JP2007112890A - 新規なポリイミド樹脂 - Google Patents

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Abstract


【課題】 機械特性に優れた被覆材料用のポリイミド樹脂を得る。
【解決手段】 下記一般式(1)

(式中R1は、特定の2価の芳香族基を示す。式中R2は、特定の2価の有機基を示す。l,m,Xは1以上の整数である。)で表される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリイミド樹脂に関し、さらに好ましくは、プリント配線板の基板上を被覆するための被覆形成材など、電子材料において回路面を被覆する材料として好適に用いることができるポリイミド樹脂に関する。
従来、芳香族ポリイミド、エポキシ樹脂などを回路の被覆膜として利用することは、例えば、固体素子への絶縁膜、パッシベーション膜、半導体集積回路、フレキシブル配線板などの絶縁膜などの用途において知られている。一般に、エポキシ樹脂は硬化剤の併用が必要であり、その硬化剤に係わる保存安定性、二液調製のための作業性などの種々の問題があったり、又、前述の絶縁膜として使用した場合に、熱硬化によって形成される絶縁膜が剛直であり、柔軟性に欠け、屈曲性に劣るという問題があった。
又、芳香族ポリイミドは、有機溶媒に溶解し難いために、芳香族ポリイミドの前駆体(芳香族ポリアミック酸)の溶液として使用して、塗布膜を形成し、次いで乾燥とイミド化とを高温で長時間、加熱処理することによって、芳香族ポリイミドの保護膜を形成する必要があり、保護すべき電気又は電子部材自体が熱劣化するという問題があった。
一方、有機溶剤に可溶性の芳香族ポリイミドは、例えば、特許文献1に記載されているようなビフェニルテトラカルボン酸とジアミン化合物とを有機極性溶媒中で重合及びイミド化した芳香族ポリイミドが知られているが、そのポリイミドは、シリコンウェハー、ガラス板、フレキシブル基板、銅箔などの基板や回路との密着性(接着性)が充分なかったので予め基板などを密着促進剤で処理しておくなどの方法が必要であった。
特公昭57−41491
この発明の目的は、有機溶剤に対して高い溶解性を有し、しかも、プリント配線板表面の被覆形成材として保護膜を形成した場合に、高い耐熱性、非カール性、密着性を同時に有しているポリイミド樹脂を提供することである。
本発明は以下の新規な構成により上記課題を解決しうる。
1)下記一般式(1)
(式中R1は、下記一般式群(1)より選ばれる2価の芳香族基を示す。式中R2は、下記一般式群(2)より選ばれる2価の有機基を示す。l,m,Xは1以上の整数である。)で表される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂。
2)(a)下記一般式(2)で表される酸二無水物、
(式中R1は、下記一般式群(1)より選ばれる2価の芳香族基を示す)
及び(b)下記一般式(3)
及び屈曲性基を有する(c)下記一般式(4)
(式中R3は、下記一般式群(2)より選ばれる2価の有機基を示す。)
で表されるジアミンを必須成分として反応させて得られるポリイミド樹脂。
3)プリント配線板に形成された導体回路パターンを被覆するための被覆形成材に用いることを特徴とする1)または2)記載のポリイミド樹脂を用いることにより問題を解決しうる。
本発明のポリイミド樹脂は、電子材料用途に必要な物性バランスに優れたポリイミド樹脂となっており、各種熱硬化性成分と配合した場合にも、熱硬化性成分と配合特性を損なうことなく導体回路パターンを被覆するための被覆形成材に用いることが可能となる。
本発明のポリイミド樹脂は、
下記一般式(1)
(式中R1は、下記一般式群(1)より選ばれる2価の芳香族基を示す。式中R2は、下記一般式群(2)より選ばれる2価の有機基を示す。m,nは1以上の整数である。)で表される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂である。
特に、lとmの関係は、l/m>1であることがポリイミド樹脂の物性値を向上させる上で望ましい。
本発明のポリイミド樹脂は、上記のポリイミドユニットからなるブロック構造を有するものであってもよいが、本発明のポリイミド樹脂の特徴は、下記の酸二無水物成分およびジアミン成分を必須成分として用いることにあり、ブロック構造を有していなくともよく、酸二無水物成分とジアミン成分とからなるランダム共重合構造を有していてもよく、
(a)下記一般式(2)で表される酸二無水物、
(式中R1は、下記一般式群(1)より選ばれる2価の芳香族基を示す)
及び(b)下記一般式(3)
及び屈曲性基を有する(c)下記一般式(4)
(式中R3は、下記一般式群(2)より選ばれる2価の有機基を示す。)
で表されるジアミン成分を必須成分として反応させて得られるポリイミド樹脂であればよい。
このような酸二無水物成分およびジアミン成分を用いたポリイミド樹脂は、これを用いて形成した被膜物性として、プリント配線板との接着強度が非常に高く、更には、耐熱性、難燃性等の特性バランスに優れたものとなる。
中でも一般式(2)で記載される酸二無水物の中で、本願発明の溶解性及び機械特性、吸水特性を発現させる為に、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物を用いることが好ましい。
本発明のポリイミド樹脂は、一般式(2)で表される酸二無水物と一般式(3)及び一般式(4)で表されるジアミン成分を必須として用いるが、その他の下記の酸二無水物成分、ジアミン成分を併用してもよい。
その他の酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンジフタル酸無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’−オキシジフタル酸無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、4,4’−ハイドロキノンビス(無水フタル酸)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2−エチレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)のうちで、これらは1種もしくは、2種以上を併用して用いることも可能である。これらの酸二無水物成分を併用すると、被膜にした場合の耐熱性、弾性率、線膨張係数、及び誘電率などをコントロールすることが可能となる。
一般式(2)で表される酸二無水物成分は、全酸二無水物中50モル%以上含有することが好ましい。特に好ましくは、80モル%以上含有することが望ましい。この範囲を逸脱すると、被膜にした場合の特性バランスが崩れる場合がある。特に、ポリイミド樹脂の有機溶剤への溶解性が低下する為、表面保護膜への塗布形成が困難となる。
一方、一般式(3)及び一般式(4)で表されるジアミン以外のジアミン成分としては、特に限定されないが、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、2,2’−ジクロロベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−トリフルオロメチルベンジジン、2,2’−トリフルオロメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、DA3EGなどを挙げることができる。これらのジアミン成分を用いることで、耐熱性などをコントロールすることができる。
中でも、特に好ましくは、熱膨張係数、弾性率、耐環境安定性を維持できることから、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、2,2’−ジクロロベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−トリフルオロメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、p−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンを併用することが望ましい。
また、ポリイミド樹脂を他の硬化成分と高次架橋構造を形成するために、下記の水酸基及び/又はカルボキシル基を有するジアミンを併用することが望ましい。
水酸基及び/又はカルボキシル基を有するジアミンとしては、水酸基及び/又はカルボキシル基を有していれば特に限定されない。例えば、2,4−ジアミノフェノール等のジアミノフェノール系化合物;3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル等のジアミノビフェニル系化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシビフェニル等のヒドロキシビフェニル系化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルメタン等のヒドロキシジフェニルアルカン類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルエーテル等のヒドロキシジフェニルエーテル系化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルホン等のジフェニルスルホン系化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン等のビス[(ヒドロキシフェニル)フェニル]アルカン類;4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドキシフェノキシ)ビフェニル等のビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル系化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルホン等のビス[(ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルホン系化合物;3,5−ジアミノ安息香酸等のジアミノ安息香酸類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシビフェニル等のカルボキシビフェニル系化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス[4−アミノ−3−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルアルカン類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルエーテル等のカルボキシジフェニルエーテル系化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルスルホン等のジフェニルスルホン系化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等のビス[(カルボキシフェニル)フェニル]アルカン類;4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドキシフェノキシ)ビフェニル等のビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル系化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン等のビス[(カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン系化合物等を挙げることができる。
耐熱性及び接着性を良好な状態に保つ為には、一般式(3)で表されるジアミンは、全ジアミン成分に対して50モル%以上99モル%以下で用いることが好ましく、特に好ましくは60モル%以上95モル%以下で用いることが望ましい。また、一般式(4)で表されるジアミンは、全ジアミン成分に対して1モル%以上50モル%以下で用いることが好ましく。特に好ましくは5モル%以上40モル%以下で用いることが望ましい。
一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)以外のジアミンとして用いることの出来るジアミンの使用量は、本願発明のポリイミド樹脂の特性を維持するために、20モル%以下の割合で使用することが望ましい。
本発明のポリイミド樹脂は、対応する前駆体ポリアミド酸重合体を脱水閉環して得られる。ポリアミド酸重合体は、酸二無水物成分とジアミン成分とを実質的に等モル反応させて得られる。
反応の代表的な手順として、1種以上のジアミン成分を有機極性溶剤に溶解または分散させ、そののち1種以上の酸二無水物成分を添加し、ポリアミド酸溶液を得る方法があげられる。各モノマーの添加順序はとくに限定されず、酸二無水物成分を有機極性溶媒に先に加えておき、ジアミン成分を添加し、ポリアミド酸重合体の溶液としてもよいし、ジアミン成分を有機極性溶媒中に先に適量加えて、つぎに過剰の酸二無水物成分を加え、過剰量に相当するジアミン成分を加えて、ポリアミド酸重合体の溶液としてもよい。このほかにも、当業者に公知のさまざまな添加方法がある。具体的には下記の方法が挙げられる。
なお、ここでいう「溶解」とは、溶媒が溶質を完全に溶解する場合のほかに、溶質が溶媒中に均一に分散されて実質的に溶解しているのと同様の状態になる場合を含む。反応時間、反応温度は、とくに限定されない。
1)ジアミン成分を有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの酸二無水物成分を反応させて重合する方法。
2)酸二無水物成分とこれに対し過小モル量のジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において酸二無水物成分とジアミン成分が実質的に等モルとなるようにジアミン成分を用いて重合させる方法。
3)酸二無水物成分とこれに対し過剰モル量のジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここにジアミン成分を追加添加後、全工程において酸二無水物成分とジアミン成分が実質的に等モルとなるように酸二無水物成分を用いて重合する方法。
4)酸二無水物成分を有機極性溶媒中に溶解させた後、実質的に等モルとなるようにジアミン化合物成分を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの酸二無水物成分とジアミン成分の混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
ポリアミド酸の重合反応に用いられる有機極性溶媒としては、たとえば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどをあげることができる。さらに必要に応じて、これらの有機極性溶媒とキシレンあるいはトルエンなどの芳香族炭化水素とを組み合わせて用いることもできる。
本発明のポリアミド酸のイミド化方法について記載する。ポリアミド酸溶液をイミド化する方法には、熱的に脱水閉環する熱的イミド化方法、脱水剤及び触媒を用いる化学的イミド化方法がある。本願発明では、イミド化反応について鋭意検討を行った結果、本願発明のポリイミド樹脂の製造方法では、熱的イミド化方法と化学的イミド化方法を併用することが好ましい方法であることを見出した。化学的イミド化方法によると生成するポリイミド樹脂の分子量が維持されるので好ましく、熱的イミド化方法によると化学イミド化方法でのイミド化率が向上するので好ましい。
化学的イミド化方法に用いられる脱水剤としては、無水酢酸などの脂肪族酸無水物や芳香族酸無水物などが挙げられる。好適には、無水酢酸を用いることがポリイミド樹脂の抽出工程に適している。触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン類、ピリジン、イソキノリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、ルチジンなどの複素環式第3級アミン類などが挙げられる。しかし、用いる触媒によっては反応時間が長くなることや、イミド化が充分に進まないことがあり、ポリイミド樹脂に好適な触媒は適宜選定することが好ましい。特に、本願発明に好適に用いることのできる触媒は、ピリジン、イソキノリン、β-ピコリンである。
ポリアミド酸に対する脱水剤及び触媒の添加量は、ポリアミド酸を構成する化学構造式に依存するが、脱水剤モル数/ポリアミド酸中アミド基モル数=10〜0.01が好ましく、触媒/ポリアミド酸中アミド基モル数=10〜0.01が好ましい。更に好ましくは、脱水剤モル数/ポリアミド酸中アミド基モル数=5〜0.5が好ましく、触媒/ポリアミド酸中アミド基モル数=5〜0.5が好ましい。
化学イミド化方法と併用する、熱的イミド化方法では、ポリアミド酸溶液に脱水剤と触媒を添加して攪拌している溶液を、200℃以下で加熱することが好ましく、更に150℃以下で加熱することが分子量低下を抑えるので好ましい。
本願発明では、化学イミド化反応を行いながら加熱する熱イミド化反応を併用することが好ましく、加熱イミド化時間は1時間以上10時間以下が好ましく、更に好ましくは、1時間以上5時間以下であることがイミド化反応を進めることができるので好ましい。
本発明のイミド樹脂の抽出方法について記載する。上記ポリイミド樹脂の製造方法により製造されたポリイミド樹脂溶液から、ポリイミド樹脂を抽出する方法として、ポリイミド樹脂、イミド化の脱水剤、イミド化の触媒を含有するポリイミド樹脂溶液をポリイミド樹脂の貧溶媒中に、投入することでポリイミド樹脂を固形状態に抽出する方法を用いる。本発明で用いられるポリイミド樹脂の貧溶媒は、たとえば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、イソプロピルアルコールなど、該当するポリイミドの貧溶剤で、ポリアミド酸及びポリイミド樹脂の溶解溶媒として使用した有機溶剤と混和するものが用いられ、上記したアルコール類が好ましく用いられる。
ポリイミド樹脂の溶液を貧溶媒中に注入する際には、ポリイミド樹脂溶液の投入直前の直径は1mm以下が好ましく、更に好ましくは直径が0.5mmになるように投入することが乾燥工程で完全に溶媒を除去する上で好ましい。貧溶媒量はポリイミド樹脂溶液(触媒及び脱水剤を全て含む量)の3倍以上の量で抽出することが好ましい。
本願発明では樹脂の投入直後は樹脂が糸状になるので、できるだけ細かいフレーク状のポリイミド樹脂に成形するために、貧溶媒の溶液の回転数は1000回転/分以上の高速回転で攪拌することが好ましく、更に、攪拌翼は1段のパドル翼を用いることが好ましい。また、完全にポリイミド樹脂を投入すると貧溶媒中のポリイミド溶解用に用いている溶媒量が多量になり、イミド樹脂が溶解するので、投入後に貧溶媒を最初に加えた溶媒量と同量の溶媒を加えることが好ましく、更に好ましくは2倍量の溶媒を添加することが好ましい。大量の溶媒を添加することで貧溶媒中に溶解したイミド樹脂が再度沈殿すると共に、粉末状の樹脂となる。
固形のポリイミド樹脂を取り出して、ソックスレー洗浄装置と同等の洗浄装置内で洗浄を行う。使用する溶媒は揮発性の溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノ−ル等の溶媒が好ましい。
本発明で凝固させフレーク状にした樹脂固形物の乾燥方法は、真空乾燥によってもよいし熱風乾燥によってもよい。乾燥温度はイミド樹脂によるが、ガラス転移温度よりも低い温度で乾燥させることが望ましく、各種溶剤、触媒、脱水剤の沸点よりも高い温度で乾燥させることが望ましい。
熱イミド化方法としては、真空乾燥装置内で溶剤を揮発させつつイミド化することが望ましい。特に、加熱温度はガラス転移温度よりも少なくとも10℃以上高いことが望ましく、真空度は10Torr以下が望ましい。
このようにして得られたポリイミド樹脂は、各種の熱硬化性成分と配合して用いても良い。また、必要に応じて、有機又は無機のフィラー、消泡材、レベリング材、安定剤、酸化防止剤などの各種添加剤を添加してもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例中では、使用する酸二無水物及びジアミンを下記の略称で記載している。
BPADA:2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
ESDA:2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物
BAPP:2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン
PTMA:ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート(イハラケミカル株式会社製:エラスマー1000)
SI:α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製シリコーンジアミンKF−8010)
OAD:ポリオキシアルキレジンジアミン(サンテクノケミカル(株)社製、平均分子量2000、商品名:ジェファーミンD―2000)
HAB:3,3’−ジハイドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル
MBAA:ビス(3−カルボキシ、4−アミノフェニル)メタン

(実施例1)
窒素導入管、攪拌機を備えた、2Lのセパラブルフラスコに、重合用溶媒としてN,N’−ジメチルフォルムアミド(DMF)を最終の固形分濃度が30重量%になるように仕込み、これに、BAPP、PTMAを表1記載のモル量に相当する重量で投入し完全に溶解した後、BPADAを表1記載のモル量に相当する重量で投入し、30℃で5時間攪拌してポリアミド酸溶液を得た。
(ポリイミド樹脂の製造方法)
ポリアミド酸溶液を200℃に加熱した真空オーブン中に投入して、3時間、加熱・乾燥させることでイミド化した。
(溶解性)
1,3−ジオキソランに固形分濃度10%となるように溶解し、完全に溶解するものを○とした。
(接着強度の評価方法)
上記ポリイミド樹脂を1,3−ジオキソランに固形分濃度が10%になる様に溶解し、35μm厚みの銅箔上に流延塗布後、80℃で5分、120℃で5分、130℃で5分、150℃で5分、200℃で3分、乾燥して銅箔に積層したポリイミド樹脂積層板とした。この金属積層板の金属のピ−ル強度をJIS C−6471に従って金属パターン5mmを180度ピールで評価した。
(耐熱性)
100℃のオーブン中に投入して、3時間乾燥させた時に、溶融や変色の起きない樹脂を〇とした。
(実施例2〜9)
表1記載の酸二無水物及びジアミンを各比率で重合してポリアミド酸溶液を製造して、該ポリアミド酸溶液を用いて実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に記載する。
(比較例1)
窒素導入管、攪拌機を備えた、2Lのセパラブルフラスコに、重合用溶媒としてN,N’−ジメチルフォルムアミド(DMF)を最終の固形分濃度が30重量%になるように仕込み、これに、BAPP、PTMAを表1記載のモル量に相当する重量で投入し完全に溶解した後、BTDAを表1記載のモル量に相当する重量で投入し、30℃で5時間攪拌してポリアミド酸溶液を得た。
(ポリイミド樹脂の製造方法)
ポリアミド酸溶液を200℃に加熱した真空オーブン中に投入して、3時間、加熱・乾燥させることでイミド化した。
該ポリイミド樹脂を固形分濃度が10重量%になるように1,3−ジオキソランと混合して10時間攪拌した。しかし、全く溶解することは無かった。耐熱性評価では問題が無かったが、溶解しないため接着評価は行えなかった。
(比較例2)
窒素導入管、攪拌機を備えた、2Lのセパラブルフラスコに、重合用溶媒としてN,N’−ジメチルフォルムアミド(DMF)を最終の固形分濃度が30重量%になるように仕込み、これに、PTMAを表1記載のモル量に相当する重量で投入し完全に溶解した後、BPADAを表1記載のモル量に相当する重量で投入し、30℃で5時間攪拌してポリアミド酸溶液を得た。
(ポリイミド樹脂の製造方法)
ポリアミド酸溶液を180℃に加熱した真空オーブン中に投入して、3時間、加熱・乾燥させることでイミド化した。得られたポリイミド樹脂は室温で粘張なポリイミド樹脂であった。
1,3−ジオキソラン溶液には溶解したが、該ポリイミド樹脂を100℃のオーブン中に投入して、3時間乾燥させたところ、溶融してしまった。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)
    (式中R1は、下記一般式群(1)より選ばれる2価の芳香族基を示す。式中R2は、下記一般式群(2)より選ばれる2価の有機基を示す。l,m,Xは1以上の整数である。)で表される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂。
  2. (a)下記一般式(2)で表される酸二無水物、
    (式中R1は、下記一般式群(1)より選ばれる2価の芳香族基を示す)
    及び(b)下記一般式(3)
    及び屈曲性基を有する(c)下記一般式(4)
    (式中R3は、下記一般式群(2)より選ばれる2価の有機基を示す。)
    で表されるジアミンを必須成分として反応させて得られるポリイミド樹脂。
  3. プリント配線板に形成された導体回路パターンを被覆するための被覆形成材に用いることを特徴とする請求項1または2記載のポリイミド樹脂。
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