3(a)〜(h)は、それぞれ、金型をその面と平行に切断した場合の断面における、金型凸部11と金型凹部12との配置を模式的に示す断面図である。図3(a)〜(h)のように金型凹部12の形状が、線状、略三角形、略四角形、略六角形、円、楕円等から選ばれる形状を有していてもよい。図3(a)〜(c)は金型凹部12がストライプ状である場合、図3(d)は金型凹部12の断面が円形状である場合、図3(e)は三角形状である場合、図3(f)〜(g)は四角形状である場合、図3(h)は六角形状である場合を、それぞれ例示するものである。この金型凹部12は、図示した場合のように整列していてもよく、またランダムに配列していたり、異なる形状が混在していてもよい。また、図4(a)〜(d)のように、金型凸部11の形状が、略三角形、略四角形、略六角形、円、楕円等から選ばれる形状を有していてもよい。
また、本発明における表面賦形方法に用いる金型凸部11の幅Sは好ましくは0.001〜200μm、より好ましくは、0.005〜100μm、最も好ましくは0.01〜50μmである。高さHは好ましくは0.001〜200μm、より好ましくは0.005〜100μm、最も好ましくは0.01〜50μmである。また、金型凸部11のアスペクト比H/Sは好ましくは0.1〜25であり、より好ましくは1〜20である。
ここで、金型凸部11の幅Sは、図2(a)に図示したように、金型凸部11の単位長さである。なお、図3のストライプ状パターンの場合は単位長さの短い方向で測定する。図3(d)〜(h)の場合は単位長さが最も短いところを幅Sとする。また、図4(a)の様に金型凸部11が円形の場合はその直径を、楕円の場合はその短径を、図4(b)〜(d)の様に三角形・四角形などの多角形の場合はその内接円の直径を、金型凸部11幅Sとすればよい。また、金型の厚み方向における金型凸部11の高さHは図2に示すように、金型凸部11の厚みを指す。
また、この配列層は、この配列層内の金型面方向断面において、金型凸部11の面積と金型凹部12の面積比率は任意である。
ここで、金型凸部11の幅、金型凹部12の幅は、図2(a)の場合、それぞれS、tの長さでもって表される。なお、図2(b)等のようにその長さ単位が位置により異なる場合はその平均値でもって表す。また、凹凸のくり返し単位(ピッチ)は金型凸部の幅Sと金型凹部の幅tの和で表され、金型凸部11のピッチは、好ましくは0.002〜300μm、より好ましくは0.01〜200μm、最も好ましくは0.02〜100μmである。
金型の材質としては、特に限定されるものではないが、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル(Ni)などの離形性と耐久性に富んだ金属材質が好ましい。
金型は上述の材質をそのまま用いても構わないが、易滑性を付与するため、金型の表面を表面処理剤で処理するのが好ましい。表面処理による金型の表層の接触角としては、好ましくは80°以上、より好ましくは100°以上である。
表面処理の方法としては、表面処理剤を金型表面に化学結合を用いて固定する方法(化学吸着法)や、表面処理剤を金型表面に物理的に吸着させる方法(物理吸着法)等が挙げられる。この中で、表面処理効果のくり返し耐久性、および成形品への汚染防止の観点から化学吸着法により表面処理するのが好ましい。
化学吸着法に用いられる表面処理剤の好ましい例としては、フッ素系シランカップリング剤が挙げられる。これを用いた表面処理方法としては、有機溶剤(アセトン、エタノール)中での超音波洗浄、硫酸等の酸、過酸化水素等の過酸化物の溶液中での煮沸洗浄、などの洗浄方法により金型の表面を洗浄した後、フッ素系シランカップリング剤で処理する。その処理方法の一例として、フッ素系シランカップリング剤をフッ素系溶剤に溶解させた溶液に金型を浸漬することが挙げられる。浸漬時には、溶液を加熱することも好ましく行われる。
本発明の表面賦形方法によって得られる成形品とは、本発明の易表面形成性シートに金型を用いて賦形されたものであり、その横断面図は図5(a)〜(b)に例示するように、シート状の基部4上に賦形部3が形成されたものである。図5(a)は、本発明に用いられる易表面賦形性シートに賦形した成形品を、図5(b)は本発明の易表面賦形性シート積層体に賦形した場合の成形品を模式的に表す横断面図である。本発明の表面賦形方法によって得られる成形品の形状としては、好ましくは用いる金型と凹凸が反転したものであって、具体的な横断面図を 図6(a)〜(f)に例示する。図6の横断面にて観察される成形品の凸部22の形状としては、矩形(図6(a))、台形(図6(b))、三角形(図6(c))、これらが変形したもの(図6(d)、(e)、(f))、およびこれらの混在したもの等が好ましく用いられるが、これら以外の形状も用いることができる。すなわち、横断面図において成形品の凸部22の側面が、ほぼシート面に対して垂直な図6(a)等の他にも、図6(b)〜(e)のような形態も含まれる。また、図6では隣接する成形品の凸部22間に平坦部が形成されている例を示したが、隣接する成形品の凸部22間が平坦でなくてもよく、さらには隣接成型品の凸部22の裾が連結していてもよい。また、成形品の凹部21の形状についても、上記成形品の凸部22と同様に、矩形、台形、三角形、釣鐘型、またはこれらが変形したもの等の形状を好ましく用いることができる。
図7(a)〜(h)は、それぞれ、本発明の表面賦形方法によって得られる成形品その面と平行に切断した場合の断面における、成形品の凸部22と成形品の凹部21との配置を模式的に示す断面図である。図7(a)〜(h)のように成形品の凹部21の形状が、線状、略三角形、略四角形、略六角形、円、楕円等から選ばれる形状を有していてもよい。図7(a)〜(c)は成形品の凹部21がストライプ状である場合、図7(d)は成形品の凹部21の断面が円形状である場合、図7(e)は三角形状である場合、図7(f)〜(g)は四角形状である場合、図7(h)は六角形状である場合を、それぞれ例示するものである。この成形品の凹部21は、図示した場合のように整列していてもよく、またランダムに配列していたり、異なる形状が混在していてもよい。また、図8(a)〜(d)のように、成形品の凸部22の形状が、略三角形、略四角形、略六角形、円、楕円等から選ばれる形状を有していてもよい。
また、本発明の表面賦形方法によって得られる成形品が、その凸部22のアスペクト比H’/S’は0.1〜15、好ましくは1〜10である。さらにかかる凸部22の形状は、好ましくは凸部22の幅S’が0.001〜200μm、より好ましくは0.005〜100μm、最も好ましくは0.01〜50μmである。また該凸部22の高さH’が好ましくは0.001〜200μm、より好ましくは0.005〜100μm、最も好ましくは0.01〜50μmである。
ここで、成形品の凸部22の幅S’は、図6(a)に図示したように、成形品の凸部22の単位長さである。なお、図7(a)〜(c)のストライプ状パターンの場合は単位長さの短い方向で測定する。図7(d)〜(h)の場合は単位長さが最も短いところを幅S’とする。また、図8(a)の様に成形品の凸部22が円形の場合はその直径を、楕円の場合はその短径を、図8(b)〜(d)の様に三角形・四角形などの多角形の場合はその内接円の直径を、成形品の凸部22幅S’とすればよい。また、成形品の厚み方向における成形品の凸部22の高さH’は図6に示すように、成形品の凸部22の厚みを指す。
また、この配列層は、この配列層内の成形品面方向断面において、成形品の凸部22の面積と成形品の凹部21の面積比率は任意である。
ここで、成形品の凸部22の幅、成形品の凹部21の幅は、図6(a)の場合、それぞれS’、t’の長さでもって表される。なお、図6(b)等のようにその長さ単位が位置により異なる場合はその平均値でもって表す。また、凹凸のくり返し単位(ピッチ)は成形品の凸部22の幅S’と成形品の凹部21の幅t’の和で表され、成形品の凸部22のピッチは好ましくは0.002〜300μm、より好ましくは0.01〜200μm、最も好ましくは0.02〜100μmである。
また、本発明の表面賦形方法によって得られる成形品の基部4の厚みl’としては、任意であるが、機械的強度等の面から20μm〜2mmが好ましく、より好ましくは30μm〜1mmであり、さらに好ましくは50μm〜500μmである。しかしながら、図5(b)の様に、本発明の易表面賦形性シート積層体に賦形した場合は基部の厚みl’は特に限定はされず、20μm以下であっても構わない。
また、転写性(転写率)は成形品の凸部の断面積A’金型凹部の断面積Aの比A’/Aでもって判断される。転写性が良好であるとはその比A’/Aが好ましくは0.90以上、より好ましくは0.95以上であることを示す。
本発明の表面賦形性シートを用いて作製された成形品は、各種用途に使用することが可能であるが、用途の一例としては、バイオチップ、半導体集積材料、意匠部材、光回路、光コネクタ部材、およびディスプレイ用部材などが挙げられる。
[特性の評価方法]
A.結晶化エンタルピーΔHcc
結晶化エンタルピーΔHccは、JIS K7122(1999)に従って、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて求めた。サンプルパンに各シートを5mgずつ秤量し、昇温速度は2℃/minで走査した。結晶化エンタルピーΔHccは結晶化の発熱ピークの面積より求めた。なお、易表面賦形性シート積層体の場合は、積層体1の表層をカッターで削り取り、得られたものを上述の方法で測定して、表面層の結晶化エンタルピーΔHccを求めた。なお、ここでの結晶化エンタルピーΔHccは、履歴を消さない1回目の昇温における値である。
B.動的貯蔵弾性率E’、動的貯蔵弾性率E”、ガラス転移温度Tg
動的貯蔵弾性率E’、動的損失弾性率E”は、JIS−K7244(1999)に従って、セイコーインスツルメンツ社製の動的粘弾性測定装置”DMS6100”を用いて求めた。引張モード、駆動周波数は1Hz、チャック間距離は5mm、昇温速度は2℃/minの測定条件にて、各シートの粘弾性特性の温度依存性を測定した。この測定結果から、室温、及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’ 動的損失弾性率E”を求めた。また、tanδが極大となるときの温度をガラス転移温度Tgとした。なお、易表面賦形性シート積層体の場合は、表面層、基材層それぞれの材料を用いて単膜を作製し、上述の方法に従って測定した。
C.固有粘度
オルトクロロフェノール100mlに樹脂を溶解させ(溶液濃度C=1.2g/ml)、その溶液の25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定した。また、同様に溶媒の粘度を測定した。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式により、固有粘度[η]を求めた。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)。
D.光弾性係数k
3cm×5cmに切り出したシート(厚みd(nm))を、23℃、65RH%の雰囲気下、大塚電子(株)製セルギャップ検査装置RETS−1200を用いて、波長589nmにおける位相差Γ1(nm)を求めた。続いて、シートの長辺方向にF=1kg/mm(9.81×10Pa)の張力をかけ、この状態での波長589nmにおける位相差Γ2(nm)とした。得られた値から下記式に従い、光弾性係数k(Pa−1)を求めた。
k=(Γ2−Γ1)/(d×F)。
E.剥離強度
積層体を幅2cm×長さ12cmの短冊状に切り出し、厚さ2mmの表面平滑なアクリル板に基材側を両面テープで張り付け、表層側にポリエステル粘着テープ(日東電工(株)製No.31B、幅19mm)を張り付けて、アクリル板の上端をテンシロン引っ張り試験機(東洋測器(株)製UTMIII)のロードセルにつるした。次いで、粘着テープの上端に帯状のリード紙をはり、その一端を下部チャックで把持して、クロスヘッド速度300mm/minで下(180°)方向に引っ張り、基材層と表層の層間の剥離力を測定した。剥離強度F(N/cm)は、SSカーブの立ち上がり部分を除いた剥離長さ50mm以上の平均剥離力T(N)から次式により算出した。
剥離強度F(N/cm)=T/W
ここで、T(N):平均剥離力、W(cm):サンプル幅。
F.屈折率
表面層屈折率N1,基材の屈折率N2はJIS−K7105(1999)に従って、アタゴ(株)製アッベ式屈折率計を用いて20℃での屈折率を測定した。
G.断面構造
金型、成形品の断面を切り出し、白金−パラジウムを蒸着した後、日立製作所(株)製走査型電子顕微鏡S−2100Aを用い300倍で写真を撮影し、断面観察を行ない、金型凸の高さ、及びH幅S、アスペクト比H/S、凹部の断面積A、成形品の凸部の高さH’、及び幅S’、アスペクト比H’/S’,凸部の断面積A’を求めた。
転写性は次のように判定した。成形品の凹部の断面積A’と金型凸部の面積Aとの比A’/Aを求めて
0. 90以上:○
0.85〜0.90:△
0.85未満:×
とした。評価結果が○又は△であれば良好である。
H.成形品光学歪み
歪み検査器(TYPE 20,新東科学(株)製)の二枚の偏光板の間に成形品を置き、肉眼で光学歪みを観察した際に
二枚の偏光板の吸収軸が平行、垂直共に光学歪みが殆ど観察されない:○
二枚の偏光板の吸収軸が平行の時、光学歪みが殆ど観察されないが、垂直の時、光学歪みが若干観察される:△
二枚の偏光板の吸収軸が平行、垂直共に光学歪みが明確に観察される:×
とした。
I.積層シートの光学特性
表面層膜厚4μmとした積層体を作製し、その分光透過率を分光光度計U−3410((株)日立製作所製)を用い、波長400nm〜800nmの範囲において、1nm毎に全光線透過率を求め、横軸に波長、縦軸に透過率でプロットした。得られた分光曲線を拡大して観察したときに、細かな周期の波(リップル)が
殆ど確認されない、もしくは振幅が0.3%以下の場合:○
振幅が0.3%以上0.4%以下の場合:△
振幅が0.4%以上:×
とした。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
なお、実施例、比較例において用いた金型は以下の4種類である(図9参照)。
「金型1」(図9(a))
材質:シリコン、サイズ:30mm角
パターン:格子形状
ピッチ:10μm、凸部幅:2μm、凸部高さ:15μm
断面形状:矩形形状。
「金型2」(図9(b))
材質:ニッケル、サイズ:30mm角
パターン:ストライプ
ピッチ:10μm、凸部幅:5μm、凸部高さ:10μm
断面形状:矩形状。
「金型3」(図9(c))
材質:ニッケル、サイズ:30mm角
パターン:ストライプ
ピッチ:1000nm、凸部幅:500nm、凸部高さ:1000nm
断面形状:矩形状。
「金型4」(図9(d))
材質:ニッケル、サイズ:30mm角
パターン:ストライプ
ピッチ:200nm、凸部幅:100nm、凸部高さ:200nm
断面形状:矩形状。
「金型5」(図9(e))
材質:ニッケル、サイズ:30mm角
パターン:ストライプ
ピッチ:100nm、凸部幅:50nm、凸部高さ:100nm
断面形状:矩形状。
参考例1)
ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン80mol%、エチレングリコール20mol%共重合したポリエステル(固有粘度C=0.43dl/g)を100℃で4時間真空乾燥させた後、押出機内で280℃で溶融させて、口金から20℃のキャストドラム上に押し出して冷却し、厚さ600μmのシートを得た。
得られたシートのガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2”、25℃での光弾性係数kを測定した。結果を表1に示す。
また、得られたシート、及び金型を165℃に加熱し、シートと金型の凹凸面を接触させて20MPaでプレスし、そのまま2分間保持した。その後135℃に冷却後プレスを解放し、50℃に冷却して金型から離型して樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても形状が十分に転写されていることを確認した(金型1:A’/A=0.954、金型2:A’/A=0.980、金型3:A’/A=0.961、金型4:A’/A=0.945,金型5:A‘/A=0.931)。また、成形品の光学歪みを確認したところ、二枚の偏光板の吸収軸が平行、垂直共に光学歪みが殆ど観察されなかった。結果を表2に示す。
参考例2)
ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン60mol%、エチレングリコール40mol%共重合したポリエステル(固有粘度C=0.61dl/g)を90℃で4時間真空乾燥させた後、押出機内で280℃で溶融させて、口金からキャストドラム上に押し出して冷却し、厚さ600μmのシートを得た。
得られたシートのガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2”、25℃での光弾性係数kを測定した。結果を表1に示す。
また、プレス温度を175℃、プレス解放温度を140℃とした以外は、参考例1と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても形状が十分に転写されていることを確認した。(金型2:A’/A=0.949、金型2:A’/A=0.977、金型3:A’/A=0.952、金型4:A’/A=0.930,金型5:A‘/A=0.923)。また、成形品の光学歪みを確認したところ、二枚の偏光板の吸収軸が平行、垂直共に光学歪みが殆ど観察されなかった。結果を表2に示す。
参考例3)
ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸50mol%,テレフタル酸50mol%、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン50mol%、エチレングリコール50mol%共重合したポリエステル(固有粘度C=0.57dl/g)を110℃で4時間真空乾燥させた後、押出機内で280℃で溶融させて、口金からキャストドラム上に押し出して冷却し、厚さ600μmのシートを得た。
得られたシートのガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2” 、25℃での光弾性係数kを測定した。結果を表1に示す。
また、プレス温度を160℃、プレス解放温度を120℃とした以外は、参考例1と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても形状が十分に転写されていることを確認した。(金型1:A’/A=0.951、金型2:A’/A=0.964、金型3:A’/A=0.940、金型4:A’/A=0.928、金型5:A‘/A=0.912)。また、成形品の光学歪みを確認したところ、二枚の偏光板の吸収軸が平行、垂直共に光学歪みが殆ど観察されなかった。結果を表2に示す。
参考例4)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン40mol%、エチレングリコール60mol%共重合したポリエステル(固有粘度C=0.56dl/g)を130℃で4時間真空乾燥させた後、押出機内で280℃で溶融させて、口金からキャストドラム上に押し出して冷却し、厚さ600μmのシートを得た。
得られたシートのガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2” 、25℃での光弾性係数kを測定した。結果を表1に示す。
また、プレス温度を165℃、プレス解放温度を120℃とした以外は、参考例1と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても形状が十分に転写されていることを確認した。(金型1:A’/A=0.942、金型2:A’/A=0.962、金型3:A’/A=0.944、金型4:A’/A=0.925,金型5:A‘/A=0.909)。また、成形品の光学歪みを確認したところ、二枚の偏光板の吸収軸が平行の時は光学歪みが殆ど観察されなかったが、垂直の時に僅かながら光学歪み観察された。結果を表2に示す。
(実施例5)
表層として、110℃で4時間真空乾燥させた、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン40mol%、エチレングリコール60mol%共重合したポリエステル(固有粘度C=0.56dl/g)、基材層として、170℃で2時間真空乾燥させたポリエチレンテレフタレート(PET)をそれぞれ別の押出機内で280℃で溶融させて、所定の方法により片側にPETを有する溶融2層共押出口金からキャストドラム上に共押出して冷却して、二層積層シートを作成した。このようにして得られた2層積層シートを84℃に加熱して、長手方向に3.3倍延伸し、続いてテンターで85℃の予熱ゾーンを通して、90℃で幅方向に3倍延伸し、その後90℃で20秒、220℃で30秒間熱処理し、全膜厚100μmの積層シートを得た。なお、表面層の厚さは20μmであった。
得られた積層シートの表面層と基材層の剥離強度を求めた。結果を表3に示す。
また、同様の方法にて表面層膜厚4μmの積層シートを作製した。得られた積層シートの分光透過率を測定し、光学特性を評価した。結果を表3に示す。
また、表面層について、単膜で口金からキャストドラム上に押し出して冷却し単層シートを得た。得られた単層シートのガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、 Tg+30℃での動的損失弾性率E2” 、25℃での光弾性係数k、20℃での屈折率N1を測定した。結果を表3に示す。
また、基材について、単膜でキャストドラム上に押し出して冷却して得た単膜シートを84℃に加熱して、長手方向に3.3倍延伸し、続いてテンターで85℃の予熱ゾーンを通して、90℃で幅方向に3倍延伸し、その後90℃で20秒、220℃で30秒間熱処理し、膜厚80μmの単膜シートを得た。得られた単層シートのTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E3’,20℃での屈折率N2を測定した。結果を表3に示す。
また、得られた表面層膜厚20μmの積層シート、及び金型を165℃に加熱し、シートの表面層と金型の凹凸面を接触させて20MPaでプレスし、そのまま2分間保持した。その後125℃に冷却後プレスを解放し、50℃に冷却して金型から離型して樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても形状が十分に転写されていることを確認した(金型1:A’/A=0.919、金型2:A’/A=0.924、金型3:A’/A=0.911、金型4:A’/A=0.908,金型5:A‘/A=0.895)。結果を表4に示す。
(実施例6)
ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン80mol%、エチレングリコール20mol%共重合したポリエステル(固有粘度C=0.43dl/g)を35℃のシクロヘキサノン/メチルエチルケトン=1/1溶液中に25重量%の濃度となるように溶解させた。得られた溶液を125μm厚のポリエステルフィルム‘ルミラー’U12(東レ(株)製)上にアプリケーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥させて、乾燥膜厚30μmの表面層を有する積層体を作製した。
得られた積層シートの表面層と基材層の剥離強度を求めた。結果を表3に示す。
また、同様の方法にて表面層膜厚4μmの積層シートを作製した。得られた積層シートの分光透過率を測定し、光学特性を評価した。結果を表3に示す。
また、表面層について、溶液を100μm厚のポリエステルフィルム‘ルミラー’T60(東レ(株)製)上にアプリケーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥させた後、剥離することで、単層シートを得た。得られた単膜シートのガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、 Tg+30℃での動的損失弾性率E2” 、25℃での光弾性係数k、20℃での屈折率N1を測定した。また基材ポリエステルフィルムのTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E3’,20℃での屈折率N2を測定した。結果を表3に示す。
また、表層側に金型をプレスすること、プレス温度を165℃、プレス解放温度を125℃とすること以外は実施例5と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても形状が十分に転写されていることを確認した。(金型1:A’/A=0.963、金型2:A’/A=0.970、金型3:A’/A=0.954、金型4:A’/A=0.939,金型5:A‘/A=0.924)。結果を表4に示す。
(実施例7)
表層として、ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン60mol%、エチレングリコール40mol%共重合したポリエステル(固有粘度C=0.61dl/g)を用いる他は実施例6と同様に積層体、単膜シートを作製した。
得られた積層シートの表面層と基材層の剥離強度、光学特性を求めた。結果を表3に示す。また、得られた単膜シートの、ガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、 Tg+30℃での動的損失弾性率E2” 、25℃での光弾性係数k、20℃での屈折率N1を測定した。また基材ポリエステルフィルムのTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E3’,20℃での屈折率N2を測定した。結果を表3に示す。
また、プレス温度を175℃、プレス解放温度を140℃とすること以外は実施例6と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても形状が十分に転写されていることを確認した(金型1:A’/A=0.946、金型2:A’/A=0.967、金型3:A’/A=0.952、金型4:A’/A=0.931、金型5:A‘/A=0.919)。結果を表4に示す。
(実施例8)
表層として、ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸50mol%,テレフタル酸50mol%、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン50mol%、エチレングリコール50mol%共重合したポリエステル(固有粘度C=0.57dl/g)を用いる他は実施例6と同様に積層体、単膜シートを作製した。
得られた積層シートの表面層と基材層の剥離強度、光学特性を求めた。結果を表3に示す。また、得られた単膜シートの、ガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2”、25℃での光弾性係数k、20℃での屈折率N1を測定した。また基材ポリエステルフィルムのTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E3’,20℃での屈折率N2を測定した。結果を表3に示す。
また、プレス温度を160℃、プレス解放温度を120℃とすること以外は実施例6と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても形状が十分に転写されていることを確認した(金型1:A’/A=0.938、金型2:A’/A=0.961、金型3:A’/A=0.945、金型4:A’/A=0.928、金型5:A‘/A=0.916)。結果を表4に示す。
(比較例1)
90℃で4時間真空乾燥させたスピログリコール30mol%共重合ポリエステルS−PET30(三菱ガス化学(株)製、フルオレン骨格は非含有,固有粘度C=0.68dl/g)を押出機内で280℃で溶融させて、口金からキャストドラム上に押し出して冷却して、厚さ600μmのシートを得た。
得られたシートのガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2” 、25℃での光弾性係数kを測定した。結果を表1に示す。
また、プレス温度を140℃、プレス解放温度を100℃とした以外は、参考例1と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成型品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、金型1,2では十分に成形ができていたが、金型3では頂点が丸くなっており、十分に成形ができていなかった(金型1:A’/A=0.945、金型2:A’/A=0.960、金型3:A’/A=0.929、金型4:A’/A=0.763,金型5:A‘/A=0.697)。また、成形品の光学歪みを観察したところ、二枚の偏光板の吸収軸が平行、垂直共に光学歪みが明確に観察された。結果を表2に示す。
(比較例2)
イソフタル酸17.5mol%共重合PET(フルオレン骨格は非含有,固有粘度C=0.65dl/g)を150℃で2時間真空乾燥させた後、押出機内で250℃で溶融させて、口金からキャストドラム上に押し出して冷却して、厚さ600μmのシートを得た。
得られたシートのガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2”、25℃での光弾性係数kを測定した。結果を表1に示す。
また、プレス温度を110℃、プレス解放温度を80℃とした以外は、参考例1と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、金型1、2では十分に成形ができていたが、金型2,3では頂点が丸くなっており、十分に成形ができていなかった(金型1:A’/A=0.914、金型2:A’/A=929、金型3:A’/A=0.863、金型4:A’/A=0.756、金型5:A‘/A=0.681)。また、成形品の光学歪みを観察したところ、二枚の偏光板の吸収軸が平行、垂直共に光学歪みが明確に観察された。結果を表2に示す。
(比較例3)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン5mol%、エチレングリコール95mol%共重合したポリエステル(固有粘度C=0.63dl/g)を90℃で4時間真空乾燥させた後、押出機内で280℃で溶融させて、口金からキャストドラム上に押し出して冷却し、厚さ600μmのシートを得た。
得られたシートのガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2”、25℃での光弾性係数kを測定した。結果を表1に示す。
また、プレス温度を130℃、プレス解放温度を90℃とした以外は、参考例1と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても頂点が丸くなっており、十分に成形ができていなかった(金型1:A’/A=0.870、金型2:A’/A=0.883、金型3:A’/A=0.716、金型4:A’/A=0.631,金型5:A‘/A=0.540)。また、成形品の光学歪みを観察したところ、二枚の偏光板の吸収軸が平行、垂直共に光学歪みが明確に観察された。結果を表2に示す。
(比較例4)
70℃で4時間真空乾燥させたシクロヘキサンジメタノール25mol%共重合PET(フルオレン骨格は非含有,固有粘度C=0.74dl/g)を押出機内で250℃で溶融させて、口金からキャストドラム上に押し出して冷却して、厚さ600μmのシートを得た。
得られたシートのガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2”、25℃での光弾性係数kを測定した。結果を表1に示す。
また、プレス温度を110℃、プレス解放温度を70℃とした以外は、参考例1と同様の方法で樹脂成形品を得た。
また、参考例1と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても頂点が丸くなっており、十分に成形ができていなかった(金型1:A’/A=0.831、金型2:A’/A=0.856、金型3:A’/A=0.727、金型4:A’/A=0.619、金型5:A‘/A=0.551)。また、成形品の光学歪みを観察したところ、二枚の偏光板の吸収軸が平行、垂直共に光学歪みが明確に観察された。結果を表2に示す。
(比較例5)
ダイマー酸15mol%、1,4−ブタンジオール62mol%共重合PET(フルオレン骨格は非含有,固有粘度C=0.74dl/g)を120℃で2時間乾燥させた後、押出機内で250℃で溶融させて、口金からキャストドラム上に押し出して冷却して、厚さ600μmのシートを得た。
得られたシートのガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2”、25℃での光弾性係数kを測定した。結果を表1に示す。
また、プレス温度を45℃、プレス解放温度を20℃、離型温度20℃とした以外は、参考例1と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても頂点が丸くなっており、十分に成形ができていなかった(金型1:A’/A=0.339、金型2:A’/A=0.350、金型3:A’/A=0.278、金型4:A’/A=0.115、金型5:A‘/A=0.102)。また、成形品の光学歪みを確認したところ、二枚の偏光板の吸収軸が平行の時は光学歪みが殆ど観察されなかったが、垂直の時に僅かながら光学歪み観察された。結果を表2に示す。
(比較例6)
ポリメタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製、フルオレン骨格は非含有,固有粘度C=0.78dl/g)30重量部をシクロヘキサノン/メチルエチルケトン=1/1溶液70重量部に溶解させた。この溶液を口金からエンドレスベルトに流延して、次いで120℃の熱風にて溶媒を乾燥除去した後剥離した。次に80℃で4時間減圧乾燥させて、厚さ600μmのシートを得た。
得られたシートのガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2”、25℃での光弾性係数kを測定した。結果を表1に示す。
また、プレス温度を150℃、プレス解放温度を130℃とする以外は、参考例1と同様の方法で樹脂成形品を得ようとしたが、金型1では金型から離型することができず、金型4,5では凸部が離型時に破断し、どちらも樹脂成形品を得ることができなかった。金型2,3では十分に成形できていることを確認した(金型2:A’/A=0.953、金型3:A’/A=0.927)。結果を表2に示す。
(比較例7)
表層として、90℃で4時間真空乾燥させたスピログリコール30mol%共重合ポリエステルS−PET30(三菱ガス化学(株)製、フルオレン骨格非含有,固有粘度C=0.68dl/g)を用いる他は実施例5と同様にして積層体、単膜シートを作製した。
得られた積層シートの表面層と基材層の剥離強度、光学特性を求めた。結果を表3に示す。また、得られた単膜シートの、ガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2”、25℃での光弾性係数k、20℃での屈折率N1を測定した。また基材単膜シートのTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E3’,20℃での屈折率N2を測定した。結果を表3に示す。
また、プレス温度を140℃、プレス解放温度を100℃とした以外は、実施例5と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成型品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、金型1,2,3では十分に成形ができていたが、金型4.5では頂点が丸くなっており、十分に成形ができていなかった(金型1:A’/A=0.934、金型2:A’/A=0.926、金型3:A’/A=0.902、金型4:A’/A=0.835、金型5:A‘/A=0.722)。結果を表4に示す。
(比較例8)
表層として、150℃で2時間真空乾燥させたイソフタル酸17.5mol%共重合PET(フルオレン骨格非含有,固有粘度C=0.65dl/g)を用いる他は実施例5と同様にして積層体、単膜シートを作製した。
得られた積層シートの表面層と基材層の剥離強度、光学特性を求めた。結果を表3に示す。また、得られた単膜シートの、ガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2”、25℃での光弾性係数k、20℃での屈折率N1を測定した。また基材単膜シートのTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E3’,20℃での屈折率N2を測定した。結果を表3に示す。
また、プレス温度を110℃、プレス解放温度を80℃とした以外は、実施例5と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成型品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても頂点が丸くなっており、十分に成形ができていなかった(金型1:A’/A=0.863、金型2:A’/A=0.872、金型3:A’/A=0.857、金型4:A’/A=0.634,金型5:A‘/A=0.521)。結果を表4に示す。
(比較例9)
表層として、90℃で4時間真空乾燥させた、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分として9,9’−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン5mol%、エチレングリコール95mol%共重合したポリエステル(固有粘度C=0.63dl/g)を用いる他は実施例5と同様にして積層体、単膜シートを作製した。
得られた積層シートの表面層と基材層の剥離強度、光学特性を求めた。結果を表3に示す。また、得られた単膜シートの、ガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2”、25℃での光弾性係数k、20℃での屈折率N1を測定した。また基材単膜シートのTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E3’,20℃での屈折率N2を測定した。結果を表3に示す。
また、プレス温度を130℃、プレス解放温度を90℃とした以外は、実施例5と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成型品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても頂点が丸くなっており、十分に成形ができていなかった(金型1:A’/A=0.977、金型2:A’/A=0.873、金型3:A’/A=0.702、金型4:A’/A=0.560,金型5:A‘/A=0.467)。結果を表4に示す。
(比較例10)
表層として、70℃で4時間真空乾燥させたシクロヘキサンジメタノール25mol%共重合PET(フルオレン骨格非含有,固有粘度C=0.74dl/g)を用いる他は実施例5と同様にして積層体、単膜シートを作製した。
得られた積層シートの表面層と基材層の剥離強度、光学特性を求めた。結果を表3に示す。また、得られた単膜シートの、ガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、Tg+30℃での動的損失弾性率E2”、25℃での光弾性係数k、20℃での屈折率N1を測定した。また基材単膜シートのTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E3’,20℃での屈折率N2を測定した。結果を表3に示す。
また、プレス温度を110℃、プレス解放温度を70℃とした以外は、実施例5と同様の方法で樹脂成形品を得た。
得られた成型品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの金型においても頂点が丸くなっており、十分に成形ができていなかった(金型1:A’/A=0.761金型2:A’/A=0.829、金型3:A’/A=0.684、金型4:A’/A=0.508、金型5:A‘/A=0.419)。結果を表4に示す。
(比較例11)
表層として、ポリメタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製、フルオレン骨格非含有,固有粘度C=0.78dl/g)を用いる他は実施例6と同様に積層体、単膜シートを作製した。
得られた積層シートの表面層と基材層の剥離強度、光学特性を求めた。結果を表3に示す。また、得られた単膜シートの、ガラス転移温度Tg、室温及びTg+30℃での動的貯蔵弾性率E’、 Tg+30℃での動的損失弾性率E2”、25℃での光弾性係数k、20℃での屈折率N2を測定した。また基材ポリエステルフィルムのTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E3’,20℃での屈折率N2を測定した。結果を表3に示す。
また、プレス温度を150℃、プレス解放温度を130℃とする以外は、実施例6と同様の方法で樹脂成形品を得ようとしたが、表面層と基材間で剥離が生じ、金型から離型することができなかった。結果を表4に示す。
Figure 2007112988
Figure 2007112988
Figure 2007112988
Figure 2007112988
本発明の表面賦形用シート、ないし表面賦形方法により得られる成形品は光学素子、バイオチップなど各種分野に適用可能である。
図1(a)〜(g)は、本発明の表面賦形用シートを用いた表面賦形方法の工程を模式的に例示するものである。 図2(a)〜(f)は、いずれも本発明の表面賦形方法に用いる金型を示す横断面図であり、横断面における凸部11の形状を模式的に例示するものである。 図3(a)〜(h)は、いずれも本発明の表面賦形方法に用いる金型の面と平行な断面における断面図であり、凸部11の形状を模式的に例示するものである。 図4(a)〜(d)いずれも本発明の表面賦形方法に用いる金型の面と平行な断面における断面図であり、凸部11の形状を模式的に例示するものである。 図5(a)は、本発明に用いられる易表面賦形性シートに賦形した成形品を、図6(b)は本発明の易表面賦形性シート積層体に賦形した場合の成形品を模式的に表す横断面図である。 図6(a)〜(f)は、いずれも本発明の表面賦形方法によって得られた成形品を示す横断面図であり、横断面における凸部22の形状を模式的に例示するものである。 図7(a)〜(h)は、いずれも表面賦形方法によって得られた成形品の面と平行な断面における断面図であり、凸部22の形状を模式的に例示するものである。 図8(a)〜(d)いずれも表面賦形方法によって得られた成形品の面と平行な断面における断面図であり、凸部22の形状を模式的に例示するものである。 図9(a)〜(e)は実施例、比較例において用いた金型の一部分を模式的に表す斜視図である。
1 表面賦形性シート
2 金型
3 賦形部
4 基部
5 基材
11 金型の凸部
12 金型の凹部
21 成型品の凹部
22 成型品の凸部
S 金型凸部の幅
H 金型凸部の高さ
t 金型凹部の幅
S’ 成型品凸部の幅
H’ 成型品凸部の高さ
l’ 成形品の基部の厚さ
t’ 成型品凹部の幅

Claims (7)

  1. 少なくともフルオレン骨格を有する繰り返し単位を共重合成分として含むポリエステル樹脂を主たる成分としてなるシートであって、下記(A)〜(C)の要件を満たす易表面賦形性シートを支持体となる基材の表面の少なくとも片側に積層してなる易表面賦形性シート積層体
    (A)示差走査熱量測定(以下、DSC)により得られる、昇温過程(昇温速度:2℃/min)における結晶化エンタルピーΔHccが1J/g以下であること。
    (B)動的粘弾性測定(以下、DMAと称す)により得られる25℃での動的貯蔵弾性率E1’が0.1×10〜2.5×10Paであること。
    (C)DMAにより得られる、ガラス転移温度(以下、Tg)+30℃での動的貯蔵弾性率E2’が1×10〜5×10Paであること。
  2. 25℃での光弾性係数kが50×10 −12 Pa −1 以下であることを特徴とする請求項1記載の意表面賦形性シート積層体
  3. 前記表面層の屈折率N1と基材の屈折率N2の差ΔN=|N1−N2|が0〜0.10であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の易表面賦形性シート積層体
  4. 前記基材が二軸延伸ポリエステルフィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の易表面賦形性シート積層体
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の易表面賦形性シート積層体の少なくとも易表面賦形性シートにより構成された表層を加熱(加熱温度:T1)して金型を用いてプレス(プレス温度:T1)し、次いで冷却してプレス圧力を開放(プレス圧力開放温度:T2)後に金型を離型する(離型温度:T3)ことにより、金型形状が転写された成形品を形成する表面賦形方法であって、前記T1,T2およびT3が下記式(1)〜(5)を満たす表面賦形方法。
    Tg1≦T1≦Tg1+50℃ (1)
    T1<Tm (2)
    Tg1−20≦T2≦Tg1+20℃ (3)
    T2<T1 (4)
    20℃≦T3≦T2 (5)
    (ただし、ここでTmは易表面賦形性シート表層の融点)
  6. 前記金型が表面に凹凸形状を有し、該金型の凸部断面の高さHと幅Sの比H/S(以下、アスペクト比)が1〜20、凸部の断面の幅Sが0.01〜200μm、高さHが0.01〜200μm、ピッチ0.02〜300μmである請求項11または12に記載の表面賦形方法
  7. 請求項5〜6のいずれかに記載の表面賦形方法によって得られる表面に凹凸形状を有する成形品であって、該凹凸形状の凸部のアスペクト比H’/S’が1〜10、凸部の幅S’が0.01〜200μm、高さH’が0.01〜200μm、ピッチが0.02〜300μmである成形品
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